特許第6879950号(P6879950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6879950出力スケーリング可能な非線形光波長コンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879950
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】出力スケーリング可能な非線形光波長コンバータ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/37 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   G02F1/37
【請求項の数】27
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-568042(P2017-568042)
(86)(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公表番号】特表2018-519554(P2018-519554A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016040712
(87)【国際公開番号】WO2017004528
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】62/187,739
(32)【優先日】2015年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/197,715
(32)【優先日】2016年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォール ディルク
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/062173(WO,A1)
【文献】 特表2014−523551(JP,A)
【文献】 米国特許第06373868(US,B1)
【文献】 特開平05−323394(JP,A)
【文献】 特開2001−042370(JP,A)
【文献】 特開平09−292638(JP,A)
【文献】 特開2002−321079(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/114512(WO,A1)
【文献】 特開2000−250082(JP,A)
【文献】 特表2015−536473(JP,A)
【文献】 特開平05−313219(JP,A)
【文献】 特開2001−174856(JP,A)
【文献】 特開2006−350159(JP,A)
【文献】 BATCHKO, R. G., et al.,"Continuous-wave quasi-phase-matched generation of 60mW at 465nm by single-pass frequency doubling of a laser diode in backswitch-poled lithium niobate",OPTICS LETTERS,米国,1999年 9月15日,Vol.24 No.18,pp.1293-1295,doi:10.1364/OL.36.000975
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125
G02F 1/21−1/39
H01S 3/00−3/30
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを発生させるように構成されたレーザ光源と、
線形結晶であって、前記レーザビームの焦点が、前記レーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に存在するように配置され、前記レーザビームが、前記非線形結晶により、第1の波長から第2の波長に変換される、非線形結晶と、
結晶実装アセンブリであって、前記非線形結晶が、前記結晶実装アセンブリ上に配置され、前記結晶実装アセンブリが、前記ビーム伝搬方向において前記レーザ光源から異なる距離にある複数の実装機構を含み、前記実装機構の各々に、前記結晶実装アセンブリが固定される穴を含み、前記非線形結晶内の前記レーザビームのビームサイズは、前記実装機構のうちの1つを選択することにより与えられ、角度受容範囲に対して0%よりも大きく27%以下である角度安定性が動作中に得られる、結晶実装アセンブリと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記レーザ光源と前記非線形結晶との間に配置され、前記ビーム伝搬方向の前記非線形結晶の下流に配置されるビーム整形光学部品を更に備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記結晶実装アセンブリは、前記非線形結晶の中心と前記焦点との間の距離を調節することによって、前記非線形結晶内の前記レーザビームのビームサイズを調節するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記レーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に前記レーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記レーザビームは、パルスレーザビームであり、前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンス出力密度または高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記パルスレーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に前記パルスレーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記結晶実装アセンブリは調節可能であり、前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記レーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に前記レーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記レーザビームは、パルスレーザビームであり、前記結晶実装アセンブリは調節可能であり、前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または前記システムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記パルスレーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側にパルスレーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記焦点は、円形、楕円、または非点収差のあるもののうちの少なくとも1つであることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記焦点は楕円であり、ウォークオフと平行な平面内の前記焦点は、前記ウォークオフに対して垂直な平面内の前記焦点より大きいことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記焦点は非点収差があり、1つの平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の内部に存在し、別の平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の外側に存在することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記焦点は非点収差がありかつ楕円であり、1つの平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の内部に存在し、別の平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の外側に存在し、前記非線形結晶内部の前記焦点は、前記非線形結晶の外側の前記焦点より大きい幅を有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1のシステムであって、前記システムは、波長変換が第二高調波発生、和周波発生、または差周波数発生のうちの1つであるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1のシステムであって、前記結晶実装アセンブリが、前記実装機構のうちの1つにネジ止めされることを特徴とするシステム。
【請求項14】
レーザビームを発生させることと、
波長変換のために構成された非線形結晶であって、前記レーザビームの焦点が前記レーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に存在するように配置された非線形結晶に前記レーザビームを導くことと、
前記非線形結晶により、第1の波長から第2の波長に前記レーザビームを非線形変換することと
を含み、
