(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定手段は、イグニッションがオフの状態にされたこと、ドアがロックされたことを示すドアロック信号を受信したこと、前記システム管理ユニットとの間の通信が途絶したこと、前記システム管理ユニットへの問い合わせに対する応答がないこと、の少なくとも1つを検出した場合にスレーブからマスタに移行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、エンジンを停止した後には、二次電池の状態が分からないことから、二次電池の充電状態に余裕がある場合でも負荷への電力の供給が遮断されてしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、エンジン停止後も二次電池の状態を検出することが可能な電源管理装置および電源管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車両に搭載された電源としての二次電池を管理する電源管理装置において、前記車両が動作中に前記二次電池を管理するシステム管理ユニットが動作を停止したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記システム管理ユニットが動作を停止したと判定した場合、前記二次電池の状態を検出し、検出結果に基づいて前記車両の状態を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、エンジン停止後も二次電池の状態を検出することが可能となる。
【0007】
また、本発明は、前記制御手段は、前記システム管理ユニットよりも動作時の平均消費電力が少ないことを特徴とする。
このような構成によれば、エンジン停止後の消費電力を抑えることで、二次電池の消耗を抑えることができる。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段は、前記二次電池の状態に応じて負荷への電力の供給を制限または停止することを特徴とする。
このような構成によれば、エンジンの再始動が不能になったりすることを防止できる。
【0009】
また、本発明は、前記車両が動作中は、前記システム管理ユニットはマスタとして動作し、前記電源管理装置はスレーブとして動作し、前記車両が停止中は、前記電源管理装置はマスタとして動作し、前記システム管理ユニットはスレーブとして動作する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、既存の構成を流用して電源の管理を行うことができる。
【0010】
また、本発明は、前記電源管理装置は、前記システム管理ユニットが起動した場合または起動の可能性を検出した場合に、マスタからスレーブに移行することを特徴とする。
このような構成によれば、迅速にマスタからスレーブに移行することができる。
【0011】
また、本発明は、前記判定手段は、イグニッションがオフの状態にされたこと、ドアがロックされたことを示すドアロック信号を受信したこと、前記システム管理ユニットとの間の通信が途絶したこと、前記システム管理ユニットへの問い合わせに対する応答がないこと、の少なくとも1つを検出した場合にスレーブからマスタに移行することを特徴とする。
このような構成によれば、スレーブからマスタへの移行を迅速に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、前記二次電池から電力が供給される負荷を複数有するとともに、これら複数の負荷は種類別に分類され、前記制御手段は、前記負荷の種別毎に設定された条件に基づいて、電力の供給を制限または停止することを特徴とする。
このような構成によれば、負荷の種類別の条件に基づいて電力の供給を制御することで、負荷の種類に応じた的確な制御を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、前記制御手段は、前記二次電池の放電可能電力量が所定の閾値未満となった場合に、負荷への電力の供給を制限または停止することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池の放電可能電力量に基づいて、負荷の制御を的確に行うことができる。
【0014】
また、本発明は、前記制御手段は、前記二次電池の放電可能電力量が所定の閾値未満となった場合に、ユーザに通知することを特徴とする。
このような構成によれば、エンジンの再始動が不能になることを防止できる。
【0015】
