【文献】
Naab, Benjamin D et al,J.Am.Chem.Soc.,2013年,135(40),15018-15025,& Supporting Info.
【文献】
Wei, Peng et al,J.Am.Chem.Soc.,2010年,132(26),8852-8853,& Supporting Info.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に発光層とを含む有機発光デバイスであり、前記電荷移動塩を含む前記層が、前記発光層と前記カソードとの間の電子注入層である、請求項14に記載の有機電子デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、何ら縮尺通りには描かれていないが、基板101(例えば、ガラス基板又はプラスチック基板)に支持される本発明の1つの実施形態によるOLED100を例示する。当該OLED100は、アノード103と、発光層105と、電子注入層107と、カソード109とを備える。
【0026】
アノード103は導電性材料の単層である場合があり、又は、2つ以上の導電性層から形成される場合がある。アノード103は、透明なアノードである場合があり、例えば、酸化インジウムスズの層である場合がある。透明なアノード103及び透明な基板101が使用される場合があり、その結果、光が基板を通って放射されるようにされる。アノードは不透明である場合があり、そのような場合には、基板101は不透明又は透明である場合があり、光が、透明なカソード109を通って放射される場合がある。
【0027】
発光層105は、少なくとも1つの発光材料を含有する。発光材料105は、ただ1つの発光性化合物からなる場合があり、又は2つ以上の化合物の混合物である場合があり、必要に応じて、1つ又は複数の発光性ドーパントがドープされるホストである場合がある。発光層105は、デバイスが作動中にあるときにりん光性の光を放射する少なくとも1つの発光材料、又はデバイスが作動中にあるときに蛍光性の光を放射する少なくとも1つの発光材料を含有する場合がある。発光層105は、少なくとも1つのりん光発光材料と、少なくとも1つの蛍光発光材料とを含有する場合がある。
【0028】
電子注入層107は、式(I)のn型ドーパントによってドープされる有機半導体、又はn型ドーパントをその側鎖に含むポリマーから形成される電荷移動錯体を含み、或いは、該電荷移動錯体からなる。
【0029】
カソード109が、電子をデバイスに注入するための少なくとも1つの層から形成され、必要に応じて、電子をデバイスに注入するための2つ以上の層から形成されてもよい。
【0030】
好ましくは、電子注入層107は有機発光層105と接している。好ましくは、有機半導体と、n型ドーパントとを含む薄膜が、有機発光層105に直接に形成される。
【0031】
好ましくは、有機半導体は、発光層の材料のLUMOよりも最大で約1eV深い(すなわち、真空からさらに遠い)LUMOを有しており、必要に応じて、発光層の材料のLUMOよりも0.5eV未満深い、又は0.2eV未満深い(すなわち、真空からさらに遠い)LUMOを有してもよい(ただし、発光層がホスト材料及び発光材料の混合物を含むならば、LUMOは発光材料のLUMO又はホスト材料のLUMOである場合がある)。必須ではないが、ドープされた有機半導体は、発光層の材料のLUMOとほぼ同じである仕事関数を有する。必須ではないが、有機半導体は真空準位から3.0eV未満の(すなわち、真空により近い)LUMOを有しており、必要に応じて、真空準位からおよそ2.1eV〜2.8eVのLUMOを有してもよい。好ましくは、有機半導体は、真空準位より2.2eV以下又は2.3eV以下のLUMO準位を有する。
【0032】
好ましくは、カソード109は電子注入層107と接している。
【0033】
好ましくは、カソードは、有機半導体と、n型ドーパントとを含む薄膜に直接に形成される。
【0034】
OLED100はディスプレイである場合があり、必要に応じて、発光層105が、赤色、緑色及び青色の副画素を含む画素を含むフルカラーディスプレイである場合がある。
【0035】
OLED100は白色発光OLEDである場合がある。本明細書中に記載されるような白色発光OLEDは、2500K〜9000Kの範囲における温度での黒体によって放射されるCIE x座標と同等であるCIE x座標と、黒体によって放射される前記光のCIE y座標の0.05以内又は0.025以内であるCIE y座標とを有する場合があり、必要に応じて、2700K〜6000Kの範囲における温度での黒体によって放射されるCIE x座標と同等であるCIE x座標を有してもよい。白色発光OLEDは、組み合わさって白色光をもたらす複数の発光材料を含有する場合があり、好ましくは、組み合わさって白色光をもたらす赤色発光材料、緑色発光材料及び青色発光材料を含有する場合があり、より好ましくは、組み合わさって白色光をもたらす赤色りん光発光材料、緑色りん光発光材料及び青色りん光発光材料を含有する場合がある。これらの発光材料はすべてが発光層105に設けられる場合があり、或いは、1つ又は複数のさらなる発光層が設けられる場合がある。
【0036】
赤色発光材料は、ピークが約550nm超から約700nmに至るまでの範囲にあるホトルミネセンススペクトルを有する場合がある(必要に応じて、ピークが、約560nm超又は580nm超から、約630nm又は650nmに至るまでの範囲にあってもよい)。
【0037】
緑色発光材料は、ピークが約490nm超から約560nmに至るまでの範囲にあるホトルミネセンススペクトルを有する場合がある(必要に応じて、ピークが、約500nm、510nm又は520nmから約560nmに至るまでの範囲にあってもよい)。
【0038】
青色発光材料は、ピークが約490nmに至るまでの範囲にあるホトルミネセンススペクトルを有する場合がある(必要に応じて、ピークが約450nm〜490nmの範囲にあってもよい)。
【0039】
材料のホトルミネセンススペクトルは、PMMA薄膜における5wt%の当該材料を石英基板の上に流し込み、Hamamatsuによって供給される装置C9920−02を使用して窒素環境下で測定することによって測定される場合がある。
【0040】
OLED100は1つ又は複数のさらなる層をアノード103とカソード109との間に含有する場合があり、例えば、1つ又は複数の電荷輸送層、電荷阻止層又は電荷注入層をアノード103とカソード109との間に含有する場合がある。好ましくは、デバイスは、導電性材料を含む正孔注入層をアノードと発光層105との間に含む。好ましくは、デバイスは、半導電性の正孔輸送材料を含む正孔輸送層をアノード103と発光層105との間に含む。
【0041】
電子注入層が、有機半導体アクセプター材料にn型ドーパントをドープすることによって形成される。
【0042】
n型ドーパントは、アクセプター材料への自発的なドーピングを生じさせて、電荷移動塩を形成する場合があり、又は、n型ドーピングが、n型ドーパント及びアクセプターの活性化(例えば、熱又は放射線照射)のときに生じる場合がある。電子注入層は電荷移動塩を含む場合があり、又は電荷輸送塩からなる場合がある。
【0043】
電子注入層を形成する際には、有機半導体と、n型ドーパントとが、空気中において堆積させられる場合がある。
【0044】
電子注入層を形成する際には、有機半導体と、n型ドーパントとが、溶媒又は溶媒混合物における溶液から堆積させられる場合がある。溶媒又は溶媒混合物は、下に位置する層(例えば、下に位置する有機発光層105など)の溶解を防止するように選択される場合があり、或いは、下に位置する層が架橋される場合がある。溶媒又はそれぞれの溶媒は好ましくは、極性溶媒である。
【0045】
1つの実施形態において、n型ドーパントは、下記の式(I):
(Core)n−(X)m
(I)
(式中、Coreはコア基である;nは0であり、且つ、mは1であり、又はnは1であり、且つ、mは、少なくとも1である;Xは下記の式(II)の基である:
【化3】
【0046】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5はそれぞれが独立して、H又は置換基である;
x及びyはそれぞれが独立して、0、1、2、3又は4である;
R
1〜R
5の1つは、nが1である場合には、式(II)の基をCoreに連結する直接の結合又は二価の連結基である)
を有しており、且つ
式(I)の化合物は、少なくとも1つのイオン性置換基により置換される。
【0047】
「イオン性置換基」は、本明細書中で使用される場合、イオン基を含む置換基、又はイオン基からなる置換基を意味する。
【0048】
例示的なイオン基は、下記の式(III):
−(Sp
1)p−(A)q
(III)
(式中、Sp
1はスペーサー基である;Aはアニオン又はカチオンである;pは0又は1である;qは、pが0であるならば、1である;且つ、qは、pが1であるならば、少なくとも1であり、好ましくは1である)
を有しており、ただし、この場合、化合物はさらに、1つ又は複数の対イオンBを、1つ又は複数のアニオンA又はカチオンAの電荷を釣り合わせるために含む。
【0049】
必須ではないが、Sp
1は、下記のものから選択される:
1つ又は複数の非隣接C原子が、O、S、C=O、COO又はフェニレンにより置換され得るC
1〜10アルキレン、及び
非置換であり得る、或いは、1つ又は複数のC
1〜20アルキル基(ただし、該C
1〜20アルキル基の1つ又は複数の非隣接C原子が、O、S、C=O又はCOOにより置換され得る)により置換され得るアリーレン又はヘテロアリーレン(好ましくはフェニレン)。
【0050】
「C
1〜10アルキレン」は、本明細書中で使用される場合、二価の炭素原子又は二価のアルキル鎖を意味する。
【0051】
必須ではないが、Sp
1のアリーレン基又はヘテロアリーレン基は、フェニレン、及び5員又は6員のヘテロアリーレン基から選択される。Sp
1のアリーレン基又はヘテロアリーレン基の置換基は必要に応じて、1つ又は複数の非隣接C原子が、O、S、C=O又はCOOにより、好ましくはOにより置換され得るC
1〜20アルキル(必要に応じてC
1〜12アルキル)から選択されてもよい。
【0052】
式(III)のAと、Bとは、同じ結合価を有する場合があり、ただし、この場合、対イオンBは式(III)のそれぞれのAの電荷と釣り合っている。
【0053】
アニオンA又はカチオンAは一価又は多価である場合がある。
【0054】
好ましくは、A及びBはそれぞれが一価である。
【0055】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、複数のアニオンA又はカチオンA(好ましくは、一価のアニオンA又はカチオンA)を含む場合があり、ただし、この場合、2つ以上のアニオンA又はカチオンAの電荷が、ただ1つの多価の対イオンBによって釣り合わされる。必須ではないが、式(I)の化合物は1つ又は複数の二価又は三価のカチオンBを含んでもよい。
【0056】
例示的なアニオンAが、限定されないが、スルホナート及び−COO
−から選択される場合がある。好ましいアニオンAが−COO
−である。
【0057】
例示的なカチオンAが、限定されないが、−N(R
11)
3+、−P(R
11)
3+、S(R
11)
