(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[半導体装置及び積層体]
本発明の半導体装置は、支持体と、該支持体上に形成された二層からなる接着剤樹脂層と、該接着剤樹脂層上に形成された絶縁層及び再配線層と、チップ層と、モールド樹脂層とを備えるものである。前記接着剤樹脂層は、前記支持体側から順に、光の照射により分解可能な樹脂を含む樹脂層Aと、非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層Bとからなる。前記光の照射により分解可能な樹脂は、主鎖に縮合環を含む樹脂である。また、前記非シリコーン系熱可塑性樹脂は、そのガラス転移温度が200℃以上である。
【0013】
また、本発明の積層体は、前記支持体と、該支持体上に形成された二層からなる接着剤樹脂層と、メッキレジスト層とを備えるものである。前記積層体に対し、再配線化し、更にチップを形成することで、半導体装置とすることができる。
【0014】
[支持体]
前記支持体としては、透明基板、シリコン基板、セラミック基板等が挙げられるが、支持体を剥離する際に照射するレーザーの透過性の点から、透明基板が好ましい。前記透明基板としては、通常、ガラス基板や石英基板が用いられ、その厚さは、通常300〜1,500μmが好ましく、500〜1,100μmがより好ましい。支持体の形状は、特に限定されないが、円型又は角型が好適である。
【0015】
[接着剤樹脂層]
接着剤樹脂層は、前記支持体側から順に、光の照射により分解可能な樹脂を含む樹脂層Aと、非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層Bとからなる。
【0016】
[樹脂層A]
樹脂層Aは、遮光性を有する樹脂層(遮光層)であり、波長355nmの光の透過率が20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。また、樹脂層Aは、波長300〜500nmの光の透過率が20%以下であることが好ましい。
【0017】
耐熱性、接着性、耐薬品性等の観点から、樹脂層Aに含まれる樹脂は、主鎖に縮合環を含むものが好ましい。このような樹脂としては、特に、下記式(1)で表される繰り返し単位を含むもの(以下、樹脂Aともいう。)が好ましい。なお、式(1)で表される繰り返し単位は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0019】
式(1)中、R
1〜R
3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の1価の有機基である。ただし、R
1〜R
3の少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。
【0020】
前記1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルブチル基、アダマンチル基等の直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基;メトキシ基等の直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜5のアルコキシ基;グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。R
1〜R
3としては、水素原子、ヒドロキシ基、メチル基等が好ましい。
【0021】
式(1)中、R
4は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜10の1価の有機基である。R
4で表される1価の有機基としては、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ノルボルニル基等が挙げられ、これらの基の水素原子の一部が、アルキル基、アリール基、アルデヒド基、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。
【0022】
樹脂Aは、通常、無溶媒又は溶媒中で酸又は塩基を触媒として用いて、室温又は必要に応じて冷却又は加熱下にて、ナフトール又はその誘導体とアルデヒド化合物とを重縮合反応させることにより得ることができる。
【0023】
前記ナフトール又はその誘導体としては、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−1−ナフトール、2−メトキシカルボニル−1−ナフトール、1−(4−ヒドロキシフェニル)ナフタレン、6−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフトール、6−(シクロヘキシル)−2−ナフトール、1,1'−ビ−2−ナフトール、6,6'−ビ−2−ナフトール、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、1−ヒドロキシメチルナフタレン、2−ヒドロキシメチルナフタレン等が挙げられる。前記ナフトール又はその誘導体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
前記アルデヒド化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
R
4−CHO
(式中、R
4は、前記と同じ。)
【0025】
前記アルデヒド化合物として具体的には、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、アダマンタンカルボアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、4−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、1−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、3−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、アントラセンカルボアルデヒド、ピレンカルボアルデヒド、フルフラール、メチラール、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ナフタレンジカルボアルデヒド、アントラセンジカルボアルデヒド、ピレンジカルボアルデヒド等が挙げられる。前記アルデヒド化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
前記重縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロフォルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの溶媒は、ナフトール又はその誘導体とアルデヒド化合物との合計100質量部に対し、好ましくは0〜2,000質量部、より好ましくは10〜2,000質量部の範囲で使用できる。
【0027】
前記重縮合反応に用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化スズ、四臭化スズ、二塩化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類が挙げられる。
【0028】
また、前記重縮合反応に用いられる塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコキシド類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基類が挙げられる。
【0029】
