(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板のめっき中にめっき装置に故障が発生すると、基板をめっき槽から取り出せない事態が起こりうる。特に、トランスポータの故障、めっき槽の故障、リンス槽の故障などが基板のめっき中に起こると、基板を次の工程に移動させることが実質的にできなくなる。結果として、基板は、めっき液中に浸漬されたまま、めっき槽内に放置される。基板が長時間めっき液に接触すると、基板に堆積した金属膜がめっき液によって溶解したり、変質してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、基板のめっき中にトランスポータやめっき槽などに故障が起きた場合に基板を救済することができるめっき方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、トランスポータで複数の基板を複数のめっき槽にそれぞれ搬送し、前記複数の基板を前記複数のめっき槽内のめっき液に浸漬させて該複数の基板をめっきし、前記トランスポータまたは後処理槽に故障が発生したことを検出し、前記複数のめっき槽内のめっき液を
排出し、リンス液の前記複数のめっき槽への供給および排出を繰り返して前記複数の基板をリンスし、その後、前記複数の基板を
リンス液中に浸漬させることを特徴とするめっき方法である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記複数のめっき槽ごとに予め設定されためっき時間が経過した順に前記複数のめっき槽内のめっき液を
排出し、前記複数の基板を
リンス液中に浸漬させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数のめっき槽は、複数のめっきセルと複数のオーバーフロー槽を備えており、前記めっき液の
排出後、前記
リンス液を前記複数のめっきセルから溢流させて前記複数のオーバーフロー槽に流入させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数のめっき槽内のめっき液を、めっき液リザーバに移送する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数のめっき槽から前記
リンス液を排出し、前記めっき液リザーバから前記複数のめっき槽にめっき液を供給する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記めっき液リザーバから前記複数のめっき槽にめっき液を供給した後に、前記複数のめっき槽内のアノードと前記複数の基板との間に逆電圧をかけることで、前記アノードの表面の酸化膜を取り除く工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記
リンス液は、純水、または脱気された純水であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様は、トランスポータで複数の基板を複数のめっき槽にそれぞれ搬送し、前記複数の基板を前記複数のめっき槽内のめっき液に浸漬させて該複数の基板をめっきし、前記複数の基板のめっき中に前記複数のめっき槽のうちのいずれかに故障が発生したことを検出し、前記故障が発生しためっき槽内のめっき液を
排出し、リンス液の前記めっき槽への供給および排出を繰り返して前記基板をリンスし、その後、前記基板を
リンス液中に浸漬させることを特徴とするめっき方法である。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記故障が発生しためっき槽内のめっき液を
リンス液で置換して基板を
リンス液中に浸漬させる一方で、他のめっき槽では基板のめっきを継続することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記めっき槽は、めっきセルとオーバーフロー槽を備えており、前記めっき液の
排出後、前記
リンス液を前記めっきセルから溢流させて前記オーバーフロー槽に流入させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記めっき槽内のめっき液を、めっき液リザーバに移送する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記めっき槽から前記
リンス液を排出し、
前記めっき液リザーバから前記めっき槽にめっき液を供給する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記めっき液リザーバから前記めっき槽にめっき液を供給した後に、前記めっき槽内のアノードと前記基板との間に逆電圧をかけることで、前記アノードの表面の酸化膜を取り除く工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記
リンス液は、純水、または脱気された純水であることを特徴とする。
【0011】
本発明の一
参考例は、めっき装置の動作を制御するためのプログラムがコンピュータにより実行されたときに、前記コンピュータが前記めっき装置に指令して上記めっき方法を実行させるプログラムが記録された記録媒体である。
【0012】
本発明の一
参考例は、複数のめっきセルおよび複数のオーバーフロー槽を有する複数のめっき槽と、複数の基板を前記複数のめっき槽に搬送するトランスポータと、前記複数のめっき槽でめっきされた前記複数の基板を後処理する後処理槽と、前記複数のめっき槽、前記トランスポータ、および前記後処理槽の故障を検出する故障検出器と、前記複数のめっき槽にそれぞれ接続された複数のめっき液供給ラインと、前記複数のめっき槽にそれぞれ接続された複数のめっき液排出ラインと、前記複数のめっき槽にそれぞれ接続された複数の保存液供給ラインを備えたことを特徴とするめっき装置である。
【0013】
本
参考例の好ましい態様は、前記複数のめっき槽にそれぞれ接続された複数のドレインラインをさらに備えたことを特徴とする。
本
参考例の好ましい態様は、前記複数の保存液供給ラインは前記複数のめっきセルにそれぞれ接続されており、前記複数のドレインラインは、前記複数のめっきセルおよび前記複数のオーバーフロー槽に接続されていることを特徴とする。
本
参考例の好ましい態様は、前記複数の保存液供給ラインにそれぞれ取り付けられた複数の保存液供給弁と、前記複数のドレインラインにそれぞれ取り付けられた複数のドレイン弁と、前記複数の保存液供給弁および前記複数のドレイン弁を操作する動作制御部をさらに備えたことを特徴とする。
本
参考例の好ましい態様は、前記複数のめっき液供給ラインおよび前記複数のめっき液排出ラインに接続されためっき液リザーバをさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の
