(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、前記アクチュエータシステムは、第1の方向及び前記第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に電子ビームコラムの位置を変化させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記電子ビームコラムのうち少なくとも1つは、前記第1及び第2の移動可能構造の移動範囲よりも小さい移動範囲を有するショートストロークアクチュエータに接続されている、請求項13に記載の装置。
複数のセンサを更に備え、前記センサの各々は、隣接する電子ビームコラムに対する関連付けられた電子ビームコラムの位置の決定を可能とするため距離を測定するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0019] 実施形態を詳細に説明する前に、実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有益である。
【0022】
[0020]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、
− 放射ビームB(例えばDUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTaと、
− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0023】
[0021] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0024】
[0022] パターニングデバイス支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイス支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。パターニングデバイス支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。パターニングデバイス支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置に来るようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0025】
[0023] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0026】
[0024] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0027】
[0025] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0028】
[0026] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0029】
[0027] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上のテーブル(例えば、2つ以上の基板テーブル、2つ以上のパターニングデバイス支持構造、又は基板テーブル及びメトロロジーテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0030】
[0028] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で使用することができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0031】
[0029]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼ぶことができる。
【0032】
[0030] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えていてもよい。一般に、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0033】
[0031] 放射ビームBは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTaを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。一般に、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTaの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。
【0034】
[0032] パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。小さなアライメントマーカをデバイスフィーチャの中でもダイ内に含めることができ、その場合、マーカは可能な限り小さく、隣接したフィーチャと異なる結像又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカを検出するアライメントシステムの一実施形態を、以下で更に説明する。
【0035】
[0033] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
− ステップモードでは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MT又は基板テーブルWTaは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTaがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
− スキャンモードでは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MT又は基板テーブルWTaは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTaの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
− 別のモードでは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTaを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTaを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0036】
[0034] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0037】
[0035] リソグラフィ装置LAは、2つのテーブルWTa、WTb(例えば2つの基板テーブル)、並びに2つのステーション、すなわち露光ステーション及び測定ステーションを有する、いわゆるデュアルステージタイプであり、これらのテーブルは2つのステーション間で交換可能である。例えば、露光ステーションで一方のテーブル上の基板を露光している間に、測定ステーションで他方の基板テーブルに別の基板をロードし、様々な準備ステップを実行することができる。準備ステップは、レベルセンサLSを用いて基板の表面制御をマッピングすること、及びアライメントセンサASを用いて基板上のアライメントマークの位置を測定することを含み得る。これら双方のセンサは基準フレームRFによって支持されている。テーブルが測定ステーション及び露光ステーションにある間に位置センサIFがテーブルの位置を測定できない場合は、テーブルの位置を双方のステーションで追跡可能とするため、第2の位置センサを提供することができる。別の例として、露光ステーションで一方のテーブル上の基板を露光している間に、測定ステーションで別のテーブルは基板なしで待機する(任意選択的に測定動作が実行される場合がある)。この他方のテーブルは1つ以上の測定デバイスを有し、任意選択的に他のツール(例えば洗浄装置)も有し得る。基板の露光が完了すると、基板なしのテーブルは露光ステーションに移動して、例えば測定を実行し、基板を有するテーブルは、基板がアンロードされると共に別の基板がロードされる位置(例えば測定ステーション)に移動する。これらのマルチテーブル構成によって、装置のスループットの大幅な増大が可能となる。
【0038】
[0036]
図2に示されているように、リソグラフィ装置LAは、リソセル(lithocell)又はクラスタと呼ばれることもあるリソグラフィセルLCの一部を形成し得る。リソグラフィセルLCは、基板に1つ以上のパターン転写前プロセス及びパターン転写後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらには、レジスト層を堆積する1つ以上のスピンコータSC、パターン付与されたレジストを現像する1つ以上のデベロッパDE、1つ以上のチルプレート(chill plate)CH、及び1つ以上のベークプレート(bake plate)BKが含まれる。基板ハンドラすなわちロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、それらを様々なプロセスデバイス間で移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBに引き渡す。これらのデバイスは、まとめてトラックと称されることも多く、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自体は監督制御システムSCSによって制御される。SCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。従って、これら様々な装置は、スループット及び処理効率を最大化するように動作させることができる。
【0039】
[0037] 更に、多くの場合、例えばパターニングプロセスの設計、制御、監視等を可能とするためパターニングプロセスをモデル化することが望ましい。従って、典型的にパターン転写ステップを含むパターニングプロセスの1つ以上のステップを記述する1つ以上の数学モデルを提供することができる。一実施形態においては、1つ以上の数学モデルを用いてパターニングプロセスのシミュレーションを実行し、パターニングデバイスにより提供される測定パターン又は設計パターンを用いてパターニングプロセスがどのようにパターン付き基板を形成するかをシミュレーションすることができる。
図13に、リソグラフィ投影装置においてリソグラフィをモデル化及び/又はシミュレーションするための例示的なフローチャートが示されている。認められるように、これらのモデルは異なるパターニングプロセスを表現することができ、以下に記載される全てのモデルを含む必要はない。ソースモデル1300は、パターニングデバイスの照明の光学的特徴(放射強度分布、帯域幅、及び/又は位相分布を含む)を表現する。ソースモデル1300は、限定ではないが、開口数設定、照明シグマ(σ)設定、及び任意の特定の照明形状(例えば輪帯(annular)、四極、ダイポール等の軸外放射形状)を含む照明の光学的特徴を表現できる。投影光学系モデル1310は、投影光学系の光学的特徴(投影光学系によって放射強度分布及び/又は位相分布に生じる変化)を表現する。投影光学系モデル1310は、収差、ディストーション、1つ以上の屈折率、1つ以上の物理的サイズ、1つ以上の物理的寸法等を含む投影光学系の光学的特徴を表現できる。設計レイアウトモデル1320は、パターニングデバイス上のフィーチャ又はパターニングデバイスによって形成されるフィーチャの構成の表現である設計レイアウトの光学的特徴(所与の設計レイアウトによって放射強度分布及び/又は位相分布に生じる変化)を表現する。設計レイアウトモデル1320は、例えば米国特許第7,587,704号(これは参照により全体が本願に含まれる)に記載されているように、物理パターニングデバイスの1つ以上の物理特性を表現できる。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスは変更される可能性があるので、パターニングデバイスの光学特性を、少なくとも照明光学系及び投影光学系を含むリソグラフィ投影装置の残り部分の光学特性から分離することが望ましい。
【0040】
[0038] ソースモデル1300、投影光学系モデル1310、及び設計レイアウトモデル1320から、空間像1330をシミュレーションすることができる。空間像(AI:aerial image)は、基板レベルにおける放射強度分布である。リソグラフィ投影装置の光学特性(照明、パターニングデバイス、及び投影光学系の特性)が空間像を決定付ける。
【0041】
[0039] 基板上のレジスト層は空間像によって露光され、空間像は潜像の「レジスト像」(RI:resist image)としてレジスト層に転写される。レジスト像(RI)は、レジスト層におけるレジストの溶解度の空間分布と定義することができる。レジストモデル1340を用いて、空間像1330からレジスト像1350をシミュレーションできる。レジストモデルを用いて空間像からレジスト像を計算することができる。その例は米国特許出願公報US2009−0157360号で見ることができる。この開示は参照により全体が本願に含まれる。レジストモデルは典型的に、レジスト層の特性にのみ関連する(例えば、露光中、露光後ベーク中、及び現像中に発生する化学プロセスの効果)。
【0042】
[0040] リソグラフィのシミュレーションによって、例えばレジスト像におけるコンター及び/又はCDを予測できる。従ってシミュレーションの目的は、例えばプリントされたパターンのエッジ配置、及び/又は空間像強度勾配、及び/又はCD等を正確に予測することである。これらの値を意図される設計と比較して、例えばパターニングプロセスを補正すること、どこで欠陥の発生が予測されるか識別すること等が可能となる。意図される設計は一般に、GDSII又はOASIS又は他のファイルフォーマット等の標準化デジタルファイルフォーマットで提供することができるOPC前設計レイアウトとして定義される。
【0043】
[0041] 設計レイアウトから、「クリップ」と称される1つ以上の部分を識別することができる。一実施形態では、設計レイアウトにおいて複雑なパターンを表現するクリップのセットが抽出される(例えば約500から800,000のクリップであるが、任意の数のクリップを使用できる)。これらのパターン又はクリップは、設計の小さい部分(すなわち回路、セル、又はパターン)を表現し、より具体的には、クリップは典型的に、特に注意及び/又は検証が必要である小さい部分を表現する。言い換えれば、クリップは、1つ以上のクリティカルフィーチャが経験によって識別された(カスタマが提供したクリップを含む)か、試行錯誤によって識別されたか、又はチップ全体のシミュレーションを実行することによって識別された設計レイアウトの部分であるか、又は同様の部分であるか、又は設計レイアウトの部分の同様の挙動を有することができる。クリップは、1つ以上のテストパターン又はゲージパターンを含み得る。プリントされた場合に欠陥を有すると予測されるクリップは、ホットスポットと称される。
【0044】
[0042] 例えば、特に注意を要する設計レイアウト内の1つ以上の既知のクリティカルフィーチャエリアに基づいて、大きい初期クリップセットをカスタマによってアプリオリに提供することができる。あるいは、別の実施形態では、1つ以上のクリティカルフィーチャエリアを識別するある種の自動化(マシンビジョン等)又は手作業のアルゴリズムを用いることで、設計レイアウト全体から大きい初期クリップセットを抽出することができる。
【0045】
[0043] 更に、リソグラフィ装置によって処理される(例えば露光される)基板を正確にかつ一貫して処理するため、処理済みの基板を検査して、連続した層間のオーバーレイエラー、ラインの太さ、クリティカルディメンション(CD)のような1つ以上の特性を測定することが望ましい。エラーが検出された場合、1つ以上の後続基板の処理に対して調整を行うことができる。これは、例えばインスペクションを迅速かつ高速に実行できるために同一バッチ内の別の基板がまだ処理されていない場合、特に有用であり得る。また、既に処理済みの基板を(歩留まりを向上させるため)はぎ取って再加工するか、又は廃棄することで、不良であるとわかっている基板上にパターン転写を実行することを回避できる。1枚の基板のいくつかのターゲット部分のみが不良である場合は、良好なターゲット部分にのみ更にパターン転写を実行することができる。別の可能性は、エラーを補償するように以降のプロセスステップの設定を適合させることである。例えば、リソグラフィプロセスステップによって生じた基板ごとのCD変動を補償するように、トリムエッチステップの時間を調整することができる。
【0046】