角度受容範囲に対して0%よりも大きく27%以下である角度安定性が動作中に得られる結晶実装アセンブリ上に前記非線形結晶が配置され、前記結晶実装アセンブリが、前記ビーム伝搬方向においてレーザ光源から異なる距離にある複数の実装機構を含み、前記実装機構の各々に、前記結晶実装アセンブリが固定される穴を含み、前記非線形結晶内の前記レーザビームのビームサイズは、前記実装機構のうちの1つを選択することにより与えられることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記非線形変換は、第二高調波発生、和周波発生、または差周波数発生のうちの1つであることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、レーザ光源と前記非線形結晶との間に配置され、前記ビーム伝搬方向の前記非線形結晶の下流に配置されるビーム整形光学部品を介して前記レーザビームを導くことを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、前記結晶実装アセンブリにより、前記非線形結晶の中心と前記焦点との間の距離を調節することによって、前記非線形結晶内の前記レーザビームのビームサイズを調節することを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記レーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に前記レーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、前記レーザビームは、パルスレーザビームであり、少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンス出力密度または高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記パルスレーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に前記パルスレーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、前記結晶実装アセンブリは調節可能であり、少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記レーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側に前記レーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法であって、前記レーザビームは、パルスレーザビームであり、前記結晶実装アセンブリは調節可能であり、少なくとも1つの光学コンポーネント上の、または少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有する前記パルスレーザビームの前記ビーム伝搬方向に対して垂直な前記少なくとも1つの平面において前記非線形結晶の外側にパルスレーザビームの前記焦点が存在するように、前記非線形結晶が配置されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法であって、前記焦点は、円形、楕円、または非点収差のあるもののうちの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項14に記載の方法であって、前記焦点は楕円であり、ウォークオフと平行な平面内の前記焦点は、前記ウォークオフに対して垂直な平面内の前記焦点より大きいことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項14に記載の方法であって、前記焦点は非点収差があり、1つの平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の内部に存在し、別の平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の外側に存在することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項14に記載の方法であって、前記焦点は非点収差がありかつ楕円であり、1つの平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の内部に存在し、別の平面内の前記焦点は、前記非線形結晶の外側に存在し、前記非線形結晶内部の前記焦点は、前記非線形結晶の外側の前記焦点より大きい幅を有することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項14に記載の方法であって、前記結晶実装アセンブリを前記実装機構のうちの1つに固定することを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記固定することが、前記結晶実装アセンブリを前記実装機構のうちの1つにネジ止めすることを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光波長変換に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年7月1日に出願され、米国出願第62/187,739号として採番された仮特許出願の優先権を主張し、この仮特許出願の開示内容を、本願に引用して援用する。
【0003】
ウェーハ上の欠陥を検出して収率を上げるための検査プロセスが、半導体製造期間中の様々なステップで用いられている。しかしながら、半導体装置の寸法が減少するにつれて、より小さい欠陥がデバイスを故障させることがあり得るので、検査は、半導体装置製造の成功にとって、より重要になる。半導体メーカーは、粒子、異常、および他の欠陥タイプに対する感度の改善を追求しながら、その一方で、ウェーハ検査システムにおける全体的な検査速度(毎時ウェーハ数)を維持している。
【0004】
半導体製造の各連続したノードでは、ウェーハ上のより小さい欠陥および粒子の検出を必要とする。したがって、ウェーハ検査のためのより高出力および短波長のUV(紫外線)レーザが必要である。欠陥または粒子のサイズが減少しているので、その欠陥または粒子によって反射され、または散乱される光の割合も通常減少している。その結果、より小さい欠陥および粒子を検出するために、信号対雑音比の改善が必要となり得る。より明るい光源を用いて欠陥または粒子を照らす場合、より多くの光子が散乱し、または反射され、他の雑音源が制御されるならば、信号対雑音比を改善することができる。波長が減少するにつれて、光の波長よりも小さい粒子によって散乱される光の割合が増加するので、より短い波長を使用することによって、より小さい欠陥に対する感度を更に改善することができる。
【0005】
ウェーハのためのいくつかの検査ツールおよび半導体産業において使用するレチクル検査は、深紫外(DUV)放射に依存する。UVおよびDUVスペクトル領域のレーザ放射で最もコンパクトで効率的かつ費用効果的なソースのいくつかは、非線形光学結晶内の固体物理レーザ放射の波長変換に基づく。高出力のDUV放射を浴びると、非線形光学結晶を含む光学コンポーネントは、光学的に誘発された損傷を受ける傾向があり、それは個々のコンポーネント上、またはその内部に存在する最大出力密度を制限する。この出力密度制限のため、光学部品設計者は、波長コンバータデバイスの達成可能なDUV出力、空間ビーム質、コンポーネント寿命とフォームファクタとの間のトレードオフを行わざるを得ない。非線形結晶内のビームサイズを最適化することが、高調波(DUV)出力、空間ビーム質および非線形結晶寿命の利点およびそれらの間のトレードオフをするために必要となり得る。一方、望ましいコンポーネント寿命を達成するためには光学部品上の低い出力密度が必要となり得る。
【0006】
非線形波長変換プロセスに関係する波長の1つ以上がDUV領域にある場合、DUV放射は光学的に非線形結晶においてだけでなく、ビーム整形光学部品の他の光学コンポーネントに対しても誘発損傷を起こしやすい。両方とも結晶内およびビーム整形光学部品上/内の出力密度を制限することが、この場合重要になる。ビーム整形光学部品上の許容できる出力密度は、非線形結晶自体におけるよりもかなり低くすることができる。この要件は、一部は物質特性に起因し(例えば、石英ガラスの場合)、そして一部は、非線形結晶のために一般に用いられるスポットシフトのスキームが非整列および異常をビーム経路にもたらすこと無しには多くの光学部品コンポーネント(例えば、球面レンズ)に適用することができないという事実に起因する。このため、ビーム整形光学部品を、ビームが光学出力密度を許容可能レベルに下げるために非線形結晶から十分に離れた距離に配置することが必要になる。非線形結晶内の焦点サイズを増加させることは、ビーム発散を減少させる。非線形結晶からビーム整形光学部品までの必要距離はそれに応じて増加し、その結果、波長変換モジュールは望むより大きくなることがある。
【0007】
非線形結晶は、ビームに対して垂直に周期的にシフトすることができ、それは複数の結晶位置を使用する。非線形結晶の1つの領域が損傷している場合、非線形結晶は、異なる損傷していない領域にビームが照射されるように、ビームに対して移動される。これは非線形結晶が置換されなければならなくなる前の期間を延長することができる一方で、これは非線形結晶への損傷の原因に対処することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0206288号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0000898号