また、本発明は、車両に搭載された電源としての二次電池と、前記二次電池の状態を検出する状態検出装置と、前記状態検出装置による検出結果に基づいて前記車両の状態を制御する電源管理装置と、前記車両が動作中に前記状態検出装置による検出結果に基づいて前記車両の状態を管理するシステム管理ユニットと、を有し、前記システム管理ユニットが動作を停止した場合には、前記電源管理装置が前記二次電池の状態を検出し、検出結果に基づいて前記車両の状態を制御する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、エンジン停止後も二次電池の状態を検出するとともに、装置自体の消費電力を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エンジン停止後も二次電池の状態を検出することが可能な電源管理装置および電源管理システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る電源管理システムを有する車両の電源系統を示す図である。この図に示すように、電源管理システムを有する車両の電源系統は、暗電流監視装置11、エンジンECU(Electric Control Unit)12、二次電池状態検出装置13、二次電池14、発電機15、DC/DCコンバータ16、エアコンECU17、ボディーECU18、スマートECU19、オーディオナビゲーションユニット20、コンビネーションメータ21、A/C(Air Conditioner)22、H/L(Head Light)23、DI(Direction Indicator)/HL(Hazard Lamp)24、KEY SW(Key Switch)25、DR SW(Door Switch)26、IG RLY(Ignition Relay)27、ACC RLY(Accessory Relay)28、CAN BUS(Controller Area Network)30、LIN BUS(Local Interconnect Network)31、および、CAN BUS32を有している。
【0020】
ここで、暗電流監視装置11は、車両が停車中に、ECUおよび負荷等に流れる電流(暗電流)を監視し、必要に応じて負荷への電力の供給を制限または停止する機能を有する。
【0021】
図2は、
図1に示す暗電流監視装置11の詳細な構成例を示す図である。この
図2に示すように、暗電流監視装置11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11c、LIN I/F(Interface)11d、および、CAN I/F11eを有している。ここで、CPU11aは、ROM11bに格納されているプログラム11baに基づいて各部を制御する。ROM11bは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム11ba等を格納している。RAM11cは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム11baを実行する際に生成されるデータ等のパラメータ11ca等を格納する。LIN I/F11dは、LIN BUS31を介して二次電池状態検出装置13等と情報を授受する際にデータの表現形式を変換する。CAN I/F11eは、CAN BUS30を介してオーディオナビゲーションユニット20等と情報を授受する際にデータの表現形式を変換する。なお、暗電流監視装置11は、後述するエンジンECU12に比較すると、例えば、CPU10aの動作クロックが低く、また、二次電池14の状態検出の頻度も低いため、動作時における平均消費電力が低く設定されている。エンジンECU12のCPU12aに比べて、機能を限定することで暗電流監視装置11のCPU10aを消費電力の低い小型なものにでき、動作時の平均消費電力が低く設定されている。なお、動作時の平均消費電力とは、動作時において、所定の時間(例えば、数十分から数時間)内における消費電力の平均値をいう。
【0022】
エンジンECU(Electric Control Unit)12は、エンジンを制御するとともに、二次電池状態検出装置13によって検出された二次電池14の状態に応じて、オーディオナビゲーションユニット20、コンビネーションメータ21、および、暗電流監視装置11等を制御する。
【0023】
図3は、
図1に示すエンジンECU12の詳細な構成例を示す図である。この
図3に示すように、エンジンECU12は、CPU12a、ROM12b、RAM12c、LIN I/F12d、および、CAN I/F12eを有している。ここで、CPU12aは、ROM12bに格納されているプログラム12baに基づいて各部を制御する。ROM12bは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム12ba等を格納している。RAM12cは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム12baを実行する際に生成されるデータ等のパラメータ12ca等を格納する。LIN I/F12dは、LIN BUS31を介して二次電池状態検出装置13等と情報を授受する際にデータの表現形式を変換する。CAN I/F12eは、CAN BUS30を介してオーディオナビゲーションユニット20等と情報を授受する際にデータの表現形式を変換する。