参考例は、めっき装置と、前記めっき装置の動作データから特徴量データを抽出するエッジサーバと、前記特徴量データに基づいて前記めっき装置の故障を予測するコンピュータとを備えたことを特徴とするシステムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板のめっき中にトランスポータやめっき槽などに故障が起きた場合には、めっき槽内のめっき液は保存液に置換される。めっきされた基板は、めっき液の代わりに保存液に接触するので、基板上の金属膜の溶解や変質を防ぐことができる。さらに、本発明によれば、複数のめっき槽のうちのいずれかのみのめっき液を選択的に保存液に置換することができる。したがって、他のめっき槽では基板のめっきを継続することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、めっき装置の一実施形態を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、めっき装置1は、ウェーハ等の基板を収納したカセットを搭載する3台のロードポート2と、めっき装置1の各機器の動作を制御する動作制御部3と、めっき装置1の各機器の故障を検出する故障検出器7を備えている。さらに、めっき装置1は、処理前の基板のオリエンテーションフラットまたはノッチの位置を所定の方向に合わせるアライナ4と、処理後の基板を高速回転させて乾燥させるスピン・リンス・ドライヤ(SRD)6と、基板を基板ホルダに搭載するフィキシングステーション8と、基板を搬送する搬送ロボット10とを備えている。搬送ロボット10は、ロードポート2、アライナ4、スピン・リンス・ドライヤ6、およびフィキシングステーション8の間で基板を搬送することが可能に構成されている。
【0018】
なお、本明細書において「基板」の例としては、半導体基板、ガラス基板、プリント回路基板だけでなく、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子や微小機械素子、あるいは部分的に製作された集積回路を含む。また、基板は、例えば表面にニッケルあるいはコバルトを含有する層を有するものであってもよい。また、基板の形状は円形に限定されるものではなく、例えば、四角形や多角形であってもよい。
【0019】
めっき装置1は、基板ホルダが収容されるストッカ14、基板を純水等の洗浄液で前洗浄する前水洗槽(プリウェット槽)17、基板に形成されたシード層等の表面の酸化膜をエッチング除去するプリソーク槽18、表面がエッチングされた基板をリンスする第1リンス槽21、基板の表面をめっきする複数のめっき槽25、めっきされた基板をリンス液でリンスする第2リンス槽28、およびリンスされた基板から液体を除去するブロー槽29をさらに備えている。
【0020】
複数の基板ホルダは、鉛直姿勢でストッカ14内に並列に配置される。ブロー槽29は、エアを吹き付けることによって、基板ホルダで保持した基板の表面に残留した液滴を除去し乾燥させるように構成されている。基板は基板ホルダによって保持された状態で、前水洗槽17、プリソーク槽18、第1リンス槽21、めっき槽25、第2リンス槽28、およびブロー槽29の順に搬送される。以下の説明では、前水洗槽17、プリソーク槽18、第1リンス槽21、めっき槽25、第2リンス槽28、およびブロー槽29を総称して処理槽ということがある。特に、第2リンス槽28およびブロー槽29を、めっきされた基板の後処理を行うための後処理槽ということがある。
【0021】
複数のめっき槽25は、内部にめっき液を保持する複数のめっきセル31と、めっきセル31に隣接してそれぞれ配置された複数のオーバーフロー槽32を備えている。めっきセル31の数と、オーバーフロー槽32の数は同じである。めっき槽25は、内部にアノードが配置された電解めっき槽である。本実施形態では、全てのめっき槽25では1種類のめっき液が用いられている。めっき液は、各めっきセル31を溢流し、隣接するオーバーフロー槽32に流れ込むようになっている。基板を保持した基板ホルダは各めっきセル31内に設置され、めっき液に浸漬された状態で基板の電解めっきが行われる。めっき槽25の側方には、各めっきセル31内のめっき液を攪拌する攪拌パドル(後述する)を駆動するパドル駆動ユニット34が設けられている。一実施形態では、複数のめっき槽25は、基板に無電解めっきを行う複数の無電解めっき槽であってもよい。
【0022】
めっき装置1は、基板ホルダを搬送することができるトランスポータ40をさらに備えている(なお、トランスポータ40は、基板搬送装置ともいう)。このトランスポータ40は、ストッカ14、フィキシングステーション8、前水洗槽17、プリソーク槽18、第1リンス槽21、めっき槽25、第2リンス槽28、およびブロー槽29の間で基板ホルダ(および基板ホルダに保持された基板)を搬送するように構成されている。基板処理のスループットを向上させるために、トランスポータ40は、上流側トランスポータと下流側トランスポータから構成されてもよい。
【0023】
トランスポータ40は、水平方向に延びる移動機構41と、移動機構41によって水平方向に移動されるリフタ42と、リフタ42に連結されたアーム43とを備えている。アーム43とリフタ42は一体に水平方向に移動し、アーム43はリフタ42によって上昇および下降される。本実施形態では、リフタ42およびアーム43を水平方向に移動させる駆動源としてはサーボモータとラックピニオンの組み合わせが採用されている。
【0024】
図2はトランスポータ40のリフタ42およびアーム43を示す正面図である。リフタ42は、アーム43を上昇および下降させることが可能に構成されている。本実施形態では、アーム43を上昇および下降させる駆動源としてはサーボモータとラックピニオンの組み合わせが採用されている。基板ホルダ11は、アーム43に保持され、アーム43から吊り下げられる。
【0025】
アーム43は、基板ホルダ11を把持するハンド45を有している。ハンド45は、基板ホルダ11のハンガ11aを下方に押す2つのエアシリンダ45aと、基板ホルダ11のハンガ11aを支持するフック45bとを備えている。フック45bは2つのエアシリンダ45aの間に配置されている。フック45bは基板ホルダ11のハンガ11aを引っ掛ける形状を有している。
【0026】
ハンガ11aがフック45bに引っ掛けられた状態で、エアシリンダ45aがハンガ11aを下方に押すことで、基板ホルダ11はハンド45に把持される。ハンド45に把持された基板ホルダ11は、揺れ動くことなくトランスポータ40によって鉛直方向および水平方向に搬送される。ハンド45の構成は本実施形態に限定されず、基板ホルダ11を着脱可能に保持することが可能であれば他の構成が採用されてもよい。
【0027】
図3は、基板ホルダ11の模式図である。基板ホルダ11は、基板Wを挟むための第1保持部材51と第2保持部材52とを有している。第1保持部材51は、基板Wを支持する支持面51aを有している。第2保持部材52は、基板Wの周縁部に接触する第1シール突起52aと、第1保持部材51に接触する第2シール突起52bとを備えている。第1シール突起52aは基板Wと第2保持部材52との間の隙間を封止し、第2シール突起52bは第1保持部材51と第2保持部材52との間の隙間を封止することができる。第1シール突起52aおよび第2シール突起52bは、基板ホルダ11の内部に密閉空間を形成することができ、基板Wに接触する電気接点55はこの密閉空間内に配置されている。第2保持部材52は、基板Wのサイズよりやや小さい開口部52cを有している。基板Wのめっきされる面は、この開口部52cを通じて露出する。基板Wは、基板ホルダ11に保持されたまま、上述した各処理槽内で処理される。
