特許第6879915号(P6879915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6879915窒化アルミニウム(ALN)PVDプロセスのためのガス冷却型最小接触面積(MCA)静電チャック(ESC)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879915
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】窒化アルミニウム(ALN)PVDプロセスのためのガス冷却型最小接触面積(MCA)静電チャック(ESC)
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210524BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20210524BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20210524BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20210524BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20210524BHJP
   C30B 29/38 20060101ALN20210524BHJP
   C30B 23/08 20060101ALN20210524BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   C23C14/50 A
   C23C14/34 K
   H01L21/31 D
   H02N13/00 D
   !C30B29/38 C
   !C30B23/08 Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-531262(P2017-531262)
(86)(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公表番号】特表2018-501653(P2018-501653A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】US2015059065
(87)【国際公開番号】WO2016093986
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年11月2日
(31)【優先権主張番号】14/567,161
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト ブライアン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ガジェンドラ マノイ エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンブリンガム サンダラジャン
【審査官】 湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−530833(JP,A)
【文献】 特開2000−040734(JP,A)
【文献】 特開2006−080222(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0133157(US,A1)
【文献】 特開2002−110774(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0201622(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0021801(KR,A)
【文献】 特開2007−300057(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0165356(US,A1)
【文献】 特表2013−506819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
H02N 13/00
C23C 14/34
C23C 14/50
C30B 23/08
C30B 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摂氏378度から摂氏445度の範囲を含む温度で動作するように構成される静電チャックと、
前記静電チャックと接触して配設された冷却プレートであり、その中に形成されたガスチャネルを有する、冷却プレートと、
ガス戻り入口、ガス戻り出口、冷却ガス出口、冷却ガス入口及び熱交換器を有する、ガスボックスと
を含み、
前記冷却ガス出口は、前記冷却プレートにおける前記ガスチャネルの第1の端部に接続され、前記冷却ガス出口は、流量制御バルブのみを介して前記冷却ガス入口に接続され、前記冷却ガス入口から流れる流体は、前記熱交換器にアクセスできない前記ガスボックスを介した単一の経路のみを有しており、前記ガス戻り入口は、前記冷却プレートにおける前記ガスチャネルの第2の端部に接続され、前記ガス戻り入口は、前記熱交換器を介して前記ガス戻り出口に接続され、前記ガスボックスは、摂氏378度と摂氏445度の間に前記静電チャックの温度を維持するために、前記ガスチャネルを介して冷却ガスの流れを制御するように動作可能であり、前記熱交換器は、前記ガス戻り入口での摂氏200度から静電チャックアセンブリを含む環境の外に排気されるように構成される前記ガス戻り出口での温度に前記冷却ガスを冷却するように構成される、静電チャックアセンブリ。
