(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押し付け部は、前記基板の表面上における中心部側と周縁部側との間で往復移動して、前記表面処理液を前記基板に押し付けることを特徴とする請求項2記載の塗布膜形成装置。
前記基板回転機構が設けられ、前記押し付け部による前記表面処理液の押し付けを行うために前記基板回転機構によって、前記基板を前記押し付け部に対して第1の方向に回転させること、及び前記基板を前記押し付け部に対して第1の方向とは逆の第2の方向に回転させることが行われることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の塗布膜形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、表面に凹形パターンが形成された基板に対して高粘度の塗布液により塗布膜を形成するにあたり、塗布液が凹形パターン内まで行き渡って、良好な塗布膜を速やかに形成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の塗布膜形成装置は、
表面に凹形パターンが形成された基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布膜形成装置において、
前記基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板の表面における前記塗布液に対する濡れ性を高めるための表面処理液を当該基板の表面に供給する表面処理液供給ノズルと、
前記基板の表面に近接した状態で当該基板に対して水平方向に相対的に移動することで、前記基板の表面に供給された前記表面処理液を当該基板の表面に押し付けて前記凹形パターン内に供給するための押し付け部と、
前記押し付け部による前記表面処理液の押し付け後に当該基板の表面に前記塗布液を供給する塗布液供給ノズルと、
前記基板保持部に前記基板を水平に保持させ、次いで、前記基板の表面に前記表面処理液供給ノズルから前記表面処理液を供給し、続いて、前記押し付け部を前記基板の表面に近接した状態で当該基板に対して水平方向に相対的に移動させることで、前記基板の表面に供給された前記表面処理液を当該基板の表面に押し付けて前記凹形パターン内に供給し、然る後、前記凹形パターン内に前記表面処理液が残留した状態の
前記基板に前記塗布液供給ノズルから前記塗布液を供給して前記塗布膜を形成するように制御信号を出力する制御部と、
を備える。
【0008】
表面に凹形パターンが形成された基板に塗布膜を形成する塗布膜形成方法において、
基板保持部に前記基板を水平に保持させる工程と、
次いで、前記基板の表面に表面処理液供給ノズルから、当該基板の表面における前記塗布液に対する濡れ性を高めるための表面処理液を供給する工程と、
続いて、押し付け部を前記基板の表面に近接した状態で当該基板に対して水平方向に相対的に移動させることで、前記基板の表面に供給された前記表面処理液を当該基板の表面に押し付けて前記凹形パターン内に供給する工程と、
然る後、前記基板に前記塗布液を供給して前記塗布膜を形成する工程と、
を備える塗布膜形成方法。
【0009】
本発明の記憶媒体は、表面に凹形パターンが形成された基板に塗布膜を形成する塗布膜形成装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体において、
前記コンピュータプログラムは、本発明の塗布膜形成方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の濡れ性を高めるために当該基板の表面に供給された表面処理液を、当該基板の表面に対して近接した状態で相対的に水平方向に移動する押し付け部により当該基板の表面に押し付け、その後、塗布液を基板に供給して塗布膜を形成する。このような構成により、基板の表面の凹形パターン内に表面処理液を速やかに且つ十分に満すことができる。そして、凹形パターン内に十分に表面処理液が満たされていることで、塗布液は表面処理液を介して凹形パターン内へ進入し、当該凹形パターン内に満たされるので、塗布膜形成後に凹形パターン内に気泡が含まれることを抑制することができる。また、凹形パターン内に速やかに処理液が満たされるので、スループットの向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態であるレジスト膜形成装置1について、概略斜視図である
