(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウエハを準備する工程と前記溝部を形成する工程との間に、前記複数の半導体積層体の前記基板が設けられた側と反対側に光反射性樹脂層を形成する工程をさらに有する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
前記溝部を形成する工程において、前記基板の他方の主面にマスクを設け、前記マスクを介して前記基板をエッチングすることにより、前記溝部を形成する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本発明は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
【0011】
まず、
図1、
図2、
図3Aおよび
図3Bを参照して、本実施形態の製造方法によって得られる発光装置100の構成を説明する。参考のために、
図1、
図2、
図3Aおよび
図3Bには、互いに直交するx軸、y軸およびz軸が示されている。その他の図面においても、x軸、y軸およびz軸を示すことがある。
【0012】
図1は、発光装置100に関する模式的な上面図である。
図1は、発光装置100の模式的な底面図である。
図3Aは、
図1のIIIA−IIIA’線の位置で発光装置100を切断したときの断面を模式的に示し、
図3Bは、
図1のIIIB−IIIB’線の位置で発光装置100を切断したときの断面を模式的に示す。後述するように、発光装置100は、底面側に光反射性樹脂層190を有しているが、
図2では、説明の便宜のために、この光反射性樹脂層190を除いて発光装置100の構造を図示している。
【0013】
発光装置100では、複数の半導体積層体120が2次元に配置されている。半導体積層体120は、第1の半導体層であるn型半導体層122nおよび第2の半導体層であるp型半導体層122pを含む。なお、
図3A及び
図3Bでは、隣接する半導体積層体120において、p型半導体層122pは完全に離間しているのに対して、n型半導体層122nは部分的に繋がっている。しかし、1つの半導体構造体120に含まれるn型半導体層122nの主要部は半導体構造120ごとに離間しているので、ここでは、
図3A及び
図3Bに示すようにn型半導体層122nが部分的に繋がったような構造であっても、隣接する半導体積層体120を個々のものとして扱うものとする。
【0014】
この例では、半導体積層体120のそれぞれは、上面視において正方形状を有している。正方形状の一辺の長さは、例えば、15μm以上600μm以下程度の範囲であり得る。半導体積層体120は、n側電極136n及びp側電極136pをさらに含み、各半導体積層体120のそれぞれが一つの発光素子として機能する。なお、この例では、発光装置100の外形も正方形状である。正方形状の発光装置100の一辺のサイズは、例えば4.2mm程度であり得る。もちろん、発光装置100中の半導体積層体120の数および形状は、任意に設定可能であり、発光装置100の形状も任意に設定してよい。また、発光装置100中の半導体積層体の形状およびサイズは、これらの全てに共通であってもよいし、異なる形状および/またはサイズの半導体積層体120が発光装置100中に混在していてもよい。
【0015】
発光部100eは、各半導体積層体120のうち、第1の半導体層及び第2の半導体層が重なる部分である。各半導体積層体120は、それぞれが1つの発光部100eを含む。
図3Aに示すように、半導体積層体120は、n型半導体層122nがp型半導体層122pによって覆われていない第1領域R1と、p型半導体層122pによって覆われた第2領域R2とを含む。この第2領域R2は、n型半導体層、活性層およびp型半導体層が順に積層されており、上述した発光部100eに相当する。
【0016】
図1に示す例において、発光装置100は、行方向および列方向に沿って発光部100eがそれぞれ8個ずつ配置された、合計64個の発光部100eを含む。なお、本明細書において、「行方向」は、複数の発光部100eの行が延びる方向(
図1では紙面の左右方向)を指し、「列方向」は、複数の発光部100eの列が延びる方向(
図1では紙面の上下方向)を指す。
【0017】