【請求項2】
前記熱交換器は、ガス冷却された静電チャックから生じるRF電力から前記ガスボックスを分離するように構成される1又は複数の絶縁パッドを用いて前記ガスボックスから分離されている、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項3】
前記ガスボックスが、前記ガス戻り出口において前記冷却ガスに摂氏30度の温度を提供するように動作可能である、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項4】
前記ガスボックスが、前記静電チャックの温度を摂氏+/−7.5度以内に維持するように動作可能である、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項5】
前記冷却プレートが銅から製造される、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項6】
前記冷却プレートに形成された前記ガスチャネルが200mmESCの場合20.0インチ長の溝を含む、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項7】
前記冷却プレートに形成された前記ガスチャネルが、200mmESCの場合少なくとも20.0インチ長である、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項8】
壁、リッド、および内部の処理容積部を画定する底部を有するチャンバ本体と、
前記チャンバ本体の前記処理容積部に配設されたガス冷却型静電チャックアセンブリであり、前記ガス冷却型静電チャックアセンブリが冷却プレートを有し、前記冷却プレートが、第1の端部および第2の端部をもつガスチャネルを有する、ガス冷却型静電チャックアセンブリと、
ガス戻り入口と、ガス戻り出口と、冷却ガス入口と、前記冷却ガス入口及び前記ガス戻り出口に接続された熱交換器と、冷却ガス出口とを有するガスボックスと
を含み、
前記冷却ガス出口は、前記熱交換器にアクセスできない前記ガスボックスを介した単一の経路を形成している前記冷却ガス入口に接続され、前記熱交換器上に配置される1又は複数の絶縁パッドは、ガス冷却された静電チャックにおけるRFエネルギーから前記熱交換器を分離しており、前記ガスボックスは、前記冷却プレートにおける前記ガスチャネルの前記第1の端部に対する前記冷却ガス出口からの冷却ガスの流れを制御し、前記冷却プレートにおける前記ガスチャネルの前記第2の端部からの前記冷却ガスを前記ガス戻り入口で受け付けるように構成されており、前記ガス戻り出口は、前記内部の処理容積部の外側に排気する、処理チャンバ。
【請求項9】
前記ガスボックスが、
前記ガスチャネルを介した冷却ガスの流れを制御するように動作可能である流量制御バルブをさらに含む、請求項8に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
前記ガスボックスが、前記静電チャックに供給される前記冷却ガスの温度を維持して前記静電チャック温度を摂氏400度と摂氏410度との間に制限するように動作可能である、請求項8に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
前記ガスボックスが、前記静電チャックの温度を摂氏+/−7.5度以内に維持するように動作可能である、請求項8に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
前記冷却プレートに形成された前記ガスチャネルが200mmESCの場合20.0インチ長の溝を含む、請求項8に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体デバイスの生産に関する。より詳細には、実施形態は、半導体デバイスの生産の間静電チャックを冷却することに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、世界中で様々な電子デバイスに使用されている半導体処理システムによって生産される非常に小さいデバイスである。窒化アルミニウム(AlN)は、MEMSデバイスで通常使用される材料であり、物理気相堆積(PVD)プロセスは、基板に高品質MEMSデバイスを多量に生成するために利用される好ましい生産技法の1つである。
AlN PVDプロセスの間、基板は、摂氏約400度の温度に維持されるセラミック静電チャック(ESC)上に支持される。MEMSデバイスを確実に生成するために、プロセスは、プロセス温度の変動が最小であることを必要とする。既存のESCアセンブリは、AlN PVDプロセスの温度変動を最小にするために脱イオン水(DIW)冷却システムを使用するように設計されている。しかしながら、従来のDIW冷却システムは、高電力および高温で多数の基板を処理する製造ランの間、PVDチャンバのESCの安定した温度を維持することができなかった。MEMSの生産の間にわずか数個の基板がAlN PVDプロセスにかけられた後、ESCの温度の上昇傾向が始まる。製造ランにおいてその後続いて処理される基板は、前の基板よりも高温にさらされる。温度は急速に上昇し、温度のこの急速な変動は、基板に堆積された膜の応力に影響を与える。追加として、摂氏400度以上の温度において、ESCを冷却するために脱イオン水を使用すると、熱衝撃が作り出され、セラミックESCが損傷されることがある。したがって、従来のESCは、摂氏400度以上の温度でMEMSデバイスを確実に処理するのに適していない。
