(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る照明装置の実施形態について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図、断面図の間において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称および符号については原則として同一または同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。また、本発明の各実施形態に係る照明装置において、「上」、「下」、「左」および「右」などは、状況に応じて入れ替わるものである。本明細書において、「上」、「下」などは、説明のために参照する図面において構成要素間の相対的な位置を示すものであって、特に断らない限り絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る照明装置を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1のII−II線における断面図である。
図3は、第1実施形態に係る照明装置における充填部材の配置箇所の説明図である。なお、
図1は、照明装置10の発光面とは反対側の基板面を示している。
【0012】
[照明装置の構成]
照明装置10は、面発光体20と、貫通孔が形成された基板30と、を備えている。
面発光体20は、複数の発光素子25と、発光素子25を支持する支持部材24と、を備えている。支持部材24は、配線22を上面に備え、下面を発光面としている。配線22は、複数の発光素子25の素子電極23N、23Pを電気的に接続している。
基板30は、フィルム状の基材31と、導体32と、接着部材33と、を備えている。導体32は、基材31の上面における一部に形成されている。接着部材33は、基材31の下面に形成されている。基板30には、厚み方向に貫通する貫通孔35が形成されている。
照明装置10は、面発光体20において配線22が形成された面の上に、基板30における接着部材33の接着面を貼り合わせることで貫通孔35の位置に形成された有底孔41に連通した空間部43を、基板30と面発光体20との間に有している。有底孔41内には、導電ペーストが充填されており、この導電ペーストが硬化した充填部材50によって、配線22と導体32とが接続されている。空間部43は、平面視において有底孔41の開口42よりも外側に位置する空間を有している(
図2および
図3参照)。なお、
図3では、基板30を破断し、面発光体20の一部を露出させて、配線22と接続された端子部21の近傍を模式的に示している。
【0013】
照明装置10の各部の構成について順次に詳細に説明する。
配線22は、発光素子25の上面および支持部材24の上面に所定形状にパターニングされている。配線22は、発光素子25に外部から電力を供給する配線である。配線22は、発光装置の一般的なパッケージ基板配線を利用できる。そのような配線としては、金属材料を用いることができ、例えば、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Cu、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、W等の単体金属またはこれらの金属を含む合金を好適に用いることができる。さらに好ましくは、光反射性に優れたAg、Al、Pt、Rh等の単体金属またはこれらの金属を含む合金を用いることができる。また、配線22は前記導電ペーストを印刷、硬化する事によっても得ることが出来る。
【0014】
配線22は、端子部21と電気的に接続されている。端子部21は、平面視において、凹部として第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cを形成して構成されている。このうち第2凹部28bおよび第3凹部28cは、平面視において有底孔41の開口42よりも外側に位置する空間部43を備えている。
また、第1凹部28aは、第2凹部28bおよび第3凹部28cの間に平面視において円形に形成されている。そして、第2凹部28bおよび第3凹部28cの形状は、平面視において第1凹部28aの円周に沿って例えば半円環形状に形成されている(
図3および
図13A参照)。有底孔41の開口42の直径が500〜600μmである場合、第2凹部28bおよび第3凹部28cの溝幅は200〜300μmである。空間部43を備える第2凹部28bおよび第3凹部28cの形状は平面視において例えば矩形状であってもよい。空間部43を持った凹部の個数は、1つでも複数でも構わない。
【0015】
第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cの深さは、例えば5〜30μmである。第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cの底面は支持部材24の上面の一部で形成されている。支持部材24の上面から、端子部21の導体配線の上面までの高さは、例えば0.1〜30μmである。配線22は、端子部21、充填部材50および導体32を介して外部電源に接続される。
【0016】
発光素子25は、例えばサファイア等の透光性の素子基板上に半導体層を備えている。半導体層は、素子基板側から順に、n側半導体層と活性領域とp側半導体層とを備えている。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な発光素子25としては、例えば、窒化物半導体であるIn
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等で表されるGaN系やInGaN系を用いることができる。なお、素子基板は除去されてもよい。発光素子25の平面視形状は、例えば矩形状であるが、円形、楕円形、三角形、六角形等の多角形であってもよい。発光素子25は、同一面側に正負の素子電極23N、23Pを有するものが好ましい。
【0017】
複数の発光素子25は、例えば直列および並列に電気的に接続されている。面発光体20には、一例として4列×4行に並べられた16個の発光素子25が備えられている。この16個の発光素子は、例えば、4並列4直列の回路に組まれて電気的に接続されている。なお、複数の発光素子25は、それぞれが独立で駆動するように配線されてもよい。発光素子25の間隔は、例えば3〜10mm程度である。
【0018】