図1及び縦断側面図である
図2を参照しながら説明する。このレジスト膜形成装置1は、例えば直径が300mmの円形の基板であるウエハWの表面に塗布液であるレジストを塗布し、塗布膜であるレジスト膜を形成する。また、レジスト膜形成装置1は、背景技術の項目で説明したように、レジストの塗布前においてウエハWの表面に対するレジストの濡れ性を高めるための表面処理液である溶剤をレジストの表面に塗布するプリウエットを行う。ウエハWの表面には後述するように凹形パターンが形成されており、レジスト膜形成装置1は、当該凹形パターン内にシンナーが満たされるようにプリウエットを行えるように構成されている。
【0013】
レジスト膜形成装置1は、カップモジュール2、レジスト供給ユニット3及び溶剤供給ユニット4を備えている。カップモジュール2は、ウエハWの裏面中央部を吸着して水平に保持する基板保持部であるスピンチャック21と、基板回転機構である回転機構22と、カップ体23と、を備えている。スピンチャック21は、垂直に伸びるシャフトを介して回転機構22と接続されており、当該回転機構22により、ウエハWが鉛直軸回りに回転するようにスピンチャック21が回転する。
【0014】
カップ体23は上側が開口した円形状に構成され、スピンチャック21に載置されるウエハWを囲むように設けられている。このカップ体23は、ウエハWから飛散した液を受けて、下部側に開口した排液口24にガイドして排出する。図中25は、カップ体23内の下部に設けられる排気管であり、カップ体23内を排気して、カップ体23内の雰囲気が外部に飛散することを防ぐ。図中26は昇降ピンであり、レジスト膜形成装置1の外部の搬送機構とスピンチャック21との間でウエハWを受け渡すために、昇降機構27により昇降する。
【0015】
続いて、レジスト供給ユニット3について説明する。レジスト供給ユニット3は、レジスト吐出ノズル31、配管32、レジスト貯留部33、アーム34及び駆動機構35により構成されている。レジスト吐出ノズル31は、鉛直下方にレジストを吐出するように構成され、配管32を介してレジスト貯留部33に接続されている。レジスト貯留部33は例えばタンク、ポンプ、バルブ及びフィルタを備え、レジストを貯留すると共に、貯留されたレジストをレジスト吐出ノズル31に圧送する。このようにノズル31に供給されるレジストは、例えば400cP以上の粘度を有する液体であり、当該レジストを用いて膜厚が100μm以上の比較的厚いレジスト膜が形成される。
【0016】
レジスト吐出ノズル31はアーム34によって支持され、当該アーム34は駆動機構35に接続されている。駆動機構35は、
図1に示すガイド36に沿って水平方向に移動自在であると共に、アーム34を昇降させることができるように構成されている。図中37は、カップ体23の外側に設けられる待機部であり、上側が開口した容器状に形成されている。レジスト吐出ノズル31は、上記の駆動機構35によって、待機部37内とスピンチャック21に載置されたウエハWの中心部上との間で移動することができる。
【0017】
続いて溶剤供給ユニット4について説明する。溶剤供給ユニット4は、溶剤吐出部41、配管44、溶剤供給源46、アーム51及び駆動機構52により構成されている。溶剤吐出部41について、
図3の縦断側面図も参照して説明する。溶剤吐出部41は扁平な円形のブロック状に構成されており、その下面はプリウエットを行う際にウエハWの表面に近接すると共に対向する水平な円形の対向面42として構成されている。対向面42の直径L1は、例えば30mm〜200mmに設定され、この例では50mmである。対向面42の中心部には溶剤の吐出口43が鉛直下方に向けて開口しており、この吐出口43の口径L2は例えば3mm〜10mmである。対向面42は、吐出口43から吐出された溶剤40をウエハWに対して押し付けるための押し付け部として構成されている。
【0018】
溶剤吐出部41の上部側には配管44の一端が接続されている。配管44の他端は流量調整部47を介して溶剤供給源46に接続されており、溶剤供給源46は配管44の下流側に溶剤を供給する。流量調整部47はバルブを備えており、後述の制御部10から出力される制御信号に基づいて当該バルブの開度が調整されて、溶剤吐出部41へ供給される溶剤の流量が調整される。溶剤供給源46から供給される溶剤としては、例えばPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)や、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、またはその混合物などである。