それゆえに、改善されたESCへの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
静電チャックアセンブリ、処理チャンバ、および基板の温度を維持する方法を含む本開示の実施形態が提供される。1つの実施形態では、静電チャックと、冷却プレートと、ガスボックスとを含む静電チャックアセンブリが提供される。冷却プレートは、その中に形成されたガスチャネルを含む。ガスボックスは、ガスチャネルを通る冷却ガスの流量を制御するように動作可能である。
別の実施形態では、チャンバ本体と、ガス冷却型静電チャックアセンブリと、ガスボックスとを含む処理チャンバが提供される。チャンバ本体は、壁、リッド、および内部の処理容積部を画定する底部を有する。ガス冷却型静電チャックアセンブリは、チャンバ本体の処理容積部に配設され、ガス冷却型静電チャックアセンブリは冷却プレートを有する。冷却プレートは、第1の端部および第2の端部をもつガスチャネルを有する。ガスボックスは、冷却プレートのガスチャネルの第1の端部への冷却ガスの流量を制御し、冷却プレートのガスチャネルの第2の端部からの冷却ガスを受け取るように構成される。
【0004】
別の実施形態では、ガス冷却型静電チャックアセンブリを冷却する方法が提供され、その方法は、冷却ガスをガスボックスに供給するステップと、ガスボックスからの冷却ガスを静電チャックに結合された冷却プレートを通して流すステップと、冷却プレートからの冷却ガスをガスボックスにすばやく移動させるステップと、冷却ガスを冷却するためにガス冷却ボックスの熱交換器を通して冷却ガスをすばやく移動させるステップとを含む。
本発明の上述で列挙した特徴を詳細に理解できるように、本発明のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって得ることができ、実施形態のいくつかが添付図面で示される。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえに、本発明が他の効果的な実施形態を認め得るためその範囲を限定すると考えるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ガス冷却型静電チャックを有する処理チャンバの概略断面図である。
図2】静電チャックのためのガス冷却装置の概略図である。
図3】ガス冷却型静電チャックの冷却プレートの底面図である。
図4】多数の製造サイクルに対応する期間にわたるガス冷却型静電チャックの温度変動を示すグラフである。
図5】ガス冷却型静電チャックを冷却する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
理解しやすくするために、同一の参照番号が、可能である場合、図に共通する同一の要素を指定するために使用されている。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに、他の実施形態に有利に組み込むことができることが意図されている。
しかしながら、添付図面は、本発明の例示的な実施形態のみを示しており、それゆえに、本発明が他の等しく効果的な実施形態を認め得るためその範囲を限定すると考えるべきではないことに留意されたい。
PVDチャンバ中で堆積されるAlNを使用して高品質MEMSデバイスを生産するためのスループットは、AlN層が堆積される基板を支持するためにPVDチャンバで利用される静電チャック(ESC)の温度変動を低減することによって向上させることができる。ESCの温度変動は、ESCをガスで冷却することによって減少させることができる。ESCアセンブリおよび/またはESCが支持される冷却プレートは、制御されたガス流(とりわけ、N2または清浄乾燥空気(CDA))およびシステムインターロックをもつガス冷却装置を利用して、ガス流を確実にし、ESC/基板の温度変動を摂氏約±7.5度以内に制限する。追加として、摂氏400度を超える温度およびさらに摂氏1000度近くに上がった温度などの高温を有する他の堆積用途は、温度変動を摂氏±7.5度以内に制限するためのガス冷却をもつESCから利益を受けることが示されている。
【0007】
図1は、例示的なプロセスチャンバ100(例えば、物理気相堆積(PVD)もしくはスパッタプロセスチャンバ、または化学堆積チャンバ(CVD))を示している。プロセスチャンバ100は、最小温度変動を必要とする高温動作に好適であり得る。プロセスチャンバ100は、例えばMEMSの製造中に基板190に窒化アルミニウム(AlN)材料をスパッタ堆積するのに好適なPVDチャンバとすることができる。しかしながら、プロセスチャンバ100は、その中で処理される材料の温度変動を制限することが望ましい用途にとって好適なCVDチャンバまたは他のチャンバとしてもよいことを理解されたい。
【0008】
プロセスチャンバ100は、その中に画定された処理容積部118を有するチャンバ本体108を含む。チャンバ本体108は、側壁110と底部112とを有する。プロセスチャンバ100のチャンバ本体108および関連する構成要素の寸法は制限されず、一般に、その中で処理される基板190のサイズよりも比例して大きい。しかしながら、任意の好適な基板サイズを処理できるように、プロセスチャンバ100はそれに応じてサイズ変更することができる。好適な基板サイズの例には、200mm直径、100mm直径、または450mm直径をもつ基板が含まれる。