【0024】
二次電池状態検出装置13は、二次電池14の状態(例えば、放電可能電力量、SOC、SOF、SOH等)を検出し、暗電流監視装置11およびエンジンECU12に検出結果を通知する。例えば、二次電池状態検出装置13は、二次電池14をパルス放電させ、そのときの電圧、電流、および、温度等に基づいて二次電池14の状態を検出する。
【0025】
図4は、
図1に示す二次電池状態検出装置13の詳細な構成例を示す図である。この
図4に示すように、二次電池状態検出装置13は、CPU13a、ROM13b、RAM13c、LIN I/F13d、I/F13e、および、センサ部13fを有している。ここで、CPU13aは、ROM13bに格納されているプログラム13baに基づいて各部を制御する。ROM13bは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム13ba等を格納している。RAM13cは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム13baを実行する際に生成されるデータ等のパラメータ13ca等を格納する。LIN I/F13dは、LIN BUS31を介して二次電池状態検出装置13等と情報を授受する際にデータの表現形式を変換する。I/F13eは、センサ部13fから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して入力する。センサ部13fは、例えば、二次電池14の端子電圧を測定する電圧センサ、二次電池14に流れる電流を測定する電流センサ、二次電池14の電解液の温度を測定する温度センサ等を有している。
【0026】
二次電池14は、例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、または、ニッケル水素電池等によって構成され、発電機15によって充電され、車両の各部に電力を供給する。
【0027】
発電機15は、図示しないエンジンによって駆動され、直流電力を発生して、二次電池14を充電する。
【0028】
DC/DCコンバータ16は、二次電池14の端子電圧を、昇圧または降圧することにより、例えば、電源変動に敏感な負荷に対して、アイドリングストップ動作中に、電圧が一定の直流電力を供給する。
【0029】
エアコンECU17は、A/C22を制御するECUであり、CAN BUS32を介して暗電流監視装置11に接続され、暗電流監視装置11によって暗電流の監視および制御がされる。
【0030】
ボディーECU18は、H/L23、DI/HL24、KEY SW25、および、DR SW26を制御するECUであり、CAN BUS32を介して暗電流監視装置11に接続され、暗電流監視装置11によって暗電流の監視および制御がされる。
【0031】
スマートECU19は、IG RLY27およびACC RLY28を制御するECUであり、CAN BUS32を介して暗電流監視装置11に接続され、暗電流監視装置11によって暗電流の監視および制御がされる。
【0032】
A/C22は、冷媒を圧縮するコンプレッサおよび送風ファン等を有し、室内の温度が所定の温度になるように調整する。H/L23は、白熱電球、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)等によって構成され、車両の走行方向の前方を照らす照明である。DI/HL24は、車両の前後の左右端部に設けられたライトおよびこれらを点滅させるための点滅装置によって構成される。KEY SW25は、シリンダにキーが挿入されたか否かを検出するためのスイッチである。DR SW26は、ドアの開閉を検出するためのスイッチである。IG RLY27は、エンジンを始動するためのイグニッションをオン/オフするためのリレーである。ACC RLY28は、オーディオやナビゲーション等の周辺機器(アクセサリ)をオン/オフするためのリレーである。CAN BUS30は、ライン型構造を有し、マルチマスター方式を採用するネットワークである。LIN BUS31は、ライン型バス構造を有するとともに、マスター・スレーブ方式を採用するネットワークである。CAN BUS32は、CAN BUS30と同様に、ライン型構造を有し、マルチマスター方式を採用するネットワークである。
【0033】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。以下では、まず、実施形態の動作の概略について説明した後、
図5〜
図7を参照して詳細な動作について説明する。
【0034】
