(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880449
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】パレット搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/244 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
B65G47/244
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-112344(P2017-112344)
(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公開番号】特開2018-203482(P2018-203482A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川尻 修平
(72)【発明者】
【氏名】玉野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸正
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−094519(JP,A)
【文献】
実開昭60−180218(JP,U)
【文献】
特開平06−329250(JP,A)
【文献】
実開昭55−120616(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、このパレットを搬送する搬送装置とを備え、前記パレットが、このパレット上面に突出する複数の支柱を有し、前記搬送装置が、パレットを移送させる搬送路と、この搬送路の一方の端面に設置され前記支柱を受け止める支柱受けガイドと、搬送路の他方の端面に設置され前記支柱に当接してパレットの回転角度を決定する滑りガイドとを有する、パレット搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、搬送装置が、支柱受けガイド及び滑りガイドを、各々複数個有する、パレット搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア搬送されるパレットを、搬送途中で回転させる機構を備えたパレット搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置におけるパレットの回転機構は、工場の生産効率化が進むにつれ、益々重要になってきており、機構の簡略化、搬送速度の向上は、省エネやメンテナンス性において有利に働くことから、特に重要視されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、チェーンコンベアによるパレット搬送において、パレットを搬送途中で押し上げ、チェーン駆動に使用しているモータの回転をクラッチにより回転装置の駆動につなげ、使用するモータの数を減らしパレット回転機構の簡略化を図った技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−291449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、パレット回転装置の駆動を、モータからクラッチに置き換えることで、装置全体のコストを下げるとともに、モータの制御数を減らしてはいるが、モータの代わりにクラッチを使用していることから、パレットを回転させるときには、駆動回転軸とクラッチの噛み合わせといった制御が必要になる。
【0006】
更に、特許文献1の技術でパレットを回転させる一連の動作は、パレットを押し上げる、パレットを回転させる、パレットを降ろすとった流れであり、パレットを回転させる際は搬送路から一旦パレットを切り離す必要があり、パレット搬送を停止させることになるため、搬送速度全体を低下させることになる。
【0007】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するもので、パレット搬送装置において搬送途中でパレットを回転させる際の回転機構の簡略化かつ搬送速度向上を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のものに関する。
(1)パレットと、このパレットを搬送する搬送装置とを備え、前記パレットが、このパレット上面に突出する複数の支柱を有し、前記搬送装置が、パレットを移送させる搬送路と、この搬送路の一方の端面に設置され前記支柱を受け止める支柱受けガイドと、搬送路の他方の端面に設置され前記支柱に当接してパレットの回転角度を決定する滑りガイドとを有する、パレット搬送装置。
(2)項(1)において、搬送装置が、支柱受けガイド及び滑りガイドを、各々複数個有する、パレット搬送装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パレットの回転動作に必要な駆動装置としては、搬送用のモータのみでありコストを抑えることができ、搬送用のモータを制御するだけで回転動作を行えるためパレット回転機構を簡略化することもできる。
【0010】
また、パレットは、ガイドに沿って回転し搬送しながら回転することになり、パレットは、搬送路から切り離されることなく常に搬送され続けるため、平均搬送速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のパレット搬送装置を示す概略平面図である。
【