チャンバリッドアセンブリ104が、チャンバ本体108の上部に装着される。チャンバ本体108は、ステンレス鋼、アルミニウム、または他の好適な材料から製造することができる。基板アクセスポート138は、チャンバ本体108の側壁110を貫いて形成され、プロセスチャンバ100へのおよびプロセスチャンバ100からの基板190の移送を容易にする。アクセスポート138は、基板処理システムの移送チャンバおよび/または他のチャンバに結合され得る。
基板支持体150は、チャンバ本体108の内部に配設される。基板支持体150は、基板支持体150の上部とチャンバリッドアセンブリ104との間の間隔を制御するために移動可能である。基板支持体150は、ガス冷却型静電チャック(ESC)152と冷却プレート170とを含み、それらの両方について以下でさらに説明する。
【0009】
ガス源132は、プロセスガスを処理容積部118に供給するためにチャンバ本体108に結合される。1つの実施形態では、プロセスガスは、不活性ガス、非反応性ガス、および必要に応じて反応性ガスを含むことができる。ガス源132で供給できるプロセスガスの例には、限定はしないが、とりわけ、アルゴンガス(Ar)、ヘリウム(He)、ネオンガス(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、窒素ガス(N2)、酸素ガス(O2)、水素ガス(H2)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)、および/または二酸化炭素(CO2)が含まれる。1つの実施形態では、ガス源132は、N2およびArをチャンバ容積部に供給する。
【0010】
プロセスガスがプロセスチャンバ100に導入された後、ガスは、エネルギーを与えられてプラズマを形成する。1つまたは複数のインダクタコイルなどのアンテナ142をプロセスチャンバ100に隣接して設けることができる。アンテナ電力供給装置140は、アンテナ142に電力を供給して、RFエネルギーなどのエネルギーをプロセスガスに誘導結合し、それによって、基板支持体150とリッドアセンブリ104との間のプロセスチャンバ100に画定されたプロセスゾーンにプラズマを形成することができる。代替としてまたは加えて、基板190の下方のカソードと基板190の上方のアノードとを含むプロセス電極を使用して、RF電力を結合し、それによって、プラズマを発生させることができる。プロセスチャンバ100の他の構成要素の動作をさらに制御するコントローラ180は、アンテナ電力供給装置140の動作を制御することができる。
【0011】
ポンピングポート192は、チャンバ本体108の底部112を貫いて形成される。ポンピングデバイス194は、処理容積部118に結合されて、その中の圧力を排出して制御する。ポンピングシステムおよびチャンバ冷却設計は、熱収支ニーズに適した温度、例えば、−25℃〜+1000℃で高いベース真空(1E−8Torr以下)および低い上昇率(1,000mTorr/分)を可能にする。ポンピングシステムは、プロセス圧力の精密な制御を行うように設計される。
リッドアセンブリ104は、一般に、ターゲット120と、それに結合された接地シールドアセンブリ130とを含む。ターゲット120は、PVDプロセス中にスパッタされ基板190の表面に堆積され得る材料源を備える。ターゲット120は、DCスパッタリングの間プラズマ回路のカソードとして機能する。
【0012】
ターゲット120(またはターゲットプレート)は、堆積層に利用される材料、またはプロセスチャンバ100中で形成されるべき堆積層の元素から製造することができる。電源144などの高電圧電力供給装置は、ターゲット120に接続されて、ターゲット120から材料をスパッタリングしやすくする。ターゲット120は、ケイ素(Si)、チタン(Ti)金属、タンタル金属(Ta)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)金属、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、それらの合金、それらの組合せなどを含む材料から製造することができる。追加として、処理の間のターゲットからの電子放出は、ターゲットのn型ドーピングまたはp型ドーピングによって制御することができる。ターゲットは、ホウ素(B)などの導電性元素でドープされてもよい。1つの実施形態では、ターゲットは、AlN層を形成するために基板190上で窒素イオンと結合するAlイオンを発生させるためのAl合金を含むことができる。
ターゲット120は、一般に、周辺部分128と中央部分124とを含む。周辺部分128はチャンバの側壁110の上に配設される。ターゲット120の中央部分124は、基板支持体150に配設された基板190の表面の方にわずかに延びる湾曲表面を有することができる。ターゲット120と基板支持体150との間の間隔は、約50mmと約150mmとの間に維持される。ターゲット120の寸法、形状、材料、構成、および直径は、特定のプロセスまたは基板要件に対して変更できることに留意されたい。ターゲット120は、一緒にしてターゲットを形成する隣接するタイルまたはセグメント化された材料をさらに含むことができる。
【0013】
リッドアセンブリ104は、処理の間ターゲット120から材料を効率的にスパッタリングするのを強化するターゲット120の上方に装着されたマグネトロンカソード102をさらに含むことができる。マグネトロンカソード321は、一貫したターゲットエロージョンと基板190の端から端までのAlNなどの膜の均一な堆積とを確実にしながら、容易で高速なプロセス制御および目的に合わせた膜特性を可能にする。マグネトロンアセンブリの例には、とりわけ、リニアマグネトロン、蛇行マグネトロン、螺旋マグネトロン、二重指状マグネトロン、矩形化螺旋マグネトロンが含まれる。