触媒の使用量は、ナフトール又はその誘導体とアルデヒド化合物との合計100質量部に対し、好ましくは0.001〜100質量部、より好ましくは0.005〜50質量部の範囲である。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、室温から100℃が更に好ましい。
【0030】
重縮合反応方法としては、ナフトール又はその誘導体、アルデヒド類、触媒を一括で仕込む方法や、触媒存在下でナフトール又はその誘導体、アルデヒド類を滴下していく方法が挙げられる。
【0031】
ナフトール又はその誘導体とアルデヒド化合物との使用比率は、ナフトール又はその誘導体の合計に対し、アルデヒド化合物が、モル比で、好ましくは0.01〜5であり、より好ましくは0.05〜2であり、更に好ましくは0.05〜1であり、最も好ましくは0.1〜0.9である。
【0032】
重縮合反応終了後、系内に存在する未反応原料、触媒等を除去するために、反応釜の温度を130〜230℃にまで上昇させ、減圧下(例えば、1〜50mmHg程度)で揮発分を除去したり、適切な溶媒や水を加えてポリマーを分画したり、ポリマーを良溶媒に溶解後貧溶媒中で再沈したりしてもよい。これらは、得られた反応生成物の性質により使い分けることができる。
【0033】
樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましい。樹脂Aの分散度は、1.2〜20の範囲であることが好ましいが、モノマー成分、オリゴマー成分又はMwが500未満の低分子量体をカットすると、ベーク中の揮発成分を抑えることができ、ベークカップ周辺の汚染や揮発成分の落下による表面欠陥の発生を防ぐことができる。なお、本発明においてMwは、THFを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0034】
樹脂層Aは、樹脂Aを含む樹脂組成物Aの硬化物からなるものであることが好ましい。
【0035】
樹脂組成物Aは、更に、樹脂Aを熱反応によって架橋させる架橋剤を含むことが好ましい。前記架橋剤としては、分子内に2個以上の官能基を有するエポキシ化合物、エポキシ樹脂、メチロールメラミン等のアミノ化合物又はアミノ樹脂等が好適に用いられ、これらの架橋剤と樹脂Aとの架橋反応を促進させるため、更に触媒を添加することが好ましい。
【0036】
前記エポキシ化合物やエポキシ樹脂としては、2官能、3官能、4官能以上の多官能エポキシ樹脂、例えば、日本化薬(株)製のEOCN-1020(下記式参照)、EOCN-102S、XD-1000、NC-2000-L、EPPN-201、GAN、NC6000や、下記式で表されるもの等が挙げられる。
【0038】
前記エポキシ化合物やエポキシ樹脂を架橋剤として使用する場合、その配合量は、式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂A100質量部に対し、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは1〜30質量部である。架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。配合量が前記範囲であれば、十分な架橋密度が得られ、得られた硬化物が十分に機能する。
【0039】
前記エポキシ樹脂を架橋剤として使用した場合、触媒として硬化促進剤を添加することが好ましい。エポキシ樹脂硬化促進剤を含有することにより、硬化反応を適切かつ均一に進めることができる。
【0040】
エポキシ樹脂硬化促進剤は、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、及びこれらの化合物のエチルイソシアネート化合物、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、DBUの有機酸塩、DBUのフェノール樹脂塩、DBU誘導体のテトラフェニルボレート塩等のDBU系化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート等のトリオルガノホスフィン類、4級ホスホニウム塩、トリエチレンアンモニウム・トリフェニルボレート等の第3級アミン、及びそのテトラフェニルホウ素酸塩等が挙げられる。前記エポキシ樹脂硬化促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0041】
エポキシ樹脂硬化促進剤を使用する場合、その配合量は、樹脂A100質量部に対し、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜5質量部である。
【0042】
また、本発明で使用されるメチロールメラミン等のアミノ化合物又はアミノ樹脂としては、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物及び1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0043】
前記アミノ化合物又はアミノ樹脂は、Mwが150〜10,000であるものが好ましく、200〜3,000のものがより好ましい。Mwが前記範囲であれば、十分な硬化性が得られ、組成物の硬化後の耐熱性も良好である。
【0044】
前記ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、例えばホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたメラミン縮合物、又はホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性された尿素縮合物が挙げられる。
【0045】
前記ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたメラミン縮合物は、例えば公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルマリンでメチロール化して変性するか、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性して、下記式(2)で表される変性メラミンとすることにより調製できる。なお、前記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1〜4のアルコールが好ましい。
【0047】
式中、R
5〜R
10は、それぞれ独立に、メチロール基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜4のアルコキシ基を含むアルコキシメチル基、又は水素原子であるが、少なくとも1つはメチロール基又はアルコキシメチル基である。
【0048】
式(2)で表される変性メラミンとしては、トリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等が挙げられる。次いで、前記変性メラミン又はこれから得られる多量体(例えば、2量体、3量体等のオリゴマー)を常法に従ってホルムアルデヒドと所望の分子量になるまで付加縮合重合させることで、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたメラミン縮合物が得られる。なお、前記変性メラミン及びその縮合体の1種以上の変性メラミン縮合物を架橋剤として使用することができる。
【0049】
また、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性された尿素縮合物は、例えば公知の方法に従って所望の分子量の尿素縮合物をホルマリンでメチロール化して変性し、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性することにより調製できる。前記変性尿素縮合物の具体例としては、例えばメトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。なお、これら1種以上の変性尿素縮合物を使用することができる。
