【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25〜27年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」に係る委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Diabetes,2014年,64(8),pp.2847-2858,(abstarct),[online],STN,CAPLUS,AN.2015:1358866
【文献】
FASEB Journal,2001年,Vol.15,No.5,pp.A737,(abstract),[online],STN,BIOSIS,AN.2001:252606
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記植物がリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、ライチ、ブルーベリー、カシス、アボカド、大麦、グァバ、ホップ、小豆、クルミ、クリ、カカオ、松樹皮、紅茶、緑茶、及びワインから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤。
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする、アッカーマンシア属細菌を増殖促進することにより腸内フローラを改善するための医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<<アッカーマンシア属細菌増殖促進剤>>
一実施形態において、本発明は、植物由来の5量体以上のプロアントシアニジン類、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有するアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を提供する。
【0014】
本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤は、5量体以上のプロシアニジン類を含有し、優れた腸管バリア機能増強効果を有する。
従来、5量体以上のプロシアニジン類は、分子量が大きいことから腸管を通過できず体内へは吸収されず、その機能は不明であった。これに対し、本発明者らは、5量体以上のプロシアニジン類が優れたアッカーマンシア属細菌増殖促進効果を有することを見出し、5量体以上のプロシアニジン類を摂取することにより、腸管バリア機能を増強できることを明らかにした。
なお、本明細書において、「腸管バリア機能」とは、腸内細菌のうち、悪玉菌が産生した有害物質、又は口から侵入したウイルス及び細菌等が腸壁から体内に吸収されないように阻止する防御機能を意味する。
【0015】
一般的に、アッカーマンシア(Akkermansia)属細菌は、乳幼児から高齢者までのヒトの腸粘液層に存在する有用な腸内細菌であり、アッカーマンシア属細菌は、非肥満のヒトやげっ歯類に大量に存在し、炎症や肥満のヒト及びげっ歯類では少量しか存在しないことが知られている。さらに、肥満に伴う代謝不全の改善に有益であることが肥満及び2型(成人発症型)糖尿病モデルマウスを用いた実験で明らかとなっている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0016】
<プロアントシアニジン類>
本明細書において、「プロアントシアニジン類」とは、植物体中に存在する縮合型タンニン類、すなわちフラバン−3−オール類を構成単位として4−8結合型、又は4−6結合型で縮合若しくは重合により結合した化合物の混合物を意味し、これらのプロアントシアニジン類は、酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成する。
本実施形態におけるプロアントシアニジン類としては、例えば、プロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等が挙げられる。中でも、本実施形態におけるプロアントシアニジン類としては、プロシアニジンであることが好ましい。
本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤に含まれるプロアントシアニジン類は、5量体以上の多量体であり、5量体以上15量体以下であることが好ましい。
【0017】
また、本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤は、プロアントシアニジン類の薬学的に許容できる塩を含んでいてもよい。
【0018】
本明細書において、「薬学的に許容できる」とは、被検動物に適切に投与された場合に、概して、副作用を起こさない程度を意味する。
【0019】
塩としては、薬学的に許容できる酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。