【0014】
リッドアセンブリ104の接地シールドアセンブリ130は、接地フレーム106と接地シールド122とを含む。接地シールドアセンブリ130は、他のチャンバシールド部材、ターゲットシールド部材、ダークスペースシールド、およびダークスペースシールドフレームをさらに含むことができる。接地シールド122は、処理容積部118のターゲット120の中央部分の下方に上部処理領域126を画定する接地フレーム106によって周辺部分128に結合される。接地フレーム106は、接地シールド122をターゲット120から電気的に絶縁し、一方、プロセスチャンバ100のチャンバ本体108に接地経路を側壁110経由で与える。接地シールド122は、処理の間発生されるプラズマを上部処理領域126内に抑制し、ターゲット120の限られた中央部分124からターゲット原材料を追い出し、それによって、追い出されたターゲット源は、主として、チャンバ側壁110ではなく基板表面に堆積され得る。1つの実施形態では、接地シールド122は、溶接、接着、高圧圧縮などの当技術分野で知られているプロセスによってボンディングする1つまたは複数のワークピース断片および/またはいくつかのこれらのピースによって形成することができる。
【0015】
コントローラ180はプロセスチャンバ100に結合される。コントローラ180は、中央制御装置(CPU)184と、メモリ182と、サポート回路186とを含む。コントローラ180は、プロセスシーケンスを制御し、それにより、ガス源132からプロセスチャンバ100へのガス流を調整し、ターゲット120のイオン衝撃を制御するために利用される。CPU184は、産業環境で使用できる汎用コンピュータプロセッサの任意の形態のものとすることができる。ソフトウェアルーチンは、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、フロッピーもしくはハードディスクドライブ、または他の形態のデジタルストレージなどのメモリ182に記憶することができる。サポート回路186は、CPU184に従来通り結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電力供給装置などを含むことができる。ソフトウェアルーチンは、CPU184によって実行されると、CPUを、プロセスが本発明に従って実行されるようにプロセスチャンバ100を制御する特定の目的のコンピュータ(コントローラ)180に変換する。ソフトウェアルーチンは、さらに、プロセスチャンバ100から遠隔に配置された第2のコントローラ(図示せず)によって記憶および/または実行されてもよい。
【0016】
処理中に、材料は、ターゲット120からスパッタされ、基板190の表面に堆積される。ターゲット120および基板支持体150は、ガス源132によって供給されたプロセスガスから形成されたプラズマを維持するために互いに対しておよび/または接地に対して電源144によってバイアスがかけられる。プラズマからのイオンは、ターゲット120に向かって加速され、ターゲット120に衝突し、それにより、ターゲット材料をターゲット120から追い出す。追い出されたターゲット材料と反応性プロセスガスとは、一緒に、所望の組成で基板190に層を形成する。RF、DC、もしくは高速スイッチングパルスDC電力供給装置、またはそれらの組合せは、AlN材料のスパッタリング組成および堆積速度の精密な制御のために、調整可能なターゲットバイアスを供給する。
【0017】
チャンバ本体108の底部112を通って延びるシャフト164はリフト機構160に結合する。リフト機構160は、下側の移送位置と上側の処理位置との間で基板支持体150を移動させるように構成される。ベローズ162はシャフト164を囲み、基板支持体150に結合されて、それらの間に可撓性密閉を設け、それによって、プロセスチャンバ100の処理容積部118の真空保全性を維持する。
上述で論じたように、基板支持体150は、チャック電極158を有する静電チャック(ESC)を含む。ESC152は、処理の間絶縁性基板190と導電性基板190の両方を保持するために反対の電荷の引力を使用し、DC電力供給装置166によって電力供給される。ESC152は、誘電体本体153内に埋め込まれたチャック電極158を含む。DC電力供給装置166は、約200ボルト〜約2000ボルトのDCチャッキング電圧をチャック電極158に供給することができる。DC電力供給装置166は、基板190をチャックおよびデチャックするために電極にDC電流を導くことによってチャック電極158の動作を制御するためのシステムコントローラ180をさらに含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、層堆積プロセスの異なるフェーズの間基板190にバイアスを別々に印加することがさらに望ましい。それゆえに、基板支持体150のバイアス電極156(またはチャック電極158)に供給源154(例えば、DCおよび/またはRF供給源)からバイアスを供給することができ、その結果、基板190は、堆積プロセスの1つまたは複数のフェーズの間プラズマに形成されたイオンで衝撃を与えられることになる。
【0019】