[0044] 同様に、パターニングデバイス(例えばレチクル)を検査して、パターニングデバイス上のパターンにエラーが存在するか否かを決定することができる。そのようなインスペクションによって、位置合わせエラー(例えば、設計された配置に対するパターニングデバイス上に「描画された(written)」パターンの部分の配置の差)及び/又はパターニングデバイス上のパターンのフィーチャの寸法(例えばフィーチャ幅、フィーチャ長さ等)を決定することができる。
【0047】
[0045] インスペクション装置を用いて、基板の1つ以上の特性を決定する。具体的には、異なる基板の1つ以上の特性又は同一基板の異なる層の1つ以上の特性が、層ごとに及び/又は1枚の基板において及び/又は異なる基板において、例えば基板ごとに、どのように異なっているかを決定する。インスペクション装置は、リソグラフィ装置LAもしくはリソセルLCに一体化するか、又はスタンドアロンのデバイスとすることができる。最も迅速な測定を可能とするため、インスペクション装置は、パターン転写直後のパターン付きレジスト層において1つ以上の特性を測定することが望ましい。しかしながら、レジストにおける潜像パターンは極めて低いコントラストを有し得る。例えば、放射に露光されたレジストの部分と露光されていない部分との屈折率には極めて小さい差しかなく、全てのインスペクション装置が潜像パターンの有用な測定を行うのに充分な感度を有するわけではない。従って、習慣的にパターン付き基板に実行される最初のステップであり、例えばレジストの露光済み部分と未露光部分とのコントラストを増大させる露光後ベークステップ(PEB:post−exposure bake step)の後に、測定を行うことができる。この段階では、レジスト内のパターンを半潜像(semi−latent)と呼ぶことができる。また、現像後のレジスト像に(この時点では、例えばレジストの露光済み部分もしくは未露光部分のいずれかが除去されている)、又はエッチング等のパターン転写ステップの後に、測定を行うことも可能である。後者の可能性は、不良の基板を再加工する確率を制限するが、それでもなお、例えばプロセス制御の目的のために有用な情報を提供できる。
【0048】
[0046] オブジェクト(例えば半導体基板、パターニングデバイス等)の1つ以上の特性を決定するインスペクション装置は、様々な異なる形態をとり得る。例えばインスペクション装置は、光子電磁放射を用いてオブジェクトを照明し、オブジェクトによって方向転換された放射を検出できる。そのようなインスペクション装置をブライトフィールドインスペクション装置と呼ぶことができる。ブライトフィールドインスペクション装置は、例えば150〜900nmの範囲内の波長を有する放射を使用できる。このインスペクション装置は画像ベースである、すなわちオブジェクトの画像を取得する、及び/又は回折ベースである、すなわち回折放射の強度を測定する場合がある。インスペクション装置は、製品フィーチャ(例えば、基板を用いて形成される集積回路のフィーチャ、又はマスクのフィーチャ)、及び/又は特定の測定ターゲット(例えば、オーバーレイターゲット、焦点/ドーズターゲット、CDゲージパターン等)を検査することができる。
【0049】
[0047] 例えば半導体ウェーハのインスペクションは、主として光学系ベースのサブレゾリューションツール(ブライトフィールドインスペクション)を用いて実行される。しかしながら場合によっては、測定対象のいくつかのフィーチャは、ブライトフィールドインスペクションを用いて有効に測定するには小さすぎる。例えば、半導体デバイスのフィーチャにおける欠陥のブライトフィールドインスペクションは困難である可能性がある。更に、時間の経過と共に、パターニングプロセスを用いて作製されるフィーチャ(例えばリソグラフィを用いて作製される半導体フィーチャ)は小型化しており、多くの場合フィーチャ密度も高くなっている。従って、ブライトフィールドインスペクションの解像度の限界により、将来の半導体ノードでは、小さい欠陥(例えばパターン形状欠陥、電気的欠陥等)を測定するため、並びにそれらのノードの更に小型化したフィーチャ及び/又は高密度化したフィーチャを測定するために、現在の光学インスペクションのスケーラビリティが求められる。更に、ブライトフィールドインスペクションは比較的低い捕捉率(capture rate)を有し、及び/又は、所与の捕捉率では妨害率(nuisance rate)が増大する可能性があり、これは、ブライトフィールドインスペクションの使用に費やされる時間とコストの増大を招く恐れがある。
【0050】
[0048] 従って、より高い解像度のインスペクション技法が使用され、かつ望まれている。インスペクション技法の一例は電子ビームインスペクションである。電子ビームインスペクションは、検査対象のオブジェクト上の小さいスポットに電子のビームを合焦させることを含む。検査されるオブジェクトのエリア上でビームとオブジェクトとの相対的な移動を行い(以降、電子ビームのスキャンと称する)、二次電子及び/又は後方散乱電子を電子検出器で収集することによって、画像が形成される。次いで画像データを処理して、例えば欠陥を識別する。
【0051】
[0049] 従って一実施形態において、インスペクション装置は、オブジェクト上の構造(集積回路のようなデバイスの構造のいくつか又は全て)の画像を生成する電子ビームインスペクション装置(例えば走査電子顕微鏡(SEM)と同一又は同様)である可能性がある。
図3は電子ビームインスペクション装置200の一実施形態を示す。電子源201から発した一次電子ビーム202は、集光レンズ203によって収束され、次いでビーム偏向器204、ExB偏向器205、及び対物レンズ206を通過して、焦点のテーブル101上のオブジェクト100を照射する。
【0052】
[0050] オブジェクト100が電子ビーム202で照射されると、オブジェクト100から二次電子が発生する。二次電子は、例えばExB偏向器205によって偏向され、二次電子検出器207によって検出される。例えば、ビーム偏向器204による電子ビームの2次元スキャンと同期して、又はビーム偏向器204による電子ビーム202のX方向又はY方向の繰り返しスキャンと共にオブジェクト100をX方向又はY方向の他方にテーブル101によって連続的に移動させることと同期して、サンプルから発生した電子を検出することにより、二次元電子ビーム画像を得ることができる。従って一実施形態において、電子ビームインスペクション装置は、電子ビームインスペクション装置が電子ビームを提供できる角度範囲(例えば、偏向器204が電子ビーム202を提供できる角度範囲)によって画定された電子ビームの視野を有する。従って、視野の空間範囲は、電子ビームの角度範囲が表面に入射できる空間範囲である(表面は静止状態であるか、又は視野に対して移動する場合がある)。
【0053】
[0051] 二次電子検出器207によって検出された信号はアナログ/デジタル変換機208によってデジタル信号に変換され、このデジタル信号は画像処理システム300に送信される。一実施形態において、画像処理システム300は、処理ユニット304による処理のためデジタル画像の全て又は一部を記憶するメモリ303を有することができる。処理ユニット304(例えば、特別に設計されたハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせ)は、デジタル画像を、デジタル画像を表すデータセットに変換又は処理するように構成されている。更に、画像処理システム300は、デジタル画像及び対応するデータセットをリファレンスデータベースに記憶するように構成されたストレージ媒体301を有することができる。ディスプレイデバイス302を画像処理システム300に接続することで、オペレータがグラフィカルユーザインタフェースを利用して機器の必要な動作を実行できるようにしてもよい。
【0054】
[0052]
図3に示されている装置は、シングル電子ビームコラムインスペクションシステムの一例である。すなわちこれは、単一の電子ビームを生成、制御、及び検出するシングル電子ビームコラムを有する。しかしながら、シングル電子ビームコラムインスペクションシステムは、標準的な300mmウェーハ等のオブジェクトを検査するために長い時間がかかる可能性がある。これを更に悪化させ得るのは、より小さい欠陥及び/又はフィーチャを測定したいという要望であり、更に小さいビームサイズを必要とすることである。更に小さいビーム又は画素サイズを用いてより小さい欠陥及び/又はフィーチャを検出すると、ノイズ及びスループット損失を招く恐れがある(例えば、オブジェクトに対する損傷を抑制するための電子流低減が原因である)。電子流を増大させるとスループットは増大し得るが、解像度に影響を及ぼす。
【0055】
[0053] 従って、シングル電子ビームコラムインスペクションシステムは、スループット(例えば単位時間当たりのインスペクションエリア)において著しく制約される可能性があり、現在のところ大量生産のためには遅すぎる。例えば、シングル電子ビームコラムインスペクションシステムとブライトフィールドインスペクションとの間には、スループットに約3〜4桁のギャップがあり得る。このため、高いスループットの高解像度インスペクションを提供することが望まれている。一実施形態においては、ブライトフィールドベースのインスペクションに匹敵するスループットを有する電子ビームベースのインスペクションが提供される。
【0056】
[0054] 一実施形態では、特定の電子ビームコラムから複数の電子ビームを提供することによって(以降、マルチビームコラムと称する)、スループットを増大することができる。従って、多数のビームをアレイ/マトリックス状に並べて追加して、個々のビームの個々の視野の倍数である有効視野を生成することにより、電子ビームインスペクション装置の視野を拡大できる。例えばビームを10ミクロンのピッチで提供して、例えば10×10のビームマトリックスを形成し(各々がオブジェクトにおいて10×10ミクロンの視野を有する)、合わせて100×100ミクロンの視野とすることができる。このビームアレイは、10×10ミクロンの視野を有する単一ビームよりも100倍高速でオブジェクトをスキャンすることができる。しかしながら、そのような利得でも充分でない場合がある。
【0057】
[0055]
図4を参照すると、オブジェクト100(例えば半導体ウェーハ、レチクル等)の状況におけるマルチビームコラム電子ビームインスペクションシステムの多数のビームの実装の一例。この場合、オブジェクト100は、各境界125によって識別された複数のフィールド又はダイ120を含む(これらの境界はオブジェクト上で物理的に存在せず、「仮想的な」境界であってもよい)。一実施形態において、1つのダイは、個別のデバイスになるオブジェクトの一部分に相当する。すなわち、オブジェクトが半導体ウェーハである場合、オブジェクトは、複数のダイに相当する複数の部分(pieces)に切断され、各ダイが例えば1つの半導体デバイスになる。一実施形態において、1つのフィールドは、基板にパターン付与するため使用されるリソグラフィ装置の露光フィールドのサイズに相当する。例えばパターニングデバイスが複数のダイを含むパターンを与える場合、1つのフィールドは複数のダイを含み得る。
図4のオブジェクトは極めて概略的であり、通常は図示されているよりも多くのダイ/フィールドを有する。丸いオブジェクトが図示されているが、これは異なる形状であり得る。オブジェクトの幅(例えば直径)は様々に変動し得る。例えば、幅は300nm又は450nmであり得る。一実施形態において、オブジェクトは、約30以上のダイ/フィールド、約40以上のダイ/フィールド、約50以上のダイ/フィールド、約60以上のダイ/フィールド、約70以上のダイ/フィールド、約80以上のダイ/フィールド、約90以上のダイ/フィールド、約100以上のダイ/フィールド、約110以上のダイ/フィールド、約120以上のダイ/フィールド、約130以上のダイ/フィールド、約140以上のダイ/フィールド、約150以上のダイ/フィールド、約160以上のダイ/フィールド、約170以上のダイ/フィールド、約180以上のダイ/フィールド、約190以上のダイ/フィールド、約200以上のダイ/フィールド、約220以上のダイ/フィールド、約240以上のダイ/フィールド、又は約260以上のダイ/フィールドを有する。
【0058】
[0056]
図4に示されているように、複数のビームは組み合わせ視野400を示し、この視野内でこれらのビームがオブジェクト100を検査する。この例では4つのビームがあり、その各々が組み合わせ視野の中にそれ自身の視野を有し、各視野は必ずしも等しいわけではない。この場合、
図4に4つのセグメントで表されているように、各ビームは組み合わせ視野400の中で等しい視野を有する。従って、一実施形態では、これらのビームが欠陥410を含むオブジェクトの様々な部分(例えばフィールド/ダイ120又はそれらの一部)を検査できるように、組み合わせ視野400とオブジェクト100との相対的な移動が行われる。一実施形態において、ビームの各々が組み合わせ視野400の中の各視野に相当する幅を有する場合、ビームは概ね固定された位置付け(orientation)であり、ビームに対してオブジェクトを移動させてオブジェクトを検査する。更に、一実施形態では、電子ビームとオブジェクトとの相対的な移動によって、組み合わせ視野400内の各視野でビームのスキャンを行う。一実施形態では、オブジェクトは概ね固定された位置付けであり、オブジェクトに対してビームを移動させて(例えば傾けて)、各視野内でビームのスキャンを行う。一実施形態では、ビーム及びオブジェクトの移動を組み合わせて、各視野でビームのスキャンを行ってもよい。従って一実施形態では、組み合わせ視野400とオブジェクトとの相対的な移動によって、複数のフィールド/ダイ120又はそれらの一部のようなオブジェクトの様々な部分に複数のビームを提供することができ、一度にオブジェクトの一部分ずつ、電子ビームとオブジェクトとの相対的な移動を行って組み合わせ視野400の各視野でビームのスキャンを提供することで、欠陥410を含めてオブジェクトを結像する。
【0059】
[0057] 組み合わせ視野400、及び各ビームに対応する個々の視野部分は、
図4に示すものとは異なる形状を有することができる。上記のように、一実施形態では、各ビームスポットの境界は視野400内のその部分と同一の広がりを持つ。一実施形態では、ビームスポットはそのビームの視野部分よりも小さいので、ビームがその視野部分に対応する領域を検査できるように、ビームと視野400内のその部分との間で事実上相対的な移動が行われる。そのような実施形態では、ビームと視野部分400内のその部分との相対的な移動を行うためビームを移動させる(例えば傾ける)ことができ、更に、視野400とオブジェクトとの相対的な移動を行うためオブジェクトを移動させることができる。適宜、移動の異なる組み合わせを行ってもよい。
【0060】
[0058] 一実施形態において、各々が少なくとも単一の電子ビームを与える複数の電子ビームコラムを提供する(以降、マルチコラムシステムと称する)ことによって、スループット及び/又はより小さいフィーチャを測定する能力を向上させることができる。すなわち、各コラムは、少なくとも単一の電子ビームを提供し(一実施形態では、複数の電子ビームコラムのうち1つ以上がマルチビームコラムである)、コラムの電子ビームがオブジェクトに入射することから生じた二次電子及び/又は後方散乱電子を測定する検出器を有する。一実施形態において、電子ビームコラム又は電子ビームコラムから選択された複数の電子ビームの各々は、1つ以上の他の電子ビームコラムと並行してオブジェクトを検査する。従って一実施形態において、各ビームは解像度の向上のために比較的小さい電流を有し得るが、合計では、多数の電子ビームコラムが比較的大きい全電流を与えてインスペクションの高速化を可能とする。更に、複数の電子ビームコラムの使用による並行した画像の取得は、シングル電子ビームコラムに比べてスループットの大幅な増大を可能とする。
【0061】
[0059]
図5を参照すると、オブジェクト100の状況におけるマルチコラム電子ビームインスペクションシステムの一実施形態の多数のビームの実装の極めて概略的な例が示されている。この場合、オブジェクト100は、各境界125によって識別された複数のフィールド又はダイ120を含む(これらの境界はオブジェクト上で物理的に存在せず、「仮想的な」境界であってもよい)。一実施形態では、フィールド又はダイの各々に電子ビームコラムが割り当てられている。一実施形態では、各々が複数のフィールド又はダイを含むセットが複数あり、その各セットに電子ビームコラムが割り当てられている。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは一次元アレイで提供され、望ましくは、一次元アレイは、オブジェクトの最も幅広の部分に延出するのに充分な電子ビームコラムを有する。一実施形態において、一次元アレイは、アレイの延出方向に直交した方向におけるアレイとオブジェクトとの相対的な移動によって、オブジェクトを効果的にスキャンする。一実施形態において、電子ビームコラムは2次元アレイに配置されている。一実施形態において、2次元アレイは、第1の方向でオブジェクトの幅/長さにわたって延出すると共に、第1の方向に直交した第2の方向でオブジェクトの幅/長さにわたって延出する。一実施形態において、2次元アレイは矩形アレイである。一実施形態において、2次元アレイはオブジェクトの形状に一致した形状を有する。従って、丸いオブジェクトでは、アレイを矩形アレイとして、コーナのアレイ要素を取り除いて概ね円形のアレイとするか、又はアレイをダイヤモンド形状とすることができる。
