(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イソシアネート化合物(b)が、分子内に平均で1.8個以上のイソシアネート基を有する請求項6又は7に記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物の製造方法。
硬化剤が活性水素基を有するエポキシ樹脂硬化剤であり、硬化性樹脂組成物中の全エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、硬化剤の活性水素基が0.2〜1.5モルである請求項10に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)とを反応して得られる。ここで、エポキシ樹脂(a)は、上記式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)と上記式(2)で表されるエポキシ樹脂(a2)を必須成分として含む混合物である。
【0023】
オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(a1)が単独でイソシアネート化合物(b)と反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A1)と、エポキシ樹脂(a2)が単独でイソシアネート化合物(b)と反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A2)と、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)の両方がイソシアネート化合物(b)と反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A12)とを含み、さらに、未反応のエポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とを含む。
【0024】
また、エポキシ樹脂(a)は、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)以外のエポキシ樹脂(a3)を含むことができる。この場合は、さらに、エポキシ樹脂(a3)が単独でイソシアネート化合物(b)が反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A3)と、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)の両方がイソシアネート化合物(b)とが反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A13)と、エポキシ樹脂(a2)とエポキシ樹脂(a3)の両方がイソシアネート化合物(b)とが反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A23)と、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とエポキシ樹脂(a3)のイソシアネート化合物(b)とが反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(A123)と、未反応のエポキシ樹脂(a3)とをさらに含む。更に、エポキシ樹脂(a3)は、2種以上の他のエポキシ樹脂からなってもよく、この場合は上記のようにオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物に含まれるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂及び未反応エポキシ樹脂の種類が増えることになるが、エポキシ樹脂(a)中のエポキシ樹脂は2又は3種類であることが望ましい。
【0025】
なお、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物には、それ以外にも、副生物として、ウレタン構造を有するエポキシ樹脂等が含まれる。
【0026】
オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物からそれぞれのエポキシ樹脂(例えば、上記A1、A2、A12、a1、a2、A3、A13、A23、A123、a3等)を単離又は濃縮する方法として、本発明特有の方法は特になく、それぞれが分子量分布をもつことから、従来の単離方法で単離又は濃縮することが難しい。また、含まれるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は構造が類似していることから、その含有比率をNMRや赤外分光光度計等の分析で求めることも難しい。本発明では、これらの混合物において特定の効果を見出したものであるため、「オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂」ではなく、「オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物」と表現している。本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物としての物性は通常のエポキシ樹脂と同様の操作で測定可能である。したがって、本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物は、反応物から、それぞれのエポキシ樹脂を単離する必要はないが、必要により一部のエポキシ樹脂を除くことも可能である。
【0027】
オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量(g/eq.)は、200〜600が好ましく、215〜550がより好ましく、220〜500が更に好ましい。エポキシ当量が低いと、分子長が短くなり、接着性が悪化する恐れがある他、オキサゾリドン環の含有量が少なくなり、また硬化物中の水酸基濃度が高くなるため、誘電率が高くなる恐れがある。エポキシ当量が高いと、必要以上に分子長が長くなり、溶剤溶解性の悪化や樹脂粘度の増大といった悪影響が多くなる恐れがある。また、硬化物の架橋密度が低くなることから半田リフローの温度において弾性率が低下する等、使用上で大きな問題となる恐れがある。
【0028】
また、軟化点は、プリプレグやフィルム材料に使用する場合は50〜150℃が好ましく、55〜135℃がより好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。この場合、軟化点が低すぎることの懸念はないので下限値は特に気にすることはない。軟化点が高いと樹脂粘度が高くなり、プリプレグへの含浸性の悪化や、溶剤溶解性の悪化や、加熱乾燥するときに希釈溶媒が揮発せずに樹脂中に残存することから積層板を作成するときにボイドが発生する等、使用上で大きな問題となる恐れがある。
【0029】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を得るために使用するエポキシ樹脂(a)は、上記エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)を必須として含有するものであり、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)の総和はエポキシ樹脂(a)中の55〜100質量%であり、エポキシ樹脂(a1)はエポキシ樹脂(a)中の5〜50質量%であり、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)以外のエポキシ樹脂(a3)を45質量%未満含むことができる。
【0030】
エポキシ樹脂(a)のエポキシ当量は100〜500が好ましく、150〜300がより好ましい。エポキシ当量は、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)を含めた全エポキシ樹脂を混合後に測定を行うことで求められる。また、使用するエポキシ樹脂のエポキシ当量が既知の場合は計算によって求めてもよい。
【0031】
エポキシ樹脂(a)のアルコール性水酸基はイソシアネートと反応してウレタン結合を形成することから、硬化物の耐熱性(ガラス転移点)を低下させる恐れがある。また、硬化物中の水酸基濃度が増えるため硬化物の誘電率を高くする恐れがある。そのため、エポキシ樹脂(a)中のアルコール性水酸基当量(g/eq.)は1000以上が好ましく、3000以上がより好ましく、5000以上がさらに好ましい。アルコール性水酸基当量は、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)を含めた全エポキシ樹脂を混合後に測定を行うことで求められる。なお、アルコール性水酸基当量が大きいほど、アルコール性水酸基が少ないことを表す。例えば、式(1)のm及び式(2)のnが0の場合、アルコール性水酸基が無くなり、アルコール性水酸基当量は理論上無限大になるため、特に上限値を定める必要はない。
【0032】
エポキシ樹脂(a)のアルコール性水酸基は、フェノール化合物とエピハロヒドリンの反応に伴い発生したアルコール性水酸基である。エピハロヒドリンがエピクロロヒドリンの場合、これらのアルコール性水酸基は、フェノール化合物がエピクロロヒドリンのα位に付加することで発生する2−クロロ−3−ヒドロキシプロピル基に由来するアルコール性水酸基(α)、フェノール化合物がエピクロロヒドリンのβ位に付加することで発生する1−クロロメチル−2−ヒドロキシエチル基に由来するアルコール性水酸基(β)、エポキシ樹脂にフェノール化合物が付加することで発生する2級アルコール性水酸基(γ)、エポキシ樹脂のエポキシ基が加水分解することで発生するαグリコール(δ)である。本発明でのアルコール性水酸基は、(α)、(β)、(γ)及び(δ)の全てを指すので、アルコール性水酸基当量は、(α)、(β)、(γ)及び(δ)の全てが測定対象である。
【0033】
上記式(1)において、Xは置換基を有する環員数5〜8のシクロアルキリデン基を表す。この置換基は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜11のアラルキル基であり、これらの少なくとも1種を有する。置換基の数は1個であっても、2個以上であってもよい。
上記環員数5〜8のシクロアルキリデン基を構成するシクロアルカン環は、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、又はシクロオクタン環のいずれかであり、シクロペンタン環又はシクロヘキサン環が好ましい。
【0034】