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0022805号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、必要であるのは、改良された非線形光学波長コンバータである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の実施形態においては、システムが提供される。システムは、レーザ光源と、非線形結晶と、結晶実装アセンブリとを含む。レーザ光源は、レーザビームを発生させるように構成される。非線形結晶は、波長変換のために構成される。非線形結晶は、レーザビームの焦点が、レーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側に存在するように、配置される。非線形結晶は、結晶実装アセンブリ上に配置される。
【0011】
ビーム整形光学部品は、レーザ光源と非線形結晶との間に配置することができ、および/または、ビーム伝搬方向の非線形結晶の下流に配置することができる。
【0012】
結晶実装アセンブリは、非線形結晶の中心と焦点との間の距離を調節することによって、非線形結晶内のレーザビームのビームサイズを調節するように構成することができる。
【0013】
非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にレーザビームの焦点が存在するように、配置することができる。
【0014】
レーザビームは、パルスレーザビームとすることができる。非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンス出力密度または高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するパルスレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にパルスレーザビームの焦点が存在するように、配置することができる。
【0015】
結晶実装アセンブリは、レーザ光源から異なる距離にある複数の実装機構を含むことができる。結晶実装アセンブリは、実装機構のうちの1つに配置されるように構成することができ、非線形結晶内のレーザビームのビームサイズは、実装機構のうちの1つを選択することによって与えることができる。
【0016】
複数の実装機構を使用して、非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にレーザビームの焦点が存在するように、配置することができる。
【0017】
複数の実装機構を使用して、レーザビームは、パルスレーザビームとすることができる。非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するパルスレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にパルスレーザビームの焦点が存在するように、配置することができる。
【0018】
結晶実装アセンブリは、調節可能とすることができる。非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にレーザビームの焦点が存在するように、配置することができる。
【0019】
レーザビームはパルスレーザビームとすることができ、結晶実装アセンブリは調節可能とすることができる。非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するパルスレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にパルスレーザビームの焦点が存在するように、配置される。
【0020】
焦点は、円形、楕円、または非点収差のあるもののうちの少なくとも1つであり得る。
【0021】
焦点は楕円とすることができ、ウォークオフと平行な平面内の焦点は、ウォークオフに対して垂直な平面内の焦点より大きい。
【0022】
焦点は、例えば、1つの平面の焦点が非線形結晶内部に存在し、別の平面の焦点が非線形結晶の外側に存在するように、非点収差のあるものとすることができる。
【0023】
焦点は、非点収差がありかつ楕円とすることができる。1つの平面の焦点は、非線形結晶内部に存在し、別の平面の焦点は、非線形結晶の外側に存在する。非線形結晶内部の焦点は、非線形結晶の外側の焦点より大きい幅を有する。
【0024】
システムは、波長変換が第二高調波発生、和周波発生または差周波数発生のうちの1つであるように、構成することができる。
【0025】
システムは、結晶実装アセンブリに接続された調節アセンブリを更に含むことができる。調節アセンブリは、例えば、ロッキングメカニズムを有するネジでもよい。
【0026】
第2の実施態様においては、方法が提供される。方法は、レーザビームを発生させることと、レーザビームを波長変換のために構成された非線形結晶へ導くことと、レーザビームを非線形変換することを含む。非線形結晶は、レーザビームの焦点がレーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側に存在するように配置される。レーザビームの非線形変換は、第二高調波発生、和周波発生または差周波数発生のうちの1つとすることができる。
【0027】
本開示の本質および目的のより完全な理解のために、添付の図面とともに考慮される、以下の詳細な説明への参照が行われるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示による波長コンバータの一実施形態を例示する概略図である。
図2】本開示によるシステムの第1の実施形態を例示する概略図である。
図3】本開示によるシステムの第2の実施形態を例示する概略図である。
図4】本開示によるシステムの第3の実施形態を例示する概略図である。
図5】例示的な焦点サイズの図である。
図6】本開示の一実施形態によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特許請求される主題は、特定の実施形態に関して記載されるが、本明細書において記載される利点および特徴の全てを提供するわけではない実施形態を含む他の実施形態も、この開示の範囲内である。各種の構造的、論理的な処理ステップおよび電子的変更は、本開示の範囲から逸脱せずに行うことができる。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲への参照によってのみ定められる。
【0030】
本明細書において開示される改良された非線形光学波長コンバータは、ビームサイズ、および、したがって、ビーム整形光学部品の非線形結晶内と、隣接する光学素子上との両方における出力密度を、独立に最適化する自由度をもたらす。他の波長コンバータデバイスとは対照的に、この最適化はデバイスのフォームファクタを増加させずに達成することができる。結晶内部の比較的大きいビームサイズに対してさえ、ビーム発散角を大きくして、下流の光学部品上の出力密度を低減することができる。加えて、非線形光学結晶内部のビームサイズは、必要に応じて、光学部品設計に最小の変化を有する高調波出力をスケーリングするように調節することができる。
【0031】
本開示は、光学性能ならびにコンポーネント寿命を改善する非線形光学波長コンバータのためのコンパクト設計を含む。本開示は、光学部品設計者が、ビーム整形光学部品の非線形結晶および他のコンポーネント内、または、その上の光学出力密度をそれぞれに最適化することができるようにする。これは、基本ビームの焦点の外側で非線形結晶の位置を決めることによって達成される。更にまた、非線形結晶内部の出力密度は、非線形結晶の焦点がずれた位置を調節することによって、波長コンバータ光学部品トレインを再設計することなくビームサイズを介して、スケーリングすることができる。この特徴のため、非線形結晶内の最適出力密度は高調波出力を上昇させるときに維持することができる。
【0032】
非線形結晶を用いて、長波長ビームの高調波を発生させることによって、または、異なる周波数の2つのレーザビームを混合して周波数を2つの周波数の和(または差)に等しくすることによって紫外レーザビームを発生させることができる。したがって、非線形光学結晶内の和周波発生(SFG)および第二高調波発生(SHG)などの非線形波長変換は、効率的な固体レーザ光源の放射ラインによって直接アクセス可能でない波長で、レーザ放射を発生させることができる。この方法は、例えば、近赤外において放射するダイオード励起固体レーザの波長範囲を、可視、UVおよびDUVに拡張するために用いることができる。UVおよびDUV発生は、2つまたは複数のSHGおよびSFGステップを段階的に行うことによって通常達成される。第三高調波(THG)は、例えば、SHGプロセスにSFGプロセスを続けることによって発生するが、第四高調波(FHG)は2つの段階的に行うSHGプロセスで発生する。高調波発生および混合プロセスが非線形プロセスであるので、入射出力密度がより高いほど、通常より効率的な転換プロセスおよびより高い出力パワーに結果としてなる。
【0033】
効率的な波長変換を、例えばSHGプロセスにおいて達成するために、基本波と第二高調波間の分散は、最小化される。これは、基本波長での通常の屈折率が第二高調波波長での特別な屈折率と、またはその逆で一致するように、複屈折の非線形結晶の伝搬方向(すなわち、位相整合角)を選択することによって、達成することができる。大部分の位相整合角に対して、非線形結晶内部の第二高調波ビームのポインティングベクトルは、波動ベクトルと平行でない。この状態は、一般に臨界位相整合と呼ばれる。ポインティングベクトルウォークオフ(「ウォークオフ」)はいかなる非線形波長コンバータ設計のためにも考慮することができ、その結果、空間ビーム質に対するいかなる有害な影響も最小化することができる。
