特許第6881010号(P6881010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881010
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20210524BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210524BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20210524BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20210524BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20210524BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20210524BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/302 101G
   H01L21/31 B
   C23C14/56 G
   C23C14/50 K
   C23C16/54
   C23C16/44 F
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-94939(P2017-94939)
(22)【出願日】2017年5月11日
(65)【公開番号】特開2018-190939(P2018-190939A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】特許業務法人弥生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162008
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】阪上 博充
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06428262(US,B1)
【文献】 特表2016−512398(JP,A)
【文献】 特開2010−034505(JP,A)
【文献】 特開2012−216634(JP,A)
【文献】 米国特許第6860965(US,B1)
【文献】 特開2013−171871(JP,A)
【文献】 特表2015−508236(JP,A)
【文献】 特開2009−117568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
C23C 14/50
C23C 14/56
C23C 16/44
C23C 16/54
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送容器が搬入出される搬入出ポートと、前記搬入出ポート上の搬送容器に対して常圧雰囲気下で基板の受け渡しを行う常圧搬送機構が配置された常圧搬送室と、真空雰囲気である真空搬送室と、が前方から後方に向かってこの順に配置された真空処理装置において、
前記真空搬送室内に設けられ、先端側及び基端側に夫々基板を保持する保持体を含む真空搬送機構と、
前記真空搬送室の左右の各々に複数個ずつ気密に接続されると共に前記保持体の先端側に保持されている基板及び基端側に保持されている基板が一括して搬入され、これら基板を真空処理する真空処理モジュールと、
前記搬入出ポートから見て左右の各々に配置され、前記保持体の先端側に保持されている基板及び基端側に保持されている基板が一括して搬入または搬出されると共に前記常圧搬送機構により基板が搬入または搬出されるように構成され、前記真空搬送室との搬送口から見て手前側及び奥側に基板の載置部が設けられた常圧雰囲気と真空雰囲気とを切り替えるロードロック室と、を備え、
前記常圧搬送機構による基板の搬送領域における前記ロードロック室外の基板の搬送領域と前記ロードロック室内の基板の載置位置とが真空処理装置の前後方向において重なっていることと、
前記ロードロック室は、前記常圧搬送室との搬送口が、ロードロック室と前記真空搬送室との搬送口と互いに対向しない側面であって、前記常圧搬送室の中心側の側面に形成されたことと、を特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記ロードロック室における前記真空搬送室との搬送口から見て手前側及び奥側の基板の載置部に載置された基板の中心を結ぶラインは、前記搬入出ポートから前記真空搬送室を見て、左右方向の中心軸に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記ロードロック室は、前記常圧搬送機構が前記搬送容器に対して基板を受け渡すときの搬送面よりも上方に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記常圧搬送機構による基板の搬送領域における前記ロードロック室外の基板の搬送領域と前記ロードロック室内の基板の載置位置とが真空処理装置の上方から見て重なるように配置されることを特徴とする請求項に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記ロードロック室内には、前記真空搬送機構の保持体が下降したときに当該保持体の先端側及び基端側に保持されている各基板が同時に受け渡されて載置されるように、また前記常圧搬送機構が下降したときに当該常圧搬送機構に保持されている基板が受け渡されて載置されるように載置棚が設けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記真空搬送機構の保持体は、上下2段に設けられ、
前記ロードロック室内の載置棚は、上下2段の保持体に対応して2段設けられていることを特徴とする請求項に記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記真空処理モジュールの各々は、前記真空搬送機構の上段側の保持体に載置される基板と下段側に載置される基板とが前記搬入出ポートから見て前後に載置されるように構成されることを特徴とする請求項又はに記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記ロードロック室は、真空処理前の基板及び真空処理後の基板の一方が載置される載置棚と、この載置棚とは異なる高さに設けられ、真空処理前の基板及び真空処理後の基板の他方が載置される載置棚と、を備えていることを特徴とする請求項ないしのいずれか一項に記載の真空処理装置。