2+、又は複素芳香族カチオン(必要に応じて、C原子及びN原子を含む複素芳香族カチオン、又は、C原子及びN原子からなる複素芳香族カチオン、必要に応じてピリジニウム又はイミダゾリウム)(ただし、式において、それぞれの存在におけるR
11はH又はC
1〜12ヒドロカルビル(必要に応じてC
1〜12アルキル)である)を含めて、有機カチオン又は無機カチオンから選択される場合がある。好ましいカチオンAが−NR
113+である。
【0058】
カチオンBは必要に応じて、金属カチオン(必要に応じてLi
+、Na
+、K
+、Cs
+、好ましくはCs
+)、又は有機カチオン(必要に応じてN(R
11)
4+、例えば、テトラアルキルアンモニウムなど)、又は複素芳香族カチオン(必要に応じてエチルメチルイミダゾリウム又はピリジニウム)であってもよい。カチオンのサイズは、n型ドーパントのドーパント強度に影響を及ぼす場合がある。好ましくは、カチオンは、有機カチオン、又は周期表の第3周期以降に由来する金属カチオン、好ましくは周期表の第4周期以降に由来する金属カチオン、より好ましくは周期表の第5周期以降に由来する金属カチオンである。
【0059】
アニオンBは必要に応じて、ハリド基(必要に応じてF−、Cl−、Br−又はI−)、ヒドロキシド基、ボラート基(必要に応じてBF
4−)、ホスファート基(必要に応じてPF
6−)、ホスフィナート基、ホスホナート基、イミド基(必要に応じてTFSI)、又はスルホナート基(必要に応じてメシラート、トシラート又はスルホナート)であってもよい。
【0060】
R
1〜R
5のいずれもがイオン基を含む場合があり、又はイオン基からなる場合がある。式(II)の基は、少なくとも1つのイオン性置換基を有しており、必要に応じて2つ以上のイオン性置換基を有してもよい。2つ以上のイオン性置換基が存在するならば、必須ではないが、2つの基R
1がイオン性置換基であり、且つ/又は、2つの基R
5がイオン性置換基である。
【0061】
式(I)の化合物は、少なくとも1つのイオン性置換基を含むことを条件として、1つ又は複数の非イオン性置換基を含む場合があり、例えば、本明細書中のどこにでも記載されるような非イオン性置換基(R
1〜R
9)を含む場合がある。例示的な非イオン性置換基には、1つ又は複数の隣接していない非末端C原子が、フェニレン、O、S、COO又はCOにより置換されるC
1〜20アルキル、及び、非置換である得る、或いは、1つ又は複数のC1〜20アルキル基(ただし、1つ又は複数の隣接していない非末端C原子が、フェニレン、O、S、COO又はCOにより置換される)により置換され得るフェニルが含まれる。「非末端C原子」によって、末端におけるメチル基、或いは、分岐アルキル鎖の末端におけるn−アルキル鎖又はメチル基ではないアルキル鎖の原子が意味される。
【0062】
好ましくは、R
2はC
1〜12アルキルである。
【0064】
R
5は、存在するならば、必要に応じてC
1〜20ヒドロカルビル基であってもよい。好ましくは、yは0である。
【0065】
n=0である場合、式(II)の基は化合物であり、且つ、R
1〜R
5のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの存在がイオン基であり、好ましくは、R
1及びR
4のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの存在がイオン基である。
【0066】
R
1がイオン基である場合、式(III)のpは好ましくは0である。
【0067】
R
1がイオン基である場合、式(II)のxは好ましくは1である。
【0068】
R
4がイオン基でない場合、R
4は好ましくはC
1〜20ヒドロカルビル基であり、好ましくはC
1〜12アルキル基である。
【0069】
R
4がイオン基である場合、式(III)のpは好ましくは1であり、且つ、Sp
1は好ましくは、アルキレン基の1つ又は複数の非隣接C原子がO又はCOOによって置換され得るC
1〜12アルキレン基である。
【0070】
n=0である場合、イオン基又はHではない基(R
1〜R
5)又はそれぞれの基(R
1〜R
5)は必要に応じて、非置換である、或いは、1つ又は複数のC
1〜12アルキル基により置換されるC
1〜40ヒドロカルビル(必要に応じてC
1〜12アルキル又はC
6〜20アリール(必要に応じてフェニル))から選択されてもよい。
【0071】
nが1である場合、R
1〜R
5の1つが、式(II)の基をCoreに連結する直接の結合又は二価の連結基である。式(II)の基又はそれぞれの基の二価の連結基は必要に応じて、非置換又は置換のフェニレン及びC
1〜12アルキレン(ただし、該アルキレンの1つ又は複数の非隣接C原子が、O、S、CO又はCOOにより置換される場合があり、且つ、1つ又は複数のC原子が、非置換又は置換のアリール又はヘテロアリールにより置換される場合がある)から選択されてもよい。必須ではないが、二価の連結基のアリール基又はヘテロアリール基は、フェニレン、及び5員又は6員のヘテロアリーレン基から選択される。アリール基又はヘテロアリール基の置換基は必要に応じて、C
1〜12アルキルから選択されてもよい。
【0072】
例示的な連結基が、フェニレン、C
1〜12アルキレン、フェニレン−C
1〜12アルキレン及びフェノキシ−C
1〜12アルキレンであり、ただし、この場合、それぞれのフェニレン基は非置換である場合があり、或いは、1つ又は複数のC
1〜12アルキル基により置換される場合がある。
【0073】
n=1である場合において、イオン基、連結基又はHではない基(R
1〜R
5)又はそれぞれの基(R
1〜R
5)は必要に応じて、非置換である、或いは、1つ又は複数のC
1〜12アルキル基により置換されるC
1〜40ヒドロカルビル(必要に応じてC
1〜12アルキル又はC
6〜20アリール(必要に応じてフェニル))から選択されてもよい。
【0074】
nが1である場合において、Coreは必要に応じて、1つ又は複数のイオン基により置換されてもよく、そのような場合、式(II)の基又はそれぞれの基は、1つ又は複数のイオン性置換基により置換されている場合があり、或いは置換されていない場合がある。
【0075】
nが1である場合において、Coreは必要に応じて、イオン基により何ら置換されていなくてもよく、そのような場合、式(II)の基又はそれぞれの基は、1つ又は複数のイオン性置換基により置換されている。
【0076】
Coreが、式Ar
zの基(式中、それぞれの存在におけるArは独立して、C
6〜20アリール基(必要に応じてフェニル又はフルオレン)であり、zは、少なくとも1であり、必要に応じて1〜5である)から選択される場合がある。Arは非置換である場合があり、又は、少なくとも1つのイオン性置換基により置換される場合があり、又は、少なくとも1つの非イオン性置換基により置換される場合がある。
【0077】
nが1である場合、式(I)の化合物は好ましくは、下記の式(Ia)の化合物である:
【化4】
【0078】
式中、それぞれの存在におけるR
7は独立して、置換基であり、R
8は独立してそれぞれの存在において、H及び置換基から選択され、R
9は独立してそれぞれの存在において、置換基であり、それぞれのtは独立して、0、1、2又は3であり、zは1〜5であり、且つ、R
7、R
8及びR
9のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの存在が式(II)の基である。
【0079】
好ましくは、それぞれのtが0である。
【0080】
好ましくは、それぞれのR
8が独立して、H、イオン性置換基及び式(II)の基から選択される。
【0081】
好ましくは、それぞれのR
7が独立して、イオン性置換基及び式(II)の基から選択される。
【0082】
イオン基の性質及び/又は位置により、n型ドーパントのドーピング強度が影響を受ける場合がある。カチオンAは電子求引効果を有する場合があり、これに対して、アニオンAは電子供与効果を有する場合があることが理解されるであろう。さらに、本発明者らは驚くべきことに、対イオンBもまた、ドーパント強度に対する影響を有する場合があること、及び、対イオンの大きさがドーパント強度に影響を及ぼす場合があることを見出している。イオン基をn型ドーパントの電子ドナー部分又はヒドリドドナー部分から隔てることにより、影響が生じる場合がある。したがって、イオン基の性質及び/又は位置が、n型ドーパントの所望の特性(例えば、そのHOMO準位)を制御するために選択される場合がある。イオン性置換基は、一緒に使用されることになる有機半導体に応じてn型ドーパントの特性を調整するために選択され、使用される場合がある。
【0083】
n=0である場合における式(I)の例示的な化合物には、下記の化合物が挙げられる:
【化5】
【0084】
nが1である場合における例示的な化合物には、下記の化合物が挙げられる:
【化6】
【0085】
式中、nは1〜8であり、Xは独立してそれぞれの存在において、上記で記載されるような式(II)の基である。
【0086】
式(I)の化合物は非ポリマー型である。
【0087】
別の実施形態において、式(II)のn型ドーパント基Xがポリマー骨格の側基として備わる。ポリマーは、下記の式(VIII)の繰り返し単位を含む場合がある:
【化7】
【0088】
式中、BGは骨格基である;Sp
2はスペーサー基である;R
6は置換基である;tは0又は正の整数である;uは0又は1である;vは、uが0であるならば、1である;vは、uが1であるならば、少なくとも1である;wは、少なくとも1である;Xは、上記で記載されるような式(II)の基(式中、R
1〜R
5のうちの1つは、uが1である場合には式(II)の基をSp
2に連結する直接の結合であり、又は、uが0である場合には式(II)の基をBGに連結する直接の結合である)である。
【0089】
必須ではないが、Sp
2は、C
1〜20アルキレン、C
1〜20アルコキシレン、C
1〜20オキシアルキレン、フェニレン−C
1〜20アルキレン、フェニレン−C
1〜20アルコキシレン及びフェニレン−C
1〜20オキシアルキレン(ただし、フェニレン基は非置換であり、又は置換され、必要に応じて、1つ又は複数のC
1〜12アルキル基により置換されてもよい)からなる群から選択される。
【0090】
式(VIII)の置換基R
6は、存在するならば、それぞれの存在において同じ又は異なる場合があり、必要に応じて、下記のものからなる群から選択されてもよい:
D;
1つ又は複数の非隣接C原子が、非置換であるか、又は1つもしくは複数の置換基により置換されるC
6〜20アリール又はC
6〜20アリーレン(必要に応じてフェニル)、非置換であるか、又は1つもしくは複数の置換基により置換される5員〜20員ヘテロアリール又は5員〜20員ヘテロアリーレン、O、S、C=O又は−COOから選択される基により置換され得るアルキル(必要に応じてC
1〜20アルキル);或いは
式−(Ar
1)
nの基、式中、それぞれの存在におけるAr
1は独立して、非置換であるか、又は1つもしくは複数の置換基により置換されるC
6〜20アリール基又は5員〜20員ヘテロアリール基であり、且つ、nは少なくとも1である(必要に応じて、1、2又は3である)。
【0091】
置換基R
