(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るワーク処理装置の一例としての研磨装置を示す図である。
図1に示すように、この研磨装置は、ロード/アンロード部2と、研磨部3と、洗浄部4と、を備えている。ロード/アンロード部2と研磨部3と洗浄部4とは、
図1に示すように、略矩形のハウジング1の内部において隔壁1a、1bによって区画されている。また、ハウジング1の内部又は外部において、研磨装置の各部の動作を制御する制御装置5が設けられている。被研磨部材は、半導体ウェハ、プリント基板、液晶基板、MEMS等の任意のワークであり得る。以下の説明では、被研磨部材を単に基板又はウェハと称する。
【0011】
ロード/アンロード部2は、1又は複数のウェハをストックするウェハカセットが載置されるフロントロード部20を備えている。このロード/アンロード部2には、フロントロード部20の並びに沿って走行機構21が敷設されており、この走行機構21上にウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー)22が設置されている。搬送ロボット22は走行機構21上を移動することによってフロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。また、この例では、搬送ロボット22(後述)に隣接してインラインの膜厚測定器80が設けられている。被研磨部材としてのウェハ(基板)は、研磨前および/または研磨後に、搬送ロボット22によりインライン膜厚測定器80に搬送され、ここでウェハの膜厚が測定される。
【0012】
研磨部3は、ウェハの研磨が行われる領域であり、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dを備えている。
図1に示すように、第1研磨ユニット3Aは、研磨面を有する研磨パッド10が取り付けられた第1研磨テーブル30Aと、ウェハを保持しかつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨するための第1トップリング31Aと、研磨パッド10に研磨液(例えばスラリー)やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための第1研磨液供給機構32Aと、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行うための第1ドレッサ33Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射する第1アトマイザ34Aと、を備えている。
【0013】
第2研磨ユニット3Bは、同様に、研磨パッド10が取り付けられた第2研磨テーブル30Bと、第2トップリング31Bと、第2研磨液供給機構32Bと、第2ドレッサ33Bと、第2アトマイザ34Bと、を備えている。第3研磨ユニット3Cは、同様に、研磨パッド10が取り付けられた第3研磨テーブル30Cと、第3トップリング31Cと、第3研磨液供給機構32Cと、第3ドレッサ33Cと、第3アトマイザ34Cと、を備えている。第4研磨ユニット3Dは、同様に、研磨パッド10が取り付けられた第4研磨テーブル30Dと、第4トップリング31Dと、第4研磨液供給機構32Dと、第4ドレッサ33Dと、第4アトマイザ34Dと、を備えている。
【0014】
ウェハWの研磨は次のようにして行われる。トップリング31Aおよび研磨テーブル30Aをそれぞれ回転させ、研磨液供給機構32Aから研磨パッド10上に研磨液(スラリー)を供給する。この状態で、下面にウェハWを保持したトップリング31Aは、ウェハWを研磨パッド10の研磨面10aに着地(接触)させ、押し付ける。ウェハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒の機械的作用と研磨液の化学的作用とにより研磨される。研磨終了後は、ドレッサ33Aによる研磨面10aのドレッシング(コンディショニング)が行われ、さらにアトマイザ34Aから高圧の流体が研磨面10aに供給されて、研磨面10aに残留する研磨屑や砥粒などが除去される。
【0015】
図1において、第1研磨ユニット3Aおよび第2研磨ユニット3Bに隣接して、第1リニアトランスポータ6が配置されている。第1リニアトランスポータ6は、4つの搬送位置(第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4)の間でウェハを搬送する機構である。また、第3研磨ユニット3Cおよび第4研磨ユニット3Dに隣接して、第2リニアトランスポータ7が配置されている。第2リニアトランスポータ7は、3つの搬送位置(第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7)の間でウェハを搬送する機構である。
【0016】
ウェハは、第1リニアトランスポータ6によって研磨ユニット3A,3Bに搬送される。第1研磨ユニット3Aのトップリング31Aは、そのスイング動作により研磨テーブル30Aの上方位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。したがって、トップリング31Aへのウェハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。同様に、第2研磨ユニット
3Bのトップリング31Bは研磨テーブル30Bの上方位置と第3搬送位置TP3との間を移動し、トップリング31Bへのウェハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3研磨ユニット3Cのトップリング31Cは研磨テーブル30Cの上方位置と第6搬送位置TP6との間を移動し、トップリング31Cへのウェハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4研磨ユニット3Dのトップリング31Dは研磨テーブル30Dの上方位置と第7搬送位置TP7との間を移動し、トップリング31Dへのウェハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