上記置換基は、例えば、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜11のアラルキル基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−キシリル基等が挙げられるがこれらに限定されず、複数ある場合は各々同一でも異なっていてもよい。好ましい置換基としては、入手の容易性及び積層板における接着性等の物性の観点から、メチル基やフェニル基である。
【0035】
なお、シクロアルキリデン基は、好ましくは1,1−シクロアルキリデン基であり、上記の置換基は、シクロアルキリデン基の1位の炭素に結合したベンゼン環又は置換基相互間に働く立体的な反発作用によってシクロアルカン環の運動性を制限して誘電特性の向上と同時に、耐熱性も向上することを目的としている。この置換位置は、運動性を制限できる位置であればどこに結合してもよいが、シクロアルキリデン基の1位に近い炭素原子に結合することが好ましい。好ましい置換基の位置は、シクロペンタン環では2位又は5位の炭素原子である。シクロヘキサン環では2位、3位、5位又は6位の炭素原子であり、より好ましくは、2位又は6位の炭素原子である。シクロヘプタン環では、2位、3位、6位又は7位の炭素原子であり、より好ましくは2位又は7位の炭素原子である。シクロオクタン環では、2位、3位、4位、6位、7位又は8位の炭素原子であり、より好ましくは2位、3位、7位又は8位の炭素原子であり、さらに好ましくは2位又は8位の炭素原子である。
【0036】
また、置換基の数は、前述の理由により少なくとも1個必要であるが、硬化物としたときの耐熱性の観点から、3個以上が好ましく、3個がより好ましい。
【0037】
式(1)において、−O−基(エーテル結合)は、Xと結合する炭素原子に対して、オルソ位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0038】
式(1)において、R
1はそれぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。例えば、炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルケニル基としては、1−プロペニル基や2−プロペニル基等が挙げられ、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、ナフチル基等が挙げられるがこれらに限定されず、各々同一でも異なっていてもよい。好ましいR
1としては、入手の容易性及び硬化物としたときの耐熱性等の物性の観点から、1−フェニルエチル基又はメチル基である。なお、R
1の置換位置は、Xと結合する炭素原子に対して、オルソ位又はメタ位が好ましく、オルソ位がより好ましい。また、k1は、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4であり、好ましくは0、1又は2である。
【0039】
式(1)において、mは繰り返し数であり、その平均値(数平均)は0〜2であり、0〜1が好ましい範囲であり、0〜0.5がより好ましい範囲であり、0〜0.3がさらに好ましい範囲である。そして、繰り返し数(整数)は、通常0〜2の整数の範囲内にあることがよい。繰り返し数が0〜2のいずれか一つの整数である単一化合物であっても、mが0〜2のうち複数の整数である混合物であってもよい。通常の多価ヒドロキシ樹脂のエピクロロヒドリン等によるエポキシ化では、混合物として得られるので、混合物であればそのまま使用できるという利点がある。
【0040】
上記式(2)において、R
2、k2及びnは、上記式(1)のR
1、k1及びmとそれぞれ同様な意味を有するが、相互に独立に変化し得る。
R
2の置換位置は、ビフェニル結合の炭素原子に対して、オルソ位又はメタ位が好ましく、オルソ位がより好ましい。また、−O−基は、ビフェニル結合の炭素原子に対して、オルソ位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0041】
エポキシ樹脂(a1)は、下記式(3)で表されるシクロアルキリデン基を含有するフェノール化合物とエピハロヒドリンとを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下で反応させる方法や、式(3)で表されるシクロアルキリデン基を含有するフェノール化合物をアリルエーテル化物によってアリルエーテル化した後に過酸化物等の酸化剤でアリル基を酸化してエポキシ化する方法等の公知の方法で得ることができる。
【0042】
【化2】
式中、R
1、k1及びXは、式(1)のR
1、k1及びXとそれぞれ同義である。
【0043】
エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量は、100〜500が好ましく、150〜300がより好ましい。また、アルコール性水酸基当量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、5000以上がさらに好ましい。
【0044】
式(3)で表されるフェノール化合物はそれぞれ相当する環状脂肪族ケトン類とフェノール類とを反応させることで得られる。具体的には、下記に示すようなシクロアルキリデン基を含有するフェノール化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0046】
これら例示したシクロアルキリデン基を含有するフェノール化合物は、例えば特開平4−282334号公報や特開2015−51935号公報で開示された方法等で製造することができるが、市販品としても入手可能であり、例えば、BisP−TMC、BisOC−TMC、BisP−MZ、BisP−3MZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、Bis26X−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−nBZ、BisOEP−2HBP(以上、製品名、本州化学工業製)等が挙げられる。
【0047】
エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、4,4’−(2−メチルシクロヘキシリデン)ジフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(3−メチルシクロヘキシリデン)ジフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(4−メチルシクロヘキシリデン)ジフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)−ビス−フェニルフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)−ビス−フェニルフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)−ビス−ジメチルフェノールグリシジルエーテル、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)−ビス−t−ブチルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられるがこれらに限定されず、これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0048】
エポキシ樹脂(a1)としては、入手の容易性と硬化物の物性が良好性から、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノールとエピハロヒドリンから得られる下記式(4)で表されるエポキシ樹脂が適する。
【0049】
【化4】
式中、mは式(1)のmと同義である。
【0050】
エポキシ樹脂(a2)は、下記式(5)で表されるビフェノール化合物とエピハロヒドリンとを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下で反応させる方法や、式(5)で表されるビフェノール化合物をアリルエーテル化物によってアリルエーテル化した後に過酸化物等の酸化剤でアリル基を酸化してエポキシ化する方法等の公知の方法で得ることができる。
【0051】
【化5】
式中、R
2及びk2は式(2)のR
2及びk2とそれぞれ同義である。
【0052】
エポキシ樹脂(a2)のエポキシ当量は、100〜500が好ましく、150〜300がより好ましい。また、アルコール性水酸基当量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、5000以上がさらに好ましい。
【0053】
式(5)で表されるビフェノール化合物としては、例えば、4,4’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,3,3‘,6,6’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジエチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,6,6’−テトラエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,5,5’−テトラエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,6,6’−テトラアリル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,5,5’−テトラアリル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール、2,2’ ,6,6’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−シクロヘキシル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジフェニル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニル−4,4’−ジオール等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらのビフェノール化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。特に、4,4’−ビフェノールを使用する場合は、他のビフェノール化合物と併用することが好ましい。
【0054】
これら例示したフェノール化合物は、市販品としても入手可能であり、例えば、BP、26X−BP、TTB−BP、DM−BP、PCR−BP、TMP−BP、24B−BP(以上、製品名、本州化学工業製)等が挙げられる。
【0055】