本実施形態では、車両の動作時(例えば、走行時、アイドリングストップ実行時、エンジン動作中における駐車時)には、エンジンECU12が電源管理を実行し、車両の停止時(例えば、エンジン停止時、エンジン停止中における駐車時)には、暗電流監視装置11が電源管理を実行する。このような構成により、車両の停止中であっても、電源管理が実行されるので、例えば、二次電池14の充電状態に余裕がある場合でも負荷への電力の供給が遮断されてしまう事態を回避できる。また、前述したように、暗電流監視装置11はエンジンECU12に比較して消費電力が少ない。また、暗電流監視装置11は、エンジンECU12に比較して動作の頻度が少ない。このため、車両の停止中は、消費電力が少ない暗電流監視装置11が電源管理を行うことから、二次電池14の消費を抑えることができる。
【0035】
また、本実施形態では、暗電流監視装置11とエンジンECU12とがLIN BUS31によって接続されている。そして、車両の動作時にはエンジンECU12がLIN BUS31のマスタとなり、暗電流監視装置11がスレーブとなって電源管理を行う。また、車両の停止時には暗電流監視装置11がLIN BUS31のマスタとなり、エンジンECU12がスレーブとなって電源管理を行う。このため、マスタ/スレーブの切り替えにより、電源管理を実行する主体を変更できることから、既存の装置を流用することで実現することができる。また、LIN BUS31に二次電池状態検出装置13を接続しているので、暗電流監視装置11とエンジンECU12の双方がLIN BUS31を介して二次電池14の状態を簡単に知ることができる。これにより、車両の状態に拘わらず、最小限の構成で、二次電池14の状態に応じた電源管理を実行することができる。さらに、検出部である二次電池状態検出装置13と、制御部である暗電流監視装置11およびエンジンECU12を個別の構成とすることで、二次電池状態検出装置13を二次電池14の近傍に配置することができることから、検出精度を向上させることができる。さらに、マスタとスレーブを切り替えるための通信を実行しないことから、マスタ側に異常(例えば、通信エラーまたは動作不良)が生じた場合でも、スレーブ側が判断してマスタに切り替え、電源管理を実行することができる。
【0036】
また、エンジンの停止状態から、周辺機器に電力を供給する状態(イグニッションキーがACCの状態)にされた場合には、エンジンECU12がマスタになり、暗電流監視装置11がスレーブの状態になるが、暗電流監視装置11は、エンジンが始動されるまで暗電流の監視を継続する。これにより、ユーザが乗車して、エンジンを始動せずに周辺機器(例えば、オーディオ等)を使用している際に、二次電池14の状態を監視して、必要に応じて警告を発することで、例えば、エンジンの始動が不能になることを防止できる。
【0037】
つぎに、
図5〜
図7を参照して、
図1に示す実施形態の詳細な動作について説明する。
【0038】
図5は、
図1に示す実施形態において実行される処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。なお、
図5に示す処理は、車両の動作が停止された場合に実行される。
図5に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0039】
ステップS10では、暗電流監視装置11が、LIN BUS31のマスタとして暗電流を監視する「マスタ暗電流監視処理」を実行する。より詳細には、暗電流監視装置11がLIN BUS31のマスタとなって、二次電池14から負荷に供給される暗電流を監視する処理を実行する。なお、この処理の詳細については、
図6を参照して後述する。また、ステップS10の処理では、
図6を参照して後述するように、車両のドアがアンロック状態にされた場合(ドアが開かれた場合)には処理を終了して
図5のステップS11の処理に復帰する。
【0040】
ステップS11では、暗電流監視装置11は、LIN通信を停止する。より詳細には、エンジンECU12がマスタとなって通信を行っている可能性があることから、暗電流監視装置11は、LIN BUS31による通信を停止する。
【0041】
ステップS12では、暗電流監視装置11は、エンジンECU12がマスタとして動作を開始したか否かを判定し、マスタとして動作を開始したと判定した場合(ステップS12:Y)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS12:N)にはステップS13に進む。より詳細には、暗電流監視装置11は、例えば、エンジンECU12がLIN通信を開始したか、エンジンECU12がCAN通信を開始したか、あるいは、暗電流監視装置11がKEY SW26からイグニッションキーがACCにされたことを示す信号を受信したことのいずれか1つが少なくとも検出された場合には、Yと判定してステップS13に進む。換言すると、暗電流監視装置11は、エンジンECU12が起動したことまたは起動の可能性があることを検出した場合にステップS14に進む。
【0042】