酸付加塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸との塩;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸との塩等が挙げられる。
塩基性塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基との塩;カフェイン、ピペリジン、トリメチルアミン、ピリジン等の有機塩基との塩等が挙げられる。
【0020】
本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤は、他の成分として、例えば、PBS、Tris−HCl等の緩衝液、アジ化ナトリウム、グリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。
【0021】
本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を用いて、腸内フローラを改善するための治療方法を提供することができる。
治療対象としては、特別な限定はなく、例えば、ヒト又はヒト以外の哺乳動物(例えば、サル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、ウマ、ウシ等)が挙げられ、中でも、ヒトが好ましい。
【0022】
<プロアントシアニジン類の製造方法>
本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤に用いられるプロアントシアニジン類は、市販のものでもよく、植物から直接抽出及び分離したものでもよく、又は化学合成したものであってもよい。
【0023】
プロアントシアニジン類の由来となる植物としては、例えば、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、ライチ、ブルーベリー、カシス、アボカド、大麦、グァバ、ホップ、小豆、クルミ、クリ、カカオ、松樹皮、紅茶、緑茶、ワイン等が挙げられ、これらに限定されない。これら植物から得られたプロアントシアニジン類は、1種類の植物から由来するものであってもよく、複数種の植物から由来するものを組み合わせて用いてもよい。
【0024】
プロアントシアニジン類を植物から直接抽出及び分離する方法としては、例えば、リンゴ果実からのプロアントシアニジン成分を抽出及び精製する方法(参考文献:特開平7−285876号公報、特開2000−16951号公報、及び特開2002−87978号公報)等が挙げられる。原料として用いるリンゴは、リンゴ未熟果であってもよく(参考文献:特開平7−285876号公報)、又はリンゴ野生種(Crab Apple)であってもよい(参考文献:Nan Li, et al., “Profile and Antioxidant Activity of Phenolic Extracts from 10 Crabapples (Malus Wild Species)”, J. Agric. Food Chem., vol. 62, p574-581, 2014.)。
【0025】
プロアントシアニジン類をリンゴから直接抽出及び分離する方法としてより具体的には、例えば、以下に示す抽出方法(参考文献:特開平7−285876号公報)等が挙げられる。
まず、リンゴ果実を洗浄し、そのまま若しくは亜硫酸を添加しながら破砕及び圧搾により果汁を得る。次いで、遠心分離し、濾過等により清澄果汁を調製する。得られた清澄果汁は適宜、公知の手法により濃縮してもよい。
その他の抽出方法としては、例えば、果実をアルコール類と混合して破砕し、そのまま浸漬し、圧搾、又は加熱還流しながらプロアントシアニジン類を抽出する。次いで、アルコールを溜去した後、遠心分離及び濾過、又はヘキサン、クロロホルム等の有機溶媒による分配及び濾過を行い、清澄抽出物を得る。
【0026】
次いで、上記得られた清澄果汁、又は清澄抽出物から粗リンゴポリフェノール成分を精製する方法としてより具体的には、例えば、以下に示す精製方法(参考文献:特開2000−16951号公報)等が挙げられる。
まず、ポリフェノールを選択的に吸着できる吸着剤(例えば、スチレンジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂、陰イオン交換樹脂等)が充填されたカラムに、上記の清澄果汁、又は清澄抽出液を通すことにより、ポリフェノール成分を吸着させる。次いで、蒸留水によってカラムを洗浄した後、20〜100%、好ましくは30〜60%のアルコール溶液をカラムに通すことにより、ポリフェノール成分を溶出及び回収する。得られたアルコール溶液画分からアルコールを溜去すると粗リンゴポリフェノール成分が得られる。この粗リンゴポリフェノール成分には、
図1に示す2量体以上15量体以下の多量体であるプロシアニジン類が含まれている。
【0027】
次いで、上記得られた粗リンゴポリフェノール成分からプロアントシアニジン類を得る方法としてより具体的には、例えば、以下に示す方法(参考文献:特開2002−87978号公報)等が挙げられる。