【0050】
1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物としては、例えば、(2−ヒドロキシ−5−メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール、2,2',6,6'−テトラメトキシメチルビスフェノールA等が挙げられる。
【0051】
これらアミノ縮合物又はフェノール化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
なお、前記メチロールメラミン等のアミノ化合物又はアミノ樹脂を架橋剤として使用した場合、触媒として熱酸発生剤を添加することが好ましい。熱酸発生剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表されるアンモニウム塩が挙げられる。
【0054】
式中、R
11〜R
14は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基若しくはアリールオキシアルキル基を表し、これらの基の水素原子の一部がオキソ基で置換されていてもよく、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基で置換されていてもよい。R
11〜R
14から選ばれる2つは、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、この場合、該環は、式中の窒素原子を環の中に有する炭素数3〜10の脂肪族環であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する炭素数5〜10の複素芳香族環である。X
-は、α位に少なくとも1つのフッ素原子を有するスルホン酸イオン、パーフルオロアルキルイミドイオン又はパーフルオロアルキルメチドイオンである。
【0055】
X
-として具体的には、トリフレートアニオン、ノナフレートアニオン等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、α位に少なくとも1つのフッ素原子を有するスルホネートアニオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドアニオン等のイミドアニオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタニドアニオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メタニドアニオン等のメタニドアニオンが挙げられる。
【0056】
熱酸発生剤を配合する場合、その配合量は、樹脂A100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.2〜10質量部である。前記範囲であれば、樹脂組成物Aが十分に硬化し、樹脂組成物Aの保存安定性も良好である。
【0057】
樹脂組成物Aは、溶媒を含んでもよい。前記溶媒として、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−ペンチルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。前記溶媒を配合する場合、その配合量は、樹脂A100質量部に対し、好ましくは100〜5,000質量部、より好ましくは150〜2,500質量部である。
【0058】
また、樹脂組成物Aは、溶媒を含まないフィルム状組成物としても使用することができる。
【0059】
樹脂組成物Aは、必要に応じて、界面活性剤や、耐熱性の更なる向上を目的として、酸化防止剤等を含んでもよい。
【0060】
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファック(登録商標)F171、F172、F173(DIC(株)製)、フロラード(登録商標)FC430、FC431(スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロン(登録商標)S-381、S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノール(登録商標)E1004、KH-10、KH-20、KH-30、KH-40(旭硝子(株))等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X-70-092、X-70-093、X-70-1102(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo. 75、No. 95(共栄社化学(株)製)が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、有機リン化合物及び有機硫黄化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0062】
前記ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(商品名:Sumilizer BHT)、2,5−ジ−tert−ブチル−ハイドロキノン(商品名:Nocrac NS-7)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール(商品名:Nocrac M-17)、2,5−ジ−tert−ペンチルハイドロキノン(商品名:Nocrac DAH)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS-6)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル(商品名:IRGANOX 1222)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac 300)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS-5)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:アデカスタブAO-40)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GM)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GS)、2,2'−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチル−シクロヘキシル)フェノール]、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)(商品名:シーノックス226M)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(商品名:IRGANOX 1520L)、2,2'−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(商品名:アデカスタブAO-30)、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブAO-60)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGANOX 1098)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:IRGANOX 3114)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム/ポリエチレンワックス混合物(50:50)(商品名:IRGANOX 1425WL)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1135)、4,4'−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)(商品名:Sumilizer WX-R)、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン(商品名:Sumilizer GP)等が挙げられる。