【0062】
[0060] 一実施形態において、オブジェクトには、約30以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約40以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約50以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約60以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約70以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約80以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約90以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約100以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約110以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約120以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約130以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約140以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約150以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約160以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約170以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約180以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約190以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約200以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約220以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、約240以上の電子ビームコラムが割り当てられるか、又は約260以上の電子ビームコラムが割り当てられる。
図5のオブジェクトは極めて概略的であり、通常は図示されているよりも多くのダイ/フィールドを有する。丸いオブジェクトが図示されているが、これは異なる形状であり得る。オブジェクトの幅(例えば直径)は様々に変動し得る。
【0063】
[0061]
図5に示されているように、複数のビームの各ビームはそれぞれ視野500を有し、この視野内でビームがオブジェクト100を検査する。この例では5つのビームがあり、その各々がそれ自身の視野500を有する。従って一実施形態では、ビームとオブジェクトとの相対的な移動が行われ、これによって、ビームが欠陥410を含むオブジェクトの様々な部分を検査できるように視野500とオブジェクト100との相対的な移動を効果的に引き起こす。一実施形態において、視野500の各々は事実上それぞれのフィールド又はダイに専用である。すなわち一実施形態において、ダイ又はフィールドの大部分は、複数の視野500のうちの単一の視野500のみによって検査される。一実施形態において、1つのダイ又はフィールドのための各視野500は、隣接するダイ又はフィールドについては大部分よりも小さい部分を検査し、これは隣接するダイ又はフィールドを全く検査しないことを含む。一実施形態において、視野500は、視野500が関連付けられているもの以外のダイ又はフィールドを検査しない。
【0064】
[0062] 従って一実施形態においては、各視野500が関連付けられたダイ又はフィールドの様々な部分を検査するように、視野500とオブジェクト100との相対的な移動が行われる。一実施形態においては、視野500は概ね固定された位置付けであり、視野500に対してオブジェクトを移動させることで、視野500を各フィールド又はダイの各部分に配置する。
【0065】
[0063] 一度、各視野500が各ダイ又はフィールドの各部分に配置されたら、各ビームは他のビームと並行してそのダイ又はフィールドの各部分を検査する。一実施形態において、視野500が電子ビームスポットのサイズに相当する場合、ビームは概ね固定された位置付けであり、ビームに対してオブジェクトを移動させることで、各フィールド又はダイにおけるビームのスキャンを行う。更に典型的には、一実施形態において、オブジェクトは概ね固定された位置付けであり、オブジェクトに対して各ビームを移動させる(例えば傾ける)ことで、各フィールド又はダイにおいて各視野内のビームのスキャンを行う。一実施形態では、ビーム及びオブジェクトの移動を組み合わせてビームのスキャンを行ってもよい。
【0066】
[0064] 従って一実施形態においては、視野500とオブジェクト100との相対的な移動により、各ビーム(視野500内で動作する)を各フィールド/ダイ120の異なる部分にそれぞれ進ませて、実際の欠陥又は疑わしい欠陥(suspected defect)410を含む様々な部分を結像する(典型的には、ビーム及び/又はオブジェクトの移動による各ビームのスキャンを介して)。更に、スループット向上を可能とするため、異なるフィールド/ダイ120の部分を各視野500のビームによって並行して検査する。すなわち、各ビームがそれぞれのフィールド又はダイを検査するように、複数のビームが同じにオブジェクトに投影される。
【0067】
[0065] 一実施形態において、各ビームに対応する視野500は
図4に示すものとは異なる形状を有する可能性がある。一実施形態では、各ビームスポットの境界はその視野500と同一の広がりを持つ。一実施形態では、ビームスポットはビームの視野よりも小さいので、ビームが視野500に相当する領域を検査できるように、ビームとその視野500との間で事実上相対的な移動が行われる。そのような実施形態では、ビームとその視野との相対的な移動を行うためビームを移動させる(例えば傾ける)ことができ、更に、視野500とオブジェクトとの相対的な移動を行うためオブジェクトを移動させることができる。適宜、移動の異なる組み合わせを行ってもよい。
【0068】
[0066]
図6は、電子ビームコラム600のアレイを含むマルチコラム電子ビームインスペクションシステムの一実施形態の極めて概略的な図である。各電子ビームコラムは、オブジェクト100上の少なくとも1つのダイ又はフィールドに対応する。従って一実施形態において、複数の小型電子ビームコラムは、アレイ(例えば実質的に水平方向のアレイ)に、この場合は二次元アレイに配置されている。例えば30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、又は160、又はそれ以上の光学コラムを二次元アレイで提供することができる。一実施形態において、光学コラムの数は少なくともオブジェクト100上のフィールド又はダイの数に対応する。電子ビームコラムのアレイによって、オブジェクト全体の並行したインスペクションが可能となる。すなわち、電子ビームコラムの少なくとも1つがオブジェクトの一部を検査するのと同時に、電子ビームコラムの別の少なくとも1つがオブジェクトの別の部分を検査する。
【0069】
[0067] 各電子ビームコラムは小型である(例えば、200mm
2以下、170mm
2以下、150mm
2以下、120mm
2以下、100mm
2以下、80mm
2以下、60mm
2以下、一方又は双方の寸法が10×10mm以下等)。更に、各電子ビームコラムは少なくとも1つの電子ビームを提供し、少なくとも1つの検出器を有する。一実施形態において、各電子ビームコラムは事実上、独立した電子ビームシステムである。上記のように一実施形態では、各コラムは、オブジェクト100上の各フィールド又はダイの位置と一致するパターンで配置されている。100のダイ又はフィールドのオブジェクトでは(例えば300mmの直径の半導体基板)、例えば100の別個の電子ビームコラムが提供され、それらは相互に1〜30ミリメートル離間されている(シングルコラムマルチビームインスペクションシステムでは多数のビーム間に数マイクロメートルの間隔があるのとは対照的である)。
【0070】
[0068] 一実施形態において、電子ビームコラムの1つ以上は、電子ビームコラムの別の1つ以上に対して移動可能である。一実施形態において、電子ビームコラムの各々は独立して移動可能である。一実施形態において、電子ビームコラムは、第1の方向及び第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に移動可能である。一実施形態において、各々が複数の電子ビームコラムを含む電子ビームコラムグループの1つ以上は、1つ以上の他の電子ビームコラムに対して移動可能である。例えば、電子ビームコラムの1列又は1行は、電子ビームコラムの別の列又は行に対して移動可能である。
【0071】
[0069]
図6を参照すると、電子ビームコラムを移動させるためのアクチュエータシステムの一実施形態が提示されている。この実施形態では、適宜、複数の電子ビームコラムが構造610に搭載され、別の複数の電子ビームコラムが別の構造610に搭載される等となっている。アクチュエータシステムのアクチュエータ620は、構造610の少なくとも1つを第1の方向640に移動させて、別の構造610に対する少なくとも1つの構造610の位置を変化させる。一実施形態において、アクチュエータ620は、構造610(従って電子ビームコラム600)のピッチを方向640に変化させ、従って構造610の間隔を均一に変化させるように構成されている。一実施形態において、ピッチの変化は、ピッチが構造610間の第1の均一なピッチから構造610間の第2の異なる均一なピッチまで変化するようになっている。一実施形態において、アクチュエータ620は、構造610間でほとんど全ての間隔配置を提供できるように構造610の各々を独立して移動させるよう構成されている。一実施形態において、アクチュエータ620は、リニアモータ、ピエゾアクチュエータ、及び/又はベルトシステムを含む。一実施形態において、アクチュエータ620は、構造610を最大6自由度で移動させることができる。
【0072】
[0070] 一実施形態において、アクチュエータシステムは、電子ビームコラムを第2の方向630(一実施形態では第1の方向640に実質的に直交する)に移動させるよう構成されている。電子ビームコラム600を方向630に移動させるアクチュエータの実施形態の詳細については、
図8及び
図9に関連付けて後に記載する。
【0073】
[0071]
図7は、
図6に関連付けて記載されるタイプのマルチコラム電子ビーム装置の一実施形態の極めて概略的な斜視図である。
図7で見られるように、電子ビームコラム600はオブジェクト100の幅/長さ方向に延出している。
図7及び
図8において、電子ビームコラム600は構造610から延出しているものとして図示するが、電子ビームコラム600は構造610の内側に一体化してもよい(例えば、構造610を概ねU字形として、U字形内に電子ビームコラムを収容する)。
【0074】
[0072]
図8は、電子ビームコラム600の一実施形態の極めて概略的な側面図である。電子ビームコラムは、電子ビーム光学系800、電子ビーム処理機器810、任意選択的なセンサ820、アクチュエータ部840、及び任意選択的なアクチュエータ860を含む。
図9は、
図8の電子ビームコラム600の実施形態の極めて概略的な上面図又は下面図である。
【0075】
[0073] 一実施形態において、電子ビーム光学系800は電子ビーム805を生成する電子ビーム源を含む。一実施形態において、電子ビーム光学系800は、電子ビームを合焦しオブジェクトの方へ誘導する1つ以上の光学要素を含む(便宜上、ここでは図示しない)。
【0076】
[0074] 電子ビーム処理機器810は、オブジェクトからの二次電子及び/又は後方散乱電子を検知するように構成された検出器を備える。二次電子及び/又は後方散乱電子は、電子ビーム光学系800からのビームがオブジェクトに入射することにより生じる。このように電子ビームコラムは、オブジェクトの特定のエリアを検査するための一体的な電子ビーム供給器及び検出器として作用する。
【0077】
[0075] 一実施形態において、電子ビーム処理機器810は任意選択的に、ビームの移動を引き起こすように、例えばビームを傾けるように構成された光学系/構造を備えている。従ってこの場合、電子ビームコラムはビーム自体の幅よりも広い視野を有する。そのような光学系/構造は、電子ビームコラムの視野内でビーム(例えば1〜30nmスポットサイズを有する)を移動させること、例えば電子ビームコラムの視野をスキャンすることができる。一実施形態において、この光学系/構造は静電式である。一実施形態において、電子ビーム処理機器810の光学系/構造(存在する場合)及び電子ビーム光学系800は、全て静電式であり得る。すなわち、電子ビームの放出後であってオブジェクトに対する入射前に、電子ビームを処理するための磁気要素は存在しない。そのような構成により、任意選択的に高速の偏向を伴う小型電子ビームコラムが可能となる。あるいは、別の実施形態では、静電要素と組み合わせた永久磁石要素によって、小型コラムの代替的な実施形態を可能としてもよい。
【0078】
[0076] 一実施形態において、電子ビーム処理機器810は任意選択的に電子コラム制御システムを備えている。電子コラム制御システムは、電子光学系800、ビームの移動を引き起こすように構成された任意選択的な光学系/構造、検出器、アクチュエータ部840及び/又は850、及び/又は任意選択的なアクチュエータ860の制御を可能とする。一実施形態において、電子コラム制御システムは、電子ビームコラムによる個別の制御を可能とし、従って事実上独立した電子ビームインスペクションを可能とするため、中央処理ユニット及びローカルデータストレージを備えている。一実施形態において、各電子ビームコラムは同一の又はほぼ同一のデータ経路を有する。従って、電子ビームがオブジェクト上でスキャンされると、各電子ビームコラムからの画像がその検出器によって収集され、画像データが電子コラムの制御システムに転送される。各コラムにおける並行した検出及び処理は、ボトルネックを回避すると共に、大きいデータ量と高いデータレートを可能とするのに役立つ。
【0079】
[0077] 一実施形態では、(アクチュエータ620を含むアクチュエータシステムの)アクチュエータ部840により、電子ビームコラム600を第2の方向630に移動させて、別の電子ビームコラムに対する電子ビームコラム600の位置を変化させることができる。一実施形態において、アクチュエータ部840は、電子ビームコラム600が取り付けられている構造610内に又は構造610上に配置されたアクチュエータ部850と共働する。一実施形態において、アクチュエータ部840はコイル又は磁石を含み、アクチュエータ部850は共働する磁石又はコイルとすることができる。一実施形態において、アクチュエータ部840、850はリニアモータを形成する。一実施形態では、例えばピエゾアクチュエータのようなアクチュエータ部840のみを提供することができる。一実施形態では、電子ビームコラム600を移動させるため、例えば機械モータ又はベルトシステムのようなアクチュエータ部850のみが構造610内に又は構造610上に提供される。一実施形態において、アクチュエータ部850は、複数の電子ビームコラムに沿って(例えば構造610の長さに)延出するか、又は構造610に沿って各電子ビームコラム600に対応する複数の部分を含む。一実施形態において、アクチュエータ部840及び/又は850は、構造610上の電子ビームコラム600のピッチを方向630に変化させ、従って電子ビームコラム600の間隔を均一に変化させるように構成されている。一実施形態において、ピッチの変化は、ピッチが電子ビームコラム600間の第1の均一なピッチから電子ビームコラム600間の第2の異なる均一なピッチまで変化するようになっている。一実施形態において、アクチュエータ部分840及び/又は850は、構造610に沿って電子ビームコラム600間でほとんど全ての間隔配置を提供できるように電子ビームコラム600の各々を独立して移動させるよう構成されている。一実施形態において、アクチュエータ部分840及び/又は850は、リニアモータ、ピエゾアクチュエータ、及び/又はベルトシステムを含む。一実施形態において、アクチュエータ部分840及び/又は850は、電子ビームコラム600を最大6自由度で移動させることができる。
