(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な図面における類似の参照符号は、類似した要素を指し示している。
【0017】
基板上の層の厚さは、例えば、インライン又はスタンドアローン計測ステーションにおいて、研磨の前又は後で光学的に測定され得る。しかし、分光解析などの一部の光学技術は、高価な分光器及びスペクトルデータの計算上の負荷が大きい操作を必要とする。計算上の負荷は考えないとしても、ある状況では、そのアルゴリズムの結果が、ユーザの常に増加している精度要件を満たさない。しかし、別の計測技術は、基板の色画像を取得し、色空間においてその画像を解析して、受け入れ可能な厚さを有する領域を決定する。
【0018】
図1を参照すると、研磨装置100は、(インシーケンスとも称される)インライン光計測システム160、例えば、色画像化システムを含む。
【0019】
研磨装置100は、各々が基板10を担持するように構成された1以上のキャリアヘッド126、1以上の研磨ステーション106、及びキャリアヘッドへ基板を積み込みキャリアヘッドから基板を積み出すための移送ステーションを含む。各研磨ステーション106は、プラテン120上で支持された研磨パッド130を含む。研磨パッド130は、外側研磨層、及び、より軟性のバッキング層を有する、二層研磨パッドであってよい。
【0020】
キャリアヘッド126は、支持体128から吊るされていてもよく、研磨ステーションの間で移動可能である。ある実施態様では、支持体128が、オーバーヘッドトラックであり、キャリアヘッド126が、トラックに取り付けられたキャリッジ108に連結されている。オーバーヘッドトラック128は、各キャリッジ108が、研磨ステーション106と移送ステーションの上方に選択的に配置されることを可能にする。代替的に、ある実施態様では、支持体128が、回転可能カルーセルであり、カルーセルの回転は、円形経路に沿って同時にキャリアヘッド126を動かす。
【0021】
研磨装置100の各研磨ステーション106は、例えば、アーム134の端においてポートを含み、研磨パッド130上に研磨スラリなどの研磨液体136を分配することができる。研磨装置100の各研磨ステーション106は、研磨パッド130を摩耗させて研磨パッド130を一貫した研磨状態に維持するためのパッド調整装置も含み得る。
【0022】
各キャリアヘッド126は、基板10を研磨パッド130に接触させるように保持するように操作可能である。各キャリアヘッド126は、各それぞれの基板に関連付けられた研磨パラメータ、例えば、圧力を、個別制御することができる。特に、各キャリアヘッド126は、基板10をフレキシブル膜144の下に保持する保持リング142を含むことができる。各キャリアヘッド126は、膜によって画定された、個別制御可能で加圧可能な複数のチャンバ(例えば、3つのチャンバ146a〜146c)も含み、これらのチャンバは、フレキシブル膜144上の関連付けられた区域に、したがって、基板10上に、個別に制御可能な圧力を加えることができる。説明を簡略化するために、
図1には3個のチャンバのみを図示したが、1個若しくは2個のチャンバ、又は4個若しくはそれより多いチャンバ、例えば、5個のチャンバがあってもよい。
【0023】
各キャリアヘッド126は、支持体128から吊るされ、駆動シャフト154によってキャリアヘッド回転モータ156に連結され、それによって、キャリアヘッドは軸127の周りで回転することができる。任意選択的に、各キャリアヘッド126は、例えば、キャリッジ108をトラック128上で駆動させることによって、又はカルーセルそれ自体の回転振動によって、横方向に振動し得る。動作中、プラテンは、その中心軸121の周りで回転し、各キャリアヘッドは、その中心軸127の周りで回転し、研磨パッドの上面を横切って横方向に移動する。横方向の掃引は、研磨表面212に平行な方向にある。横方向の掃引は、直線的な又は弓状の動きであり得る。
【0024】
プログラム可能コンピュータなどのコントローラ190が、プラテン120とキャリアヘッド126の回転速度を個別制御するために各モータに接続されている。例えば、各モータは、関連付けられた駆動シャフトの角度位置又は回転速度を測定するエンコーダを含むことができる。同様に、コントローラ190は、カルーセルが各キャリアヘッド126の横方向の動きを個別制御するために、各キャリッジ108及び/又は回転モータ内のアクチュエータに接続されている。例えば、各アクチュエータは、トラック128に沿ってキャリッジ108の位置を測定するリニアエンコーダを含むことができる。
【0025】