【0063】
前記ヒンダードアミン系化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン(商品名:IRGANOX 5057)、フェニル−α−ナフチルアミン(商品名:Nocrac PA)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名:Nocrac 224、224-S)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(商品名:Nocrac AW)、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac DP)、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac White)、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac 810NA)、N,N'−ジアリル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nonflex TP)、4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:Nocrac CD)、p,p−トルエンスルフォニルアミノジフェニルアミン(商品名:Nocrac TD)、N−フェニル−N'−(3−メタクロリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac G1)、N−(1−メチルヘプチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン(商品名:Ozonon 35)、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Sumilizer BPA)、N−フェニル−N'−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Antigene 6C)、アルキル化ジフェニルアミン(商品名:Sumilizer 9A)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(商品名:Tinuvin 622LD)、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]](商品名:CHIMASSORB 944)、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名:CHIMASSORB 119FL)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 123)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 770)、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(商品名:TINUVIN 144)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 765)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA-57)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA-52)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA-62)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA-67)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA-63P)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA-68LD)、(2,2,6,6−テトラメチレン−4−ピペリジル)−2−プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-82)、(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-87)等が挙げられる。
【0064】
前記有機リン化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4'−ジイルビスホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(商品名:SANKO-HCA)、トリエチルホスファイト(商品名:JP302)、トリ−n−ブチルホスファイト(商品名:JP304)、トリフェニルホスファイト(商品名:アデカスタブTPP)、ジフェニルモノオクチルホスファイト(商品名:アデカスタブC)、トリ(p−クレジル)ホスファイト(商品名:Chelex-PC)、ジフェニルモノデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ135A)、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト(商品名:JPM313)、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト(商品名:JP308)、フェニルジデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ517)、トリデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ3010)、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト(商品名:JPP100)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-24G)、トリス(トリデシル)ホスファイト(商品名:JP333E)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-4C)、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-36)、ビス[2,4−ジ(1−フェニルイソプロピル)フェニル]ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-45)、トリラウリルトリチオホスファイト(商品名:JPS312)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:IRGAFOS 168)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(商品名:アデカスタブ1178)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-8)、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト(商品名:アデカスタブ329K)、トリオレイルホスファイト(商品名:Chelex-OL)、トリステアリルホスファイト(商品名:JP318E)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト(商品名:JPH1200)、テトラ(C