【0017】
第1搬送位置TP1に隣接して、搬送ロボット22からウェハを受け取るためのリフタ11が配置されている。ウェハは、リフタ11を介して搬送ロボット22から第1リニアトランスポータ6に渡される。リフタ11と搬送ロボット22との間に位置して、シャッタ(図示せず)が隔壁1aに設けられており、ウェハの搬送時にはシャッタが開かれて搬送ロボット22からリフタ11にウェハが渡されるようになっている。
【0018】
第1リニアトランスポータ6と、第2リニアトランスポータ7と、洗浄部4との間にはスイングトランスポータ12が配置されている。第1リニアトランスポータ6から第2リニアトランスポータ7へのウェハの搬送は、スイングトランスポータ12によって行われる。ウェハは、第2リニアトランスポータ7によって第3研磨ユニット3Cおよび/または第4研磨ユニット3Dに搬送される。
【0019】
スイングトランスポータ12の側方には、図示しないフレームに設置されたウェハの仮置き台72が配置されている。この仮置き台72は、第1リニアトランスポータ6に隣接して配置されており、第1リニアトランスポータ6と洗浄部4との間に位置している。スイングトランスポータ12は、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、および仮置き台72の間を移動する。仮置き台72に載置されたウェハは、洗浄部4の第1搬送ロボット77によって洗浄部4に搬送される。上述した実施例では、各研磨ユニット3A−3D間でウェハが授受される際には、ウェハはトップリングから離脱され、リニアトランスポータ6,7を介して他の研磨ユニットに搬送されるが、研磨ユニット間のウェハの受け渡し機構は上述の例に限定されることなく、例えばウェハを保持したままトップリングが直接他の研磨ユニットに移動することによりウェハを搬送してもよい。
【0020】
洗浄部4は、研磨されたウェハを洗浄液で洗浄する一次洗浄機73および二次洗浄機74と、洗浄されたウェハを乾燥する乾燥機75と、を備えている。一次洗浄機73と二次洗浄機74との間には、第1搬送ロボット77が配置されている。第1搬送ロボット77は、ウェハを仮置き台72から一次洗浄機73に搬送し、さらに一次洗浄機73から二次洗浄機74に搬送するように動作する。二次洗浄機74と乾燥機75との間には、第2搬送ロボット78が配置されている。第2搬送ロボット78は、ウェハを二次洗浄機74から乾燥機75に搬送するように動作する。
【0021】
乾燥されたウェハは、搬送ロボット22により乾燥機75から取り出され、ウェハカセットに戻される。このようにして、研磨、洗浄、乾燥、および膜厚測定を含む一連の処理がウェハに対して行われる。
【0022】
制御装置5は、上述した研磨装置の各部の動作を制御することにより、ウェハ処理動作を制御する。制御装置5は、各種の設定データ及び各種のプログラムを格納したメモリ5Aと、メモリのプログラムを実行するCPU5Bと、を有する。メモリを構成する記憶媒体は、揮発性の記憶媒体及び/又は不揮発性の記憶媒体を含むことができる。記憶媒体は、例えば、ROM、RAM、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、フレキシブルディスクなどの任意の記憶媒体の1又は複数を含むことができる。メモリが格納するプログラムは、例えば、各搬送ロボットの搬送を制御するプログラム、各搬送ロボット内
部の給気量及び/又は排気量を制御するプログラム、各研磨ユニットの研磨処理を制御するプログラム、洗浄部の洗浄機及び乾燥機の各処理を制御するプログラム、膜厚測定装置の処理を制御するプログラムを含む。また、制御装置5は、研磨装置及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータのやり取りをすることができる。制御装置5は、供給量制御部724、エジェクタ732、切換弁754(後述)等の搬送ロボットの各部を制御する。なお、制御装置5、及び/又は、他の1又は複数の制御部が協働又は単独で、供給量制御部724、エジェクタ732、切換弁754等の搬送ロボットの各部を制御するようにしてもよい。
【0023】
図2は、洗浄部における搬送ロボットの配置を模式的に示す側面図である。ここでは、一次洗浄機73と二次洗浄機74との間に配置された第1搬送ロボット77を例に挙げて説明するが、二次洗浄機74と乾燥機75との間に配置された第2搬送ロボット78についても同様の配置である。一次洗浄機73と二次洗浄機74との間には、ロボットエリア700が設けられており、このロボットエリア700に第1搬送ロボット77が配置されている。ロボットエリア700の上部には、空気の導入部が設けられており、例えば、ファンフィルタユニット701を介して導入部から清浄空気が導入されるようになっている。一次洗浄機73は、上側洗浄モジュール73aと下側洗浄モジュール73bとを備え、二次洗浄機74は、上側洗浄モジュール74aと下側洗浄モジュール74bとを備えている。搬送ロボット77は、図示しない昇降機構により上下方向に移動し、上側洗浄モジュール73a、74aと下側洗浄モジュール73b、74bとにアクセスし、各モジュールにワークを搬入及び搬出可能に構成されている。第2搬送ロボット78の配置では、
図2中の一次洗浄機73、第1搬送ロボット77、二次洗浄機74が、それぞれ、二次洗浄機74、第2搬送ロボット78、乾燥機75に置き換わる。乾燥機75も、一次及び二次洗浄機と同様に、上側乾燥モジュールと下側乾燥モジュールとを備えている。なお、ここでは、各モジュール(洗浄機、乾燥機)が2段のモジュールを有する構成を例示したが、各モジュールの構成は例示の構成に限定されない。各モジュールの段数は1段又は3段以上であってもよく、一部のモジュールの段数が他のモジュールの段数と異なってもよい。
【0024】
図3は、第1実施形態に係る搬送ロボットの構成を模式的に示す断面図である。ここでは、第1搬送ロボット77を例に挙げて説明するが、第2搬送ロボット78についても同様の構成を有する。第1搬送ロボット77は、本体部702と、旋回部703と、第1アーム704と、第2アーム705と、エンドイフェクタ706とを備えている。第1搬送ロボット77は、外部環境からの水分や高湿度の空気の侵入を抑制ないし防止可能な密封性の高い空間を有する。この空間は、第1アーム704、第2アーム705、及び/又はエンドイフェクタ706により構成されるアーム側内部空間と、その内部空間に連通する旋回部703及び本体部702からなる本体側内部空間を含む。