【請求項9】
真空搬送機構は少なくとも3本のアームを組み合わせてなる関節アームにより構成され、最も基端側のアームの回転中心は、前記真空搬送室における左右方向の中心から変位していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空雰囲気下で基板を処理する真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程の一つである真空処理を高いスループットで行う装置として、真空処理室を形成する処理容器内にて、一度に複数枚の半導体ウエハ(以下「ウエハ」とする)を処理する真空処理装置が知られている。例えば特許文献1には、真空容器内に周方向に配置された複数の載置台と各載置台に対応する天板との組によりウエハの処理雰囲気を形成する装置が記載されている。この装置は、大気雰囲気あるいは常圧の不活性ガスの雰囲気からロードロック室及び真空搬送室を介して真空処理モジュールにウエハを搬送するように構成されている。
【0003】
このような真空処理装置においては、ウエハのスループットの向上が図られており、例えば各真空処理モジュールにウエハの処理枚数を増やし、真空処理装置が同時に処理できるウエハの枚数を増やすなどの対応が検討されている。しかしながらウエハの処理枚数を増やすと、装置が大型化し、真空処理装置の設置面積が大きくなってしまう問題がある。
さらに真空処理装置の同時に処理できるウエハの処理枚数を増やすと、真空処理装置内でウエハの搬送に時間がかかるようになるため、真空処理装置における単位時間当たりのウエハの処理枚数がそれほど多くならないことがある。
【0004】
特許文献1、2には、複数のウエハの処理を行う真空処理モジュールを接続した真空処理装置が記載されている。しかしながらいずれもウエハの処理枚数に対する装置の専有面積が大きくなってしまっている。またウエハの処理枚数の増加に伴い、真空処理装置内におけるウエハの搬送方法についても更なる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−94530号公報
【特許文献2】特開2015−154083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、真空雰囲気下で基板に処理を行う真空処理装置において、装置を小型化すると共に、基板のスループットを向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の真空処理装置は、基板の搬送容器が搬入出される搬入出ポートと、前記搬入出ポート上の搬送容器に対して常圧雰囲気下で基板の受け渡しを行う常圧搬送機構が配置された常圧搬送室と、真空雰囲気である真空搬送室と、が前方から後方に向かってこの順に配置された真空処理装置において、
前記真空搬送室内に設けられ、先端側及び基端側に夫々基板を保持する保持体を含む真空搬送機構と、
前記真空搬送室の左右の各々に複数個ずつ気密に接続されると共に前記保持体の先端側に保持されている基板及び基端側に保持されている基板が一括して搬入され、これら基板を真空処理する真空処理モジュールと、
前記搬入出ポートから見て左右の各々に配置され、前記保持体の先端側に保持されている基板及び基端側に保持されている基板が一括して搬入または搬出されると共に前記常圧搬送機構により基板が搬入または搬出されるように構成され、前記真空搬送室との搬送口から見て手前側及び奥側に基板の載置部が設けられた常圧雰囲気と真空雰囲気とを切り替えるロードロック室と、を備え、
前記常圧搬送機構による基板の搬送領域における前記ロードロック室外の基板の搬送領域と前記ロードロック室内の基板の載置位置とが真空処理装置の前後方向において重なっていることと、
前記ロードロック室は、前記常圧搬送室との搬送口が、ロードロック室と前記真空搬送室との搬送口と互いに対向しない側面であって、前記常圧搬送室の中心側の側面に形成されたことと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、真空処理装置において、搬入出ポートの後方に接続した常圧搬送室にロードロック室を接続するにあたって、ロードロック室の外の基板の搬送領域と、前記ロードロック室内の基板の載置位置と、が前後方向において重なっている。そのため真空処理装置における前後方向の長さを短くすることができ、装置の設置面積を小さくすることができる。
また真空搬送室の左右の各々に、複数の真空処理モジュールを前後方向に並べて配置している。そして真空処理モジュールは当該モジュールの搬送口から見て手前側及び奥側に基板を載置できるように構成され、真空搬送機構がこれら基板を一括して基板処理モジュール及びロードロック室に対して搬送できるように構成されているため、装置のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る真空処理装置を示す平面図である。
図2】前記真空処理装置の一部の縦断面図である。
図3】前記真空処理装置における真空搬送室の斜視図である。
図4】ロードロック室の斜視図である。
図5】ロードロック室を示す平面図である。
図6】真空処理モジュールを示す断面図である。
図7】真空処理モジュールにおけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図8】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図10】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図11】ロードロック室におけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図12】ロードロック室におけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図13】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図14】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図15】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図16】ロードロック室におけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図17】ロードロック室におけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図18】ロードロック室におけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図19】ロードロック室におけるウエハの受け渡しを説明する説明図である。