図2】本発明に用いるパレットであり、(a)が平面図を、(b)が側面図を示す。
【
図3】本発明に用いるガイドであり、(a)が支柱受けガイドの平面図を、(b)が滑りガイドの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<パレット>
本明細書にて述べるパレットは、その上面に複数の支柱を有しているものであれば、他に制限されるものではない。
また、パレットは、単板でも良いが、底板と上板とを有する複数板構造としてもよく、平面視での形状は、回転させることから、左右対称構造が好ましく、四角形よりは六角形、六角形よりは八角形といったような、多角形形状であることが好ましい。
パレットは、後述する支柱受けガイドに支柱を当接することで、この支柱を回転軸として回転し、この回転は、回転軸となっている支柱とは異なる支柱が、後述する滑りガイドに当接してから離接するまで継続する。
【0013】
支柱は、その素材を限定されるものではないが、耐久性の観点から金属製のものが好ましく、防錆塗装を行ったものか、ステンレス等の錆びにくい金属を使用することが好ましい。
支柱の形状は、パレット上面と平行に切断した際の切り口が円形又は楕円形のものが好ましく、特に円形のものが、回転させやすく特に好ましい。
支柱の高さは、特に制限されるものではないが、荷物の積み下ろしの際に邪魔にならないように、低い程好ましい。
支柱の配置位置は、パレット上面でさえあれば良いが、荷物を載置するスペースを大きくするためにも、パレットの周縁に近い程好ましい。
支柱の数は、後述する支柱受けガイドと、滑りガイドとにそれぞれ当接させるように、最低2本必要となるが、パレットの位置によらず容易に回転させられるように、4本以上とすることが好ましい。
【0014】
図2は、本願発明に用いるパレットの一例であり、(a)が平面図を、(b)が側面図を示す。
図2に示すパレットは、平面視八角形としており、底板と上板とを有する複数板構造にしている。上板には、4本の支柱が、パレットの周縁に近い部分に線対称配置される。
【0015】
<搬送装置>
本明細書にて述べる搬送装置は、パレットを移送させる搬送路と、この搬送路の一方の端面に設置され前記支柱を受け止める支柱受けガイドと、搬送路の他方の端面に設置され前記支柱に当接してパレットの回転角度を決定する滑りガイドとを有する。
【0016】
搬送路は、パレットを乗せて、目的の場所へと搬送できるものであれば、他に制限されるものではない。より具体的には、搬送路の幅方向両端に配置される回転軸支えと、この回転軸支えに軸心を固定されて自由に回転できる回転軸とを有する、シャフトコンベア等を用いることができる。
【0017】
支柱受けガイドは、搬送路の一方の端面に設置されて支柱を受け止めるものであり、パレットは、支柱受けガイドに当接した支柱を中心にて回転することになる。
支柱受けガイドの具体的な形状は、
図3(a)に示す平面図のようなものを用いることができ、支柱を一旦受け止めるための窪みを有している。
【0018】
滑りガイドは、搬送路の他方(支柱受けガイドを設置した端面とは逆)の端面に設置され前記支柱に当接してパレットの回転角度を決定する。
滑りガイドの具体的な形状は、
図3(b)に示す平面図のようなものを用いることができ、支柱を当接して滑らせる傾斜部(斜辺)を有している。
【実施例】
【0019】
以下、
図1を参照して本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、搬送位置1から搬送位置2、搬送位置2から搬送位置3にパレットを回転させて搬送する動作について説明する。
【0020】
パレットの軸aが軸受けガイドAの窪みA
1に接触するまで、パレットが直進し(図面にて上方向への移動)、接触するとパレットの軸aがパレットの回転軸となりパレットが反時計回りに回転し始める。
パレットが回転していくと、パレットの軸dが滑りガイドBの傾斜部B
1に接触し、滑りガイドBに沿うように回転を続け、やがてパレットの軸bが軸受けガイドAの直線部A
2に接触しパレットの回転角度が90°になったところでパレットの回転が止まり、回転の止まったパレットは各軸が、各ガイドの直線部A
2、B
2に沿いながら搬送位置2に搬送される。搬送位置2においてパレットは搬送位置1に置かれた状態から90°回転したことになる。
【0021】
搬送位置2にあるパレットの軸bが軸受けガイドCの窪みC
1に接触するまで、パレットが直進し接触すると、パレットの軸bがパレットの回転軸となりパレットが反時計回りに回転し始める。
パレットが回転していくとパレットの軸cが滑りガイドDの傾斜部D
1に接触し、滑りガイドDに沿うように回転を続け、やがてパレットの軸d が軸受けガイドCの直線部C
2に接触しパレットの回転角度が90°になったところでパレットの回転が止まり、回転の止まったパレットは各軸が、各ガイドの直線部C
2、D
2に沿いながら搬送位置3に搬送される。搬送位置3においてパレットは搬送位置1に置かれた状態から180°回転したことになる。
【0022】
このように本発明によれば、パレットの搬送力のみを動力源とし構造を簡略化した機構でパレットを90°ないし180°回転させて搬送することができる。
【0023】
またパレットは、いずれも搬送されながら回転するため、パレットは常に搬送方向に向かって動き続けることになり、パレットの搬送を一旦止める回転機構に比べ搬送速度の向上ができる。
【符号の説明】
【0024】
1、2、3、4、5…搬送位置、A、C…軸受ガイド、B、D…滑りガイド、A
1、C
1…窪み、B
1、D
1…傾斜部、A
2、B
2、C
2、D
2…直線部、a、b、c、d…パレットの軸。