【0080】
[0078]
図14は、電子ビームコラム600のアレイを含むマルチコラム電子ビームインスペクションシステムの一実施形態の極めて概略的な図である。各電子ビームコラムは、オブジェクト100上の少なくとも1つのダイ又はフィールドに対応する。従って一実施形態において、複数の小型電子ビームコラムは、アレイ(例えば実質的に水平方向のアレイ)に、この場合は二次元アレイに配置されている。電子ビームコラムのアレイによって、オブジェクト全体の並行したインスペクションが可能となる。すなわち、電子ビームコラムの少なくとも1つがオブジェクトの一部を検査するのと同時に、電子ビームコラムの別の少なくとも1つがオブジェクトの別の部分を検査する。
【0081】
[0079] 一実施形態において、電子ビームコラムの1つ以上は、電子ビームコラムの別の1つ以上に対して移動可能である。一実施形態において、電子ビームコラムは、第1の方向及び第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に移動可能である。一実施形態において、各々が複数の電子ビームコラムを含む電子ビームコラムグループの1つ以上は、1つ以上の他の電子ビームコラムに対して移動可能である。例えば、電子ビームコラムの1列又は1行は、電子ビームコラムの別の列又は行に対して移動可能である。
【0082】
[0080] 一実施形態において、オブジェクト上のスキャンフィールド内に各電子ビームコラムを位置決めするため、ロングストローク位置決めユニット及びショートストローク位置決めユニットの組み合わせが提供される。ロングストローク移動については、
図14の上面図又は下面図で概略的に示されているように、電子ビームコラム群を2つの概ね直交する方向(例えばX又はY)に独立して移動させるため、構造のグリッドが提供される。ショートストローク位置決めユニットは、以下で
図15に関連付けて記載するが、個々の電子ビームコラムのための2次元ショートストロークアクチュエータを含む。オブジェクト上の典型的なスキャンフィールド数は100であるので、例えば10×10の電子ビームコラムのグリッドは、X方向に沿った10の構造及びY方向に沿った10の構造を含む。
図14の概略的な例は、X方向に沿った4つの列及びY方向に沿った3つの行を示している。一実施形態において、グリッドは、別の複数の構造に対して実質的に垂直な複数の構造を含むが、一実施形態では、これらの構造が垂直であることは必須ではない。
【0083】
[0081]
図14を参照すると、電子ビームコラムを移動させるためのロングストロークアクチュエータシステムの一実施形態が提示されている。この実施形態では、適宜、複数の電子ビームコラムが構造1300に搭載され、別の複数の電子ビームコラムが別の構造1300に搭載される等となっている。アクチュエータシステムのアクチュエータ1310は、構造1300の少なくとも1つを第1の方向1320に移動させて、別の構造1300に対する少なくとも1つの構造1300の位置を変化させる。一実施形態において、アクチュエータ1310は、構造1300(従って電子ビームコラム600)のピッチを方向1320に変化させ、従って構造1300の間隔を均一に変化させるように構成されている。一実施形態において、ピッチの変化は、ピッチが構造1300間の第1の均一なピッチから構造1310間の第2の異なる均一なピッチまで変化するようになっている。一実施形態において、アクチュエータ1310は、構造1300間でほとんど全ての間隔配置を提供できるように構造1300の各々を独立して移動させるよう構成されている。一実施形態において、アクチュエータ1310は、構造1300の各々又はそれらの組み合わせを最大6自由度で移動させることができる。
【0084】
[0082] この実施形態では、適宜、複数の電子ビームコラムが構造1330に搭載され、別の複数の電子ビームコラムが別の構造1330に搭載される等となっている。一実施形態において、構造1330に搭載された電子ビームコラムは構造1300に搭載されたものである。アクチュエータシステムのアクチュエータ1340は、構造1330の少なくとも1つを第2の方向1350(これは、一実施形態では第1の方向1320に実質的に直交している)に移動させて、別の構造1330に対する少なくとも1つの構造1330の位置を変化させる。一実施形態において、アクチュエータ1340は、構造1330(従って電子ビームコラム600)のピッチを方向1350に変化させ、従って構造1330の間隔を均一に変化させるように構成されている。一実施形態において、ピッチの変化は、ピッチが構造1330間の第1の均一なピッチから構造1330間の第2の異なる均一なピッチまで変化するようになっている。一実施形態において、アクチュエータ1340は、構造1330間でほとんど全ての間隔配置を提供できるように構造1330の各々を独立して移動させるよう構成されている。一実施形態において、アクチュエータ1340は、構造1330の各々又はそれらの組み合わせを最大6自由度で移動させることができる。
【0085】
[0083]
図14において(及び
図15に示されているように)、構造1330は構造1300と重なり合っている。構造1330は構造1300の上に重なって示されているが、必ずしもそうとは限らない。例えば構造1300が構造1330の上に重なることもあり得る。別の例として、構造1300及び1330は、隣接した構造1330の間に構造1300の部分が存在する(又はその逆とする)ように、効果的に織り合わせることも可能である。別の例として、1つ以上の適切なスロットを用いて、構造1330の本体(body)を構造1300が貫通する(又はその逆とする)ことも可能である。
【0086】
[0084] 一実施形態において、アクチュエータ1310及び/又はアクチュエータ1340は、リニアモータ、ピエゾアクチュエータ、及び/又はベルトシステムを含む。一実施形態において、アクチュエータ1310は構造1300を最大6自由度で移動させることができ、及び/又は、アクチュエータ1340は構造1330を最大6自由度で移動させることができる。一実施形態において、アクチュエータ1310及び/又はアクチュエータ1340は、ロングストローク移動のため、最大200mm/s(例えば最大50mm/s、最大100mm/s、最大150mm/s)で、最大200mm範囲(例えば最大50mm範囲、最大100mm範囲、最大150mm範囲)まで提供することができる。一実施形態において、アクチュエータ1310及び/又はアクチュエータ1340は、10〜100μmの範囲内の横方向精度を提供する。
【0087】
[0085] 一実施形態において、ロングストローク移動及び/又はショートストローク移動のためのモータの1つ以上は、電界及び/又は磁界によって大きな影響を受けない(更に、望ましくは、電子ビームコラム600に影響を与える電界及び/又は磁界を与えるべきではない)。一実施形態において、ロングストローク移動及び/又はショートストローク移動のためのモータはピエゾモータである。ピエゾモータは典型的に、電界及び/又は磁界に対して感度が低い(insensitive)。一実施形態において、ピエゾモータは電界及び/又は磁界を実質的に全く与えない。ピエゾモータ(例えばリニアモータ、ウォークモータ(walk motor)、6脚モータ(hexapod motor)等のピエゾモータ)は、ロングストローク移動及び/又はショートストローク移動のそれぞれのための範囲及び/又は速度を提供できる。
【0088】
[0086]
図15を参照すると、一実施形態において、例えばギアボックスタイプの構成を適用することにより、第1及び第2の方向1320、1350で別個のロングストローク移動が達成される。
図15は、電子ビームコラム600の並行したロングストローク移動のための二重構造ギアボックスタイプ機構の一実施形態の極めて概略的な側面図であり、この場合、例えば構造1300、1330を用いたロングストローク位置決めユニットの下方に電子ビームコラム600を配置することができる。ショートストロークアクチュエータ1410が取り付けられる構造1400(例えばロッド又はポール)が提供されている。ショートストロークアクチュエータ1410に電子ビームコラム600が取り付けられている。
【0089】
[0087] 一実施形態において、ショートストロークアクチュエータ1410は、例えば第1及び第2の方向1320、1350を含む最大6自由度の電子ビームコラム600の微細移動を可能とする。一実施形態において、アクチュエータ1410は、リニアモータ、ピエゾアクチュエータ、及び/又はベルトシステムを含む。一実施形態において、アクチュエータ1410はピエゾモータを含む。一実施形態において、アクチュエータ1410は、微細ストローク移動のため、最大20mm範囲(例えば最大5mm範囲、最大10mm範囲、最大15mm範囲)まで提供することができる。認められるであろうが、アクチュエータ1410の範囲は典型的にアクチュエータ1310、1340の範囲よりも小さい。一実施形態において、アクチュエータ1410は、電子ビームコラム600が相互に妨げ合うのを防止するため、オブジェクト上の単一スキャンフィールドのサイズ内の寸法を有する。
【0090】
[0088] 構造1400は、構造1330に沿って第1の方向1320に移動し(構造1330はアクチュエータ1340によって第2の方向1350に移動させることができる)、更に、構造1300に沿って第2の方向1350に移動することができる(構造1300はアクチュエータ1310によって第1の方向1320に移動させることができる(
図15には示していない))。一実施形態において、構造1400(電子ビームコラム600が取り付けられている)は、構造1400に取り付けられた軸受1420によって構造1330に沿って移動するよう案内される。一実施形態において、軸受1420は、構造1330の内面(
図15に示すような)又は外面によって案内される。一実施形態において、構造1400(電子ビームコラム600が取り付けられている)は、構造1400に取り付けられた軸受1430によって構造1300に沿って移動するよう案内される。一実施形態において、軸受1430は、構造1300の内面(
図15に示すような)又は外面によって案内される。一実施形態において、アクチュエータ1410は、特定の各スキャンフィールド内で2μmの横方向精度内でショートストローク位置決めを可能とする。
【0091】
[0089] 更に、構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600が第1及び第2の方向1320、1350に別個に移動できるように、別個のブレーキ1440、1450が提供されている。一実施形態において、これらのブレーキはそれぞれアクチュエータ1460、1470によって閉鎖又は開放するように作動される。ブレーキ1440が構造1330に対して閉鎖されると、構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600は構造1330上の適切な位置に固定される(このため、ブレーキ1440の閉鎖中は構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600は構造1330に対して移動することができず、従って一実施形態では、ブレーキ1440の閉鎖中は第1の方向1320にロングストロークで移動することはできない)。しかしながら
図15では、ブレーキ1440は開放状態で示されているので、構造1300を第1の方向1320に移動させた場合、構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600は構造1330に沿って移動することができる。構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600を構造1300と共に第1の方向1320に移動可能とするには、
図15に示すようにブレーキ1450を閉鎖することで、構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600を構造1300上の適切な位置に固定する。構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600を構造1300に沿って第2の方向1350に移動させるには、ブレーキ1450を動作させ、ブレーキ1440を閉鎖させ、次いで構造1330をアクチュエータ1340によって第2の方向1350に移動させる。このように、アクチュエータ1460、1470によるブレーキ1440、1450の選択的な開放及び閉鎖を構造1300、1330の移動と組み合わせることで、構造1400及びこれに取り付けられた電子ビームコラム600を所望の位置に移動させることができる。認められるであろうが、各々がブレーキ1440、1450のセットを有し、電子ビームコラム600が取り付けられた複数の構造1400を提供することができる。一実施形態では、双方のブレーキ1440、1450に単一のアクチュエータを提供することができる。一実施形態では、ブレーキ1440、1450を手作業で動作させることができる。
【0092】
[0090]
図16Aを参照すると、電子ビームコラム600の1つ以上は、
図2及び
図3に示されているように、重なり合った構造1300、1330のグリッドを含むロングストロークシステムの下方(又は上方)に配置することができる。従って一実施形態において、電子ビームコラム600は全て、最も低い構造1300、1330の下方(又は最も高い構造1300、1330の上方)に位置付けられる。
図2及び
図16Aの例において、電子ビームコラム600の各々は部分的に、構造1300と構造1330との交差部の中央の下(又は上方)に位置付けられる。認められるであろうが、交差部は、重なり合った構造が交差する仮想的な位置である。
図17Aは、最も低い構造1300、1330の下方(又は最も高い構造1300、1330の上方)に完全に位置付けられた、及び/又は部分的に構造1300と構造1330との交差部の中央の下(又は上方)に位置付けられた電子ビームコラム600の一例を示す。
【0093】
[0091]
図16Bを参照すると、Z方向の空間を節約するため、及び/又は機械的安定性を増すため、電子ビームコラム600の1つ以上は、隣接する構造1300及び/又は隣接する構造1330の側面に、例えば
図16Bに示すように各交差部の側面に配置することができる。従って一実施形態において、電子ビームコラム600の1つ以上は構造1300及び/又は構造1330の下(又は上方)に位置付けられていない。
図17Bは、隣接する構造1300及び/又は隣接する構造1330の側面に位置付けられた、及び/又は構造1300及び/又は構造1330の下(又は上方)に位置付けられていない電子ビームコラム600の一例を示す。
図17Bに示されているように、電子ビームコラム600は少なくとも部分的に、隣接する構造1300/1330間のギャップに位置付けることができ、従って、アクチュエータ1410及び/又は電子ビームコラム600は、隣接する構造1300/1330の下面よりも上方(又は上面よりも下方)に位置付けられる。この実施形態において、ブレーキ1440及び/又はブレーキ1450は、各構造1300、1330の側面に対して動作する。従ってこの実施形態では、電子ビームコラム600の位置をギャップ内に収容するように構造1400を曲げることができる。例えば構造1400は、構造1300の側面から延出する(
図17Bで見られるように)、及び/又は構造1330の側面から延出する(
図17Bで見られるように)ことができる。
図16B及び
図17Bの実施形態は、他の点では、電子ビームコラム600を移動させる同じ原理を使用する(例えば、ブレーキ1440、1450及び構造1300、1330の移動を用いる)。
【0094】
[0092] 一実施形態において、電子ビームコラム600及び/又は構造1400の1つ以上は、オブジェクトスキャンフィールドに対する正確な位置を決定するため(例えば、関連付けられたダイ又はフィールド内で効率的に及び/又は正確に検査するように)、例えば放射源(例えばレーザ)及びセンサのようなメトロロジモジュール1480を有して、1つ以上の近隣の電子ビームコラム600及び/又は構造1400に対する距離を測定することができる。この代わりに又はこれに加えて、メトロロジモジュール1480は、オブジェクトスキャンフィールドに対する正確な位置を決定するため、電子ビームコラム600とロングストロークシステムの1つ以上の構造1300、1330との間の距離を測定することができる。これに加えて又はこの代わりに、(例えば以下で記載するようにセンサ820の形態の)メトロロジモジュール1480は、オブジェクト上、例えば各ダイ又はフィールド上の1つ以上のマーカを用いて、オブジェクトスキャンフィールドに対する電子ビームコラム600の位置を測定することができる。
【0095】
[0093] 一実施形態では、微動位置決めを可能とするため、構造1300、1330を第1の比較的低い解像度のモードで移動させて、電子ビームコラム600の1つ以上を、例えば1μm
