(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の様々な態様について記述する。説明のためであるから、本発明の全般的理解が可能なよう具体的な構成と詳細を説明することにする。とはいえ、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)にはやはり自明な通り、本発明は本願で提示する具体的細部抜きでも実施可能である。更に、本発明をはっきりさせるため周知構成が省略又は簡略化されているところがある。図面への具体的参照につき強調すべきは、図示具体例が専ら本発明の例証的議論を目的に例示されたものであり、本発明の諸原理及び概念的諸側面についての最も有用且つ理解容易な記述と覚しきものを提供する目的にて提示されていることである。こうしたことから、本発明の基礎的理解に必要な以上に詳しく本発明の構造的細部を示す試みはされていないが、記述を図面に照らすことで、いわゆる当業者にしてみれば、本発明の幾つかの形態をどのように実施に移せばよいかは明らかである。
【0013】
本発明の実施形態を幾つか詳述するのに先立ち理解頂きたいのは、本発明の用途が、以下の記述で説明され又は図中に示される諸部材の構成及び配置の詳細によっては限定されないことである。本発明は、様々な要領で実施又は実行可能な他の諸実施形態だけでなく本願記載の諸実施形態の組合せにも適用可能である。また、ご理解頂けるように、本願にて採用されている表現法及び用語法は記述を目的とするそれであるので限定として解されるべきではない。
【0014】
別様に特記されていない限り、以下の議論から明白にご理解頂けるように、本明細書中の議論のうち「処理」、「計算」、「算出」、「導出」、「拡張」等の語を用いる議論は、コンピュータ若しくは情報処理システム又はそれに類する電子情報処理装置の動作及び/又はプロセスのうち、その情報処理システムのレジスタ及び/又はメモリ内で物理量例えば電子量として表現されているデータの操作、及び/又は、その情報処理システムのメモリ、レジスタその他の情報ストレージ、伝送又は表示装置にて同じく物理量として表現される他のデータへの変換に関するものである。
【0015】
本願記載の計量ツール及び方法によれば、周期性ターゲット上での光散乱による諸次回折に対応するトポグラフィック位相の影響が推定され、また計測条件を調整することで計測の正確性が改善される。イメージングでは、コントラスト関数挙動の分析を踏まえ適正な計測条件を選択すること、照明条件を変更すること(スペクトル幅の縮小及び照明NAの低減)、偏向性のターゲット及び/又は光学システムを用いること、複数通りの焦点ずれ位置を利用すること等々により、オーバレイ誤差拡大を軽減することができる。イメージングでもスキャタロメトリでも、更なる計測又は更なるターゲットセルを利用し計測結果のオンザフライ校正を実行することができる。
【0016】
本発明の諸実施形態によれば、効率的且つ経済的なイメージング及び/又はスキャタロメトリ計量計測実行方法及び機構でありより良好な正確性を有するものが提供される。計量オーバレイ(OVL)計測の実行対象は特別に設計された“プロキシ”計量ターゲットであり典型的にはそのスケール(ピッチ)が数百nm超のものである。デバイスデザインルール上のピッチはイメージングやスキャタロメトリのオーバレイ光学ツールでは分解されず、デバイスピッチ(90nm未満)・計量ターゲットピッチ間の隔たりは時間と共に拡がっていく。リソグラフィ処理工程がデバイススケールに対し最適化されるので計量ターゲットは全面的にプロセス互換ではなく、結果としてあらゆるタイプのターゲット非対称性がOVLターゲットに現れる。大抵の場合、ターゲットエッジの側壁角(SWA)における非対称性を初めとする幾何学的非対称性は大きくなく(約1nm)、OVL画定上、許容公差内に収まる程度の曖昧さにつながるものである。しかしながら、不首尾な計測条件下では、イメージングOVL法,スキャタロメトリOVL法のいずれでも、ターゲット非対称性の影響が桁違いに拡大されて顕著なOVL計測誤差へとつながることがある。OVL計測の正確性を高めるべく検討された策には、後述の通り、(i)計測ツールへの十分な修正無しで最適計測条件を求めレシピ最適化を図る、(ii)ターゲット非対称性の影響の拡大が排除される条件下でのOVL計測が可能になるようツール修正を行う、(iii)集光瞳面内でブロッカ(遮光器)を使用することが必要だがターゲット非対称性拡大の問題が解決される2ビームイメージング方式を使用する、(iv)特殊な照明条件下で計測を実行する、といったものがある。
【0017】
回折ベースオーバレイ(DBO)及びイメージングベースオーバレイ(IBO)のどちらでも、光学的オーバレイ計量の感度,正確性双方を制御する主要なパラメタとなるのは、干渉して計測対象信号をもたらすEM場間の位相差である。
図8,
図1は、順に、本発明の各種実施形態に係る典型的なDBO計量,IBO計量における諸次回折の上位模式図である。DBO(
図8,後述)におけるトポグラフィック位相は、SCOLターゲット90Aの上格子(91B,U),下格子(91A,L)によって同じ回折次数(−1,+1)に回折された電磁(EM)場間の平均位相差として定義される。IBO(
図1)の場合、計測品質を制御するトポグラフィック位相は、イメージングターゲット90での回折のうちその回折次数(DO)が0次のものと対称次(例.±1次)のものとの間の平均位相となる。
【0018】
どちらの技術も、ターゲットの非対称性に対する敏感さ故に同様の仕組みによる不正確化に見舞われる。そうした非対称性の多くは大ピッチオーバレイターゲットの非互換性、特に小ピッチデバイスの生産向けに最適化されているプロセスに対する非互換性につながり、諸次回折の位相,振幅双方の不均衡として露見する。前者は、格子変位(重複)と区別不能ではあるが、その影響が単純な幾何学的曖昧性の枠内に限られる。それに対し、振幅不均衡の影響はひどく拡大される可能性があり、これを制御するには信号組成場同士の干渉によるほかない。ターゲット非対称性増幅の仕組み、即ちこの参照を以てその全容を本願に繰り入れるところの国際特許出願第PCT/US15/62523号に詳述されているそれについては後述する。どちらの技術でも、ターゲット非対称性の影響が強まるのは、トポグラフィック位相の挙動によって顕著な信号コントラスト低下(イメージングOVLの場合)なり顕著な差分信号弱化(スキャタロメトリOVLの場合)なりが引き起こされたときである。従って、トポグラフィック位相挙動の制御はOVL計測の正確性を高める上で決定的な役割を果たしうる。以下、計測用ハードウェアへの修正及び特殊なターゲットデザインを孕む幾通りかのトポグラフィック位相制御策を、OVL計測の正確性を高めるのに必要な最良計測条件の諸画定策と併せ開示する。
【0019】
例えばIBOの場合(
図1)、OVL計測の正確性に対する0次回折・1次回折間位相差の影響の推定が、低NA(数値開口)照明条件のイメージングツール(NA<0.2)に関し行われる(照明光線をIで示す)。瞳における諸次回折の位置は
図1に示す通りである;図中のθ
0は照明角を、θ
1は周期Pを有する周期的構造(イメージングターゲット90)上での散乱によりもたらされた1次回折の角度を表しており、いずれもターゲット平面に対する法線を基準にしている。θ