【0034】
SHGの小信号利得は、基本出力密度の平方に比例する。ガウシアンビームは、結晶の全体にわたって出力密度を最大にして最大限の変換効率を達成するために、非線形結晶にフォーカスされる。
【0035】
最適焦点サイズは、非線形結晶およびそのウォークオフ角度の長さの両方ともに依存する。臨界位相整合の場合、非線形変換効率は、ウォークオフの平面内で大きなウエストを有する楕円焦点を選択することによって更に増加することができる。より高い変換効率を達成することに加えて、楕円フォーカスは、空間ビーム質上のウォークオフの影響を減らすために用いることができる。円形および楕円フォーカスのフォーカス条件を最適化するソフトウェアパッケージを用いることができる。
【0036】
高出力の用途においては、第二高調波の出力および空間ビーム質は、高い出力密度によって導かれる有害な作用(例えば、非線形吸収、熱ディフェージングおよび光屈折)に、悪い影響を受けることがあり得る。更にまた、非線形物質の高い出力密度は、結晶欠陥(例えば励起子およびカラーセンター)、光屈折損傷および光学的に誘発された地表損害の形成を引き起こし得る。これらの作用は、結果として時間とともに非線形結晶品質の低下になることがあり得る。材料の二光子吸収を考慮に入れるために放射の光子エネルギーが十分大きいときに、作用は特に顕著である。使われる非線形物質に応じて、これは、可視、UVまたはDUVの放射に対するケースとなり得る。結晶内部の焦点サイズを増加させることは、出力密度を低下させることになり得る。この方法が変換効率を低下させることにもなるので、非線形結晶の非線形変換効率、空間ビーム質および耐用寿命の間でトレードオフがなされなければならない。臨界位相整合の場合、楕円フォーカスは、所定の出力密度で変換効率の増加およびビーム質の改良を一般にもたらす。
【0037】
基本ビーム上の焦点が非線形結晶の中央に位置する場合、基本ビームの焦点サイズは非線形結晶内のビームサイズを増加させるために、増加しなければならない。したがって、基本フォーカスおよび高調波ビーム整形光学部品は、再設計することが必要となる。デバイスのフォームファクタが不変のままである場合、フォーカスおよびビーム整形光学部品素子上のビームサイズは減少する。これは、光学部品上の出力密度を増加させて、したがって、光学部品の寿命を減少させる。
【0038】
非線形結晶上の入射レーザ放射を増加させることは、好ましくない副作用があり得る。例えば、永続的な損傷が時間とともに結晶で生じる場合がある。放射露光量の累積により、この損傷は、全般的な出力強度の減少ならびに全般的な非点収差の増加に結果としてなることがあり得る。したがって、光学部品での非点収差を修正することは頻繁な補正調節を必要とする可能性があり、それは商業的用途では非実用的である。更に、非点収差はまた、正確な補整が調節によっても可能でないレベルまで急速に増加し得る。
【0039】
より短い出力波長を発生させることはまた、出力光子がより高エネルギーで、したがって、結晶の特性を変えることができるかまたは永久に損傷を与えることさえできるので、結晶の劣化を加速し得る。したがって、より短い出力波長で、非点収差および他の悪いビーム質および強度効果も、ますます発生する場合がある。
【0040】
高調波出力を(例えば、より高出力の基本レーザ光源が利用できるようになるにつれて、基本出力を増加させることによって)スケーリングするときに、光学出力、空間ビーム質および結晶寿命の間のトレードオフは最適化することができないことがあり、その結果、非線形結晶内のビームサイズは再最適化されなければならない。非線形結晶内の焦点サイズは、再最適化するため変更することが必要となり得る。これは、非線形波長コンバータモジュールの大きな光学的および光学機械的再設計を必要とし得る。
【0041】
図1は、波長コンバータ100の実施形態を例示する概略図である。波長コンバータ100は、非線形結晶101およびビーム整形光学部品102を含む。ビーム整形光学部品102は、1つ以上のレンズ、ミラーまたは他の光学コンポーネントを含むことができる。1つ以上のレンズ、ミラーまたは他の光学コンポーネントをまた含むことができる付加的なビーム整形光学部品(図示せず)は、ビーム整形光学部品102から非線形結晶101の反対側に配置することができる。
【0042】
レーザビーム103は、非線形結晶101に照射される。レーザビーム103は、レーザビーム103のビーム伝搬方向109に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶101の外側に存在する焦点104を有する。例えば、この平面は、ビームサイズ108を表している破線と平行でもよい。非線形結晶101の中心焦点104との間の距離は、設定するかまたは調節することができる。
【0043】
レーザビーム103の焦点104は十分に小さくなるように、そしてそれによりビーム発散が十分に大きくなるように選ばれ、その結果、焦点104の下流または上流の1つ以上の光学素子上の基本および/または高調波出力密度は、目的用途のための充分なコンポーネント寿命(例えば、1年または更なる期間以上)を確実にするのに十分低いままである。基本および高調波放射の波長およびコンポーネントの物質特性に応じて、最大限の許容出力密度は100W/cmから1MW/cmまでの範囲であることが可能であり、その間の1.0W/cmまでの範囲の全ての値を含む。
【0044】
任意の所定のガウシアンまたは近ガウシアンビームに対して、2本の相互に垂直な軸xおよびyであって、両方ともビーム伝搬方向109に対して垂直であるものに沿って測定されるビーム直径は、式1および式2に見られるように、焦点位置までの距離(z−z0)の関数である。
【数1】
【数2】
ここで、2*w(z)は、ビームプロファイル全体の出力分布の標準偏差の4倍として定義される位置zにおけるビーム直径であり、2*w0はビームウエスト直径であり、z0はビーム伝搬の方向のビームウエスト位置であり、λは放射の波長であり、そして、Mはビーム伝搬パラメータである。式3に見られるように、ビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本出力密度Dは、ビーム半径の関数として算出することができる。
【数3】
ここで、Pは、時間平均された基本出力である。例えば、非線形光学プロセスが第二高調波発生である場合、ビームサイズおよび高調波ビームおよび特定の結晶位置のための変換効率の出力密度は、式1および2に記載されている基本ビームサイズに基づいて算出することができる。ウォークオフがある場合には、これは、フォーカスされたガウシアンビームに対する高調波発生の数値シミュレーションを用いて達成することができる。他の非線形光学的波長変換プロセスのための類似の数値モデルが利用可能である。基本出力密度が所望の変換効率および高調波出力パワーを達成するのに十分なだけ高く保たれるように、結晶位置Zと、したがってビームサイズを選択することができ、その一方で、この境界条件の制限内で、基本および高調波出力密度は最小化され、その結果、非線形結晶101のスポット寿命は最大化される。焦点104の位置と非線形結晶101の場所の間の典型的距離は、数ミリメートルから数十センチメートルの範囲である。しかしながら、他の距離は可能である。
【0045】
一例において、BBOなどの非線形結晶101において発生する266nmの波長を有する高調波放射の出力は、非線形結晶101の基本波および高調波出力密度が不変である間は2倍になる。これらの条件の下で、結晶スポット寿命は、同様に不変のままである。これは、基本レーザの出力ならびに非線形結晶101内部のビームエリアを2倍にすることによって達成することができる。例えば、450μm×200μmの楕円基本ビームサイズは、450μm×400μmに増やすことができる。この例では、楕円の長軸はウォークオフと平行である。非線形結晶101のビームサイズは、非線形結晶101の内部に位置する焦点のサイズを増加させることによって、増加することができる。その結果、例えば0.5m離れたところの下流の光学上のビームエリアは、1.8分の1に減少し、その結果、光学部品上、または、その中の高調波出力密度は3.6倍に増加する。下流の光学部品が、DUV出力密度の平方によって拡大縮小する損傷メカニズムを経験する場合、光学部品寿命は10分の1よりも減少する。
【0046】
本明細書において開示される実施形態を使用すると、最初の焦点サイズおよび位置を維持して、0.1mだけ焦点104の下流に非線形結晶101を移動することによって、非線形結晶101において同じDUV出力およびDUV出力密度を達成することができる。焦点サイズに変化がないので、下流のミラー上の基本および高調波ビームサイズは同一のままであり(熱レンズなどの二次効果が存在しない中で)、そのため、ミラー上のDUV出力密度は2倍しか増加せず、結果として光学部品寿命への影響がより少ないものになる。これは、以前のシステムに対する著しい改善である。非線形結晶101が焦点104の上流または下流に移動される距離は変化させることができ、非線形結晶101を0.1mだけ焦点104の下流に移動することは単に1つの例に過ぎない。
【0047】
非線形結晶101は、位相整合を提供して効率的な非線形相互作用を媒質において達成するように、構成することができる。非線形結晶101は、臨界位相整合、非臨界位相整合、準非臨界位相整合または擬似位相整合を利用することができる。
【0048】
非線形結晶101は、DUV用途のためにBBOまたはCsLiB10(CLBO)であることができるかまたはそれらを含むことができる。しかしながら、LiIO、KNbO、リン酸一カリウム(KHPO)、三ホウ酸リチウム(LBO)、GaSe、チタンリン酸カリウム(KTP)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、LiIOまたはリン酸二水素アンモニウム(ADP)であるかそれらを含む他のタイプの非線形結晶を用いることができる。