コントローラ190は、中央処理装置(CPU)192、メモリ194、及びサポート回路196、例えば、入力/出力回路、電源、クロック回路、キャッシュなどを含むことができる。メモリは、CPU192に接続される。メモリは、非一過性の計算可能可読媒体であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は他の形態のデジタルストレージなどの、1以上の容易に利用可能なメモリであり得る。加えて、単一のコンピュータとして図示されているけれども、コントローラ190は、例えば、複数の独立して動作するプロセッサ及びメモリを含む分散システムであってもよい。
【0026】
インライン光計測システム160は、研磨装置100の範囲内に配置されるが、研磨動作中に測定を実行しない。むしろ測定値は、研磨動作と研磨動作の間に、例えば、基板が1つの研磨ステーションから別の1つの研磨ステーションへ、基板が1つの移送ステーションから別の1つの移送ステーションへ移動している間に収集される。
【0027】
インライン光計測システム160は、研磨ステーション106のうちの2つの間、例えば、2つのプラテン120の間の位置において支持されたセンサアセンブリ161を含む。特に、支持体128によって支持されたキャリアヘッド126が、センサアセンブリ161の上方に基板10を配置することができるような位置に、センサアセンブリ161は位置付けられる。
【0028】
研磨装置100が、3つの研磨ステーションを含み、基板を連続的に第1の研磨ステーションから第2の研磨ステーションへ第3の研磨ステーションへ搬送する実施態様では、1以上のセンサアセンブリ161が、移送ステーションと第1の研磨ステーションとの間、第1と第2の研磨ステーションの間、第2と第3の研磨ステーションの間、及び/又は第3の研磨ステーションと移送ステーションとの間に配置され得る。
【0029】
センサアセンブリ161は、光源162、光検出器164、及びコントローラ190と光源162と光検出器164との間で信号を送信及び受信するための回路166を含むことができる。
【0030】
光源162は、白色光を放射するように操作可能であり得る。ある実施態様では、放射される白色光が、200〜800ナノメートルの波長を有する光を含む。適切な光源は、白色光発光ダイオード(LED)のアレイ、又はキセノンランプ若しくはキセノン水銀ランプである。光源162は、ゼロではない入射角度αで基板10の露出された表面上へ光168を向けるように方向付けられている。入射角度αは、例えば、約30度から75度、例えば、50度であり得る。
【0031】
光源は、基板10の幅にわたる実質的に直線的な細長い領域を照らすことができる。光源162は、光源から細長い領域の中へ光を発散するために、光学素子、例えば、ビーム拡大器を含むことができる。代替的に又は追加的に、光源162は、光源の直線的なアレイを含むことができる。光源162それ自体、及び、基板上で照らされる領域は、細長くされ且つ基板の表面に平行な長手方向軸を有することができる。
【0032】
光が基板10に到達する前に光を拡散するために、ディフューザー170が光168の経路内に配置されてもよく、又は、光源162がディフューザーを含んでもよい。
【0033】
検出器164は、光源162からの光に敏感なカラーカメラである。カメラは、検出器要素のアレイを含む。例えば、カメラはCCDアレイを含むことができる。ある実施態様では、アレイが検出器要素の単一の列である。例えば、カメラはライン走査カメラであってもよい。検出器要素の列は、光源162によって照らされる細長い領域の長手方向軸と平行に延在し得る。光源162は、発光要素の列を含み、検出器要素の列は、光源162の長手方向軸に平行な第1の軸に沿って延在し得る。検出器要素の列は、1024個以上の要素を含むことができる。
【0034】
カメラ164は、基板の視野を検出器要素178のアレイ上に投影するために、適切な焦点調節光学素子172を伴って構成される。その視野は、基板10の全体幅を見るのに十分長く、例えば、150から300mmの長さであり得る。関連付けられた光学素子172を含むカメラ164は、約0.5mm以下の長さを有する領域に個別の画素が対応するように構成され得る。例えば、視野が約200mmの長さであり、検出器164が1024個の要素を含むと想定すると、ライン走査カメラによって生成される画像は、約0.5mmの長さを有する画素を有し得る。画像の長さ解像度を決定するために、視野(FOV)の長さは、その上にFOVが(長さ解像度で到達するように)撮像されるところの画素の数によって分割され得る。
【0035】