【0028】
第2保持部材52は第1保持部材51に回転可能に連結されており、図示しないロック機構によって第2保持部材52は第1保持部材51にロックされる。
図3は、第2保持部材52は第1保持部材51にロックされた状態、すなわち基板ホルダ11が閉じた状態を示している。基板Wは第1保持部材51と第2保持部材52との間に挟まれることによって、基板ホルダ11に保持される。ロック機構の操作により第2保持部材52が第1保持部材51から解放されると、
図4に示すように、第2保持部材52は基板Wから離れることができ、基板Wを基板ホルダ11から取り出すことができる。
図4は基板ホルダ11が開いた状態を示している。
【0029】
次に、上記のように構成されためっき装置1の動作を説明する。まず、トランスポータ40のアーム43により、ストッカ14から鉛直姿勢の基板ホルダ11を取り出す。基板ホルダ11を把持したアーム43は、水平方向に移動して、フィキシングステーション8に基板ホルダ11を渡す。フィキシングステーション8は、基板ホルダ11を鉛直姿勢から水平姿勢に転換し、基板ホルダ11を開く(
図4において基板Wがない状態)。
【0030】
搬送ロボット10は、ロードポート2に搭載されたカセットから基板を1枚取り出し、アライナ4に載せる。アライナ4はオリエンテーションフラットまたはノッチの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット10は、基板をアライナ4から取り出し、フィキシングステーション8上の基板ホルダ11に挿入する。フィキシングステーション8は基板ホルダ11を閉じる(
図3参照)。
【0031】
次に、フィキシングステーション8は、基板ホルダ11を水平姿勢から鉛直姿勢に転換する。アーム43のハンド45は、この起立した状態の基板ホルダ11を把持し、トランスポータ40は前水洗槽17の上方位置まで基板ホルダ11を水平方向に移動させる。さらに、トランスポータ40のリフタ42は、基板ホルダ11とともにアーム43を下降させて、前水洗槽17内の所定の位置に基板ホルダ11をセットする。基板ホルダ11が基板を保持したまま、基板の前水洗(プリウェット)が行われる。基板の前水洗が終了した後、アーム43のハンド45は基板ホルダ11を把持し、リフタ42がアーム43を上昇させることで基板ホルダ11を前水洗槽17から引き上げる。
【0032】
トランスポータ40は、次にプリソーク槽18の上方位置まで基板ホルダ11を水平方向に移動させる。さらに、トランスポータ40のリフタ42は、基板ホルダ11とともにアーム43を下降させて、プリソーク槽18内の所定の位置に基板ホルダ11をセットする。基板ホルダ11が基板を保持したまま、基板の表面のエッチングが行われる。基板の表面のエッチングが終了した後、アーム43のハンド45は基板ホルダ11を把持し、リフタ42がアーム43を上昇させることで基板ホルダ11をプリソーク槽18から引き上げる。
【0033】
トランスポータ40は、次に第1リンス槽21の上方位置まで基板ホルダ11を水平方向に移動させる。さらに、トランスポータ40のリフタ42は、基板ホルダ11とともにアーム43を下降させて、第1リンス槽21内の所定の位置に基板ホルダ11をセットする。基板ホルダ11が基板を保持したまま、基板のリンスが行われる。基板のリンスが終了した後、アーム43のハンド45は基板ホルダ11を把持し、リフタ42がアーム43を上昇させることで基板ホルダ11を第1リンス槽21から引き上げる。
【0034】
トランスポータ40は、次に複数のめっき槽25のうちの1つの上方位置まで水平方向に基板ホルダ11を移動させる。さらに、トランスポータ40のリフタ42は、基板ホルダ11とともにアーム43を下降させて、めっき槽25のめっきセル31内の所定の位置に基板ホルダ11をセットする。基板ホルダ11が基板を保持したまま、基板のめっきが行われる。
【0035】
すべてのめっき槽25内に基板が配置されるまで、上述した前水洗、エッチング、およびリンスが同じようにして実行される。各基板は、予め設定されためっき時間が経過するまでめっき液に浸漬され、めっき時間の間、基板のめっきが実行される。めっき時間が経過したときに、基板ホルダ11に保持された基板はアーム43によってめっき槽25から取り出される。複数のめっき槽25に対して異なるめっき時間が設定されることもある。
【0036】
基板のめっきが終了した後、アーム43のハンド45は基板ホルダ11を把持し、リフタ42がアーム43を上昇させることで基板ホルダ11をめっきセル31から引き上げる。トランスポータ40は、第2リンス槽28の上方位置まで基板ホルダ11を水平方向に移動させる。さらに、トランスポータ40のリフタ42は、基板ホルダ11とともにアーム43を下降させて、第2リンス槽28内の所定の位置に基板ホルダ11をセットする。基板ホルダ11が基板を保持したまま、基板のリンスが行われる。基板のリンスが終了した後、アーム43のハンド45は基板ホルダ11を把持し、リフタ42がアーム43を上昇させることで基板ホルダ11を第2リンス槽28から引き上げる。
【0037】
トランスポータ40は、ブロー槽29の上方位置まで水平方向に基板ホルダ11を移動させる。さらに、トランスポータ40のリフタ42は、基板ホルダ11とともにアーム43を下降させて、ブロー槽29内の所定の位置に基板ホルダ11をセットする。ブロー槽29は、エアを吹き付けることによって、基板ホルダ11で保持した基板の表面に付着した液滴を除去し乾燥させる。ブロー処理が終了した後、アーム43のハンド45は基板ホルダ11を把持し、リフタ42がアーム43を上昇させることで基板ホルダ11をブロー槽29から引き上げる。
【0038】
アーム43は、水平方向に移動して、基板ホルダ11をフィキシングステーション8に渡す。フィキシングステーション8は、前述と同様にして、基板ホルダ11を開く。搬送ロボット10は、処理された基板を基板ホルダ11から取り出し、この基板をスピン・リンス・ドライヤ6に搬送する。スピン・リンス・ドライヤ6は基板を高速で回転させることで基板を乾燥させる。搬送ロボット10は、乾燥された基板をスピン・リンス・ドライヤ6から取り出し、ロードポート2のカセットに戻す。これによって、基板に対する処理が終了する。
【0039】
図5は、めっき槽25を示す図である。めっき槽25を含むめっき装置1は、クリーンルーム内に設置されている。
図5では、
図1に示す複数のめっき槽25のうちの4つのみが示されている。階下室には、めっき液供給装置60が設置されている。本実施形態では、各めっき槽25は、ウェーハなどの基板に銅を電解めっきするためのめっきユニットであり、めっき液供給装置60は、めっき槽25で使用されるめっき液に、少なくとも銅を含む粉体を供給するためのめっき液供給ユニットである。一実施形態では、基板の表面にめっきされる金属は、銅(Cu)以外に、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、Sn−Ag合金、またはコバルト(Co)であってもよい。
【0040】