1及びθ
0の関係は等式1の通りであり、式中のλは照明波長を表している。
【数1】
【0020】
1次回折・0次回折間トポグラフィック位相差をΨと表した場合、等式2により、それに対応する焦点ずれΔF即ちそのトポグラフィック位相Ψを補償するのに必要な焦点ずれとそれに対応する瞳内トポグラフィック位相拡散に関し、λ/P=1/2及びΨ〜π/2のケース(最悪ケース)での推定結果が与えられる。
【数2】
【0021】
照明NAが〜0.2という低さでもトポグラフィック位相拡散が〜πと大きくなるということは、中央部の諸照明点が最良コントラスト位置にあるときに周辺の諸照明点がゼロコントラスト位置付近にきてしまうということであり、これは、OVL計測の正確性に対するターゲット非対称性の影響の大きな拡大につながると共に、散乱光のトポグラフィック位相を制御できる見込みの喪失につながるので、不正確なOVL計測が行われることとなりうる。この効果は照明NAが高めだと劇的に強まる。
【0022】
有益なことに、本件開示のシステム及び方法によれば、標準的なイメージングツール及びスキャタロメトリツールの主な短所、即ちターゲット非対称性の影響の不可制御的拡大が不適切計測条件使用時に現れるという短所が克服される。
【0023】
以下、正確性バジェットに対するターゲット非対称性の寄与について詳しく分析する。像面内電場振幅についての式は等式4の態で記すことができる;式中、f,gは瞳座標、それらと実次元瞳座標ξ,ηの関係はf=(ξ/R)(NA/λ),g=(η/R)(NA/λ)、Rはレンズ半径、E(f,g)は瞳面内電場の振幅であり、そして
【数3】
が瞳面内電場振幅に対する焦点ずれΔzの影響を表している。
【数4】
【0024】
最も単純で非限定的な光学的構成、即ち±1次回折及び0次回折のみがレンズによって捕捉される光学的構成では、等式4を等式5へと簡略化することができる;式中、PはX方向沿いターゲットピッチを表しており、a
0、a
1及びa
−1は諸次回折の複素振幅であり(これはプロセスばらつき及びターゲット非対称性に依存する)、GPは格子の位置、ΔFは焦点ずれを表している。
【数5】
【0025】
図2Aは、その右側に小さな側壁角がついている非対称な格子92を、本発明の各種実施形態に従い、その中心が異なる対称な方形エリア94Aの総和たる構造94で近似することを示す上位模式図である。非対称格子92による散乱は、構造94内諸エリア94Aからの散乱の総和を以て近似される。
【0026】
各次回折の振幅は、様々な方形エリア94Aからの散乱に相当する平面波の総和である。一例として、等式6に、±1次回折振幅A
(1),A
(−1)を示す;式中、A
0(1)はターゲット非対称性がないときの1次回折振幅、A
n(1)はエリア94Aに由来する振幅、δ
Re(1)+iδ
im(1)は1次回折振幅に対するターゲット非対称性の影響を表している。Δ
nは非対称性のない格子に相当する定格エリア長を基準とした第nエリアの広がりを表しており、Ψ
nはその第nエリアのトポグラフィック位相を表している。
【数6】
【0027】
垂直照明条件下では等式7に示すように等式5及び6が簡略化される;式中、sinθ
1=λ/P,ΔΨ=Ψ
(1)−Ψ
(0)−2π(1−cosθ
1)Δz/λであり、A
(1)=A
(−1),Ψ
(1)=Ψ
(−1),δ
Re(1)=δ
Re(−1),δ
im(1)=δ
im(−1)及びそれに対応する電場強度を仮定して冒頭次数近似されている(簡略化のため1次回折振幅の自乗を無視)。
【数7】
【0028】
等式7によれば、ターゲット非対称性が原因でターゲット中心の位置にもたらされる生得的曖昧性の大きさはΘ((P/2π){δ
Re,δ
im})程度である。けれども、ツール計測条件が不適正だとターゲットのこうした幾何学的曖昧性が係数tan(Ψ
(1)−Ψ
(0)−2π(1−cosθ
1)Δz/λ)で以て拡大されうる。この係数は最良コントラスト位置ではほぼ0だが、ゼロコントラスト位置では無限大に向かい増大する。この係数の値は計測焦点位置の適正選択によって制御可能だが次の問題点にぶつかることとなる:(i)照明瞳位置毎、波長毎にそのトポグラフィック位相が違い、従ってその最良コントラスト焦点位置も違うことである。被写界像は諸照明点及び諸波長に対応する像の総和であるので、像の集まりによってターゲット非対称性の影響が大きく拡大されることとなりうる。この第1問題点は、照明NAが高めな場合照明角の違いに応じた最良コントラスト位置の拡散が1μm以上になりうるので、計測焦点位置を変化させることではまず以て解決することができない。計測対称焦点位置と一部照明角の最良コントラスト位置との間の距離が0.5μm以上になりうるので、どういった計測焦点位置を選択してもターゲット正確性の拡大が生じる。(ii)最良コントラスト位置がプロセスばらつきによって変動することである。焦点捕捉手順によってもたらされる計測焦点位置がその最良コントラスト位置と強く相関していない場合、これはOVL計測の正確性を劣化させるもう一つの要因となる。
【0029】
これらの問題を例示するためSWA=88°(100nm未満の層高では±1nm未満のOVL曖昧性に相当)なる想定でシミュレーションを行ったところ、
図2Bに示すように、ある種の計測条件(例.λ)及び計測焦点位置ではイメージングツールにより±5nm域内のOVL誤差がもたらされるという関係、即ちこの特定のシミュレーション条件下ではSWA由来のOVL誤差がイメージングツールによって5倍に強調されるという関係がもたらされた。
図2Cに示したのは別のシミュレーション例であり、更に大きな拡大率を呈している。
【0030】
推奨される解決策は次の諸策、即ち(i)最良コントラスト焦点位置が格子位置と一致する計測条件の適正選択、(ii)スペクトル域の縮小及び照明NAの低減、(iii)各サイト上の別々の焦点位置での幾つかの像の捕捉及び最良焦点位置の探索、(iv)長い照明波長の使用、並びに(v)別々の焦点位置での幾つかの像の同時捕捉のうち、いずれかを含むものである。以下、これらの策について詳論する。
【0031】
スペクトル域を徹底的に縮小(例.10nm未満)すると共に照明NAを徹底的に低減(例.NA〜0.1未満)する策(ii)では、最良コントラスト位置拡散が200〜300nmまで狭まる。
図2Dに、0.1なる低照明NAを用いたシミュレーションの結果を示す;図中、点105はOVL誤差拡大率が低い最良コントラスト位置、点95はゼロコントラスト位置を指し示している。
図2Dに示すように、最良コントラスト位置(105)付近ではOVL誤差が小さく、焦点変化につれてゆっくりと変化するのに対し、ゼロコントラスト位置(95)付近では、焦点変化につれてかなり大きくOVL誤差が変化する。位置105及び95は様々なタイプのゼロOVL誤差計測点を表している;ゼロコントラスト位置95にてOVL誤差が0になるのは、1次高調波の振幅が厳密に0でありOVLが2次高調波で以て計測されること、またその2次高調波が通常は1次高調波よりかなり小振幅なことが原因である。ゼロコントラスト位置95での計測については以下に論ずる通りであり、これには計量ツールのハードウェア(HW)的修正が必要になる(例.