カメラ164は、画素の幅が画素の長さに相当するようにも構成され得る。例えば、ライン走査カメラの利点は、その非常に速いフレーム速度である。フレーム速度は、少なくとも5kHzであり得る。撮像されるエリアが基板10全体にわたり走査する際に、画素の幅が、画素の長さ、例えば、約0.3mm以下に相当するような周波数に、フレーム速度が設定され得る。
【0036】
光源162と光検出器164は、ステージ180上で支持され得る。光検出器164がライン走査カメラである場合に、光源162とカメラ164は、基板10に対して移動可能である。それによって、撮像されるエリアは、基板の長さ全体にわたり走査することができる。特に、その相対運動は、基板10の表面に平行な方向であり且つライン走査カメラ164の検出器要素の列に垂直であり得る。
【0037】
ある実施態様では、ステージ180が静止しており、例えば、キャリッジ108の動きによるか又はカルーセルの回転振動によるかの何れかで、キャリアヘッド126が移動する。ある実施態様では、キャリアヘッドが画像取得のために静止している間に、ステージ180が移動可能である。例えば、ステージ180は、リニアアクチュエータ182によってレール184に沿って移動可能であり得る。何れの場合でも、これは、走査されているエリアが基板10全体にわたり移動する際に、光源162とカメラ164が互いに対して固定された位置にとどまることを可能にする。
【0038】
基板全体にわたり共に移動するライン走査カメラと光源を有することの潜在的な利点は、例えば、従来の二次元カメラと比較したときに、光源とカメラとの間の相対的な角度が、ウエハ全体にわたる種々の位置に対して一定のままであるということである。結局、見る角度における変化によってもたらされる不自然さ(artefact)が、低減され又は消去され得る。更に、ライン走査カメラは、射影歪を消去することができる。一方、従来の二次元カメラは、特有の射影歪を示し、それは、画像変換によって修正されることが必要である。
【0039】
センサアセンブリ161は、基板10と光源162及び検出器164との間の垂直方向距離を調整する機構を含み得る。例えば、センサアセンブリ161は、ステージ180の垂直方向位置を調整するためのアクチュエータを有することができる。
【0040】
任意選択的に、偏光フィルタ174が、例えば、基板10と検出器164との間の光の経路内に配置され得る。偏光フィルタ184は、円偏光子(CPL)であり得る。典型的なCPLは、リニア偏光子と四分の一波長板(quarter wave plate)との組み合わせであり得る。偏光フィルタ184の偏光軸の適正な方向付けは、画像内のもや(haze)を低減させることができ、所望の視覚特性を鋭くし又は高めることができる。
【0041】
基板上の最も外側の層が、半透明層、例えば、誘電体層であると想定するならば、検出器164において検出された光の色は、例えば、基板表面の組成、基板表面の滑らかさ、及び/又は基板上の1以上の層(例えば、誘電体層)の異なるインターフェースから反射した光の間の干渉の量に応じる。
【0042】
上述したように、光源162と光検出器164は、それらの動作を制御しそれらの信号を受信するために操作可能な計算デバイス、例えば、コントローラ190に接続され得る。
【0043】
図2を参照すると、コントローラは、光検出器164からの個別の画像ラインを、二次元色画像へとまとめる(ステップ200)。カメラ164は、赤、青、及び緑の各々のための個別の検出器要素を含むことができる。二次元色画像は、赤、青、及び緑の色チャネルの各々に対する単色性の画像204、206、208を含むことができる(
図3参照)。
【0044】
コントローラは、各色チャネル内の画像の強度(intensity)値に対するオフセット及び/又はゲイン調整を適用することができる(ステップ210)。各色チャネルは、異なるオフセット及び/又はゲインを有することができる。
【0045】
任意選択的に、画像は正規化され得る(ステップ215)。例えば、測定された画像と標準的な予め規定された画像との間の差異が計算され得る。例えば、コントローラは、赤、緑、及び青の色チャネルに対する背景画像を記憶することができ、背景画像は、各色チャネルに対して測定された画像から差し引かれ得る。代替的に、測定された画像は、標準的な予め規定された画像によって分割され得る。
【0046】
その画像は、赤緑青(RGB)色空間から色相彩度輝度(HSL)色空間へ変換され得る(ステップ220)。その変換は、RGB色空間内のゲイン調整の後で行われ得る。8ビット(0から255)RGB色空間からHSL色空間への例示的な変換は、以下のようなものである。すなわち、