2より大きくかつ最大200μm
2までの比較的大きいスキャンエリア上でスキャンさせることができる。一実施形態では、パターン認識のような1つ以上の技法を用いて、関心領域(例えば欠陥エリア)の場所を正確に突き止めることができる。第2のステップでは、例えば構造1300、1330及び/又はアクチュエータ1410を用いて高い精度で複数の電子ビームコラム600をそれらのインスペクション位置へ移動させ、次いで、0.1μm
2より大きくかつ最大2μm
2までのエリアのような小さいエリア(望ましくは関心領域を取り囲む)に対して高い解像度のスキャンを行う。一実施形態において、第2のステップでは、電子ビームコラム600を物理的に移動させずにオブジェクトのみを中心外へ移動させて小さいエリアのスキャンを実行するか、又は電子ビームコラム600及びオブジェクトの双方を移動させて小さいエリアのスキャンを実行する。
【0096】
[0094] 従って一実施形態では、各スキャンフィールドの上方に電子ビームコラムを保持している重なり合った構造を備えるロングストロークシステムが提供される。これは、例えばギアボックスタイプの構成を使用して電子ビームコラムを2つの異なる方向(例えばX方向及びY方向)に独立して移動させる。一実施形態において、正確な位置決め及び/又は電気/磁気干渉が存在しない位置決めのため、ピエゾロングストロークモータ及びピエゾショートストロークモータを提供することができる。一実施形態では、ロングストローク構造の側面にショートストロークアクチュエータ及び/又は電子ビームコラムを位置決めできる可能性がある。
【0097】
[0095] 従って、本明細書に記載されるアクチュエータシステムにより、電子ビームコラムを様々なオブジェクトサイズに適合するように構成できる。更に、アクチュエータシステムは、異なるサイズのフィールド又はダイ、異なるピッチのフィールド又はダイ、異なる形状のフィールド又はダイ等のように、異なる構成のフィールド又はダイに適合するよう構成することができる。電子ビームコラムの各々が異なるフィールド又はダイと一致するように調整が行われ、このため、電子ビームコラムを各フィールド又はダイの位置に一致させるように、例えば電子ビームコラムのX及び/又はYにおける全体的なピッチのみが調整される。
【0098】
[0096] このため、一実施形態において、複数のビームのピッチはフィールド又はダイのピッチ/間隔の整数倍である。従って一実施形態において、ダイ又はフィールドのサイズ又は間隔を可変とするため、アクチュエータシステムによって、フィールド又はダイのピッチの半分の距離にわたってX及び/又はYにビームを移動させることができる。一実施形態において、電子ビームコラムは、コラムの移動範囲を可能とするように、ピッチの少なくとも2倍離間されている。
【0099】
[0097] 一実施形態は移動可能構造610を用いることを記載したが、電子ビームコラム600の移動は異なる方法で実装することができる。例えば電子ビームコラムの各々は、概ね平面状の構造に対してX方向及びY方向で個別に移動し得る。例えば各電子ビームコラムは、平面モータに類似した、コイル及び磁石の平面状構成と共働するコイル又は磁石を有し得る。更に、図においてオブジェクトは電子ビームコラムの下方に示されているが、オブジェクトは電子ビームコラムの上方に配置することも可能である。
【0100】
[0098] 一実施形態において、インスペクションの間、電子ビームコラムは実質的に静止状態である。このため、インスペクションに先立って、電子ビームコラムはフィールド又はダイの位置/サイズと一致するようにX及び/又はYで調整され、その後インスペクションの間、電子ビームコラムは実質的に固定される。インスペクションの間、予め位置決めした電子ビームコラムに対してオブジェクトのみを移動させることができる。任意選択的に、上述のようにインスペクション中に電子ビームのスキャンを可能とするためビームを偏向させることも可能である。
【0101】
[0099] 更に、
図10を参照する一実施形態において、少なくとも電子ビーム光学系(電子ビームコラム全体も含み得る)は、アクチュエータ860を用いて、位置をわずかに調整することができる(1000、1010)(例えば水平方向位置又は傾斜)。そのような調整は、インスペクションのためのオブジェクトの処理全体の間にオブジェクトを電子ビームコラムに対して移動させている時に実行され得る。例えば、ダイ又はフィールド内の新しいインスペクションエリアを関連付けられた電子ビームコラムの視野内に配置するようにオブジェクトを移動させる期間中に、少なくとも電子ビーム光学系の位置を変えることができる。一実施形態において、この調整は、例えばアクチュエータ620及び/又はアクチュエータ840、850による移動から生じた電子ビームコラム又はその電子ビーム光学系の位置の誤差に対処する(account for)ためのものであり得る。その場合、一実施形態において、アクチュエータ860は電子ビーム光学系を例えば方向1010に移動させることで、電子ビーム光学系を所望の位置に置くことができる。一実施形態では、この調整を例えば方向1000に実行して、以降説明するような疑わしい欠陥を有するエリアとのミスアライメントに対処することができる。
【0102】
[0100] 同様に、電子ビームコラム600は、アクチュエータ840、850を用いて、位置をわずかに調整することができる(1000、1010)(例えば水平方向位置又は傾斜)。そのような調整は、インスペクションのためオブジェクトの処理全体の間にオブジェクトを電子ビームコラムに対して移動させている時に実行され得る。例えば、ダイ又はフィールド内の新しいインスペクションエリアを関連付けられた電子ビームコラムの視野内に配置するようにオブジェクトを移動させる期間中に、個々の電子ビームコラムの位置を変えることができる。一実施形態において、この調整は、例えばアクチュエータ620及び/又はアクチュエータ840、850による移動から生じた電子ビームコラムの位置の誤差に対処するためのものであり得る。その場合、一実施形態において、アクチュエータ840、850は電子ビームコラムを例えば方向1010に移動させることで、電子ビームコラム(及びその電子ビーム光学系)を所望の位置に置くことができる。一実施形態では、この調整を例えば方向1000に行って、以降説明するような疑わしい欠陥を有するエリアとのミスアライメントに対処することができる。
【0103】
[0101] 上述のような調整は、以降説明するようなセンサデータに基づく及び/又は他の測定データに基づくことができる。他の測定データは、例えばアライメント、オーバーレイ、及びマスク位置合わせデータであり、これは、パターンのパターンフィーチャをオブジェクトの対応するダイ又はフィールドのどこに位置付けるかを特定する、すなわち、オブジェクト上におけるパターンフィーチャのシフトを計算によって予測するのに役立つ。
【0104】
[0102] 一実施形態において、電子ビームコラムは任意選択的に、電子ビーム光学系800及び/又は電子ビーム処理機器810を移動させるためのアクチュエータ860を備えている。アクチュエータ860は、アクチュエータ部840及び/又は850によって与えられる相対的に粗い移動に比べて微細な移動を可能とすることができる。一実施形態において、アクチュエータ860はリニアモータ及び/又はピエゾアクチュエータを含む。一実施形態において、アクチュエータ860は電子ビームコラム光学系800及び/又は電子ビーム処理機器810を最大6自由度で移動させることができる。
【0105】
[0103] 一実施形態において、電子ビームコラムは任意選択的なセンサ820を備えている。一実施形態において、センサ820は、オブジェクトに対する電子ビームコラムの位置を決定するため放射830(例えば光)を提供する。例えばセンサ820は、電子ビームコラムからオブジェクトまでの距離を決定する、及び/又は電子ビームコラムとオブジェクトとの間の傾斜を決定することができる。これに加えて又はこの代わりに、一実施形態においてセンサ820は、電子ビームコラムとオブジェクト上の位置との相対的な位置を決定するため、オブジェクト上のアライメントマーク又は他のターゲットを測定する。そのような情報は、電子ビームコラムを移動させるためのアクチュエータシステム(例えばアクチュエータ部840及び/又は850)及び/又は電子ビーム光学系を移動させるためのアクチュエータシステム(例えばアクチュエータ860)に供給されて電子ビームコラム及び/又は電子ビーム光学系の位置の制御をそれぞれ可能とし、及び/又は、ビームを移動させるための電子ビーム処理機器810の光学系/構造に供給されて電子ビームの位置の制御を可能とする。
【0106】
[0104] 視野を小さくすると画素サイズが縮小し、より小さいパターン偏位(pattern excursion)の検出が可能となるが、より正確なアライメントが必要となる。このため、コラムが高精度メカトロニクスによって充分に整合されるという条件で、又は例えばセンサを用いることによって、より小さい視野を使用し、高解像度化とインスペクション高速化を達成することができる。
【0107】
[0105] 更に、一実施形態では、計算による欠陥予測と、上述のようにダイ又はフィールドに配置された複数の電子ビームコラムを用いた並行インスペクションとの相乗的組み合わせが提供され、各ダイ又はフィールドのエリア全体よりも小さいエリアを検査することにより、スループット、精度、及び/又は効率の増大を可能とする。例えば計算による欠陥予測は、シングルビーム電子ビームインスペクション装置又はマルチビーム電子ビームインスペクション装置に比べて検査対象エリアのサイズを最大で2〜3桁縮小できるので、インスペクションを大幅に高速化してオブジェクト上で欠陥の可能性があるフィーチャを識別することができる。例えば、シングルビーム電子ビーム装置は、オブジェクト上の全てのダイ又はフィールドどころか、1つのダイ又はフィールドをスキャンするにも著しい時間量を要し、更に、その時間の多くを微細なパターンフィーチャのインスペクションに費やす。また、マルチビーム電子ビーム装置は、いくつかのビームにまたがる比較的大きい組み合わせ視野を有する。しかしながら、欠陥が発生する可能性のあるエリア(0.5〜3μm
2まで)は、単一ビームの視野(100μm
2まで)と比べてさえ小さく、まして10,000μm
2の組み合わせ視野(例えば10×10のビームアレイ)はなおさらである。このため、組み合わせ視野内にあるのは予想される欠陥の1つ又は2つ〜3つだけであり、従ってマルチビーム電子ビーム装置は欠陥のインスペクションを大幅にスピードアップすることはない。
【0108】
[0106] 例えばスループットの向上は、多くの欠陥が(例えば半導体ウェーハ上で)規則的であり(systematic)、パターンに依存するので、計算による欠陥予測によって、(おそらく半導体ウェーハのエッジを除いた)各ダイ又はフィールド内の同一又は同様の位置で欠陥が識別される可能性が極めて高いという洞察によって達成され得る。このため、電子ビームコラムがダイ又はフィールドと予め整合されている場合、電子ビームコラムのグループとオブジェクトとの間の1度の相対的な移動によって、全ての電子ビームコラム、大部分の電子ビームコラム、又は多くの電子ビームコラムの視野内に、予測された欠陥を1つ以上有する各エリアが配置され、これにより並行インスペクションが可能となる。言い換えれば、電子ビームコラムはインスペクションの間及びインスペクションとインスペクションとの間は相互に対して基本的に固定されたまま保持されるので、電子ビームコラム群とオブジェクトとの相対的な移動により、1つ以上の欠陥を有する可能性のある各ダイ又はフィールド内の各エリアに各電子ビームの衝撃点を並行して配置することができる。このように、電子ビームを並行して迅速に欠陥の可能性のあるエリアに配置できる。更に、大幅な速度及びスループットの利得を達成するため、各ダイ又はフィールドのエリア全体よりも小さいエリアを電子ビームで検査するだけでよい。
【0109】
[0107] 従って、一実施形態では、1つのオブジェクトダイ又はフィールド当たり少なくとも1つのコラムを備えた、小型電子ビームコラムの2次元アレイが提供される。これは、1つ以上の欠陥を有する可能性がある各ダイ又はフィールド内の1つ以上のエリアを識別することに基づいて、各ダイ又はフィールドのエリア全体よりも小さいエリアを検査する。一実施形態において、1つ以上の欠陥は、例えばシミュレーションを用いて計算により予測される。一実施形態において、電子ビームコラムは、ダイ又はフィールドとのアライメントを可能とするため、少なくともX方向及び/又はY方向のピッチを調整できる。
【0110】
[0108] 上述のように、一実施形態において、オブジェクトのダイ全体又はフィールド全体は検査されない。一実施形態において、オブジェクトのダイ又はフィールドの大部分は検査されない。一実施形態において、オブジェクトのパターン付き部分の全体は検査されない。一実施形態において、潜在的な欠陥を有するエリアをホットスポットと称することができる。ホットスポットは、パターニングの欠陥を有する傾向があり得る1つ以上のパターンフィーチャを含むエリアである。従って一実施形態において、インスペクションシステムは、ダイ又はフィールド内の離散的なホットスポットを検査することができる。一実施形態において、ホットスポットエリアは2平方ミクロン以下である(例えば、1.41×1.41ミクロン、1×1ミクロン、又は0.77×0.77ミクロン)。1つのダイ又はフィールドは複数のホットスポットエリアを有し得る。多くの場合、ホットスポットエリアはダイ又はフィールド内で離散的である。一実施形態において、複数のホットスポットエリアは重なり合うか又はつながるように相互に隣接して位置することで、連続したホットスポットエリアグループを形成する可能性がある。このため、ホットスポットのみを検査することによって、電子ビームオブジェクトインスペクションのスループットを約2桁(100倍まで)増大させることができる。
【0111】
[0109] 一実施形態において、予測欠陥エリア(例えばホットスポット)は、任意の適切な方法を用いて、パターン(例えばパターニングデバイスのパターン又はパターニングデバイスのためのパターン)から識別することができる。例えば、予測欠陥のエリアは、経験的モデル又は計算モデルを用いてパターンの少なくとも一部を解析することによって識別され得る。経験的モデルでは、パターンの画像(例えばレジスト画像、光学画像、エッチング画像)はシミュレーションされない。代わりに経験的モデルは、処理パラメータ、パターンのパラメータ、及び欠陥の相関に基づいて、欠陥又は欠陥の確率を予測する。例えば経験的モデルは、欠陥を生じやすいパターンの分類モデル又はデータベースとすることができる。計算モデルでは、プリントされたパターンの部分又は特徴が計算又はシミュレーションされ、その部分又は特徴に基づいて欠陥が識別される。例えば、所望の位置から遠すぎるライン端を見つけることによってラインプルバック欠陥を識別することができ、2つのラインが不必要につながる位置を見つけることによってブリッジ欠陥を識別することができ、別個の層上の2つのフィーチャが不必要に重なり合うか又は不必要に重なり合わないことを見つけることによって重ね合わせ欠陥を識別することができる。別の例では、予測欠陥エリアは、フォーカス露光マトリックス基板定性化又は適切なメトロロジーツール等によって実験的に決定することができる。
【0112】
[0110] 一実施形態において、1つ以上の予測欠陥を含む1つ以上のエリアは、設計ルールチェックに基づいて決定される。設計ルールは、2つのフィーチャ間の最小間隔やフィーチャの最小寸法等の仕様を含み得る。従って、プリントされるパターンを設計ルールの順守についてチェックし、設計ルールを順守しないか又はほぼ順守しないパターンの部分を識別する(更に、基板のパターニングによって実験的にテストする)ことができる。そのような部分は、プロセス偏位に対して感度が高い(従って欠陥の可能性が高い)パターン(ダイ)のエリアである注意エリア(care area)と見なすことができる。
【0113】
[0111] 一実施形態において、1つ以上の予測欠陥を含む1つ以上のエリアは、公称条件における1つ以上のパターニングプロセス数学モデルに基づいて決定される(これは、パターン全体(チップ全体)のため、又は既知の問題パターンフィーチャのライブラリのためのものであり得る)。公称条件下においても良好にプリントされない(従って欠陥の可能性が高い)パターン(又はパターンフィーチャ)の部分を識別することができる。そのような部分を注意パターン(care pattern)と見なすことができる。
【0114】
[0112] 一実施形態において、1つ以上の予測欠陥を含む1つ以上のエリアは、パターンの設計データ及びパターニングプロセスからのデータを用いる1つ以上のパターニングプロセス数学モデルを用いたシミュレーションによって決定される。例えば、
図13に関連して記載されたプロセスを用いて、予測欠陥エリアの存在を導出し、更に、各フィールド又はダイ内のそれらの位置を決定することができる。一実施形態では、