各めっきセル31内には、アノードホルダー62に保持された不溶解アノード63が配置されている。さらに、めっきセル31の中において、不溶解アノード63の周囲には、中性膜(不図示)が配置されている。めっきセル31はめっき液で満たされており、めっき液はめっきセル31を溢流してオーバーフロー槽32に流れ込むようになっている。めっきセル31には、攪拌パドル65が配置されている。この攪拌パドル65は、基板Wと平行に往復運動してめっき液を攪拌するものであり、これにより、十分な銅イオンおよび添加剤を基板Wの表面に均一に供給することができる。
【0041】
ウェーハなどの基板Wは、基板ホルダ11に保持され、基板ホルダ11とともにめっき槽25のめっきセル31内のめっき液中に浸漬される。不溶解アノード63はアノードホルダー62を介してめっき電源68の正極に電気的に接続され、基板ホルダ11に保持された基板Wは、基板ホルダ11を介してめっき電源68の負極に電気的に接続される。めっき液に浸漬された不溶解アノード63と基板Wとの間に、めっき電源68によって電圧を印加すると、めっき液中で電気化学的な反応が起こり、基板Wの表面上に銅が析出する。このようにして、基板Wの表面が銅でめっきされる。
【0042】
動作制御部3は、基板Wを流れた電流の累積値から、めっき液に含まれる銅イオンの濃度を算定する機能を有している。基板Wがめっきされるにつれて、めっき液中の銅が消費される。銅の消費量は基板Wを流れた電流の累積値に比例する。したがって、動作制御部3は、電流の累積値から、めっき液中の銅イオン濃度を算定することができる。一実施形態では、めっき液中の銅イオンの濃度を測定する濃度測定器を少なくともいずれかのめっき槽25に設けてもよい。さらに、この濃度測定器により測定しためっき液中の銅イオン濃度に基づいて、新たにめっき液に補給すべき酸化銅の粉体量を定期的に算定し、算定された分量だけ、その都度、めっき液供給装置60において、酸化銅粉体をめっき液中に供給するようにしてもよい。
【0043】
めっき液供給装置60は、めっき液リザーバ70と、酸化銅粉体をめっき液リザーバ70に供給するフィーダー71を備えている。めっき液としては、硫酸、硫酸銅及びハロゲンイオンの他に、添加剤として、SPS(ビス(3−スルホプロピル)ジスルファイド)からなるめっき促進剤、PEG(ポリエチレングリコール)などからなる抑制剤、及びPEI(ポリエチレンイミン)などからなるレベラ(平滑化剤)の有機添加物を含んだ、酸性の硫酸銅めっき液が使用される。ハロゲンイオンとしては、好ましくは、塩化物イオンが用いられる。
【0044】
めっき槽25とめっき液供給装置60は、複数のめっき液供給ライン74aおよび複数のめっき液排出ライン76aによって接続されている。複数のめっき液供給ライン74aは、めっき液リザーバ70からめっき槽25のめっきセル31まで延びている。より具体的には、複数のめっき液供給ライン74aは、複数のめっきセル31の底部にそれぞれ接続されている。一実施形態では、めっき液供給ライン74aは複数のめっきセル31の側部にそれぞれ接続されてもよい。本実施形態では、複数のめっき液供給ライン74aは集合して、1本のメイン供給ライン74を形成しており、このメイン供給ライン74はめっき液供給装置60のめっき液リザーバ70に接続されている。
【0045】
めっき液供給ライン74aには、それぞれ、めっき液供給弁V1が取り付けられている。動作制御部3は、めっき液供給弁V1の動作を制御するように構成されている。めっき液供給弁V1は、めっき液の流量を調整することが可能な流量調整弁から構成されている。動作制御部3は、複数のめっき液供給弁V1を互いに独立に操作することが可能である。
【0046】
複数のめっき液排出ライン76aは、オーバーフロー槽32の底部からめっき液リザーバ70まで延びている。複数のめっき液排出ライン76aは、複数のオーバーフロー槽32の底部にそれぞれ接続されている。一実施形態では、めっき液排出ライン76aは複数のめっきセル31の側部にそれぞれ接続されてもよい。本実施形態では、複数のめっき液排出ライン76aは集合して、1本のメイン排出ライン76を形成しており、このメイン排出ライン76はめっき液供給装置60のめっき液リザーバ70に接続されている。複数のめっき液排出ライン76aには、めっき液排出弁V2がそれぞれ取り付けられている。めっき液排出弁V2は、めっき液の流量を調整することが可能な流量調整弁から構成されている。動作制御部3は、複数のめっき液排出弁V2を互いに独立に操作することが可能である。
【0047】
めっき液供給ライン74aを構成するメイン供給ライン74には、めっき液を移送するためのポンプ80と、ポンプ80の下流に配置された温度調整器81が設けられている。純水(DIW)をめっき液中に補充するため、純水供給ライン82がめっき液リザーバ70に接続されている。めっき槽25で使用されためっき液は、めっき液排出ライン76aを通じてめっき液供給装置60に送られ、めっき液供給装置60で酸化銅粉体が添加されためっき液は、めっき液供給ライン74aを通じてめっき槽25に送られる。ポンプ80は、めっき液をめっき槽25とめっき液供給装置60との間で常時循環させてもよく、または予め定められた量のめっき液を間欠的にめっき槽25からめっき液供給装置60に送り、酸化銅粉体が添加されためっき液をめっき液供給装置60からめっき槽25に間欠的に戻すようにしてもよい。
【0048】
動作制御部3は、めっき液供給装置60のフィーダー71に接続されている。めっき液中の銅イオン濃度が設定値よりも低下すると、動作制御部3は、補給要求値を示す信号をフィーダー71に送るように構成されている。この信号を受け、フィーダー71は、酸化銅粉体の添加量が補給要求値に達するまで酸化銅粉体をめっき液に添加する。動作制御部3は、プログラムに従って動作するコンピュータでもよい。
【0049】
めっき装置1は、複数のめっき槽25にそれぞれ接続された複数の保存液供給ライン85をさらに備えている。本実施形態では、保存液供給ライン85はめっきセル31の底部に接続されている。これら保存液供給ライン85には、保存液供給弁V3がそれぞれ取り付けられている。一実施形態では、保存液供給ライン85はめっきセル31の側部に接続されてもよい。保存液供給弁V3を開くと、保存液が保存液供給ライン85を通ってめっきセル31に供給される。
【0050】
保存液は、基板に形成された金属膜に化学反応を実質的に誘発せず、金属膜の状態を維持することができる不活性液である。具体的には、保存液は、基板に形成された金属膜を溶解および酸化させず、かつ少量の保存液がめっき液に混入しても基板のめっきに実質的に影響を与えない液体から構成される。保存液の例としては、純水(DIW)、めっき液と同一の成分を少なくとも含むpH4〜7の中性または弱酸性の液体に表層保護用の添加剤を含んだものが挙げられる。基板を銅でめっきする場合は、銅の酸化を防ぐために、保存液は、脱気された純水であることが好ましい。
【0051】
動作制御部3は、複数の保存液供給弁V3を互いに独立に操作することが可能である。例えば、複数の保存液供給弁V3のうちの1つを開くことで、その保存液供給弁V3に連通するめっきセル31のみに保存液を供給することができる。
【0052】