6のアリール基、アリーレン基、ヘテロアリール基又はヘテロアリーレン基は非置換である場合があり、或いは、1つ又は複数の置換基により置換される場合がある。置換基が存在する場合、置換基は、1つ又は複数の非隣接C原子が、O、S、C=O又は−COO−により置換され得るC
1〜20アルキルから選択される場合があり、より好ましくはC
1〜20アルキルである場合がある。
【0092】
ポリマーは共役ポリマー又は非共役ポリマーである場合がある。「共役ポリマー」によって、隣接する繰り返し単位に直接に共役する繰り返し単位をポリマー骨格中に含むポリマーが意味される。
【0093】
共役ポリマーの場合、BGは必要に応じて、C
6〜20アリーレン繰り返し単位であってもよい。
【0094】
ポリマーは、式(VIII)の繰り返し単位と、1つ又は複数の共繰り返し単位(必要に応じて、1つ又は複数のC
6〜20アリーレン共繰り返し単位)とを含む場合があり、ただし、繰り返し単位のそれぞれが非置換である場合があり、或いは、1つ又は複数の置換基により置換される場合があり、必要に応じて、1つ又は複数の置換基R
6により置換されてもよい。
【0095】
アリーレン基BG及び/又はアリーレン共繰り返し単位には、限定されないが、フルオレン繰り返し単位、フェニレン繰り返し単位、ナフタレン繰り返し単位、アントラセン繰り返し単位、インデノフルオレン繰り返し単位、フェナントレン繰り返し単位及びジヒドロフェナントレン繰り返し単位が含まれる。
【0096】
アリーレン基BG及び/又はアリーレン共繰り返し単位が、下記の式(IX)〜式(XII)の繰り返し単位から選択される場合がある:
【化8】
【0097】
式(IX)〜式(XII)の繰り返し単位は下記の式(IXa)〜式(XIIa)をそれぞれ有する場合がある:
【化9】
【0098】
式中、それぞれの存在におけるR
12は独立して、式−(Sp
2)u(X)vの基、又は置換基R
6である。
【0099】
式(VIII)の繰り返し単位及び/又はさらなる繰り返し単位の置換基R
6は、ポリマーの要求される溶解性に従って選択される場合がある。極性溶媒におけるポリマーの溶解性のための好ましい置換基が、1つ又は複数のエーテル基を含有する置換基(必要に応じて、式−(OCH
2CH
2)
n−(式中、nは少なくとも1であり、必要に応じて、1〜10の整数であってもよい)の基を含む置換基)、式−COOR
10の基(式中、R
10はC
1〜5アルキル基である)、及びイオン性置換基である。イオン性置換基R
6はカチオン性又はアニオン性である場合がある。
【0100】
例示的なアニオン性置換基は、好適な金属カチオン又は有機カチオンを伴う式−COO
−を含む。例示的な金属カチオンがアルカリ金属カチオンであり、好ましくはCs+である。例示的な有機カチオンがアンモニウムであり、必要に応じて、テトラアルキルアンモニウム、エチルメチル、イミダゾリウム及びピリジニウムであってもよい。例示的なカチオン性置換基は、好適なアニオン(必要に応じて、ハリド基又はスルホナート基(必要に応じて、メシラート、トシラート又はスルホナート))を伴う第四級アンモニウムを含む。
【0101】
エステル置換基を含むポリマーが、式−COO
−M
+の置換基を含むポリマーに変換される場合がある。この変換は、国際公開第2012/133229号に記載される通りである(その内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0102】
さらなる置換基R
6には、C
1〜40ヒドロカルビル基(必要に応じてC
1〜20アルキル)、非置換フェニル、及び、1つ又は複数のC
1〜12アルキル基により置換されるフェニルが含まれる。
【0103】
ポリマーは、電子受容性単位をその骨格に含む場合があり、例えば、ベンゾチアジアゾールを含む繰り返し単位、1つ又は複数の電子求引基により置換されるアリーレン繰り返し単位、或いは、下記で記載されるような極性の二重結合又は三重結合を含む繰り返し単位を含む場合がある。この場合、n型ドーパント及びアクセプターが、同じポリマーの一部として備わる。したがって、本明細書中に記載されるようなn型ドーパント及び有機半導体の「組成物」には、当該n型ドーパント及び有機半導体を含むポリマー、同様にまた、n型ドーパント材料とは別個である有機半導体材料の混合物(ただし、n型ドーパント材料は、n型ドーパントにより置換されるポリマーである場合があり、又は式(I)の化合物である場合がある)が含まれることが理解されるであろう。
【0104】
好ましくは、式(II)の基と接触したとき、有機半導体への自発的なドーピングがほとんど又は全く生じない。好ましくは、n型ドーピングの程度が活性化のときに増大する。必須ではないが、n型ドーパントは、有機半導体のLUMO準位と同じHOMO準位を有しており、又は、好ましくは、有機半導体のLUMO準位よりも深い(真空からさらに遠い)HOMO準位を有しており、必要に応じて、有機半導体のLUMO準位よりも少なくとも1eV深い又は1.5eV深いHOMO準位を有してもよい。したがって、自発的なドーピングが、有機半導体及びそのようなn型ドーパントを室温で混合したときにはほとんど又は全く起こらず、また、自発的なドーピングが、アクセプター単位を、n型ドーパントにより置換されるその骨格に含むポリマーとの間ではほとんど又は全く起こらない。
【0105】
どのような理論であれ、理論によってとらわれることを望まないが、式(II)の基によるn型ドーピングは、Naab他、“Mechanistic Study on the Solution−Phase n−Doping of 1,3−Dimethyl−2−aryl−2,3−dihydro−1H−benzoimidazole Derivatives”、J.Am.Chem.Soc.、2013、135、15018〜15025に記載されるようなヒドリド移動プロセスによるものであるかもしれない(その内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0106】
有機半導体:n型ドーパントの重量比は必要に応じて、99:1〜10:90の範囲内であってもよい。
【0107】
必須ではないが、n型ドーパント:有機半導体のモル比は50:50より大きく、そのような場合、n型ドーパント/有機半導体組成物は、有機半導体にドープされていないn型ドーパントを含むであろう。
【0108】
有機半導体
有機半導体は、有機半導体及びn型ドーパントの接触時における自発的なn型ドーパントによるn型ドーピング、又は活性化時におけるn型ドーパントによるn型ドーピングをどちらであっても受ける。自発的なn型ドーピングが起こらないか、又は限定的に起こるならば、n型ドーピングの程度が活性化によって増大させられる場合がある。
【0109】
有機半導体はポリマー系材料又は非ポリマー系材料である場合がある。必須ではないが、有機半導体はポリマーであり、より好ましくは共役ポリマーである。
【0110】
有機半導体は、極性の二重結合又は三重結合を含む場合があり、必要に応じて、C=N(イミノ)基、ニトリル基、C=S基、オキシム基又はC=O基から選択される結合を含む場合があり、必要に応じて、ケト基、エステル基又はカルボナート基を含む場合がある。好ましくは、これらの極性の二重結合基又は三重結合基は、共役しているポリマー骨格に対して共役する。これらの極性の二重結合基又は三重結合基は、共役している繰り返し単位の置換基として備わる場合があり、又は、共役している繰り返し単位の一部(例えば、フルオレノン)である場合がある。
【0111】
有機半導体は、電子不足の繰り返し単位を含むポリマーである場合がある。
【0112】
有機半導体はベンゾチアジアゾール単位を含む場合がある。ベンゾチアジアゾール単位は、n型ドーパントにより置換されるポリマーと混合されるポリマーの単位体、又は、n型ドーパントにより置換されるポリマーの骨格における繰り返し単位である場合がある。ポリマー繰り返し単位は下記式の繰り返し単位を含む場合があり、又は下記式の繰り返し単位からなる場合がある:
【化10】
【0113】
式中、それぞれの存在におけるR
10は置換基であり、必要に応じて、1つ又は複数の非隣接C原子が、置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリール、O、S、C=O又は−COO−により置換される場合があり、且つ、1つ又は複数のH原子がFにより置換される場合があるアルキル(必要に応じてC
1〜20アルキル)から選択される置換基であってもよい。
【0114】
ベンゾチアジアゾールを含む繰り返し単位は下記の式を有する場合がある:
【化11】
【0115】
式中、R
10は、ベンゾチアジアゾールに関連して上記で記載される通りである。
【0116】
有機半導体は、1つ又は複数の電子求引基により置換されるアリーレン繰り返し単位を含むポリマーである場合がある。例示的な電子求引基がシアノである。
【0117】
アリーレン繰り返し単位には、限定されないが、フルオレン繰り返し単位、フェニレン繰り返し単位、ナフタレン繰り返し単位、アントラセン繰り返し単位、インデノフルオレン繰り返し単位、フェナントレン繰り返し単位及びジヒドロフェナントレン繰り返し単位(ただし、これらのそれぞれが1つ又は複数の電子求引基により置換される場合があり、且つ、必要に応じて、1つ又は複数のさらなる置換基により置換される場合がある)が含まれる。例示的なさらなる置換基が、存在するならば、C
1〜40ヒドロカルビルから選択される場合がある。アリーレン繰り返し単位が、上記で記載されるような式(IX)〜式(XII)の繰り返し単位から選択される場合がある。
【0118】
電子不足アリーレン繰り返し単位又はベンゾチアジアゾール繰り返し単位を含むポリマーは、1つ又は複数の共繰り返し単位を含むコポリマーである場合がある。共繰り返し単位は、電子求引基により置換されておらず、且つ、必要に応じて、非置換であってもよい、或いは、C
1〜40ヒドロカルビル基及びイオン基から選択される1つ又は複数の置換基により置換されていてもよいアリーレン共繰り返し単位から選択される場合がある。イオン基は、式(III)に関して記載される通りである場合がある。
【0119】
n型ドーパントにより置換されるポリマー、及び半導体ポリマーを含めて、本明細書中のどこにでも記載されるようなポリマーは好適には、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が約1×10
3〜1×10
8の範囲にあり、好ましくは1×10
3〜5×10
6の範囲にある。本明細書中のどこにでも記載されるポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は1×10
3〜1×10
8である場合があり、好ましくは1×10
4〜1×10
7である場合がある。
【0120】
本明細書中のどこにでも記載されるようなポリマーは好適には非晶質ポリマーである。
【0121】
活性化
n型ドーパントが、有機半導体へのドーピングを自発的に生じさせない場合、n型ドーピングが、活性化によってもたらされる場合がある。好ましくは、有機半導体及びn型ドーパントを含有する層を含むデバイスが形成された後、必要に応じて封入後において、n型ドーピングがもたらされる。活性化は、n型ドーパント及び/又は有機半導体の励起による場合がある。
【0122】
例示的な活性化方法が熱処理及び放射線照射である。
【0123】