ステップS13では、暗電流監視装置11は、DR SW26からドアロック信号を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(ステップS13:Y)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS13:N)にはステップS12に戻って同様の処理を繰り返す。より詳細には、例えば、ユーザがエンジンを停止および降車してドアをロックした後に、忘れ物等に気付いて、ドアをアンロックした場合、ステップS10において処理を終了してステップS11の処理に復帰する。この場合、ユーザは忘れ物を取った後に、ドアをロックすることから、エンジンECU12はマスタとして動作することはないのでステップS12においてNと判定され、ステップS13においてNと判定され、ステップS10の処理に戻って、車両が停止時の処理に移行する。
【0043】
ステップS14では、暗電流監視装置11は、エンジンECU12がLIN BUS31のマスタとして動作を開始したことから、マスタからスレーブに動作状態を移行する。
【0044】
ステップS15では、暗電流監視装置11は、LIN BUS31のスレーブとして暗電流を監視する「スレーブ暗電流監視処理」を実行する。より詳細には、暗電流監視装置11がLIN BUS31のスレーブとなり、エンジンが始動されるまで二次電池14から負荷に供給される暗電流を監視する処理を実行する。なお、この処理の詳細については、
図7を参照して後述する。また、ステップS15の処理では、
図7を参照して後述するように、車両のエンジンが始動された場合には処理を終了して
図5のステップS16の処理に復帰する。
【0045】
ステップS16では、エンジンECU12は、シーン別負荷制御を実行する。より詳細には、エンジンECU12は、車両の動作状況(シーン)に応じて、負荷への電力を制限したり、停止したり、再開したりする制御を実行する。例えば、車両の走行中には、車両の窃盗等を防ぐためのセキュリティシステムは不要であるので、セキュリティシステムへの電力の供給を停止したり、室温が上昇した場合にはシートヒータへの給電を低減したり、室内の照度が低下した場合には液晶パネルの照度を低下させたりする制御を実行する。すなわち、負荷を種類別に分類し、車両の動作状態または二次電池14の状態に応じて、負荷の種類毎に設定された条件に基づいて、負荷に対する電力の供給を制限または停止する。
【0046】
ステップS17では、暗電流監視装置11は、イグニッション(IG)がオフの状態にされたか否かを判定し、オフの状態にされたと判定した場合(ステップS17:Y)にはステップS18に進み、それ以外の場合(ステップS17:N)にはステップS23に進む。例えば、ユーザがエンジンを停止する操作を行ったことにより、イグニッションがオフの状態にされた場合には、暗電流監視装置11は、KEY SW25の状態を検出することにより、イグニッションがオフの状態にされたと判定してステップS18に進む。
【0047】
ステップS18では、暗電流監視装置11は、キーがシリンダから抜かれたことを示すKEY−OFF信号をKEY SW25から受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(ステップS18:Y)にはステップS19に進み、それ以外の場合(ステップS18:N)には同様の処理を実行する。
【0048】
ステップS19では、暗電流監視装置11は、ユーザがドアをロックしたことを示すドアロック信号を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(ステップS19:Y)にはステップS22に進み、それ以外の場合(ステップS19:N)にはステップS20に進む。
【0049】
ステップS20では、暗電流監視装置11は、LIN通信が途絶したか否かを判定し、LIN通信が途絶したと判定した場合(ステップS20:Y)にはステップS21に進み、それ以外の場合(ステップS20:N)にはステップS18に戻る。より詳細には、LIN通信が所定の時間(例えば、数分)以上途絶した場合には、Yと判定してステップS21に進むようにすることができる。
【0050】
ステップS21では、暗電流監視装置11は、エンジンECU12がマスタとして動作していないか否かを判定し、マスタとして動作していないと判定した場合(ステップS21:Y)にはステップS22に進み、それ以外の場合(ステップS21:N)にはステップS18に戻る。例えば、暗電流監視装置11は、LIN BUS31を介してエンジンECU12に対して問い合わせを行い、応答がない場合にはマスタとして動作していないと判定する。あるいは、暗電流監視装置11は、CAN BUS32を介してエンジンECU12に対して問い合わせを行い、応答がない場合にはマスタとして動作していないと判定する。もちろん、これら以外の方法でエンジンECU12がマスタとして動作していないか否かを確認するようにしてもよい。
【0051】
ステップS22では、暗電流監視装置11は、LIN BUS31のマスタに動作状態を移行し、ステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を実行する。例えば、ユーザがイグニッションをオフにし、ドアロックをした場合には、暗電流監視装置11は、マスタに動作状態を移行してステップS10に戻る。
