特許第6879903号(P6879903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879903
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/24 20060101AFI20210524BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20210524BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210524BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C08G59/24
   C08L63/00 Z
   C09J11/06
   C09J163/00
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-509582(P2017-509582)
(86)(22)【出願日】2016年3月18日
(86)【国際出願番号】JP2016058815
(87)【国際公開番号】WO2016158522
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-66954(P2015-66954)
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 英里
(72)【発明者】
【氏名】松土 和彦
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−130627(JP,A)
【文献】 特開2000−191751(JP,A)
【文献】 特開2010−005971(JP,A)
【文献】 特開昭62−290718(JP,A)
【文献】 特開平01−178571(JP,A)
【文献】 特開昭63−083174(JP,A)
【文献】 特開平10−195408(JP,A)
【文献】 特開平04−126761(JP,A)
【文献】 特開平03−250042(JP,A)
【文献】 特開平06−287270(JP,A)
【文献】 特開平06−136099(JP,A)
【文献】 特開平11−199651(JP,A)
【文献】 特開平11−181390(JP,A)
【文献】 特開2011−138850(JP,A)
【文献】 特開2013−166893(JP,A)
【文献】 特開2012−214526(JP,A)
【文献】 特開2015−048457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G59/00− 59/72
C08L 1/00−101/14
C09J 1/00−201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン重合性化合物の混合物(1)を含んでなり、該混合物(1)が、下記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)、脂環式エポキシ化合物(1C)及びオキセタン化合物(1D)から選ばれる少なくとも一種を含み、且つ
下記条件1を満たすことを特徴とする組成物。
(条件1)
組成物全量(但し、溶媒は除く)の100質量部に対し、水分を0.05〜3質量部含む。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、mは0〜10の整数である。)
【請求項2】
カチオン重合性化合物の混合物(1)を含んでなり、該混合物(1)が、下記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)を含み、
エネルギー線照射により酸を発生することが可能なカチオン重合開始剤(2)を含み、且つ
下記条件2を満たすことを特徴とする組成物。
(条件2)
デバイス中空パッケージを封止する際に用いられる紫外線硬化型接着剤樹脂組成物において、(a)1分子内に2個以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂、(b)ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、(c)1分子内に2個以上の水酸基を有する化合物、(d)1分子内に1個以上のエポキシ基を有するアルコキシシリル化合物、(e)スルホニウム塩型光カチオン硬化開始剤、(f)球状溶融シリカを必須成分とし、さらに成分(f)の球状溶融シリカが全成分の中で50重量パーセント以上であることを特徴とするデバイス中空パッケージ封止用紫外線硬化型接着剤樹脂組成物を除く。
【化2】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、mは0〜10の整数である。)
【請求項3】
上記脂肪族エポキシ化合物(1B)が、炭素原子数1〜6の脂肪族ジオールのジグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
上記カチオン重合性化合物の混合物(1)100質量部に対し、前記カチオン重合開始剤(2)を0.1〜20質量部含むことを特徴とする請求項に記載の組成物。
【請求項5】
上記カチオン重合性化合物の混合物(1)100質量部に対し、カチオン重合開始剤(2)を0.1〜20質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
上記カチオン重合開始剤が、p[A]q+・s[B]t−(Aは陽イオン種を表し、Bは陰イオン種を表し、q及びtは、それぞれ独立に1又は2を表し、p及びsは、電荷を中性に保つ係数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩である請求項4又は5記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜の何れか一項に記載の組成物からなることを特徴とする接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及び該組成物に活性エネルギー線を照射することによって得られる硬化物に関する。該組成物は、特に接着剤に有用である。
【背景技術】
【0002】
カチオン重合性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1〜3には、種々のカチオン重合性組成物が開示されている。
しかしながら、これらの文献に記載のカチオン重合性組成物の硬化物は、接着性又は耐熱性において十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−279658号公報
【特許文献2】特開2003−313274号公報
【特許文献3】特開2010−229392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、接着性、耐熱性及び液保存安定性に優れる組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、カチオン重合性化合物の混合物(1)を含んでなり、該混合物(1)が、下記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)、脂環式エポキシ化合物(1C)及びオキセタン化合物(1D)から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする組成物を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0007】
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、mは0〜10の整数である。)
【0008】
また、本発明は、上記組成物からなる接着剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、接着性及び耐熱性に優れるため、接着剤用途として特に有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の組成物及び該組成物からなる接着剤について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0011】
本発明に使用する前記カチオン重合性化合物の混合物(1)において、該混合物を構成するカチオン重合性化合物は、光照射により活性化したカチオン重合開始剤により高分子化又は架橋反応を起こす化合物であり、カチオン重合性化合物として、エポキシ化合物、オキセタン化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニルエーテル等を用いることができるが、上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)を主成分として含有していることが必須である。これに加えて、脂肪族エポキシ化合物(1B)、脂環式エポキシ化合物(1C)及びオキセタン化合物(1D)の少なくとも一種を含有していることが必須である。尚、主成分とは、カチオン重合性化合物を数種類混ぜて、同じ種類のカチオン重合性化合物の合計質量が一番多いものを言う。
【0012】