シャドウフレーム136が、基板支持体150の周辺領域に配設され、ターゲット120からスパッタされた原材料の堆積を基板表面の所望の部分に限定するように構成される。チャンバシールド134は、チャンバ本体108の内壁に配設され、基板支持体150のまわりに配設されたシャドウフレーム136を支持するように構成された、処理容積部118の内部に延びるリップを有することができる。基板支持体150が処理のために上部位置に持ち上げられると、基板支持体150に配設された基板190の外側エッジはシャドウフレーム136によって係合され、シャドウフレーム136は持ち上げられ、チャンバシールド134から離間される。基板支持体150を基板移送アクセスポート138に隣接する移送位置まで下げると、シャドウフレーム136はチャンバシールド134上に戻される。リフトピン(図示せず)を基板支持体150を通して選択的に移動して、基板190を基板支持体150の上方に持ち上げ、それにより、移送ロボットまたは他の好適な移送機構による基板190へのアクセスを容易にする。
【0020】
上述で論じたように、基板支持体150は冷却プレート170を含むことができる。冷却プレート170は、ESC152の下面に接触して配設される。冷却プレート170は、ESC152、したがって、ESC152上に配設された基板190の温度を制御するために利用される。冷却プレート170は、ESC152に結合されてもよく、またはESC152の一部としてもよい。冷却プレート170は、冷却ライン174によってガス冷却ボックス178に接続される。ガス冷却ボックス178は、ガスなどの一次伝熱流体を供給することができ、一次伝熱流体は、冷却プレート170を通って循環し、その後、ガス冷却ボックス178に戻る。冷却プレート170は、その中に配設された1つまたは複数の導管172を有することができる。隣接する導管172を通って流れる一次伝熱流体は、ESC152と冷却プレート170の異なる領域との間の伝熱の局所制御を可能にするために分離することができ、それは、基板190の横方向温度プロファイルを制御するのを支援する。導管172は、冷却ライン174へのマニホルドに接続することができ、または各々冷却プレート170にまたは冷却プレート170から一次伝熱流体を供給するために個々の冷却ライン174を有することができる。
【0021】
冷却プレート170は、ESC152上の基板190の温度を、膜が揮発性になりプロセスチャンバ100を汚染することがある温度未満に保つことができる。冷却プレート170は、AlN PVDによってMEMSデバイスを形成するために安定温度範囲内にESC152を保つ。したがって、冷却プレート170は、チャンバ汚染および/またはESCへの損傷に由来するプロセスチャンバ100に関する生産の欠陥および故障時間を減少させる。
【0022】
図2は、ESC152のためのガス冷却装置200の高水準概略図である。ガス冷却装置200は、ガス冷却型ESCアセンブリ252とガス冷却ボックス178とを含む。ESCアセンブリ252は基板支持体150の一部であり、ESCアセンブリ252は冷却ライン174によってガス冷却ボックス178に接続される。ESCアセンブリ252は、ESC152と冷却プレート176とを含む。冷却ライン174は、1つまたは複数の冷却ガス戻りラインと1つまたは複数の冷却ガス供給ラインとを含むことができる。1つの実施形態では、冷却ライン174は、2つのガス戻りラインと、互いに流体的に分離されている2つの対応するガス供給ラインとを有する。冷却ガス供給ラインは、本明細書では冷却ガスとも呼ぶ一次伝熱流体をガス冷却型ESCアセンブリ252に供給する。冷却ガスの温度は、冷却ガスがガス冷却型ESCアセンブリ252を通って進み、ガス冷却型ESCアセンブリ252から熱を取り除くにつれて上昇する。冷却ガスは、今や加熱されており、ガス冷却型ESCアセンブリ252から冷却ライン174を介してガス冷却ボックス178にガス戻り入口222を経由して戻される。
【0023】
ガス冷却ボックス178は、その中で流体を接続し移動させるためのいくつかの接続部を有することができる。ガス冷却ボックス178はソース冷却ガス入口214とソース冷却ガス出口212とを有することができる。冷却ガス源260は、N2、He、または他の好適なガスなどの冷却ガスをソース冷却ガス入口214に供給することができる。冷却ガスは、摂氏約30度の温度で供給することができる。冷却ガスは、ソース冷却ガス入口214でガス冷却ボックス178に入り、ソース冷却ガス出口212から出ていく。ソース冷却ガス出口212は、冷却ライン174に流体的に取り付けられ、ソース冷却ガス出口212を出る冷却ガスは冷却プレート176に入る。冷却ガスは、ガス冷却型ESCアセンブリ252から冷却ガスに熱を移送することによってガス冷却型ESCアセンブリ252の温度を調整するのに好適な温度とすることができる。
【0024】
ガス冷却ボックス178は、流量制御バルブ210を有することができる。ソース冷却ガス入口214に入る冷却ガス(N2)の流量は、流量制御バルブ210によって制御される。流量制御バルブ210は、冷却ガスの流量を設定するためのデジタル入力/出力(I/O)ポートを有するセンサをもつ可変ガス流量制御バルブとすることができる。I/Oポートは、コントローラ180に取り付けられてもよい。流量制御バルブ210は、流量情報、ならびに冷却ガスの流量に関する設定値がない場合などのシステムエラーをコントローラ180に送信することができる。コントローラ180は、ソース冷却ガス出口212からガス冷却型Esc252への冷却ガスの流量を調整するために流量制御バルブ210を操作することができる。
ガス冷却ボックス178は、ガス戻り入口222と戻りガス出口224とをさらに有することができる。冷却ガスは、ガス冷却型ESCアセンブリ252から離れたところに熱を運ぶ。冷却ガスは、冷却ラインを介してガス冷却型ESCアセンブリ252を出て、ガス冷却ボックス178のガス戻り入口222に入る。冷却ガスは、ガス冷却ボックス178の戻りガス出口224を出ていき、冷却ガス源260によってリサイクルされるかまたは再使用されてもよい。