12−C
15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト(商品名:アデカスタブ1500)、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト(商品名:アデカスタブ260)、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン−トリホスファイト(商品名:アデカスタブ522A)、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー(HBP)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルオキシ)4,4'−ビフェニレン−ジ−ホスフィン(商品名:P-EPQ)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニルオキシ)4,4'−ビフェニレン−ジ−ホスフィン(商品名:GSY-101P)、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン(商品名:IRGAFOS 12)、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(商品名:アデカスタブHP-10)等が挙げられる。
【0065】
前記有機硫黄化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TPL-R)、ジミリスチル−3,3'−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TPM)、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TPS)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(商品名:Sumilizer TP-D)、ジトリデシル−3,3'−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TL)、2−メルカプトベンズイミダゾール(商品名:Sumilizer MB)、ジトリデシル−3,3'−チオジプロピオネート(商品名:アデカスタブAO-503A)、1,3,5−トリス−β−ステアリルチオプロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、3,3'−チオビスプロピオン酸ジドデシルエステル(商品名:IRGANOX PS 800FL)、3,3'−チオビスプロピオン酸ジオクデシルエステル(商品名:IRGANOX PS 802FL)等が挙げられる。
【0066】
前記酸化防止剤の中でも、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンが、特に好ましい。前記酸化防止剤の添加量は、樹脂A100質量部に対し、0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。前記範囲であれば、十分な耐熱効果が得られ、相溶性も得られる。なお、酸化防止剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
また、樹脂組成物Aには、耐熱性を更に高めるため、公知のシリカ等のフィラーを樹脂A100質量部に対し、50質量部以下添加してもよい。
【0068】
樹脂組成物Aが溶液である場合は、スピンコート、ロールコート、ダイコート、印刷、ディッピング等の方法で支持体上に塗布し、その溶媒の揮発条件に応じて好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃の温度でプリベークを行い、溶媒を揮発させることで、樹脂組成物層A'が形成される。
【0069】
一方、樹脂組成物Aがフィルム状組成物である場合は、ラミネート法によって支持体上に樹脂組成物層A'を形成することができる。
【0070】
支持体上に形成された樹脂組成物層A'は、更に加熱硬化させることで、樹脂層Aとして機能する。加熱硬化は、ホットプレートやオーブンにより行うことが可能であり、その条件は、通常、100〜350℃で5〜150分間、好適には150〜300℃で10〜120分間である。この硬化反応は樹脂層A上に樹脂層Bを形成する前に実施することが好ましい。
【0071】
支持体上に形成された樹脂層Aの厚さは、0.1〜50μmが好ましく、0.3〜30μmがより好ましい。樹脂層Aの厚さが前記範囲であれば、遮光性が十分にあり、膜の平坦性も良好である。
【0072】
[樹脂層B]
樹脂層Bは、非シリコーン系熱可塑性樹脂(シロキサン骨格を有しない熱可塑性樹脂)を含み、該非シリコーン系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が200℃以上であるものである。ガラス転移温度が200℃未満であると、樹脂層B上への絶縁層の形成時に樹脂層Bが流動、変形してしまい、絶縁層の界面において剥離又は絶縁層にクラックが発生するおそれがある。
【0073】
ガラス転移温度は好ましくは205℃以上であり、より好ましくは210℃以上である。ガラス転移温度に特に上限はないが、400℃程度までであれば、絶縁層との接着性が維持され、より安定的に積層体を作製することができる。なお、本発明において、ガラス転移温度は、公知の動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
【0074】
樹脂層Bは、樹脂層A上への適用性から、主鎖に芳香族環を含むものが好ましい。このような材料であれば、樹脂層A上へのスピンコート性が良好である。前記非シリコーン系熱可塑性樹脂は、Mwが、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは15,000〜150,000のものがよい。
【0075】
前記非シリコーン系熱可塑性樹脂としては、例えばポリイミド樹脂(オーラム(登録商標)PL450C(Tg:250℃)、三井化学(株)製)、ポリアリレート樹脂(ユニファイナー(登録商標)M-2040(Tg:220℃)、M-2000H(Tg:270℃)、ユニチカ(株)製)、ポリフェニレンエーテル樹脂(ザイロン(登録商標)S201A(Tg:216℃)、旭化成(株)製)及びポリエーテルスルホン樹脂(スミカエクセル(登録商標)PES 4800G(Tg:240℃)、住友化学(株)製)等が挙げられる。なかでもポリアリレート樹脂M-2040を溶解性の点から用いることが好ましい。
【0076】
樹脂層Bは、前記非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物Bの硬化物からなるものであることが好ましい。
【0077】
樹脂組成物Bは、その耐熱性向上の目的で酸化防止剤や、コーティング性向上のため界面活性剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、ジ−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。界面活性剤としては、フッ素シリコーン系界面活性剤X-70-1102(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0078】