エポキシ樹脂(a2)としては、例えば、4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、2,2′‐ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、3,3′,5,5′‐テトラメチル‐4,4′‐ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4’‐ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、3,3′−シクロヘキシル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル、3,3′−ジフェニル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ビフェニル等が挙げられるがこれらに限定されず、これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
エポキシ樹脂(a2)としては、入手の容易性と硬化物の物性が良好性から、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとエピハロヒドリンから得られる下記式(6)で表されるエポキシ樹脂が適する。
【0057】
【化6】
式中、nは式(2)のnと同義である。
【0058】
エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)の配合割合は、質量比で1/9〜9/1であるが、エポキシ樹脂(a1)は、エポキシ樹脂(a)中に5〜50質量%含まれるようにする必要がある。エポキシ樹脂(a1)が50質量%を超えると、耐熱性や接着性が十分発揮できない恐れがあり、リン系難燃剤を使用した難燃処方では難燃性が不十分になる恐れがある。エポキシ樹脂(a2)の使用量は、エポキシ樹脂(a1)の使用量によって変化し、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)の使用量の合計は55質量%以上である必要がある。すなわち、エポキシ樹脂(a2)の使用量は、エポキシ樹脂(a1)が5質量%の場合は、50〜95質量%の範囲で使用され、50質量%の場合は、5〜50質量%の範囲で使用されると解される。
上記合計が、55質量%未満では、誘電特性が不十分になる恐れがある。
エポキシ樹脂(a)中のエポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)の配合割合(a1/a2)は、質量%基準で、5〜50/95〜50が好ましく、25〜40/75〜55がより好ましく、40〜45/60〜55がさらに好ましい。
【0059】
エポキシ樹脂(a)として、本発明の効果を阻害しない限り、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)以外のエポキシ樹脂(a3)を、45質量%以下で併用してもよい。この場合、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)の配合割合は、質量比で、4/6〜5/5が好ましい。エポキシ樹脂(a3)を併用する目的は、例えば、溶剤溶解性のさらなる向上等の別特性の付与のためである。従ってエポキシ樹脂(a3)の使用量はできるだけ少ない方が好ましく、35質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0060】
エポキシ樹脂(a3)のエポキシ当量は、100〜500が好ましく、170〜300がより好ましい。また、アルコール性水酸基当量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、5000以上がさらに好ましい。
【0061】
併用できるエポキシ樹脂(a3)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスチオエーテル型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルノボラック型エポキシ樹脂、スチレン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、βナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、αナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂等のポリグリシジルエーテル化合物、ジアミノジフェニルメタンテトラグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)等のポリグリシジルアミン化合物、ダイマー酸型エポキシ樹脂等のポリグリシジルエステル化合物、脂肪族環状エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0062】
併用できるエポキシ樹脂(a3)の内、より誘電率を低下させる目的では脂肪族置換基を含むエポキシ樹脂やフッ素原子を分子内に有するビスフェノールAF型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性をより向上する目的では多官能性であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、屈折率を高め耐熱性をより向上する目的ではビスフェノールS型エポキシ樹脂やビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましく、熱伝導性を高める目的ではジフェニルエーテル型エポキシ樹脂やベンゾフェノン型エポキシ樹脂が好ましく、粘度を低下させる目的ではビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂がそれぞれ好ましいが、これらに限定するものではない。
【0063】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を製造するには、エポキシ樹脂(a)とともに、イソシアネート化合物(b)を使用する。このエポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)との反応によって、所望のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を得ることができる。このイソシアネート化合物(b)は、分子内に平均で1.8個以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有するイソシアネート化合物であればよく公知慣用のイソシアネート化合物が使用できる。単官能イソシアネート化合物は、少量含まれていてもよいが、これは末端基となるので、重合度を低下させる目的には有効であるが、重合度が上がらないため、本発明の目的では好ましくない。
【0064】
具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,5−トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイルジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイルジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイルジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,3’−ジメトキシビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルサルフアイト−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビスメチレンジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビスメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,1−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、2−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メタンジイソシアネート、エタン−1,2−ジイソシアネート、プロパン−1,3−ジイソシアネート、ブタン−1,1−ジイソシアネート、ブタン−1,2−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2−ブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、ヘプタン−1,7−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、ノナン−1,9−ジイソシアネート、デカン−1,10−ジイソシアネート、ジメチルシランジイソシアネート、ジフェニルシランジイソシアネート等の2官能イソシアネート化合物や、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアネナトメチルオクタン、ビシクロヘブタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネートチオフォスフェート)−3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトライソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物や、上記イソシアネート化合物の2量体や3量体等の多量体や、アルコールやフェノール等のブロック剤によりマスクされたブロック型イソシアネートや、ビスウレタン化合物等が挙げられるがこれらに限定されず、これらのイソシアネート化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0065】
これらのイソシアネート化合物のうち、好ましくは2官能イソシアネート化合物または3官能イソシアネート化合物であり、さらに好ましくは2官能イソシアネート化合物である。イソシアネート化合物の官能基数が多いと貯蔵安定性が低下する恐れがあり、少ないと耐熱性や誘電特性が向上しない恐れがある。
【0066】