【0049】
非線形結晶(例えば非線形結晶101)は、通常はブールにおいて成長させ、その後、個々の水晶素子にカットされる。入力および出力面は、カットの後研磨する。利用できる水晶素子の寸法は、選ばれた非線形光学材料のブールサイズおよびブール質特性に依存する。非線形光学結晶は1mmからの50mmまで長さ寸法、3mmからの20mmまで幅寸法および0.5mmからの10mmまで高さ寸法を有することが可能であり、その間の0.01mmまでの範囲の全ての値を含む。ビーム伝搬方向109などのビーム伝搬の方向は、「長さ」と一般的に呼ばれる。他の非線形結晶寸法は、異なる用途に対して可能である。望ましい用途に適しているいかなるサイズの非線形結晶101も、本明細書において開示される実施形態において用いることができる。
【0050】
図1に示すように、非線形結晶101が焦点104の下流に配置されるので、非線形結晶101での、または、その中のビームサイズ107(破線によって表される)は焦点104でのビームサイズ108(破線によって表される)より大きい。ビームサイズ107での出力密度は、ビームサイズ108での密度より小さい。したがって、非線形結晶101は、より低い出力密度を有するレーザビーム103の一部に影響を受ける。
【0051】
非線形結晶101内部のビームサイズ107は、焦点104の外側で非線形結晶101の位置を調節することによって、最適化することができる。本明細書において開示される技術を使用すると、レーザビーム103の焦点104のサイズと位置の変化は回避することができる。焦点104のウエストサイズおよび位置を変えないままにできるので、非線形結晶101の下流のビーム整形光学部品102上のビームサイズは不変のままとすることができる。より具体的には、非線形結晶101の下流のビーム整形光学部品102上のビームサイズは減少しないようにできる。
【0052】
非線形結晶101の下流では、レーザビーム103は、基本ビーム105および高調波ビーム106を含む。高調波ビーム106が図1では特定の方法で例示されているが、高調波ビーム106のビームサイズは1.41(すなわち、√2)倍だけ基本ビームサイズ105より小さくてもよい。
【0053】
波長コンバータ100は、非線形結晶101内部で発散または収束ビームを使用することができる。(ウォークオフに対して平行または垂直な)1つの平面で、または、両方の平面で、基本ビーム105は、図1に示すように結晶の外側でフォーカスされる。焦点104のサイズは、ビーム整形光学部品102上の出力密度を所望の光学部品寿命を提供するレベルに引き下げるために十分に短いレイリー領域および、したがって十分大きいビーム発散を提供するように、選択することができる。この場合、レイリー領域は、ウエストからビーム幅が√2倍に増加する場所へのビーム伝搬方向109に沿った距離である。出力スケーラビリティが波長コンバータ100対して意図される場合、ビーム整形光学部品102上のビームサイズは、ビーム整形光学部品102上の必要最大出力密度が波長コンバータの出力スケーリングされたバージョンに存在する最高の意図された基本および高調波出力に対して越えられないように、十分大きく選ばれる。臨界位相整合の場合にいかなる出力および/またはビーム質のペナルティも回避するために、ウォークオフと平行な平面内の非線形結晶101の範囲内のビーム発散(または収束)は、結晶角度受容によって設定される限度未満のままとすることができる。そのマージンは、用途に対する特定のビーム質要件に依存する。
【0054】
レーザビームの発散または収束は、ガウシアンビーム伝搬によって記述することができる。ビーム伝搬方向に沿った特定の位置zで、所定の横軸と平行なビーム発散は、式1および2の一次導関数のアークタンジェントである。したがって、所定の位置の発散角は、ウエストサイズを増加させることによって減少することができる。非線形プロセスの受光角は、位相整合の臨界方向の最適位相整合角からの角度オフセットとして定義され、これに対して非線形変換効率が最適位相整合条件で変換効率の50%に減少する。本明細書において1/2の角度として定義される、DUVへの高調波発生のための角度受容の典型的な値は、結晶長の0.05〜0.5mrad*cmのオーダーである。受光角は、非線形プロセス、用いられている非線形結晶材料および非線形結晶の長さに依存し得る。受光角は、非線形結晶材料のためのセルマイヤー方程式に基づいて算出することができる。あるいは、角度受容を算出するためにソフトウェアパッケージを用いることができる。ビーム発散角に起因する変換効率損失を4%未満に減らすために、位相整合の臨界方向において角度的レーザ出力分散に対する標準偏差の2倍と定められたビーム発散角は、上記に定めるように受光角の50%未満に限ることができる。
【0055】
ビーム伝搬方向109の軸に沿った非線形結晶101の位置は、非線形結晶101の出力密度が、変換効率、空間ビーム質、結晶寿命または結晶スポット寿命のうちの1つ以上であるか2つ以上の間の、所望のトレードオフを達成するために必要な要件を満たすように、選択することができる。
【0056】
非線形波長変換に対して、出力密度の増加とともに変換効率が増加するので、非線形結晶101のビームサイズができるだけ小さいことが、変換効率を最大にするために望ましいことであり得る。一方で、非線形結晶101は発生された高調波によって、または、基本放射によってさえ誘発される損傷を経験する可能性があり、その結果、波長変換のために使用する結晶スポット寿命は限られる。正確なスケーリング則は、結晶によって経験される特定の損傷メカニズムに依存し得る。しかしながら、結晶の寿命は出力密度の増加とともに減少するので、結晶内のできるだけ大きいビームサイズはスポット寿命を最大にするために望ましいものであり得る。
【0057】
非線形結晶スポットシフトは波長コンバータのためのサービスイベントを起こすことができるので、十分大きいスポット寿命(例えば、数百時間の範囲またはそれ以上)を維持することで所望のサービスインターバルを達成することができる。結晶寿命は、全体として、全ての結晶スポットに対するスポット寿命の合計である。スポット寿命がスポットサイズの減少(すなわち、出力密度の増加)とともに線形に減少する場合、利用できるスポットの数が個々のスポット寿命が減少するのと同じ率で増加するので、結晶寿命はスポットサイズに影響されないようになる。線形より急速であるスケーリング則(例えば、出力密度の平方に反比例し減少するスポット寿命)に従う損傷メカニズムに対して、ビームサイズを増加させることは利用できるスポットの数がビームエリアの増加とともに線形に減少するので、結晶寿命を改善するが、個々の結晶スポット寿命はスポットサイズの増加とともに線形に増加するよりも更に急速に(例えば、上記例のビームエリアの平方に対して比例して)増加する。
【0058】
非線形結晶101は、レーザビーム103の波長変換を提供する。非線形結晶101の最適ビームサイズは、達成可能な変換効率を最大にして、したがって、高調波波長で出力を最大にして、その一方で、必要スポット寿命および/または結晶寿命を維持するように、選ぶことができる。あるいは、非線形結晶101の最適ビームサイズは、アプリケーションのために必要とされる高調波波長で変換効率および、したがって出力を達成すると共に、達成可能なスポット寿命および/または結晶寿命を最大にするように選ぶことができる。
【0059】
波長コンバータ100は、レーザビーム103を発生させるために用いる主要なレーザ光源から基本出力を増やすことによって、第二高調波出力のスケーリングを有効にする。最適出力密度は、焦点104からより遠くに間隔をおいて配置される非線形結晶101を移動することによって、維持することができる。基本フォーカス光学部品設計に対する変更は必要とされない場合がある。高調波ビーム整形光学部品の小幅な変更は、非線形結晶101の異なる位置および非線形結晶101内のビームサイズによって誘導される可能性がある効果を補償するために、まだ実行することができる。例えば、結晶内部のあり得る熱レンズの位置および出力の変化は補償することができる。しかしながら、これらの変化は、波長コンバータ光学部品トレインの完全な再設計と比較して軽微である。このような変化は、下流のビーム整形光学部品102の高調波ビームのための可調ビーム形成コンポーネント、例えば調節可能なビーム拡大望遠鏡またはクックトリプレットを利用することによって、適応することができる。
【0060】
一例において、焦点104の外に非線形結晶101を配置して所望のパラメータを有するレーザビーム103を提供する特定の非線形結晶101のための焦点104は、2段階のプロセスにおいて決定することができる。第1に、非線形結晶101の基本ビームサイズは、非線形結晶101の位置の関数として、本明細書において開示される技術を用いて決定することができる。第2に、高調波ビームサイズは、基本ビームサイズに基づいて算出することができる。これらの算出を使用して、焦点104と非線形結晶101との間の距離は、基本および高調波出力密度が特殊用途のための仕様を満たすように選択することができる。
【0061】
図2は、システム200の実施形態を例示する概略図である。レーザ活性媒質を含むレーザ光源201は、ビーム伝搬方向206の基本放射、例えばレーザビーム103を発生させる。レーザ光源201は、例えば、固体レーザ、半導体レーザ、ガスレーザ、ファイバレーザ、CWレーザ、モードロックレーザ、Qスイッチレーザ、利得スイッチレーザ、ビルトイン非線形波長コンバータを有するレーザまたは別のタイプのレーザでもよい。レーザ光源201によって発されるレーザビーム103は、回折限界または近回折限界ガウシアンビームでもよい。他のタイプのレーザビーム103が可能である。