まず、上記の得られた粗リンゴポリフェノール成分を、酢酸メチルを液相として用いた固液抽出によりプロシアニジン2〜4量体画分と5量体以上画分とに分離精製する。酢酸メチルに抽出されないプロシアニジン5量体以上画分は、公知の方法により酢酸メチルを溜去することで得ることができる。一方、酢酸メチルに抽出されたプロシアニジン2〜4量体画分は、公知の方法により抽出溶液を濃縮した後、蒸留水に溶解させ、さらに、プロシアニジン2〜5量体画分は順相クロマトグラフィーにより重合度別(分子量別)に分離精製し、重合度数の均一なプロシアニジンオリゴマーを得ることができる。
【0028】
また、プロアントシアニジン類は、例えば、下記式(1)で示すelectrophile(E−unit)とnucleophile(N−unit)とを分子間で縮合させる分子間縮合反応による合成方法(参考文献:[Saito, A., et al., Biosci. Bitotech. Biochem., 66, p1764, 2002.]、[Saito, A., et al., Tetrahedron Lett., 44, p5449, 2002.]、[Saito, A., et al., Heterocycles, 62, p479, 2004.]、[Saito, A., et al., Synlett, p2040, 2004. ]、[Saito, A., et al., Bioorganic Med. Chem., 12, p4783, 2004. ]、[Saito, A., et al., Tetrahedron, 60, p12043, 2004. ]、及び[Saito, A., et al., Bioorganic Med. Chem., 13, p2759, 2005.])等の公知の方法を用いて、化学合成してもよい。
【0030】
<用途>
本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤は、例えば、後述に挙げるように、腸内フローラ改善用の医薬組成物、飲食品等に用いることができる。
また、本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤は、例えば、培地、又は培養用製剤等に用いることができる。本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を含む培養用製剤を培地に添加する、又は本実施形態のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を含む培地を用いてアッカーマンシア属細菌を培養することにより、効果的にアッカーマンシア属細菌の増殖を促進することができる。
【0031】
<<腸内フローラ改善用の医薬組成物>>
一実施形態において、本発明は、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含む腸内フローラ改善用の医薬組成物を提供する。
【0032】
本実施系形態の腸内フローラ改善用の医薬組成物によれば、効果的に腸管バリア機能を増強することができる。また、植物由来の5量体以上のプロアントシアニジン類を摂取することは安全性の面からもこれまでの食経験があり、毎日摂取することにも問題が少ないと考えられ、安全でかつ有効な腸内フローラ改善用の医薬組成物を提供することができる。
【0033】
なお、一般的に、「腸内フローラ」とは、腸内細菌叢とも呼ばれ、回腸から大腸にかけて多種多様な腸内細菌が種類ごとに集団を形成し、腸内壁面に生息している状態を意味する。腸内細菌は、宿主(特に、ヒト)の体に有用な働きをする菌(善玉菌)、腸内腐敗を進め、有毒物質(例えば、アンモニア、フェノール、インドール等)を産生する菌(悪玉菌)、及び善玉菌にも悪玉菌にも当てはまらず、の3種類の菌で構成されている。
善玉菌としては、例えば、ラクトバシラス(Lactobacillus)属細菌(乳酸菌)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌(ビフィズス菌)、アッカーマンシア属細菌等が挙げられる。
悪玉菌としては、例えば、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、有毒株である大腸菌(例えば、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌(例えば、O1、O18、O26、O111、O128、O157等)の腸管内病原性大腸菌等)等が挙げられる。
日和見菌としては、例えば、バクテロイデス、無毒株である大腸菌、連鎖球菌等が挙げられる。
また、本明細書において、「腸内フローラ改善」とは、腸内細菌のうち、善玉菌が悪玉菌を抑える形で一定のバランス(例えば、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7等)が維持されるように改善すること意味する。
【0034】
<投与量>
本実施形態の医薬組成物は、被検動物(ヒト又は非ヒト動物を含む各種哺乳動物、好ましくはヒト)の年齢、性別、体重、症状、治療方法、投与方法、処理時間等を勘案して適宜調節される。