図1に例示する構成において、互いに隣接する2つの発光部100eは、互いに分離されており、互いに隣接する2つの発光部100eの間に、後述の反射層130の一部が介在している。ここでは、発光部100eのマトリクス状の配置に対応して、互いに隣接する2つの発光部100e間に反射層130の一部がグリッド状に現れている。反射層130のうち、互いに隣接する2つの発光部100eの間に現れた部分の幅Wは、例えば1μm以上1000μm以下程度の範囲に適宜設定され得る。
【0018】
互いに隣接する2つの発光部100eが反射層130によって分離されることにより、例えば、互いに隣接する2つの発光部100eの一方が点灯され、他方が消灯されている場合に、反射層130を跨ぐ光の漏れ込みを低減できる。これにより、点灯された発光部100eによって描かれる図形、文字等のパターンを認識しやすくなるので有益である。以下、発光装置100中、発光部100eの繰り返し構造が位置する領域を表示領域Rrと呼ぶことがある。表示領域Rr中の発光部100eを例えば全て点灯させることによって、発光装置100を面光源として利用することも可能である。
【0019】
図3Aおよび
図3Bに示すように、半導体積層体120の上面には、複数の発光部100eの間に光反射性部材210が設けられている。光反射性部材210は、発光部100eを囲む開口を有する格子状に形成されている。光反射性部材210によって発光部100eの光取り出し面が囲まれることで、発光部と非発光部の輝度の差をより明確にすることができる。なお、以下では、発光部と非発光部の輝度の差が明確になることを単に「見切り性が良い」などともいう。
【0020】
発光装置100は、複数の発光部100eから構成される表示領域Rrの外側に周辺領域Rpを有し得る。
図1に例示する構成において、周辺領域Rpには、給電用の複数の端子部100sおよび100tが設けられている。この例では、表示領域Rrの上側に、マトリクス状に配置された複数の発光部100eの行方向に沿って8個の端子部100sが直線状に並んでおり、表示領域Rrの右側に、複数の発光部100eの列方向に沿って8個の端子部100tが直線状に並んでいる。言うまでもないが、端子部100sの配置および端子部100tの配置は、直線状に限定されない。
【0021】
図2に示すように、発光装置100は、複数の半導体積層体120の列毎に配置された複数の第1配線160wと、複数の半導体積層体120の行毎に配置された複数の第2配線180wとを有する。ここでは、各第1配線160wは、半導体積層体120のマトリクス状の配置の列方向に延び、列方向に配置された8個の発光構造120を互いに電気的に接続している。各第1配線160wは、列方向に沿って並ぶ半導体積層体120のp型半導体層に電気的に接続される。第1配線160wをp側配線と呼んでもよい。一方、各第2配線180wは、半導体積層体120のマトリクス状の配置の行方向に延び、行方向に並ぶ半導体積層体120のn型半導体層を互いに電気的に接続する。第2配線180wをn側配線と呼んでもよい。
【0022】
この例では、各第1配線160wの一端は、周辺領域Rpに配置された端子部100sの位置(
図1参照)まで延びている。同様に、各第2配線180wの一端は、周辺領域Rpに配置された端子部100tの位置(
図1参照)まで延びている。
【0023】
各第1配線160wおよび各第2配線180wは、これらの間に第2絶縁層170が介在されることによって互いに電気的に分離される。すなわち、
図2は、いわゆるパッシブマトリクス駆動が可能な配線の構成を例示しており、このような配線の構成によれば、発光装置100中の発光部100eのうちの一部の発光部100eを選択して電流を供給することができる。したがって、表示領域Rr中の一部の発光部100eから選択的に光を出射させることができる。
【0024】
図3Aおよび
図3Bに示すように、発光装置100は、光反射性樹脂層190と、光反射性樹脂層190に支持され、それぞれが発光部100eを有する複数の半導体積層体120と、複数の発光部100eの間において半導体積層体の光反射性樹脂層190が設けられた側と反対側に設けられた光反射性部材210とを有する。
【0025】