【0062】
一例において、レーザ光源201は、交換可能なレーザ光源である。非線形光学系の一部である交換可能なレーザ光源は、その故障の際の現地交換可能部品として、または、一旦それがサービス寿命の終わりに達した場合に、同一の設計のレーザ光源と交換することができる。非線形光学系の一部である交換可能なレーザ光源はまた、より高い出力レーザ光源などの異なる設計のレーザ光源と交換することができて、性能(例えば、非線形光学系の出力パワー)を改善する。この場合、本明細書において記載されているように、非線形結晶101の焦点がずれた位置は調節して、高調波出力と非線形結晶101の寿命との間の最適トレードオフを達成することができる。
【0063】
レーザビーム103は、非線形結晶101の上流のビーム成形光学部品202を通して照射する。ビーム整形光学部品202は、1つ以上のレンズ、ミラーまたは他の光学コンポーネントを含むことができる。ビーム整形光学部品202は、単レンズまたは複数のレンズを含むことができて、非点収差の有無にかかわらず円形または楕円の焦点を発生させることができる。ビーム整形光学部品202は、調節可能であっても調節可能でなくてもよい。ビーム整形光学部品202は、レーザ光源201と非線形結晶101との間に位置することができ、またはレーザ光源201に集積することができる。レーザビーム103の焦点104は、レーザビーム103のビーム伝搬方向206に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶101の外側に存在する。焦点104の位置およびサイズは、変化することができる。典型的焦点直径は5μmからほぼ1mmの範囲であることが可能であり、その間の1μmまでの範囲の全ての値を含む。焦点104位置と非線形結晶101の間の典型的距離は、数ミリメートルから数十センチメートルの範囲である。しかしながら、この範囲外の焦点104のサイズおよび非線形結晶101までの距離は可能である。
【0064】
非線形結晶101は、結晶実装アセンブリ203に配置される。例えば、非線形結晶101は、結晶実装アセンブリ203上に、または、その中にあってもよい。結晶実装アセンブリ203は、限定するものではではないが、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、銅タングステンまたはニッケルなどの金属で製造することができる。結晶実装アセンブリ203はまた、セラミックまたは他の材料で製造することができる。
【0065】
結晶実装アセンブリ203は、非線形波長コンバータの出荷および動作の間、非線形結晶101の位置を例えば数十ミクロンの範囲内で安定に保ち、入射レーザビームに対する角度を、角度受容範囲の例えば27%以内に安定に保つように設計することができる。ウォークオフ方向の角度受容の27%の角度変更は、最適位相整合角に対して変換効率の5%の低下に結果としてなることがあり得る。
【0066】
結晶実装アセンブリ203は、ばね式のアセンブリであってもよく、そこにおいて、非線形結晶101はLブラケットに置かれて、ビーム伝搬方向109に対して垂直な1つ以上の軸に沿ってばねによって定位置に保たれる。ばねは、Lブラケット上へ、または、それに対して、非線形結晶101を押圧する。
【0067】
非線形光学相互作用の限られた角度受容のため、角度許容度は、0.03mradから0.3mradまでの範囲であり得る。したがって、結晶実装アセンブリ203は、非線形相互作用の位相整合角を調節する機構を含むことができる。このような機構は、これに限定されるものではないが、手動のファインスレッドねじによって働く回転ステージ、手動マイクロメータアクチュエータ、手動差動マイクロメータアクチュエータ、またはモーター付きアクチュエータを含む。結晶実装アセンブリ203全体は、結晶位相整合角の調節の間、回転することができる。結晶実装アセンブリ203は、一旦アライメントが完了すると非線形結晶101の回転角度をロックするための、ロッキングメカニズムを含むことができる。このようなロッキングメカニズムは、回転方向に対して垂直な方向において締められて、十分に高い摩擦を提供して表面に対してステージの回転部分を押圧するネジを含むが、これらに限定されない。典型的寸法を有する非線形結晶101に対して、結晶実装アセンブリ203のサイズは、通常いずれかの方向に10mmから150mmまでの範囲である。結晶実装アセンブリ203の他の寸法は可能であり、これらの範囲は単に例示的なものに過ぎない。
【0068】
加えて、結晶実装アセンブリは手動あるいはモーター付きの移動ステージを含むことができ、そのため非線形結晶101がビーム伝搬方向109と平行および/または垂直に移動することができる。
【0069】
結晶実装アセンブリ203は、温度調節することができる。角度アライメントに加えて、位相整合条件は、基本および高調波波長の屈折率が異なる温度依存性を有するので、非線形結晶101の温度に影響される。温度受容は、非線形光学変換効率が最適位相整合温度での変換効率の50%より高い最適位相整合温度のまわりの温度域として、定義することができる。DUV放射を発生させるために用いる非線形結晶のための典型的温度受容範囲は、結晶長の6°C*cmのオーダーである。変換効率を最適位相整合温度の値の95%より大きく保つために、結晶範囲の温度を温度受容の25%未満の範囲に(すなわち、結晶長の1.5°C*cmの範囲に)保つことが必要であり得る。結晶温度を記載されている最適範囲に保つために、結晶温度は、能動的に制御することができる。これは、限定するものではないが、熱電対、サーミスタまたはRTD温度センサなどを含む温度調節器を用いて温度を測定することにより達成することができる。温度調節器はまた、温度を調節するセンサに電子的に接続されたヒーターまたはペルチェ素子を含むことができる。センサおよび温度調節器は、結晶実装アセンブリ203に集積することができるかまたはそれに接続することができる。温度調節器はまた、温度調節ループを決める比例積分微分(PID)コントローラを、含み得る。
【0070】
結晶実装アセンブリ203は、結晶エンクロージャおよび/またはクリスタルオーブンを含むことができる。LBO、CLBOおよびLiIOを含むいくつかの非線形結晶材料は、非常に吸湿性である。エンクロージャを使用している環境湿度からこのような非線形結晶を保護することは、有益であり得る。エンクロージャは、乾燥したパージガス(例えば窒素、アルゴンまたは清潔な乾燥した空気)によって、気密封止することができるかまたは能動的に除去することができる。エンクロージャボディは、金属またはセラミックでできていてもよい。エンクロージャは、基本レーザビームの入口ならびに基本および高調波ビームの両方の出口とすることのできる2つのウィンドウを有する。ウィンドウは、基本および高調波波長を伝送する基板材料を含むことができる。可能なウィンドウ材料としては、石英ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムまたは結晶性水晶を含むが、これに限定されるものではない。エンクロージャのボディとウィンドウ間の界面は、Oリングシールまたは他のタイプのシールなどのシールを用いて封止してもよい。結晶エンクロージャは、クリスタルオーブンまたは温度調節されたクリスタルマウントを含むことができる。
【0071】
吸湿性結晶の湿潤暴露を最小化するために、結晶は昇温状態で操作されて、結晶面上の環境湿度の結露の危険度を最小化することができる。昇温状態は、例えば、40°Cから200°Cとすることができる。結晶は、クリスタルオーブンを使用して加熱することができる。オーブンボディは、金属(例えば、アルミニウムまたは銅)で、またはセラミックで製作することができる。この設計は、本明細書において記載される温度調節されたクリスタルマウントと類似していてもよい。高温作動のためにオーブンを最適化するための機構、例えば高温動作のために最適化される抵抗性加熱器またはオーブン内部で温度分布の等質性を改良する熱絶縁機構を追加することができる。このような絶縁機構は、熱絶縁層(例えば、セラミックまたはフルオロポリマーを含んでいるもの)を含むことができる。
【0072】
結晶実装アセンブリ203は、非線形結晶101がその寿命の終わりに達すると交換可能であるように構成することができる。
【0073】
結晶実装アセンブリ203は、ビーム伝搬軸206と垂直である平面の少なくとも1つの焦点104が非線形結晶101の外側に存在するように、ビーム伝搬軸206に沿った位置にある。結晶実装アセンブリ203は、固定することができるかまたは、ビーム伝搬方向206に対して垂直および/または平行に移動可能とすることができる。図2の実施形態において、結晶実装アセンブリ203は、所望の位置でシステム200の壁部に取り付けられるかまたは固定される。
【0074】
レーザビーム103は、非線形結晶101の下流のビーム整形光学部品102を通過する。ビーム整形光学部品102は、1つ以上のレンズ、ミラーまたは他の光学コンポーネントを含むことができる。ビーム整形光学部品102は、調節可能でもよく、または、調節可能でなくてもよい。
【0075】
一例において、ビーム整形光学部品102は、非線形結晶101において発生する高調波ビームのためのビーム整形光学部品であるかまたはそれを含む。この高調波ビーム整形光学部品は、調節可能な光学素子および/または調節可能な光学機械式素子を含むことができる。
【0076】