特に好ましいイソシアネート化合物(b)は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,5−トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイルジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイルジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビスフェニル−4,4’−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイルビスメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイルビスメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビスメチレンジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビスメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される1種以上である。
【0067】
エポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)との反応は公知の方法で行うことができる。具体的な反応方法としては、1)エポキシ樹脂(a)を溶融し、乾燥ガスパージや系内を減圧にする等の方法でエポキシ樹脂中の水分を除去したのち、イソシアネート化合物(b)と触媒を添加して反応を行う方法、又は2)エポキシ樹脂(a)と触媒を予め混合しておき、乾燥ガスパージや系内を減圧にする等の方法でエポキシ樹脂中の水分を除去したのち、イソシアネート化合物(b)を添加して反応を行う方法等がある。この時の系内水分量としては、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。また、どちらの方法でも、樹脂粘度が高く撹拌が難しい場合等必要であれば、非反応性の溶剤を使用することも可能である。
【0068】
エポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)の使用量は、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1モルに対して、イソシアネート化合物(b)のイソシアネート基を0.02モル以上0.5モル未満の範囲が好ましく、0.1モル以上0.45モル以下の範囲がより好ましく、0.15モル以上0.4モル以下の範囲がさらに好ましく、0.2モル以上0.35モル以下の範囲が特に好ましい。イソシアネート基の比率が低いとオキサゾリドン環の生成量が低下して硬化物の誘電特性や耐熱性の向上効果が得られない恐れがある。また、イソシアネート基の比率が多いと、エポキシ基の残存量が低下するだけでなく、反応時に増粘が激しく反応が困難となる。また、得られたとしても、溶剤溶解性やガラスクロスへの含浸性が悪化して積層板用途で使用が困難となる。
【0069】
オキサゾリドン環を形成する反応機構は、特許文献4で記載されている通りである。エポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)は触媒を添加することで、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基とイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基は反応し、オキサゾリドン環を形成する。また、エポキシ樹脂(a)がアルコール性水酸基を含む場合は、イソシアネート化合物(b)のイソシアネート基はアルコール性水酸基と付加反応し、ウレタン結合が形成する。触媒の添加温度は、室温〜150℃が好ましく、室温〜100℃がより好ましい。
【0070】
使用できる触媒としては、リチウム化合物類、3フッ化ホウ素の錯塩類、4級アンモニウム塩類、3級アミン類、ホスフィン類、ホスホニウム塩類、トリフェニルアンチモンとヨウ素の組み合わせ、イミダゾール類、及びアルカリ金属水酸化物類等が挙げられるがこれらに限定されず、これらの触媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、分割して数回に分けて使用してもよい。これらの触媒の中で、4級アンモニウム塩類、3級アミン類、ホスフィン類、又はホスホニウム塩類が好ましく、反応活性、反応の選択性においてテトラメチルアンモニウムヨージドがより好ましい。反応活性が低い触媒では反応時間が長くなり生産性の低下を招く恐れがあり、反応の選択性が低い触媒ではエポキシ基同士の重合反応が進行し目的としている物性を得られない恐れがある。
【0071】
触媒量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)との合計質量に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、0.0005〜1質量%以下がより好ましく、0.001〜0.5質量%がさらにより好ましく、0.002〜0.2質量%が特に好ましい。触媒量が多いと場合によってはエポキシ基の自己重合反応が進行するため、樹脂粘度が高くなる恐れがある。また、イソシアネートの自己重合反応が促進され、オキサゾリドン環の生成が抑制される恐れがある。さらに、生成樹脂中に不純物として残留し、各種用途、特に積層板や封止材の材料として使用した場合に、絶縁性の低下や耐湿性の低下を招く恐れがある。触媒量が少ないとオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を得るための効率の低下を招く恐れがある。
【0072】
反応温度は、100〜250℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、120〜160℃がさらに好ましい。反応温度が低いとオキサゾリドン環形成が十分に行われず、イソシアネート基の三量化反応によるイソシアヌレート環を形成する恐れがある。また、反応温度が高いと局所的な高分子量化が起こり、不溶解性のゲル成分の生成が多くなる恐れがある。そのため、イソシアネート化合物(b)の添加速度を調整する必要がある。イソシアネート化合物(b)の添加速度が速いと発熱に対し冷却が間に合わず好ましい反応温度を維持できなくなる恐れがある。また、添加速度が遅いと生産性が著しく低下する恐れがある。
【0073】
反応時間はイソシアネート化合物(b)の添加終了から15分間〜10時間が好ましく、30分間〜8時間がより好ましく、1〜5時間がさらに好ましい。反応時間が短いとイソシアネート基が生成物に多く残留する恐れがある。反応時間が長いと生産性が著しく低下する恐れがある。
【0074】
また、エポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)との反応を行う際に、本発明のエポキシ樹脂組成物に作用効果に影響がでない範囲で、さらに、各種変性剤を使用してもよい。変性剤を使用することで分子量(エポキシ当量)等を調整することが容易となる。使用量は、エポキシ樹脂(a)100質量部に対し、80質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
【0075】
使用できる変性剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類、ビフェノール類、レゾルシン、ヒドロキノン等の単環2官能フェノール類、ジヒドロキシナフタレン類、ノボラック樹脂、重質油変性フェノール樹脂等の種々のフェノール類や、種々のフェノール類と種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂や、アミン化合物が挙げられるがこれらに限定されず、これらの変性剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、これらの変性剤が芳香族環を有する場合、その芳香族環はアルキル基、アリール基等の悪影響のない置換基で置換されていてもよい。
【0076】
また、必要に応じて非反応性溶媒を使用してもよい。例えば、ヘキサン、へプタン、オクタン、ジメチルブタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の各種炭化水素類や、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類や、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられるが、特にこれらに限定されず、これらの溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。これら溶媒の使用量は、エポキシ樹脂(a)100質量部に対し、1〜900質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましい。
【0077】
上記のようにして得られた反応生成物は、そのまま、又は必要により溶媒や触媒、若しくは未反応物や副生物の一部を除去されて、本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物となる。
【0078】
次に、本発明の硬化性樹脂組成物について、説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物と硬化剤を含む。
【0079】
硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されず、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジッド系硬化剤、活性エステル系硬化剤、リン含有硬化剤等のエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。これらの硬化剤は単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。これらのうち、ジシアンジアミド、フェノール系硬化剤または活性エステル系硬化剤が好ましく、フェノール系硬化剤または活性エステル系硬化剤がより好ましい。
【0080】
硬化剤の使用量は、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を含む全エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、硬化剤の活性水素基を0.2〜1.5モルとすることが好ましく、0.3〜1.5モルがより好ましく、0.5〜1.5モルがさらに好ましく、0.8〜1.2モルが特に好ましい。硬化剤の活性水素基が、この範囲に入らない場合、硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。例えば、フェノール系硬化剤やアミン系硬化剤を使用した場合はエポキシ基に対して活性水素基をほぼ等モル配合し、酸無水物系硬化剤を使用した場合はエポキシ基1モルに対して酸無水物基を0.5〜1.2モル、好ましくは、0.6〜1.0モル配合する。
【0081】