図3Aに示した集光路内0次ブロッカ)。
【0032】
図3Aは、本発明の各種実施形態に係る理論的モデル及び光学システム110の上位模式図である。照明81は(照明路71内を通って)システム110に入り、光学系82(例.ビームスプリッタ)及び対物系83を介しターゲット90上へと差し向けられ、そこからの回折信号が、ビームスプリッタ82及び光学系84(例.チューブレンズ)を介し(集光路79、別称検出路内を通って)検出器80(例.CCD即ち電荷結合デバイス)へと差し向けられ、そこに集光される。空間フィルタ115を導入することで、理想的にはフーリエ平面(瞳面120)にて、0次回折信号を遮光することができる。非限定的な要領で1次回折のみを図示してある。
【0033】
システム110を次のガイドラインに従い構成することで正確性誤差の拡大を低減又は相殺することができる;低NA光源例えばレーザを用い光均一性条件を緩和する、1次回折のみを通過させてクリーンな2ビーム干渉及び大きな焦点深度を実現する、プロセス信号及びレジスト信号双方(これらは別々のターゲット層からの回折信号である)を瞳面120の同一部分に通して収差を相殺させる、そして合焦をオンザフライ実行する、というガイドラインであり、注記すべきことに、像コントラストが良好になるため適合的ノイズ低減アルゴリズム(ANRA)の実行抜きで計測を行うことができ、従って例えば200msec未満という短さのMAM(移動−捕捉−計測)時間を達成することができる。
【0034】
特に、後述のアルゴリズム的な策によれば、不透明な0次ブロッカ115の導入に関連する難点や集光瞳における諸次回折の良好分離に関する要請に内在する難点が克服されるため、像内への0次の漏れや高次DOの急峻な打ち切りを回避することができる。発明者によれば、こうした要請によって最小ターゲットサイズが10〜15μm超に制限され回折尾が小さくなる。他方で、そうした非常に制約されたサイズの0次ブロッカ115では、非常に低い照明NAが必要とされ光バジェット問題が発生する。特に、ある特定のしきい値を超え照明NAを低減すると(ファンシッターゼルニケの定理)、空間的な広がりを持ったコヒーレンス効果(リンギング)が発生して像が歪む。これに対し、発明者が見いだした後述のアルゴリズムによれば、
図3Aに示した光学的構成に内在する長所を保ちながら、些少なハードウェア修正は恐らく必要になるものの0次ブロッカ115を用いずに前掲の諸制約を克服すること、ひいてはイメージングOVL計測にて秀逸な正確性を達成してツール性能を高め且つプロセスばらつきの影響を減らすことができる。特に、発明者が見いだしたところによれば、後述の通り、OVL計測向けに偶数次高調波のみを選択すること及び/又はスルーフォーカス平均化を用いることで、信号の偶数次高調波への偶数次回折の寄与分を減らしてそれらの長所を実現することができる。
【0035】
図3B,
図3Cは、順に、本発明の各種実施形態に係る計量ツール85,光学システム110の上位模式図である。計量ツール85は、模式的に示す通り、対応する照明数値開口(NA
IL),集光数値開口(NA
C)を有する照明路71,集光路79を伴う光学システム110と、検出器80と、プロセッサ(群)88と連携する計量モジュール(群)87とを備えている。光学システム110は、
図3Aに模式的に示したものだが0次ブロッカ115を備えていない;光学システム110は、後述の通り、ハイトポグラフィスタック計測を実行しうるよう構成されていてその集光数値開口及び照明数値開口が2λ/P未満の総和を呈するよう選定されているか、及び/又は、自身が自身の複数個の焦点位置上で捕捉した複数個の像を積分することで非対称寄与分を平滑するよう構成されている。こうした構成の下で、計量ツール85及び光学システム110により前述及び後述の2ビーム構成を模しつつも0次遮光が不要になるのは、後述の通り特定のλ/P比を有する2次高調波のみを取り入れているためである。
【0036】
本願記載の光学的構成に対する主な要請は、(i)どのようなターゲットピッチが選択されていても対物レンズ83により0次回折及び±1次回折のみを確と集められるよう照明スペクトル域及び集光NA(NA
C)を調整できること、並びに(ii)照明NAが比較的低い(従って大きなDOF(焦点深度)を提供できる)ことである。具体的には、条件2λ/P>NA
C+NA
ILを満たすようNA
C及びNA
ILを選択すればよい;式中、λは照明波長、Pは(ターゲット90の)格子ピッチを表している。こうした条件下では、計測対象信号の2次高調波が±1次回折間干渉のみの結果として形成されるので、その意味でこの信号は0次ブロッカ115を用い計測された信号と全く等価になる(他のハードウェア的手段で解決されるべき精度問題は別として)。
【0037】
DOFに関しては、ターゲット90上での散乱後、±1次回折たる斜行平面波がsin(θ
1,
−1)=−sin(θ
0)±λ/Pで定まる角度で伝搬する;式中、θ
0は照明角を表している。照明NAが0であり(NA
IL=0)且つ垂直照明条件が完全に満たされている(θ
0≡0)場合、cos(θ
1)≡cos(θ
−1)が成り立つのでそれら二通りの平面波間の相対位相は焦点によっては変化せず、従って無限大のDOFに相当するものになる。照明リングが有限サイズであるため垂直照明条件は近似的にしか満足されえない。とはいえ、この場合、一般的なケースのように集光NA(NA
C)によってではなく、照明NA(NA
IL)によってDOFが決まるので、ご理解頂けるように、低照明NA時DOF値をDOF≒P{1−(λ/P)
2}
1/2/(2.5NA
IL)で以て近似することができる。例えばP=1800nm、λ/P〜0.5及びNA
IL=0.2であればDOF>3μmとなるので、ハイトポグラフィスタックの計測を単一捕捉で以て行うことができる。
【0038】
これに代え又は加え、複数個の焦点位置上で複数個の像を積分して非対称寄与分を平滑してもよい。±1次(或いは他の任意な対称次数対)間干渉パターンのDOFが大きいので深スタック単一捕捉計測を実行することができる。その平滑では、被写体(ターゲット90)が焦点を過ぎる際に任意の非対称DO対間干渉でコントラストが反転すること、その一方で対称次数対間干渉ではコントラストの符号が変化しないことが利用される。積分はソフトウェア及び/又はハードウェアにより実行できるので、露光中に焦点計測を行うことができる。このようにすれば、波長対ピッチ比及び集光NAの如何によらず単一捕捉深スタック計測を行うことができる。
【0039】
正確性に関しては、前述及び後述の通り、ターゲット非対称性増幅(OVL計測の不正確性の主源泉)の仕組みが、像を形成する回折次数間のトポグラフィック位相差の値に結びついている。最も正確な計測が行われるのは、垂直照明条件に対応する回折次数間位相差がほぼ0のときである。±1次回折間干渉により形成された像ではこの条件が自動的に満たされ高い正確性がもたらされる。
【0040】
前掲の5策のうち、各サイト上の別々の焦点位置で数個の像(例.非限定的な例としては3個の像)を捕捉する策(iii)を用いることで、最良コントラスト位置をオンザフライ探索すること(策(ii)での最終ポイントを参照)、例えば各捕捉済像に関し算出したコントラスト値の放物線近似を用いそうすることができる。不正確性拡大因子の符号が最良コントラスト位置(
図2Dでは点105,95の位置)の付近で変化するので、最良コントラスト位置から見て別々の側にある焦点位置での像について算出されたOVL値を、適切な荷重を用い結合させることで、正確なOVL計測結果を得ることができる。この策によればサイト毎のプロセスばらつきに対する解決策が提供される。
【0041】
長い照明波長を使用する策(iv)では、波長及び照明角によるトポグラフィック位相変化の速度が大きく低下するので、スペクトル域及び照明NAを拡張、増大させることが可能となる。この策では大きなピッチ例えば約2000nmのそれが必要となる。
【0042】