図13に関連して記載されたシミュレーションプロセスを、公称条件からの様々な異なる偏位について実行して、プロセス偏位に対して感度が高い(従って欠陥の可能性が高い)パターン(ホットスポット)を識別することができる。任意選択的に、シミュレーションは、パターンで露光された1つ以上の基板のための測定データ又は基板からの測定データによって更に強化することができる。例えば、1つ以上の基板について測定された焦点マップは、ダイ又はフィールド(又はそれらの部分)の焦点を識別することができ、この焦点マップに基づいて、閾値を超えるデフォーカスのダイ又はフィールド(又はそれらの部分)のみが検査される。しかしながらこれは、全てのダイ又はフィールドにおける感度が高い可能性のあるエリアを全てチェックするわけではないので、捕捉率の低下を招く恐れがある。
【0115】
[0113] 一実施形態では、パターンの領域内のフィーチャのプロセスウィンドウを評価することにより、ホットスポットを識別することができる。パターンのフィーチャのプロセスウィンドウは、基板上でフィーチャが仕様内で生成される処理パラメータ(例えばドーズ及び焦点)の空間である。潜在的な欠陥に関連するパターン仕様の例には、ネッキング(necking)、ラインプルバック、ライン薄化(thinning)、CD、エッジ配置、重ね合わせ、レジスト上部損失(resist top loss)、レジストアンダーカット、及びブリッジ形成のチェックが含まれる。パターンの領域内の様々なフィーチャは異なるプロセスウィンドウを有し得る。領域内の個々のフィーチャのプロセスウィンドウを結合する(例えば重ね合わせる)ことによって、その領域内の全てのフィーチャの組み合わせプロセスウィンドウが得られる。全てのフィーチャのプロセスウィンドウの境界は、個々のフィーチャのうちいくつかのフィーチャのプロセスウィンドウの境界を含む。言い換えれば、これらの個々のフィーチャが、領域内の全てのフィーチャの組み合わせプロセスウィンドウを限定する。これらのフィーチャを「ホットスポット」と呼ぶことができる。従って、オブジェクトのどのエリアを検査するかを評価する場合、事実上、特定領域の組み合わせプロセスウィンドウ内に該当しないパターンフィーチャであるホットスポットに焦点を当てることが可能であると共に経済的でもある。基板上にプリントされた領域内のホットスポットに欠陥がない場合、その領域内の全てのフィーチャに欠陥がないという可能性が極めて高い。ホットスポットの位置及び個々のホットスポットのプロセスウィンドウに基づいて、ホットスポットのプロセスウィンドウを決定する及び/又はコンパイルしてマップを作成することができる、すなわち、プロセスウィンドウを位置の関数として決定できる。このプロセスウィンドウマップは、レイアウト固有の感度及びパターンの処理マージンを特徴付けることができる。一実施形態では、ASML Tachyon FEMモデルソフトウェアを用いてホットスポットを識別することができる。
【0116】
[0114] 一実施形態では、本明細書に記載されたマルチ電子ビームコラム装置を用いて、1つのダイ又はフィールド当たり1つ以上の注意エリア、注意パターン、又はホットスポットが検査される。一実施形態において、注意エリア、注意パターン、又はホットスポットは、電子ビームコラムの視野よりも小さい。一実施形態において、注意エリア、注意パターン、又はホットスポットは、0.05〜10μm
2、0.1〜5μm
2、又は0.5〜2μm
2の面積を有する。
【0117】
[0115]
図11A、
図11B、及び
図11Cを参照すると、注意エリア1100を用いてブライトフィールドインスペクションを使用する技法の一実施形態が極めて概略的に示されている。
図11Aにおいて、オブジェクト100の各フィールド又はダイ120で注意エリア1100が決定されている。注意エリア1100は上述のように決定できる。次いで
図11Bを参照すると、ブライトフィールドインスペクションを用いて注意エリアを検査し、疑わしい欠陥410を識別する。注意エリアは典型的に、全ての注意エリアが検査されるようにオブジェクトとブライトフィールドビームとの相対的な移動を行うことによって検査される。フィーチャ又は欠陥が小さすぎる場合があるため、ブライトフィールドインスペクションでは、疑わしい欠陥410が実際の欠陥であるか否かを決定的に識別できない可能性がある。次いで
図11Cでは、電子ビーム欠陥調査(electron beam defect review)を実行して、疑わしい欠陥410のうちどれが実際の欠陥であるか識別し、任意選択的に欠陥を特徴付ける(例えばCD値を与える)。この例に示されているように、
図11Cにおける実際の欠陥の数は
図11Bにおける疑わしい欠陥よりも少ない。以上からわかるように、このプロセスは例えば、かなり時間がかかる可能性がある。
【0118】
[0116]
図12A及び
図12Bを参照すると、複数の電子ビームコラム及び予測ホットスポットを用いた電子ビームインスペクションの一実施形態が極めて概略的に示されている。
図12Aでは、上述のような技法を用いて、オブジェクト100上の各フィールド又はダイ120で1つ以上のホットスポット410が決定される。典型的に、1つのフィールド又はダイ当たり複数のホットスポットが存在する。更に、
図12Aに示されているように、ホットスポットの多くが各フィールド又はダイ内の同一又は同様の位置で発生し得る。一実施形態では、識別された各ホットスポット位置にマージンを加えることで、ホットスポットが予測欠陥を有するか否かを各電子ビームが検査する可能性を高めるよう促進することができる。更に、ホットスポットを識別するための閾値は、パターニングプロセスの制御や設計等に使用されるよりも欠陥インスペクションの方が低い場合がある。これは、いっそうの完全性の保証を促進するように、「重要でない(marginal)」ホットスポットであっても評価を行うためである。例えば、不正確なシミュレーションのリスクに対する適切な捕捉率のバランスを取るため、一実施形態では、ブライトフィールドにより識別された疑わしい欠陥よりも、予測ホットスポットの方が多い。
【0119】
[0117] 更に、
図12Aに示されているように、1つのフィールド又はダイごとに電子ビームコラム600の視野500が図示されている。この例において、視野500の各々は、1つ以上のホットスポットを有するエリアと整合されている。もしもこれらの視野500の1つ以上が1つ以上のホットスポットを有するエリアと整合されていない場合は、プロセスは引き続き進行し得るが、これらの視野は「生産的」でなく、電子ビームの全て又は大部分によって同時に検査できないエリアをカバーするため更に検査が必要となる可能性がある。一実施形態では、
図10に関連付けて上述したように、1つ以上のホットスポットを有するエリアと整合されていない1つ以上の視野500に対してわずかな調整を行うことができる。
【0120】
[0118] 次いで、
図12A及び
図12Bにおける電子ビームコラムとオブジェクトとの相対的な移動を実行して、電子ビームインスペクションを実行できるように各視野を全てのホットスポットエリア上に整合させる。この後に又はこれと同時に、電子ビームインスペクションの結果を評価して、ホットスポットが欠陥を有するか否か識別し、任意選択的に欠陥を特徴付ける(例えばCD値を与える)。この例に示されているように、
図12Bにおける実際の欠陥の数は
図12Aにおけるホットスポットよりも少ない。
【0121】
[0119]
図12A及び
図12Bはホットスポットに関して記載したが、同じプロセスを注意エリア及び/又は注意パターンに使用することができる。しかしながら、注意エリア及び/又は注意パターンはホットスポットよりも面積が大きいので、検査にもっと時間がかかる可能性があるが、
図11A〜
図11Cのプロセスに比べると、複数の電子ビームコラムを用いたそれらの検査ではスループットが増大する。
【0122】
[0120] 従って、本明細書に記載された技法は、プロセスランプ(process ramp)の間を含めて、更に、計算された予測欠陥エリア(注意エリア又は注意パターン等)を使用するブライトフィールドを含めて、ブライトフィールドインスペクションに置き換わることができる。高いスループットを可能とするため、予測ホットスポットの総面積は、ブライトフィールドインスペクションで推定される全注意エリアよりも2〜3桁小さくなり得る。更に、並行して測定を行うように配置された複数の電子ビームコラムは、
図11Cに示すようにシングル電子ビーム欠陥調査が実際の欠陥を識別するよりも1〜2桁高速で全ての予測ホットスポットを検査することができる。30、40、60、70、80、90、100、110、又はそれ以上の電子ビームコラムによって、そのようなスピードアップが可能となる。
【0123】
[0121] インスペクションの結果は様々な方法で使用することができる。例えば、欠陥があると識別されたホットスポットに関連付けられたパターンフィーチャは、設計プロセスにおいて除去するか又は補正すること、プロセスパラメータ等の変更によってそのパターニングを補償すること等を実行できる。欠陥がないと識別されたホットスポットは、モデルを調節するため使用できる。ホットスポット(欠陥があるか否かに関係なく)のコンターを用いてモデルを較正することができる。すなわち、モデルによって生成されたコンターを測定されたコンターと比較し、次いでそれに応じてモデルを更新することができる。
【0124】
[0122] 上記の検討は主として、例えば半導体ウェーハの形態である基板のインスペクションに焦点を当てているが、本明細書における装置及び方法は、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)に適用することも可能である。すなわち、検査されるオブジェクトはパターニングデバイスとすることができる。従って、電子ビームコラムの数は適宜選択され得る。
【0125】
[0123] 一実施形態において、パターニングデバイスは、電子ビームコラムによって検出された電子から導出されたパラメータに基づいて補正される。一実施形態において、補正は、検査されるオブジェクトがパターニングデバイス自体であるか、又はパターニングデバイスの同様のバージョンすなわちコピーである場合に行われる。一実施形態において、補正は、検査されるオブジェクトが、パターンが転写される基板(例えば半導体基板)である場合に行われる。一実施形態において、
【0126】
[0124] 一実施形態において、本明細書に記載された装置及び方法は、これに加えて又はこの代わりに、パターニングデバイスの修理を可能とするように適合されている。すなわち、一実施形態では、複数のダイ又はフィールドにおいて並行して修理を可能とするマルチ電子ビームコラム装置が提供される。電子ビームコラムによって提供される電子ビームは、修理を可能とすることができる(更に、任意選択的に本明細書に記載された検出のためにも使用され得る)。一実施形態において、電子ビームはパターニングデバイスからの材料の除去を可能とする。電子ビームコラムによって測定が可能である場合、測定と修理とで電子ビームのパワーを調整することができる。一実施形態では、修理を可能とするため、電子ビームと相互作用する材料を提供することができる。一実施形態では、前駆物質流体(例えばガス)を供給するためアウトレット700が提供されている。流体は、電子ビームと組み合わせて使用された場合に材料の堆積を可能とする。一実施形態では、電子ビームコラムの代わりに又は電子ビームコラムと組み合わせてイオン供給デバイスを用いて修理を可能とする。一実施形態において、イオン供給デバイスは金属イオンを提供するように構成されている。パターニングデバイスの修理の詳細については、例えばUS特許出願公報第2004−0151991号及び米国特許第7,916,930号で見ることができる。これらは参照により全体が本願に含まれる。
【0127】
[0125] 更に、上記の検討は主として電子ビームコラムを用いたインスペクションに焦点を当てているが、本明細書に記載された装置及び方法では電子ビームコラムとは異なるインスペクション装置を使用することも可能である。すなわち、複数の電子ビームコラムの各々を異なるインスペクション装置によって置き換えるか又は補うことができる。インスペクション装置の種類の違い以外は、本明細書に記載された装置及び方法は、様々なインスペクション装置に対応するよう変更されることを除いて基本的に同一である。
【0128】
[0126] 一実施形態において、複数のダイ又はフィールドを備えるオブジェクトを検査するための電子ビームインスペクション装置が提供される。この装置は、複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムと、機械読み取り命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品であって、命令のうち少なくともいくつかは、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させるよう構成されている、非一時的コンピュータプログラム製品と、を備える。
【0129】
[0127] 一実施形態において、エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む。一実施形態において、命令のうち少なくともいくつかはホットスポットの存在及び/又は位置を決定するように構成されている。一実施形態において、命令のうち少なくともいくつかはシミュレーションによってホットスポットを識別するように構成されている。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、少なくとも30の電子ビームコラムを含む。一実施形態において、装置は、電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムを更に備える。一実施形態において、命令のうち少なくともいくつかは、複数の電子ビームを同時に各フィールド又はダイの各エリアに入射させるように構成されている。
【0130】
[0128] 一実施形態において、電子ビームインスペクション装置が提供される。この装置は、複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムと、電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムと、を備える。
【0131】
[0129] 一実施形態において、アクチュエータシステムは複数の電子ビームコラムのピッチを変化させるように構成されている。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、アクチュエータシステムは、第1の方向及び第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に電子ビームコラムの位置を変化させるように構成されている。一実施形態において、各電子ビームコラムは他の電子ビームコラムとは独立して移動可能である。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは少なくとも30の電子ビームコラムを含む。一実施形態において、装置は、機械読み取り命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を更に備え、機械読み取り可能命令は、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させるよう構成されている。一実施形態において、エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む。一実施形態において、装置は、ホットスポットの存在及び/又は位置を決定するように構成された機械読み取り可能命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を備える。一実施形態において、装置は、シミュレーションによってホットスポットを識別するように構成された機械読み取り可能命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を備える。
【0132】
[0130] 一実施形態において、複数のダイ又はフィールドを備えるオブジェクトの電子ビームインスペクションの方法が提供される。この方法は、複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムを有することと、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと複数の電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させることと、電子ビームコラムからオブジェクト上に電子ビームを提供することと、電子ビームコラムを用いてオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出することと、を含む。
【0133】