【0025】
本体部702は、図示しない昇降手段及び回転手段により上下方向に移動及び水平方向に回転されるように構成されている。本体部702は、その内部に空間を有する中空部材で構成されており、旋回部703を受け入れるための開口部702aが設けられている。
【0026】
開口部702aにおいて、旋回部703と本体部702との間にはわずかな隙間702bが形成されている。第1アーム704の内部空間には、排気ユニット730(後述)と流体的に連通された排気ライン731が配置されている。排気ライン731の先端部には排気口731aが設けられ、この排気口731aから第1アーム704、第2アーム705、エンドイフェクタ706により構成されるアーム側内部空間内の空気を吸引するように構成されている。排気ライン731は、任意の固定手段で第1アーム704内に配置及び/又は固定される。
【0027】
エンドイフェクタ基端部706aの内部空間内には、気体供給ユニット720(後述)と流体的に連通された供給ライン722とその開口部である供給口723が設けられている。この供給口723からエンドイフェクタ基端部706aの内部空間にドライエア等の気体を供給する。供給された気体は、アーム側内部空間、本体側内部空間へと順次流れて行き、搬送ロボット77の内部空間全体をドライエア等の気体で満たす。
【0028】
アーム側内部空間内には、第2アーム705を回転するためのモータ(図示せず)、モータからの動力を伝達するためのプーリ等が配置されており、これらの構成がパーティクルの発生源となり得る。本実施形態では、エンドイフェクタ基端部706a内に気体が供給されるが、これによって搬送ロボット77の内部空間の気圧が外部の気圧より次第に高くなる可能性がある。この気圧の上昇を抑制するために排気口731aを、パーティクルの発生源となるアーム側内部空間に設け、アーム側内部空間の気体を排気して外部環境に対して負圧に保持することにより、パーティクルの外部への漏洩(第1搬送ロボット77からの発塵)を防止する。
【0029】
図4は、第2実施形態に係る搬送ロボットの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、本体側内部空間に、排気口731aが配置されており、排気口731aから本体側内部空間内の空気を吸引するように構成されている点である。
【0030】
本体側内部空間内には、旋回部703を回転するためのモータ(図示せず)、モータからの動力を伝達するためのプーリ等が配置されており、これらの構成がパーティクルの発生源となり得る。本実施形態では、パーティクルの発生源となる本体側内部空間内を排気して外部環境に対して負圧に保持することにより、パーティクルの外部への漏洩(第1搬送ロボット77からの発塵)を防止する。
【0031】
図3、
図4における、旋回部703は、本体部702の開口部702aに挿入され、本体部702に対して回転可能に支持されている。旋回部703は、図示しないモータからの動力により回転されるように構成されている。旋回部703は、内部空間を有する中空の部材であり、旋回部703の内部の空間が本体部702の内部の空間と流体的に連通し、本体側内部空間を構成している。
【0032】
第1アーム704は、旋回部703とともに回転するように旋回部703に固定されている。第1アーム704は、内部に空間を有する中空の部材であり、第1アーム704の内部空間が旋回部703の内部空間と流体的に連通している。第1アーム704は、上面及び下面にメンテナンス等のための開口部を有し、各開口部がカバー704a、704cによって閉鎖されている。各カバー704a、704cと各開口部との間には、Oリング704b、704dが配置されており、第1アーム704の内部の空間を密封するようになっている。この構成により、第1アーム704の開口部とカバーの隙間から外部環境の水分や高湿度の空気が侵入することを抑制ないし防止することができる。
【0033】
第2アーム705は、第1アーム704に対して旋回可能に取り付けられている。第2アーム705は、内部に空間を有する中空の部材であり、第2アーム705の内部空間と第1アーム704の内部空間とが流体的に連通している。第2アーム705は、上面及び下面にメンテナンス等のための開口部を有し、各開口部がカバー705a、705cによって閉鎖されている。各カバー705a、705cと各開口部との間には、Oリング705b、705dが配置されており、第2アーム705の内部の空間を密封するようになっている。この構成により、第1アーム704の開口部とカバーの隙間から外部環境の水分や高湿度の空気が侵入することを抑制ないし防止することができる。
【0034】
エンドイフェクタ706は、第2アーム705に対して旋回可能に取り付けられている。エンドイフェクタ706は、エンドイフェクタ基端部706aとエンドイフェクタ保持部706bとを備えている。エンドイフェクタ基端部706aは、内部に空間を有する中空部材であり、エンドイフェクタ基端部706aの内部空間が第2アーム705の内部空間と流体的に連通している。エンドイフェクタ保持部706bは、ワークを保持するための部材であり、その先端側及び基端側にそれぞれ、2つの爪部706c及び2つの爪部706dを有している。
図3、
図4では、1つの爪部706c及び1つの爪部706dを記載しているが、紙面奥側に他の爪部が存在する。これらの爪部706c、706dの間にワークが載置され、ワークの外周部が爪部706c、706dで支持及び保持されるようになっている。なお、爪部706c、706dの数及び配置は一例であり、任意の数及び配置の爪部を設けることができる。このエンドイフェクタ706は、ワークを複数の爪部の間に落とし込んで、複数の爪部の間にワークを保持する、いわゆる、落とし込みタイプのエンドイフェクタである。なお、エンドイフェクタ基端部706aにも、図示しない開口部を設け、Oリングを介してカバーで閉鎖するようにしてもよい。また、エンドイフェクタは、ワークを挟んで保持するハンドでもよい。