別々の焦点位置で幾つかの像を同時捕捉する策(v)の使用で克服可能な難点としては、その最良コントラスト位置が異なる2層間でOVLが計測されるのであるから最も正確な計測が達成されうるのは各層の対称中心の位置をその層の最良コントラスト位置にて計測した場合である、という事実に由来するものがある。その場合、その合成カーネル(即ちその層に係る最良焦点位置に対応する焦点位置に対する補間結果たる合成OVL値)が、捕捉済像それぞれに対応する信号の別々の組合せとなる。そうして得られるOVLには像捕捉中のステージ運動の影響が含まれるので、その影響でOVL計測の精度が左右されうる。OVL計測策からそうした影響を排除するには、イメージングツールの光学的構成を変更し、別々の焦点位置にて幾つかの像を同時捕捉できるようにすればよい。以下、策(v)のある潜在的実現形態の詳細を記述する。
【0043】
各注目層に印刷されているターゲットをその層の最良コントラスト焦点にて捕捉する策(v)によれば、好適なことに多層ターゲットのプロセスロバストな計測が実現されるので、照明NAが十分に低く照明帯域幅が十分に狭い条件下で、プロセスばらつきに対する計測の敏感さの原因たるトポグラフィック位相を確とキャンセルすることができる。
【0044】
図4A〜
図4Cは、本発明の各種実施形態に係る複数焦点位置同時計測用光学システム110の上位模式図である。
図4Aは、光学システム110及びそれと連携する校正モジュール112を備え、1個又は複数個のプロセッサ(
図9参照)により動作させうるイメージング計量ツール85の上位模式図である。
【0045】
校正モジュール112は焦点ずれの度合に対するオーバレイ
誤差拡大の依存性を導出するよう構成することができ、光学システム110は、Δλ≦10nmなる狭いスペクトル域にて、NA≦0.1なる低い照明数値開口にて、且つ導出した依存性によればオーバレイ
誤差拡大無しに相当する焦点位置にて動作するよう、構成することができる(前掲の策(ii)を参照)。
【0046】
光学システム110は、これに代え又は加え、対応する複数個の焦点位置にて複数個の計量ターゲット像を捕捉するよう構成することができ、校正モジュール112は、捕捉した像の不正確性拡大因子を推定し、それら焦点位置に関し不正確性拡大因子の符号変化を識別することによって最良コントラスト位置を判別するよう、ひいてはイメージング計量ツール85を再構成して判明済の最良コントラスト位置にて動作させるよう、構成することができる(前掲の策(iii)を参照)。校正モジュール112は、通常の計量ツール動作中にオンザフライ動作させうるよう構成することができる。
【0047】
光学システム110は、焦点(焦点位置)でない複数個の点にてターゲット90の同時計測を行えるよう構成することができ、また、計量ツール85に備わる校正モジュール112(
図4A)は、精度劣化リスク無しに個別的な層毎捕捉センタリングを行えるよう構成することができる(前掲の策(iv)を参照)。
【0048】
光学システム110は、集光路79(対物系83及び光学系84により模式的に示されているそれ)の第1検出焦点位置131Cが計量ツール85内にあり、集光路79沿いに少なくとも2個のビーム分岐素子132,134を備え、少なくとも2個の対応する追加的焦点位置131A,131Bがもたらされるようそれらビーム分岐素子132,134が配置されていて、それら追加的焦点位置131A,131Bが第1検出焦点位置131Cのそれとは別の集光路長を呈するシステムとすることができる。
【0049】
例えば、光学システム110を、ビームスプリッタ132,134(例.順に30/70比BS,50/50比BS)及びその後段に位置するミラー136を有する光学アセンブリ130を備えるものとし、検出平面89付近に都合3個の焦点位置(焦点)131A〜Cがもたらされるようそれらを構成することができる(
図4B)。この例示構成の光学アセンブリ130によれば、同じパワーを有する3個の像が都合3個の焦点位置に対応してもたらされるところ、それらの像を同じ検出器80により何ら機械的ドリフト無しで検出することができる。即ち、光学システム110は、静的複数捕捉アーキテクチャを呈するよう構成することができる。光学システム110内パラメタの数値は、ΔZ
oを被写体の長手方向変位、ΔZ
iをその像の長手方向変位、Mをイメージングシステムの倍率、n
o,n
iを順に被写体,像媒体の屈折率として等式8により与えられるので、例えば、典型的な寸法の計量ターゲット90即ち横方向寸法L=30μmのそれを用い、且つ倍率=125、像間重複無しとすることで、
図4Bに示した光学システム110にて計測可能な最小値ΔZ
oが求まる。
【数8】
【0050】
また例えば、光学システム110に備わる光学アセンブリ130を、視野絞り(例.検出器平面89と等価な平面89A)に位置するレティクル140と、光学系133と、ビームスプリッタ132,134と、を有するものとし、都合3個の焦点位置(焦点)131A〜Cがもたらされるようそれらを構成すること、例えばそれら焦点位置が対応する3個の検出器80A〜Cによって検出されるようにすることができる(
図4C)。検出器80A〜Cを別体にし別々の軸方向変位で以て像を捕捉してもよいし、検出器80A〜C又はその一部を統合して別々のウェハ層にあるターゲットの同時イメージングを行えるようにしてもよい(ダブル捕捉又はそれ以上の捕捉)。
【0051】
レティクル140はウェハ(ターゲット90)による照明光81の鏡面反射によって主に照明されるので、レティクル140の照明NA(NA
reticle)は、等式9に示す通り、被写界深度の既知推定式ΔZ=λ/NA
reticle2を用い、照明NA(NA
ill)と、
図4Cに示した光学システム110で以てカバー可能な焦点範囲(ΔZ
o)とにより推定することができる。
【数9】
【0052】
例えば、データ例としてλ=700nm及びNA
ill=0.2を用いることで、幾つかの層のターゲット間での焦点の違いを成功裏にカバー可能な焦点ずれ範囲ΔZ
0=17.5μが求まる。光学システム110例えば
図4Cに示したそれによれば、検出器の横方向位置の機械的安定性に係る制約例えば100nmたりうるそれを克服して許容可能な精度(1nm)を保ちつつ、別々の像を用い個別のターゲット層それぞれの変位を検出することができる。視野絞りに備わるレティクル140が相互的な参照中心として働くので、諸像における層それぞれの変位を判別することができる。
【0053】
有益なことに、推奨構成に係るマルチ捕捉スルーフォーカス計測アーキテクチャによれば、従来型オートフォーカス技術、例えば(i)ウェハ上で干渉焦点からある一定オフセットの位置にあるサイト全てを計測する方法並びに(ii)複数個の像の順次的スルーフォーカスマルチ捕捉に続き電流層及びプロセス層のターゲット位置を個別判別した後にそれらの間のオーバレイを算出する方法の難点が克服される。どちらも大きな難点を有する方法である。方法(i)は全プロセスパラメタのウェハ全体に亘る均一性を想定した方法であり、最良コントラスト焦点位置が数百nmずれうること、ひいてはオーバレイ判別に数nmの不正確性がもたらされうることがわかっている。方法(ii)には、像捕捉の狭間におけるステージの不測的ドリフトに起因した数nmに達する顕著な精度問題、という難点がある。
【0054】
新規な光学的構成によれば、イメージングOVL計測にて秀逸な正確性を達成することができ、ツール性能が高まり、且つプロセスばらつきの影響が軽減される。特に、そのイメージング手段は、その照明NAが低く且つスペクトル域が狭いものか、別々の焦点位置で同時捕捉された数個の像に基づく新規なオンザフライOVL計測アルゴリズムを用いるものか、及び/又は、別々の焦点位置に対応する像のオンザフライアライメント(整列)を可能とすべくその光学的構成に変化を導入するものである。本発明は、OVL制御に使用されるいずれの既存計量プラットフォームでも実施することができる。
【0055】