【0019】
溶剤吐出部41はアーム51によって支持され、当該アーム51は駆動機構52に接続されている。駆動機構52は、
図1に示すガイド53に沿って水平方向に移動自在であると共に、アーム51を昇降させることができるように構成されている。また、図中54はカップ体23の外側に設けられる待機部であり、上側が開口した容器状に形成されている。駆動機構52によって、溶剤吐出部41は、待機部54内とスピンチャック21に載置されたウエハW上との間で移動することができ、さらに、吐出口43による溶剤の吐出位置がウエハWの直径に沿って移動するように水平移動することができる。プリウエットを行う際には、そのように溶剤吐出部41がウエハW上を水平移動すると共に、吐出口43から溶剤が吐出される。このとき、後述のようにウエハWに溶剤を押し付けることが出来るように対向面42とウエハWの表面とは近接しているが、具体的にこれら対向面42とウエハWの表面との距離H1(
図3参照)は、例えば0.5mm〜2mmとされる。なお、溶剤吐出部41は溶剤を供給するノズルと溶剤をウエハWの表面に押し付ける押し付け部とが一体に構成されているため、駆動機構52はノズル用移動機構且つ押し付け部用の水平移動機構である。
【0020】
図2に示すように、レジスト膜形成装置1にはコンピュータからなる制御部10が設けられている。制御部10は、プログラム格納部を有している。このプログラム格納部には、回転機構22によるウエハWの回転数、駆動機構35によるレジスト吐出ノズル31の移動、駆動機構52による溶剤吐出部41の移動、昇降機構27による昇降ピン26の昇降、流量調整部47による溶剤吐出部41へ供給する溶剤の流量の調整、レジスト貯留部33によるレジスト吐出ノズル31へのレジストの供給などの動作が制御されるように命令(ステップ群)が組まれたプログラムが格納される。このプログラムにより、レジスト膜形成装置1を構成する各部に制御信号が送信され、後述のウエハWに対する処理が実施される。このプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、メモリーカードなどの記憶媒体により格納されて制御部10にインストールされる。
【0021】
以下、レジスト膜形成装置1によるウエハWの処理について説明する。この説明では、凹形パターンとして表面にホールが形成されたウエハWに対して処理が行われる様子を示す。
図4は、このウエハWの縦断側面を示している。図中61はシリコン層であり、上記のホールをなす凹部62が形成されている。図中63はシリコン層61の表面全体を被覆する絶縁膜である。図中64は金属膜であり、凹部62内から凹部62の開口縁部に亘って形成されている。この凹部62の幅L3は例えば10nm〜100nmであり、凹部62のアスペクト比である当該凹部62の高さH2/幅L3は5以上である。凹部62はウエハW表面において多数、所定の間隔を空けて形成されている。なお、凹形パターンとしてはホールの他に、溝であってもよい。
【0022】
以下、
図5〜
図8のウエハWの平面図及び
図9〜
図13のウエハWの表面の縦断側面図を参照して説明する。なお、
図9〜
図13では、図示の便宜上、ウエハWの凹部62に対して溶剤吐出部41を、実際の大きさよりも小さく示している。先ず、搬送機構によりウエハWが昇降ピン26を介してスピンチャック21に受け渡される。続いて、待機部54から溶剤吐出部41がウエハW上に移動する。そして、溶剤吐出部41の吐出口43がウエハWの中心部上に位置し、
図3で説明したように、対向面42がウエハWの表面に近接するように溶剤吐出部41が配置される。然る後、ウエハWが例えば平面視時計回りで回転し、吐出口43からウエハWに溶剤40が吐出されてプリウエットが開始される(
図5)。
【0023】
溶剤40は対向面42とウエハWの表面との隙間に満たされ、円形の液溜まりを形成してウエハW上を広がる。続いて、溶剤吐出部41がウエハWの直径に沿って、ウエハWの周端へ向けて水平に移動する。この溶剤吐出部41の移動は、上記の対向面42とウエハWの表面との隙間に溶剤40が満たされる状態が維持される速度で行われる(
図6)。
【0024】
対向面42とウエハWの表面とが近接しているため、吐出口43から当該対向面42とウエハWの表面との間の隙間に供給された溶剤40は、対向面42によってウエハWの表面に押し付けられるように塗布される(