樹脂組成物Bは、溶媒を含んでもよい。前記溶媒としては、好ましくは、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、p−メンタン、ピネン、イソオクタン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられるが、そのコーティング性より、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、キシレン、メシチレンがより好ましい。溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。前記溶媒の配合量は、非シリコーン系熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは250〜5,000質量部、より好ましくは300〜4,000質量部である。
【0079】
また、樹脂組成物Bは、溶媒を含まないフィルム状組成物としても使用することができる。
【0080】
樹脂組成物Bが溶液である場合は、スピンコート、ロールコート、ダイコート、スリットコート、印刷、ディッピング等の方法で樹脂層A上に塗布し、その後、ホットプレートやオーブンによって加熱することで、樹脂層Bを形成することができる。このとき、加熱条件は、通常、100〜200℃で1〜15分間、好適には130〜190℃で2〜10分間である。
【0081】
一方、樹脂組成物Bがフィルム状組成物である場合は、ラミネート法によって樹脂層A上に樹脂層Bを形成することができる。
【0082】
樹脂層Bの厚さは、好ましくは0.5〜70μm、より好ましくは1〜50μmである。厚さが前記範囲であれば、加熱不足による溶媒の残存の懸念がなくなり、かつ、絶縁層の形成においてその平坦性を向上させることができる。
【0083】
絶縁層、再配線層、チップ層及びモールド樹脂層については、以下の半導体装置の製造方法において説明する。
【0084】
本発明の半導体装置の製造方法は、下記工程を含む。
[工程(a)]
工程(a)は、支持体に遮光性を有する樹脂層Aを形成する工程である。樹脂層Aを形成するための樹脂組成物Aが溶液である場合は、これをスピンコート、ロールコート等の方法により支持体上に塗布し、その溶媒の揮発条件に応じて、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃の温度でプリベークを行い、溶媒を揮発させることで、樹脂組成物層A'が形成される。また、樹脂組成物Aがフィルム状組成物である場合は、ラミネート法によって支持体上に樹脂組成物層A'が形成される。
【0085】
支持体上に形成された樹脂組成物層A'を加熱硬化させることで、樹脂層Aとして機能することができる。加熱硬化は、ホットプレートやオーブンにより行うことが可能であり、その温度は、通常100〜350℃、好適には150〜300℃である。また、硬化時間は、通常5〜150分間、好適には10〜120分間である。
【0086】
[工程(b)]
工程(b)は、樹脂層A上に樹脂層Bを形成する工程である。樹脂組成物Bが溶液である場合は、スピンコート、ロールコート、ダイコート、印刷、ディッピング等の方法で樹脂層A上に塗布し、その後、ホットプレートやオーブンによって130〜190℃で加熱することで、樹脂層Bを形成することができる。
【0087】
一方、樹脂組成物Bがフィルム状組成物である場合は、ラミネート法によって樹脂層A上に樹脂層Bを形成することができる。
【0088】
[工程(c)]
工程(c)は、樹脂層B上に再配線層の形成に用いられる絶縁層を形成し、該絶縁層にパターンを形成する工程である。前記絶縁層としては、特に限定されず、半導体分野における公知のものを使用することができるが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、又はこれらの共重合体等の樹脂材料を用いて形成されたものが好ましい。
【0089】
前記絶縁層の形成方法は特に限定されず、公知の技術を用いて形成することができる。例えば、前記樹脂材料を含む組成物を調製し、これをスピンコート、ロールコート等の塗布法で樹脂層B上に塗布したり、前記組成物をフィルム上に成形した後、該フィルムを樹脂層B上に真空ラミネート法等により積層したりする等の方法によって、前記絶縁層を形成することができる。なお、前記組成物を塗布後、必要に応じて50〜300℃、好ましくは100〜250℃の加熱を施してもよい。前記絶縁層の厚さは、0.1〜100μmが好ましく、0.5〜40μmがより好ましく、1〜35μmが更に好ましい。
【0090】
また、前記絶縁層にパターンを形成する方法も、特に限定されず、従来公知の方法で形成することができる。例えば、フォトリソグラフィーによってパターンを形成することができ、この場合、前記絶縁層を形成したのち、露光、現像を行うことで前記絶縁層にパターンを形成することができる。
【0091】
[工程(d)]
工程(d)は、前記パターンを形成した絶縁層上に導電層を形成する工程である。導電層は、例えばTi、Cu、Ti/Cu等の層をスパッタにより形成させる。この導電層は、後述する再配線層の形成に必要となる。前記導電層の厚さは、0.01〜2μmが好ましく、0.02〜1μmがより好ましい。
【0092】
[工程(e)]
工程(e)は、前記導電層上に再配線層形成用のメッキレジスト層を形成し、該メッキレジスト層にパターンを形成し、前記メッキレジスト層のパターン間に前記導電層を露出させる工程である。前記メッキレジスト層は、特に限定されず、一般的に用いられているものを使用することができるが、好ましくはi線用ポジ型レジストがよい。前記レジスト層は、0.1〜100μm程度の厚さに形成されることが好ましい。前記メッキレジスト層に、例えば、フォトリソグラフィーによってパターンを形成することができる。
【0093】
[工程(f)]
工程(f)は、前記メッキレジスト層のパターン間に露出した導電層上に再配線層を形成する工程である。導電層上にメッキを施すことで、再配線層を形成することができるが、メッキは、銅等の金属、銅/金合金、銅/ニッケル/金合金等の合金を電気メッキしたものが好ましい。前記再配線層の厚さは、0.5〜30μmが好ましく、1.0〜20μmがより好ましい。
【0094】
[工程(g)]
工程(g)は、前記メッキレジスト層を除去し、更に露出した導電層を除去する工程である。前記メッキレジスト層は半導体分野における公知の方法で除去できるが、例えばシクロペンタノンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒を使用することで除去可能である。また、露出した導電層の除去についても半導体分野における公知の方法で除去できるが、Tiの場合はバッファードフッ酸を、Cuの場合はリン酸加水を使用することで除去可能である。
【0095】
[工程(h)]
工程(h)は、前記工程(g)後、二層目の絶縁層を形成し、該二層目の絶縁層にパターンを形成し、前記再配線層を露出させる工程である。前記絶縁層としては工程(c)と同様のものを使用することができ、パターンを形成することで、開口部に次工程のチップを接続する際に必要となる再配線層部分を露出させることができる。
【0096】
[工程(i)]
工程(i)は、前記二層目の絶縁層の開口により表面に露出した前記再配線層上にチップ層を形成する工程である。前記チップ層は、例えば、Sn、Ag、Au、Cu、Ni、Pd、Pt等の金属やその合金等を用いてメッキ等によってバンプを形成した基板を、前記再配線層上にフリップ接続させることで形成することができる。
【0097】
[工程(j)]
工程(j)は、前記チップ層と絶縁層との間にアンダーフィル剤を充填する工程である。前記アンダーフィル剤は半導体分野における公知の方法で充填することができるが、例えばエポキシ系等の材料をキャピラリーによりチップ層と絶縁層との間に充填することができる。
【0098】
[工程(k)]