本実施形態の医薬組成物に含まれるプロアントシアニジン類の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり100mg以上1500mg以下、好ましくは300mg以上500mg以下であると考えられる。
【0035】
投与回数としては、1週間平均当たり、1回〜数回投与することが好ましい。
投与形態としては、例えば、経腸的、または経口的に当業者に公知の方法が挙げられ、経口的投与が好ましい。
注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類など)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。
【0036】
<組成成分>
本実施形態の医薬組成物は、治療的に有効量の上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む。薬学的に許容されうる担体又は希釈剤は、賦形剤、稀釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味料、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤、添加剤等が挙げられる。これら担体の1種以上を用いることにより、注射剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、又はシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。
【0037】
また、担体としてコロイド分散系を用いることもできる。コロイド分散系は、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤の生体内安定性を高める効果や、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤の移行性を高める効果が期待される。コロイド分散系としては、例えば、ポリエチレングリコール、高分子複合体、高分子凝集体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、水中油系の乳化剤、ミセル、混合ミセル、リポソームを包含する脂質を挙げることができ、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を効率的に輸送する効果のある、リポソームや人工膜の小胞が好ましい。
【0038】
本実施形態の医薬組成物における製剤化の例としては、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に使用されるものが挙げられる。
または、水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用されるものが挙げられる。更には、薬理学上許容される担体又は希釈剤、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化されたものが挙げられる。
【0039】
錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。
【0040】
本実施形態の医薬組成物が注射剤である場合、無菌組成物は、例えば、注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。また、注射用の水溶液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム等が挙げられ、適当な溶解補助剤(例えば、アルコール(具体的には、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等))、又は非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50等)と併用してもよい。
【0041】
また、油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、又は酸化防止剤をさらに配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。
【0042】
また、注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類等)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。
【0043】
本実施形態の医薬組成物は、単独で用いてもよく、その他の腸内フローラ改善用の医薬組成物と組み合わせて用いてもよい。その他の腸内フローラ改善用の医薬組成物としては、例えば、ビフィズス菌製剤、酪酸菌製剤、ラクトミン製剤、耐性乳酸菌製剤等の善玉菌を有効成分として含有する整腸剤;ペプシン、パンクレアチン等を有効成分として含有する動物性消化酵素剤、ジアスターゼ等を有効成分として含有する植物性消化酵素剤等の消化酵素剤を有効成分として含有する整腸剤等が挙げられる。
【0044】
<治療方法>