各めっき槽25に接続されているめっき液供給ライン74aとめっき液排出ライン76aとは、バイパスライン87で接続されている。バイパスライン87にはバイパス弁V4が取り付けられている。さらに、めっき装置1は、複数のめっき槽25にそれぞれ接続された複数のドレインライン89を備えている。各ドレインライン89は、各めっき槽25のめっきセル31およびオーバーフロー槽32の両方の底部に接続されている。これらドレインライン89には、ドレイン弁V5がそれぞれ取り付けられている。一実施形態では、各ドレインライン89は、各めっき槽25のめっきセル31およびオーバーフロー槽32の両方の側部に接続されてもよい。
【0053】
ドレイン弁V5を開くと、めっきセル31およびオーバーフロー槽32から保存液がドレインライン89を通じて排出される。動作制御部3は、複数のドレイン弁V5を互いに独立に操作することが可能である。例えば、複数のドレイン弁V5のうちの1つを開くことで、そのドレイン弁V5に連通するめっきセル31およびオーバーフロー槽32のみから保存液を排出することができる。
【0054】
さらに、めっき装置1は、複数のめっき槽25にそれぞれ接続された複数のフラッシングライン91を備えている。フラッシングライン91は、各めっきセル31の底部に接続されている。これらフラッシングライン91には、フラッシング弁V6がそれぞれ取り付けられている。一実施形態では、フラッシングライン91は、各めっきセル31の側部に接続されてもよい。フラッシング弁V6を開くと、フラッシング液がフラッシングライン91を通ってめっきセル31に供給される。動作制御部3は、複数のフラッシング弁V6を互いに独立に操作することが可能である。例えば、複数のフラッシング弁V6のうちの1つを開くことで、そのフラッシング弁V6に連通するめっきセル31のみにフラッシング液を供給することができる。
【0055】
さらに、めっき装置1は、複数のめっき槽25にそれぞれ接続された複数のリンス液供給ライン93を備えている。リンス液供給ライン93は、各めっきセル31の底部に接続されている。これらリンス液供給ライン93には、リンス液供給弁V7がそれぞれ取り付けられている。一実施形態では、リンス液供給ライン93は、各めっきセル31の側部に接続されてもよい。リンス液供給弁V7を開くと、リンス液がリンス液供給ライン93を通ってめっきセル31に供給される。動作制御部3は、複数のリンス液供給弁V7を互いに独立に操作することが可能である。例えば、複数のリンス液供給弁V7のうちの1つを開くことで、そのリンス液供給弁V7に連通するめっきセル31のみにリンス液を供給することができる。
【0056】
めっき装置1は、各処理槽およびトランスポータ40から送られてくる信号に基づいて、故障の発生を検出し、故障の発生を示すアラーム信号を発する故障検出器7を備えている。動作制御部3は、故障検出器7からアラーム信号を受けると、上述しためっき液供給弁V1、めっき液排出弁V2、保存液供給弁V3、およびバイパス弁V4を操作して、少なくとも1つのめっき槽25内のめっき液を保存液に置換する。めっきされた基板は、保存液中に浸漬され、基板に形成された金属膜の状態を維持することができる。本明細書において、めっき槽25内のめっき液を保存液に置換する動作は、めっき槽25からめっき液を排出し、その後めっき槽25内に保存液を供給する動作をいう。
【0057】
めっき槽25内のめっき液を保存液に置換する理由は次の通りである。基板のめっき中にめっき装置1に故障が発生すると、基板をめっき槽25から取り出せない事態が起こりうる。特に、トランスポータ40の故障、めっき槽25の故障、第2リンス槽28の故障などが基板のめっき中に起こると、基板を次の工程に移動させることが実質的にできなくなる。結果として、基板は、めっき液中に浸漬されたまま、めっき槽25内に放置される。基板が長時間めっき液に接触すると、基板に堆積した金属膜がめっき液によって溶解したり、変質してしまう。そこで、基板を救済するために、故障検出器7によって故障が検出された場合には、めっき槽25内のめっき液は保存液に置換される。めっき液を保存液に置換することが必要となる故障の具体例を以下に記載する。
【0058】
1.トランスポータ40の故障:
(i)ハンド
図2に示すハンド45の開位置および閉位置は、ハンドセンサ(図示せず)によって検出される。これらのハンドセンサは、ハンド45が所定の開位置に到達したとき、およびハンド45が所定の閉位置に到達したとき、ハンド検出信号を故障検出器7に送信する。故障検出器7は、設定時間内にハンド検出信号を受け取らなかった場合は、トランスポータ40の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
(ii)サーボモータ
アーム43を上下動させるサーボモータに過負荷が掛かった場合、またはアーム43を水平に移動させるサーボモータに過負荷が掛かった場合は、過負荷信号がサーボモータのドライバから故障検出器7に送信される。故障検出器7は、過負荷信号を受け取ると、トランスポータ40の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
(iii)アーム43の絶対位置消失
上記サーボモータがアーム43の絶対位置を消失すると、位置消失信号がサーボモータのドライバから故障検出器7に送信される。故障検出器7は、位置消失信号を受け取ると、トランスポータ40の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
【0059】
2.めっき槽25のクランプ機構の故障
めっき処理中に攪拌パドル65の揺動により基板ホルダ11が揺れないように、基板ホルダ11はめっきセル31にクランプ機構(図示せず)によって固定される。めっき処理後にクランプ機構がアンクランプ位置に移動し、基板ホルダ11を解放する。クランプ機構がアンクランプ位置に移動したとき、クランプ機構はアンクランプ信号を故障検出器7に送信する。故障検出器7は、設定時間内にアンクランプ信号を受け取らなかった場合は、めっき槽25のクランプ機構の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
【0060】
3.めっき電源68の故障
(i)めっき電圧
めっき槽25でのめっき処理中にめっき電源68は基板およびアノード63にめっき電圧を印加する。このめっき電圧が上限値を超えたことをめっき電源68が検出すると、めっき電源68は電圧エラー信号を故障検出器7に送信する。故障検出器7は、電圧エラー信号を受け取ると、めっき槽25のめっき電源68の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
(ii)通信
めっき処理を開始するときに、通信コマンドに対する応答信号を所定時間内に故障検出器7がめっき電源68から受け取らなかった場合は、故障検出器7は、めっき槽25のめっき電源68の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
【0061】
4.第2リンス槽28の故障
(i)第2リンス槽28内の液面レベル