必須ではないが、熱処理は80℃〜170℃の範囲での温度においてであり、好ましくは、120℃〜170℃の範囲又は130℃〜160℃の範囲での温度においてである。
【0124】
本明細書中に記載されるような熱処理及び放射線照射は一緒に使用される場合がある。
【0125】
放射線照射のために、どのような波長の光であっても使用される場合があり、例えば、ピークを約200nm〜700nmの範囲に有する波長の光が使用される場合がある。
【0126】
必須ではないが、最も強い吸収を有機半導体の吸収スペクトルにおいて示すピークは、400nm〜700nmの範囲にある。好ましくは、n型ドーパントの最も強い吸収は400nm未満の波長においてである。
【0127】
本発明者らは驚くべきことに、有機半導体と、当該有機半導体へのドーピングを自発的に生じさせないn型ドーパントにより置換されるポリマーとの組成物を電磁放射線にさらすことにより、n型ドーピングが生じること、加えて、電磁放射線は、n型ドーパントによって吸収され得る波長であることを必要としないことを見出している。
【0128】
光源から放射される光は好適には、有機半導体の吸収スペクトルの吸収特徴部(例えば、吸収ピーク又は吸収肩部)と重なる。必須ではないが、光源から放射される光はピーク波長を有機半導体の吸収極大波長の25nm以内に、10nm以内に、又は5nm以内に有する。しかしながら、光のピーク波長は有機半導体の吸収極大波長と一致する必要はないことが理解されるであろう。
【0129】
ドーピングの程度が、有機半導体/n型ドーパントの比率、光のピーク波長、薄膜への照射の継続期間、及び光の強度のうちの1つ又は複数によって制御される場合がある。励起は、光のピーク波長が有機半導体の吸収極大と一致するときに最も効率的であろうことが理解されるであろう。
【0130】
必須ではないが、照射時間は1秒〜1時間の間であり、必要に応じて1分〜30分の間であってもよい。
【0131】
好ましくは、光源から放射される光は400nm〜700nmの範囲である。好ましくは、電磁放射線は、ピーク波長が400nmを超えており、必要に応じて420nmを超えていてもよく、必要に応じて450nmを超えていてもよい。必須ではないが、n型ドーパントの吸収スペクトルにおける吸収ピークと、光源から放射される光の(1又は複数の)波長との間には重なりがなくてもよい。
【0132】
好適な電磁放射線源はどのようなものであっても、薄膜を照射するために使用される場合があり、これには、限定されないが、蛍光管、白熱電球、及び有機LED又は無機LEDが含まれる。必須ではないが、電磁放射線源は無機LEDのアレイである。電磁放射線源は、1つ又は2つ以上のピーク波長を有する放射線を生じさせる場合がある。
【0133】
好ましくは、電磁放射線源は、少なくとも2000mWの光出力を有しており、必要に応じて少なくとも3000mWの光出力を有していてもよく、必要に応じて少なくとも4000mWの光出力を有していてもよい。
【0134】
好ましくは、電磁放射線源の光出力の最大でも10%又は最大でも5%が、400nm以下の波長を有する放射線に由来しており、必要に応じて420nm以下の波長を有する放射線に由来していてもよい。好ましくは、光出力のすべてが400nm以下の波長を有しておらず、必要に応じて420nm以下の波長を有していなくてもよい。
【0135】
n型ドーピングを、短い波長の光(例えば、UV光など)にさらすことなく誘発することにより、OLEDの材料に対する損傷が回避される場合がある。
【0136】
n型ドープされた有機半導体は外因性半導体又は縮退半導体である場合がある。
【0137】
有機電子デバイス(例えば、
図1に記載されるようなOLEDなど)の製造において、活性化がデバイス形成の期間中に、又はデバイスが形成された後で行われる場合がある。好ましくは、n型ドーピングを生じさせるための活性化が、デバイスが形成され、封入された後で行われる。デバイスは、自発的なドーピングがほとんど又は全く起こらない環境において製造される場合があり、例えば、n型ドーパント及び有機半導体がデバイス封入後までは、n型ドーピングを誘発する波長の光にほとんど又は全くさらされない室温環境において、例えば、電磁放射線源の波長よりも長い波長を有する光によって照明される環境(例えば、黄色光により照明されるクリーンルームなど)において製造される場合がある。
【0138】
図1に記載されるようなOLEDの場合には、n型ドーパントにより置換されるポリマーと、有機半導体との薄膜107が、有機発光層105を覆って形成される場合があり、カソード109が薄膜を覆って形成される場合がある。
【0139】
放射線照射による活性化のために、透明な基板101に形成され、且つ、透明なアノード103(例えば、ITOなど)を有するデバイスの場合には、薄膜がその後、アノード101を介して放射線照射される場合があり、又は、透明なカソードを有するデバイスの場合には、薄膜がカソード109を介して放射線照射される場合がある。n型ドーピングを誘発するために使用される波長は、電磁放射線源と薄膜との間におけるデバイスの層によって吸収される波長を避けるように選択される場合がある。
【0140】
発光層
OLED100は1つ又は複数の発光層を含有する場合がある。
【0141】
OLED100の発光材料は、蛍光性材料、りん光性材料、又は、蛍光性材料及びりん光性材料の混合物である場合がある。発光材料は、ポリマー系発光材料及び非ポリマー系発光材料から選択される場合がある。例示的な発光ポリマーが共役ポリマーであり、例えば、ポリフェニレン及びポリフルオレンであり、それらの例が、Bernius,M.T.、Inbasekaran,M.、O’Brien,J.及びWu,W.、Progress with Light−Emitting Polymers、Adv.Mater.、12、1737〜1750、2000に記載される(その内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。発光層107は、ホスト材料と、蛍光発光ドーパント又はりん光発光ドーパントとを含む場合がある。例示的なりん光性ドーパントが第2列遷移金属錯体又は第3列遷移金属錯体であり、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金の錯体である。
【0142】
OLEDの発光層はパターン化されない場合があり、又は、個別の画素を形成するためにパターン化される場合がある。それぞれの画素がさらに副画素に分割される場合がある。発光層は、ただ1つの発光材料を、例えば、単色ディスプレイ又は他の単色デバイスのためのただ1つの発光材料を含有する場合があり、或いは、異なる色を放射する材料を含有する場合があり、具体的には、フルカラーディスプレイのための赤色発光材料、緑色発光材料及び青色発光材料を含有する場合がある。
【0143】
発光層は、2つ以上の発光材料の混合物を含有する場合があり、例えば、一緒になって白色光の放射をもたらす発光材料の混合物を含有する場合がある。複数の発光層が一緒になって白色光をもたらす場合がある。
【0144】
蛍光発光層が発光材料だけからなる場合があり、或いは、蛍光発光層がさらに、発光材料と混合される1つ又は複数のさらなる材料を含む場合がある。例示的なさらなる材料が、正孔輸送材料;電子輸送材料及び三重項受容材料(例えば、国際公開第2013/114118号に記載されるような三重項受容ポリマー(その内容は参照によって本明細書中に組み込まれる))から選択される場合がある。
【0145】
カソード
カソードは1つ又は複数の層を含む場合がある。好ましくは、カソードは、1つもしくは複数の導電性材料を含む電子注入層、又は1つもしくは複数の導電性材料からなる電子注入層と接している層を含み、或いは、そのような電子注入層と接している層からなる。例示的な導電性材料が金属であり、好ましくは、少なくとも4eVの仕事関数を有する金属(必要に応じて、アルミニウム、銅、銀又は金又は鉄)である。例示的な非金属導電性材料には、導電性の金属酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物及びインジウム亜鉛酸化物)、グラファイト及びグラフェンが含まれる。様々な金属の仕事関数は、CRC Handbook of Chemistry and Physics(12〜114、87版、CRC Pressによって発行、David R.Lideによって編集)に示される通りである。2つ以上の値が所与の金属について示されるならば、最初に列挙されている値が適用される。
【0146】
カソードは不透明又は透明である場合がある。透明なカソードがアクティブマトリックスデバイスのためには特に好都合である。これは、そのようなデバイスにおける透明なアノードを介した放射が、放射性画素の下に位置する駆動回路網によって少なくとも部分的に阻止されるからである。
【0147】
透明なカソードのデバイスは、(完全に透明なデバイスが所望される場合を除いて)透明なアノードを有する必要はなく、したがって、底面放射デバイスのために使用される透明なアノードは、反射性材料の層(例えば、アルミニウムの層など)により置き換えられ得るか、又は補われ得ることが理解されるであろう。透明なカソードのデバイスの様々な例が、例えば、英国特許第2348316号において開示される。
【0148】
正孔輸送層
正孔輸送層がアノード103と発光層105との間に設けられる場合がある。
【0149】
特に、上に重なる層が溶液から堆積されるならば、正孔輸送層は架橋される場合がある。この架橋のために使用される架橋可能な基は、反応性の二重結合を含む架橋可能な基(例えば、ビニル基又はアクリラート基など)、又はベンゾシクロブタン基である場合がある。架橋が、熱処理によって、好ましくは約250℃未満の温度での熱処理によって行われる場合があり、必要に応じて約100℃〜250℃の範囲における温度での熱処理によって行われる場合がある。
【0150】
正孔輸送層は正孔輸送ポリマーを含む場合があり、又は正孔輸送ポリマーからなる場合があり、ただし、正孔輸送ポリマーはホモポリマーである場合があり、又は2つ以上の異なる繰り返し単位を含むコポリマーである場合がある。正孔輸送ポリマーは共役している場合があり、又は共役していない場合がある。例示的な共役した正孔輸送ポリマーが、例えば、国際公開第99/54385号又は同第2005/049546号(これらの内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるような、アリールアミン繰り返し単位を含むポリマーである。アリールアミン繰り返し単位を含む共役した正孔輸送コポリマーは、アリーレン繰り返し単位から選択される1つ又は複数の共繰り返し単位を有する場合があり、例えば、フルオレン繰り返し単位、フェニレン繰り返し単位、フェナントレン繰り返し単位、ナフタレン繰り返し単位及びアントラセン繰り返し単位(ただし、これらのそれぞれが独立して非置換である場合があり、或いは、1つ又は複数の置換基(必要に応じて、1つ又は複数のC
1〜40ヒドロカルビル置換基)により置換される場合がある)から選択される1つ又は複数の繰り返し単位を有する場合がある。
【0151】