本発明の一側面は、腸内フローラ改善のための上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、治療的に有効量の上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、前記医薬組成物を含む、アッカーマンシア属細菌増殖促進剤を提供する。
また、本発明の一側面は、腸内フローラ改善用の治療剤を製造するためのアッカーマンシア属細菌増殖促進剤の使用を提供する。
また、本発明の一側面は、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、腸内フローラ改善のための治療方法を提供する。
【0045】
<<飲食品>>
一実施形態において、本発明は、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を含む飲食品を提供する。
【0046】
本実施形態の飲食品によれば、効果的に腸管バリア機能を増強することができる。また、植物由来の5量体以上のプロアントシアニジン類を摂取することは安全性の面からもこれまでの食経験があり、毎日摂取することにも問題が少ないと考えられ、安全でかつ有効な飲食品を提供することができる。
【0047】
本明細書において、「飲食品」とは、食品と飲料を合わせたものであり、主に加工食品を意味する。また、本実施形態の飲食品は、健康食品(特定保健用食品を含む)、機能性食品、健康飲料、機能性飲料を含む。
【0048】
上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤を含む飲食品の形態は、固形状であっても液状であってもよく、上述のアッカーマンシア属細菌増殖促進剤は広く食品一般に食品添加物として添加して用いることができる。飲食品の種類としては、具体的には、清涼飲料(例えば、ミネラルウォーター、炭酸飲料、栄養飲料、スポーツドリンク、ココア飲料、果実飲料、乳飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、豆乳飲料、野菜飲料、アルコールテイスト飲料(例えば、ノンアルコールビール、ノンアルコールワイン等))、アルコール飲料(例えば、ビール、発泡酒、カクテル、チューハイ、焼酎、日本酒、ウィスキー、ブランデー、ワイン等)等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、スパゲッティ、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、グミ、ガム、キャラメル、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット等の焼き菓子、ゼリー、ジャム、クリーム等の菓子類;かまぼこ、ハンバーグ、ハム、ソーセージ等の水産又は畜産加工食品;加工乳、発酵乳、ヨーグルト、バター、チーズ等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、カレー、パン、ジャム、サラダ、惣菜、漬物等が挙げられ、これらに限定はされない。
【0049】
本実施形態の飲食品は、その種類に応じて通常使用される添加剤を適宜配合してもよい。添加剤としては、例えば、砂糖、果糖、異性化液糖、ブドウ糖、アスパルテーム、ステビア等の甘味料、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料、デキストリン、澱粉等の賦形剤、結合剤、希釈剤、香料、緩衝剤、増粘剤、ゲル化剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
【0050】
本実施形態の飲食品におけるプロアントシアニジン類の配合量は、その生理作用や薬理作用が発揮できる量であればよく、上述の<<腸内フローラ改善用の医薬組成物>>における経口投与での投与量及び対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して、通常、成人1日当たりの摂取量が100mg以上1500mg以下、好ましくは300mg以上500mg以下となる量とすればよい。例えば、固形状食品の場合には10〜50重量%、飲料等の液状食品の場合には0.1〜10重量%であればよい。
【0051】
<<アッカーマンシア属細菌の増殖方法>>
一実施形態において、本発明は、植物由来の5量体以上のプロアントシアニジン類を投与するアッカーマンシア属細菌の増殖促進方法を提供する。
【0052】
本実施形態のアッカーマンシア属細菌の増殖促進方法によれば、効果的にアッカーマンシア属細菌の増殖を促進することができる。
【0053】
後述の実施例に示す通り、植物由来の5量体以上のプロアントシアニジン類を食餌性肥満モデルマウスに投与することにより、アッカーマンシア属細菌の増殖を促進することができたことから、アッカーマンシア属細菌の増殖に植物由来の5量体以上のプロアントシアニジン類が有効であることが明らかとなった。
【0054】
プロアントシアニジン類をヒト又は非ヒト動物に投与する場合の投与量としては、上述の<<腸内フローラ改善用の医薬組成物>>における経口投与、又は非経口投与での投与量と同様の量が挙げられる。