【0047】
これは、色相、彩度、及び輝度チャネルの各々に対するスカラー画像224、226、228を提供する(
図4参照)。
【0048】
その画像は、低周波数空間変動を除去するためにフィルタリングされ得る(ステップ230)。ある実施態様では、低周波数空間変動を除去するために輝度チャネルのみがフィルタリングされ、すなわち、色相チャネルと彩度チャネルはフィルタリングされない。ある実施態様では、輝度チャネルが、フィルタを生成するために使用される。その後、フィルタは、赤、緑、及び青の画像に適用され、結果としての画像は、HSL色空間へと戻すように変換される。
【0049】
フィルタリングの幾つかの実施態様では、平滑化フィルタが輝度チャネル内の画像に適用されて、平滑化された輝度画像を生成するために、例えば、20画素のスパンにわたって平均化される。ある実施態様では、輝度チャネル内の画像が、平滑化された輝度画像によって分割されて、フィルタリングされた画像を生成し、色相チャネルと彩度チャネルは、空間的フィルタリングの部分として修正されない。ある他の実施態様では、各色チャネル内の画像、すなわち、赤、緑、及び青チャネルの各々が、平滑化された輝度画像によって分割される。フィルタリングされた赤、緑、青の画像を有する、結果としてのフィルタリングされた画像は、その後、HSL色空間へと戻すように変換されて、輝度、色相、及び彩度画像を生成する。これは、照度(illumination)における変化の原因となり得る低周波数が除去された画像を生成することができるが、画像データにおける高周波数空間変動は維持される。例えば、
図5は、ライン252によって示される平滑化されていない画像とライン254によって示されるフィルタリングされた画像との両方に対して、輝度チャネルにおける第1の軸に沿った画素位置の関数としての強度(intensity)の例示的なグラフである。
【0050】
ある実施態様では、平滑化が第1の軸に沿ってのみ実行される。例えば、移動の方向186に沿った画素の輝度値は、第1の軸に沿った位置のみの関数である平均輝度を提供するために共に平均化され得る。その後、画像の画素の各列は、第1の軸に沿った位置の関数である平均輝度値の対応する部分によって分割され得る。
【0051】
コントローラは、ウエハの方向付け特徴16、例えば、基板10上のウエハ切欠き又はウエハ平面を位置付けるために、画像を解析する画像処理技術を使用することができる(
図6参照)(ステップ240)。画像処理技術は、基板10の中心18を位置付けるためにも使用され得る(
図6参照)。
【0052】
このデータに基づいて、画像は、標準的な画像座標フレームへ変換され、例えば、拡大縮小され且つ/又は回転され且つ/又は並進移動される(ステップ250)。例えば、ウエハの中心が画像の中心点にあるように画像が並進移動されてもよく、且つ/若しくは、基板の端部が画像の端部にあるように画像が拡大縮小されてもよく、且つ又は、画像のx軸とウエハの中心及びウエハの方向付け特徴をつなぐ径方向セグメントとの間に0度の角度が存在するように、画像が回転されてもよい。
【0053】
任意選択的に、画像マスクは、画像データの部分を隠すために適用することができる(ステップ260)。例えば、
図6を参照すると、典型的な基板10は、複数のダイ12を含む。スクライブライン14が、ダイ12を分離し得る。ある用途に対しては、ダイに対応する画像データのみを処理することが有用であり得る。この場合では、
図7を参照すると、画像マスクが、コントローラによって記憶され得る。画像マスクは、空間位置においてダイ12に対応するマスクされていない領域22とスクライブライン14に対応するマスクされた領域24を伴っている。マスクされた領域24に対応する画像データは、処理されないか又は閾値処理のステップの間に使用されない。代替的に、マスクされていない領域がスクライブラインに対応するように、マスクされた領域24がダイに対応してもよく、又はマスクされていない領域が各ダイの一部分のみであり得る。ここで、各ダイの残りはマスクされている。
【0054】
この段階における色相データと彩度データは、フィードフォーワード又はフィードバックアルゴリズムの使用において使用されて研磨パラメータを制御し、改良された厚さの不均一性を提供し得る。例えば、各画素に対する色相及び彩度は、ターゲット色相及び彩度と比較して、エラー信号画像を生成することができ、このエラー信号画像は、フィードフォーワード又はフィードバック制御のために使用され得る。
【0055】