図20】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
図21】本発明の実施の形態の他の例に係る真空処理装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る真空処理装置について説明する。図1図2に示すように、この真空処理装置は、その内部雰囲気が乾燥ガス、例えば乾燥した空気あるいは窒素ガスにより常圧雰囲気(空気の場合には大気雰囲気ということもできる)とされる矩形の常圧搬送室2を備えている。常圧搬送室2には、ウエハWの搬送容器であるキャリアCを載置するためステージ1Aを備えた搬入出ポート1が左右方向に3個並べて設置されている。搬入出ポート1側を前方、常圧搬送室2側を後方とすると、常圧搬送室2の正面壁には、前記キャリアCの蓋と一緒に開閉されるドア21が取り付けられている。常圧搬送室2内には、ウエハWを搬送するための関節アームで構成された常圧搬送機構である常圧搬送アーム5が設けられている。
【0011】
図1図2に示すように常圧搬送アーム5は、不図示の回転軸を介して接続された下段アーム部51、上段アーム部52及びウエハ保持部53を下方側からこの順で連結した関節アームとして構成されている。またケース体54内に設けられた図示しない進退用モータ及び旋回用モータにより下段アーム部51内の回転軸または下段アーム部51の本体を回転することにより多関節アーム全体が旋回あるいは進退するようになっている。また常圧搬送アーム5は、下段アーム部51上段アーム部52及びウエハ保持部53の内下段アーム部51が最も長く構成されている。図1中の常圧搬送室2内の鎖線は、下段アーム部51の旋回範囲を示している。従って常圧搬送アーム5はウエハWを保持した状態で図1中の常圧搬送室2内の鎖線内を旋回することができる。
【0012】
またケース体54には常圧搬送室2の下方に設けられ、常圧搬送アーム5をガイドレール56に沿って、後述のロードロック室3A、3Bの高さまで昇降させる昇降機構55が設けられている。また常圧搬送室2の天井面には、常圧搬送室2内に下降気流を形成するためのファンフィルターユニット22が設けられている。
【0013】
図1に示すように平面形状が矩形の真空容器30からなるロードロック室3A、3Bが搬入出ポート1から見て、常圧搬送室2の左側及び右側に夫々設けられている。図2に示すように各ロードロック室3A、3Bは、搬入出ポート1に載置されたキャリアCから常圧搬送アーム5によりウエハWを搬出するときの搬送面よりも高い位置に設けられている。
ロードロック室3Aの内部には、2枚のウエハWが水平に並べて載置されるように後述するウエハ載置棚300が設けられている。詳しくは後述するが、ウエハ載置棚300は例えば各々2枚のウエハWを上下に間隔をあけて配置するように構成され、2台のウエハ載置棚300を上下に接続し、2台接続したウエハ載置だな300の組を常圧搬送室2側から見て横方向に並ぶように配置している。
【0014】
図1に示すようにロードロック室3Aの各段のウエハ載置棚300に載置された、前記2枚のウエハWの中心を結ぶライン、この例では平面で見て真空容器30の短辺の中心同士を結ぶ軸線は、後述の真空搬送室9を搬入出ポート1から見て左右方向の中心軸に対して後方側が当該中心軸側に向いて斜めに例えば45度の角度になるように配置されている。この時常圧搬送アーム5におけるロードロック室3Aの外のウエハWの搬送領域とロードロック室3A、3B内のウエハWの載置位置とが前後方向において重なるように配置されている。
【0015】
またロードロック室3Bは、搬入出ポート1から後方を見て、真空搬送室9の左右方向の中心軸に対してロードロック室3Aと鏡像対称に構成されている。従って右側のロードロック室3Bについても、平面で見て真空容器30の短辺の中心同士を結ぶ軸線は、後述の真空搬送室9を搬入出ポート1から見て左右方向の中心軸に対して後方側が当該中心軸側に向いて斜めに例えば45度の角度になるように構成されている。
【0016】
ロードロック室3A、3Bは鏡像対称であることから、ここでは左側のロードロック室3Aについて説明する。図1に示すようにロードロック室3Aは、既述のように矩形の真空容器30を備え、真空容器30における常圧搬送室2の中心側の側面には、搬送口31が形成され、搬送口31には、ゲートバルブ32が設けられている。また図1図3に示すように各ロードロック室3A、3Bの搬入出ポート1から見て後方側の面には、ウエハWの搬送口33が形成され、搬送口33は、搬送口33を開閉するゲートバルブ34を介して、共通の真空搬送室9が接続されている。
【0017】
図2図4に示すようにロードロック室3Aの内部には、既述のように各々2枚のウエハWを棚状に保持する基板載置棚であるウエハ載置棚300が4台設けられている。この例では上段側の2段のウエハ載置棚300が未処理ウエハが載置される上段側ウエハ載置棚301となり、下段側の2段を処理済みウエハが載置される下段側ウエハ載置棚302となる。なお以下明細書中では、真空搬送室9側から見て、奥側の上段側ウエハ載置棚301、下段側ウエハ載置棚302を夫々上段側ウエハ載置棚301A、下段側ウエハ載置棚302Aと示し、手前側の上段側ウエハ載置棚301、下段側ウエハ載置棚302を夫々上段側ウエハ載置棚301B、下段側ウエハ載置棚302Bと示す。
【0018】
ウエハ載置棚300は、夫々3本の支柱35と、各支柱35の長さ方向に間隔を置いて梁出すように設けられ、ウエハWの周縁部を支持して、ウエハWを水平に保持する爪部36とを備えている。なお本実施の形態では、奥側の上段側ウエハ載置棚301Aと、下段側ウエハ載置棚302Aとは、上下に位置する支柱35が互いに接続された構成となっており、手前側の上段側ウエハ載置棚301と、下段側ウエハ載置棚302と、が上下に位置する支柱35が互いに接続された構成となっている。支柱35及び爪部36の配置について説明する。支柱35は、ロードロック室3A内を上下に伸びるように配置されるため、常圧搬送室2から搬送されるウエハWの経路及び、真空搬送室9から後述の真空搬送アーム6により搬送されるウエハWの経路から外れた位置に設けられる。