【0055】
投与回数及び投与形態についても、上述の<<腸内フローラ改善用の医薬組成物>>に例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0056】
また、プロアントシアニジン類を培地等に添加し、アッカーマンシア属細菌の増殖を促進させてもよい。これにより、得られるアッカーマンシア属細菌は、ヒト又は非ヒト動物が直接投与する等、プレバイオティクス用途に好適に用いられる。
一般的に、「プレバイオティクス」とは、例えば、食用物質等の物質を意味し、ヒトにより消化されない場合もあるが、腸微生物叢の細菌により使用される場合があり、腸におけるプロバイオティクス細菌の増殖を促進すると考えられている。
また、「プロバイオティクス」とは、微生物細胞の調製物(例えば、生存している微生物細胞等)または微生物細胞の成分であり、有効量で投与される際に対象の健康または健康状態(well−being)への有益な作用を提供することができるものを意味する。本明細書における「プロバイオティクス」は、非病原性のものを示す。プロバイオティクスの健康上の利点は、消化管におけるヒト又は非ヒト動物の微生物叢の均衡の改善、及び/又は正常な微生物叢の回復に関連する点が挙げられる。
【0057】
プロアントシアニジン類を培地に添加する場合の投与量(培地に含まれる濃度)としては、0.01mg/mL以上10mg/mL以下であることが好ましく、0.1mg/mL以上10mg/mL以下であることがより好ましい。
プロアントシアニジン類の培地に含まれる濃度が上記範囲であることにより、効率的にアッカーマンシア属細菌の増殖を促進させることができる。
【0058】
アッカーマンシア属細菌の増殖に用いられる培地は、アッカーマンシア属細菌の培養に適した組成であればよく、栄養源として利用し得る炭素源、窒素源、ビタミン類、無機塩類等を含有するものであればよい。前記培地としては、例えば、ムチン含有基本培地(参考資料:Muriel D., et al., “Akkermansia muciniphila gen. nov., sp. nov., a human intestinal mucin-degrading bacterium”, Int J Syst Evoll Microbiol, vol.54, p1469-1476, 2004.)等が挙げられ、これに限定されない。
また、アッカーマンシア属細菌の培養条件としては、嫌気条件下であることが好ましく、例えば、静置培養、振盪培養、又は攪拌培養等により培養を行えばよい。
培養温度は、例えば20℃以上40℃以下であればよい。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
[実施例1]プロアントシアニジン類の抽出及び精製
(1)粗リンゴポリフェノール画分の抽出
日本国弘前市で6月に採取されたリンゴ「ふじ」の未熟果(個々の果実の平均重量は約10g)合計3kgをピロ亜硫酸カリウム(0.1%w/w)の存在下でホモジナイズし、その粉砕物を4℃で24時間保持した。次いで、得られた粉砕物を圧搾して果汁を集め、遠心分離(3500g×20分)にて清澄にし、ガラスフィルターでろ過をした。次いで、得られたろ液(1.8L)をスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂セパビーズSP=850(三菱化成製)を充填したカラム(内径25mm×285mm)に供した。次いで、水溶性成分を除去するため蒸留水(300mL)で洗浄後、80%エタノールにて溶出した。次いで、得られた80%エタノール画分(200mL)からエタノールを除去し、凍結乾燥を行い、粗リンゴポリフェノール画分を得た。この粗リンゴポリフェノール画分を逆相系高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ、クロロゲン酸類(約20%)、フロレチン配糖体類(約5%)、フラボノール類(約15%)、プロアントシアニジン類(約50%)及びその他褐変物質(約10%) からなることが確認できた。さらに、このプロアントシアニジン類はMALDI−TOF/MSによる解析の結果、フラバン−3−オール類であるカテキンやエピカテキンからなる2量体から15量体までが確認され、高分子のポリフェノールであった。
【0061】
(2)プロアントシアニジン類の精製