アノードと発光層105との間に位置する正孔輸送層が存在するならば、正孔輸送層は、矩形波ボルタンメトリーによって測定される場合、好ましくは5.5eV又はそれよりも浅い(真空により近い)HOMO準位を有し、より好ましくはおよそ4.8eV〜5.5eV又は5.1eV〜5.3eVのHOMO準位を有する。正孔輸送層のHOMO準位が、正孔輸送層と隣接層との層の間における正孔輸送に対する小さい障壁をもたらすために隣接層の0.2eV以内であるように選択される場合があり、必要に応じて0.1eV以内であるように選択される場合がある。
【0152】
好ましくは、正孔輸送層が発光層105に隣接しており、より好ましくは、架橋された正孔輸送層が発光層105に隣接している。
【0153】
正孔輸送層が正孔輸送材料から本質的になる場合があり、或いは、1つ又は複数のさらなる材料を含む場合がある。発光材料(必要に応じて、りん光性材料)が正孔輸送層に設けられる場合がある。
【0154】
りん光性材料が、ポリマー骨格における繰り返し単位として、ポリマーの末端基として、又はポリマーの側鎖として正孔輸送ポリマーに共有結合により結合させられる場合がある。りん光性材料が側鎖に設けられるならば、りん光性材料はポリマーの骨格における繰り返し単位に直接に結合させられる場合があり、又はスペーサー基によってポリマー骨格から離れて配置される場合がある。例示的なスペーサー基には、C
1〜20アルキル及びアリール−C
1〜20アルキル(例えば、フェニル−C
1〜20アルキル)が含まれる。スペーサー基のアルキル基の1つ又は複数の炭素原子が、O、S、C=O又はCOOにより置換される場合がある。
【0155】
発光性の正孔輸送層からの放射と、発光層105からの放射とが、白色光を生じさせるために組み合わせられる場合がある。
【0156】
正孔注入層
導電性の正孔注入層(これは導電性の有機材料又は無機材料から形成される場合がある)が、アノードから半導電性ポリマーの層(1つ又は複数)への正孔注入を助けるために、
図1に例示されるようにOLEDのアノード103と発光層105との間に設けられる場合がある。ドープされた有機正孔注入材料の例には、置換されていてもよいドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、具体的には、電荷を釣り合わせるためのポリ酸(例えば、欧州特許第0901176号及び欧州特許第0947123号において開示されるようなポリスチレンスルホナート(PSS))、ポリアクリル酸又はフッ素化スルホン酸(例えば、Nafion(登録商標))などがドープされるPEDT;米国特許第5723873号及び米国特許第5798170号において開示されるようなポリアニリン;並びに、置換されていてもよいポリチオフェン又はポリ(チエノチオフェン)が含まれる。導電性の無機材料の例には、Journal of Physics D:Applied Physics(1996)、29(11)、2750〜2753において開示されるような遷移金属酸化物(例えば、VOx、MoOx及びRuOxなど)が含まれる。
【0157】
封入
本明細書中に記載されるようなポリマーが、有機半導体へのドーピングを自発的に生じさせないn型ドーパントにより置換されるならば、n型ドーパントは好ましくは、水分及び酸素の侵入を防止するための薄膜を含有するデバイスの封入の後において、本明細書中に記載されるようにn型ドーピングを生じさせるために活性化される。
【0158】
好適な封入材には、ガラスのシート、好適なバリア特性を有する薄膜(例えば、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、窒化ケイ素、又はポリマー及び誘電体の交互積層体など)、又は気密容器が含まれる。透明なカソードのデバイスの場合には、透明な封入層(例えば、一酸化ケイ素又は二酸化ケイ素など)がミクロンレベルの厚さに堆積させられる場合があり、だが、1つの好ましい実施形態において、そのような層の厚さは20nm〜300nmの範囲である。基板又は封入材を通って浸透し得るどのような大気中の水分及び/又は酸素であっても吸収するためのゲッター材が、基板と封入材との間に置かれる場合がある。
【0159】
デバイスが形成される基板は好ましくは、基板が封入材と一緒になって、水分又は酸素の侵入に対するバリアを形成するような良好なバリア特性を有する。基板は一般にはガラスであり、しかしながら、特にデバイスの柔軟性が望ましい場合には、代替となる基板が使用される場合がある。例えば、基板は1つ又は複数の可塑性層を含む場合がある(例えば、交互する可塑性バリア層及び誘電性バリア層の基板、又は薄いガラス及び可塑性物の積層体)。
【0160】
組立て加工
発光層105及び電子注入層107は、蒸着法及び溶液堆積法を含めてどのような方法によってでも形成される場合がある。溶液堆積法が好ましい。
【0161】
発光層105及び電子注入層107を形成するために好適である配合物がそれぞれ、それらの層を形成する成分及び1つ又は複数の好適な溶媒から形成される場合がある。
【0162】
好ましくは、発光層105が、溶媒が1つ又は複数の非極性溶媒物(必要に応じて、C
1〜12アルキル基及びC
1〜12アルコキシ基から選択される1つ又は複数の置換基により置換されるベンゼン、例えば、トルエン、キシレン類及びメチルアニソール類、並びにそれらの混合物)である溶液を堆積させることによって形成される。
【0163】
必須ではないが、有機半導体と、電子注入層107を形成するためのn型ドーパントとを含む薄膜が、溶液を堆積させることによって形成されてもよい。
【0164】
好ましくは、電子注入層は、下に位置する層の材料が極性溶媒に可溶性でないならば、下に位置する層の溶解を回避し得る、又は最小限に抑え得る極性溶媒(必要に応じて、プロトン性溶媒、必要に応じて、水又はアルコール;ジメチルスルホキシド;炭酸プロピレン;或いは2−ブタノン)から形成される。式(I)の化合物、又は式(II)の基を含むポリマーのイオン性置換基は、そのようなイオン性置換基を有しない化合物と比較した場合、極性溶媒における高まった溶解性をもたらす場合がある。有機半導体はまた、極性溶媒におけるその溶解性を高めるために、極性の置換基により置換される場合があり、必要に応じて、式(III)の置換基により置換される場合がある。
【0165】
例示的なアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブトキシエタノール、及びモノフルオロアルコール、ポリフルオロアルコール又はペルフルオロアルコール(必要に応じて、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール)が含まれる。
【0166】
イオン性置換基により置換される他のn型ドーパントが、極性溶媒を使用して堆積される場合があることが理解されるであろう。そのようなn型ドーパントの一例がNADHである。
【0167】
特に好ましい溶液堆積技術には、様々な印刷技術及び被覆技術が含まれ、例えば、スピンコーティング、インクジェット印刷及びリソグラフィー印刷などが含まれる。
【0168】
被覆法が、発光層のパターン化が不要であるデバイス(例えば、照明用途又は単純な単色の分割型ディスプレイのためのデバイス)のためには特に好適である。
【0169】
印刷法が、高情報量ディスプレイ(特にフルカラーディスプレイ)のためには特に好適である。デバイスが、パターン化された層をアノードを覆って提供し、1つの色(単色デバイスの場合)又は多数の色(多色デバイス(特にフルカラーデバイス)の場合)を印刷するためのウエルを定めることによってインクジェット印刷される場合がある。パターン化された層は典型的には、例えば、欧州特許第0880303号に記載されるようなウエルを定めるためにパターン化されるフォトレジストの層である。
【0170】
ウエルの代替として、インクが、パターン化された層の内側に定められるチャネルの中に印刷される場合がある。具体的には、フォトレジストが、ウエルとは異なり、複数のピクセルにわたって延び、且つ、チャネル端部が閉じられる場合がある、又は開放される場合があるチャネルを形成するようにパターン化される場合がある。
【0171】
他の溶液堆積技術には、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、ロール印刷及びスクリーン印刷が含まれる。
【0172】
用途
ドープされた有機半導体層が、有機発光デバイスの電子注入層に関連して記載されている。しかしながら、本明細書中に記載されるように形成される層は、例えば、有機光起電性デバイス又は有機光検出器の電子抽出層として、n型有機薄膜トランジスターの補助電極層として、或いは熱電発電器におけるn型半導体として、他の有機電子デバイスにおいて使用され得ることが理解されるであろう。
【0173】
測定
無垢のアクセプター材料、及び本明細書中に記載されるようなn型ドープされたアクセプター材料のUV可視吸収スペクトルを、ドーパントとのブレンドとして、ガラス基板へのスピンコーティングによって測定した。薄膜の厚さが20nm〜100nmの範囲であった。
【0174】
スピンコーティング及び乾燥の後、ポリマー薄膜を、n型ドープ薄膜の空気とのどのような接触も排除するためにグローブボックスにおいて封入した。
【0175】
封入後、UV−vis吸収測定を、Carey−5000分光計を用いて行い、続いて、可視光に連続してさらし、UV−VIS測定を繰り返した。
【0176】
本明細書中のどこにでも記載されるようなHOMO準位、SOMO準位及びLUMO準位は、矩形波ボルタンメトリーによって測定される通りである。
【0177】
装置:
ソフトウェアを伴うCHI660D電気化学ワークステーション(IJ Cambria Scientific Ltd)
CHI 104 3mmガラス状炭素ディスク作用電極(IJ Cambria Scientific Ltd)
白金線補助電極
参照電極(Ag/AgCl)(Havard Apparatus Ltd)
化学薬品
アセトニトリル(Hi−dry無水品−ROMIL)(セル溶液溶媒)
トルエン(Hi−dry無水品)(サンプル調製溶媒)
フェロセン−FLUKA(参照標準物)
テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート−FLUKA(セル溶液塩)
サンプル調製
アクセプターポリマーを作用電極の上に薄い薄膜(約20nm)としてスピンコーティングした。ドーパント材料をトルエンにおける希薄溶液(0.3w%)として測定した。
【0178】
電気化学的セル
測定セルは、電解質、サンプルが薄い薄膜として被覆されるガラス状炭素作用電極、白金対向電極、及びAg/AgCl参照ガラス電極を含有する。フェロセンが参照物質として実験終了時にセル内に加えられる(LUMO(フェロセン)=−4.8eV)。
【0179】
[実施例]
化合物実施例1
【化12】
【0180】
中間体2:
中間体
1(23.6g、0.0568mol)のテトラヒドロフラン(120ml)における溶液を−90℃に冷却した。N−BuLi(n−ヘキサンにおける2.5M、34ml、0.0852mol)を混合物に−90℃でゆっくり加え、−90℃で1時間撹拌した。二酸化炭素ガスを−90℃で1.5時間、反応量で吹き込んだ。反応混合物を室温にまでゆっくり加温し、水(150ml)を加えることによって反応停止させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルにより抽出した(200ml、2回)。一緒にした有機層を、水(300ml)、ブライン(300ml)により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗物質をセライトに吸着させ、3%メタノール/クロロホルムを溶離液として使用するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、94.68%のHPLC純度を有する18gの中間体