【0025】
ガス冷却ボックス178は、追加として、冷却流体入口232と冷却流体出口234とを有することができる。冷却流体源250は、脱イオン水(DIW)または他の好適な冷却流体などの二次冷却流体をガス冷却ボックス178の冷却流体入口232に供給することができる。二次冷却流体は、冷却流体出口234を介してガス冷却ボックス178を出る。冷却流体出口を出た二次冷却流体は、熱を取り除く熱処置などによる処置が行われて、冷却流体源250によってリサイクルされ、さらに再使用され得る。
【0026】
ガス冷却ボックス178は、熱交換器220とオプションのサーモスタット226とを有することができる。熱交換器220は、非接触熱交換器、またはシェルアンドチューブ熱交換器のような他の好適な非接触熱交換器とすることができる。追加として、ガス冷却ボックス178は流量スイッチ230を有することができる。ガス冷却型ESCアセンブリ252から戻る冷却ガスは、摂氏約200度の温度に暖められることがある。加熱された冷却ガスは、ガス戻り入口222でガス冷却ボックス178に入り、熱交換器220を通過する。流量スイッチ230は、冷却流体源250からの二次冷却流体の流量を調整することができる。流量スイッチ230は、二次冷却流体の流量を感知しコントローラ180と通信するために、インターロックとIOポートとをさらに有することができる。流量スイッチは、冷却流体入口232から入ってきて熱交換器220に入る二次冷却流体を調整する。熱交換器220は、二次冷却流体を感知するためのインターロックをもつ流量スイッチ、ならびにコントローラ180と通信するためのI/Oポートをさらに有することができる。追加として、熱交換器は、熱交換器220に二次冷却流体の流れがない場合などの過熱状態を感知するために熱交換器220にバイメタル熱スイッチなどの熱スイッチを有することができる。熱交換器は、熱交換器220とガス冷却ボックス178との間の伝熱を最小にするために、ならびにガス冷却型ESCアセンブリ252からのRF電力を絶縁するために、フルオロポリマーパッドでガス冷却ボックス178から分離することができる。熱交換器220は、加熱された冷却ガスを摂氏約30度まで冷却することができる。今や冷却された冷却ガスは、戻りガス出口224を介してガス冷却ボックス178から排気され得る。1つの実施形態では、コントローラ180は、サーモスタット226をモニタし、流量スイッチ230および流量制御バルブ210を調整して、所望のステップ点温度の摂氏+/−7.5度以内にガス冷却型ESCアセンブリ252を維持するのに好適な流量および温度で冷却プレート176に冷却ガスを供給する。1つの例では、所望のステップ点温度は、摂氏約400度から摂氏約410度までの間とすることができる。
【0027】
基板(図示せず)と冷却プレート176との間の効率的な伝熱を達成するために、ガス冷却チャネル310が冷却プレート176中に存在する。
【0028】
図3は、ガス冷却型静電チャック252の冷却プレート176の底面図である。冷却プレート176は、銅(Cu)、ステンレス鋼(SST)、または他の熱伝導性材料もしくは材料の混合物から形成することができる。1つの実施形態では、ガス冷却チャネル310は、銅プレート320などのプレートに形成された溝とすることができる。銅プレート320は、ガス冷却型ESCアセンブリ252を形成する際、ESC152にろう付けもしくはボンディングされるか、または押しつけられてもよい。交替に、銅プレート320は、ESC152との組立てに先立ってSSTプレート340などの第2のプレートにろう付けもしくはボンディングされるか、または押しつけられてもよい。追加として、銅プレート320の面とセラミックESC152の裏側(下面)との間に熱伝導性ガスケット材料を置いて、熱の温度移送を銅プレート320により良好に結合させ、結合が不十分な熱接触に起因する温度プロファイルの変動を除去することができる。冷却プレート176は、計装とリード線などの他の制御線とがESC152へとそこを通り抜けるための1つまたは複数の開口区域330を有することができる。
【0029】
冷却プレート176中のガス冷却チャネル310は、第1の端部312と第2の端部322とを有することができる。冷却ライン174は、第1の端部312および第2の端部322に付くことができる。冷却ガスは、冷却ライン174から第1の端部312に流れ、第2の端部322を出ていくことができる。冷却プレート170は単一のガス冷却チャネル310で示されているが、冷却プレート170は、ガス冷却型ESCアセンブリ252を冷却するために、各々が第1の端部312と第2の端部322とを有するいくつかのガス冷却チャネル310を有することができることを理解されたい。複数のガス冷却チャネルからのそれぞれの第1の端部312は、マニホルドに取り付けられてもよく、または個々の冷却ライン174を有してもよい。それぞれの第2の端部322は同様に構成されてもよい。
【0030】
銅プレート320に溝として形成されたガス冷却チャネル310を有し、SSTプレート340にろう付けされた冷却プレート170は、冷却流体とESC152との間の表面接触面積を増加させる。増加した表面接触面積は、ESC152と冷却プレート170との間の伝熱を強化する。ガス冷却型ESC252の銅プレート320に溝として形成されたガス冷却チャネル310は、従来のESCで使用されている従来の水冷却ラインよりも長い、例えば、最大約86%長い冷却経路を備えることができる。例えば、同様のサイズの200mm静電チャックにおいて、ガス冷却チャネル310は約20.0インチ長を超えることができ、例えば、約23.1インチ長とすることができるが、一方、従来の冷却ラインは約12.4インチ長である。それゆえに、ガス冷却チャネル310は、ガス冷却型ESCアセンブリ252に置かれた基板から熱を取り除く際の効率をより高くするために、ガス冷却型ESCアセンブリ252との接触面積をより大きくする。
