特許第6877961号(P6877961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877961
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20210517BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   B65D77/20 E
   B65D81/32 J
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-222637(P2016-222637)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-79947(P2018-79947A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栄 賢治
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−184716(JP,A)
【文献】 特開2016−159931(JP,A)
【文献】 特開2001−130651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部の上面に開口部を有し、前記開口部から外方向に延びたフランジ部を有する容器本体と、前記フランジ部の全域に亘って接着することで前記収容部を密封する可撓性シートの蓋材と、からなる包装容器であって、
前記容器本体は稜部によって収容部が仕切られ、
前記稜部は前記容器本体の対角線に沿って設けられ、前記稜部の少なくとも一端側に注
出口が設けられており、
前記蓋材には、注出口を形成するための開封線が綾部と交差するように設けられている、包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味料や飲料などの飲食品、化粧品、薬品、洗剤などで液状、ペースト状、粉状を呈したもの、及びこれらに小体積の固形物を混在したものを内容物として包装した包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な包装容器が提案され、市場に流通している。一例として、指でつまんで折り曲げ操作することにより、開封時に内容物で手が汚れない包装容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の容器は、比較的堅固で平坦なシート状の蓋の裏面にポケット部を有する可撓性容器体の周縁部が固着され、形成されている。また、蓋を折り曲げ易いようにハーフカット等を施した折り曲げ線が蓋の表面中央に形成されている。さらに、ポケット部に収容された内容物の注出を容易にするために、折り曲げ線の中心にはピラミッド状または円錐台状等の突起が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4185359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は蓋の材料として硬質材を用いているため、いくらハーフカット等が施してあったとしても折り曲げるのにある程度力が必要となる。そのため、力の弱い年寄りや子供などが内容物を注出しよう折り曲げ操作をした場合、勢い余って内容物が飛び出してしまう恐れがある。また、内容物に固形物が含まれる場合、注出の際に詰まりやすくなるといった問題もある。
【0006】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、力の弱い年寄りや子供などであっても手を汚さずに内容物を注出することができる包装容器を提供することを目的とする。また、内容物に固形物が含まれる場合であっても、注出の際に詰まりにくい包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、収容部の上面に開口部を有し、前記開口部から外方に延びたフランジ部を有する容器本体と、前記フランジ部の全域に亘って接着することで前記収容部を密封する可撓性シートの蓋材と、からなる包装容器であって、前記容器本体は稜部によって収容部が仕切られ、前記蓋材には、注出口を形成するための開封線が綾部と交差するように設けられている、包装容器である。
【0008】
このような構成によると、蓋材を可撓性シートにすることで、力の弱い老人や子供でも力を入れずに包装容器を折り曲げることができる。また、包装容器を折り曲げて内容物を注出することができるので、手を汚さずに内容物を注出させることができる。さらに、稜部と交差するように開封線を設けることにより、注出口を必要に応じて大きく設けることができる。これにより、固形物などが含まれる内容物であっても、詰まることなく内容物を注出させることができる。
【0009】
前記包装体においては、前記稜部が前記容器本体の対角線または本体の幅方向に沿って設けられ、前記稜部の少なくとも一端側に注出口が設けられていることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、折り曲げた際に収容部同士が触れ合い、互いに押し合い絞られるため、内容物をより注出しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、力の弱い年寄りや子供などであっても手を汚さずに内容物を注出することができる。また、内容物に固形物の大きさに応じて注出口の大きさを変えることができるため、注出の際に詰まりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る包装体を説明するための図面であって、(a)は斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)は平面図であり、(d)は側面図である。
図2】本発明に係る包装体の使用方法を説明するための図面であり、(a)は開封線を切り開くところを、(b)は内容物を抽出するところを、(c)は内容物を絞り出すところを、示した説明図である。
図3】本発明に係る包装体の他の実施形態を説明するための図面であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図4】包装体における開封用舌片および開封線についての他の実施形態を説明するための説明図である。
【0013】
以下、本発明を図面に基づき説明する。なお、図中、同一符号は同一名称物を示す。
【0014】