【0035】
第1搬送ロボット77は、隙間702bを除いて密封されており、第1搬送ロボット77の内部は水分や高湿度の空気の侵入を抑制ないし防止可能に実質的に密封されている。隙間702bは、上述した通り、第1搬送ロボット77内外の圧力の関係等によってはパーティクルの漏洩が生じる可能性がある箇所であるが、外部環境からの水分や高湿度の空気の侵入を抑制ないし防止できる程度には密封されている。なお、上記では、エンドイフェクタ、アーム等の開口部をOリングでシールする構成を例示したが、他のシール構造を採用してもよい。
【0036】
第1アーム704、第2アーム705、エンドイフェクタ706は、例えば、リンク接続され、旋回部703による第1アーム704の回転により、第2アーム705、エンドイフェクタ706が連動して回転しつつ前進又は後退するように構成されることが可能である。なお、第1搬送ロボット77の駆動機構は一例であり、任意の駆動機構を採用可能である。また、第1搬送ロボット77は、エンドイフェクタと1つのアーム(アームユニット)が連結される多関節ロボットであって、エンドイフェクタと1つのアームユニットの内部空間が流体的に連通している搬送装置であっても良い。また、3つ以上のアームを設けてもよい。
【0037】
(気体供給ユニット)
第1実施形態および第2実施形態に係る第1搬送ロボット77は、気体供給ユニット720を備えている。第1搬送ロボット77は、研磨処理後の基板を洗浄部に搬送するため、スラリー固着を抑制する目的で、ウェット状態の基板を搬送する場合がある。ウェット環境下での搬送では、第1搬送ロボット77の外部環境が高い湿度となり、課題で述べた理由により、第1搬送ロボット77内部も高湿度の状態になり易く、搬送ロボット内部で結露が発生する可能性がある。このため、気体供給ユニット720を設けて、第1搬送ロボット77の内部空間をドライエア等でパージすることにより、結露の発生を抑制ないし防止するようにする。
【0038】
気体供給ユニット720は、エンドイフェクタ706、第2アーム705、第1アーム704、旋回部703、及び/又は本体部702の内部空間に気体を供給する。気体供給ユニット720は、第1搬送ロボット77外部の気体供給源770からの気体を、第1搬送ロボット77の内部空間に直接導入する。気体供給ユニット720は、供給ライン721、722と、供給口723と、供給量制御部724とを備えている。供給量制御部724は、例えば、流量制御弁、開閉弁、オリフィス等の流量を制御可能な構成の少なくとも1つを含むことが可能である。供給ライン721は、ロボット外部の供給ライン710に接続されている。供給ライン710は、ドライエア(CDA)、窒素等の気体供給源77
0に接続されている。気体供給源770は、第1搬送ロボット77外部の気体供給源である。気体供給源770は、例えば、ワーク処理装置の既存のユーティリティラインとすることができる。ユーティリティラインとは、ワーク処理装置の運転に必要な電力、水、流体、及び/又は燃料を供給する配管である。この場合、ワーク処理装置の既存のユーティリティラインから気体を利用するため、気体の供給源を別途用意する必要がなく、配管の複雑化及び/又はコストアップを抑制し得る。供給ライン710、721、722の一部又は全部は、可撓性の配管によって構成することができる。各供給ライン710、721、722は、単一又は複数の配管から構成することができる。供給ライン722の途中には、供給量制御部724が設けられており、供給量制御部724により気体の供給量が調整可能となっている。供給ライン722は、本体部702の内部空間から、旋回部703、第1アーム704、第2アーム705の内部空間を通って延びており、エンドイフェクタ基端部706aの内部空間内にまで延びている。供給ライン722には、エンドイフェクタ基端部706aの内部空間内に開口する供給口723が設けられている。供給ライン710から供給される気体は、供給ライン721、722を通り、供給口723からエンドイフェクタ基端部706aの内部空間に供給される。エンドイフェクタ基端部706aの内部空間に供給された気体は、第2アーム705、第1アーム704、旋回部703のアーム側内部空間を通って、本体部702の本体側内部空間を満たす。この結果、搬送ロボット77の内部空間全体がパージされる。供給口723は、エンドイフェクタ706の内部空間に配置することに限定されず、アーム側内部空間内の他の位置、旋回部703、本体部702の何れの内部空間に配置しても良く、複数配置しても良い。なお、気体供給ユニット720の各構成は、任意の固定手段により、適宜、搬送ロボット77内に配置及び/又は固定される。
【0039】
ここで、供給量制御部724を設ける理由を説明する。ワーク処理装置の一例である半導体製造装置で使用される搬送ロボットは、通常、ISOクラス1〜2で定められる程度のクリーン度が求められる。この基準をクリアするため、パージする気体(ドライエア、窒素)の供給量は、所望の範囲に設定する必要がある。供給量が多過ぎる場合には、第1搬送ロボット77の内部空間の気圧が外部より高くなってしまい、パーティクルの漏洩原因となる。そこで、本実施形態では、供給量調整機構として供給量制御部724を採用し、供給量制御部724により、第1搬送ロボット77の内部空間で発生したパーティクルの拡散を抑制ないし防止可能とし、及び/又は、第1搬送ロボット77の内部空間から外部にパーティクルが漏洩することを抑制ないし防止可能とする、気体供給量に調整する。言い換えれば、供給量制御部724により、第1搬送ロボット77の内部から外部にパーティクルが漏洩する供給量未満に気体供給量を調整する。これにより、パーティクルの漏洩を抑制して所望のクリーン度を保持しつつ、第1搬送ロボット77の内部空間における結露を抑制ないし防止することができる。
【0040】