図1に戻り、イメージングOVLにてトポグラフィック位相制御を行えるようにする更なる手段、即ち(i)偏向性ターゲット、(ii)波長制御及び(iii)干渉制御について開示することにする。
【0056】
図5Aは、本発明の各種実施形態に係る偏向制御ターゲット150の上位模式図である。これらの実施形態はイメージング計量ターゲット150を備えており、そのターゲット150はその構成要素151が計測方向(X)に沿いあるピッチp(P
x)を呈する少なくとも1個の周期的構造を備えており、それら要素151は計測方向(X)に対し垂直な方向(Y)に沿いある未分解ピッチ(P
y)にてセグメント化されている。その未分解ピッチ(P
y)は、後述の通り、ターゲット150のトポグラフィック位相がπの整数倍となるよう選択されている。
【0057】
(i)偏向制御ターゲット150は、電磁場の水平偏向及び垂直偏向(ターゲットの周期性の方向を基準にX及びYとして示されているそれ)に対し別々の応答を呈するものとなるよう構成すること、例えばその計測ツールによって小分解される小さなセグメント化ピッチP
yを用い構成することができる。
【0058】
例えば、入射面の軸がターゲット150の主軸と一致している場合、未分解ピッチP
yで以てセグメント化されているライン(又はトレンチ)151の実効誘電率は、有効媒体近似を用い、等式10中に示す方向性誘電率ベクトルを有する異方性膜と実質的に等価なものとして記述することができる;式中、ε
1は一方の素材の誘電率、ε
2は他方の素材の誘電率、ηはY方向沿いセグメント化のデューティサイクルであり、ε
x≠ε
yである。
【数10】
【0059】
電場の垂直偏向及び水平偏向に対し別々の応答を呈する候補的ターゲット構成は複数通りあり、そのいずれも選択することができる。実際のセグメント化ピッチは、シミュレーションを踏まえて選択してもよいし、及び/又は、別々のパラメタを有する供試ウェハターゲットを対象にしたトポグラフィック位相の計測を踏まえて選択してもよい。
図5Bは、本発明の各種実施形態に係る光学システム160の上位模式図である。計量ツールの光学システム160では、直線偏向の方向を用い、ターゲット150から散乱されてくる光の諸次回折間位相を変化させることができる。また、光学システム160は、照明路71内に偏光子161(例.別の角度及び遅延パラメタを有する波長板を用いること等で円偏向光をもたらすもの)、集光路79内に検光子169を備えるものとすることができ、そうしたシステムでは、照明光81の偏向条件の違いに対しターゲットが別様に反応する場合に、検光子169の角度を変化させることで散乱光のトポグラフィック位相のより実効的な制御を行うことができる。
【0060】
(ii)これに代え又は加え、照明波長を修正することでトポグラフィック位相を制御してもよい。発明者が見いだしたところによれば、大抵のスタックで、波長が50nmほど変化するとコントラスト反転、即ちトポグラフィック位相の変化で言えばπに相当するそれが発生する。従って、±約10nmといった些少な照明スペクトラムシフトを用いることでトポグラフィック位相を大きく変化させることができ、ひいてはスペクトル制御を更なる因子としOVL計測条件の向上に用いることができる。更に、レジスト層及びプロセス層を別々の波長で以て計測することができるので(前掲の例でいうダブル捕捉)、トポグラフィック位相の補正をレジスト層及びプロセス層について相独立に実行することができる。
【0061】
図6は、本発明の各種実施形態に係る光学システム170の上位模式図である。光学システム170は、イメージング計量ツールにてOVL計測に使用することができる。光学システム170は、参照信号を伴う可調参照路178を、光学システム170の集光路79に統合された態で備えている。参照路178はその位相が可調な参照信号を供給しうるよう構成されており、光学システム170は、その参照信号の位相を調整することでイメージング計量ターゲットのトポグラフィック位相をπの整数倍へと修正しうるよう構成されている。可調参照路178は、後に詳述する通り、リニック干渉計の態をなすよう、イメージング計量光学システム170の主対物系83とそっくりな参照対物系174及び可調ミラー175と、統合することができる。
【0062】
光学システム170は、照明路71、主対物系83及び集光路79を備えるほか、その振幅及び位相を制御可能な参照信号を伴う参照路178を備えており、ターゲット90の少なくとも2個のターゲット層からの0次・1次回折信号間トポグラフィック位相差が縮小されるようそれらが構成されている。照明路71及び集光路79はビームスプリッタ82を介し対物系83と連携させることができ、参照路178はビームスプリッタ82を介し光学システム170に統合することができる。参照路178は、主対物系83とそっくりな対物系174をミラー175と共に備えるほか、それと連携する照明源171及び光学系172,173(例.合焦レンズ172及びビームスプリッタ173)を、例示的諸実施形態の如くリニック干渉計型の構成で備えるものとすることができる。参照信号の振幅は減衰器179例えば中性濃度(ND)フィルタによって制御することができ、また、対物系174及び/又はミラー175を動かすことで参照信号の位相を制御することができる。帰結たる0次回折場は、ウェハの第1層及び第2層(ターゲット90の格子)から反射されてきた0次回折を示すA・e
iα及びA・e
iβと、参照ミラー175から反射されてきた0次回折を示すC・e
iγと、のコヒーレント和として現れる。従って、この0次場は等式11に示す如く記述することができる。
【数11】
【0063】
第1,第2格子の1次回折のトポグラフィック位相が順にφ
1,φ
2と表されるところ、参照信号の振幅及び位相を適宜定めることで、ターゲット90の少なくとも2個のターゲット層からの0次・1次回折信号間トポグラフィック位相差を小さくすることができる。等式11から求まる通り、等式12の値を小さくすることで最良動作条件を見いだすことができる。
【数12】
【0064】
1次・0次回折間トポグラフィック位相差を両格子同時に縮小することで、両層の最良コントラスト位置を互いに近づけ、同じ焦点位置で両層を計測することが可能になる。
【0065】
補足的な策としては、暗視野イメージング計量を出発点とする策がある。明視野イメージングでは集光路にて0次及び1次回折が用いられるのに対し、暗視野イメージングでは0次が遮光され、より高次の回折のみ、通常は1次回折のみが像形成に用いられるので、オーバレイ計測の精度及び正確性を秀逸にすることができる。明視野イメージングと暗視野イメージングに共通する限界は回折効率が低いこと、即ちターゲット90により回折されたEM波のうち1次回折の振幅が非常に小さいことである。明視野(BF)イメージング強度及び暗視野(DF)イメージング強度を等式13に示す;式中、I
BF(x)は検出器80にて観測される強度を表しており、a
0,a
1,a
−1は順に0次,+1次,−1次回折の振幅、ψは瞳面における0次及び±1次回折間の平均位相、δa
1は正次数と負次数の振幅差、δφは位相差である。
【数13】
【0066】
明視野イメージングでは、判明している通り、位相擾乱によって持ち込まれる誤差がターゲット自体の幾何学的曖昧性によって制限されるのに対し、δa
1tanΨの項によって持ち込まれる誤差は、不適正な条件で計測した場合、数nm超になりかねない(Ψ→±π/2,前掲の導出を参照)。暗視野イメージングではこの不正確性問題が解決されるが、その信号が高次回折のみで構成されているため、通常、顕著な光飢渇のみならずその光学システムの漏洩光及びゴーストの影響にも見舞われる。
【0067】
回折効率が低い場合、どちらのタイプのイメージングでも、格子位置計測の精度を等式14の如く表すことができる;式中、α,βは順に光源,検出器のノイズ特性、A
0,A
Signalは順に0次変調周波数,ピッチ高調波の振幅である。この一般式は明視野イメージング及び暗視野イメージングについての近似式であり、明視野イメージングについては、0次での強度が検出器ノイズに対して優勢であることが仮定されている。