2を薄いオレンジ色の粘性液体として得た(65%の収率)。
【0181】
1H−NMR(400MHz,DMSO D6):δ[ppm]1.36(s,18H),3.32(s,6H),7.39(d,J=8Hz,1H),7.76(s,1H)7.83(d,J=2.00Hz,1H)
中間体3:
中間体
2(18g、0.0473mol)のエタノール(180mL)における溶液を0℃に冷却し、塩化チオニル(28.14g、0.236mol)を10分間にわたって滴下して加えた。その後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷(200g)に注ぎ、30分間撹拌し、10%重炭酸ナトリウム水溶液を加えることによって塩基性にした。混合物を酢酸エチルにより抽出した(100ml、3回)。一緒にした有機層を、水(200ml)、ブライン(300ml)により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗物質をセライトに吸着させ、13%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として使用する(トリエチルアミン中和された)シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、99.32%のHPLC純度を有する4.2gの中間体
3を薄いオレンジ色の液体として得た(42%の収率)。
【0182】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ[ppm]1.39(t,J=7.20Hz,3H),2.90(s,6H),4.35(q,J=6.80Hz,2H),6.62(d,J=8.4Hz,1H),7.39(s,1H)7.64(d,J=2.00Hz,1H)
中間体4:
窒素を、4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド(3g、0.0201mol)の無水メタノール(20ml)における溶液に10分間吹き込んだ。中間体
3(4.2g、0.0201mol)を加え、窒素の吹き込みをさらに5分間続けた。氷酢酸(1mL)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、ろ過した。固体を冷メタノール(10ml)により洗浄し、乾燥して、99.01%のHPLC純度を有する中間体
4の1.8gの画分を白色の固体として、また、97.51%のHPLC純度を有する中間体
4の1.1gの画分を白色の固体として得た(43%の収率)。
【0183】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ[ppm]1.37(t,J=7.20Hz,3H),2.57(d,J=8.4Hz,6H),2.98(s,6H),4.3(q,J=6.80Hz,2H),5.09(s,1H),6.36(d,J=8.00Hz,1H),6.82(dd,J=1.6Hz J=6.80Hz,2H),6.9(s,1H),7.37(dd,J=2Hz J=6.80Hz,2H),7.46(dd,J=1.6Hz J=8.8Hz,1H)
化合物実施例1:
窒素を中間体
4(5.000g、14.73mmol)及びテトラヒドロフラン(25ml)の混合物に5分間吹き込み、続いて、メタノール(10ml)と、水酸化セシウム一水和物(7.421g、44.19mmol)の水(5ml)における溶液とを加えた。窒素を混合物に10分間吹き込み、その後、混合物を70℃に16時間加熱した。冷却すると、混合物を減圧下で蒸発乾固した。残渣を水に溶解し、水から、水:メタノール(1:1)へのグラジエントを溶離液として使用するC18逆相シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
化合物実施例1を含有する一緒にした分画物を減圧下で蒸発乾固し、残渣をアセトニトリル(100ml)とともに粉砕し、ろ過し、真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、4.976gの
化合物実施例1をNMRによる99%の純度で白色の粉末として得た(76%の収率)。
【0184】
1H−NMR(600MHz,MeOH−D4):δ
H[ppm]2.51(s,3H),2.53(s,3H),2.95(s,6H),4.77(s,1H),6.34(d,J=7.8Hz,1H),6.79−6.81(m,2H),7.04(d,J=1.5Hz,2H),7.36−7.39(m,2H),7.41(dd,J=7.8Hz,J=1.6Hz,1H).
化合物実施例2
【化13】
【0185】
窒素を、中間体
4(0.750g、2.21mmol)、テトラヒドロフラン(10ml)及びメタノール(4ml)の混合物に5分間吹き込み、続いて、水酸化テトラメチルアンモニウムの溶液(水における10wt%、4.02ml、4.41mmol)を加えた。窒素を混合物に10分間吹き込み、その後、混合物を70℃に16時間加熱した。冷却すると、混合物を減圧下で蒸発乾固した。残渣を水に溶解し、水から、水:メタノール(1:1)へのグラジエントを溶離液として使用するC18逆相シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
化合物実施例2を含有する一緒にした分画物を減圧下で蒸発乾固し、残渣をアセトニトリル(30ml)とともに粉砕し、ろ過し、真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、0.627gの
化合物実施例2をNMRによる99%の純度で白色の粉末として得た(74%の収率)。
【0186】
1H−NMR(600MHz,MeOH−D4):δ
H[ppm]2.52(s,3H),2.54(s,3H),2.97(s,6H),3.17(s,12H),4.78(s,1H),6.35(d,J=7.8Hz,1H),6.80−6.82(m,2H),7.05(d,J=1.5Hz,2H),7.37−7.39(m,2H),7.42(dd,J=7.4Hz,J=1.5Hz,1H).
化合物実施例3
【化14】
【0187】
中間体5:
N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−アミノベンズアルデヒド(8.00g、44.6mmol)をジクロロメタン(100ml)に溶解し、0℃に冷却した。トリエチルアミン(10.38g、14.2ml、102.7mmol)を加え、窒素を反応混合物に5分間吹き込んだ。トシルクロリド(10.21g、53.57mmol)を20分かけて少量ずつ加え、反応液を室温にまで一晩加温した。反応混合物を0℃に冷却し、水(5ml)を滴下して加え、続いて、10%のHCl水溶液を、pH2に達するまで滴下して加えた。水(50ml)を加え、水相をジクロロメタンにより2回抽出した。有機相をH
2Oにより1回洗浄し、3%のNH
4OH水溶液により2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固した。粗生成物を、ジクロロメタン、続いてジクロロメタン:酢酸エチル(85:15)を使用するシリカプラグ(φ70mm×50mm)でろ過した。最初の画分を減圧下で濃縮乾固し、メタノール(20ml)とともに粉砕し、ろ過し、風乾して、中間体
5をピンク色の固体として得た(2.95g、HPLCにより99.14%純粋、20%の収率)。2番目の画分を減圧下で濃縮乾固して、中間体
5をピンク色の固体として得た(7.72g、HPLCにより97.53%純粋、52%の収率)。
【0188】
1H−NMR(600MHz,CDCl3):δ
H[ppm]2.40(s,3H),3.01(s,3H),3.72(t,J=6.0Hz,2H),4.21(d,J=5.8Hz,2H),6.59(d,J=9.0Hz,2H),7.24(d,J=8.2Hz,2H),7.66−7.70(m,4H),9.75(s,1H).
中間体6
窒素を、中間体
5(3.000g、8.99mmol)、アセトニトリル(20ml)及びトリエチルアミン(9.105g、89.9mmol)の混合物に5分間吹き込んだ。混合物を72時間にわたって加熱還流した。冷却すると、反応混合物をトルエン(150ml)に注ぎ、30分間撹拌した。スラリーをろ過し、固体を真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、中間体
6を灰白色の固体として得た(3.00g、NMRにより99%純粋、77%の収率)。
【0189】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]1.29(t,J=7.2Hz,9H),2.28(s,3H),3.08(s,3H),3.36(t,J=8.3Hz,2H),3.47(q,J=7.3Hz,6H),3.99(t,J=7.1Hz,2H),6.71(d,J=8.8Hz,2H),7.07(d,J=8.2Hz0,2H),7.68−7.72(m,4H),9.76(s,1H).
化合物実施例3
窒素を、中間体
6(0.680g、1.565mmol)及びN,N’−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン(0.234g、1.72mmol)の無水メタノール(2ml)における溶液に5分間吹き込んだ。酢酸(0.05ml)を加え、窒素を反応混合物に5分間吹き込んだ。混合物を室温で一晩撹拌した。窒素を、水酸化ナトリウム(43mg、1.08mmol)の水(5ml)における溶液に5分間吹き込んだ。その後、この溶液を反応混合物に加えた。反応混合物を、アセトニトリルを溶離液として使用するC18逆相シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
化合物実施例3を含有する一緒にした分画物を減圧下で蒸発乾固した。残渣を水(50ml)に溶解し、トルエンにより洗浄し(2回、20ml)、一定流の窒素のもとでジクロロメタンにより抽出した(2回、30ml)。ジクロロメタン溶液を減圧下で濃縮乾固した。残渣を真空オーブンにおいて室温で16時間乾燥して、
化合物実施例3を灰白色の固体として得た(0.364g、NMRにより99%純粋、42%の収率)。
【0190】
1H−NMR(600MHz,CDCl3):δ
H[ppm]1.31(t,J=7.4Hz,9H),2.29(s,3H),2.53(s,6H),2.99(s,3H),3.37(t,J=7.6Hz,2H),3,48(q,J=7.4Hz,6H),3.84(t,J=7.0Hz,2H),4.77(s,1H),6.42−6.39(m,2H),6.68−6.72(m,2H),6.72−6.74(m,2H),7.09(d,J=7.8Hz,2H),7.41−7.44(m,2H),7.77(d,J=8.1Hz,2H).