次いで、得られた粗リンゴポリフェノール画分を蒸留水に溶解し、5N水酸化ナトリウムでpH6.5に調整した。次いで、粗リンゴポリフェノール画分の溶解液を調製したスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂ダイアイオンH P−20ss(三菱化成製)を充填したカラムに供した。次いで、蒸留水でカラムを洗浄後、25%エタノールにて溶出した。次いで、得られた25%エタノール画分を濃縮及び凍結乾燥し、プロアントシアニジン画分を得た。さらに、参考文献[Shoji, T., et al., “Apple (Malus pumila) procyanidins fractionated according to the degree of polymerization using normal-phase chromatography and characterized by HPLC-ESI-MS and MALDI-TOF-MS”, J. Chromatogr., vol.1102, no.1, p206-213, 2006.]に記載のプロシアニジン類分画法を用いて、リンゴプロシアニジン類を重合度別に分離し、単量体から4量体の低分子プロシアニジン画分(以下、「OP」と称することがある。)と5量体以上の高分子プロシアニジン画分(以下、PPと称することがある。)と、に分離した。得られたリンゴ由来プロアントシアニジン画分は、後述する食餌性肥満モデルにおける腸内細菌叢に与える影響を評価するための試料とした。
なお、HPLC順相クロマトグラフィーによる解析の結果、5量体以上の高分子プロシアニジン画分(PP)における、5量体のプロアントシアニジン類の含有量が27.1%であり、6量体のプロアントシアニジン類の含有量が23.2%であり、7量体のプロアントシアニジン類の含有量が17.5%であり、8量体のプロアントシアニジン類の含有量が8.8%であり、9量体以上のプロアントシアニジン類の含有量が9.5%であった。
【0062】
[試験例1]
以下に示す手法により、実施例1で得られたリンゴ由来プロアントシアニジン画分(OP及びPP)を試験に用いた。肥満へ作用する可能性を検討するため、リンゴ由来高分子プロアントプロシアニジン画分(OP及びPP)を食餌性肥満マウスに自由経口摂取させて、その影響を検討した。
【0063】
(1)食餌性肥満マウスへのリンゴ由来プロアントシアニジン画分(OP及びPP)の摂取及び重量測定
すなわち、10週齢のC57BL/6Jマウスをコントロール食(普通食)摂取群(以下、「ND群」と称することがある。)、高脂肪高ショ糖食摂取群(以下、「HFHS群」と称することがある。)、高脂肪高ショ糖食+低分子プロシアニジン摂取群(以下、「OP群」と称することがある。)、及び高脂肪高ショ糖食+高分子プロシアニジン摂取群(以下、「PP群」と称することがある。)の5群に分け、20週間連続摂取させた。
プロシアニジン摂取群ではOP、PPをそれぞれ0.5%(w/w)で水道水に溶解し、自由飲水で摂取させた。飼育期間中、経時的に体重、摂餌量、飲水量の測定を行った。20週飼育後、解剖を行い臓器重量(肝臓、脾臓、膵臓、腎臓)、及び精巣周囲、腎周囲、腸間膜、皮下脂肪の重量を行った。結果を
図2〜7に示す。
図2は、各群のマウスでの試験期間中及び20週間飼育後の体重の変化を示すグラフである。
図3、
図4はそれぞれ各群のマウスでの試験期間中の摂餌量、又は飲水量を示すグラフである。さらに、
図5〜7は、それぞれ各群のマウスでの20週間飼育後の肝臓重量、内臓脂肪重量、及び皮下脂肪重量を示すグラフである。
【0064】
(2)生化学的解析
次いで、20週飼育後の各群のマウスについて、血液生化学的一般成分分析(血糖値(血中グルコース量)、中性脂肪、総コレステロール、LPS、及び炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−6))を行った。結果を
図8〜13に示す。
図8〜11は、それぞれ各群のマウスでの20週間飼育後の血中グルコース量、血中中性脂肪量、総コレステロール、血中LPS量、血中TNF−α量、及び血中IL−6量を示すグラフである。
なお、「LPS(Lipopolysaccharide;リポ多糖)」とは、悪玉菌から産生される内毒素(エンドトキシン)である。
【0065】
(3)16S rRNAによる腸内細菌叢解析
次いで、20週飼育後の各群のマウスについて、盲腸内容物から抽出したDNAから16S rDNA遺伝子領域(V3−V4領域)をPCRにて増幅した。PCRにはTaKaRa Ex Taq HS DNAポリメラーゼ (TaKaRa Bio社製)を用い、プライマーとして、以下表1に示す5’末端側にロシュFLX解析用アダプター配列が付加されたユニバーサルプライマー(314f/785r)を用いた。また、PCR反応は94℃で、1分を1サイクル、95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒を20サイクル、72℃で、5分を1サイクルの条件で行った。
【0066】
【表1】
【0067】
次いで、得られたPCR産物のバンドをアガロースゲル電気泳動にて確認後、Nextera DNA Library Preparation Kit(Illumina社製)を用いて、イルミナシーケンシングアダプターとデュアルインデックスバーコード配列と適合させ、AMPure XP Beads Kit(Beckman Coulter社製)を用いて精製した。次いで、次世代シークエンサーによる解析を行ない、得られたデータはQuantitative Insights Into Microbial Ecology(QIIME) pipeline(version 1.8.0.)を用いて解析し、腸内細菌の分類はGreen Genesデーターベースを使って行った。結果を