図9)。そして、溶剤吐出部41の下方の凹部62内には、当該溶剤吐出部41の移動元側から移動先側に向けて、対向面42によってウエハW表面に押し付けられた当該溶剤40が流入する(
図10)。さらに溶剤吐出部41の移動が続けられて、引き続き凹部62内に溶剤40が流入し、凹部62内が、気泡となる空隙が残留しないように溶剤40によって満たされ、溶剤吐出部41はそのように溶剤40で満たされた凹部62上を通過する(
図11)。溶剤吐出部41がウエハWの周端部上に位置し、ウエハWの表面全体を溶剤40の液溜まりが被覆すると、溶剤吐出部41からの溶剤40の吐出が停止し、溶剤吐出部41が待機部54に戻り、プリウエットが終了する。
【0025】
続いて、ウエハWの回転数が所定の回転数になり、待機部37からウエハWの中心部上に移動したレジスト吐出ノズル31からレジスト30がウエハWの中心部に吐出され、レジスト塗布が開始される。レジスト30は遠心力により、ウエハWの周縁部に向けて展伸される(
図8)。つまり、レジスト30がスピンコーティングされる。
【0026】
レジスト30は、凹部62内に満たされている溶剤40と混合されることで凹部62内へと進入し(
図12)、凹部62内に満たされる(
図13)。ウエハWの表面全体がレジスト30に被覆されて、レジスト吐出ノズル31からのレジスト30の吐出が停止し、レジスト吐出ノズル31は待機部37に戻る。そして、ウエハWの回転によりレジスト30の乾燥が進行し、レジスト膜が形成されるとウエハWの回転が停止して、レジスト塗布が終了する。然る後、ウエハWは昇降ピン26を介して搬送機構に受け渡され、レジスト膜形成装置1から搬出される。
【0027】
このレジスト膜形成装置1によれば、溶剤吐出部41からウエハWの表面に吐出された溶剤40を、ウエハWの回転と溶剤吐出部41の水平移動とによって、溶剤吐出部41を構成すると共にウエハWの表面に近接する対向面42がウエハWに押し広げるように塗布する。それにより、ウエハW表面の凹部62内に溶剤40が満たされるように、ウエハWの表面全体に溶剤40が液盛りされる。その後、レジスト30をウエハWに供給してレジスト膜を形成する。レジスト30は凹部62内に満たされた溶剤40を介して凹部62内に進入して、当該凹部62内を満たすため、レジスト膜形成後、凹部62内に気泡が含まれることを防ぐことができる。また、ウエハWの表面に溶剤40を押し付けることで、凹部62内に速やかに溶剤40を供給することができるので、スループットの向上を図ることができる。
【0028】
上記のプリウエットにおいて、ウエハWの回転数は当該プリウエットの開始から当該プリウエットの終了までに、ウエハWの表面全体を溶剤吐出部41の対向面42が通過して当該表面全体の凹部62内に溶剤40を押し込めるように、比較的小さい回転数、例えば10rpm〜30rpmとする。また、レジスト塗布時には、上記のように粘度が比較的高いレジストをスピンコーティングするために、例えば1000rpm〜3000rpmとする。つまり、プリウエットにおけるウエハWの回転数は、レジスト塗布においてレジスト30をウエハWの周縁部に向けて展伸させる際のウエハWの回転数よりも低くなるように設定される。
【0029】
また、上記のプリウエットにおいて溶剤吐出部41を等速で移動させてもよいが、ウエハWの表面全体を溶剤吐出部41の対向面42が通過することができるようにするために、溶剤吐出部41の移動速度は、ウエハWの中心部側を移動するときの速度よりもウエハWの周縁部側を移動するときの速度が小さくなるように設定してもよい。また、そのように溶剤吐出部41の移動速度を変更する代わりに、溶剤吐出部41がウエハWの中心部側に位置するときのウエハWの回転数よりも、溶剤吐出部41がウエハWの周縁部側に位置するときのウエハWの回転数が大きくなるように設定して、ウエハWの表面全体を溶剤吐出部41の対向面42が通過するようにしてもよい。
【0030】
ところで上記のプリウエットにおいて、溶剤吐出部41がウエハWの中心部上に位置するときと、溶剤吐出部41がウエハWの周縁部上に位置するときとで、当該溶剤吐出部41から吐出される溶剤の流量が異なるようにしてもよい。溶剤供給部がウエハWの中心部上に位置するときの溶剤の流量を中心部供給流量、溶剤吐出部41がウエハWの周縁部上に位置するときの溶剤の流量を周縁部供給流量とする。比較的粘度が高い溶剤をプリウエットに用いる場合、中心部供給流量を周縁部供給流量よりも大きくして、レジスト塗布時において、ウエハWの中心部における単位面積あたりの溶剤の量が、ウエハWの周縁部おける単位面積あたりの溶剤の量よりも多くなるようにしてもよい。