【0052】
なお、ステップS18〜ステップS21の少なくとも1つを満たした場合に、ステップS22において暗電流監視装置11がマスタに移行するようにしてもよい。より詳細には、KEY−OFF信号を受信した場合、ドアロック信号を受信した場合、LIN通信が所定時間以上途絶した場合、エンジンECU12がマスタとして動作していないこと(エンジンECU12への問い合わせに対する応答がないこと)の少なくとも1つを検出した場合にステップS22に進んでマスタに移行するようにしてもよい。
【0053】
ステップS23では、エンジンECU12は、アイドリングストップシステム(ISS)が動作しているか否かを判定し、動作していると判定した場合(ステップS23:Y)にはステップS24に進み、それ以外の場合(ステップS23:N)にはステップS16に戻る。例えば、車両が走行中に信号待ち等で停車している場合には、アイドリングストップシステムが動作して、エンジンが停止されるので、その場合にはYと判定してステップS24に進む。
【0054】
ステップS24では、エンジンECU12は、二次電池状態検出装置13に対して、二次電池14の放電可能電力量Pを検出するように指示する。その結果、二次電池状態検出装置13は、二次電池14の放電可能電力量Pを検出し、LIN BUS31を介して通知する。
【0055】
ステップS25では、エンジンECU12は、ステップS24で検出した放電可能電力量Pと所定の閾値Thとを比較し、P<Thか否かを判定する。その結果、P<Thであると判定した場合(ステップS25:Y)にはステップS27に進み、それ以外の場合(ステップS25:N)にはステップS24に戻って同様の処理を繰り返す。なお、閾値Thとしては、スタータモータによるエンジンの始動が可能な下限の放電可能電力量を設定することができる。もちろん、当該値に所定のマージンを含ませるようにしてもよい。
【0056】
ステップS26では、エンジンECU12は、アイドリングストップシステムが停止されたか否かを判定し、停止されたと判定した場合(ステップS26:Y)にはステップS16に戻って同様の処理を実行し、それ以外の場合(ステップS26:N)にはステップS24に戻って同様の処理を実行する。例えば、信号待ちの状態において、信号が青に変わった場合には、ユーザがブレーキペダルから足を離すので、その場合にはYと判定してステップS16に戻る。
【0057】
ステップS27では、エンジンECU12は、エンジンを始動させる処理を実行させる。具体的には、図示しないスタータモータを制御して、エンジンを始動させる。
【0058】
ステップS28では、エンジンECU12は、エンジンが始動したか否かを判定し、エンジンが始動したと判定した場合(ステップS28:Y)にはステップS16に戻って同様の処理を実行し、それ以外の場合(ステップS28:N)にはステップS29に進む。例えば、ステップS27の処理によって、エンジンが始動した場合にはステップS16に戻り、エンジンが始動しない場合にはステップS29に進む。
【0059】
ステップS29では、エンジンECU12は、エンジンの始動ができない旨をユーザに通知し、処理を終了する。
【0060】
つぎに、
図6を参照して、
図5のステップS10に示す「マスタ暗電流監視処理」の詳細を説明する。
図6に示す処理が実行されると、以下のステップが開始される。
【0061】
ステップS50では、暗電流監視装置11は、LIN BUS31を介して二次電池状態検出装置13を制御し、二次電池14の状態を検出させる。この結果、二次電池状態検出装置13は、例えば、二次電池14をパルス放電させ、そのときの電圧、電流、および、温度を測定し、測定したこれらの値に基づいて、二次電池14の状態(例えば、放電可能電力量、SOC、SOH、SOF等)を検出し、暗電流監視装置11に通知する。なお、検出の頻度としては、エンジンECU12による検出の頻度よりも低く設定する。例えば、1時間から数時間に1回の頻度とする。
【0062】
ステップS51では、暗電流監視装置11は、ステップS50において検出された二次電池14の状態に応じて、負荷に対する電力の供給の制限が必要か否かを判定し、制限が必要と判定した場合(ステップS51:Y)にはステップS52に進み、それ以外の場合(ステップS51:N)にはステップS54に進む。例えば、二次電池14の放電可能電力量が所定の閾値未満になった場合にはYと判定してステップS52に進む。
【0063】
ステップS52では、暗電流監視装置11は、二次電池14の状態に応じた負荷を選択する。例えば、複数の閾値Th1,Th2,Th3(Th1>Th2>Th3)を準備し、放電可能電力量をPとするとき、P<Th1となった場合には、優先順位が低い負荷(例えば、シートヒータ等)に対する電源の供給を制限し、P<Th2となった場合には優先順位が次に低い負荷(例えば、エアコン等)を選択し、P<Th3となった場合には優先順位が高い負荷(例えば、デフォガ等)を選択する。なお、以上では閾値が3つの場合の例であるが、2つ以下および4つ以上の閾値を設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0064】