【0031】
1つの実施形態では、より長いガス冷却チャネル310が、ESC152を冷却するためにN2ガスを運ぶ。N2ガスは摂氏約30度とすることができ、その流量は可変ガス流量制御バルブ210によって制御される。流量制御バルブ210は、コントローラ180へのデジタル出力をもつセンサを有しており、N2ガスの流量を確立する。ESCから排気されるN2ガスは、摂氏約200度であり、熱交換器220を通過する間に摂氏30度まで冷却され、その後、実験室環境に排気される。
図4は、多数の製造サイクルに対応する期間410にわたるガス冷却型静電チャック252の温度変動420を示すグラフである。グラフは3つの製造サイクルを示しており、第1の基板が、プロセスチャンバに置かれ、処理され、プロセスチャンバから取り出され、次いで、第2および第3の基板がサイクルを繰り返す。ESCの安定した温度を維持することが望ましい。図4に示したグラフの温度のサイクルは、実際に、堆積プロセス中のESCの温度を安定化しようとしている。プラズマがオンにされると、基板およびESCによって吸収された過剰な熱が、基板およびESCを加熱し続け、理想的な温度限界を超える傾向がある。ガス冷却型ESC252は、温度を理想的な温度限界内に保つように温度を調整する。
【0032】
ライン440はヒータ温度を示す。ヒータ温度は、摂氏約378度と摂氏約445度との間で変動する。ヒータ温度は、基板が処理の間チャンバ内にあるとき摂氏約445度である。ヒータ温度のライン440は、基板処理が完了したとき、および基板が処理チャンバにおよび/または処理チャンバから移動されることがあるとき、摂氏378度近くまで降下する。
比較のために、ライン450は、冷却されず、3つの基板を処理するために3つの製造サイクルを繰り返す従来のESCの温度を示す。従来のESC(冷却されていない)の温度は製造サイクルの全体にわたって上昇する。ちょうど3回実施した後、従来のESCの温度変化は、所望の処理設定点温度よりも摂氏約45度高いように見える。追加として、従来のESCの温度は、さらに、前の基板の処理の間の従来のESCの温度よりも約10度高い。処理システムが動作し続けると、従来のESCはさらに高い温度に達し、それにより、基板の損傷およびプロセス変動がもたらされることになる。
【0033】
ライン460は、ガス冷却型ESCアセンブリ252の温度を示す。温度上昇は、ライン450によって示されたものよりも非常に遅い。ガス冷却型ESCアセンブリ252は、約390℃〜405℃(±7.5℃)内となるように制御された温度変化を有する。3つの基板を処理する間に示された温度変化は、かなり安定した温度曲線によって明示されるように、3つの基板を処理する間一貫した温度を維持することができることを実証している。安定した温度曲線はより安定したプロセスを示し、その結果として、基板に製造されたMEMSなどのフィーチャがより一貫した品質になる。
【0034】
図5は、ガス冷却型ESCの温度を制御する方法を示している。ガス冷却型ESCは、図2に示したガス冷却型ESCアセンブリ252と同様に構成することができる。方法は動作510で始まり、冷却ガスがガス冷却ボックスに供給される。N2または他の好適なガスなどの冷却ガスは、摂氏約30度の温度でガス源によって供給され得る。動作520において、ESCへの冷却ガスの流量は、ガス冷却ボックスの内部に配設された流量制御バルブで調節される。流量制御バルブは、I/Oポートを有し、コントローラと通信することができる。コントローラは、エラー状態に関して流量制御バルブをモニタし、コントローラによって処理された他の情報に応じてバルブを用いて冷却ガスの流量を調節することができる。
【0035】
動作530において、冷却ガスは、ESCの冷却プレートを通してすばやく移動される。冷却ガスは、流量制御バルブを出て、ガス冷却出口からガス冷却ボックスを出ていく。ガス冷却出口から、ガスは、ESCの冷却プレートのガス冷却チャネルの第1の端部に入る。ガス冷却チャネルは、長さが約23.1インチ長である溝とすることができる。冷却ガスはESCに接触し、熱はESCから冷却ガスに移送される。ガス冷却チャネルは第2の端部を有し、今や加熱された冷却ガスが第2の端部によって冷却プレートを出る。
【0036】
動作540において、冷却ガスは、ESCの冷却プレートからガス冷却ボックスに戻される。今や加熱された冷却ガスは、ガス冷却ボックスのガス戻り入口に入る。動作550において、冷却ガスは、冷却ガスを冷却するためにガス冷却ボックスの熱交換器を通してすばやく移動される。熱交換器は、コントローラに取り付けられたサーモスタットを有する。コントローラは、冷却流体用の流量コントローラを調節しモニタする。脱イオン水などの冷却流体は、冷却ガスから熱を取り除くために熱交換器に入る。冷却ガスは摂氏約30℃で熱交換器を出る。冷却ガス温度は、ガス冷却ボックスから実験室環境に排気するか、または冷却もしくは他の目的のために再使用されるのに好適である。
前述は本発明の実施形態に関するが、本発明の他のおよびさらなる実施形態を、本発明の基本範囲から逸脱することなく考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5