【数14】
【0068】
従って、信号が検出器ノイズによって支配されるレベルまでターゲットの回折効率が低下すると明視野計測が暗視野イメージングに比べ有利になる。とはいえ、合計信号が検出器のダイナミックレンジによって制約されるので、カメラの飽和防止のため等式15に示す条件が全て満たされねばならない;式中、Γはカメラ(検出器)の飽和レベルを表している。
【数15】
【0069】
等式16は、集光瞳を通る0次EM場の振幅についての最終的な制約を振幅及び強度により表したものである。
【数16】
【0070】
この導出結果は幾通りかの実現形態を示唆している:(i)
図3A中の空間フィルタ115をリーキーなブロッカとして構成し、例えば可調NDフィルタを空間フィルタ115として用い0次振幅を制御する一方で、低い照明NAを用い0次回折とより高次の回折を確と分離させることができる。計測の正確性上、0次回折・1次回折間に特定の位相関係があることが求められるため、集光瞳エリア120にゾーン位相板を配して位相制御を実行するのがよい。(ii)
図3A中の空間フィルタ115を、位相及び振幅の同時制御が可能なよう構成された適合的光学素子、例えばDLP(登録商標;ディジタル光処理デバイス例えば個別作動型微小ミラー又は可変形ミラー膜のアレイ)として実現し、表面調整(例.ミラー角及びデバイストポグラフィ)による位相及び振幅制御を実行することができる。(iii)
図6中の減衰器179を可変とし、後述の導出事項に従い実現することができる。
【0071】
等式17は、ターゲット90から反射されてきた信号とミラー175から反射されてきた信号の総和として0次信号を表したものである;式中、a
wはウェハ(ターゲット90)から反射されてきた0次の振幅、a
rは参照ミラー175から反射されてきたEM場の振幅、Ψは1次回折に対する0次のトポグラフィック位相、Φ
rは瞳面における参照EM場の位相を表している。実効的な0次信号はa
0’及びΨ
0’を用い表される。
【数17】
【0072】
つまるところ、減衰器179を用い参照アーム178の振幅a
r及び位相Φ
rを制御することで、前掲の諸原理に従い全ての任意な0次場を検出器80に集めることができ、それによってイメージングベースオーバレイ(IBO)計測の正確性及び精度を秀逸にすると共にコントラスト及び信号強度を向上させることができる。
【0073】
図7は、本発明の各種実施形態に係るトポグラフィック位相制御向けの基準たるコントラスト関数の上位模式図である。コントラスト関数はレンズ焦点位置の関数として格子コントラストを定める関数であり、イメージングの際のトポグラフィック位相制御向けの実用的成功限界として示されている。前述の通り(例えば等式2を参照)、合焦レンズ位置が格子位置から幾らかであれずれると、異なる照明角間での位相拡散が増すことにつながってコントラスト低下が発生する(ずれが大きいほどコントラスト低下が大きくなる)。イメージングにおける最良計測条件は、0次回折・1次回折間位相差がπの整数倍であることに相当している。この場合、計測対象信号の最良コントラスト位置に格子焦点位置が一致するので、異なる瞳照明点間に(焦点ずれにより引き起こされる)トポグラフィック位相拡散はない。こうした条件下でのコントラスト関数(
図7中で「π」と付記されているもの)は、良好に識別できるピークを呈する対称関数となる。その逆の最悪計測条件では0次回折・1次回折間位相差がπ/2であり、その位相差π/2に対応するコントラスト反転位置にて同等のコントラストが発現する。これに対応する挙動のコントラスト関数は2個の同等なピークを呈するもの(
図7中で「π/2」と付記されているもの)となる。いずれの中間的な条件でも非対称なコントラスト関数(
図7中で「中間」と付記されているもの)がもたらされる。まさにこのコントラスト関数を用いることでイメージング計測条件を最適化することができる。
【0074】
光学システム110及び校正モジュール112を備える計量ツール85(
図4A参照)は、光学システム110を介しイメージングターゲットのコントラスト関数を導出するよう、且つ光学システム110の計測条件を調整することで導出済コントラスト関数を単一のピークを有するもの(
図7に示したそれ)へと修正するよう、構成することができる。計量ツール85は、調整した計測条件にてイメージング計量計測を実行するよう構成することができる。
【0075】
スキャタロメトリオーバレイ(SCOL)計量でも、イメージング計量に関し前述したものと同様の考察を適用することができる。特に、ターゲット構成についての同様の考察と併せ、波長及び偏向の選択を、同様に適用することができる。更に、SCOL信号が瞳座標で計測されるため(瞳面120における入射角多重)、適正AOI(瞳画素)の計測後選択を行い最も正確な計測条件に到達させることができる。
【0076】
最良の対オーバレイ感度及び正確性(非対称性及びパッド対パッドばらつきに対するロバスト性)を得る上で望ましい場間位相は、以下の導出で示す通り±π/2である。
図8は、本発明の各種実施形態に係り格子の上方に格子があるスキャタロメトリターゲット90の上位模式図である。SCOLターゲット90は少なくとも2個のセル90A(「+セル」),90B(「−セル」)を備えており、順に、互いに逆方向のオフセット+f
0,−f
0を上格子91Bが下格子91Aに対し有している(格子ピッチをΔで示してある)。セルモデル90Cは回折電磁(EM)場、即ちSCOLターゲットセルの上格子(91B,U)及び下格子(91A,L)により同じ回折次数(−1,+1)に回折された場を示すためのものである。DBO(回折ベースオーバレイ計量)におけるトポグラフィック位相は上格子によって回折された電磁(EM)場と下格子によって回折されたEM場の間の平均位相差として定義される。それらの回折次数は等式18の如く近似される。U
±1+,U
±1−は、順に、(正オフセットの)第1セル90A,(負オフセットの)第2セル90Bの上格子91Bにより散乱された場の合計を表している。上付文字列中の符号はセルのオフセット、下付文字列は散乱次数を表している。L
±1+及びL
±1−は下格子(プロセス格子)91Aによって回折された場を表している。u
±1+及びu
±1−はそれらの場の振幅、Ψ
±1+は上格子91Bによって回折された場のトポグラフィック位相(セル及び次数は対応する上付及び下付文字列で示してある)、φ
±1+は下格子91Aによって回折された場の合計位相(トポグラフィック+上格子91Bを基準とした光路長(OPD))を表している。I
±1+及びI
±1−は対応する信号強度を表している。アスタリスク(*)は複素共役を表す演算子であり、c.c.は残りの複素共役項を示す省略記号である。
【数18】
【0077】
等式19は4個の物理的変数を導入、定義する式である。以下の導出では、セル間に十分な類似性があり格子に十分な対称性があるとの仮定の許、簡略化のため定数項|u
±1±|
2+|l
±1±|
2を省略している。
【数19】
【0078】
A
±,B
±,α
±,β
±を用いセル90A,90Bに係る差分信号を表したものが等式20である。式中の差分信号が、多重再散乱でもたらされる項や格子間相対変位に対し別様に依存する項を無視した一般形とされているのは、それらの項の相対強度が格子の回折効率(DE)の高次冪に依存しており実際上は数%を超えないためである。
【数20】
【0079】
各セルにおける差分信号(D
±)が1次SCOLでの主オブザーバブルとして働くので、等式20を感度及び誤差分析の基礎とすることができる。項(P/2π)(β
±+tan
−1[B
±/(A
±tanα
±)])はターゲット非対称性によるオーバレイ加算分の物差しとなりうる。イメージング時(等式7参照)と同様、位相非対称性(β
±)が適正オーバレイへの線形加算分として現れる一方で、振幅非対称性の影響(B