【0019】
図5に示すようにロードロック室3Aにおいては、真空搬送室9から見て奥側のウエハ載置棚300に常圧搬送室2からウエハWを搬送するにあたっては、ウエハWを保持した常圧搬送アーム5のウエハ保持部53は、搬送口31に対して、例えば45度傾いた角度で進入する。また真空搬送室9から見て手前側のウエハ載置棚300に常圧搬送室2からウエハWを搬送するにあたっては、ウエハWを保持した常圧搬送アーム5のウエハ保持部53は、搬送口31が形成された面に対して、例えば垂直角度で進入する。またウエハWを保持した真空搬送アーム6のウエハ保持部63aはウエハWを保持して、搬送口33が形成された面に垂直に進入する。
【0020】
従って支柱35は図5中鎖線で示すロードロック室3A内のウエハWの移動領域を外れるように配置される。また爪部36は、保持位置にあるウエハWに対して、当該保持位置にあるウエハWを保持するように配置された常圧搬送アーム5のウエハ保持部53及び真空搬送アーム6のウエハ保持部63aと重ならないように梁出し、ウエハWの周縁部を保持する。図5中斜線で示す領域は、保持位置にあるウエハWにおいて常圧搬送アーム5のウエハ保持部53及び真空搬送アーム6のウエハ保持部63aと重ならない領域を示しており、当該領域に向けて爪部36を梁出すように設ければよい。
【0021】
上段側ウエハ載置棚301A、下段側ウエハ載置棚302A、上段側ウエハ載置棚301B及び下段側ウエハ載置棚302Bの各々における各爪部36の上下方向の間隔は、すべて同じ間隔になっており、上段側ウエハ載置棚301A、下段側ウエハ載置棚302A、上段側ウエハ載置棚301B及び下段側ウエハ載置棚302Bの各々は、2枚のウエハWをすべて同じ上下間隔で保持する。
【0022】
また図5に示すようにロードロック室3Aの底面には、ロードロック室3A内を排気して真空雰囲気とするための排気口37が形成され、排気口37は、真空排気部10に接続されている。またロードロック室3Aの底面には、ロードロック室3A内に不活性ガス例えば窒素(N)ガスを供給して大気雰囲気(常圧雰囲気)にするためのガス供給口38が設けられ、ガス供給口38は、Nガス供給源39に接続されている。
【0023】
図1、3に戻って、真空搬送室9は前後方向に伸びる概略矩形に構成され、底面部にその内部を真空雰囲気とするための排気口90が形成され、排気口90は、真空排気部10に接続されている。また搬入出ポート1から見て真空搬送室9の左右には、真空処理モジュール4が各々前段、中段、後段の3台前後方向に並べて設けられている。
図1図3に示すように真空搬送室9における中心部から外れた位置、ここでは、搬入出ポート1から見て真空搬送室9の中心部の右側の側壁の手前に真空搬送機構である真空搬送アーム6が設けられている。
真空搬送アーム6は、基台60に回転軸65を介して接続された下段アーム部61と、下段アーム部61の先端に連結された上段アーム部62と、を備えている。上段アーム部62の先端には、上方に向けて伸びる回転軸64が設けられ、回転軸64には各々保持体である2枚のへら状のウエハ保持部63a、63bが接続されている。
【0024】
ウエハ保持部63a、63bはその基端部分が前記回転軸64に接続されており、互いに高さ方向に隙間を介して接続されている。この時ウエハ保持部63a、63bの上面の高さの間隔は、ロードロック室3A、3Bの上段側及び下段側ウエハ載置棚301、302に保持される2枚のウエハWの上面の高さの間隔と等しくなっている。
【0025】
なおここでは2枚のウエハ保持部63a、63bの内、上段側を第1のウエハ保持部63aとし、下段側を第2のウエハ保持部63bとする。第1及び第2のウエハ保持部63a、63bはほぼ同様に構成され、回転軸64を中心に互いに独立して旋回するように構成されている。第1及び第2のウエハ保持部63a、63bはその先端側及び基端側にて夫々1枚のウエハWを保持するように構成されている。第1及び第2のウエハ保持部63a、63bの各々における先端側に保持するウエハWの位置と基端側に保持するウエハWの位置とは、既述のロードロック室3Aの手前側及び奥側に並べて配置された2台のウエハ載置棚300のウエハWの配置間隔を揃うように設定されている。また先端側に保持するウエハWの位置と基端側に保持するウエハWの位置とは、後述する真空処理モジュール4における真空搬送室9側から見て奥側及び手前側に並ぶ載置台11A、11Bの間隔に対応して設定されている。
【0026】
また真空搬送アーム6は、下段アーム部61、上段アーム部62及び2枚のウエハ保持部63a、63bの内下段アーム部61が最も長く構成されている。図1中の真空搬送室9内の鎖線は、下段アーム部61の旋回範囲を示している。従って真空搬送アーム6はウエハWを保持した状態で図1中の真空搬送室9内の鎖線内を旋回することができる。また基台60内部には、図示しない昇降機構が設けられ、第1及び第2のウエハ保持部63a、63bが一体となり、その高さ位置が調整できるように構成されている。
【0027】
真空処理モジュール4について説明する。真空処理モジュール4として、例えばウエハWにプラズマALD(Atomic Layer Deposition)により成膜する成膜装置を適用した例について説明する。例えば真空処理モジュール4は、図1図6に示すように横断面が矩形の真空容器40を備え、真空容器40における真空搬送室9側の側壁には、真空搬送室9からウエハWを搬入出するための搬入出口41が形成され、ゲートバルブ42により開閉されるように構成されている。真空容器40内には、搬入出口41から見て、手前側及び奥側に並べて配置された真空処理部400A及び400Bが、搬入出口41から見て左右に2列並べて配置されている。図6に示すように真空容器40の底面には、真空容器40内の雰囲気を排気するための排気口80が設けられている。この排気口80には排気管81が接続されており、当該排気管81は、真空容器40内の圧力調整を行う圧力調整部82を介して真空排気手段を成す真空ポンプ83に接続されている。
【0028】
真空処理部400A及び400Bは、図6に示すようにウエハWを載置する載置台11A、11Bを備えている。載置台11A、11Bは、例えばアルミニウムやニッケルなどからなる扁平な円柱状に形成されている。各載置台11A、11Bには、載置面上のウエハWを加熱するための、例えばシート状の抵抗発熱体より構成される加熱手段を成すヒータ12が埋設されており、ウエハWを300℃〜450℃程度に加熱するように構成されている。また載置台11A、11Bは図示しない整合器を介して接地電位に接続されている。