次に、その画像は、閾値処理のプロセスを経ることとなる(ステップ270)。特に、閾値処理のプロセスは、色相と彩度の色チャネルの両方に対して実行され得る。ある実施態様では、閾値処理が、輝度チャネルに対して実行されない。
【0056】
例えば、コントローラ190は、色相チャネルに対する上側色相限界UHLと下側色相限界LHLを記憶し、彩度チャネルに対する上側彩度限界USLと下側彩度限界LSLを記憶することができる。各画素に対して、画素の色相値Hは、上側色相限界UHLと下側色相限界LHLと比較され、画素の彩度値Sは、上側彩度限界USLと下側彩度限界LSLと比較される。色相値と彩度値が、両方とも限界の範囲内にあるならば、画素は、閾値を「満たした」とマークされ、例えば、1の値が割り当てられる。色相値又は彩度値の何れかが、限界の外側にあるならば、画素は、閾値を「満たさない」とマークされ、例えば、0の値が割り当てられる。簡潔に言うと、閾値画像T(x、y)は以下のように計算され得る。すなわち、
LHL≦H(x、y)≦UHL且つLSL≦S(x、y)≦USLならば、T(x、y)=1であり、それ以外は、T(x、y)=0である。
【0057】
ある実施態様では、閾値画像を決定するために画素の輝度値が閾値と比較されない。
【0058】
色相彩度色空間において閾値処理を実行することの利点は、色相彩度色空間における空間変動が、光源又は他の環境要因における変化によるものであるよりはむしろ、概して基板のスタック(積層)特性における変化、例えば、スタック内の1以上の層内の厚さにおける変動(ばらつき)によるものであるということである。結局、この空間における閾値処理は、輝度又はRGB色空間を使用するよりもむしろ、基板が厚さ仕様を満たすかを検出するための高められた信頼性を提供することができる。
【0059】
色相彩度空間における閾値を設定するためのユーザインターフェースは、
図8において示されている。ユーザインターフェース300は、色相彩度色空間におけるテスト基板のヒストグラム302を表示している。例えば、システム100は、要求された厚さ仕様を満たすと、従来の計測システム、例えば、表面形状測定装置を用いて決定されたテスト基板の色画像を生成するために使用することができる。所与の色相と彩度の組み合わせを有する画像内の画素の数が、色相彩度色空間のヒストグラムを生成するためにカウントされる。表示されたときに、ヒストグラム302内の各座標は、カウントされた画素の数を用いて増減する強度(intensity)を有し得る。結果として、ヒストグラム302は、異なる強度(intensity)の領域を有し得る。例えば、領域304よりも高い強度(intensity)を有する領域306は、領域304内の色相と彩度の所与の組み合わせよりも多くの画像内の画素が、領域306内において色相と彩度の特定の組み合わせを有することを示している。
【0060】
ユーザインターフェース300は、ヒストグラム302上にオーバーレイされたカーソル310を表示することもできる。カーソル310の位置は、入力デバイス、例えば、マウス又はタッチセンサー式スクリーンを使用して調整できる。ヒストグラム302内で、(矢印316によって示されるように)クリックして第1の位置312から第2の位置314までドラッグすることによって、選択ボックス320が画定され得る。選択ボックス320の境界は、したがって、閾値に対する上側と下側限界を画定する。
【0061】
例えば、色相がy軸上で示され彩度がx軸上で示されている
図8のヒストグラムに対して、上側色相限界UHLは第1と第2の位置のうちのより大きいyの値であり、下側色相限界LHLは第1の第2の位置のうちのより小さいyの値であり、上側彩度限界USLは第1と第2の位置のうちのより大きいxの値であり、下側彩度限界LSLは第1と第2の位置のより小さいxの値である。無論、xとyの値は、色相がx軸上で示され彩度がy軸上で示されていれば、逆になり得る。
【0062】
次に、基板の各領域、例えば、各ダイに対して、又は全体の画像に対して、均一性解析が実行され得る(ステップ280)。例えば、各ダイに対して、ダイの範囲内の「満たさない」画素の総数が計算され得る。この総数は、ダイが受け入れ可能であるか否かを判定するために閾値と比較され得る。例えば、その総数が閾値未満ならば、そのダイは受け入れ可能であるとマークされる。これは、各ダイに対して満たす/満たさないの表示を与える。
【0063】
別の一実施例として、基板のマスクされていない領域の範囲内の「満たさない」画素の総数が計算され得る。この総数は、基板が受け入れ可能であるか否かを判定するために閾値と比較され得る。例えば、その総数が閾値未満ならば、その基板は受け入れ可能であるとマークされる。その閾値は、ユーザによって設定され得る。これは、基板に対して満たす/満たさないの表示を与える。