図14〜17に示す。
図14は、16S rRNA解析による各群のマウスでの20週間飼育後の腸内細菌叢の主座標解析の結果を示すグラフである。また、
図15は、16S rRNA解析による各群のマウスでの20週間飼育後の腸内細菌叢の門レベルでのプロファイルを示すグラフである。また、
図16は、16S rRNA解析による各群のマウスでの20週間飼育後の腸内細菌のうち、Bacteroidetes門細菌に対するFirmicurtes門細菌の存在比(Firmicutes/Bacteroidetes)を示すグラフである。また、
図17は、16S rRNA解析による各群のマウスでの20週間飼育後の腸内細菌のうち、全腸内細菌に対するアッカーマンシア属細菌の存在比を示すグラフである。
【0068】
(4)結果及び考察
試験例1における上記(1)〜(3)に記載した手法により、リンゴ由来高分子プロアントシアニジン画分(OP及びPP)の食餌性肥満マウスにおける経口自由摂取の肥満症や糖及び脂質代謝異常に与える影響を検討した。
まず、体重では、摂餌量、飲水量に違いは見られないにもかかわらず、プロシアニジン摂取群(OP群、PP群)では、HFHS群と比較して、いずれも有意に体重増加が抑制された(p<0.05)(
図2、3、4参照。)。
また、20週間飼育後の肝臓重量および内蔵脂肪重量の増加は、プロシアニジン摂取群(OP群、PP群)では、HFHS群と比較して、いずれも有意に抑制された(p<0.05)(
図5、6、7参照)。
【0069】
また、血液生化学的一般成分分析では、血糖値、中性脂肪および総コレステロールの増加は、プロシアニジン摂取群(OP群、PP群)では、HFHS群と比較して、いずれも有意に抑制された(p<0.05)(
図8、9、10参照)。
しかしながら、血中LPS量の増加はPP群のみ有意に抑制されていた(p<0.05)(
図11参照)。同様に、炎症性サイトカインのTNF−α及びIL−6の増加がPP群のみ有意に抑制されていた(p<0.05)(
図12、13参照)。
【0070】
次いで、16S rRNA解析による盲腸内容物中の腸内細菌叢について主座標分析を行ったところ、各群の菌叢構造の類似性は門レベルで明瞭に分離されていた(
図14参照)。さらに、門レベルでは、Firmicutes門が60〜80%を占める最優勢菌であり、次いでBacteroidetes門が10〜20%強を占めていた(
図15参照)。
また、肥満や生活習慣病に起因する腸内環境の悪化によりFirmicutes/Bacteroidetes比率が高くなることが報告されているが、PP群では、Firmicutes/Bacteroidetes比率がHFHS群と比較して、有意に抑制されていた(p<0.05)(
図16参照)。
さらに、属レベルでは、腸管バリア機能を増強することが知られているアッカーマンシア(Akkermansia)属細菌が、PP群においてHFHS群と比較して有意に増加していた(p<0.05)(
図17参照)。
【0071】
腸内環境の悪化によるLPSの体内へ流入によって、慢性的な炎症状態が惹起されることが肥満や糖尿病などの生活習慣病の原因と考えられている。アッカーマンシア属細菌は腸管バリア機能を増強し、LPSの流入や慢性炎症を予防することが報告されている(例えば、非特許文献3、参照。)。プロシアニジン摂取によるアッカーマンシア属細菌の増加は報告されているが、化学構造による違いは報告例がなく、プロシアニジンを高純度に分離する技術を活用することによって、今回初めて明らかとなった。
【0072】
近年、肥満や糖尿病などの代謝性疾患の予防や治療法一つとして、腸内細菌による腸内環境の改善が検討されている。プロバイオティクスとしてアッカーマンシア属細菌を摂取する方法が検討されているが、ヒト試験レベルで実施可能なアッカーマンシア属細菌の培養法はまだ確立されていない。一方、食物繊維やオリゴ糖などの食品成分をプレバイオティクスとして投与し、アッカーマンシア属細菌を効果的に増殖させる方法が検討されているが、本発明により、5量体以上の高分子プロシアニジンを活用することによって実現可能であると考えられた。
【0073】
[処方例]
( 1 ) 錠剤
下記表2に示す各重量部を均一に混合し、常法に従って錠剤とした。
【0074】
【表2】
【0075】
( 2 ) カプセル剤
下記表3に示す各重量部を均一に混合し、常法に従ってカプセル剤とした。
【0076】
【表3】
【0077】
( 3 ) 散剤、顆粒剤
下記表4に示す各重量部を均一に混合し、常法に従って散剤、顆粒剤とした。
【0078】
【表4】
【0079】
( 4 ) 飴
下記表5に示す各重量部の各成分を用い、常法に従って飴とした。
【0080】
【表5】
【0081】
( 5 ) ジュース
下記表6に示す各重量部の各成分を用い、常法に従ってジュースした。
【0082】
【表6】
【0083】
( 6 ) 麦茶
まず、下記表7に示す各重量部の各成分を用い、常法に従って麦茶成分を抽出した。
【0084】
【表7】
【0085】
次いで、下記表8に示す各重量部の各成分を用い、常法に従って麦茶とした。
【0086】
【表8】