上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)において、上記一般式(I)中、R1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、へキシルオキシ、へプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルへキシルオキシ等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数2〜5のアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。尚、本明細書中におけるハロゲン原子はすべてこれと同様である。
【0013】
上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)としては、エポキシ当量が小さくなる点から、R1、R2、R3及びR4が水素又はメチル基であるものが好ましく、水素であるものが特に好ましい。
【0014】
上記脂肪族エポキシ化合物(1B)としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、sec‐ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
【0015】
上記脂肪族エポキシ化合物(1B)としては、接着剤の粘度及び硬化物の耐熱性の点から、炭素原子数1〜6の脂肪族ジオールのジグリシジルエーテルが好ましい。
【0016】
上記脂肪族エポキシ化合物(1B)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(ナガセケムテックス社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学社製)等が挙げられる。
【0017】
上記脂環式エポキシ化合物(1C)としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0018】
上記脂環式エポキシ化合物(1C)としては、接着剤の粘度及び硬化物の耐熱性の点から、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。
【0019】
上記脂環式エポキシ化合物(1C)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(ダイセル社製)等が挙げられる。
【0020】
上記オキセタン化合物(1D)としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン等の二官能脂肪族オキセタン化合物、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタン等の単官能オキセタン化合物が挙げられ、中でも二官能脂肪族オキセタンが、反応性、硬化性の点から好ましい。
【0021】
上記オキセタン化合物(1D)としては、接着剤の粘度及び硬化物の耐熱性の点から、3−エチルー{[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンが特に好ましい。
【0022】
上記オキセタン化合物(1D)としては、市販品を用いることができ、例えば、アロンオキセタンEXOH、POX、OXA、OXT−101、OXT−211、OXT−212、OXT−221(東亞合成社製)等が挙げられる。
【0023】
上記カチオン重合性化合物の混合物(1)において、上記一般式(I)で表される芳香族エポキシ化合物(1A)、脂肪族エポキシ化合物(1B)、脂環式エポキシ化合物(1C)及びオキセタン化合物(1D)の混合割合は、上記カチオン重合性化合物の混合物(1)100質量部中、上記芳香族多官能エポキシ化合物(1A)が20〜80質量部、好ましくは、30〜70質量部、より好ましくは30〜60質量部であり、上記脂肪族エポキシ化合物(1B)が0〜70質量部、好ましくは、5〜60質量部、より好ましくは10〜50質量部であり、上記脂環式エポキシ化合物(1C)が0〜20質量部、好ましくは、0.5〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部であり、上記オキセタン化合物(1D)が0〜70質量部、好ましくは、5〜60質量部、より好ましくは10〜50質量部であることが好ましい。但し、上記一般式(I)で表される芳香族エポキシ化合物(1A)は主成分であることから、その含有量は、他の化合物に比して最も多い値をとる。
【0024】
上記カチオン重合性化合物としては、上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)以外の芳香環含有エポキシ化合物を、上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)と併用することができる。該芳香環含有エポキシ化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノール又は、そのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル化物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック樹脂;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のグリシジルエステル、安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。この場合、上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)以外の芳香環含有エポキシ化合物の含有量は、上記一般式(I)で表される芳香環含有エポキシ化合物(1A)100質量部に対し好ましくは90質量部以下、より好ましくは60質量部以下とする
【0025】
本発明の組成物は、更にカチオン重合開始剤(2)を含有してもよい。
本発明に使用する上記カチオン重合開始剤(2)とは、エネルギー線照射により酸を発生することが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
p[A]q+・s[B]t-(Aは陽イオン種を表し、Bは陰イオン種を表し、q及びtは、それぞれ独立に1又は2を表し、p及びsは、電荷を中性に保つ係数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0026】
ここで陽イオン[A]q+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(R10aQ]q+
で表すことができる。
【0027】
更にここで、R10は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR10は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子或いは原子団である。また、陽イオン[A]q+中のQの原子価をtとしたとき、q=a−tなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
【0028】
また、陰イオン[B]t-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LXbt-
で表すことができる。
【0029】
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]t-中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
【0030】
上記一般式の陰イオン[LXbt-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート(BF4-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6-等を挙げることができる。
【0031】
また、陰イオン[B]t-は、下記一般式、
[LXb-1(OH)]t-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,X,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフルオロブタンスルフォネート、ヘキサデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
【0032】
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
(イ) フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
【0034】
(ロ) ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
【0035】
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
【0036】
【化2】
【0037】

【化3】
【0038】
また、その他好ましいものとしては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
【0039】
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましい。
【0040】