[0131] 一実施形態において、エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む。一実施形態において、方法は、コンピュータによってホットスポットの存在及び/又は位置を決定することを更に含む。一実施形態において、方法は、コンピュータシミュレーションによってホットスポットを識別することを更に含む。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、少なくとも30の電子ビームコラムを含む。一実施形態において、方法は、アクチュエータを用いて電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させることを更に含む。一実施形態において、オブジェクトはパターニングデバイス又は半導体ウェーハを含む。一実施形態において、方法は、オブジェクトからの検出された電子から導出されたパラメータに基づいてオブジェクト又はパターニングデバイスを修理することを更に含む。
【0134】
[0132] 一実施形態において、電子ビームインスペクションの方法が提供される。この方法は、複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムを有することと、アクチュエータシステムを用いて電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させることと、を含む。
【0135】
[0133] 一実施形態において、方法は、複数の電子ビームコラムのピッチを変化させることを含む。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、第1の方向及び第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に電子ビームコラムの位置を変化させる。一実施形態において、各電子ビームコラムは他の電子ビームコラムとは独立して移動可能である。一実施形態において、複数の電子ビームコラムは少なくとも30の電子ビームコラムを含む。一実施形態において、方法は、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させることを更に含む。一実施形態において、エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む。一実施形態において、方法は、コンピュータによってホットスポットの存在及び/又は位置を決定することを更に含む。一実施形態において、方法は、コンピュータシミュレーションによってホットスポットを識別することを更に含む。一実施形態において、オブジェクトはパターニングデバイス又は半導体ウェーハを含む。一実施形態において、方法は、オブジェクトからの検出された電子から導出されたパラメータに基づいてオブジェクト又はパターニングデバイスを修理することを更に含む。
【0136】
[0134] 一実施形態において、電子ビームインスペクション装置が提供される。この装置は、複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成されている、複数の電子ビームコラムと、電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムであって、複数の第2の移動可能構造と少なくとも部分的に重なり合った複数の第1の移動可能構造を備え、第1及び第2の移動可能構造は複数の電子ビームコラムを支持している、アクチュエータシステムと、を備える。
【0137】
[0135] 一実施形態において、第1の移動可能構造のうち1つ以上は第1の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動可能であり、及び/又は、第2の移動可能構造のうち1つ以上は第2の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動可能である。一実施形態において、電子ビームコラムのうち1つの電子ビームコラムはコラム構造に接続され、コラム構造は、第1の移動可能構造のうち1つの第1の移動可能構造と物理的にかつ移動可能に係合する第1のコンポーネントと、第2の移動可能構造のうち1つの第2の移動可能構造と物理的にかつ移動可能に係合する第2のコンポーネントと、を有する。一実施形態において、第1のコンポーネントは第1の移動可能構造内に位置付けられ、及び/又は、第2のコンポーネントは第2の移動可能構造内に位置付けられている。一実施形態において、装置は、第1の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第1の移動可能構造と係合するように構成された第1のブレーキと、第2の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第2の移動可能構造と係合するように構成された第2のブレーキと、を更に備える。一実施形態において、装置は第1のブレーキ及び第2のブレーキを備え、更に、第2のブレーキが解放されている間に第1のブレーキを係合させて第2の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とするように、かつ、第1のブレーキが解放されている間に第2のブレーキを係合させて第1の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とするように構成された制御システムを備える。一実施形態において、1つ以上の電子ビームコラムは、隣接する第1の移動可能構造及び/又は第2の移動可能構造の側面に、かつ、隣接する第1の移動可能構造及び/又は隣接する第2の移動可能構造の間のギャップに位置付けられている。一実施形態において、電子ビームコラムのうち少なくとも1つは、第1及び第2の移動可能構造の移動範囲よりも小さい移動範囲を有するショートストロークアクチュエータに接続されている。一実施形態において、装置は複数のセンサを更に備え、センサの各々は、隣接する電子ビームコラムに対する関連付けられた電子ビームコラムの位置の決定を可能とするため距離を測定するように構成されている。一実施形態において、各電子ビームコラムは、電子ビームコラムに関連付けられたオブジェクトの異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている。一実施形態において、装置は、機械読み取り命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を更に備え、命令のうち少なくともいくつかは、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させるよう構成されている。
【0138】
[0136] 一実施形態において、電子ビームインスペクションの方法が提供される。この方法は、複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成されている、複数の電子ビームコラムを有することと、アクチュエータシステムを用いて電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させることであって、アクチュエータシステムは、複数の第2の移動可能構造と少なくとも部分的に重なり合った複数の第1の移動可能構造を備え、第1及び第2の移動可能構造は複数の電子ビームコラムを支持している、ことと、電子ビームコラムからオブジェクト上に電子ビームを提供することと、電子ビームコラムを用いてオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出することと、を含む。
【0139】
[0137] 一実施形態において、方法は、第1の移動可能構造のうち1つ以上を第1の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動させること、及び/又は、第2の移動可能構造のうち1つ以上を第2の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動させることを含む。一実施形態において、電子ビームコラムのうち1つの電子ビームコラムは、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを有するコラム構造に接続され、方法は更に、第1のコンポーネントが第1の移動可能構造のうち1つの第1の移動可能構造と物理的に係合している時に第1のコンポーネントを移動させることと、第2のコンポーネントが第2の移動可能構造のうち1つの第2の移動可能構造と物理的に係合している時に第2のコンポーネントを移動させることと、を含む。一実施形態において、第1のコンポーネントは第1の移動可能構造内に位置付けられ、及び/又は、第2のコンポーネントは第2の移動可能構造内に位置付けられている。一実施形態において、第1の方法は、移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第1のブレーキを第1の移動可能構造と係合することと、第2の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第2のブレーキを第2の移動可能構造と係合することと、を更に含む。一実施形態において、方法は、第2のブレーキが解放されている間に第1のブレーキを係合させて第2の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とすることと、第1のブレーキが解放されている間に第2のブレーキを係合させて第1の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とすることと、を含む。一実施形態において、1つ以上の電子ビームコラムは、隣接する第1の移動可能構造及び/又は第2の移動可能構造の側面に、かつ、隣接する第1の移動可能構造及び/又は隣接する第2の移動可能構造の間のギャップに位置付けられている。一実施形態において、方法は、第1及び第2の移動可能構造の移動範囲よりも小さい移動範囲を有するショートストロークアクチュエータを用いて電子ビームコラムのうち少なくとも1つを移動させることを更に含む。一実施形態において、方法は、複数のセンサを使用すること更に備え、センサの各々は、隣接する電子ビームコラムに対する関連付けられた電子ビームコラムの位置の決定を可能とするため距離を測定する。一実施形態において、各電子ビームコラムは、電子ビームコラムに関連付けられたオブジェクトの異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている。一実施形態において、方法は、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させることを更に含む。一実施形態において、オブジェクトはパターニングデバイス又は半導体ウェーハを含む。一実施形態において、方法は、オブジェクトからの検出された電子から導出されたパラメータに基づいてオブジェクト又はパターニングデバイスを修理することを更に含む。
【0140】
[0138] 一実施形態において、パターニングデバイス修理装置が提供される。この装置は、複数のビームコラムであって、各ビームコラムが放射ビームを提供するように構成され、各ビームコラムが、各放射ビームを用いてビームコラムに関連付けられたパターニングデバイスの異なる各フィールド又はダイのエリアを修理するように配置されている、複数のビームコラムと、ビームコラムのうち1つ以上をビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムと、を備える。
【0141】
[0139] 一実施形態において、ビームコラムの各々は更に、パターニングデバイスからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成されている。一実施形態において、各ビームコラムは、ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている。一実施形態において、ビームコラムはそれぞれ電子ビームを提供するように構成されている。一実施形態において、ビームコラムはそれぞれイオンビームを提供するように構成されている。
【0142】
[0140] 一実施形態は、SEM等の結像装置と関連付けて、本明細書に記載された方法の実施を可能とする1つ以上の機械読み取り可能命令シーケンスを含むコンピュータプログラムを含み得る。このコンピュータプログラムは、例えば
図3の結像装置と共に又はこれを用いずに、及び/又は
図2の制御ユニットLACUと共に又はこれを用いずに、含まれ得る。また、そのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータストレージ媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、又は光学ディスク)も提供することができる。例えば
図1〜
図3に示されているタイプの既存の装置が生産時に及び/又は使用時に既に存在する場合、その装置のプロセッサに本明細書に記載された方法を実行させるため更新されたコンピュータプログラム製品を提供することによって、一実施形態を実装できる。
【0143】
[0141] 本発明の一実施形態は、本明細書に開示された方法を記述する1つ以上の機械読み取り可能命令シーケンスを含むコンピュータプログラム、又は、そのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータストレージ媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、又は光学ディスク)の形態をとり得る。更に、機械読み取り可能命令は2つ以上のコンピュータプログラムにおいて具現化することができる。2つ以上のコンピュータプログラムは1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータストレージ媒体に記憶することができる。
【0144】
[0142] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。従って、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
【0145】
[0143] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0146】
[0144] 更に、本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0147】
[0145] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0148】
[0146] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
【0149】
[0147] 本明細書において用いる場合、「最適化する」又は「最適化」という用語は、パターニングの結果及び/又はプロセスが、基板への設計レイアウト転写の精度向上やプロセスウィンドウの拡大のような望ましい特徴を有するように、パターニングプロセス装置、パターニングプロセスの1つ以上のステップ等を調整することを指すか又は意味する。従って、本明細書において用いる場合、「最適化する」又は「最適化」という用語は、少なくとも1つの関連するメトリックにおいて、1つ以上のパラメータの初期の1つ以上の値のセットに比べ、例えば局所最適(local optimum)のような改善を与えるその1つ以上のパラメータの1つ以上の値を識別するプロセスを指すか又は意味する。「最適」及びその他の関連する用語は、これに応じて解釈されるべきである。一実施形態では、最適化ステップを繰り返し適用して、1つ以上のメトリックにおいて更に改善を得ることができる。
【0150】
[0148] 本発明は以下の条項を用いて更に記載することができる。
1.複数のダイ又はフィールドを備えるオブジェクトを検査するための電子ビームインスペクション装置であって、
複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムと、
機械読み取り命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品であって、命令のうち少なくともいくつかは、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させるよう構成されている、非一時的コンピュータプログラム製品と、
を備える装置。
2.エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む、条項1に記載の装置。
3.命令のうち少なくともいくつかはホットスポットの存在及び/又は位置を決定するように構成されている、条項2に記載の装置。
4.命令のうち少なくともいくつかはシミュレーションによってホットスポットを識別するように構成されている、条項2又は条項3に記載の装置。
5.複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、少なくとも30の電子ビームコラムを含む、条項1から4のいずれかに記載の装置。