気体供給ユニット720により供給する気体の種類、温度、供給量は、搬送ロボット77の内部空間における結露を抑制ないし防止可能であり、かつ、第1搬送ロボット77からのパーティクルの発生(発塵)を抑制ないし防止可能に選択される。また、気体の供給量は、供給量制御部724により、第1搬送ロボット77の内部空間における結露を抑制ないし防止可能であり、かつ、第1搬送ロボット77からのパーティクルの発生を抑制ないし防止可能に、調整することができる。なお、供給量制御部724は、気体の供給量を可変にする場合には、制御弁を設けるようにし、可変にしない場合には、制御弁に代えて、オリフィスを設けるようにすることができる。この場合、外部から供給される気体の供給量を考慮し、所望の気体の供給量(搬送ロボットの内部の空間における結露を抑制ないし防止可能、かつ、搬送ロボットからのパーティクルの発生を抑制ないし防止可能な供給量)を供給できるようなオリフィスを選択または形成し、設置する。また、制御弁とオリフィスの両方を設けるようにしてもよい。この場合、気体の供給量の調整範囲、調整精度の自由度が向上し得る。
【0041】
また、外部環境の気圧に応じて、第1搬送ロボット77内への気体の供給をオン/オフ制御または供給量を変更することにより、第1搬送ロボット77からの発塵(パーティクルの漏洩)を抑制ないし防止してクリーン度を保ちつつ、結露を抑制するようにしてもよい。半導体製造装置内は、通常、搬送ロボットが設置されているロボットエリアとウェハを処理するモジュール内部で圧力が異なっている。ロボットエリアは気圧が高く(陽圧)、モジュール内部は、ロボットエリアよりも気圧が低い(陰圧)。搬送ロボット内部から発塵が発生するおそれが高いのは、外部環境の気圧に対しての搬送ロボット内部の負圧が確保できない場合である。従って、搬送ロボットがモジュールにアクセスするタイミングで気体の供給をオフ、または気体の供給量を低減することにより、外部環境の気圧に対しての負圧を確保することができ、搬送ロボットからの発塵の可能性を低減することができる。
【0042】
例えば、供給量制御部724に開閉弁を用いて、開閉弁により気体の供給をオン/オフすることにより、第1搬送ロボット77からの発塵を抑制ないし防止することができる。開閉弁は、例えば電磁弁であり、供給ライン721または722の流路上に配置される。この場合、第1搬送ロボット77がモジュールにアクセスするタイミング等の第1搬送ロボット77内の空間の気圧が外部環境の気圧よりも高くなるタイミングで、開閉弁を閉鎖(オフ)することにより、第1搬送ロボット77内の負圧を維持し、第1搬送ロボット77からの発塵を抑制ないし防止することができる。また、第1搬送ロボット77がモジュールにアクセスするタイミング等の第1搬送ロボット77内の空間の気圧が外部環境の気圧よりも高くなるタイミングで、供給量制御部724の開閉弁(電磁弁)の開度を変更して気体供給量を減少させることにより、第1搬送ロボット77内の負圧を維持し、第1搬送ロボット77からの発塵を抑制ないし防止することができる。
【0043】
図7は、外気環境の気圧に応じて気体供給量を制御するフローチャートである。この処理は、気体供給ユニット720による気体の供給中に、例えば制御装置5により実行される。気体供給ユニット720による気体の供給も、例えば制御装置5により実行される。
【0044】
ステップS11では、第1搬送ロボット77がモジュール(洗浄モジュール、乾燥モジュール)にアクセスするタイミングか否かが判断される。モジュールにアクセスするタイミングであるか否かの判断は、例えば、第1搬送ロボット77によるモジュールへのアクセス(基板の搬入または搬出を含む)を指示するタイミングに到達したことを、制御装置5が検知することにより行うことができる。第1搬送ロボット77によるモジュールへアクセスを指示すること、及び、そのタイミングの検知は、搬送プログラム(一例では、制御装置5に格納される)で行うことができる。
【0045】
ステップS11でモジュールにアクセスするタイミングであると判断された場合には、ステップS12に移行する。ステップS12では、モジュールにアクセスする際にモジュール内の気圧に対して第1搬送ロボット77内の負圧を維持するように、供給量制御部724により気体の供給量を減少又は気体の供給を停止する。その後、ステップS13に移行する。一方、ステップS11でモジュールにアクセスするタイミングと判断されなかった場合は、ステップS11を繰り返す。
【0046】
ステップS13では、第1搬送ロボット77がモジュールから離脱したか否かが判断される。ステップS13の処理は、モジュールから離脱したと判断されるまで繰り返される。モジュールから離脱したか否かの判断は、例えば、第1搬送ロボット77のエンドイフェクタ706がモジュールから離れ、モジュールのゲートバルブ(図示せず)が閉鎖されたことを検知することによって判断することができる。ステップS13において、モジュールから離脱したと判断された場合には、ステップS14に移行する。ステップS14で
は、供給量制御部724により気体の供給量を元の供給量まで増加させるか、あるいは、開閉弁を開放(オン)して気体の供給を再開する。
【0047】
(排気ユニット)
第1実施形態および第2実施形態に係る第1搬送ロボット77は、排気ユニット730を備えている。排気ユニット730は、第1搬送ロボット77内に外部環境の高湿度雰囲気が入り込んでしまった場合に、それを排気することで、高湿度雰囲気が第1搬送ロボット77内部で循環することを抑制ないし防止する機能を有する。
また、気体供給ユニット720により供給される気体によって、第1搬送ロボット77内部の気圧が上昇するため、排気ユニット730により、第1搬送ロボット77内部の排気を行うことで気圧の上昇を防ぐとともに、外部環境に対して負圧に保持することができる。負圧に維持することによって、第1搬送ロボット77内部のパーティクルが外部へ漏洩することを抑制ないし防止する機能を有する。排気ユニット730は、排気ライン731と、排気ライン731に設けられたエジェクタ732及びフィルタ733と、を備えている。排気ライン731の一方の側の先端部には排気口731aが設けられ、本体部702の本体側内部空間に開口している。なお、排気口731aは、旋回部703の本体側内部空間に配置してもよいし、第1アーム704、第2アーム705、及び/又はエンドイフェクタ706により構成されるアーム側内部空間に配置しても良い。また、本体部702の開口部702aの近傍や、各アームの開口部の近傍など、外部環境の高湿度雰囲気が入り込む可能性のある場所に複数配置しても良い。