化合物実施例4
【化15】
【0191】
窒素を、4−[2−(シアノエチル)メチルアミノ]ベンズアルデヒド(3.000g、15.93mmol)及びN,N’−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン(2.17g、15.93mmol)の無水テトラヒドロフラン(5ml)における溶液に5分間吹き込んだ。メタノール(6ml)及び酢酸(0.15ml)を加え、窒素を反応混合物に10分間吹き込み、混合物を室温で16時間撹拌した。窒素を、水酸化セシウム一水和物(8.02g、47.81mmol)の水(10ml)及びイソプロパノール(15ml)における溶液に10分間吹き込んだ。水酸化物溶液を反応混合物に加え、90℃に24時間加熱した。冷却すると、反応混合物を減圧下で蒸発乾固した。残渣をアセトニトリル(30ml)とともに粉砕して、アセトニトリルをデカンテーションにより除いた。残渣を水に溶解し、水から、水:メタノール(1:1)へのグラジエントを溶離液として使用するC18逆相シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
化合物実施例4を含有する一緒にした分画物を減圧下で蒸発乾固した。残渣を、最初はエタノール(50ml)を加え、続いてはアセトニトリル(50ml)を加えることによる減圧下での蒸発乾固によって乾燥した。残渣を真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、
化合物実施例4を灰白色の固体として得た(2.23g、NMRにより90%純粋、31%の収率)。
【0192】
1H−NMR(600MHz MeOH−D4):δ
H[ppm]2.41(t,J=7.5Hz,2H),2.49(s,6H),2.97(s,3H),3.67(t,J=7.5Hz,2H),4.59(s,1H),6.39−6.42(m,2H),6.61−6.65(m,2H),6.80(d,J=8.7Hz,2H),7.36(d,J=8.6Hz,2H).
化合物実施例5
【化16】
【0193】
中間体9:
窒素を、ボロン酸エステル
7(6.4g、7.0mmol)及びジブロミド
8(2.5g、3.0mmol)のトルエン(60ml)における溶液に30分間吹き込んだ。酢酸パラジウム(2.1mg、0.01mmol)、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン(12.9mg、0.04mmol)及びaliquat336(31.0mg、0.08mmol)を、脱気トルエン(20ml)を使用して加えた。窒素を混合物に30分間吹き込んだ。混合物を90℃にまで加熱し、脱気した炭酸ナトリウムの溶液(15ml、10%水溶液、15.0mmol)を加えた。反応混合物を90℃で一晩撹拌した。その後、反応混合物を室温にまで冷却し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(1.67g、7.4mmol)の(33mlの水における)溶液を反応混合物に加えた。混合物を80℃で2時間撹拌し、室温にまで冷却した。相を分離し、有機相を40℃での水により洗浄し(3回)、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルを溶離液として使用する塩基性アルミナでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、88%のHPLC純度を有する6.4gの中間体
9を得た(94%の収率)。
【0194】
中間体10:
中間体
9(6.4g、2.87mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)における溶液を0℃にまで冷却した。テトラヒドロフラン(20ml)における溶液でのフッ化テトラブチルアンモニウム(3.0g、11.46mmol)を滴下して加えた。混合物を0℃で1.5時間撹拌し、水(70ml)を混合物に加えた。テトラヒドロフランを留去し、残渣をトルエン(50ml)、酢酸エチル(20ml)及びジクロロメタン(30ml、2回)により抽出した。一緒にしたトルエン相及び酢酸エチル相を水により洗浄した(3回)。一緒にしたジクロロメタン相を水により洗浄した(3回)。一緒にした有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、アセトニトリルから、30%テトラヒドロフラン/アセトニトリルへのグラジエントを溶離液として使用するC18逆相シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。中間体
10を含有する分画物を一緒にし、減圧下で濃縮し、ヘプタンとともに撹拌し、ろ過して、HPLCによる96.9%の純度を有する2.16gの中間体
10を得た(39%の収率)。
【0195】
中間体12:
窒素を、中間体
10(2.16g、1.12mmol)、炭酸カリウム(0.62g、4.50mmol)及び18−クラウン−6(0.059g、0.22mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)における混合物に30分間吹き込んだ。混合物を70℃に加熱し、脱気したN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)における溶液での中間体
11(1.76g、3.37mmol)を混合物に加えた。混合物を、窒素を混合物に吹き込みながら70℃で4時間撹拌した。混合物を室温にまで冷却し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水により洗浄し(3回)、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、50%ヘプタン/酢酸エチル、続いて10%メタノール/酢酸エチルを溶離液として使用する塩基性アルミナでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物を、酢酸エチルから、10%メタノール/酢酸エチルへのグラジエントを溶離液として使用する塩基性アルミナでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、1gの中間体
12を得た(34%の収率)。
【0196】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ[ppm]1.26(t,12H),1.35−1.42(m,4H),1.42−1.49(m,4H),1.56−1.64(m,4H),1.70−1.77(m,4H),2.47−2.54(m,16H),3.0(s,12H),3.34(s,12H),3.51(m,8H),3.59−3.65(m,16H),3.72(m,8H),3.84(t,8H),3.88(4H),4.13(t,8H),4.24(q,8H),4.69(s,2H),6.24(s,2H),6.31(d,J=7.50Hz,2H),6.48(d,J=7.50Hz,2H),6.74(d,J=8.38Hz,4H),6.76(d,J=8.38Hz,4H),6.83,(d,J=8.83Hz,4H),7.17(d,J=8.83Hz,4H),7.22−7.29(m,6H),7.35(d,J=6.84Hz,4H),7.41(d,J=8.39Hz,4H),7.47−7.53(m,4H),7.54(s,2H),7.57(s,2H),7.60(d,J=1.82Hz,4H),7.75(d,J=7.76Hz,6H).
化合物実施例5:
窒素を、中間体
12(1.00g、0.382mmol)及びテトラヒドロフラン(5ml)の溶液に5分間吹き込んだ。水酸化セシウム一水和物(0.769g、4.581mmol)の水(1ml)及びメタノール(2ml)における溶液を溶液に加えた。窒素を混合物に10分間吹き込み、その後、混合物を70℃に16時間加熱した。冷却すると、混合物を減圧下で蒸発乾固した。残渣を一定流の窒素のもと、水(30ml)とともに粉砕した。脱気したアセトニトリル(50ml)を残渣に加え、混合物を蒸発乾固した。残渣を真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、
化合物実施例5を白色の固体として得た(0.370g、NMRにより95%純粋、32%の収率)。
【0197】
1H−NMR(600MHz,MeOH−D
4):δ
H[ppm]1.31−1.36(m,4H),1.40−1.45(m,4H),1.57−1.59(m,4H),1.64−1.70(m,4H),2.39(s,6H),2.40(s,6H),2.46(t,J=7.5Hz,4H),2.92(s,12H),3.26(s,12H),3.46(m,8H),3.51−3.57(m,16H),3.60(m,8H),3.74(m,8H),3.82(t,J=6.2Hz,4H),4.05−4.12(m,8H),4.49(s,2H),6.23−6.29(m,3H),6.42(d,J=7.7Hz,2H),6.72−6.78(m,7H),6.82−6.86(m,4H),7.08−7.12(m,8H),7.19−7.23(m,6H),7.29−7.35(m,5H),7.40(d,J=7.5Hz,2H),7.46(d,J=7.6Hz,2H),7.49−7.56(m,6H),7.74(d,J=7.5Hz,4H),7.80(d,J=7.3Hz,2H).
化合物実施例6
【化17】
【0198】
中間体13
窒素を、中間体
3(1.00g、4.802mmol)及び4−ジエチルアミノベンズアルデヒド(0.85g、4.802mmol)の無水メタノール(3ml)における懸濁物に10分間吹き込んだ。酢酸(0.1ml)を加え、窒素を反応混合物に5分間吹き込んだ。反応液を室温で5時間撹拌し、その後、0℃に冷却し、脱気したメタノール(4ml)を加えた。混合物を5分間撹拌し、ろ過した。固体を冷メタノール(20ml)により洗浄し、真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、中間体
13を灰白色の固体として得た(1.30g、NMRにより99%純粋、74%の収率)。
【0199】
1H−NMR(600MHz,CDCl3):δ
H[ppm]1.18(t,J=7.0Hz,6H),1.36(t,J=7.1Hz,3H),2.59(s,6H),3.37(q,J=7.1Hz,4H),4.29−4.34(m,2H),5.08(s,1H),6.28(2,J=7.9Hz,1H),6.66−6.69(m,2H),6.95(d,J=2.0Hz,2H),7.29−7.32(m,2H),7.50(dd,J=7.5Hz,J=1.5Hz,1H).
化合物実施例6
窒素を、中間体
13(1.200g、3.268mmol)及びテトラヒドロフラン(5ml)の混合物に5分間吹き込んだ。水酸化セシウム一水和物(1.646g、9.803mmol)の水(1ml)及びメタノール(2ml)における溶液。窒素を混合物に10分間吹き込み、混合物を70℃に16時間加熱した。冷却すると、混合物を減圧下で蒸発乾固した。残渣を水に溶解し、水から、水:メタノール(1:1)へのグラジエントを使用するC18逆相シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
化合物実施例6を含有する一緒にした分画物を減圧下で蒸発乾固した。残渣をアセトニトリル(20ml)とともに粉砕し、ろ過し、真空オーブンにおいて50℃で16時間乾燥して、1.154gの
化合物実施例6をNMRによる99%の純度で白色の粉末として得た(75%の収率)。
【0200】
1H−NMR(600MHz,MeOH−D4):δ
H[ppm]1.16(t,J=6.8Hz,6H),2.53(s,3H),2.54(s,3H),3.40(q,J=7.4Hz,4H),4.74(s,1H),6.34(d,J=8.0Hz,1H),6.71−6.74(m,2H),6.04(d,J=1.5Hz,1H),7.32−7.34(m,2H),7.41(dd,J=8.0Hz,J=1.5Hz,1H).