一例において、レーザビーム103は、ステージ205に配置されているウェーハ204を撮像するために用いる。しかしながら、レーザ103が、他の用途において、または、他の部品とともに用いることができる。
【0077】
本明細書中で使用する場合、「ウェーハ」という用語は、半導体または非半導体物質により形成される基板を通常意味する。このような半導体または非半導体物質の例は、単結晶シリコン、窒化ガリウム、ガリウムヒ素、燐化インジウム、サファイヤおよびガラスを含むが、これに限定されるものではない。このような基板は、一般に見つつけることができ、および/または、半導体製造施設において処理してもよい。
【0078】
ウェーハは、基板上に形成される1つ以上の層を含むことができる。例えば、このような層は、フォトレジスト、誘電材料、導電材料および半導電材料を含むことができるが、これに限定されるものではない。多くの異なるタイプのこのような層は本技術において周知であり、本明細書で用いられる用語ウェーハは全ての種類のこのような層を含むウェーハを含むことを意図する。
【0079】
ウェーハの上に形成される1つ以上の層は、パターン化されてもよく、またはパターン化されなくてもよい。例えば、ウェーハは複数のダイを含むことができ、各々が反復可能なパターン化された機構または周期構造を有する。材料のこのような層の形成および処理の結果として、最終的に完成されたデバイスとすることができる。多くの異なるタイプのデバイスはウェーハ上に形成することができ、本明細書で用いられる用語ウェーハは、当技術分野で周知のあらゆる種類の装置が作られるウェーハを含むことを意図する。
【0080】
図3および4に示すように、結晶実装アセンブリ203が基本焦点の外側の1つ以上の位置に配置することができるように、結晶実装アセンブリ203は構成することができ、その結果、基本ビームサイズは、ビーム整形光学部品102、202のアライメントを変える必要なしに、変換効率、空間ビーム質、結晶寿命または結晶スポット寿命の間の最適トレードオフを達成するように、調節することができる。例えば、結晶実装アセンブリ203は、非線形結晶101の中心と焦点104との間の距離を調節するように構成することができる。
【0081】
図3は、システム300の実施形態を例示する概略図である。システムは、1つ以上の実装機構301を含む。4つの実装機構301が図3に図示されるが、それより多くであるかより少ない実装機構301は可能である。これらの実装機構301は、配列として配置することができる。実装機構301は、レーザ光源201からの異なる距離で、または、ビーム整形光学部品102、202の間に配置される。結晶実装アセンブリ203は、実装機構301のうちの1つの上に、または、その中に配置されるように構成される。非線形結晶101のレーザビーム103のビームサイズは、焦点104により近い、またはそれからより遠い実装機構301のうち1つを選択することによって提供される。このように、実装機構301は、非線形結晶101の中心と焦点104との間の距離の調節を可能とすることによって非線形結晶101のレーザビーム103のビームサイズを調節するように構成される。
【0082】
一例において、各実装機構301は、結晶実装アセンブリ203のコンポーネントを受けるように構成された1つ以上のスロットまたはホールを含む。例えば、実装機構301は、結晶実装アセンブリ203が固定される留め金具ホールであることができる。結晶実装アセンブリ203は、一例では実装機構にネジ止めすることができる。
【0083】
非線形結晶101の異なるビームサイズは、結晶実装アセンブリ203を非ウォークオフ方向のより小さい焦点の下流または上流の異なる位置の方へ動かすことによって発生させることができる。システム300については、非線形結晶101のビームサイズを調節する能力は、改良材質を有するより高い出力のレーザ光源201および/または非線形結晶101が利用できるときなどに、DUV光源の出力スケーリングを簡単にする。焦点104は、基本光学出力密度またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の高調波光学出力密度を制限し、および/または非線形結晶101内部のビームサイズを最適化するように構成されたレイリー領域を有する、非線形結晶101の外側に存在することができる。
【0084】
図4は、システム400の実施形態を例示する概略図である。結晶実装アセンブリ203は、調節アセンブリ401を使用して非線形結晶101の中心と焦点104との間の距離を調節することによって、非線形結晶101のレーザビーム103のビームサイズを調節するように構成される。調節アセンブリ401は、結晶実装アセンブリ203に接続している。調節アセンブリ401は、図2または図3の構成と関連して、更なる自由度、正確度および/または精度を提供することができる。調節アセンブリ401は、結晶実装アセンブリ203を1本、2本または、3本の軸において移動することができる。
【0085】
調節アセンブリ401は、例えば、ロッキングメカニズムを有するファインスレッドねじ、ロッキングメカニズムを有するマイクロメータねじ、アクチュエータまたはロボットシステムであることができる。ファインスレッドねじまたはマイクロメータねじは、手動で作動することができるかまたは自動化することができる。
【0086】
本明細書において開示される実施形態はパワーセンサおよびコンポーネントを含んで、高調波出力のための制御ループを実装することができる。これは、例えば、光ループでもよい。このような制御ループは、偏光子、波長板、音響光学変調器、基本もしくは高調波ビームの経路の電気光学変調器または基本もしくは高調波出力を制御するレーザ光源201への電子フィードバックなどの、1つ以上のコンポーネントを使用することができる。
【0087】
制御ループは、高調波出力パワーを一定に保つことができる。これを達成するために、高調波出力は、フォトダイオード、熱電対列センサまたは他のタイプのセンサなどのセンサを用いて、ビーム出力の近くで測定することができる。制御ループは、測定された高調波出力パワーを出力目標と比較して、それに応じて高調波出力パワーを調節する。この調節は、異なる複数の方法で達成することができる。
【0088】
高調波出力は、非線形結晶101の下流の高調波ビーム経路の変調器を用いて、直接調節することができる。適切な変調器は、音響光学変調器、電気光学変調器ならびに回転可能な半波長板および偏光板の組合せを備える可変減衰器を含むが、これに限定されるものではない。
【0089】
あるいは、変調器は、非線形結晶101の上流の基本ビーム経路に配置することができる。
【0090】
非線形結晶101の温度を調節して、位相整合を同調または離調することができ、そしてそれによって、非線形変換効率および出力パワーを調節することができる。
【0091】
制御信号はレーザ光源へ戻して伝達することができ、その結果、レーザ出力パワーは発生された高調波出力を調節するために調節することができる。
【0092】
本明細書において開示されるいかなる実施形態においても、非線形結晶101は結晶実装アセンブリ203内で再配置することができるかまたは調節することができ、および/または、結晶実装アセンブリ203はレーザビーム103に対して再配置することができ、それにより、非線形結晶101が損傷している場合に非線形結晶101の非損傷部品がレーザビーム103を受信するようになる。例えば、結晶実装アセンブリ203および/または非線形結晶101は、ビーム伝搬方向206に対して垂直な1つまたは2つの方向に移動することができる。焦点104は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の基本光学出力密度または高調波光学出力密度を制限し、および/または非線形結晶101内部のビームサイズを最適化するように構成されたレイリー領域を有する、非線形結晶101の外側に存在することができる。
【0093】
非線形結晶101は、ウォークオフに垂直な軸において、または、両方の軸において発散するレーザビーム103内に置くことができる。非線形結晶101の中央の所定のビームサイズに対して、これは、結晶出力ファセット上の出力密度を低下させて、結晶スポット寿命を増加させることができる。
【0094】
本明細書において開示される実施形態の焦点は、円形でもよく、または楕円でもよい。楕円焦点は一方向へ、別の方向より長いレイリー領域を有することができ、それによって、ビームサイズが焦点104からの非線形結晶101の距離の関数を、より短いレイリー領域の方向においてよりも、より長いレイリー領域の方向において感受性が高くないように変化させる。楕円焦点については、楕円焦点のより小さいウエストを非線形結晶101の外側に配置することができる。臨界位相整合を有する非線形結晶101の場合、ウォークオフ方向と平行な平面においてより大きいウエスト直径を有する楕円焦点を用いることができ、その結果、ウォークオフと平行な平面内の焦点を、ウォークオフに対して垂直な平面内の焦点より大きくすることができる。
【0095】
焦点はまた、非点収差のあるものでもよい。非点収差のある焦点については、1つの平面の焦点は非線形結晶101内部であることができ、別の平面の焦点は非線形結晶101の外側に存在する。
【0096】
一例において、焦点は、非点収差がありかつ楕円である。この例では、1つの平面の焦点は非線形結晶101内部であり、別の平面の焦点は非線形結晶101の外側に存在する。非線形結晶101内部の焦点は、非線形結晶101の外側の焦点より大きい幅を有する。
【0097】