図1(a)に示すように、包装容器1は、合成樹脂製の容器本体10と、この容器本体10に溶着した蓋材20からなる。包装容器1は内容物として調味料や飲料などの飲食品、化粧品、薬品、洗剤などで液状、ペースト状、粉状を呈したもの、及びこれらに小体積の固形物を混在したものを密封収容するためのものである。
【0015】
容器本体10は、一対の凹部(本発明の収容部に相当。以下、単に「収容部11」という場合がある。)が形成され、一対の凹部は互いに間隔を置いて並設されている。そして、一対の凹部の向かい合う側壁13は相対する凹部に向かって延び、凹部同士が接続されている(図1(b)参照)。換言すると、容器本体の収容部11は、容器本体の幅全体にわたって延びるように設けられた稜部30によって仕切られている。また、稜部30は蓋材20に近接配置されている。
【0016】
本実施形態では、稜部30の一端側の側壁に外方向に突き出た突出部40が設けられている(図1(c)、(d)参照)。突出部40は稜部30を中心にほぼ線対称の形で両収容部11に跨るように設けられている。さらに、収容部11の周縁部には外方向に向かってフランジ部50が収容部11と一体形成されている。
【0017】
本実施形態にかかる容器本体10は、ポリエチレン等の可撓性を有する軟質合成樹脂シートから一体成型により形成される。軟質合成樹脂シートは単層であってもよいし積層されていてもよい。また、軟質合成樹脂シートは酸素や水蒸気等のガスバリア性を備えていることが好ましい。
【0018】
本実施形態においては、軟質合成樹脂シートを絞り加工することで容器本体10に成形することができる。また、絞り加工以外の成型方法としては、圧空成形(真空圧空成形、押出圧空成形、熱板圧空成形等)、真空成形、プレス成形法等の周知の成形方法を用いることができる。
【0019】
蓋材20は、容器本体10と同じく可撓性を有する軟質合成樹脂シートであり、容器本体10のフランジ部50と接着することで収容部11を密封する。また、蓋材20の一部には、フランジ部50と接着されていない開封用舌片60が設けられている。さらに、蓋材20には稜部30と交差するように開封線70が設けられており、開封線70にしたがって開封することで内容物を注出させるための注出口80が形成されるようになっている。なお、開封線70の形状は特に制限されないが、湾曲線であることが好ましい。開封線70を湾曲線にすることで、注出口80を大きくすることができる。
【0020】
本実施形態に係る蓋材20は、あらかじめ打抜き加工により形成されてもよいし、容器本体10のフランジ部50と接着した後、容器本体10とともに所定の形状に打ち抜き加工されてもよい。また、蓋材20に設けられた開封線70はあらかじめ軟質合成樹脂シートに形成していてもよいし、容器本体10と接着した後に形成してもよい。開封線70の形成方法としては、ハーフカットやレーザー加工などが挙げられる。
【0021】
本実施形態では、図1(c)に示すように、フランジ50と接着された蓋材20の周縁部と開封用舌片60とがvノッチのような形状(以下、単に「vノッチ」という。)をなしている。また、本実施形態においては、開封線70がvノッチの先端同士を結ぶように設けられている。なお、vノッチ形状以外にもU字形状や単なるくびれ形状であってもよい。
【0022】
本実施形態の包装容器1は上記のような構成であり、容器本体10の収容部11に内容物が収容され、容器本体10のフランジ部50と蓋材20が接着することで内容物が密封される。
【0023】
続いて、図2を参照しながら、本実施形態に係る包装容器1からの内容物の取り出し方法について説明する。収容部11に収容された内容物を取り出すには、蓋材20の開封用舌片60を指先で摘み、開封用舌片60を蓋材20の上面側に引き上げる(図2(a)参照)。すると、vノッチの先端に力が集中し、開封線70に沿って蓋材20が切り開かれる。開封線70の先端から始まるカットラインは開封線70にしたがって進み、突出部40上を通過し、開封線70のもう一端に到達する。これにより、注出口80ができる。
【0024】
次に、注出口80を上に向けたまま容器本体10を稜部30に沿って二つ折りに折り曲げる。二つ折りにすると、収容部11同士が互いに圧接することで押され、内容物が注出口80から押出される(図2(b)参照)。ここで、図1(d)に示すように、注出口80の底面は、フランジ部50から収容部11の底面に向かって傾斜している。そのため、内容物を注出する際に、内容物が予期せぬ方向に飛び散るのを防ぐことができる。最後に、収容部11全体が押しつぶされる程度にまで容器本体10を折り曲げることで、内容物をすべて絞り出すことができる。また、必要に応じて指でしごきながら内容物を絞り出してもよい(図2(c)参照)。
【0025】
以上説明したように、本実施形態に係る包装容器1は次のような効果を奏する。本実施形態に係る包装容器1は注出口80を予め形成してから絞り出す。そのため、絞り出す時に容器内部に圧力がかからず、内容物が飛散する恐れがない。また、本実施形態に係る包装容器1は可撓性を有する軟質合成樹脂フィルムであるため、少ない力でしごくことができ、しかも手を汚さずに内容物を最後まで絞り出すことができる。
【0026】
本発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば次のようにしてもよい。図3は本発明の他の実施形態を示す図面である。他の実施形態としては、稜線30を容器本体10の対角線上に設けていることを特徴とする。このような形状にすることで、容器本体1の角部を注出口80として用いることができる。そのため、別途突出部を形成しなくてもよい。なお、このとき、注出口80の底面が傾斜していることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明においては、図4(a)に示すように、開封用舌片60と開封線70を複数設けてもよい。また、図4(b)に示すように、左右で異なる位置に開封用舌片60と開封線70を複数設けてもよい。複数設けることで、注出口80を所望の大きさに変えることができる。これにより、内容物の抽出量を適宜調節したり、内容物が注出口80に詰まった場合でも注出口80を大きくすることで内容物を飛び散らせることなく再度注出したりすることができる。
【0028】
また、本発明においては、稜部30頂上と蓋材20を接着しても良い。これにより、収容部11を独立させ、収容部11ごとに異なる内容物を収容させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 包装容器
10 容器本体
11 収容部
13 側壁
20 蓋材
30 稜部
40 突出部
50 フランジ部
60 開封用舌片
70 開封線
80 注出口
図1
図2
図3
図4