【0029】
真空処理部400A及び400Bの各々の載置台11A、11Bは、下部にて支持腕44Aによって支持されており、これら支持腕44Aの基端側は、支柱44の頂部に接続されている。支柱44は、真空容器40の底面を貫通し、支柱44の下端側には、昇降機構43が接続されている。図6中の43Aは、真空容器40内を気密に保つためのシール部材である。この昇降機構43により、支柱44及び支持腕44Aが昇降され、全ての載置台11A、11Bが同時に上下に昇降するように構成されている。そして載置台11A、11Bは、図6に実線で示す成膜処理を行う処理位置と、図6中鎖線で示すウエハWの入れ替えを行う入れ替え位置との間で昇降する。
【0030】
また真空処理部400A及び400Bの上部側には、絶縁部材71を介して、上部電極をなす金属製のガス供給部であるガスシャワーヘッド7が設けられている。このガスシャワーヘッド7には整合器84を介して高周波電源85が接続されている。このガスシャワーヘッド7から真空容器40内に、励起されるガスを供給すると共に、上部電極をなすガスシャワーヘッド7と下部電極をなす載置台11A、11Bとの間に高周波電力が印加されて、プラズマが発生する平行平板型プラズマ処理装置として構成されている。
【0031】
ガス供給部であるガスシャワーヘッド7は、厚さ方向に貫通するガス供給孔73が例えば縦横に配列されたシャワープレート72を備え、ガスをシャワー状に載置台11A、11Bに向けて供給できるように構成されている。またガスシャワーヘッド7においては、図示しない加熱機構が埋設されており設定温度に加熱されるようになっている。
【0032】
ガスシャワーヘッド7には、天井部材70を貫通するガス供給路74の下流側端部が接続され、このガス供給路74の上流側は、分岐されて四塩化チタン(TiCl)ガス供給源75、水素(H)ガス供給源76及びアンモニア(NH)ガス供給源77、アルゴン(Ar)ガス供給源78及びNガス供給源79が接続されている。図2中V75〜V79はバルブであり、M75〜M79は流量調整部である。
【0033】
さらに各載置台11A、11Bには、3か所の貫通孔45が形成されている。図7は、真空搬送アーム6のウエハ保持部63a、63bが各載置台11A、11Bの上方に位置した状態を示している。このように搬入出口41から見て手前側の真空処理部400Aの載置台11Aにおいては、載置台11Aの上方を横切るウエハ保持部63a、63bを跨ぐように3か所の貫通孔45が設けられる。また搬入出口41から見て奥側の真空処理部400Bの載置台11Bにおいては、貫通孔45は、ウエハ保持部63a、63bの先端部の下方から外れた位置に形成される。
【0034】
図6に示すように各貫通孔45には、載置台11A、11B上のウエハWを水平な姿勢で保持して昇降させるための昇降ピン46が設けられている。昇降ピン46は真空容器40の外部に設けられた例えばエアシリンダよりなる昇降機構47に接続されている。なお図中48は、真空容器40内を気密にするためのベローズである。この昇降ピン46と真空搬送室9内の真空搬送アーム6との協働作用によりウエハWは、各載置台11A、11Bに載置される。
【0035】
ウエハWの成膜処理について簡単に説明すると、真空処理モジュール4内の4つの載置台11A、11BにウエハWを載置した後、載置台11A、11Bが処理位置まで上昇する。次いで成膜用のガスとしてTiClガス、Arガス及びHガスを真空容器40内に供給する。その後、高周波電源85をオンにし、ガスシャワーヘッド7と載置台11A、11Bとの間に高周波電力を印加し、真空容器40内にプラズマを発生させる。これによりTiClガスとHガスとが活性化されて反応し、ウエハW表面にTi膜が成膜される。
【0036】
続いてTiClガス、Arガス及びHガスの供給、及び高周波電力を停止し、真空容器40内を排気して真空容器40内からTiCl、Arガス及びHガスを排出する。次いで真空容器40内にNHガス、Arガス及びHガスを供給して、Ti膜の表面を窒化する処理を行う。このNHガスの供給により、Ti膜が窒化されて、化学反応が進行し、その表面にTiN(チタンナイトライド)の層が形成される。そして成膜用のガスの供給と、窒化用のガスの供給とを交互に繰り返し、ウエハW表面におけるTi膜の成膜と、Ti膜の窒化とを繰り返し、TiNの層を積層して成膜する。
【0037】
真空処理装置は、図1に示すように真空処理装置内におけるウエハWの搬送、真空処理モジュール4における成膜処理のプロセス、ロードロック室3A、3Bにおける雰囲気の切り替えを制御する制御部100を備えている。制御部100は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、この記憶部には真空処理モジュール4における成膜処理のレシピや、当該真空処理装置において、常圧搬送アーム5及び真空搬送アーム6によるウエハWの搬送行うためのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリカードなどの記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0038】
続いて上述の実施の形態の作用について説明する。なお以下未処理のウエハWを未処理ウエハW0と示し、真空処理モジュール4で処理を行ったウエハWにおける真空搬送室9から見て手前側の真空処理部400Aにて処理を行ったウエハWを処理済みウエハWA、奥側の真空処理部400Bにて処理を行ったウエハWを処理済みウエハWBと示す。また処理済みウエハWA、WBには、ハッチングを付して示す。
【0039】
図8に示すように未処理ウエハW0を収容したキャリアCが搬入出ポート1上に載置されると、当該キャリアC内の1枚の未処理ウエハW0が、常圧搬送アーム5によって取り出される。常圧搬送アーム5は、図9に示すようにウエハ保持部53をロードロック室3A、3Bと干渉しないように折りたたみ、未処理ウエハW0をロードロック室3A内のウエハ載置棚300における、未処理ウエハW0を保持する高さ、例えば上段側ウエハ載置棚301A、301Bの上段側の棚の爪部36に未処理ウエハW0を受け渡す高さまで上昇させる。
【0040】