本発明でいう活性水素基とは、エポキシ基と反応性の活性水素を有する官能基(加水分解等により活性水素を生ずる潜在性活性水素を有する官能基や、同等な硬化作用を示す官能基を含む。)のことであり、具体的には、酸無水物基やカルボキシル基やアミノ基やフェノール性水酸基等が挙げられる。なお、活性水素基に関して、1モルのカルボキシル基やフェノール性水酸基は1モルと、アミノ基(NH
2)は2モルと計算される。また、活性水素基が明確ではない場合は、測定によって活性水素当量を求めることができる。例えば、エポキシ当量が既知の、フェニルグリシジルエーテル等のモノエポキシ樹脂と活性水素当量が未知の硬化剤を反応させて、消費したモノエポキシ樹脂の量を測定することによって、使用した硬化剤の活性水素当量を求めることができる。
【0082】
フェノール樹脂系硬化剤としては、具体例には、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類や、レゾルシン、ハイドロキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類や、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン等のヒドロキシナフタレン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のフェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類及び/又は縮合剤との縮合物等が挙げられる。
【0083】
この場合、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、ブチルメチルフェノール、トリメチルフェノール、フェニルフェノール等が挙げられる。ナフトール類としては、1−ナフトール、2−ナフトール等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロルアルデヒド、ブロムアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。縮合剤としては、キシリレングリコール、ビス(メチロール)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(エトキシメチル)ビフェニル、ビス(クロロメチル)ビフェニル等が挙げられる。
【0084】
また、加熱時に開環してフェノール化合物となるベンゾオキサジン化合物も硬化剤として有用である。例えば、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のベンゾオキサジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
酸無水物系硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、メチルナジック酸等が挙げられる。
【0086】
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジシアンジアミド、ダイマー酸等の酸類とポリアミン類との縮合物であるポリアミドアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
【0087】
活性エステル系硬化剤としては、特許5152445号公報に記載されているような多官能フェノール化合物と芳香族カルボン酸類の反応生成物が挙げられ、市販品では、エピクロンHPC−8000−65T(製品名、DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0088】
その他の硬化剤として、例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド等のホスホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、イミダゾール類とトリメリット酸、イソシアヌル酸、硼素等との塩であるイミダゾール塩類、トリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、ジアザビシクロ化合物、ジアザビシクロ化合物とフェノール類やフェノールノボラック樹脂類等との塩類、3フッ化ホウ素とアミン類やエーテル化合物等との錯化合物、芳香族ホスホニウム、又はヨードニウム塩等が挙げられる。
【0089】
必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。使用できる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物が挙げられる。硬化促進剤は本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂成分100質量部に対して0.02質量部〜5質量部が必要に応じて使用される。硬化促進剤を使用することにより、硬化温度を下げ、硬化時間を短縮することができる。
【0090】
また、必要に応じて、硬化性樹脂組成物の物性を損ねない範囲で本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物以外のエポキシ樹脂を使用することができる。使用できるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスチオエーテル型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチレン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、α−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アルキレングリコール型エポキシ樹脂、脂肪族環状エポキシ樹脂のポリグリシジルエーテル化合物や、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、メタキシレンジアミン型エポキシ樹脂、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等のポリグリシジルアミン化合物や、ダイマー酸型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸型エポキシ樹脂等のポリグリシジルエステル化合物や、脂環式エポキシ化合物が挙げられる。その他に、ウレタン変性エポキシ樹脂[例えばAER4152(製品名、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)等]、本発明のオキサゾリドン環含エポキシ樹脂組成物以外のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエンゴム誘導体[例えばPB−3600(製品名、ダイセル化学工業株式会社製)等]、CTBN変性エポキシ樹脂[例えばエポトートYR−102、エポトートYR−450(以上、製品名、新日鉄住金化学株式会社製)等]等が挙げられるが、これらに限定されず、これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0091】
また、本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物には、粘度調整用として有機溶媒及び/又は反応性希釈剤を使用することができる。これらの有機溶媒及び/又は反応性希釈剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合してもよい。
【0092】
有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類や、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシジエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、パインオイル等のアルコール類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ベンジルアルコールアセテート等の酢酸エステル類や、安息香酸メチル、安息香酸エチル等の安息香酸エステル類や、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類や、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類や、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
反応性希釈剤としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル等の単官能グリシジルエーテル類や、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の二官能グリシジルエーテル類や、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールエタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル類や、ネオデカン酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類や、フェニルジグリシジルアミン、トリルジグリシジルアミン等のグリシジルアミン類が挙げられる。
【0093】
これらの有機溶媒及び/又は応性希釈剤は、不揮発分として90質量%以下となる量で使用することが好ましく、その適正な種類や使用量は用途によって適宜選択される。例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、1−メトキシ−2−プロパノール等の沸点が160℃以下の極性溶媒であることが好ましく、その使用量は不揮発分で40〜80質量%が好ましい。また、接着フィルム用途では、例えば、ケトン類、酢酸エステル類、カルビトール類、芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を使用することが好ましく、その使用量は不揮発分で30〜60質量%が好ましい。
【0094】
硬化性樹脂組成物は、特性を損ねない範囲で他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を配合してもよい。例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、石油樹脂、インデン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0095】
硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の難燃性の向上を目的に、慣用公知の各種難燃剤を使用することができる。使用できる難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられる。環境に対する観点から、ハロゲンを含まない難燃剤が好ましく、特にリン系難燃剤が好ましい。これらの難燃剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0096】
リン系難燃剤は、無機リン系化合物、有機リン系化合物のいずれも使用できる。無機リン系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。有機リン系化合物としては、例えば、脂肪族リン酸エステル、リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル類、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物や、ホスフィン酸の金属塩の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)、10−(2,5−ジヒドロオキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO−HQ)、10−(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO−NQ)等の環状有機リン化合物や、それらをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体であるリン含有エポキシ樹脂やリン含有硬化剤等が挙げられる。
【0097】
リン含有エポキシ樹脂としては、例えば、エポトートFX−305、エポトートFX−289B、TX−1320A、エポトートTX−1328(以上、製品名、新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は、200〜800であることがよく、好ましくは300〜780であり、より好ましくは400〜760である。また、リン含有エポキシ樹脂のリン含有率が、0.5〜6質量%であることがよく、好ましくは2〜5.5質量%であり、より好ましくは3〜5質量%である。
【0098】
リン含有硬化剤としては、DOPO−HQ、DOPO−NQ、ジフェニルホスフィニルヒドロキノン等のリン含有フェノール類の他に、特表2008−501063号公報や特許第4548547号公報に示すような製造方法で、DOPOとアルデヒド類とフェノール化合物とを反応することでリン含有フェノール化合物を得ることができる。この場合、DOPOは、フェノール化合物の芳香族環にアルデヒド類と介し縮合付加して分子内に組み込まれる。また、特開2013−185002号公報に示すような製造方法で、さらに芳香族カルボン酸類の反応させることで、DOPOを単位構造とするリン含有フェノール化合物から、リン含有活性エステル化合物を得ることができる。また、特再公表WO2008/010429号公報に示すような製造方法で、DOPOの単位構造を有するリン含有ベンゾオキサジン化合物を得ることができる。リン含有硬化剤のリン含有率が、0.5〜12質量%であることがよく、好ましくは2〜11質量%であり、より好ましくは4〜10質量%である。
【0099】
難燃剤の配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択される。例えば、硬化性樹脂組成物中の有機成分(有機溶剤を除く)中のリン含有量は、0.2〜6質量%が好ましく、0.4〜4質量%がより好ましく、0.5〜3.5質量%がさらに好ましく、0.6〜3質量%が特に好ましい。リン含有量が少ないと難燃性の確保が難しくなる恐れがあり、多すぎると耐熱性に悪影響を与える恐れがある。またリン系難燃剤を使用する場合は、水酸化マグネシウム等の難燃助剤を併用してもよい。
【0100】
なお、リン含有エポキシ樹脂はリン系難燃剤とエポキシ樹脂の両方に該当するものとして扱い、リン含有硬化剤はリン系難燃剤と硬化剤の両方に該当するものとして扱う。従って、リン含有エポキシ樹脂を使用する場合は、他のリン系難燃剤が不要となる場合がある。同様に、リン含有硬化剤を使用する場合は、他の硬化剤及び/又はリン系難燃剤が不要となる場合がある。
【0101】
硬化性樹脂組成物には必要に応じて充填材を使用することができる。具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭素、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、微粒子ゴム、熱可塑性エラストマー、顔料等が挙げられる。一般的に充填材を使用する理由としては耐衝撃性の向上効果が挙げられる。また、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を使用した場合は、難燃助剤として作用し難燃性が向上する効果がある。これら充填材の配合量は硬化性樹脂組成物中の有機成分(有機溶剤を除く)100質量部に対して、1〜150質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましい。配合量が多いと積層板用途として必要な接着性が低下する恐れがあり、さらに硬化物が脆く、十分な機械物性を得られなくなる恐れがある。また配合量が少ないと、硬化物の耐衝撃性の向上等、充填剤の配合効果でない恐れがある。
【0102】
硬化性樹脂組成物を板状基板等とする場合、その寸法安定性、曲げ強度等の点で繊維状のものが好ましい充填材として挙げられる。より好ましくはガラス繊維を網目状に編み上げたガラス繊維基板が挙げられる。
【0103】
硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じてシランカップリング剤、酸化防止剤、離型剤、消泡剤、乳化剤、揺変性付与剤、平滑剤、難燃剤、顔料等の核種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は硬化性樹脂組成物に対し、0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
【0104】
本発明の硬化性樹脂組成物は上記各成分を均一に混合することにより得られる。硬化性樹脂組成物を硬化することによって、積層物、注型物、成型物、接着層、絶縁層、フィルム等の硬化物を得ることができる。硬化物を得るための方法としては、公知のエポキシ樹脂組成物と同様の方法をとることができ、本発明の硬化性樹脂組成物固有の方法は不要であり、注型、注入、ポッティング、ディッピング、ドリップコーティング、トランスファー成形、圧縮成形等や樹脂シート、樹脂付き銅箔、プリプレグ等の形態とし積層して加熱加圧硬化することで積層板とする等の方法が好適に用いられる。その際の硬化温度は通常、100〜300℃の範囲であり、硬化時間は通常、10分間〜5時間程度である。
【0105】
硬化性樹脂組成物が用いられる用途としては、プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用絶縁材料、半導体封止材料、導電ペースト、導電フィルム、ビルドアップ用接着フィルム、樹脂注型材料、接着剤等が挙げられる。これら各種用途のうち、プリント配線板材料、回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ、いわゆる電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。これらの中でも、高難燃性、高耐熱性、低誘電特性、及び溶剤溶解性といった特性からプリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板(積層板)用材料、及び半導体封止材料に用いることが好ましい。
【0106】
硬化性樹脂組成物を積層板等の板状とする場合、使用する充填材としては、その寸法安定性、曲げ強度等の点で、繊維状のものが好ましく、ガラス繊維を網目状に編み上げたガラス繊維布がより好ましい。
【0107】
硬化性樹脂組成物は繊維状の補強基材に含浸させることによりプリント配線板等で用いられる本発明のプリプレグを作成することができる。繊維状の補強基材としてはガラス等の無機繊維や、ポリエステル樹脂等、ポリアミン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等の有機質繊維の織布または不織布を用いることができるがこれに限定されるものではない。エポキシ樹脂組成物からプリプレグを製造する方法としては、特に限定するものではなく、例えば、上記有機溶剤を含むワニス状のエポキシ樹脂組成物を、さらに有機溶剤を配合して適切な粘度に調整した樹脂ワニスに作成し、その樹脂ワニスを上記繊維状基材に含浸した後、加熱乾燥して樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させることによって得られる。加熱温度としては、用いた有機溶剤の種類に応じ、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜170℃である。加熱時間は、用いた有機溶剤の種類やプリプレグの硬化性によって調整を行い、好ましくは1〜40分間であり、より好ましくは3〜20分間である。この際、用いるエポキシ樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜80質量%となるように調整することが好ましい。
【0108】