第1搬送ロボット77の各構成の内部空間が互いに連通している場合には、排気口731aを何れの構成に配置したとしても、互いに連通する内部空間全体(第1搬送ロボット77の内部空間全体)を排気することができる。排気ライン731は、他方の側においてエジェクタ732、フィルタ733を介して、外部の排気ライン740に接続されている。排気ライン740にはサイレンサ741が接続されており、サイレンサ741によって排気の騒音を低減するようになっている。エジェクタ732には、駆動流体供給ライン734が接続されており、気体供給ユニット720の供給ライン721から分岐した駆動流体供給ライン734から気体が供給されるようになっている。エジェクタ732は、駆動流体供給ライン734からの駆動流体としての気体の供給により、本体部702の本体側内部空間を排気するように構成されている。エジェクタ732で吸引された排気は、フィルタ733で濾過された後、サイレンサ741で消音され、排気される。各排気ライン731,740、駆動流体供給ライン734の一部又は全部は、可撓性の配管によって構成することができる。各排気ライン731,740、駆動流体供給ライン734は、単一又は複数の配管から構成することができる。排気ユニット730による排気量は、駆動流体供給ライン734からの駆動流体(気体)の供給量を調整することにより制御することができる。供給量の制御は、例えば、流量制御弁、開閉弁、オリフィス(図示省略)等で行うことができる。排気量の制御については、例えば、図示しない温度センサ、湿度センサ及び/又は気圧センサを用いて、第1搬送ロボット77の内部空間及び第1搬送ロボット77の外部環境の温度、湿度及び/又は気圧の検出値に基づいて、排気量の増減を行っても良い。また、搬送ロボット77の外部環境の気圧、及び/又は、排気量の増減に応じて、気体供給ユニット720による気体供給量を増減させても良い。なお、排気ユニット730の各構成は、任意の固定手段により、適宜、搬送ロボット77内に配置及び/又は固定される。
【0048】
第1搬送ロボット77の内部空間に図示しない温度センサ、湿度センサ及び/又は気圧センサを設け、温度、湿度及び/又は気圧の検出値に基づいて、気体供給ユニットによる気体供給量及び/又は排気ユニットによる排気量を制御するようにしてもよい。
また、第1搬送ロボット77の外部空間に設けられた図示しない温度センサ、湿度センサ及び/又は気圧センサの検出値と、第1搬送ロボット77の内部空間の各々のセンサ検出値との比較に基づいて、気体供給ユニットによる気体供給量及び/又は排気ユニットによる排気量を制御するようにしてもよい。
【0049】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る搬送ロボットの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態は、気体供給ユニット720が既存のチャック機構への気体供給ラインから気体の供給を受ける点が上記実施形態と異なる。その他の点は、上記実施形態と同様の構成であるので、相違点のみ説明し、他の構成の説明は省略する。
【0050】
本実施形態では、エンドイフェクタ706において、第1実施形態の爪部706dに代えて、チャック機構755を備える。このエンドイフェクタは、いわゆるエッジグリップ(チャック)タイプと呼ばれるエンドイフェクタである。チャック機構755は、駆動流体供給ユニット750から供給される気体により駆動される。チャック機構755は、押圧部材755cと、押圧部材755cに連結されたシャフト755bと、シャフト755bに接続されたシリンダ755aと、を備えている。シリンダ755aは、その内部の空間において往復移動可能なピストン(図示せず)を備え、ピストンにより内部の空間が2つの室に仕切られている。シャフト755bは、ピストンの往復移動により前進又は後進可能なように、ピストンに接続されている。シリンダ755aの一方の室には、前進側駆動ライン753aが接続され、他方の室には退避側駆動ライン753bが接続されている。前進側駆動ライン753a及び退避側駆動ライン753bが切換弁754を介して駆動ライン752に接続されている。切換弁754は、例えば、ソレノイドバルブである。駆動ライン752は、駆動ライン751を介して、外部の供給ライン710Aに接続されている。供給ライン710Aは、ドライエア(CDA)、窒素等の気体供給源770に接続されている。気体供給源770は、第1搬送ロボット77外部の気体供給源である。気体供給源770は、例えば、ワーク処理装置の既存のユーティリティラインとすることができる。各駆動ライン751、752、753a、753bの一部又は全部は、可撓性の配管によって構成することができる。各駆動ライン751、752、753a、753bは、単一又は複数の配管から構成することができる。切換弁754により駆動ライン752からの気体の供給が、前進側駆動ライン753a及び退避側駆動ライン753bの何れか一方に切り換えられることにより、シリンダ755aのピストンが前進又は後進し、シャフト755bに接続された押圧部材755cが前進又は後進する。
【0051】
チャック機構755による基板の把持及び解除は、以下のように行われる。基板がエンドイフェクタ706の爪部706c及び押圧部材755c上に載置されたとき、押圧部材755cはシリンダ755aにより前進され、基板が押圧部材755cにより爪部706cに向かって押圧され、基板が爪部706cと押圧部材755cの間で把持される。押圧部材755cがシリンダ755aにより後進されることにより、押圧部材755cによる基板の把持が解除される。
【0052】
本実施形態では、気体供給ユニット720は、チャック機構755に駆動流体としての気体を供給する駆動流体供給ユニット750(駆動ライン751)から気体の供給を受けるように構成されている。具体的には、気体供給ユニット720の供給ライン722が、チャック機構755に駆動流体としての気体を供給する駆動ライン751から分岐するように構成されている。この構成では、気体供給ユニット720は、チャック機構755に駆動流体(気体)を供給する駆動ライン751から気体の供給を受け、供給口723から第1搬送ロボット77の内部空間に気体を供給する。この実施形態によれば、チャック機構755用の既存の供給ラインから気体供給ユニット720が気体の供給を受けるので、結露抑制用の気体供給ユニット720のための気体供給源及び外部供給ラインを別途用意する必要がない。また、気体供給ユニット用の外部供給ラインを接続するための搬送ロボットの筐体への変更を必要としない。