【0031】
そのようにウエハWの面内で溶剤の量の分布を形成することで、ウエハWの中心部に供給されたレジストの流動性を高くし、ウエハWの周縁部へ速やかに展伸させてスループットの向上を図ることができる。なお、レジスト塗布時にウエハWの各部に供給されている溶剤の量によって、ウエハWの各部におけるレジスト膜の膜厚が変化する。従って、ウエハWの中心部と周縁部との間で膜厚を揃えるために、中心部供給流量と周縁部供給流量とを互いに異なる値に設定してもよい。また、ウエハWの周方向における長さはウエハWの周縁部側に向かうほど大きくなるため、周縁部供給流量を中心部供給流量よりも大きくすることで、ウエハWの周縁部において供給される溶剤の量が不足することを防ぎ、且つウエハWの中心部において供給される溶剤の量が過剰になることを防ぐようにしてもよい。
【0032】
図14では、溶剤吐出部41の他の構成例を示している。この溶剤吐出部41においては、振動子71及びヒーター72が埋設されている。振動子71は例えば圧電セラミックスなどの圧電体により構成され、上記のプリウエット時に溶剤吐出部41がウエハWの中心部上と周縁部上との間で移動する間、図示しない電圧供給部から電圧が印加されることで振動する。この振動子71の振動によって、溶剤吐出部41が振動する。また、ヒーター72は、溶剤吐出部41の対向面42が所定の温度になるように発熱する。
【0033】
この
図14の溶剤吐出部41を用いて既述のようにプリウエットを行うと、ウエハWの凹部62内に溶剤40が押し込まれ、さらに溶剤吐出部41の振動によりそのように押し込まれた溶剤40が振動する。この振動によって、凹部62内に残留する気泡65が凹部62の上方へとはじき出されて、凹部62内から除去される。つまり振動子71の作用により、より確実に凹部62内を溶剤40で満たすことができる。また、ヒーター72によって対向面42が加熱されているため、吐出口43から供給された溶剤40は加熱され、当該対向面42に対して比較的高い濡れ性を有する。従って、溶剤40は対向面42によりウエハW上を確実に押し広げられるので、より確実に凹部62内を溶剤40で満たすことができる。なお、例えばヒーターを配管44に設けて、加熱された状態の溶剤40が吐出口43から吐出されるようにし、対向面42に対して良好な濡れ性を持つようにしてもよい。
【0034】
ところで、
図5〜
図7で説明したように溶剤吐出部41を回転するウエハWの中心部上から周縁部上に移動させた後、回転するウエハWの周縁部上からウエハWの中心部上に移動させてプリウエットを行うことで、より確実に凹部62内に溶剤40が満たされるようにしてもよい。つまり溶剤吐出部41をウエハWの中心部上と周縁部上との間で往復移動させてもよい。そのように溶剤吐出部41を往復移動させてプリウエットを行う場合、溶剤吐出部41をウエハWの中心部上から周縁部上に移動させるときにウエハWに溶剤40が供給されているので、溶剤吐出部41がウエハWの周縁部上から中心部上に移動する間は、当該溶剤吐出部41からの溶剤40の吐出は行ってもよいし、行わなくてもよい。また、
図5〜
図7で説明した動作とは、溶剤吐出部41の移動方向を逆にすることでプリウエットを行ってもよい。つまり、溶剤40を吐出した状態の溶剤吐出部41を、回転するウエハWの周縁部上から中心部上へ移動させることで、プリウエットを行ってもよい。
【0035】
また、
図5〜
図7で説明したようにウエハWを時計回りに回転させると共に溶剤吐出部41をウエハWの周縁部上へ移動させた後、
図15に示すようにウエハWを反時計回りに回転させ、この反時計回りの回転中に溶剤吐出部41をウエハWの中心部上と周縁部上との間で移動させて、プリウエットを行ってもよい。つまり溶剤吐出部41に対して回転方向が変更されるようにしてもよい。
図15に示す例では、ウエハWの反時計回りの回転中において溶剤吐出部41をウエハWの周縁部上から中心部上へ移動させているが、ウエハWの中心部上から周縁部上へと移動させてもよい。ウエハWの時計回りの回転時とウエハWの反時計回りの回転時とで凹部62に対して、異なる方向から溶剤40が押し込まれるので、凹部62内からの気泡65の排出を促進することができる。なお、ウエハWの時計回りの回転及び溶剤吐出部41の移動を行った後、ウエハWの反時計回りの回転及び溶剤吐出部41の移動を行うまでに、気泡65が自然に凹部62内から排出されるようにするための例えば数秒〜数十秒の待機期間を設けてもよい。当該待機期間では、例えばウエハWの回転、ウエハW上における溶剤吐出部41の移動、及びウエハWへの溶剤40の吐出が停止する。