本発明の硬化性樹脂組成物は、シート状またはフィルム状に成形して用いることができる。この場合、従来公知の方法を用いてシート化またはフィルム化することが可能である。接着シートを製造する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記樹脂ワニスに溶解しない支持ベースフィルム上に、樹脂ワニスをリバースロールコータ、コンマコータ、ダイコーター等の塗布機を用いて塗布した後、加熱乾燥して樹脂成分をBステージ化することで得られる。また、必要に応じて、塗布面(接着剤層)に別の支持ベースフィルムを保護フィルムとして重ね、乾燥することにより接着剤層の両面に剥離層を有する接着シートが得られる。支持ベースフィルムとしては、銅箔等の金属箔、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフインフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シリコンフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられ、これらの中では、つぶ等、欠損がなく、寸法精度に優れコスト的にも優れるポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、積層板の多層化が容易な金属箔、特に銅箔が好ましい。支持ベースフィルムの厚さは、特に限定されないが、支持体としての強度があり、ラミネート不良を起こしにくいことから10〜150μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、5〜50μmが一般的である。なお、成型された接着シートを容易に剥離するため、あらかじめ離型剤にて表面処理を施しておくことが好ましい。また、樹脂ワニスを塗布する厚みは、乾燥後の厚みで、5〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。加熱温度としては、用いた有機溶剤の種類に応じ、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜170℃である。加熱時間は、用いた有機溶剤の種類やプリプレグの硬化性によって調整を行い、好ましくは1〜40分間であり、より好ましくは3〜20分間である。このようにして得られた接着シートは通常、絶縁性を有する絶縁接着シートとなるが、エポキシ樹脂組成物に導電性を有する金属や金属コーティングされた微粒子を混合することで、導電性接着シートを得ることもできる。なお、上記支持ベースフィルムは、回路基板にラミネートした後に、または加熱硬化して絶縁層を形成した後に、剥離される。接着シートを加熱硬化した後に支持ベースフィルムを剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。ここで、上記絶縁接着シートは、絶縁シートでもある。
【0109】
本発明のプリプレグや上記絶縁接着シートを用いて本発明の積層板を製造する方法を説明する。例えば、プリプレグを用いて積層板を形成する場合は、一枚または複数枚のプリプレグを積層し、片側または両側に金属箔を配置して積層物を構成し、この積層物を加圧加熱することでプリプレグを硬化、一体化させて、積層板を得ることができる。ここで金属箔としては、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の単独、合金、複合の金属箔を用いることができる。積層物を加熱加圧する条件としては、エポキシ樹脂組成物が硬化する条件で適宜調整して加熱加圧すればよいが、加圧の圧量があまり低いと、得られる積層板の内部に気泡が残留し、電気的特性が低下する場合があるため、成型性を満足する条件で加圧することが望ましい。加熱温度は、160〜250℃が好ましく、170〜220℃がより好ましい。加圧圧力は、0.5〜10MPaが好ましく、1〜5MPaがより好ましい。加熱加圧時間は、10分間〜4時間が好ましく、40分間〜3時間がより好ましい。さらにこのようにして得られた単層の積層板を内層材として、多層板を作成することができる。この場合、まず積層板にアディティブ法やサブトラクティブ法等にて回路形成を施し、形成された回路表面を酸溶液で処理して黒化処理を施して、内層材を得る。この内層材の、片面または両側の回路形成面に、プリプレグや絶縁接着シートにて絶縁層を形成するとともに、絶縁層の表面に導体層を形成して、多層板形成するものである。
【0110】
絶縁接着シートにて絶縁層を形成する場合は、複数枚の内層材の回路形成面に絶縁接着シートを配置して積層物を形成する。あるいは内層材の回路形成面と金属箔の間に絶縁接着シートを配置して積層物を形成する。そしてこの積層物を加熱加圧して一体成型することにより、絶縁接着シートの硬化物を絶縁層として形成するとともに、内層材の多層化を形成する。あるいは内層材と導体層である金属箔を絶縁接着シートの硬化物を絶縁層として形成する。ここで、金属箔としては、内層材として用いられる積層板に用いたものと同様のものを用いることができる。また加熱加圧成形は、内層材の成型と同様の条件にて行うことができる。
【0111】
また、上記プリプレグを用いて絶縁層を形成する場合は、内層材の回路形成面に、プリプレグを一枚または複数枚を積層したものを配置し、さらにその外側に金属箔を配置して積層体を形成する。そしてこの積層体を加熱加圧して一体成型することにより、プリプレグの硬化物を絶縁層として形成するとともに、その外側の金属箔を導体層として形成するものである。ここで、金属箔としては、内層板として用いられる積層板に用いたものと同様のものを用いることができる。また加熱加圧成形は、内層材の成型と同様の条件にて行うことができる。このようにして成形された多層積層板の表面に、さらに、アディティブ法やサブトラクティブ法にてバイアホール形成や回路形成を施して、プリント配線板を成型することができる。また、このプリント配線板を内層材として上記の工法を繰り返すことにより、さらに多層の多層板を形成することができる。
【0112】
また、積層板に硬化性樹脂組成物を塗布して絶縁層を形成する場合は、上記硬化性樹脂組成物を好ましくは5〜100μmの厚みに塗布した後、100〜200℃で、好ましくは150〜200℃で、1〜120分間、好ましくは30〜90分間、加熱乾燥してシート状に形成する。一般にキャスティング法と呼ばれる方法で形成されるものである。乾燥後の厚みは5〜150μm、好ましくは5〜80μmに形成することが望ましい。なお、硬化性樹脂組成物の粘度は、十分な膜厚が得られ、塗装むらやスジが発生しにくいことから、25℃において10〜40000mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは200〜30000mPa・sである。このようにして形成された多層積層板の表面に、さらに、アディティブ法やサブストラクティブ法にてバイアホール形成や回路形成を施して、プリント配線板を形成することができる。また、このプリント配線板を内層材として上記の工法を繰り返すことにより、さらに多層の積層板を形成することができる。
【0113】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて得られる封止材としては、テープ状の半導体チップ用、ポッティング型液状封止用、アンダーフィル用、半導体の層間絶縁膜用等があり、これらに好適に用いることができる。例えば、半導体パッケージ成形としては、エポキシ樹脂組成物を注型、またはトランスファー成形機、射出成形機等を用いて成形し、さらに50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより成形物を得る方法が挙げられる。
【0114】
硬化性樹脂組成物を半導体封止材料用に調製するためには、硬化性樹脂組成物に、必要に応じて配合される、無機充填材等の配合剤や、カップリング剤、離型剤等の添加剤を予備混合した後、押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する手法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常シリカが用いられるが、その場合、硬化性樹脂組成物中、無機質充填剤を70〜95質量%となる割合で配合することが好ましい。このようにして得られた硬化性樹脂組成物を、テープ状封止材として使用する場合には、これを加熱して半硬化シートを作製し、封止材テープとした後、この封止材テープを半導体チップ上に置き、100〜150℃に加熱して軟化させ成形し、170〜250℃で完全に硬化させる方法を挙げることができる。また、ポッティング型液状封止材として使用する場合には、得られた硬化性樹脂組成物を必要に応じて溶剤に溶解した後、半導体チップや電子部品上に塗布し、直接、硬化させればよい。
【0115】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにレジストインキとして使用することも可能である。この場合は、エポキシ樹脂組成物に、エチレン性不飽和二重結合を有するビニル系モノマーと、硬化剤としてカチオン重合触媒を配合し、さらに、顔料、タルク、及びフィラーを加えてレジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。この時の硬化温度は、20〜250℃程度の温度範囲が好ましい。
【0116】
本発明の硬化物は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。硬化性樹脂組成物を作成し、加熱硬化により積層板のエポキシ樹脂硬化物を評価した結果、特定のエポキシ樹脂(a)とイソシアネート化合物(b)を反応して得られた本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物は、従来公知のエポキシ樹脂と比較して低誘電特性であり、さらに低粘度で作業性がよいだけではなく、高い難燃性と高い接着性を併せ持つことが可能であり、さらに溶剤溶解性も改良できる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断りがない限り「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。測定方法はそれぞれ以下の方法により測定した。当量の単位はいずれも「g/eq.」である。
【0118】
(1)エポキシ当量:
JIS K7236規格に準拠して測定した。具体的には、電位差滴定装置を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いた。
(2)軟化点:
JIS K7234規格、環球法に準拠して測定した。具体的には、自動軟化点装置(株式会社メイテック製、ASP−MG4)を用いた。
(3)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn):
本体(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフランを使用し、1mL/minの流速とし、検出器は示差屈折検出器を使用した。標準の単分散ポリスチレンより求めた検量線よりMn、Mw及びMw/Mnを換算した。
(4)溶剤溶解性:
トルエンで不揮発分50%に希釈した時の状態を目視で判断した。完全に溶解し透明なものを○、白濁または分離したものを×、微かに濁ったものを△をした。
【0119】
(5)ガラス転移温度:
JIS K7121規格、示差走査熱量測定に準拠して測定した。SII社製EXTER DSC6200を使用して、20℃から10℃/分の昇温速度により測定し、2サイクル目に得られたDSCチャートの補外ガラス転移開始温度(Tig)より求めた。
(6)銅箔剥離強さ及び層間接着力:
JIS C6481に準拠して測定した。層間接着力は7層目と8層目の間で引き剥がし測定した。
(7)比誘電率及び誘電正接:
IPC−TM−650 2.5.5.9に準じてマテリアルアナライザー(AGILENT Technologies社製)を使用し、容量法により周波数1GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。
(8)難燃性:
UL94(Underwriters Laboratories Inc.の安全認証規格)に準じ、垂直法により評価して、試験片5本の残炎時間(秒)の合計を示した。残炎時間の小さい方がより好ましい難燃性を意味する。
【0120】
合成例1
撹拌装置、温度計、窒素ガス導入装置、冷却管及び水分離器を備えた反応装置に、室温下で、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール(本州化学工業株式会社製、BisP−TMC)を100部、エピクロロヒドリンを358部、イオン交換水を4部仕込み、撹拌しながら50℃まで昇温した。均一に溶解後、49%水酸化ナトリウム水溶液を5.3部仕込み3時間反応を行った。次に、64℃まで昇温した後、水の還流が起きる程度まで減圧を引き、49%水酸化ナトリウム水溶液48部を3時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロロヒドリンを分離槽で分離しエピクロロヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、温度を70℃まで上げて脱水を行い、温度を135℃として残存するエピクロロヒドリンを回収した。常圧に戻し、メチルイソブチルケトン(MIBK)を204部加えて溶解した。イオン交換水を127部加え、撹拌静置して副生した食塩を水に溶解して除去した。次に、49%水酸化ナトリウム水溶液を2.9部仕込み、80℃で90分間撹拌反応して精製反応を行った。MIBKを追加、水洗を数回行い、イオン性不純物を除去した。溶剤を回収し、上記式(1)で表されるエポキシ樹脂(エポキシ樹脂a)を得た。得られたエポキシ樹脂aは、エポキシ当量216、アルコール性水酸基当量5510であり、mの平均値は0.04である。
【0121】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂a:合成例1で得られたエポキシ樹脂
エポキシ樹脂b:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YX−4000、エポキシ当量196、アルコール性水酸基当量5000)
エポキシ樹脂c:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000、エポキシ当量275、アルコール性水酸基当量4520)
【0122】
(イソシアネート化合物)
イソシアネートA:2,4−トリレンジイソシアネート(65%)と2,6−トリレンジイソシアネート(35%)の混合物(三井化学SKCポリウレタン株式会社製、コスモネート(登録商標)T−65、NCO濃度48%)
イソシアネートB:2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(50%)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(50%)の混合物(BASF INOACポリウレタン株式会社、ルプラネート(登録商標)MI、NCO濃度33%)
イソシアネートC:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(BASF INOACポリウレタン株式会社、ルプラネート(登録商標)M20S、NCO濃度31%)
【0123】
(触媒)
TMAI:テトラメチルアンモニウムヨージド(東京化成工業株式会社製、試薬)
【0124】
(硬化剤)
PN:フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、ショウノール(登録商標)BRG−557、軟化点80℃、フェノール性水酸基当量105)
DCPD:ジシクロペンタジエン/フェノール共縮合樹脂(群栄化学株式会社製、GDP9140、フェノール性水酸基当量196)
DICY:ジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製、DIHARD、活性水素当量21)
SMA:スチレン/マレイン酸共重合樹脂(Cray Valley社製、SMA2000、酸無水物当量316)
【0125】
(硬化促進剤)
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、キュアゾール(登録商標)2E4MZ)
【0126】
(難燃剤)
LC−950:リン含有フェノール硬化剤(Shin−AT&C社製、LC−950PM60、フェノール性水酸基当量341、リン含有率9.3%、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、不揮発分60%)
SPB−100:ホスファゼン系難燃剤(大塚化学株式会社製、SPB−100、リン含有率13%)
【0127】
実施例1
合成例1と同様な装置に、エポキシ樹脂(a1)としてエポキシ樹脂aを40部、エポキシ樹脂(a2)としてエポキシ樹脂bを60部、触媒としてTMAIを0.1部仕込み、窒素ガスを投入しながら昇温し、120℃にて30分間温度を維持して系内の水分を除去した。次に、130℃〜140℃の反応温度を維持しながら、イソシアネート化合物(b)としてイソシアネートAを8.6部(変性率20モル%)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を維持しながらさらに3時間撹拌を続けて、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物(樹脂1)を得た。
得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物について、エポキシ当量、軟化点、分子量分布、溶剤溶解性を測定した。なお、変性率とはエポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対するイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基による変性率の百分率[(b)/(a)×100]を示す。ここで、(a)及び(b)はエポキシ樹脂(a)のエポキシ基のモル数及びイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基のモル数を表す。
測定結果を表1に示す。
【0128】
実施例2〜8
表1に示す各原料の仕込量(部)に従い、実施例1と同様の装置を使用し、同様の操作で、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を合成した。実施例1と同様に、得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量、軟化点、分子量分布、溶剤溶解性を測定し、測定結果を表1に示す。これらの実施例2〜8で得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を樹脂2〜8とした。
【0129】
【表1】
【0130】
比較例1〜7
表2に示す各原料の仕込量(部)とし、実施例1と同様の装置を使用し、同様の操作で、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を合成した。実施例1と同様に、得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量、軟化点、分子量分布、溶剤溶解性を測定し、測定結果を表2に示す。これらの比較例1〜7で得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂組成物を樹脂H1〜H7とした。
【0131】
【表2】
【0132】
実施例9
エポキシ樹脂として樹脂1を100部、硬化剤としてPNを38部、硬化促進剤として2E4MZを0.12部配合し、MEK、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドで調整した混合溶剤に溶解して硬化性樹脂組成物ワニスを得た。
【0133】
得られた硬化性樹脂組成物ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製、WEA 116E106S136、厚み0.1mm)に含浸した。含浸したガラスクロスを150℃の熱風循環オーブン中で11分間乾燥してプリプレグを得た。得られたプリプレグ8枚と、上下に銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC−III、厚み35μm)を重ね、130℃×15分+190℃×80分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、1.0mm厚の積層板を得た。積層板のガラス転移温度、銅箔剥離強さ、及び層間接着力の結果を表3に示した。
【0134】
また、得られたプリプレグをほぐし、篩で100メッシュパスの粉状のプリプレグパウダーとした。得られたプリプレグパウダーをフッ素樹脂製の型に入れて、130℃×15分+190℃×80分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、50mm角×2mm厚の試験片を得た。試験片の比誘電率及び誘電正接の結果を表3に示した。
【0135】
実施例10〜20
実施例2〜8の樹脂2〜8、エポキシ樹脂C、PN、及び2E4MZを表3及び表4の配合量(部)で配合し、実施例9と同様の装置を使用して、同様の操作を行い、積層板及び試験片を得た。実施例9と同様の試験を行い、その結果を表3及び表4に示す。
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
比較例8〜13
比較例1〜7の樹脂H1〜H7、その他のエポキシ樹脂C、PN、及び2E4MZを表4の配合量(部)で配合し、実施例9と同様の装置を使用して、同様の操作を行い、積層板及び試験片を得た。実施例9と同様の試験を行い、その結果を表5に示す。
【0139】
【表5】
【0140】
実施例21〜26
実施例1〜8の樹脂1、6、7、8、PN、2E4MZ、及び難燃剤を表6の処方の配合量(部)で配合し、実施例9と同様の装置を使用し、同様の操作で、積層板及び試験片を得た。実施例9と同様の試験を行い、その結果を表6に示す。それとは別に、得られた積層板の両面をエッチングして難燃性測定用試験片を作成し、難燃性の試験を行い、その結果を表6に示す。
【0141】
【表6】
【0142】
比較例16〜19
比較例1〜7の樹脂H1〜H7、PN、2E4MZ、及び難燃剤を表7の処方の配合量(部)で配合し、実施例9と同様の装置を使用し、同様の操作で、積層板及び試験片を得た。実施例9と同様の試験を行い、その結果を表7に示す。それとは別に、得られた積層板の両面をエッチングして難燃性測定用試験片を作成し、難燃性の試験を行い、その結果を表7に示す。
【0143】
【表7】