図3Aに示すように、半導体積層体120のそれぞれは、n型半導体層122nと、p型半導体層122pと、n型半導体層122nおよびp型半導体層122pに挟まれた活性層122aと、p型半導体層122pの上面の略全面を覆うように設けられた全面電極層124eとを含む。n型半導体層122nには、n側電極136nが接続されており、p型半導体層122pには、全面電極層124eを介してp側電極136pが接続されている。n側電極136nおよびp側電極136pは、反射層130を貫通している。なお、この例では、互いに隣接する半導体積層体120は、n型半導体層122nによって繋がっている。光反射性部材210は、半導体積層体120の光反射性樹脂層190が設けられた側と反対側のn型半導体層122nの表面に形成される。
【0026】
半導体積層体120としては、任意の波長の光を出射する構造を選択することができる。例えば窒化物系半導体(InxAlyGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いてn型半導体層122n、p型半導体層122pおよび活性層122aを形成することにより、青色、緑色の光を出射する半導体積層体が得られる。GaAlAs、AlInGaP、GaAsP、GaP等の半導体を含む半導体積層体を形成すれば、赤色の光が得られる。以下では、全ての半導体積層体120が青色光を出射する場合について説明するが、異なる色の光を出射する複数種の発光構造が含まれていてもよいことは言うまでもない。例えば、発光装置が、赤、青、緑の光をそれぞれ出射する3種の半導体積層体120を含んでいてもかまわない。
【0027】
反射層130は、半導体積層体120の側部および底部を実質的に覆い、半導体積層体120から出射された光のうち、半導体積層体120の側部または底部に向かう光を、底部とは反対の方向(ここではzの正方向)に向けて反射させる。反射層130は、例えば、単層もしくは複層の金属膜、または、2種以上の誘電体膜が積層された誘電体多層膜を含む。光の利用効率の観点からは、金属膜と比較して吸収を低減し得るので、反射層130として誘電体多層膜を用いると有益である。反射層130としての誘電体多層膜は、例えば、SiO2膜、TiO2膜およびNb2O5膜からなる群から選択された2種以上を含む。反射層130は、Al2O3を含んでいてもよい。反射層130として金属膜を適用する場合、反射層130の材料として、例えばTi、Al、Ag等を用いることができる。
【0028】
図3Aおよび
図3Bに例示する構成において、半導体積層体120の底部側(発光装置100の底面側といってもよい。)には、さらに光反射性樹脂層190が配置されている。光反射性樹脂層190は、例えば、光反射性のフィラーが分散された樹脂層であり、反射層130と同様に、下方に向かう光を底部とは反対の方向に向けて反射させる機能を有する。光反射性樹脂層190の、半導体積層体120からの光に対する反射率は、例えば60%以上である。半導体積層体120からの光に対する反射率は、70%以上、80%または90%以上であってもよく、適宜に設定され得る。
【0029】
反射層130と、光反射性樹脂層190との間には、第1絶縁層150A、p側配線層160、第2絶縁層170およびn側配線層180が配置されている。第1絶縁層150Aは、反射層130およびp側配線層160の間に位置する。他方、第2絶縁層170は、p側配線層160およびn側配線層180の間に位置し、これらを電気的に分離する。
【0030】
p側配線層160は、上述の第1配線160wと、一端が第1配線160wに接続された複数のビア160vとを有する。ビア160vは、半導体積層体120のp型半導体層122p毎に設けられ、その他端は、p型半導体層122pに電気的に接続されたp側電極136pに接続されている。
図3Bを参照すればわかるように、第1配線160wは、ビア160vを介して、列方向に並ぶ複数の半導体積層体120のp型半導体層122pを互いに電気的に接続している。
【0031】
ここでは、第1配線160wは、同一列の端子部100sの位置まで延びている。
図2に示すように、端子部100sの位置に、p側接続端子126pが配置されている。第1配線160wは、その少なくとも一部がp側接続端子126pに重なる位置まで延びている。p側接続端子126pは、第1配線160wによって、同一列に属する複数の半導体積層体120のp型半導体層122pに電気的に接続される。
【0032】
再び