一例において、レーザビーム103は回折限界または近回折限界であり、臨界位相整合を有する非線形結晶101が用いられる。この例では、ウォークオフに対する平行方向の焦点サイズは、ビーム質上のウォークオフの影響を最小とすることができるように、非線形結晶101の所望の焦点がずれた位置の全てで十分大きい。きつくフォーカスされた、大きい発散を有するビームに対して、ウォークオフは、理想的なガウシアンビーム形状からの偏差が生じ、したがって、ウォークオフ方向の空間ビーム質に悪影響を与え得る、ウォークオフ方向のビームのサイドローブを生じさせ得る。これは、理想的なガウシアンビーム形状に依存する用途(例えば、ウェーハ検査する際)にとって有害であり得る。所定の結晶長、ビームサイズおよびウォークオフ角度に対して発生される高調波ビームの遠電界ビーム形状は、シミュレーションすることができる。シミュレーションに基づいて、次に理想的ガウスプロファイルからの遠距離電磁界プロファイルの偏差は、ビームプロファイル全体のいかなる横方向の位置に対しても決定することができる。この算出に基づいて、ウエストサイズは選択することができ、その結果、ガウスプロファイルからの横方向の遠距離電磁界プロファイルの最大偏差は所定値より小さい。この所定値は、例えば、4%でもよい。
【0098】
別の例では、レーザビーム103は回折限界または近回折限界であり、臨界位相整合を有する非線形結晶101が用いられる。非線形結晶101の位置は、調節可能である。ウォークオフに対する平行方向のレイリー領域は十分大きく、そのため、空間ビーム質上の結晶角度受容の影響が最小化することができるようにウォークオフに対する平行方向のレーザビーム103発散が非線形結晶101の所望の焦点がずれた位置の全ての割に十分に小さいままである。
【0099】
図5は、例示的な商店104のサイズである。ウォークオフと平行な平面(破線)内のレーザビーム103の焦点104のサイズは、ウォークオフに対して垂直な平面(実線)内のそれより大きい。両方の平面の焦点は、非線形結晶101の外側に位置する。ウォークオフ方向の焦点は、非ウォークオフ方向の焦点より大きい。ウォークオフ方向のビーム伝搬はより少ない曲率の線によって記載されているが、非ウォークオフ方向の伝搬はより小さいおよびより顕著なビームウエストを示す。
【0100】
一例において、非線形結晶は、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中のビームプロファイルの空間ピークでの時間平均された基本光学出力密度または高調波光学出力密度が1MW/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するレーザビームの、ビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側にレーザビームの焦点が存在するように配置される。結晶実装アセンブリは、調節可能であり得るかまたはこの例でレーザ光源から異なる距離にある複数の実装機構を含むことができる。
【0101】
別の例では、レーザビームはパルスレーザビームである。非線形結晶は、パルスレーザビームの焦点が、システムの少なくとも1つの光学コンポーネント上の、またはシステムの少なくとも1つの光学コンポーネントの中の、基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスが10J/cm未満に制限されるように構成されたレイリー領域を有するパルスレーザビームの、ビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側に存在するように、配置される。基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスの他の値は、可能である。例えば、少なくとも1つの光学コンポーネント上またはその中の基本光学フルーエンスまたは高調波光学フルーエンスは、1J/cmから20J/cmまであることが可能であり、その間の0.5J/cmまでの範囲の全ての値を含む。結晶実装アセンブリは、調節可能であり得るかまたはこの例でレーザ光源から異なる距離にある複数の実装機構を含むことができる。
【0102】
図6は、方法500のフローチャートである。方法500は、501でレーザビームを発生させることを含む。502でレーザビームを非線形結晶へ導く。これは、例えばビーム整形光学部品を通してであってもよい。503でレーザビームは非線形結晶を通過する。レーザビームの焦点は、レーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な少なくとも1つの平面において非線形結晶の外側に存在する。504でビームが非線形変換される。レーザビームの非線形変換は、SHG、SFGまたは差周波数発生(DFG)であることができる。結晶実装アセンブリは調節可能であり得るか、または、レーザ光源から異なる距離にある複数の実装機構を含むことができる。
【0103】
焦点104はまた、非線形結晶101の下流に位置することができて、本明細書において開示される利点の多数を提供することができる。結晶出力ファセット上のビームサイズは、上流の焦点の場合より下流の焦点で小さい。したがって、出力ファセット上の出力密度はより高く、結晶寿命はより短い場合がある。この効果は通常、最小限であるので、上流の焦点または下流の焦点のいずれもが本明細書において開示される実施形態によって使用可能である。
【0104】
本明細書において記載されている非線形波長変換プロセスおよび実施形態は、SHG、SFGまたは差周波数発生であることができる。例えば、波長変換プロセスは、1つ以上の入力レーザビームを含むことができる。
【0105】
本明細書において開示される実施形態は、複数の長所または利点を提供する。第1には、ビームサイズは、それぞれに最適化することができる。したがって、非線形結晶内の、そして、ビーム整形光学部品のコンポーネント上の光学出力密度は、最適化することができる。小さい焦点(少なくとも1つの平面内の)は、波長コンバータ100などの波長コンバータ内部での高調波レーザビームの発散および収束を増加させる。したがって、ビーム整形光学部品上の出力密度は、波長コンバータの寸法を増加させずに減少することができる。これは、光学部品寿命を増加させる。ガウシアンビーム伝搬によって記述されるレーザビームは、ウエスト直径d0および遠方発散角θFFの定数積を有し、そのためにM≧1でのd0*θFF=M*λ/(2*π)はビーム伝搬パラメータで、λが放射の波長である。所定のレーザビームに対して、各軸と平行でビーム伝搬方向に垂直であるd0およびθFFの積は定数であるので、ウエスト直径が減少するにつれて、遠距離電磁界発散角は増加する。したがって、ウエストサイズが減少するときに、基本ビームの発散は増加する。
【0106】
基本ビームの発散が増加するにつれて、高調波ビームの発散は同様に増加する。SHGの例では、基本波および高調波ビームの発散は、非ウォークオフ方向において同一である。ウォークオフ方向においては、基本波および高調波ビームの発散は、ウォークオフの存在のため同一でない。しかしながら、基本ビームの発散が増加する結果、まだ高調波ビームの発散が増加する。
【0107】
第2には、焦点の外側に非線形結晶を配置することによって、非線形結晶内部の出力密度は減少する。これは、非線形結晶寿命を増加させて、高調波放射の空間ビーム質を改善する。非線形結晶内部の、そして、ビーム整形光学部品上の両方の出力密度は、波長コンバータのフォームファクタを増加させることなく互いと独立して、最適化することができる。
【0108】
第3には、非線形結晶内の出力密度は、ビーム伝搬方向に沿って非線形結晶を移動することによって、光学部品再設計なしで調節することができる。これは、2つの出力スケーリングオプションを簡単にする。一例において、高調波出力は同じ出力密度を維持しながら、基本出力を上昇させることによって増加することができる。例えば、基本出力は、より強力なレーザを用いて増加することができる。これは、焦点から非線形結晶を遠ざけて、したがって、非線形結晶内部でビームサイズを増加させることによって、達成される。別の例において、高調波出力は、より高い損傷閾値を有する非線形結晶が利用できるようになると、結晶内部で出力密度と、したがって変換効率を上昇させることによって、増加させることができる。これは、焦点の方へ非線形結晶を移動して、したがって、非線形結晶内部でビームサイズを減らすことによって、達成される。
【0109】
第4には、これは、ビーム整形光学部品に対して必要となるのが最小の変更であるので、既存のツールを改造するために用いることができる。システムの一部である波長コンバータ100などの波長コンバータは、光学部品設計に対するいかなる変更もなく、または、最小の変更で、現地アップグレードの一部として修正または再構成することができる。
【0110】
第5には、非線形結晶の位置は、非線形結晶の材料またはレーザビームの出力密度に応じて移動することができる。例えば、非線形結晶の位置は、例えばレーザビームのタイプまたは特性が変化する場合、調節することができるかまたは最適化することができる。
【0111】
第6には、本明細書において開示される実施形態は、改良された性能または寿命をパルスレーザビームに提供することができる。パルスレーザは、高い出力密度で非線形結晶に重大な損傷を引き起こすことがあり得る。非線形結晶内の出力密度を変えることで、非線形結晶への損傷をより少なくしてパルスレーザビームの使用を可能にすることができる。
【0112】
本開示が1つ以上の実施形態に関して記載されているにもかかわらず、本開示の他の実施形態が本開示の要旨を逸脱しない範囲で行うことができることが理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその合理的な解釈によってのみ限定されるものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6