化合物実施例7
化合物実施例1のCs+カチオンをLi+カチオンに交換して、下記の化合物実施例7を得た:
【化18】
【0201】
配合物実施例
配合物を、化合物実施例1及びアクセプターポリマー1をメタノール溶媒に溶解して、アクセプターポリマー1/化合物実施例1の組成物の0.4wt%濃度の溶液を形成することによって形成した。
【0202】
アクセプターポリマー1:化合物実施例1の重量比が、90:10、80:20、70:30、60:40、及び50:50である配合物を形成させた。
【0203】
アクセプターポリマー1は下記の構造を有する:
【化19】
【0204】
アクセプターポリマー1を、それぞれ50mol%の下記モノマーの、国際公開第00/53656号に開示されるようなSuzuki重合を行って、前駆体ポリマーを形成させ、続いて、前駆体ポリマーを加水分解することによって形成させた:
【化20】
【0205】
ポリマーを加水分解するために、窒素を113mlのテトラヒドロフランに、42mlのメタノールに、そして、水酸化セシウム一水和物(0.80g、4.73mmol)の、3.4mlの水における溶液に30分間吹き込んだ。2.24gの前駆体ポリマーをテトラヒドロフランに懸濁し、65℃にまで加熱した。混合物を、ポリマーが完全に溶解するまで撹拌した。メタノールを滴下して加え、続いて、水酸化セシウム溶液を加えた。混合物を65℃で16時間撹拌し、室温にまで冷却した。溶液をろ過し、濃縮して42mlにした。これを800mlのジエチルエーテルの中に沈殿させた。スラリーを10分間撹拌し、ろ過した。ポリマーを真空オーブンにおいて50℃で一晩乾燥して、2.52gのアクセプターポリマー1を得た(96%の収率)。
【0206】
デバイス実施例1
下記の構造を有する緑色りん光デバイスを調製した:
ITO/HIL(50nm)/LEL(80nm)/EIL(20nm)/Ag(100nm)
上記構造において、ITOはインジウムスズ酸化物のアノードであり、HILは正孔注入層であり、EILは電子注入層であり、LELは発光層である。
【0207】
デバイスを形成するために、ITOを備える基板を、UV/オゾンを使用して洗浄化した。正孔注入層を、Nissan Chemical Industries社から入手可能な正孔注入材料の水性配合物をスピンコーティングし、得られた層を加熱することにより形成させた。発光層を、ホストポリマー1及び緑色りん光放射体1を発光性ドーパントとともにグローブボックスにおいてキシレン溶液からスピンコーティングすることによって形成させた。電子注入層を、アクセプターポリマー1及び化合物実施例1の配合物を表1に示されるような比率でメタノール溶液からスピンコーティングすることによって形成させた。カソードを銀の蒸着によって形成させた。
【0208】
電子注入層をスピンコーティングした後、EILをグローブボックスにおいて80℃で10分間乾燥し、続いて、カソードを真空における熱蒸着によって堆積させた。
【0209】
その後、デバイスを封入し、80℃で10分間加熱した。
【表1】
【0210】
ホストポリマー1は、下記モノマーの、国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合によって形成されるブロックコポリマーである:
ブロック1:
【化21】
【0212】
緑色りん光放射体1は下記の構造を有する:
【化23】
【0213】
図面の
図2を参照すると、図では、ドーパントの化合物実施例1が「D1」として示され、アクセプターポリマー1が「A1」として示されるが、n型ドーパントの濃度は、デバイスの発光の色に対して影響をほとんど有していない。
【0214】
図3〜
図6を参照すると、n型ドーパントの濃度を増大させることにより、デバイスの電気伝導率における増大がもたらされており、このことは、n型ドーパントの濃度がより高い場合には、n型ドーピングの程度がより大きいことを示している。
【0215】
デバイス実施例2
下記の構造を有する白色発光素子を調製した:
ITO/HIL(35nm)/HTL(22nm)/LEL(65nm)/EIL(20nm)/Ag(100nm)
上記構造において、ITOはインジウムスズ酸化物のアノードであり、HILは正孔注入層であり、HTLは正孔輸送層であり、LELは発光層であり、EILは電子注入層である。
【0216】
デバイスを、正孔輸送層が、正孔輸送ポリマー1をキシレン溶液からスピンコーティングし、ポリマーを加熱により架橋することによってHILとLELとの間に形成され、且つ、LELが、白色ポリマー1をキシレン溶液からスピンコーティングすることによって形成されたことを除いて、デバイス実施例1について記載されるように形成させた。
【0217】
アクセプターポリマー1:化合物実施例1の重量比が、表2に示される通りであった。カソードを銀の蒸着によって形成させた。
【表2】
【0218】
比較目的のために、比較用デバイス2を、電子注入層が形成されず、且つ、銀のカソードが発光層に直接に形成されたことを除いて、上記で記載されるように形成させた。
【0219】
正孔輸送ポリマー1を、式 の1,4−ジアルキルフェニレン繰り返し単位体と、 に記載されるようなアミン繰り返し単位体と、架橋可能な基により置換される2,7−結合したフルオレン繰り返し単位体との、国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合によって形成させた。
【0220】
白色ポリマー1を、下記モノマーの、国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合によって形成させた:
【化24】
【0221】
図7を参照すると、比較用デバイス2の放射は、デバイス実施例2A及びデバイス実施例2Bの放射とは非常に異なっており、このことは、発光層における電荷(正孔及び電子)バランスに対する影響を示している。
【0222】
図8〜
図10を参照すると、デバイス実施例2A及びデバイス実施例2Bは、比較用デバイス2又は比較用デバイス2Aのいずれよりも大きい、所与の電圧における電流密度、外部量子効率及び輝度を与えている。
図11を参照すると、ドーパント濃度を増大させることにより、所与の輝度を達成するために要求される出力密度が低下する。
【0223】
デバイス実施例3
青色発光デバイスを、LELが、青色ポリマー1をキシレン溶液からスピンコーティングすることによって形成されたことを除いて、デバイス実施例2について記載されるように形成させた。
【0224】
アクセプターポリマー1:化合物実施例1の重量比が、表3に示される通りであった。カソードを銀の蒸着によって形成させた。
【表3】
【0225】
比較目的のために、比較用デバイス3を、電子注入層が形成されず、且つ、銀のカソードが発光層に直接に形成されたことを除いて、上記で記載されるように形成させた。
【0226】
青色ポリマー1は、国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合によって形成される下記の構造を有する、2,7−結合したフルオレン繰り返し単位及びアミン繰り返し単位を含む青色蛍光ポリマーである:
【化25】
【0227】
図12を参照すると、光が比較用デバイス3からは認められなかった。非常に類似するスペクトルが、他のすべてのデバイスについては得られた。
【0228】
図13〜
図15を参照すると、電流密度、外部量子効率及び輝度が、例示的デバイスについては所与の電圧において、比較用デバイスの場合よりも大きい。
【0229】
図16を参照すると、ドーパント濃度を増大させることにより、所与の輝度における出力密度が低下する。
【0230】
デバイス実施例4
下記の構造を有するデバイスを調製した:
ITO/HIL(50nm)/LEL(80nm)/EIL(20nm)/Ag(100nm)
デバイスを、上記で記載されるプロセスに従って形成させた。
【0231】
発光層を、ホストポリマー1及び緑色りん光放射体1(上記)の組成物をキシレン溶液からスピンコーティングすることによって形成させた。
【0232】
EILを、上記のアクセプターポリマー1(80wt%)及びNADH(20wt%)の組成物をメタノール溶液からスピンコーティングすることによって形成させた:
【化26】
【0233】
比較用デバイス4Aを、電子注入層が形成されなかったことを除いて、デバイス実施例4の場合と同様に形成させた。
【0234】
比較用デバイス4Bを、NADHが電子注入層に含まれなかったことを除いて、デバイス実施例4の場合と同様に形成させた。
【0235】
図17を参照すると、電子注入層を含有しない比較用デバイス4A(
図17における実線)は、比較用デバイス4B(破線)又はデバイス実施例4(点線)のどちらの場合よりもはるかに低い外部量子効率を有しており、デバイス実施例4は、比較用デバイス4Bと比較した場合、類似するEQEをより低い電圧において有し、且つ、有意により大きいEQEをより高い電圧において有する。より大きいピーク効率が、比較用デバイス4A又は比較用デバイス4Bのどちらよりもデバイス実施例4によって達成される。
【0236】
デバイス実施例5A
青色発光OLEDを、電子注入層が、化合物実施例1(30wt%)及びアクセプターポリマー1(70wt%)をスピンコーティングすることによって5nmの厚さに形成されたことを除いて、デバイス実施例3において記載されるように調製した。
【0237】
デバイス実施例5B
デバイスを、化合物実施例4が化合物実施例1の代わりに使用されたことを除いて、デバイス実施例5Aについて記載されるように調製した。
図18を参照すると、デバイス実施例5Aの電流密度が、デバイス実施例5Bの電流密度よりも有意に大きい。どのような理論によってでもとらわれることを望まないが、式(I)の化合物のイオン基とベンゾイミダゾール基との間の距離がドーパントのn型ドーピング強度に影響を及ぼしているかもしれない。
【0238】
デバイス実施例6A〜6C
下記の構造を有するデバイスを調製した:
ITO/HBL(10nm)/LEL(100nm)/EIL(10nm)/Ag(100nm)
上記構造において、ITOはインジウムスズ酸化物のアノードであり、HBLは正孔阻止層であり、EILは電子注入層であり、LELは発光層である。
【0239】
電子電流が、正孔阻止層がアノードと発光層との間に存在するために優位である。
【0240】
デバイスを形成するために、ITOを備える基板を、UV/オゾンを使用して洗浄化した。正孔阻止層を、下記において例示される正孔阻止ポリマー1をスピンコーティングし、得られた層を加熱することによって形成させた。発光層を、青色ポリマー1をグローブボックスにおいてキシレン溶液からスピンコーティングすることによって形成させた。電子注入層を、アクセプターポリマー1及び表4に示されるような化合物の配合物をグローブボックスにおいてスピンコーティングし、続いて80℃で10分間乾燥することによって形成させた。カソードを銀の蒸着によって形成させた。
【0241】
その後、デバイスを封入し、80℃で10分間加熱した。
【化27】
【0243】
図19を参照すると、化合物実施例1及び化合物実施例2を使用する場合の電流密度が、化合物実施例7を用いる場合の電流密度よりも大きい。どのような理論によってでもとらわれることを望まないが、対カチオンのサイズがドーパントのドーピング強度に影響を及ぼしているかもしれない。
【0244】
本発明が、具体的な例示的実施形態に関して記載されているが、本明細書中に開示される特徴の様々な改変、変更及び/又は組合せが、下記の請求項において示されるような本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうことが理解されるであろう。