ステップS53では、暗電流監視装置11は、ステップS52で選択した負荷への電源の供給を制限することで動作制限を行う。この結果、二次電池14の状態(例えば、放電可能電力量)に応じて負荷の動作が制限される。なお、負荷の動作を制限するのではなく、負荷を停止するようにしてもよい。より詳細には、負荷を種類別に分類し、負荷の種類毎に設定された条件と、二次電池14の状態に基づいて、負荷に対する電力の供給を制限または停止する。
【0065】
ステップS54では、暗電流監視装置11は、ドアがアンロック状態にされたか否かを判定し、アンロック状態にされたと判定した場合(ステップS54:Y)には
図5のステップS11の処理に復帰(リターン)し、それ以外の場合(ステップS54:N)にはステップS50の処理に戻って同様の処理を実行する。
【0066】
つぎに、
図7を参照して、
図5のステップS15に示す「スレーブ暗電流監視処理」の詳細を説明する。
図7に示す処理が実行されると、以下のステップが開始される。
【0067】
ステップS70では、暗電流監視装置11は、LIN BUS31を介して二次電池状態検出装置13を制御し、二次電池14の状態を検出させる。その結果、二次電池状態検出装置13は二次電池14の状態(例えば、放電可能電力量、SOC、SOH、SOF等)を検出し、暗電流監視装置11に通知する。なお、検出の頻度としては、エンジンECU12による検出の頻度よりも低く設定するが、
図6に示すマスタ暗電流監視処理における検出頻度よりも高く設定する(例えば、数分単位)。スレーブ暗電流監視処理が実行されている場合は、マスタ暗電流監視処理が実行されている場合よりも負荷の消費電力が多いからである。
【0068】
ステップS71では、暗電流監視装置11は、CAN BUS30,32を介して負荷の動作状況を検出する。この結果、各負荷の動作状況が分かるので、各負荷へ供給される電力を知ることができる。例えば、ユーザがエンジンを始動しない状態で、オーディオを視聴している場合には、オーディオに供給される電力が検出される。
【0069】
ステップS72では、暗電流監視装置11は、ステップS70で検出した二次電池14の状態と、ステップS71で検出した負荷の動作状況に応じて、エンジンの始動の必要性を判定し、エンジンを始動する必要があると判定した場合(ステップS72:Y)にはステップS73に進み、それ以外の場合(ステップS72:N)にはステップS74に進む。例えば、二次電池14の放電可能電力量と、動作中の負荷に供給される電力とから、負荷の動作可能時間を計算し、当該時間が所定の時間(例えば、1時間)未満となった場合には、エンジンの始動が必要と判定してステップS73に進む。なお、エンジン始動可能性な放電可能電力量に所定のマージンを加えた閾値を求め、放電可能電力量がこの閾値を下回った場合にエンジンの始動が必要と判定するようにしてもよい。
【0070】
ステップS73では、暗電流監視装置11は、エンジンを始動するように促すメッセージをユーザに対して提示する。例えば、「バッテリの残量が少なくなっています。エンジンを始動して下さい。」等の音声によるメッセージを図示しないスピーカから放音する。もちろん、表示部に前述のようなメッセージを表示するようにしてもよい。
【0071】
ステップS74では、暗電流監視装置11は、エンジンが始動されたか否かを判定し、エンジンが始動されたと判定した場合(ステップS74:Y)には
図5のステップS16の処理に復帰(リターン)し、それ以外の場合(ステップS74:N)にはステップS75に進む。
【0072】
ステップS75では、暗電流監視装置11は、ステップS70において検出された二次電池14の状態と、ステップS71において検出された負荷の動作状況に応じて、負荷に対する電力の供給の制限が必要か否かを判定し、制限が必要と判定した場合(ステップS75:Y)にはステップS76に進み、それ以外の場合(ステップS75:N)にはステップS70に戻る。例えば、二次電池14の放電可能電力量が所定の閾値未満になった場合にはYと判定してステップS76に進む。
【0073】
ステップS76では、暗電流監視装置11は、二次電池の状態に応じた負荷を選択する。例えば、複数の閾値Th1,Th2,Th3(Th1>Th2>Th3)を準備し、放電可能電力量をPとする場合、P<Th1となった場合には、優先順位が低い負荷(例えば、シートヒータ等)に対する電源の供給を制限し、P<Th2となった場合には優先順位が次に低い負荷(例えば、エアコン等)を選択し、P<Th3となった場合には優先順位が高い負荷(例えば、デフォガ等)を選択する。
【0074】
ステップS77では、暗電流監視装置11は、ステップS76で選択した負荷に対する電力の供給を制限することで動作を制限する。なお、負荷の動作を制限するのではなく、負荷を停止するようにしてもよい。より詳細には、負荷を種類別に分類し、負荷の種類毎に設定された条件と、二次電池14の状態に基づいて、負荷に対する電力の供給を制限または停止する。