次いで例えば搬入出ポート1から後方を見て左側のロードロック室3Aにおける常圧搬送室2側のゲートバルブ32を開く。さらに常圧搬送アーム5は、保持した未処理ウエハW0を当該ロードロック室3Aにおける真空搬送室9から見て奥側の上段側ウエハ載置棚301Aにおける上段に載置する。このように常圧搬送アーム5は、キャリアCから未処理ウエハW0を順番に取出し、搬入出ポート1から後方を見て左側のロードロック室3Aにおける2つの上段側ウエハ載置棚301A、301Bに夫々2枚の未処理ウエハW0を受け渡す。続いてゲートバルブ32を閉じ、ロードロック室3A内の雰囲気を大気雰囲気から真空雰囲気に切り替える。
【0041】
次いで搬入出ポート1から後方を見て右側のロードロック室3Bにおいても、左側のロードロック室3Aと同様に、常圧搬送アーム5により上段側ウエハ載置棚301A、301Bに夫々2枚の未処理ウエハW0を受け渡す。さらにゲートバルブ32を閉じ、ロードロック室3B内の雰囲気を大気雰囲気から真空雰囲気に切り替える。
続いて図10に示すように例えば左側のロードロック室3Aにおける真空搬送室9側のゲートバルブ34を開き、真空搬送アーム6における第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bの向きを揃え、上方から見て互いに重なるように配置し、上段側ウエハ載置棚301Aの高さ位置に対応する位置に位置合わせを行った状態で左側ロードロック室3Aに進入させる。
【0042】
この時図11に示すように第1のウエハ保持部63aは、上段側ウエハ載置棚301A、301Bの上段に配置された未処理ウエハW0の下方に進入し、第2のウエハ保持部63bは、上段側ウエハ載置棚301A、301Bにおける下段に配置された未処理ウエハW0の下方に侵入する。そして図12に示すように第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bを上昇させることで、上段側ウエハ載置棚301A、301Bにおける上段の2枚の未処理ウエハW0が第1のウエハ保持部63aにより同時に掬い上げられて保持される。また上段側ウエハ載置棚301A、301Bにおける下段の2枚の未処理ウエハW0が第2のウエハ保持部63bにより同時に掬い上げられて保持される。次いで4枚の未処理ウエハW0を保持した状態で、真空搬送アーム6を真空搬送室9に退避させると共にゲートバルブ34を閉じる。従ってロードロック室3A内の4枚の未処理ウエハW0が真空搬送アーム6により同時に掬い上げられ、一括して搬出されることになる。
【0043】
ロードロック室3Aにおいては、当該ロードロック室3Aから未処理ウエハW0を払い出した後、ゲートバルブ34を閉じ、ロードロック室3A内の雰囲気を大気雰囲気に切り替える。さらに常圧搬送室2側のゲートバルブ32を開き、常圧搬送アーム5により、キャリアCから未処理ウエハW0を取り出し、上段側ウエハ載置棚301A、301Bの2段の棚に夫々未処理ウエハW0を載置する。その後ゲートバルブ32を閉じロードロック室3A内の雰囲気を真空雰囲気とした状態で待機しておく。
【0044】
また真空搬送アーム6は第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bに各々2枚、計4枚の未処理ウエハW0を保持し、真空搬送室9に退避すると、図13に示すように当該4枚の未処理ウエハW0を例えば搬入出ポート1から後方を見て左側の後段の真空処理モジュール4に搬送する。そして例えば第1のウエハ保持部63aに保持した2枚のウエハWを真空処理モジュール4における搬入出口41から見て右側に並ぶ真空処理部400A、400Bの上方に位置させる。
【0045】
この時図13に示すように第1のウエハ保持部63aの基端側に保持された未処理ウエハW0が搬入出口から見て右側の手前側の真空処理部400Aの上方に位置し、第1のウエハ保持部63aの先端側に保持された未処理ウエハW0が搬入出口41から見て右側の奥側の真空処理部400Bの上方に位置する。さらに右側に並ぶ真空処理部400A、400Bの各々において昇降ピン46を上昇させて、第1のウエハ保持部63aに保持された未処理ウエハW0を各々突き上げて受け取り真空処理部400A、400Bに各々載置する。
【0046】
また図14に示すように第2のウエハ保持部63bに保持した2枚の未処理ウエハW0を左側の後段の真空処理モジュール4における搬入出口41から見て左側に並ぶ真空処理部400A、400Bの上方に同様に位置させる。さらに左側に並ぶ真空処理部400A、400Bの各々において昇降ピン46を上昇させて、第2のウエハ保持部63bに保持された未処理ウエハW0を各々突き上げて受け取り、真空処理部400A、400Bに各々載置する。その後真空搬送アーム6を真空搬送室9内に退避させ、ゲートバルブ42を閉じる。
【0047】
続いて真空搬送アーム6により、搬入出ポート1から後方を見て右側のロードロック室3Bの上段側ウエハ載置棚301A、301Bに載置されている4枚の未処理ウエハW0を取り上げ、例えば搬入出ポート1から後方を見て右側後段の位置の真空処理モジュール4に搬送し、同様に各真空処理部400A、400Bに未処理ウエハW0を載置する。その後真空搬送アーム6を真空搬送室9内に退避させ、ゲートバルブ42を閉じる。
【0048】
右側のロードロック室3Bにおいても、未処理ウエハW0を払い出した後は、左側のロードロック室3Aと同様に常圧搬送アーム5によりキャリアCから取り出した未処理ウエハW0を上段側ウエハ載置棚301A、301Bに各2枚の未処理ウエハW0を載置し、ロードロック室3B内の雰囲気を真空雰囲気とした状態で待機する。
【0049】
続いて真空搬送アーム6により、すでに未処理ウエハW0が載置されている左側のロードロック室3Aから未処理ウエハW0を同様に取出し、次の真空処理モジュール4、例えば搬入出ポート1から見て左側の中段の真空処理モジュール4に未処理ウエハW0を搬送する。またこの時常圧搬送アーム5により、ロードロック室3Aに未処理ウエハW0を補充する。
これを繰り返し、真空搬送室9の左右の前段、中段、後段に設けられた各真空処理モジュール4に夫々4枚の未処理ウエハW0を受け渡す。その後各真空処理モジュール4において、既述のようにウエハWの処理を行う。
【0050】
その後各真空処理モジュール4にてウエハWの処理が終了すると、例えば搬入出ポート1から見て左側の後段の真空処理モジュール4におけるゲートバルブ42を開き、搬入出口41から見て、右側の2つの真空処理部400A、400Bに載置された各処理済みウエハWA、WBを昇降ピン46により突き上げる。次いで図15に示すように第1のウエハ保持部63aを真空処理モジュール4に進入させ、2つの昇降ピン46と、真空搬送アーム6の協働作用により、第1のウエハ保持部63aの基端側に手前側の真空処理部400Aにて処理した処理済みウエハWAを受け渡すと共に、先端側に奥側の真空処理部400Bにて処理した処理済みウエハWBを受け渡す。