工程(k)は、前記チップ層上にモールド樹脂層を形成する工程である。得られた半導体装置をモールド材料で更に封止することで、所望の半導体装置が得られる。モールド材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂に、シリカ、酸化チタン等の無機フィラーを加えた材料が用いられる。このようなモールド材料を用いて、必要により加熱硬化させることで封止することができる。モールド樹脂層の厚さは、特に限定されないが、通常10〜500μm程度である。
【0099】
なお、前記支持体は、例えば、355nmのレーザー光を照射することによって、剥離することができる。支持体剥離後、前記半導体装置上に残留した樹脂層Bに対し、溶媒洗浄を行うことで、所望の半導体積層体が得られる。なお、残渣が残っている場合は、更に酸素プラズマ等の印加により除去することも可能である。更に、前記半導体積層体を多層積層させることで、高密度な半導体パッケージを得ることができる。
【実施例】
【0100】
以下、調製例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、THFを溶媒として用いたGPCによるポリスチレン換算測定値である。また、下記例で使用した酸発生剤AG及び架橋剤ニカラックMw390は、以下のとおりである。
【0101】
【化6】
【0102】
[1]樹脂組成物の調製
[調製例1]
1,000mLのフラスコに、1,5−ジヒドロキシナフタレン80g(0.50モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド51.6g(0.30モル)及びメチルセロソルブ145gを加え、70℃で攪拌しながら20質量%パラトルエンスルホン酸メチルセロソルブ溶液20gを添加した。温度を85℃に上げ6時間攪拌した後、室温に冷却し、酢酸エチル800mLで希釈した。分液ロートに移し変え、脱イオン水200mLで洗浄を繰り返し、反応触媒と金属不純物を除去した。得られた溶液を減圧濃縮した後、残渣に酢酸エチル600mLを加え、ヘキサン2,400mLでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別、回収後、減圧乾燥して、下記式で表される繰り返し単位を含む樹脂A1を得た。樹脂A1のMwは3,200、分散度(Mw/Mn)は2.44であった。
樹脂A1 20質量部、酸発生剤AG1質量部、及び架橋剤としてニカラックMw390((株)三和ケミカル製)4質量部を、FC-4430(スリーエム社製フッ素系界面活性剤)0.1質量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100質量部に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、樹脂組成物A1を得た。
【0103】
【化7】
【0104】
[調製例2]
1,000mLのフラスコに、1,5−ジヒドロキシナフタレン80g(0.50モル)、パラホルムアルデヒド9.0g(0.30モル)及びメチルセロソルブ145gを加え、70℃で攪拌しながら20質量%パラトルエンスルホン酸メチルセロソルブ溶液20gを添加した。温度を85℃に上げ6時間攪拌した後、室温に冷却し、酢酸エチル800mLで希釈した。分液ロートに移し変え、脱イオン水200mLで洗浄を繰り返し、反応触媒と金属不純物を除去した。得られた溶液を減圧濃縮した後、残渣に酢酸エチル600mLを加え、ヘキサン2,400mLでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別、回収後、減圧乾燥して、下記式で表される繰り返し単位を含む樹脂A2を得た。樹脂A2のMwは1,500、Mw/Mnは2.20であった。
樹脂A2 20質量部、酸発生剤AG1質量部、及び架橋剤としてニカラックMw390((株)三和ケミカル製)4質量部を、FC-4430(スリーエム社製)0.1質量%を含むPGMEA100質量部に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、樹脂組成物A2を得た。
【0105】
【化8】
【0106】
[調製例3]
1,000mLのフラスコに、1−ナフトール72g(0.50モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド51.6g(0.30モル)及びメチルセロソルブ145gを加え、70℃で攪拌しながら20質量%パラトルエンスルホン酸メチルセロソルブ溶液20gを添加した。温度を85℃に上げ6時間攪拌した後、室温に冷却し、酢酸エチル800mLで希釈した。分液ロートに移し変え、脱イオン水200mLで洗浄を繰り返し、反応触媒と金属不純物を除去した。得られた溶液を減圧濃縮した後、残渣に酢酸エチル600mLを加え、ヘキサン2,400mLでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別、回収後、減圧乾燥して、下記式で表される繰り返し単位を含む樹脂A3を得た。樹脂A3のMwは2,700、Mw/Mnは2.61であった。
樹脂A3 20質量部、酸発生剤AG1質量部、及び架橋剤としてニカラックMw390((株)三和ケミカル製)4質量部を、FC-4430(スリーエム社製)0.1質量%を含むPGMEA100質量部に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、樹脂組成物A3を得た。
【0107】
【化9】
【0108】
[比較調製例1]
1,000mLのフラスコに、2−メチルヒドロキシベンゼン32.4g(0.30モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド51.6g(0.30モル)及びメチルセロソルブ145gを加え、70℃で攪拌しながら20質量%パラトルエンスルホン酸メチルセロソルブ溶液20gを添加した。温度を85℃に上げ6時間攪拌した後、室温に冷却し、酢酸エチル800mLで希釈した。分液ロートに移し変え、脱イオン水200mLで洗浄を繰り返し、反応触媒と金属不純物を除去した。得られた溶液を減圧濃縮した後、残渣に酢酸エチル600mLを加え、ヘキサン2,400mLでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾別、回収後、減圧乾燥して、下記式で表される繰り返し単位を含む樹脂A4を得た。樹脂A4のMwは2,100、Mw/Mnは1.58であった。
樹脂A4 20質量部、酸発生剤AG1質量部、及び架橋剤としてニカラックMw390((株)三和ケミカル製)4質量部を、FC-4430(スリーエム社製)0.1質量%を含むPGMEA100質量部に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、樹脂組成物A4を得た。
【0109】
【化10】
【0110】
[調製例4]
ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルであるポリフェニレンエーテル樹脂ザイロンS201A(旭化成(株)製、Mn=19,000)20gをp−キシレン180gに溶解し、10質量%のザイロンS201Aのp−キシレン溶液を得た。得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、樹脂組成物B1を得た。また、樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、216℃であった。
【0111】
[調製例5]
ポリアリレート樹脂であるユニファイナーM-2000H(ユニチカ(株)製)20gをシクロヘキサノン134gに溶解し、13質量%のユニファイナーM-2000Hのシクロヘキサノン溶液を得た。得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、樹脂組成物B2を得た。また、樹脂のTgを測定したところ、270℃であった。