【0075】
ステップS78では、暗電流監視装置11は、ドアがアンロック状態にされたか否かを判定し、アンロック状態にされたと判定した場合(ステップS78:Y)には
図5のステップS10の処理に戻り、それ以外の場合(ステップS78:N)にはステップS70の処理に戻る。
【0076】
以上の処理によれば、車両の停止中であっても、電源管理が実行されるので、例えば、二次電池14の充電状態に余裕がある場合でも負荷への電力の供給が遮断されてしまう事態を回避できる。
【0077】
また、車両の停止中は、消費電力が少ない暗電流監視装置11が電源管理を行うことから、二次電池14の消費を抑えることができる。
【0078】
また、本実施形態では、暗電流監視装置11とエンジンECU12がマスタ/スレーブの切り替えにより、電源管理を実行する主体を変更することから、既存の装置を流用することで実現することができる。
【0079】
また、マスタとスレーブを切り替えるための通信を実行しないことから、マスタ側に異常(例えば、通信エラーまたは動作不良)が生じた場合でも、スレーブ側が判断してマスタに切り替え、電源管理を実行することができる。
【0080】
また、エンジンの停止状態から、周辺機器に電力を供給する状態(イグニッションキーがACCの状態)にされた場合、暗電流監視装置11は、エンジンが始動されるまで暗電流の監視を継続する。これにより、ユーザがエンジンを始動せずに周辺機器を使用している際に、必要に応じて警告を発することで、エンジンの始動が不能になることを防止できる。
【0081】
(C)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、
図1に示す実施形態では、暗電流監視装置11、エンジンECU12、および、二次電池状態検出装置13がLIN BUS31で接続されるようにしたが、暗電流監視装置11とエンジンECU12をCAN BUS30によって接続し、CAN BUS31を介して暗電流監視装置11がエンジンECU12の動作状況を検出するようにしてもよい。
【0082】
また、
図8(A)に示すように、暗電流監視装置11とエンジンECU12をCAN BUS30によって接続し、暗電流監視装置11と二次電池状態検出装置13とをLI BUS31によって接続するようにしてもよい。また、
図8(A)に示すように、暗電流監視装置11がセンサ50を有するようにし、二次電池状態検出装置13のセンサ部13fが有しないセンサ(例えば、電解液温度センサ等)によって二次電池14の状態を異なる観点から検出するようにしてもよい。
【0083】
また、
図8(B)に示すように、暗電流監視装置11、エンジンECU12、および、二次電池状態検出装置13をLIN BUS31によって接続し、暗電流監視装置11に対してCAN BUS30を介して負荷(または、ECU)70〜72を接続するようにしてもよい。
【0084】
また、
図8(C)に示すように、暗電流監視装置11、エンジンECU12、および、二次電池状態検出装置13をCAN BUS30によって接続するようにしてもよい。
【0085】
また、以上の実施形態では、二次電池状態検出装置13が二次電池14の放電可能電力量を検出したが、暗電流監視装置11やエンジンECU12が推定するようにしてもよい。
【0086】
また、以上の実施形態では、エンジンECU12が停止中に、二次電池14の状態に応じて負荷への電力の供給を制限または停止するようにしたが、これ以外にも、例えば、エンジンを始動することで二次電池14を充電したり、ネットワーク経由でユーザの携帯電話に二次電池14の状態を通知して警告したり、ハイブリッド車等の場合には駆動用の高圧電源によって二次電池14を充電したりするようにしてもよい。
【0087】
また、以上の実施形態では、エンジンの停止により、エンジンECU12が停止されたことを検出した場合に、暗電流監視装置11が動作するようにしたが、これ以外にも、例えば、エンジンECU12が故障により停止した場合に、暗電流監視装置11がこれを検出して動作を開始するようにしてもよい。また、エンジンECU12が二次電池状態検出装置13を制御し二次電池14の状態を検出させる場合に、エンジンECU12による二次電池14の状態検出の精度が低下した場合には、エンジンECU12に替えて暗電流監視装置11が二次電池14の状態を検出するようにしてもよい。その場合、暗電流監視装置11がエンジンECU12と同じパラメータに基づいて二次電池14の状態を検出するようにしてもよいし、あるいは、検出精度を向上させるために、異なるパラメータに基づいて二次電池14の状態を検出するようにしてもよい。また、二次電池14の劣化が進行した場合に、二次電池14の消耗を防ぐために、消費電力の少ない暗電流監視装置11がエンジンECU12に代替して、二次電池14の状態を検出するようにしてもよい。