【0051】
また第1のウエハ保持部63aを真空搬送室9に退避させ、同様に左側の2つの真空処理部400A、400Bに載置された各処理済みウエハWA、WBを昇降ピン46により突き上げ2つの昇降ピン46と、真空搬送アーム6の協働作用により、第2のウエハ保持部63bの基端側に手前側の真空処理部400Aにて処理した処理済みウエハWAを受け渡すと共に、先端側に奥側の真空処理部400Bにて処理した処理済みウエハWBを受け渡す。
【0052】
この時各ロードロック室3A、3Bにおいては、未処理ウエハW0が真空搬送アーム6で取りだされた後、既述のように常圧搬送アーム5により上段側ウエハ載置棚301A、301Bに各々2枚の未処理ウエハW0が載置され、各ロードロック室3A、3B内を真空雰囲気に切り替えた状態で待機している。
【0053】
そして真空搬送アーム6により真空処理モジュール4から4枚の処理済みウエハWA、WBを取り出すと、例えば搬入出ポート1から見て左側のロードロック室3Aの真空搬送室9側のゲートバルブ34を開く。そして各々2枚の処理済みウエハWA、WBを保持した第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bを上方から見て重なり合う位置に揃えると共に、第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bの高さをロードロック室3A内の下段側ウエハ載置棚302A、302Bの高さに対応する位置に合わせる。次いで第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bが重なった状態でロードロック室3A内に進入させる。
【0054】
この時図16に示すように第1のウエハ保持部63aの先端側に保持した処理済みウエハWBが奥側の下段側ウエハ載置棚302Aの上段側の棚に対応する位置に移動し、基端側に保持した処理済みウエハWAが手前側の下段側ウエハ載置棚302Bにおける上段側の棚に対応する位置に移動する。
また第2のウエハ保持部63bの先端側に保持した処理済みウエハWBが奥側の下段側ウエハ載置棚302Aにおける下段側の棚に対応する位置に移動し、基端側に保持した処理済みウエハWBが手前側の下段側ウエハ載置棚302Bにおける下段側の棚に対応する位置に移動する。
【0055】
次いで図17に示すように第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bを下降させる。これにより第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bの各々の先端側に保持した処理済みウエハWBが奥側の下段側ウエハ載置棚302Aにおける上段の棚及び下段の棚に夫々受け渡される。また同様に第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bの各々の基端側に保持した処理済みウエハWAが手前側の下段側ウエハ載置棚302Bにおける上段の棚及び下段の棚に夫々受け渡される。従って真空搬送アーム6により各々2枚、合わせて4枚の処理済みウエハWA、WBが一括してロードロック室3Aに搬入され、下段側ウエハ載置棚302A、302Bに同時に載置されることになる。
【0056】
続いて真空搬送アーム6は、図18図19に示すように既述の未処理ウエハW0を真空搬送アーム6で受け取る工程と同様に、上段側ウエハ載置棚301A、301Bの各々に保持されている各2枚の未処理ウエハW0を第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bで掬い上げて受け取る。
その後、真空搬送アーム6は、図20に示すように受け取った未処理ウエハW0を、処理済みウエハWA、WBを取り出した、搬入出ポート1から見て真空搬送室9の左側の後段の真空処理モジュール4に搬送し、各真空処理部400A、400Bに受け渡す。
【0057】
またロードロック室3Aにおいては、ゲートバルブ34を閉じた後、大気雰囲気に切り替える。さらに常圧搬送室2側のゲートバルブ32を開き、常圧搬送アーム5により、下段側ウエハ載置棚302A、302Bに保持された4枚の処理済みウエハWA、WBをキャリアCに戻すと共に、キャリアCから未処理ウエハW0を取り出し、上段側ウエハ載置棚301A、301Bに受け渡す。さらにゲートバルブ32を閉じ、ロードロック室3A内の雰囲気を真空雰囲気に切り替えて待機する。
また真空搬送アーム6は、例えば搬入出ポート1から見て真空搬送室9の右側の後段の真空処理モジュール4にて処理済みウエハWA、WBを受け取り、搬入出ポート1から見て右側のロードロック室3Bに受け渡す。さらに真空搬送アーム6は、同様に右側のロードロック室3Bにすでに載置されている未処理ウエハW0を処理済みウエハWA、WBを取り出した真空処理モジュール4に搬送する。
【0058】
このように真空搬送アーム6は、各真空処理モジュール4から処理済みウエハWA、WBを取り出し、各ロードロック室3A,3Bに搬送すると共に、ロードロック室3A、3Bにすでに搬送されている未処理ウエハW0を、処理済みウエハWA、WBを取り出した真空処理モジュール4に搬送する。常圧搬送アーム5は、各ロードロック室3A、3Bから処理済みウエハWA、WBを取り出し、キャリアCに搬送すると共に、キャリアCから未処理ウエハW0を取り出し、各ロードロック室3A、3Bに搬送する。このように真空処理モジュール4で処理を終えた処理済みウエハWA、WBを搬送すると共に未処理ウエハW0を真空処理モジュール4に搬送して順番に処理を行う。
【0059】
上述の実施の形態によれば真空処理装置において、搬入出ポート1、常圧搬送室2及び真空搬送室9を前後方向にこの順で接続し、常圧搬送室2にロードロック室3A、3Bを接続するにあたって、常圧搬送室2におけるウエハWの移動範囲の真空処理装置の前後方向における位置と、ロードロック室3A、3BのウエハWの載置位置の真空処理装置の前後方向における位置とが重なるように配置している。従って真空処理装置の前後方向の長さを短くすることができる。
【0060】