±/A
±)が上格子及び下格子により散乱された次数のOPDとトポグラフィック位相の組合せによって増幅されている(1/tanα)。→nπ(tanα→0)なる想定上最悪なケースでは、振幅非対称性により持ち込まれる誤差が±P/2に達しかねない。他方で、α→±π/2なる最適な状況ではtanα→∞となるためこの増幅された誤差が消失する。なお、最良結果をもたらすトポグラフィック位相と最悪結果をもたらすトポグラフィック位相がスキャタロメトリの場合にイメージングと逆になるのは、イメージングでは干渉項の総和が計測されるのに対しSCOLでは差分信号(干渉項の差分)が計測されるためである。
【0080】
等式21は差分信号の大きさd並びにその一次及び2次導関数を推定する式である。
【数21】
【0081】
イメージング時と同じく、計測向けに最適な位相関係にて最強の信号が得られるべきである。とはいっても、格子の散乱効率を、上格子91B及び下格子91Aによって回折されたEM場間の相対位相から分離させるのが難しい。AもBもアプリオリにはわからないし、αについては何もわからないので、計測可能量のはっきりとした挙動(例.αによるD
±の大きさの挙動)を明確に叙述することができない。
【0082】
現行のSCOLアルゴリズムでは、各画素における信号が式S=(D
++D
−)/(D
+−D
−)を用い算出される。慣例的に二通りの仮定、即ち格子が対称であり照明がほぼ垂直である、オフセットを除けばターゲットセル90A,90Bがうり二つである、という仮定がなされている。これらの仮定を組み込んだモデルを等式22に示す。
【数22】
【0083】
しかし、格子の形状が同じだが格子の光学厚が異なる場合は、等式23が組み込みモデルを表す式となる。
【数23】
【0084】
α=(α
++α
−)/2,γ=(α
+−α
−)/2→α
±=α±γなる書き換えを用いると共に、諸パラメタの物理的な意味合いを踏まえ、Δを2個の格子間のオーバレイ、f
0を2個のセル間の意図的なオフセット、αを上格子及び下格子によって同じ回折次数に散乱された次数間の位相(OPDを含む)、γを主としてセル間のOPD差(付加的な仮定によるもの)とした場合、更に等式24に示す如く信号を導出して次の簡略式を得ることができる。
【数24】
【0085】
格子間で光学厚が違うという仮定が組み込まれているためtanγ≠0となるのであり、そうでなければ先の等式22の通りとなる。|tanα|≫|tanγ|である場合も同様の近似が成り立つが(例.α→±π/2であるためtanα→±∞である場合)、そうした近似をすると、γ≠±π/2であるほぼ全てのγで、明らかに、誤った項が標準モデルから排除されることになる。更に、tanα→0であるなら(後述の共鳴条件)、tanγ≠0であるどのγについて計測される信号も、期待される信号Sに対しまさにS
−1の如く挙動する。
【0086】
結局、光学厚(パッド対パッド)感度及び格子非対称性増幅効果の低減(等式20に関する先の議論を参照)を、α≒±π/2となる条件を見いだすことで達成することができる。だが、この好適条件α=±π/2では瞳像にも差分信号にもさしたる特徴が現れない;これは不適条件α=±nπ、即ち上格子及び下格子からの次数間に強め合う干渉又は弱め合う干渉が生じそれが往々にして瞳像の鮮明なフリンジ(明るいことも暗いこともある)及び対オーバレイ感度の劇的な低下(差分信号中の暗いフリンジ)として現れる条件とは対照的である。
【0087】
図9は、本発明の各種実施形態に係り計量ツール85によって計測される補助セル185付SCOLターゲット180の上位模式図である。計量ツール85は、光学システム110を備えるほか、1個又は複数個のプロセッサ88と連携する計量モジュール(群)87を備えており、本願記載のどの実施形態でもこうした構成、場合によっては本願記載の構成を有する光学システム(群)110及び計量モジュール(群)87を伴うそれを採ることができる。計量ターゲット90は少なくとも2個のセルを備えるものとすることができ、そのセルは、それぞれピッチpの周期的構造を伴うターゲット層を少なくとも2個有し、その周期的構造が互いにずれていて、そのオフセットがそれら少なくとも2個のセルにて逆方向なものとすることができる。SCOLターゲットセル90に加え、特別に構成された少なくとも2個の補助計量セル185がターゲット180に導入されているので、トポグラフィック位相を画素単位で判別することができる。例えば、導入する2個の補助セル185A,185Bの意図的なオフセットをそれぞれピッチの1/4に当たる±P/4にすることで、ターゲット90の周期的構造を各補助セルにて互いに±p/4ずらしたものを補助セルに持たせることができる。補助セル185の瞳像を用い、等式25に示すWの算出を実行することができる;式中、αはトポグラフィック位相、I
+11/4及びI
−11/4は正オーバレイ方向オフセットP/4を有する補助セル185Aの1次及び−1次(その別を下付文字列で示す)について計測した瞳像強度を表している。I
+1−1/4及びI
−1−1/4は負オーバレイ方向オフセットP/4を有する補助セル185Bについての同様の強度を表しており、I
+10及びI
−10は取り立てて変位していない(即ち標準±f
0の標準設定オフセットを有する)標準的なSCOLセル(群)90についての同様の強度を表している。
【数25】
【0088】
なお、α=±π/2となるのはW=0となる画素である。従って、検出器80の画素又は領域(ひいては照明角θ)及び/又は波長λを小さな値のW(例.W≒0)に対応するよう選択することで、隣接セル間層厚ばらつきに対するターゲットの感度と併せ格子非対称性の影響を抑え、それにより正確性を顕著に向上させることができる。
【0089】
図10は、本発明の各種実施形態に係る方法200を示す上位フローチャートである。本方法の諸段階は前述のシステム及びツールとの関係で実行することができ、またそれらシステム及びツールは方法200を実行しうるよう随意に構成することができる。方法200又はその一部を少なくとも1個のコンピュータプロセッサ、例えば計量モジュール内のそれにより実行してもよい。ある種の実施形態では、方法200の関連諸段階を実行するようコンピュータ可読プログラムが構成され、それを体現するコンピュータ可読格納媒体によってコンピュータプログラム製品が構成される。ある種の実施形態では各ターゲットのターゲットデザインファイルが方法200の諸実施形態によって構成される。
【0090】
本方法の諸段階について、方法200を実行すべく随意に構成された前述のシステム及びツールを基に詳述する。本発明の他の諸態様に係る方法の諸段階を、指定される条件に従い組み合わせてもよい。
【0091】
方法200は、イメージング計量ツールの光学システムにて、焦点ずれの度合に対するオーバレイ
誤差拡大の依存性を導出する段階210と、その光学システムを、Δλ≦10nmなる狭いスペクトル域にて、NA≦0.1なる低い照明数値開口にて、且つ導出した依存性によればオーバレイ
誤差拡大無しに相当する焦点位置にて、動作させる段階220とを、有するものとすることができる。
【0092】
方法200は、対応する複数個の焦点位置にて複数個の計量ターゲット像を捕捉する段階230と、捕捉した像の不正確性拡大因子を推定する段階250と、それら焦点位置に関し不正確性拡大因子の符号変化を識別することによって最良コントラスト位置を判別する段階260と、判明した最良コントラスト位置にて計量ツールを動作させる段階270と、を有するものとすることができる。捕捉230は同時実行することができ(段階240)、同時捕捉240は、少なくとも2個のビーム分岐素子をその計量ツールの集光路沿いに配置して(段階242)別々の集光路長を有する複数個の焦点位置をもたらすこと(段階244)で実行することができる。ある種の実施形態では、方法200が更に、それら焦点位置でのターゲット像向けの基準として構成されたレティクルをその計量ツールの被写界平面にて使用する段階246を有する。