【0112】
[調製例6]
ポリイミド樹脂オーラムPL450C(三井化学(株)製)16gをN−メチル−2−ピロリドン184gに溶解し、8質量%のオーラムPL450CのN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、樹脂組成物B3を得た。また、樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、250℃であった。
【0113】
[比較調製例2]
水素添加ポリスチレン系熱可塑性樹脂セプトン4033((株)クラレ製ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、スチレン含有量30質量%)10gをメシチレン190gに溶解し、5質量%のセプトン4033のメシチレン溶液を得た。得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、樹脂組成物B4を得た。また、樹脂のTgを測定したところ、105℃であった。
【0114】
なお、樹脂のTgの測定方法は、以下のとおりである。
樹脂組成物B1〜B4をそれぞれ180℃で10分間加熱して硬化させ、厚さ0.5mm、30mm×10mm角の測定シートを作製した。作製した測定シートを用いて、動的粘弾性測定装置((株)日立ハイテクサイエンス製DMA7100)によって、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件で、0〜300℃の範囲で測定を行い、tanδのピーク(極大値)をTgとした。
【0115】
[2]半導体装置の作製及びその評価
[実施例1〜5、比較例1〜4]
直径200mm(厚さ:500μm)のガラス板に、樹脂組成物A1、A2、A3又はA4をスピンコート後、ホットプレートにて180℃で2分間、250℃で5分間加熱することにより、表1に示す膜厚で樹脂層Aを形成した。
更に、樹脂層A上に樹脂組成物B1、B2、B3又はB4をスピンコート後、ホットプレートにより150℃で5分間、180℃で5分間加熱することで、表1に示す膜厚で樹脂層Bを形成した。なお、比較例1は、樹脂層Aのみを形成したものであり、比較例2は、樹脂層Bのみを形成したものである。
その後、樹脂層A及び樹脂層B、又は樹脂層A若しくは樹脂層Bのみが成膜されたガラス板に対し、下記試験を行った。結果を表1に示す。なお、以下の順で評価を実施した。
【0116】
(1)再配線層の形成及び多層絶縁層の硬化による繰り返し耐熱性
特許第5417623号公報の実施例2のポリイミドシリコーン組成物を用い、樹脂層Bの上に膜厚4μmとなるようにスピンコートし、100℃で加熱して絶縁層を形成した。前記絶縁層に特許第5417623号公報の実施例2と同様の方法でパターンを形成した後、オーブンにて220℃で1時間加熱することにより硬化を行い、絶縁層を一層形成した。絶縁層及びその開口部に対し、スパッタリングにより、Ti層及びCu層をそれぞれ0.05μm及び0.20μmの膜厚で形成した。続いて、Cu層上に、特許第6003855号公報の実施例1のポジ型レジスト組成物を膜厚10μmとなるようにスピンコートによって塗布し、メッキレジスト層を形成した。前記メッキレジスト層にパターンを形成した後、開口部にCu電解メッキを施し、厚さ5μmとなるように配線を形成させた。その後、PGMEA洗浄によりメッキレジスト層を除去し、表面に露出したCu層を、リン酸加水を用いて室温で5分間エッチングを行い、続いてTi層をバッファードフッ酸を用いて室温で3分間エッチングを行い、更に、その上に前記ポリイミドシリコーン組成物を膜厚4μmとなるようにスピンコートし、前記と同じ方法で絶縁層を形成し、パターンを形成することでCu配線が形成された部分を開口させ、再びオーブンにて220℃で1時間加熱することにより硬化を行い、絶縁層の二層目を形成した。同様の方法で更にもう一層を形成し、絶縁層の三層目を形成した。
この積層体について、最後にガラス板側から目視で確認し、ガラス板から樹脂層Bまでの間に剥離が発生しなかった場合を良好として「○」で示し、異常が発生した場合を不良として「×」で示した。
【0117】
(2)再配線層上へのチップ実装、及びアンダーフィル剤の充填
SnAgバンプを有するチップを前記積層体のCu配線部に実装後、チップと絶縁層の間に特許第5579764号公報の実施例1のアンダーフィル剤を充填し、120℃にて0.5時間、更に165℃で3時間加熱硬化させた。硬化後、ガラス板側から目視で確認し、ガラス板から樹脂層Bまでの間に剥離が発生しなかった場合を良好として「○」で示し、異常が発生した場合を不良として「×」で示した。
【0118】
(3)チップ層上へのモールド樹脂層の形成
モールド材料として、特開2016−088952号公報の実施例7の剥離フィルム(1)/樹脂フィルム/剥離フィルム(2)からなる複合フィルムであるフィルム状モールド樹脂を使用した。剥離フィルム(2)を剥離後、真空ラミネーター((株)タカトリ製、製品名:TEAM-100RF)を用いて、真空チャンバー内を真空度250Paに設定し、110℃で、樹脂フィルムを一括して前記二層目の絶縁層上に貼り付けた。常圧に戻した後、前記積層体を25℃に冷却して前記真空ラミネーターから取り出し、残りの剥離フィルム(1)を剥離した。得られた積層体は、イナートオーブンにて180℃、2時間加熱することにより樹脂の硬化を行い、モールド樹脂層を形成した。最後にガラス板側から目視で確認し、ガラス板から樹脂層Bまでの間に剥離が発生しなかった場合を良好として「○」で示し、剥離が発生した場合を不良として「×」で示した。
【0119】
(4)支持体剥離性試験
支持体の剥離性は、以下の方法で評価した。まず、(3)でモールドした積層体のモールド樹脂層面を真空吸着によって、吸着板にセットした。その後、支持体側から全面に355nmのレーザーを照射した。支持体を割ることなく剥離できた場合を「○」で示し、割れ等の異常が発生した場合を不良として「×」で示した。
【0120】
(5)洗浄除去性試験
前記剥離性試験終了後、溶媒による洗浄除去性の試験を以下の方法で評価した。絶縁層及びモールド樹脂層の積層体を、樹脂層Bを上にして洗浄溶媒に浸漬させた。洗浄溶媒としては樹脂組成物B1を使用した場合はp−キシレンを、樹脂組成物B2を使用した場合はシクロヘキサノンを、樹脂組成物B3を使用した場合はN−メチル−2−ピロリドンを用い、洗浄方法として5分間浸漬を行い、続けてイソプロピルアルコール(IPA)への浸漬にてリンスを行った。その後、外観を観察して残存する樹脂層Bの有無を目視でチェックした。樹脂層B由来の残存が認められないものを良好として「○」で示し、樹脂層B由来の残存が認められたものを不良として「×」で示した。
【0121】
(6)透過性試験
樹脂組成物A1、A2、A3又はA4を、厚さ500μmのガラス基板に膜厚0.3μmでスピンコート後、250℃で5分間熱硬化を行い、樹脂層Aを形成し、その透過率(波長355nm)を分光光度計(U-4100形、(株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。透過率が20%以下の場合を良好として「○」で示し、20%よりも高い場合を不良として「×」で示した。なお、透過率を括弧内に示した。
【0122】
【表1】
【0123】
表1に示したように、実施例1〜5では積層体の形成及び支持体の剥離、樹脂層の除去が容易であることがわかった。一方、比較例1では、洗浄後に絶縁層上に樹脂層A由来の残渣が見られ、比較例2及び3では、レーザー照射後、支持体が剥離せず割れが発生し、比較例4では二層目の絶縁層の硬化後に問題は見られなかったが、三層目の絶縁層の硬化後に樹脂層Bと、樹脂層A及び絶縁層との界面で剥離が見られた。