第2リンス槽28は、その内部にリンス液(例えば純水)を注入し、めっきされた基板をリンス液中に浸漬させることで基板をリンスするように構成されている。第2リンス槽28は、液面を検出する上限レベルセンサ、高レベルセンサ、低レベルセンサの3つのレベルセンサ(図示せず)を備えている。上限レベルセンサ、高レベルセンサ、および低レベルセンサは、液面を検出すると、上限レベル検出信号、高レベル検出信号、および低レベル検出信号をそれぞれ発する。
故障検出器7は、上限レベル検出信号を受け取ると、第2リンス槽28の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
(ii)レベルセンサ
高レベルセンサから高レベル検出信号を受け取ったにもかかわらず、低レベルセンサから低レベル検出信号を受け取っていない場合は、故障検出器7は第2リンス槽28の故障、すなわち低レベルセンサの故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
(iii)リンス液の圧力
リンス液を第2リンス槽28に供給するためのリンス液供給ラインには圧力センサ(図示せず)が接続されている。この圧力センサはリンス液供給ライン内のリンス液の圧力を測定するように構成されている。リンス液の圧力が下限値未満であると、圧力センサは下限検出信号を故障検出器7に送信する。故障検出器7は、下限検出信号を受け取ると、第2リンス槽28の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
【0062】
5.ブロー槽29の故障
基板に吹き付ける気体(例えば窒素ガス)の圧力は、圧力センサによって測定される。気体の圧力が下限値未満であると、圧力センサは下限検出信号を故障検出器7に送信する。故障検出器7は、下限検出信号を受け取ると、ブロー槽29の故障を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する。
【0063】
動作制御部3は、上述したアラーム信号を受け取ると、めっき液供給弁V1、めっき液排出弁V2、保存液供給弁V3、およびバイパス弁V4を操作して、少なくとも1つのめっき槽25内のめっき液を保存液に置換する。以下、めっき槽25内のめっき液を保存液に置換する工程の実施形態を説明する。以下の説明では、第2リンス槽28およびブロー槽29を総称して後処理槽ということがある。
【0064】
図6は、故障発生後の動作の一例を示すフローチャートである。故障検出器7は、トランスポータ40、めっき槽25、第2リンス槽28、またはブロー槽29からの信号に基づいて故障を検出し、めっき装置の故障の発生を示すアラーム信号を動作制御部3に送信する(ステップ1)。動作制御部3は、めっき液供給弁V1、めっき液排出弁V2、保存液供給弁V3、およびバイパス弁V4を操作して、めっき槽25内のめっき液を保存液に置換する(ステップ2)。基板は、保存液中に浸漬される。めっき液の保存液への置換は、予め設定されためっき時間が経過した後、すなわち基板のめっきが完了した後に実行されてもよい。
【0065】
トランスポータ40が正常に機能する場合は、基板をめっき槽25から取り出す(ステップ3)。トランスポータ40が故障している場合は、手で基板をめっき槽25から取り出してもよい。めっき装置1が故障から復旧した後(ステップ4)、動作制御部3は、めっき液供給弁V1、めっき液排出弁V2、保存液供給弁V3、およびバイパス弁V4を操作して、めっき槽25内の保存液をめっき液に置換する(ステップ5)。めっき槽25は、次の基板のめっきに使用することができる(ステップ6)。
【0066】
保存液への置換によりアノード63の表面が酸化されるおそれがある場合、めっき液に戻した後にアノード63と基板との間に逆電圧をかけることで、アノード63の表面の酸化膜を取り除いてもよい。めっき槽25にめっき液を戻した後、めっき槽25内に留まっていた基板のめっきを再度実行してもよい。その場合、めっき槽25にめっき液を戻した直後に、一旦アノード63と基板との間に逆電圧をかけて、アノード63の表面の酸化膜を取り除いた後にめっき再処理を行ってもよい。具体的には、めっき槽25内に留まっていた基板の前回めっきの中断直後または終了直後からの経過時間を計算し、その経過時間の間に溶解したと想定される膜厚、および目標膜厚に到達するためのめっき時間やめっき電流等のレシピ条件を設定してめっき再処理を行うことができる。
【0067】
なお、めっき槽25内に留まっていた基板の前回めっきの中断直後または終了直後からの経過時間の間に溶解したと想定される膜厚は、基板の膜種により異なりうる。このため、例えば、基板の種類と、経過時間と、その間に溶解したと想定される膜厚との関係を示すデータベースを動作制御部3の記憶部に予め保存しておき、このデータベースを使用してレシピ条件を設定してもよい。
【0068】
基板のめっきは、予め設定されためっき時間が経過したときに完了する。基板のめっき時間は、めっき槽25ごとに予め設定されている。めっき時間は、めっき槽25ごとに異なっていてもよい。複数の基板は、複数のめっき槽25にある程度の時間差を伴って投入される。したがって、通常は、基板のめっきが完了する時間は、めっき槽25ごとに異なる。
【0069】
複数のめっき槽25のうちの1つにのみ故障が発生した(例えば、めっき電源68またはクランプ機構が故障した)場合は、そのめっき槽25内のみのめっき液が保存液に置換される。そのめっき槽25が基板のめっきを継続することが可能である場合は、そのめっき槽25について予め設定されためっき時間が経過した後(すなわち、そのめっき槽25内の基板のめっきが完了した後)に、めっき液は保存液に置換される。
【0070】
全てのめっき槽25内のめっき液を保存液に置換することが必要な場合(例えば、トランスポータ40、第2リンス槽28、またはブロー槽29が故障した場合)は、めっき槽25ごとに予め設定されためっき時間が経過した順(すなわち、基板のめっきが完了した順)に、それぞれのめっき槽25内のめっき液は保存液に置換される。このような動作によれば、全てのめっき槽25において全ての基板のめっきを完了させることができる。
【0071】
次に、めっき槽25内のめっき液を保存液に置換する工程の一例について、
図7に示すフローチャートを参照して説明する。動作制御部3は、めっき液供給弁V1およびめっき液排出弁V2を操作して、めっき液をめっき槽25とめっき液リザーバ70との間で循環させる(ステップ1)。より具体的には、めっき液は、めっき液リザーバ70からめっきセル31に移送され、めっきセル31を溢流してオーバーフロー槽32内に流入し、オーバーフロー槽32からめっき液リザーバ70に戻される。一実施形態では、めっき液供給弁V1およびめっき液排出弁V2を開いて、めっき液をめっき槽25とめっき液リザーバ70との間で連続的に循環させる。他の実施形態では、めっき液排出弁V2を全開にしたまま、めっき液供給弁V1を所定の時間間隔で開閉させることにより、めっき液をめっき槽25とめっき液リザーバ70との間で間欠的に循環させる。
【0072】
動作制御部3は、アラーム信号を受信すると、めっき液供給弁V1を閉じ、次いでバイパス弁V4を開く。複数のめっき槽25のうちのいずれかからアラーム信号を受けた場合は、他のめっき槽25へのめっき液の流量の増加を防止するために、動作制御部3は、めっき液供給弁V1を1秒〜60秒かけて徐々に閉じることが好ましい。めっき液供給弁V1が閉じられると、めっき槽25へのめっき液の供給は停止される。めっき液排出弁V2は全開とされる。めっきセル31内のめっき液はバイパスライン87を通ってめっき液排出ライン76aに流入する。したがって、めっきセル31およびオーバーフロー槽32内のめっき液はめっき液排出ライン76aを通ってめっき液リザーバ70に移送(排出)される(ステップ2)。