さらに搬入出ポート1から見て真空搬送室9の左右に真空処理モジュール4を各々3台ずつ前後に並べて接続している。また各真空処理モジュール4に真空処理部400A,400Bを各々真空搬送室9側から見て、手前側及び奥側に並べて配置し、ロードロック室3A、3BにウエハWを保持するウエハ載置棚300A、300Bを、真空搬送室9側から見て、手前側及び奥側に並べて配置している。また真空搬送室9に設ける真空搬送アーム6をウエハ保持部63a、63bの基端側と先端側とで各々ウエハWを保持できるように構成している。
【0061】
従ってロードロック室3A、3B及び真空処理モジュール4間でウエハWを2枚づつ搬送するともに2枚同時に受け渡しを行うことができるため、装置のスループットが向上する。
【0062】
またロードロック室3A、3Bに未処理ウエハW0を保持する上段側ウエハ載置棚301A、301Bと、処理済みウエハWA、WBを保持する下段側ウエハ載置棚302A、302Bと、を設け、上段側ウエハ載置棚301A、301B、下段側ウエハ載置棚302A、302Bを各々二段に構成している。また真空搬送アーム6に第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bの2段のウエハ保持部を設け、第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bで各々2枚ずつ保持できるように構成している。また第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bの間隔を上段側ウエハ載置棚301A、301B、下段側ウエハ載置棚302A、302Bにおける上下のウエハWの保持間隔と揃えている。
【0063】
これにより第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bをその位置を揃えた状態でロードロック室3A、3Bに進入させて、第1のウエハ保持部63a及び第2のウエハ保持部63bと、ロードロック室3A、3Bに設けた上段側ウエハ載置棚301A、301B、下段側ウエハ載置棚302A、302Bの各々との間で、同時に4枚のウエハの受け渡しを行うことができる。従って装置のスループットをより向上させることができる。
【0064】
また真空搬送アーム6における下段アーム部61の回転軸65を真空搬送室9の中心部から左右方向にずらした位置、上述の実施の形態においては、搬入出ポート1から見て右側にずらした位置に設置している。
真空搬送アーム6のアーム部分を真空搬送室9の前方側と後方側とに伸ばそうとしたときに少なくともアーム部分を折りたたんだ状態で旋回できる必要がある。この時真空搬送アーム6の回転軸65を真空搬送室9の中央に配置すると旋回半径が短くなってしまう。そのため真空搬送アーム6の回転軸65を真空搬送室9の中央からずらした位置にすることで、真空搬送室9の大型化を避けながら、真空搬送アーム6の旋回半径を長くすることができ、真空搬送アーム6の長さを長くすることができる。
【0065】
また本発明は、キャリアCから常圧搬送室2にウエハWを搬送する搬送面の高さ位置とロードロック室3A、3Bの高さ位置とが同じであってもよい。この場合にも常圧搬送室2におけるウエハWの移動範囲の真空処理装置の前後方向における位置と、ロードロック室3A、3BのウエハWの載置位置の真空処理装置の前後方向における位置とが重なるように配置でき、真空処理装置の前後の大きさを短くできるため効果はある。
【0066】
上述の実施の形態に示すようにキャリアCから常圧搬送室2にウエハWを搬送する搬送面の高さ位置とロードロック室3A、3Bの高さ位置を異なる高さとすることで常圧搬送アーム5のアームを旋回させたときにロードロック室3A、3Bとアームとが干渉することがない。従ってロードロック室3A、3Bの位置により、常圧搬送アーム5の旋回範囲が制限されない。搬送面の高さ位置とロードロック室の高さ位置を異なる高さとすることで常圧搬送アーム5の旋回範囲(図1中の常圧搬送室2内の鎖線の範囲)の上方にロードロック室3A、3Bを配置することができるため、真空処理装置の設置面積をより狭くすることができる。
【0067】
またキャリアCから常圧搬送室2にウエハWを搬送する搬送面の高さ位置とロードロック室3A、3Bの高さ位置を異なる高さとすることで、ロードロック室3A、3Bの下方における常圧搬送室2の面積を広く構成することができる。そのため常圧搬送室2にウエハWを搬送する搬送面を広くすることができ、常圧搬送アーム5の可動範囲を大きくすることができる。そのため左右方向に並ぶ搬入出ポート1の配置される数を例えば4台以上に増やすことができ、装置のスループットをさらに向上させることができる。
【0068】
また本発明における真空処理モジュール4は、各々2つの真空処理部400A、400Bを備えた構成でも良く、2つの真空処理部400A、400Bが真空搬送室9側から見て手前側と奥側とに並べて配置された構成でも良い。例えばこのような真空処理装置は、図21に示すように2つの真空処理部400A、400Bを備えた真空処理モジュール4Aが、真空搬送室9の左右に各々6台前後方向に並べて配置された構成が挙げられる。このような例においても、真空搬送アーム6の第1及び第2のウエハ保持部63a、63bの間で各々2枚のウエハWを同時に受け渡すことができるため、装置のスループットが向上する。
【0069】
また常圧搬送アーム5及び真空搬送アーム6は、例えばウエハ保持部を前後にスライドさせると共に、基台を常圧搬送室2あるいは真空搬送室9内を移動するように構成した搬送機構であってもよい。
さらに真空処理モジュール4は、例えば基板にガスを供給して成膜する成膜装置や、基板をエッチングするエッチング装置であってもよい。
またロードロック室3A、3Bは、各々1枚の基板を保持する載置台を真空搬送室9から見て手前側と奥側とに配置した構成でも良く、さらには昇降ピンにより載置台上の基板を昇降させて、載置台と常圧搬送アーム5及び真空搬送アーム6との間で基板を受け渡すように構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 搬入出ポート
2 常圧搬送室
3A,3B ロードロック室
4 真空処理モジュール
5 常圧搬送アーム
6 真空搬送アーム
63a 第1のウエハ保持部
63b 第2のウエハ保持部
300 ウエハ載置棚
301 上段側ウエハ載置棚
302 下段側ウエハ載置棚
400A、400B
真空処理部
W ウエハ
W0 未処理ウエハ
WA、WB 処理済みウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21