【0093】
方法200は、計測波長に対するイメージング計量ターゲットのトポグラフィック位相の依存性を導出する段階280と、そのトポグラフィック位相がπの整数倍になるようその計測波長を調整する段階290、例えば±10nmの範囲内で調整する段階と、調整した計測波長にてそのイメージング計量ターゲットのイメージング計量計測を実行する段階300と、を有するものとすることができる。
【0094】
方法200は、参照信号を伴う可調参照路をイメージング計量光学システムの集光路内に統合する段階320と、イメージング計量ターゲットのトポグラフィック位相がπの整数倍へと修正されるようその参照信号の位相を調整する段階330と、を有するものとすることができる。その可調参照路は、イメージング計量光学システムの対物系とそっくりな参照対物系と、可調ミラーと、を備えるリニック干渉計として、その光学システム内に構成することができる(段階322)。方法200は、少なくとも2個のターゲット層からの0次回折信号・1次回折信号間トポグラフィック位相差を縮小する段階332、例えば等式12に従い縮小する段階を有するものとすることができる。
【0095】
方法200は、そのスキャタロメトリターゲットにおける周期的構造と同じピッチpを有する周期的構造を有しその周期的構造が互いに±p/4だけずれている少なくとも2個の補助セルを、スキャタロメトリターゲットに付加する段階340と、等式25に従い当該少なくとも2個の補助セルからの回折信号を計測することによってそのスキャタロメトリターゲットのトポグラフィック位相を計測する段階350と、を有するものとすることができる。
【0096】
方法200は、イメージングターゲットのコントラスト関数を導出する段階360と、導出したコントラスト関数が修正され単一のピークを有するものになるよう計測条件を調整する段階370と、調整した計測条件にてイメージング計量計測を実行する段階375と、を有するものとすることができる。
【0097】
方法200は、ハイトポグラフィスタック計測を実行する段階380を有するものにすることができ、その段階380を、2λ/P未満の総和を呈するよう集光数値開口(NA)及び照明NAを選定する段階382、被写界深度(DOF)が増すよう照明NAを随意に低減する段階384、及び/又は、複数個の焦点位置上で複数個の像を積分することで非対称寄与分を平滑する段階386により実行するものとすることができる。
【0098】
方法200のどのデータ処理段階も、少なくとも1個のコンピュータプロセッサ例えばプロセッサ(群)88によって実行することができる(段階390)。
【0099】
本発明の諸態様について、本発明の諸実施形態に係る方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート描写及び/又は部分図を参照し記述してきた。ご理解頂けるように、そのフローチャート描写及び/又は部分図の各部分や、同フローチャート描写及び/又は部分図の諸部分の組合せを、コンピュータプログラム命令により実現することができる。それらコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータその他のプログラマブルなデータ処理装置に備わるプロセッサに供給することによってマシンを構成すること、特にそれら命令がそのコンピュータその他のプログラマブルなデータ処理装置に備わるプロセッサにより実行されることを通じフローチャート及び/又は部分図若しくはその諸部分にて特定した機能/動作の実現手段が生成されるようにすることができる。
【0100】
また、コンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置を初めとする諸装置に対し特定形態で機能せよと指令可能なコンピュータ可読媒体内にそれらコンピュータプログラム命令を格納すること、特に、フローチャート及び/又は部分図若しくはその諸部分にて特定した機能/動作を実現する命令を含む産品がそのコンピュータ可読媒体内に格納された命令によってもたらされるようにすることができる。
【0101】
また、それらコンピュータプログラム命令をコンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置を初めとする諸装置上にロードし、そのコンピュータその他のプログラマブル装置を初めとする諸装置上で一連の動作ステップを実行させることで、コンピュータ実行プロセスを提供すること、特に、コンピュータその他のプログラマブル装置上で実行される命令により、フローチャート及び/又は部分図若しくはその諸部分にて特定した機能/動作を実現するプロセスを提供することができる。
【0102】
前掲のフローチャート及び図面は本発明の諸実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の潜在的諸実現形態のアーキテクチャ、機能及び動作を示すものである。この点に関して言えば、そのフローチャート又は部分図の各部分により表されるモジュール、セグメント又は一部のコードを、記述されている論理機能(群)を実現するための可実行命令を1個又は複数個を含むものとすることができる。これもまた注記すべきことに、ある種の代替的実現形態では、その部分に記されている諸機能を図示のそれとは別の順序で実行されることもあろう。例えば、相次ぐかたちで示されている2個の部分を実際には実質同時に実行するようにしてもよいし、場合によってはそれらの部分を逆の順序で実行してもよいのであり、どのようにするかは関連する機能によって左右される。これもまた注記すべきことに、その部分図及び/又はフローチャート描写の各部分や部分図及び/又はフローチャート描写の諸部分の組合せを、記述されている機能又は動作を実行する専用ハードウェアベースシステムによって実現することが可能であるほか、コンピュータ命令や専用ハードウェアの組合せによって実現することが可能である。
【0103】
前掲の記述における実施形態とは本発明の一例又は一実現形態のことである。「一実施形態」、「ある実施形態」、「ある種の実施形態」又は「各種実施形態」なる様々な表記が全て同じ実施形態群を指すとは限らない。本発明の諸特徴は単一実施形態の文脈で記述可能だが、それら特徴を別々に又は任意の好適組合せで提供することもできる。逆に、本願では本発明が明瞭化のため幾つかの実施形態の文脈で記述されているが、単一実施形態の態で本発明を実施することもできる。本発明のある種の実施形態では前述した様々な実施形態から特徴が取り込まれるであろうし、ある種の実施形態には前述した他の諸実施形態から構成要素が持ち込まれるであろう。本発明の構成要素がある特定の実施形態の文脈で開示されていることを以て、その特定の実施形態だけにそれらの用途が限定されるものと解すべきではない。更に、ご理解頂けるように、本発明は様々な要領で実行又は実現することが可能であるし、前掲の記述で概要を示したそれとは異なるある種の諸実施形態にて本発明を実施することが可能である。
【0104】
本発明はそれらの図面やそれに対応する記述に限定されるものではない。例えば、フローが、図示されているボックス又は状態それぞれを通ることや、図示及び記述されているそれと厳密に同じ順序で通ることは必要でない。本願で用いられている技術用語及び科学用語の意味合いは、別途定めてある場合を除き、本発明が属する分野におけるいわゆる当業者による理解通り常識的に理解されるべきである。本発明を有限個数の実施形態との絡みで記述してきたが、それらを以て本発明の技術的範囲についての限定事項と解すべきではなく、寧ろその好適な諸実施形態のうち幾つかの例示として解すべきである。他の潜在的な変形、修正及び応用もまた本発明の技術的範囲に入るものとする。このように、本発明の技術的範囲は、ここまで記述してきた事項によってではなく、別項の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって限定されるべきものである。