【0053】
図6は、搬送ロボット内部の湿度変化を測定した実験例を示す。同図において、横軸は
時間を表し、左側縦軸は温度を表し、右側縦軸は湿度を表す。曲線C1、C2は、実施形態の搬送ロボットにおいて、気体供給ユニットにより搬送ロボットの内部空間に気体の供給をしつつ温度及び湿度の測定結果である。曲線C3、C4は、比較例に係る温度及び湿度の測定結果であり、搬送ロボットの内部空間に気体を供給する気体供給ユニットを設けない場合の測定例である。この実験では、測定開始から約4分後にハンドシャワーにより、1リットル/分の流量で1分間にわたり搬送ロボット全体に水をかけ、搬送ロボットの外部環境を高湿度とし搬送ロボットの内部空間の温度及び湿度の変化を測定した。同図の測定結果から分かるように、搬送ロボット内部空間に気体を供給しない比較例では、ハンドシャワー開始後に搬送ロボット内部空間の湿度が顕著に増加しているが、本実施形態に係る搬送ロボットでは、ハンドシャワー開始後の湿度の上昇が大幅に抑制されている。これは、本実施形態によれば、搬送ロボットの外部環境が高湿度である場合でも、搬送ロボット内部空間の湿度を抑制して、結露が発生し難い状態に保つことができることを示している。また、実施形態の搬送ロボットを繰り返し旋回運動させ、ロボットエリア内の雰囲気をパーティクルカウンタで測定した。この結果、搬送ロボット内部への気体供給を行わない現行の搬送ロボットと同程度のクリーン度が保たれることが確認された。
【0054】
上記実施形態で説明した搬送ロボットの構成は、搬送装置の一例であり、搬送装置は、エンドイフェクタ、アーム、旋回部、及び/又は本体部において内部空間を有する他の任意の構成を採用することができる。
【0055】
上記実施形態では、研磨装置の研磨部から洗浄部に基板を搬送する搬送ロボットの例を説明したが、上記実施形態は、部材の少なくとも一部の部材内部に空間を有する任意の搬送装置に適用可能である。つまり、上記実施形態は、任意のワーク処理装置(例えば、べベル研磨装置、めっき装置、ワーク洗浄装置)、その他の装置の搬送装置に適用可能であり、ワーク処理装置内、その他の装置内の任意の部分に配置される搬送装置に適用可能である。特に、ウェット環境下で搬送を行う搬送装置に好適に適用され得る。
【0056】
上記実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
第1形態によれば、本体部と、前記本体部に対して旋回自在に設けられる旋回部と、
前記旋回部に支持されるアームと、前記アームの先端部に設けられ、ワークを保持するエンドイフェクタと、を備え、さらに、前記エンドイフェクタのアーム側基部および/または前記アームの先端部のアーム側内部空間に気体を供給する気体供給ユニットと、前記アーム側内部空間と連通する本体側内部空間に設けられ、前記アーム側内部空間の気体を排気する排気ユニットと、を備える搬送装置が提供される。
【0057】
この形態によれば、前記アーム側内部空間に気体を供給することにより、前記アーム側内部空間と、前記アーム側内部空間と連通する前記本体側内部空間とを、供給された気体が通って満たされる。この結果、搬送ロボットの内部空間全体をパージすることができる。
また、前記アーム側内部空間に気体を供給することにより、前記アーム側内部空間の湿度を制御することができ、結露を抑制することができる。
また、前記アーム側内部空間の気体を排気する前記排気ユニットを設けることで、前記アーム側内部空間に外部環境の高湿度雰囲気が入り込んでしまった場合に、それを排気することで、高湿度雰囲気が搬送ロボット内部で循環することを抑制ないし防止することができる。更に、前記アーム側内部空間の気圧の上昇を防ぎ、負圧に維持することで、前記アーム側内部空間からのパーティクルの漏洩を抑制しつつ、結露を抑制することができる。前記アーム側内部空間は、前記本体側内部空間と流体的に連通しているので、前記アーム側内部空間を介して前記本体側内部空間にも気体を供給することができる。この場合、前記アーム側内部空間に加えて、前記本体側内部空間を含む搬送ロボット全体における結露を抑制することができる。また、前記アーム側内部空間を介して前記本体側内部空間の気
体を排気することができるので、搬送装置全体の負圧の維持が可能となり、搬送装置の内部空間からのパーティクルの漏洩を抑制することができる。
【0058】
前記排気ユニットは、前記本体側内部空間の気体を排気するように設けても良い。この形態によれば、前記本体側内部空間に外部環境の高湿度雰囲気が入り込んでしまった場合に、それを排気することで、高湿度雰囲気が搬送ロボット内部で循環することを抑制ないし防止することができる。また、前記本体側内部空間の気圧の上昇を防ぎ、負圧に維持することで、前記本体側内部空間からのパーティクルの漏洩を抑制しつつ、結露を抑制することができる。また、前記本体側内部空間を介して前記アーム側内部空間の気体を排気することができるので、搬送ロボット全体の負圧の維持が可能となり、搬送ロボットの内部空間からのパーティクルの漏洩を抑制することができる。
【0059】
第2形態によれば、第1形態の搬送装置において、アーム側内部空間に供給する気体の供給量を制御する供給量制御部を備え、前記供給量制御部は、搬送ロボットの外部環境の気圧または前記排気ユニットの排気量に応じて、アーム側内部空間への気体の供給のオン/オフ制御および/または供給量の制御を行う。前記気体供給ユニットは、前記気体の供給量を制御するための供給量制御部を有する。供給量制御部は、気体の供給量を可変にする場合には、制御弁を設け、エンドイフェクタのアーム側基部および/または前記アームの先端部の内部空間に供給する気体の供給量を精度良く調整することができる。
【0060】