【0073】
めっきセル31内のめっき液の液面が低レベルにまで低下したことを、図示しない液面センサが検出した後、動作制御部3は、めっき液排出弁V2およびバイパス弁V4を閉じ、次いで保存液供給弁V3を開く。保存液は、保存液供給ライン85を通ってめっきセル31に供給される(ステップ3)。めっきセル31内のめっき液は保存液に置換され、めっきセル31内の基板は保存液に浸漬される。
【0074】
めっきセル31内の保存液の液面が高レベルにまで上昇したことを、図示しない液面センサが検出した後、動作制御部3はタイマーをスタートさせる(ステップ4)。保存液はめっきセル31を溢流してオーバーフロー槽32に流入する。タイマーがスタートしてから、予め設定されたオーバーフロー時間が経過したときに、動作制御部3は保存液供給弁V3を閉じる。これによって保存液のめっきセル31への供給が停止される(ステップ5)。
【0075】
保存液が純水の場合は、オーバーフロー時間の監視に代えて、保存液の導電抵抗がしきい値に達したときに保存液供給弁V3を閉じてもよい。しきい値は、例えば、1M〜18MΩの範囲から選択される。保存液が弱酸性の場合は、保存液のpHが設定範囲内(例:6〜7)になったときに保存液供給弁V3を閉じてもよい。保存液の使用量抑制のため、保存液を周期的に溢流させてもよい。例えば、1分間隔で数秒だけ保存液を溢流させてもよい。
【0076】
次に、保存液の代わりに、リンス液でめっき液を置換する一実施形態について、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。この実施形態では、めっき液は次のようにしてリンス液で置換される。動作制御部3は、めっき液供給弁V1およびめっき液排出弁V2を操作して、めっき液をめっき槽25とめっき液リザーバ70との間で連続的または間欠的に循環させる(ステップ1)。動作制御部3は、アラーム信号を受信すると、めっき液供給弁V1を閉じ、次いでバイパス弁V4を開く。上述したように、めっき液供給弁V1は徐々に閉じてもよい。めっき液供給弁V1が閉じられると、めっき槽25へのめっき液の供給は停止される。
【0077】
めっき液排出弁V2は全開とされる。めっきセル31内のめっき液はバイパスライン87を通ってめっき液排出ライン76aに流入する。したがって、めっきセル31およびオーバーフロー槽32内のめっき液はめっき液排出ライン76aを通ってめっき液リザーバ70に移送(排出)される(ステップ2)。めっきセル31内のめっき液の液面が低レベルにまで低下したことを、図示しない液面センサが検出した後、動作制御部3は、めっき液排出弁V2およびバイパス弁V4を閉じ、次いでリンス液供給弁V7を開く。リンス液は、リンス液供給ライン93を通ってめっきセル31に供給され、基板はめっきセル31内でリンス液によりリンスされる(ステップ3)。
【0078】
めっき槽25のめっきセル31内での基板のリンスは、第2リンス槽28での基板のリンスと同じようにして実行される。具体的には、リンス液供給弁V7を開いてリンス液をめっきセル31に供給し、めっきセル31をリンス液で満たす。基板ホルダ11に保持された基板はリンス液でリンスされる。その後、ドレイン弁V5を開いてめっきセル31(およびオーバーフロー槽32)からリンス液を排出する。このようなリンス液の供給および排出を複数回繰り返す。
【0079】
基板のリンスが終了した後、リンス液供給弁V7を開いて再度リンス液をめっきセル31に供給する。めっきセル31がリンス液で満たされた後、リンス液供給弁V7が閉じられる。基板はリンス液に浸漬された状態に維持される(ステップ4)。リンス液としては、純水、より好ましくは脱気された純水が使用される。この実施形態では、リンス液は、保存液としても機能する。
【0080】
次に、めっき槽25内の保存液をめっき液に置換する工程の一例について、
図9に示すフローチャートを参照して説明する。基板ホルダ11がめっき槽25から取り出された後、動作制御部3は、ドレイン弁V5を開いてめっきセル31およびオーバーフロー槽32から保存液を排出する(ステップ1)。めっきセル31内の保存液の液面が低レベルにまで低下したことを、図示しない液面センサが検出した後、動作制御部3は、ドレイン弁V5を閉じ、これによって保存液の排出が停止される(ステップ2)。
【0081】
次いで、動作制御部3は、フラッシング弁V6を開いて、フラッシング液をめっきセル31内に供給する(ステップ3)。めっきセル31はフラッシング液によって洗浄される。フラッシング弁V6を開くと同時に、ドレイン弁V5を開いてもよいし、またはフラッシング弁V6を開いた後にドレイン弁V5を開いてもよい。フラッシング液によるめっきセル31の洗浄は、省略してもよい。
【0082】
動作制御部3は、めっき液供給弁V1およびめっき液排出弁V2を開き、めっき液リザーバ70からめっきセル31へのめっき液の供給を開始する(ステップ4)。他のめっき槽25で基板のめっきが行われている場合には、他のめっき槽25へのめっき液の流量の減少を防止するために、動作制御部3は、めっき液供給弁V1を1秒〜60秒かけて徐々に開くことが好ましい。
【0083】
めっきセル31内のめっき液の液面が高レベルにまで上昇したことを、図示しない液面センサが検出した後、めっき槽25とめっき液リザーバ70との間でめっき液の循環が開始される(ステップ5)。さらに、めっき液の循環流量が調整され、さらにめっき液の成分調整が行われる(ステップ6)。
【0084】
本実施形態によれば、複数の保存液供給ライン85が複数のめっき槽25にそれぞれ接続されている。このような配置によれば、複数のめっき槽25ごとに個別にめっき液を保存液に置換することができる。例えば、複数のめっき槽25のうちのいずれか1つに故障が発生した場合は、そのめっき槽25内のめっき液を保存液に置換し、その一方で他のめっき槽25では基板のめっきを継続することができる。
【0085】
保存液供給ライン85およびドレインライン89は、めっき液供給ライン74aおよびめっき液排出ライン76aとは別に設けられているので、保存液はめっき液に混入せず、めっき液を希釈しない。さらに、めっき槽25ごとにオーバーフロー槽32が設けられているので、保存液をめっきセル31から溢流させても、保存液は他のめっき槽25中のめっき液に混入しない。
【0086】
トランスポータ40および後処理槽(第2リンス槽28、ブロー槽29)のいずれか1つに故障が発生した場合は、すべての基板をめっき槽25から取り出すことはできない。よって、全てのめっき槽25内のめっき液が保存液に置換され、全てのめっき槽25内の基板は保存液に浸漬される。この場合は、複数の基板は、めっき槽25ごとに予め設定されているめっき時間が経過するまで複数のめっき槽内でそれぞれめっきされ、そして、めっき時間が経過した順に、めっき液は保存液に置換される。通常、基板の種類に従って異なるめっき時間がめっき槽25に設定される。本実施形態によれば、複数の保存液供給ライン85が複数のめっき槽25にそれぞれ接続されているので、異なるタイミングでめっき槽25内のめっき液を保存液に置換することができる。