図3Aを参照する。n側配線層180は、上述の第2配線180wと、一端が第2配線180wに接続された複数のビア180vとを有する。ビア180vは、発光構造120のn型半導体層122n毎に設けられ、その他端は、n型半導体層122nに電気的に接続されたn側電極136nに接続されている。第2配線180wは、ビア180vを介して、行方向に並ぶ複数の半導体積層体120のn型半導体層122nを互いに電気的に接続する。
【0033】
ここで、周辺領域Rpに注目すると、第2配線180wは、同一行の端子部100tの位置まで延び、その少なくとも一部が、端子部100tに配置されたn側接続端子126nに重なっている。n側接続端子126nは、第2配線180wによって、同一行に属する複数の半導体積層体120のn型半導体層122nに電気的に接続される。
【0034】
p側配線層160およびn側配線層180は、金属材料の堆積後、堆積によって得られる金属膜をパターニングすることによって形成することができる。p側配線層160中の第1配線160wおよびn側配線層180中の第2配線180wは、複数の金属層を含む積層構造(例えばTi/Rh/Au/Tiの積層構造)を有し得る。もちろん、第1配線160wおよび第2配線180wの構成が共通である必要はない。
【0035】
p側接続端子126pおよびn側接続端子126nの間に電圧を印加することにより、複数の第1配線160wのうち、電圧の印加されたn側接続端子126nに電気的に接続された第1配線160wと、複数の第2配線180wのうち、電圧の印加されたp側接続端子126pに電気的に接続された第2配線180wとが交差する位置の半導体積層体120に選択的に電流を供給することができる。すなわち、発光装置100中の所望の半導体積層体120に選択的に電流を供給して、半導体積層体120から光を出射させることが可能である。
【0036】
図3Aおよび
図3Bに例示する構造において、発光部100eからの光は、紙面における上方に向けて取り出される。反射層130によって各半導体積層体120の底部および側部を覆うことにより、発光装置の底面および側面からの光の出射を抑制して、光の利用効率を向上させ得る。また、互いに隣接する発光部100e間に反射層130を配置し得るので、複数の発光部100eのうちの一部の発光部100eを選択的に発光させた場合に、発光領域からの非発光領域への光の漏れを抑制し得る。また、半導体積層体120の光出射側である上面において、複数の発光部100eの間に光反射性部材210を配置することにより、発光領域からの非発光領域への光の漏れを効果的に抑制し得る。これにより、見切り性の良い、良好な輝度分布を有する発光装置とすることができる。
【0037】
(発光装置の製造方法)
以下、発光装置100の例示的な製造方法を説明する。
【0038】
図4は、本実施形態による発光装置の製造方法の概略を示す。
図4に示す発光装置の製造方法は、概略的には、基板と基板上の複数の半導体積層体とを有するウエハを準備する工程(ステップS1)と、基板を除去して溝部を形成する工程(ステップS2)と、溝部に光反射性部材を充填する工程(ステップS3)と、除去されずに残った基板を除去する工程(ステップS4)とを含む。以下、
図5A〜
図9Bを参照しながら、各ステップの詳細を説明する。なお、
図5A、
図6Aおよび
図7Aは、
図2のA−A’線の位置での断面を模式的に示し、
図5B、
図6Bおよび
図7Bは、
図2のB−B’線の位置での断面を模式的に示す。また、
図9Aは、
図1のIIIA−IIIA’線の位置での断面を模式的に示し、
図9Bは、
図1のIIIB−IIIB’線の位置での断面を模式的に示す。
【0039】
まず、
図5Aおよび
図5Bに示すように、複数の半導体積層体120を有するウエハを準備する(
図4のステップS1)。
図5Aおよび
図5Bに示すウエハ200Wは、基板200を含み、基板200の一方の表面200a上に複数の半導体積層体120を有する。複数の半導体積層体120は、表面200a上に、第1の方向および第1の方向とは異なる第2の方向に沿って2次元に配置される。ここでは、第1の方向および第2の方向として、互いに直交する方向が選択された例を説明する。すなわち、ここでは、複数の半導体積層体120は、表面200a上においてマトリクス状に配置されている。第1の方向は、例えば、マトリクス状の配置の行方向であり、第2の方向は、マトリクス状の配置の列方向である。
【0040】