また、可変にしない場合には、制御弁に代えて、オリフィスを設けるようにすることができる。この形態によれば、エンドイフェクタのアーム側基部および/または前記アームの先端部の内部空間に供給する気体の供給量をオリフィスにより適切に調整することができる。気体の供給源からの気体の供給量が一定である場合には、内部空間に供給する気体の供給量が所望の供給量になるようにオリフィスを設けることにより、気体の供給量を適切に調整することができる。この場合、制御弁を省略することも可能であり、コストダウンを図ることができる。なお、オリフィスと制御弁とを併用してもよく、その場合は、流量の調整範囲を拡大し、調整精度を向上し得る。以上より、供給量制御部を設けて気体の供給量を精度良く調整することで、搬送ロボットの内部空間における結露を抑制ないし防止可能、かつ、搬送ロボットの内部空間からのパーティクルの発生を抑制ないし防止可能な供給量で、気体の供給を行うことができる。
【0061】
第3形態によれば、第1又は2形態の搬送装置において、前記本体部は、昇降手段及び回転手段により、上下方向に移動及び水平方向に回転されるように構成される。
この形態によれば、前記本体部を含む搬送ロボットは、各モジュールが2段以上のモジュールを有する構成であっても、アクセスが可能となり、タクトタイムの短縮と、システム全体のフットプリントを縮小することができる。
【0062】
第4形態によれば、第1乃至3形態の何れかの搬送装置において、前記排気ユニットは、前記気体供給ユニットに流体的に接続されたエジェクタを備える。この形態によれば、気体供給ユニットからの気体をエジェクタの駆動流体として用い、エジェクタにより搬送装置内部空間の排気を行うことができる。エジェクタ駆動用の気体源を別途設けることなく、排気ユニットの簡略化を図ることができる。
【0063】
第5形態によれば、第1乃至4形態の何れかの搬送装置において、前記エンドイフェクタは、シリンダにより移動される押圧部材によってワークを押圧して保持するチャック機構を有し、前記気体供給ユニットは、前記シリンダへ供給される気体の一部を前記アーム側内部空間に供給する。この場合、チャック機構用の既存の気体供給経路を用いることで、気体供給ユニット用の気体供給源及び外部供給経路を別途用意する必要がない。また、気体供給ユニット用の外部供給経路を接続するために搬送装置の筐体に変更を加える必要
がない。
【0064】
第6形態によれば、第1乃至5形態の何れかの搬送装置であって、前記気体供給ユニットは、前記搬送装置内に配置された可撓性の配管を有する。この形態によれば、可撓性の配管によって、搬送装置における気体の入口及び出口の位置の設定の自由度を向上し得る。
【0065】
第7形態によれば、第1乃至6形態の何れかの搬送装置において、前記搬送装置は、ウェット環境下でワークを搬送するタイプである。この形態によれば、搬送装置の内部空間が高湿度の状態になり易いウェット環境下の搬送において、搬送装置の内部空間の結露を抑制することができる。
【0066】
第8形態によれば、第1乃至7形態の何れかの搬送装置において、前記気体供給ユニットは、ドライエア及び/又は窒素を含む気体を供給する。この形態によれば、ドライエア及び/又は窒素を含む気体により、搬送装置の内部空間の湿度を効果的に低減することができる。
【0067】
第9形態によれば、第1乃至8形態の何れかの搬送装置において、前記搬送装置は、ワーク処理装置内に配置され、前記ワーク処理装置のユーティリティラインに流体的に接続され、前記気体供給ユニットは、前記ユーティリティラインから前記気体の供給を受ける。この形態によれば、ワーク処理装置の既存のユーティリティラインから気体を利用するため、気体の供給源を別途用意する必要がなく、配管の複雑化及び/又はコストアップを抑制し得る。また、外部の気体供給源からの気体を直接、アーム側内部空間に導入するため、湿度の調整効果が高い。
【0068】
第10形態によれば、第1乃至9形態の何れかの搬送装置において、前記エンドイフェクタと少なくとも1つのアームユニットが連結される多関節ロボットであり、前記エンドイフェクタおよび前記少なくとも1つのアームユニットの内部空間は流体的に連通している。この形態によれば、何れかの内部空間に気体を導入すれば、前記内部空間が互いに流体的に連通していることにより、複数の前記内部空間に気体を供給することが可能となり、結露を抑制することができる。
【0069】
第11形態によれば、第1乃至10形態の何れかの搬送装置と、前記搬送装置により搬送される前記ワークを処理するワーク処理部と、を備える、ワーク処理装置が提供される。この形態によれば、ワーク処理装置の搬送装置において、上述した作用効果を奏する。
【0070】
第12形態によれば、第11形態のワーク処理装置において、前記搬送装置は、ウェット環境下でワーク処理を行う前記ワーク処理部に対してワークの受け渡しを行う。この形態によれば、搬送装置の内部空間が高湿度の状態になり易いウェット環境下でのワークの受け渡しにおいて、搬送装置の内部空間の結露を抑制することができる。
【0071】
第13形態によれば、ワークの搬送装置の制御方法であって、前記エンドイフェクタのアーム側基部および/または前記アームの先端部のアーム側内部空間に気体を供給する気体供給工程と、前記アーム側内部空間に供給する気体の供給量を制御する供給量制御工程と、前記アーム側内部空間および/または前記本体側内部空間の気体を排気する排気工程と、
を備え、前記供給量制御工程は、前記搬送装置の外部環境の気圧または前記排気工程の排気量に応じて、前記アーム側内部空間への気体の供給のオン/オフ制御および/または供給量の制御を行う制御工程を含む、方法が提供される。この形態によれば、第2形態と同様の作用効果を奏する。
【0072】
第14形態によれば、ワークの搬送装置の制御方法を実行するようにコンピュータを動作させるプログラムを記憶する不揮発性の記録媒体であって、前記搬送装置の外部環境の気圧または前記排気ユニットの排気量に応じて、前記アーム側内部空間への気体の供給のオン/オフ制御および/または供給量の制御を行うことを含む、プログラムを記憶する不揮発性の記録媒体が提供される。この形態によれば、第2形態と同様の作用効果を奏する。
【0073】
以上、いくつかの例に基づいて本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。