【0087】
トランスポータ40、めっき槽25などを含むめっき装置の動作は、動作制御部3によって制御される。本実施形態では、動作制御部3は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。
図10は、動作制御部3の構成を示す模式図である。動作制御部3は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置110と、記憶装置110に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)などの処理装置120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置110に入力するための入力装置130と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置140と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置150を備えている。
【0088】
記憶装置110は、処理装置120がアクセス可能な主記憶装置111と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置112を備えている。主記憶装置111は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置112は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0089】
入力装置130は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み込むための記録媒体読み込み装置132と、記録媒体が接続される記録媒体ポート134を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み込み装置132の例としては、CDドライブ、DVDドライブなどの光学ドライブや、カードリーダーが挙げられる。記録媒体ポート134の例としては、USB端子が挙げられる。記録媒体に記録されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置130を介して動作制御部3に導入され、記憶装置110の補助記憶装置112に格納される。出力装置140は、ディスプレイ装置141、印刷装置142を備えている。印刷装置142は省略してもよい。
【0090】
動作制御部3は、記憶装置110に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。すなわち、動作制御部3は、故障検出器7からアラーム信号を受け取ると、上述した弁V1〜V7を選択的に操作し、めっきセル内のめっき液を保存液(またはリンス液)に置換するステップを実行する。これらステップを動作制御部3に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して動作制御部3に提供される。または、プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して動作制御部3に提供されてもよい。
【0091】
図11は、めっき装置の一実施形態を示す模式図である。トランスポータ40、めっき槽25、第2リンス槽28、またはブロー槽29が発した上述した信号は、故障検出器7に送られ、そこで故障検知が行われる。また、トランスポータ40、めっき槽25、第2リンス槽28、またはブロー槽29は、自身の動作データ(センサ測定データ、サーボモータの負荷データなど)を、動作制御部3に所定時間間隔ごとに、あるいは定常的に送信する。本実施形態では、動作制御部3の一部はプログラマブルロジックコントローラから構成されてもよい。動作データは、所定時間間隔ごとに、あるいは定常的に動作制御部3から無線モジュール211に送られ、さらに無線モジュール211から無線通信により無線モジュール212に送信される。
【0092】
無線モジュール212は、コンピュータから構成されたエッジサーバ213に接続されている。このエッジサーバ213は、トランスポータ40、めっき槽25、第2リンス槽28、およびブロー槽29の近くに配置されている。エッジサーバ213は、トランスポータ40、めっき槽25、第2リンス槽28、またはブロー槽29が発した上述した動作データから特徴量データを抽出することで、解析が容易なデータへと変換する。このようにすることでデータ容量を圧縮し、その後に、抽出された特徴量データを、ネットワークによって接続されているコンピュータ214に送信する。コンピュータ214は、特徴量データを蓄積しながら機械学習を行い、めっき装置1の故障を予測するように機能する。なお、無線モジュール211,212は例示であり、LANなどの有線通信によって動作制御部3とエッジサーバ213が接続されてもよい。同様に、
図11に示す「無線通信」は、有線通信であってもよい。
【0093】
コンピュータ214は、めっき装置1の故障を予測した場合には、オペレータに報知して、手動運転モードの場合には、新たな基板のめっき装置1への投入を停止するか、あるいは、めっき終了後に直ちにめっき液をめっき槽25毎に保存液で順次置換する、といった単位での制御指令を動作制御部3へ送信するか、いずれかをオペレータが選択できるようになっている。あるいは、自動運転モードの場合には、新たな基板のめっき装置1への投入を停止するとともに、めっき終了後にめっき液をめっき槽25毎に保存液で順次置換する、といった単位での制御指令を動作制御部3へ送信するようにされている。めっき終了後にめっき液をめっき槽25毎に保存液で順次置換する操作を行う場合、動作制御部3は、上記弁V1〜V7を操作するための指令信号を弁V1〜V7に送る。
【0094】
本実施形態によれば、遠隔地に配置されたコンピュータ214は、故障を予測し、その予測結果に基づいて、動作制御部3に制御信号を発信することができる。さらに、オペレータは、常時監視しているめっき装置1の稼働状況と、コンピュータ214から導き出しためっき装置1の故障の予測情報を参照して、めっき液を保存液に置換せずに、故障した機器を停止させるための制御指令をコンピュータ214から発信させてもよい。例えば、めっき時間が1時間であって、トランスポータ40のメンテナンス時間が10分程度で完了すると予想される場合は、めっき液を保存液に置換せずに、メンテナンスのためにトランスポータ40を停止させてもよい。さらに、オペレータは、保存液に代えて、リンス液でめっき液を置換するための制御指令をコンピュータ214から動作制御部3に発信させてもよい。但し、もし無線モジュールの故障等により通信が途絶えた場合にも、同等の制御を動作制御部3が実行可能である。
【0095】
上述した本発明の実施形態は、無電解めっき装置および無電解めっき方法にも適用することが可能である。
【0096】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。