【0036】
図16は、溶剤吐出部の他の構成例である溶剤吐出部73を示している。溶剤吐出部73について、既述の溶剤吐出部41との差異点を中心に説明すると、溶剤吐出部73は、回転機構74を介してアーム51に接続されており、当該回転機構74によって垂直な中心軸回りに回転される。溶剤吐出部73の上部には凹部75が形成されており、この凹部75の底面には流路76の上流端が開口している。流路76の下流端は、吐出口43に接続されている。
【0037】
また、アーム51には溶剤吐出ノズル77が支持されており、溶剤40を供給する配管44の下流側は、この溶剤吐出ノズル77に接続されている。溶剤吐出ノズル77は回転中あるいは非回転中の溶剤吐出部73の凹部75内に向けて溶剤40を吐出する。この溶剤40が、流路76を介して当該溶剤吐出部73の吐出口43から吐出される。溶剤吐出部73は、溶剤吐出部41と同様にウエハWの中心部上と周縁部上との間で移動し、この移動中に回転機構74によって溶剤吐出部73は回転する。溶剤吐出部73の回転によって、対向面42の下方の溶剤40が撹拌され、ウエハW表面の凹部62内に液流が形成され、上記の振動子71を設けた場合と同様に、凹部62内の気泡をはじき出すことができる。
【0038】
ところで、溶剤吐出部41ではウエハWの表面に溶剤40を押し付けるための押し付け部にウエハWに溶剤を吐出する溶剤吐出ノズルが設けられた構成となっているが、これらを別体としてもよい。
図17、
図18は、そのように押し付け部と溶剤吐出ノズルとを別体にした構成例を示している。アーム51には、上記の溶剤吐出ノズル77が鉛直下方に向けて、溶剤40を吐出することができるように設けられている。また、アーム51には吐出口43が設けられていないことを除いて、溶剤吐出部41と同様の形状の押し付け部78が設けられている。
【0039】
ウエハWの回転中に溶剤吐出ノズル77がウエハWの中心部に溶剤40を吐出する。そしてアーム51の移動により、
図18に示すように溶剤40の吐出位置がウエハWの周縁部上へ移動すると共に、押し付け部78がこの吐出位置に追従するようにウエハWの周縁部上へと移動する。従って、移動する押し付け部78の前方側には溶剤40が供給されている状態となっており、この溶剤40が押し付け部78によってウエハW表面に押し付けられてプリウエットが行われる。
【0040】
ところで、溶剤吐出部41がウエハW上を移動するようにプリウエットを行うことには限られない。対向面42の直径がウエハWの半径と同じか、ウエハWの半径よりも長くなるように形成する。そして
図19に示すように、ウエハWの回転によってウエハWの表面全体が静止した状態の対向面42の下方を通過するように溶剤吐出部41を配置し、プリウエットを行うようにしてもよい。また、プリウエットを行うにあたり、ウエハWを回転させることにも限られない。
図19に示すように構成した溶剤吐出部41がウエハWの周方向に沿って移動する移動機構を設け、ウエハWを回転させずに溶剤吐出部41を移動させることでプリウエットを行うことができる。
【0041】
また、上記のように溶剤吐出部41を往復移動させるにあたり、溶剤吐出部41をウエハWの中心部上から周縁部上へ移動させるときには、溶剤40が確実に凹部62内に押し込まれるようにするために、対向面42とウエハWの表面との距離を比較的小さいH3とする(
図20上段)。そして、溶剤吐出部41をウエハWの周縁部上からウエハWの中心部上へ移動させるときには、対向面42とウエハWの表面との距離が比較的大きいH4(>H3)となり、溶剤40を吐出させながら溶剤吐出部41を移動させるようにして、溶剤40を凹部62内に押し込み且つ比較的大きな溶剤40の液膜を形成してもよい(
図20下段)。溶剤の液膜を比較的大きくすることで、レジストのスピンコーティング時に速やかにレジストが展伸されるようにする。
【0042】
塗布液としてはレジストに限られず、反射防止膜形成用の薬液や、絶縁膜形成用の薬液であってもよい。また、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態は適宜変更したり、互いに組み合わせたりすることができる。