図3Aおよび
図3Bを参照して説明したように、各半導体積層体120は、n型半導体層122nと、p型半導体層122pとを含む。n型半導体層122nおよびp型半導体層122pは、基板200の主面上に半導体層をエピタキシャル成長させることによって形成することができる。基板200は、半導体層を成長可能、かつ、最終的に半導体積層体120の分離が可能な基板であればよく、例えば、Si基板、サファイア基板、GaN基板、SiC基板およびGaAs基板を用いることができる。ここでは、Si基板を例示する。
【0041】
基板200の表面200aへの半導体材料(ここでは窒化物系半導体)の堆積により、n型半導体層、活性層およびp型半導体層を有する半導体積層体を表面200a上に形成する。さらに、p型半導体層上に電極材料(ITO、Ag等)を堆積して全面電極層124eを形成する。次に、エッチングにより半導体積層体および全面電極層のパターニングを実行し、基板200の表面200aに島状の複数の発光部100eを形成する。このとき、n型半導体層122nの一部を露出させるように、活性層、p型半導体層および電極材料の膜のパターニングを行う。
【0042】
ここでは、基板200の表面200aに、合計64個の発光部100eをマトリクス状に形成するようにパターニングを実行する。すなわち、基板200の表面200aの全面に半導体層を成長させた後、発光部120を配置すべき領域以外の領域上から半導体層をn型半導体層122nの一部が残る程度の深さまで除去する。
【0043】
次に、基板200の全面を覆う反射膜を形成する。例えば、SiO
2膜およびNb
2O
5膜の積層膜の形成を3回繰り返し、各半導体積層体120を覆う反射膜を形成する。
【0044】
次に、反射膜のうち、各半導体積層体120のn型半導体層122nのうちn側電極136nを形成すべき領域上およびp型半導体層122pのうちp側電極136pを形成すべき領域上の部分を例えば反応性イオンエッチング(RIE)等によって除去し、反射膜にコンタクトホールを形成する。さらに、反射層130上に例えばAu膜を形成し、コンタクトホールの位置にAu膜の一部を残すようにAu膜のパターニングを実行する。Au膜のパターニングにより、n側電極136nおよびp側電極136pが形成される。
【0045】
次に、反射膜130上の領域のうち、互いに隣接する2つの発光部の間を未硬化の樹脂組成物で充填して樹脂組成物を硬化させることにより、樹脂層140を形成する。
【0046】
樹脂層140は、例えば、光反射性のフィラーが分散された光反射性樹脂層である。樹脂層140の、半導体積層体120からの光に対する反射率は、例えば60%以上である。光反射性のフィラーが分散された樹脂組成物を用い、樹脂層140として光反射性樹脂層を形成することにより、半導体積層体120から出射された光の側方への漏れを抑制し得る。半導体積層体120からの光に対する反射率は、70%以上、80%または90%以上であってもよく、適宜に設定され得る。
【0047】
光反射性のフィラーを分散させる樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。光反射性のフィラーとしては、金属の粒子、または、光反射性のフィラーを分散させる樹脂材料よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。
【0048】
次に、半導体積層体120の全面を覆う絶縁材料を形成し、絶縁材料をパターニングすることによって、基板200上の半導体積層体120を覆い、かつ、半導体積層体120毎に第1領域R1のうちn側電極136nの位置および第2領域のうちp側電極136pの位置にスルーホールが設けられた第1絶縁層150を形成する。第1絶縁層150の材料としては、例えばエポキシ系、シリコーン系等の感光性材料を用いることができる。感光性材料の付与後、フォトリソグラフィの適用により、スルーホール以外の部分に絶縁膜の材料を残すことができる。
【0049】
次に、複数の第1配線を形成する。まず基板200の全面に導電膜を形成する。例えば、Ti、Rh、AuおよびTiを第1絶縁層150上に順次に堆積することにより、多層膜の形で導電膜を形成することができる。その後、導電膜のパターニングにより、第1配線160wおよびビア160vを含むp側配線層160を形成する。
【0050】