上記カチオン重合性化合物の混合物(1)に対するカチオン重合開始剤(2)の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、カチオン重合性化合物の混合物(1)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(2)を好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部とすることができる。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度等の諸物性に悪影響を与える場合がある。
【0041】
本発明の組成物は、組成物全量(但し、溶媒は除く)の100質量部に対し、水分を0.05〜3質量部含むことが好ましい。
【0042】
本発明の組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド等のチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート類、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシラン等のイソシアネートシラン類等を用いることができる。
【0043】
上記シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常、組成物中の固形物の全量100質量部に対して、1〜20質量部の範囲である。
【0044】
本発明の組成物には、必要に応じて熱重合開始剤を用いることができる。
熱重合開始剤とは、加熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する化合物として、スルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩等の塩;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類;前記ポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類又はカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;前記有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;前記ポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類及びフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;多価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリット酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等)の酸無水物;ジシアンジアミド、イミダゾール類、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等を挙げることができる。
【0045】
上記熱重合開始剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、アデカオプトン CP77、アデカオプトンCP66(ADEKA社製)、CI−2639、CI−2624(日本曹達社製)、サンエイド SI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイド SI−100L(三新化学工業社製)等が挙げられる。
【0046】
上記熱重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、組成物中の固形物の全量100質量部に対して、0.001〜10質量部の範囲であり、該熱重合開始剤を用いる場合には、本発明の組成物を硬化させる際に130〜180℃で20分〜1時間加熱するのが好ましい。
【0047】
本発明の組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0048】
本発明の組成物には、特に制限されず通常用いられる上記(1)〜(4)の各成分を溶解又は分散しえる溶媒を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0049】
本発明の組成物は、粘度が1〜200mPa・s以下であるものが、硬化性及び塗工性に優れるため好ましい。
【0050】
本発明の組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0051】
上記支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
【0052】
また、本発明の効果を損なわない範囲(好ましくは組成物中の固形物の全量100質量部に対して、50質量部以下)である限り、必要に応じて他のモノマー、他のカチオン重合性重合開始剤、ラジカル重合開始剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料等の着色剤、光増感剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レベリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0053】
本発明の組成物は活性エネルギー線の照射により硬化するが、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0054】
本発明の組成物の具体的な用途としては、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、接着剤、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができ、例えばコーティング剤として適用できる基材としては金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス、セラミック製品等を挙げることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の組成物及び該組成物を硬化して得られる硬化物に関し、実施例、評価例及び比較例により具体的に説明するが、本発明は実施例等により制限されない。尚、実施例及び比較例では部は質量部を意味する。
【0056】
[実施例1〜16及び比較例1〜4]
下記の[表1]〜[表4]に示す配合で各成分を十分に混合して、各々実施組成物1〜16、比較組成物1〜4を得た。
【0057】
カチオン重合性化合物としては下記の化合物(1A−1)並びに(1A’−1)〜(1A’−2)、(1B−1)〜(1B−3)、(1C−1)〜(1C−2)、(1D−1)〜(1D−2)を用いた。
化合物1A−1:EPOX−MK R1710(プリンテック社製ビスフェノールE型エポキシ樹脂)
化合物1A’−1:EP−4901L(ADEKA社製ビスフェノールF型エポキシ樹脂)
化合物1A’−2:EP−4100L(ADEKA社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
化合物1B−1:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
化合物1B−2:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
化合物1C−1: セロキサイド2021P(ダイセル社製脂環式エポキシ化合物)
化合物1C−2:(4R)−1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサン
化合物1D−1:アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
化合物1D−2:アロンオキセタンOXT−101(東亞合成社製)
【0058】
カチオン重合開始剤(2)としては下記の化合物(2−1)を用いた。
化合物2−1:[化4]で表される化合物及び[化5]で表される化合物の混合物のプロピレンカーボネート50%溶液
【0059】
【化4】
【0060】
【化5】
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
[評価例1〜16及び比較評価例1〜4]
上記実施例1〜16で得られた実施組成物及び比較例1〜4で得られた比較組成物について、下記評価を行った。結果を上記[表1]〜[表4]に示す。
(密着性)
得られた実施組成物1〜16、比較組成物の1〜4のそれぞれを、一枚のTACフィルム又はPMMAフィルムに塗布した後、ラミネーターを用いてコロナ放電処理を施したCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムと貼り合わせ、コールドミラー型高圧Hgランプを用いて1000mJ/cm2のエネルギーを照射して接着して試験片を得た。得られた試験片の90度ピール試験を行った。
(Tg)
得られた実施組成物1〜16、比較組成物の1〜4のそれぞれをPETフィルム上にバーコーターで3μmの厚さに塗布し、コールドミラー型高圧Hgランプを用いて2000mJ/cm2のエネルギーを照射した。24時間後にフィルムから接着剤硬化物を取り出し、(株)日立ハイテクサイエンス製の粘弾性測定装置(DMA7100)を用いTgを測定した。結果を[表1]〜[表4]に示す。
(粘度)
得られた実施組成物の1〜16、比較組成物の1〜4のそれぞれを25℃においてE型粘度計で粘度を測定した。結果を[表1]〜[表4]に示す。
【0066】
[表1]〜[表4]より、本発明の組成物は、接着性及び耐熱性に優れることが明らかである。