【0064】
ダイ又はウエハが「満たさない」と判定された場合に、コントローラ190は、警報を生成し又は研磨システム100に修正動作を採らせることができる。例えば、音響又は視覚的警報が生成されてもよく、又は特定のダイが使用可能でないことを示すデータファイルが生成されてもよい。別の一実施例として、基板は、再作業のために送り戻され得る。
【0065】
画素が典型的には1024個以上の強度(intensity)値によって表される、分光学的な処理とは対照的に、色画像において、画素は(色相、彩度、及び輝度に対する)3つの強度(intensity)値のみによって表され得る。結局、色画像を処理するための計算上の負荷は、多大に軽減される。
【0066】
概して、CMP装置の1以上の動作パラメータを制御するためにデータが使用され得る。動作パラメータは、例えば、プラテンの回転速度、基板の回転速度、基板の研磨経路、プレート全体にわたる基板の速度、基板上にかけられる圧力、スラリの組成、スラリの流量、及び基板表面における温度を含む。動作パラメータは、リアルタイムで制御され、更なる人間の介入を必要とせずに自動で調整され得る。
【0067】
本明細書で使用される際に、基板という用語は、例えば、(例えば、複数のメモリまたはプロセッサダイを含む)製品基板、テスト基板、ベア基板、及びゲーティング基板を含み得る。基板は、集積回路の製造の様々な段階のものであってよく、例えば、基板はベアウエハであってよく、又は基板は1以上の堆積層及び/若しくはパターン層を含むことができる。基板という用語は、円板及び矩形薄板を含むことができる。
【0068】
しかし、上述された色画像処理技術は、三次元の垂直NAND(VNAND)フラッシュメモリの文脈において特に有用であり得る。特に、VNANDの製造において使用される層スタックは複雑なので、現在の計測方法(例えば、Novaスペクトル解析)は、不適切な厚さの領域を検出することにおいて十分な信頼性を伴って実行することができない場合がある。対照的に、色画像処理技術は、この用途において優れた信頼性を有することができる。
【0069】
本発明の実施形態及び本明細書に記載されている機能的な操作の全ては、本明細書に開示されている構造的な手段、及び、構造的な均等物、或いはこれらの組み合わせを含む、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアに実装可能である。本発明の実施形態を1以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータによって実行される、又はこれらの作業を制御するための非一過性の機械可読記憶媒体内で有形に具現化された1以上のコンピュータプログラムとして実装可能である。
【0070】
相対的な配置という用語は、システムの構成要素を互いに対して配置することを意味するために使用されている。それは、必ずしも重力に関するものではない。研磨表面と研磨基板は、垂直配向又は何らかの他の配向において保持され得ることが理解されるべきである。
【0071】
幾つかの実施態様が説明されてきた。これにも関わらず、様々な修正が行われ得ることは理解すべきである。例えば、
・ライン走査カメラよりもむしろ、全体の基板を撮像するカメラが使用され得る。この場合に、基板に対するカメラの動きは必要ではない。
・カメラは、基板の全体の幅未満をカバーすることができる。この場合に、カメラは、2つの垂直な方向において動きを経験することが必要であり、例えば、全体の基板を走査するためにXYステージ上で支持され得る。
・光源は、全体の基板を照らすことができる。この場合に、光源は、基板に対して動く必要がない。
・光検出器は、カラーカメラであるよりもむしろ分光光度計であってよく、その後、スペクトルデータは、HSL色空間に単純化され得る。
・センサアセンブリは、研磨ステーションと研磨ステーションとの間又は研磨ステーションと移送ステーションとの間に配置されるインラインシステムを必要としない。例えば、センサアセンブリは、移送ステーションの範囲内に配置されてもよく、カセットインターフェースユニット内に配置されてもよく、又はスタンドアローンシステムであってもよい。
・均一性解析ステップは、任意選択的である。例えば、閾値変換を適用することによって生成された画像は、フィードフォーワードプロセスの中へ供給されて基板のための後処理ステップを調整するか、又はフィードバックプロセスの中へ供給されて後続基板のための処理ステップを調整することができる。
【0072】
したがって、他の実施態様も特許請求の範囲内にある。