6.電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムを更に備える、条項1から5のいずれかに記載の装置。
7.命令のうち少なくともいくつかは、複数の電子ビームを同時に各フィールド又はダイの各エリアに入射させるように構成されている、条項1から6のいずれかに記載の装置。
8.電子ビームインスペクション装置であって、
複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムと、
電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムと、
を備える装置。
9.アクチュエータシステムは複数の電子ビームコラムのピッチを変化させるように構成されている、条項8に記載の装置。
10.複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、アクチュエータシステムは、第1の方向及び第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に電子ビームコラムの位置を変化させるように構成されている、条項8又は条項9に記載の装置。
11.各電子ビームコラムは他の電子ビームコラムとは独立して移動可能である、条項8から10のいずれかに記載の装置。
12.複数の電子ビームコラムは少なくとも30の電子ビームコラムを含む、条項8から11のいずれかに記載の装置。
13.機械読み取り命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を更に備え、機械読み取り可能命令は、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させるよう構成されている、条項8から12のいずれかに記載の装置。
14.エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む、条項8から13のいずれかに記載の装置。
15.ホットスポットの存在及び/又は位置を決定するように構成された機械読み取り可能命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を備える、条項14に記載の装置。
16.シミュレーションによってホットスポットを識別するように構成された機械読み取り可能命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を備える、条項14又は条項15に記載の装置。
17.複数のダイ又はフィールドを備えるオブジェクトの電子ビームインスペクションの方法であって、
複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムを有することと、
電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと複数の電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させることと、
電子ビームコラムからオブジェクト上に電子ビームを提供することと、
電子ビームコラムを用いてオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出することと、
を含む方法。
18.エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む、条項17に記載の方法。
19.コンピュータによってホットスポットの存在及び/又は位置を決定することを更に含む、条項18に記載の方法。
20.コンピュータシミュレーションによってホットスポットを識別することを更に含む、条項18又は条項19に記載の方法。
21.複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、少なくとも30の電子ビームコラムを含む、条項17から20のいずれかに記載の方法。
22.アクチュエータを用いて電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させることを更に含む、条項17から21のいずれかに記載の方法。
23.オブジェクトはパターニングデバイス又は半導体ウェーハを含む、条項17から22のいずれかに記載の方法。
24.オブジェクトからの検出された電子から導出されたパラメータに基づいてオブジェクト又はパターニングデバイスを修理することを更に含む、条項17から23のいずれかに記載の方法。
25.電子ビームインスペクションの方法であって、
複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成され、各電子ビームコラムが、電子ビームコラムに関連付けられたオブジェクトの異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、複数の電子ビームコラムを有することと、
アクチュエータシステムを用いて電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させることと、
を含む方法。
26.複数の電子ビームコラムのピッチを変化させることを含む、条項25に記載の方法。
27.複数の電子ビームコラムは2次元アレイに配置され、第1の方向及び第1の方向に対して実質的に直交する第2の方向に電子ビームコラムの位置を変化させる、条項25又は条項26に記載の方法。
28.各電子ビームコラムは他の電子ビームコラムとは独立して移動可能である、条項25から27のいずれかに記載の方法。
29.複数の電子ビームコラムは少なくとも30の電子ビームコラムを含む、条項25から28のいずれかに記載の方法。
30.電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させることを更に含む、条項25から28のいずれかに記載の方法。
31.エリアのうち少なくとも1つは識別されたホットスポットを含む、条項25から30のいずれかに記載の方法。
32.コンピュータによってホットスポットの存在及び/又は位置を決定することを更に含む、条項31に記載の方法。
33.コンピュータシミュレーションによってホットスポットを識別することを更に含む、条項31又は条項32に記載の方法。
34.オブジェクトはパターニングデバイス又は半導体ウェーハを含む、条項25から33のいずれかに記載の方法。
35.オブジェクトからの検出された電子から導出されたパラメータに基づいてオブジェクト又はパターニングデバイスを修理することを更に含む、条項25から34のいずれかに記載の方法。
36.電子ビームインスペクション装置であって、
複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成されている、複数の電子ビームコラムと、
電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムであって、複数の第2の移動可能構造と少なくとも部分的に重なり合った複数の第1の移動可能構造を備え、第1及び第2の移動可能構造は複数の電子ビームコラムを支持している、アクチュエータシステムと、
を備える装置。
37.第1の移動可能構造のうち1つ以上は第1の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動可能であり、及び/又は、第2の移動可能構造のうち1つ以上は第2の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動可能である、条項36に記載の装置。
38.電子ビームコラムのうち1つの電子ビームコラムはコラム構造に接続され、コラム構造は、第1の移動可能構造のうち1つの第1の移動可能構造と物理的にかつ移動可能に係合する第1のコンポーネントと、第2の移動可能構造のうち1つの第2の移動可能構造と物理的にかつ移動可能に係合する第2のコンポーネントと、を有する、条項36又は条項37に記載の装置。
39.第1のコンポーネントは第1の移動可能構造内に位置付けられ、及び/又は、第2のコンポーネントは第2の移動可能構造内に位置付けられている、条項38に記載の装置。
40.第1の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第1の移動可能構造と係合するように構成された第1のブレーキと、第2の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第2の移動可能構造と係合するように構成された第2のブレーキと、を更に備える、条項38又は条項39に記載の装置。
41.第1のブレーキ及び第2のブレーキを備え、更に、第2のブレーキが解放されている間に第1のブレーキを係合させて第2の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とするように、かつ、第1のブレーキが解放されている間に第2のブレーキを係合させて第1の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とするように構成された制御システムを備える、条項40に記載の装置。
42.1つ以上の電子ビームコラムは、隣接する第1の移動可能構造及び/又は第2の移動可能構造の側面に、かつ、隣接する第1の移動可能構造及び/又は隣接する第2の移動可能構造の間のギャップに位置付けられている、条項36から41のいずれかに記載の装置。
43.電子ビームコラムのうち少なくとも1つは、第1及び第2の移動可能構造の移動範囲よりも小さい移動範囲を有するショートストロークアクチュエータに接続されている、条項36から42のいずれかに記載の装置。
44.複数のセンサを更に備え、センサの各々は、隣接する電子ビームコラムに対する関連付けられた電子ビームコラムの位置の決定を可能とするため距離を測定するように構成されている、条項36から43のいずれかに記載の装置。
45.各電子ビームコラムは、電子ビームコラムに関連付けられたオブジェクトの異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、条項36から44のいずれかに記載の装置。
46.機械読み取り命令を含む非一時的コンピュータプログラム製品を更に備え、命令のうち少なくともいくつかは、電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させるよう構成されている、条項45に記載の装置。
47.電子ビームインスペクションの方法であって、
複数の電子ビームコラムであって、各電子ビームコラムが、電子ビームを提供すると共にオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成されている、複数の電子ビームコラムを有することと、
アクチュエータシステムを用いて電子ビームコラムのうち1つ以上を電子ビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させることであって、アクチュエータシステムは、複数の第2の移動可能構造と少なくとも部分的に重なり合った複数の第1の移動可能構造を備え、第1及び第2の移動可能構造は複数の電子ビームコラムを支持している、ことと、
電子ビームコラムからオブジェクト上に電子ビームを提供することと、
電子ビームコラムを用いてオブジェクトからの散乱電子又は二次電子を検出することと、
を含む方法。
48.第1の移動可能構造のうち1つ以上を第1の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動させること、及び/又は、第2の移動可能構造のうち1つ以上を第2の移動可能構造のうち別の1つ以上に対して移動させることを含む、条項47に記載の方法。
49.電子ビームコラムのうち1つの電子ビームコラムは、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを有するコラム構造に接続され、更に、第1のコンポーネントが第1の移動可能構造のうち1つの第1の移動可能構造と物理的に係合している時に第1のコンポーネントを移動させることと、第2のコンポーネントが第2の移動可能構造のうち1つの第2の移動可能構造と物理的に係合している時に第2のコンポーネントを移動させることと、を含む、条項47又は条項48に記載の方法。
50.第1のコンポーネントは第1の移動可能構造内に位置付けられ、及び/又は、第2のコンポーネントは第2の移動可能構造内に位置付けられている、条項49に記載の方法。
51.第1の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第1のブレーキを第1の移動可能構造と係合することと、第2の移動可能構造に対して固定された位置にコラム構造を保持するため第2のブレーキを第2の移動可能構造と係合することと、を更に含む、条項49又は条項50に記載の方法。
52.第2のブレーキが解放されている間に第1のブレーキを係合させて第2の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とすることと、第1のブレーキが解放されている間に第2のブレーキを係合させて第1の移動可能構造がコラム構造の電子ビームコラムを移動させることを可能とすることと、を含む、条項51に記載の方法。
53.1つ以上の電子ビームコラムは、隣接する第1の移動可能構造及び/又は第2の移動可能構造の側面に、かつ、隣接する第1の移動可能構造及び/又は隣接する第2の移動可能構造の間のギャップに位置付けられている、条項47から52のいずれかに記載の方法。
54.第1及び第2の移動可能構造の移動範囲よりも小さい移動範囲を有するショートストロークアクチュエータを用いて電子ビームコラムのうち少なくとも1つを移動させることを更に含む、条項47から53のいずれかに記載の方法。
55.複数のセンサを使用することを更に備え、センサの各々は、隣接する電子ビームコラムに対する関連付けられた電子ビームコラムの位置の決定を可能とするため距離を測定する、条項47から54のいずれかに記載の方法。
56.各電子ビームコラムは、電子ビームコラムに関連付けられたオブジェクトの異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、条項47から55のいずれかに記載の方法。
57.電子ビームの各々が各フィールド又はダイのエリア全体よりも小さい各フィールド又はダイのエリアを検査するようにオブジェクトと電子ビームコラムとの相対的な移動を発生させることを更に含む、条項56に記載の方法。
58.オブジェクトはパターニングデバイス又は半導体ウェーハを含む、条項47から57のいずれかに記載の方法。
59.オブジェクトからの検出された電子から導出されたパラメータに基づいてオブジェクト又はパターニングデバイスを修理することを更に含む、条項47から58のいずれかに記載の方法。
60.パターニングデバイス修理装置であって、
複数のビームコラムであって、各ビームコラムが放射ビームを提供するように構成され、各ビームコラムが、各放射ビームを用いてビームコラムに関連付けられたパターニングデバイスの異なる各フィールド又はダイのエリアを修理するように配置されている、複数のビームコラムと、
ビームコラムのうち1つ以上をビームコラムのうち別の1つ以上に対して移動させるように構成されたアクチュエータシステムと、
を備える装置。
61.ビームコラムの各々は更に、パターニングデバイスからの散乱電子又は二次電子を検出するように構成されている、条項60に記載の装置。
62.各ビームコラムは、ビームコラムに関連付けられた異なる各フィールド又はダイのエリアを検査するように配置されている、条項61に記載の装置。
63.ビームコラムはそれぞれ電子ビームを提供するように構成されている、条項60から62のいずれかに記載の装置。
64.ビームコラムはそれぞれイオンビームを提供するように構成されている、条項60から62のいずれかに記載の装置。
【0151】
[0149] 上記の記載は限定でなく例示を意図している。このため、以下に述べる特許請求の範囲から逸脱することなく、上述した本発明に変更を加え得ることは当業者には認められよう。例えば、適宜、1つ以上の実施形態の1つ以上の態様を1つ以上の他の実施形態の1つ以上の態様と組み合わせるか又はそれによって置換することができる。従って、そのような適合及び変更は、本明細書に提示される教示及び案内に基づき、開示される実施形態の均等物(equivalents)の意味及び範囲内に入ることが意図される。本明細書における表現又は用語は限定でなく例示による記載のためのものであるので、本明細書の表現又は用語は、当業者によって教示及び案内の観点から解釈されるべきであることは理解されよう。本発明の広さ(breadth)及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるものでなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。