このとき、導電膜のうちn側電極136nの位置にある部分を残すことにより、一端がn側電極136nに接続された第1導電構造161nを半導体積層体120毎に形成してもよい。第1導電構造161nを予め形成してから、後述の第1導電構造161nに達するスルーホールが設けられた第2絶縁層170を第1絶縁層150上に形成し、その後、第2絶縁層170上に第2配線180wを形成することにより、第1導電構造161nを介して複数の半導体積層体120のn型半導体層122nを第2配線180wによって互いに電気的に接続することができる。したがって、半導体積層体120のアレイの例えば列方向に延びる第1の配線群の下層にある第1の絶縁層と、第1の配線群および第1の配線群に交差する第2の配線群の間に位置する第2の絶縁層との両方を貫通するスルーホールを単一の工程で形成することなく、複数の半導体積層体120のn型半導体層122nを互いに電気的に接続することができる。したがって、予め第1導電構造161nを形成しない場合、換言すれば、2つの絶縁層を貫通するスルーホールを一括して形成する場合と比較して工程の複雑化を回避することができる。
【0051】
図5Aに示すように、p側配線層160のビア160vは、p側電極136pおよび第1配線160wを互いに電気的に接続する。
図5Bに示すように、第1配線160wは、第2の方向(ここでは列方向)に延び、ビア160v、p側電極136pおよび全面電極層124eを介して、第2の方向に並ぶ半導体積層体120のp型半導体層122p同士を電気的に接続する。
【0052】
この例では、第1配線160wは、端子部100sの位置まで延び、一端がp側接続端子160tに電気的に接続されている。
図2を参照して説明したように、第1配線160wは、例えば複数の半導体積層体120の列毎に設けられる。p側接続端子160tに電圧を印加することにより、第1配線160wを介して、第2の方向に並び、かつ、その第1配線160wに接続された複数の半導体積層体120のp型半導体層122pに一括して電圧を印加することができる。
【0053】
次に、基板200の全面を覆う第2の絶縁層を形成する。第2の絶縁層の形成後、第2の絶縁層のパターニングによって、複数の第1配線160wを覆い、かつ、上面視においてn側電極136nに重なる位置にスルーホールが設けられた第2絶縁層170を形成する。第2絶縁層170の材料としては、感光性材料等、第1絶縁層150の材料と同様の材料を用い得る。感光性材料の付与後、フォトリソグラフィの適用により、スルーホール以外の部分に絶縁膜の材料を残すことができる。
【0054】
次に、複数の第2配線を形成する。p側配線層160の形成の工程と同様に、例えば、Ti、Rh、AuおよびTiを第2絶縁層170上に順次に堆積することにより、基板200の全面に多層膜の形で導電膜を形成する。その後、導電膜のパターニングにより、
図12Aに示すように、第2配線180wおよびビア180vを含むn側配線層180を形成することができる。ビア180vの一端および他端は、それぞれ、n側電極136n(または第1導電構造161n)および第2配線180wに接続され、したがって、第2配線180wは、ビア180v、第1導電構造161nおよびn側電極136nを介して、発光構造120のn型半導体層122nに電気的に接続される。
図2に示すように、第2配線180wは、例えば複数の半導体積層体120の行毎に設けられる。
【0055】
第2配線180wは、第1の方向(ここでは行方向)に延び、ビア180vを介して、第1の方向に並ぶ第1導電構造161nに電気的に接続される。その結果、第2配線180wは、ビア180vを介して、第1の方向に並ぶ半導体積層体120のn型半導体層122n同士を電気的に接続する。さらに、この例では、第2配線180wは、端子部100tの位置まで延び、一端がn側接続端子180tに接続されている。このように、n側配線層180の形成の工程において、各第2配線180wを、複数のn側接続端子180tのうちの対応する1つに電気的に接続することができる。n側接続端子180tに電圧を印加することにより、第2配線180wを介して、第1の方向に並び、かつ、その第2配線180wに接続された複数の半導体積層体120のn型半導体層122nに一括して電圧を印加することができる。
【0056】
その後、
図6Aおよび
図6Bに示すように、n側配線層180を覆うように、第2絶縁層170上に光反射性樹脂層190を形成してもよい。光反射性樹脂層190の材料としては、上述の樹脂層150と同様の材料、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂組成物を用いることができる。光反射性樹脂層190の形成には、例えばトランスファー成形等の圧縮成形法を適用可能である。光反射性のフィラーが分散された未硬化の樹脂組成物を第2絶縁層170上に付与し、樹脂組成物を硬化させることによって光反射性樹脂層190が形成される。光反射性樹脂層190の、半導体積層体120からの光に対する反射率は、例えば60%以上である。光反射性樹脂層190の厚さ(半導体積層体120が配置された面に垂直な方向における、最も低い部分から上面までの距離)は、0.2mm以上2mm以下程度であり得る。
【0057】
次に、
図7Aおよび
図7Bに示すように、基板200の一部を除去して溝部202を形成する(
図4のステップS2)。
図8に示すように、平面視において複数の発光部100eの間に位置する基板200を除去することにより、格子状の溝部202を形成する。ここでは基板200としてSi基板を用いているので、例えばエッチングによって基板200の一部を除去することが可能である。例えば、基板の他方の主面にマスクを設け、そのマスクを介して基板200をエッチングすることにより、溝部を比較的容易に形成することができる。溝部202は、n型半導体層122nが露出される深さ形成する。溝部を形成することにより、n型半導体層122nの上に、各々が分離された複数の島状の基板200が設けられる。溝部の形成方法としては、エッチングの他に、ダイシング、スクライブなどの方法を用いることができる。
【0058】
次に、
図9Aおよび
図9Bに示すように、溝部202に光反射性部材210を充填する(
図4のステップS3)。光反射性部材210の材料としては、光反射性物質を含有する樹脂を用いることができ、例えば、上述の樹脂層150と同様の材料を用いることができる。光反射性部材210の形成には、例えばトランスファー成形等の圧縮成形法を適用可能である。光反射性のフィラーが分散された未硬化の樹脂組成物を溝部202に付与し、樹脂組成物を硬化させることによって光反射性部材210が形成される。樹脂組成物の粘度は、溝部202の幅方向の全てを埋設できるように調整することが好ましい。光反射性部材210の、半導体積層体120からの光に対する反射率は、例えば60%以上である。光反射性部材210の幅は、1μm以上1000μm以下程度の範囲であることが好ましい。
【0059】
次に、溝部202を形成する工程において除去されずに残った基板200を除去する(
図4のステップS4)。溝部202以外の領域に残った基板200を除去することにより、n型半導体層122nの上面(n型半導体層122nの、n側電極136nおよびp側電極136pが形成された面とは反対側の表面)に設けられた光反射性部材210が得られる。基板を除去する工程においては、例えばエッチングによって基板202を除去することが可能である。基板200としてサファイア基板を用いる場合には、レーザリフトオフを適用して半導体積層体120からサファイア基板を分離し得る。これにより、
図3Aおよび
図3Bに示す構造を有する発光装置100が得られる。
【0060】
上述した実施形態によれば、半導体積層体の光出射側に、発光部100eを囲む光反射性部材210を容易に形成することができるため、見切り性の良い、良好な輝度分布を有する発光装置を実現し得る。
【0061】
なお、上述の例では、溝部202の底面の位置は、n型半導体層122nの上面(n型半導体層122nの、n側電極136nおよびp側電極136pが形成された面とは反対側の表面)にほぼ一致している。しかしながら、溝部202の底面の位置を、n型半導体層122nの上面に一致させる必要はない。
図10Aおよび
図10Bに示すように、例えば、互いに隣接する2つの発光部100eの間に位置する反射層130の上面が、半導体積層体120の上面よりも低い場合は、溝部202の底面の位置が反射層130の上面の位置に揃えられていてもよい。これにより、互いに隣接する2つの発光部100eが反射層130および光反射性部材210によって分離されるため、隣接する発光部100eへの光の漏れ込みをより低減することができる。