支持部材24は、発光素子25等を支持する部材である。支持部材24は、導光部材27の上面と、発光素子25および透光性部材26の側面とを被覆する。支持部材24は、光反射率の高い部材で構成されることが好ましい。発光素子25の発光ピーク波長における支持部材24の光反射率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより一層好ましい。支持部材24は、例えば光反射性物質を含有する樹脂材料を用いることができる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ムライト等が挙げられる。また、樹脂材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂材料を母材とすることが好ましい。また、支持部材24は、反射率を向上させるため、適時ドット状の形状、フレネルレンズ状の形状を有するよう設計する事も可能である。
【0019】
また、面発光体20は、透光性部材26と、導光部材27と、接合部材29と、をさらに備えている。
透光性部材26は、発光素子25の光取り出し面である下面を覆うように設けられている。透光性部材26は、蛍光体を含む透光性の部材である。透光性部材26に含まれる蛍光体の一例として、イットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体(YAG系蛍光体)の他、Tb
2.95Ce
0.05Al
5O
12、Y
2.90Ce
0.05Tb
0.05Al
5O
12、Y
2.94Ce
0.05Pr
0.01Al
5O
12、Y
2.90Ce
0.05Pr
0.05Al
5O
12等が挙げられる。また、これらの発光素子25に、支持部材24および透光性部材26を一体化したパッケージを用いることも可能である。
【0020】
透光性部材26の材料には、透光性の樹脂材料、ガラス等を用いることができる。例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。透光性部材26は、発光ダイオードからの光に対する透過率が70%以上であることが好ましく、さらに80%以上であることがより好ましい。
【0021】
導光部材27は、光源からの光が入射され、面状の発光を行う透光性の部材である。導光部材27は、第1主面である下面と、第1主面とは反対側の第2主面である上面と、を備えている。導光部材27の第1主面は発光面となる。導光部材27の平面形状は例えば、略矩形や略円形等とすることができる。導光部材27は、第2主面である上面側に、透光性部材26を設置するための第4凹部27aを複数形成している。第4凹部27aには透光性部材26が設置され、この透光性部材26の上面に発光素子25が接合されている。導光部材27の第1主面は平坦とすることもできるが、凹凸、レンズ形状等を設けてもよい。導光部材27の第1主面は、発光素子25の直上にあたる部分に円錐形や多角錐系の凹みを設け、発光素子25の直上の光を側面方向に分散させてもよい。また、発光素子25の直上にあたる部分に半球状のレンズやフレネルレンズ等の凸を設け、発光素子25の直上に出る光をさらに集光させてもよい。
【0022】
導光部材27の材料としては、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂等の樹脂材料やガラスなどの光学的に透明な材料を用いることができる。特に、熱可塑性の樹脂材料は、射出成型によって効率よく製造することができるため、好ましい。なかでも、透明性が高く、安価なポリカーボネートが好ましい。導光部材27は、例えば、射出成型やトランスファーモールドで成形することができる。導光部材27は単層で形成されていてもよく、複数の透光性の層が積層されて形成されていてもよい。
【0023】
接合部材29は、発光素子25の光取り出し面と透光性部材26とを固定する部材である。接合部材29は、発光素子25からの光を透光性部材26に導光する部材であることが好ましい。接合部材29の母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、またはこれらの変性樹脂が挙げられる。接合部材29の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より面発光体20の硬度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂および変性シリコーン樹脂は、耐熱性および耐光性に優れているので好ましい。接合部材29は、前記した透光性部材26と同様の蛍光体を含有していてもよい。
【0024】
基材31は、充填部材50を設置するための貫通孔35が複数(図面では2箇所)形成されている。基材31は、基板30の本体であって、可撓性を有する絶縁性材料からなる。基材31の材料としては、例えばポリイミドが好適である。また、ガラスクロスまたは炭素繊維等の繊維状の補強材に樹脂を含浸させた強化プラスチック成形材料(例えばガラスエポキシ、プリプレグ等)も好適である。他には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等の樹脂フィルムを用いてもよい。基材31の厚みは、例えば、10〜40μm程度である。
【0025】
導体32は、例えば、基材31上に設けられた導電箔であり、平面視で所定の配線パターンに形成され、複数の発光素子25と電気的に接続されて電気回路を形成するものである。導体32は、充填部材50を設置するための貫通孔が、基材31の貫通孔35に連通するように複数(図面では2箇所)形成されている。導体32の材料は、高い熱伝導性を有していることが好ましい。このような材料として、例えば銅などの導電材料が挙げられる。また、導体32は、メッキや導電性ペーストの塗布、印刷などで形成することができ、導体32の厚みは、基材31より薄く、例えば、5〜25μm程度である。他の材料としては、アルミ箔、アルミ合金箔、ステンレス箔等を採用することもできる。
【0026】
接着部材33は、基材31と面発光体20とを接着するものである。接着部材33は両面テープであってもよいし、ホットメルト型の接着シートであってもよいし、熱硬化樹脂または熱可塑樹脂の接着液や接着シートであってもよい。ここでは、接着部材33は、一例として、アクリル系の両面テープであるものとする。なお、接着部材33が両面テープである場合、基材31の貫通孔35および導体32の貫通孔に連通する貫通孔が形成されている。接着部材33は、その長さが基材31の長さと同程度であり、その幅が基材31の幅と同程度である。接着部材33の厚みは、基材31より厚く、例えば、50μm程度である。両面テープが帯状である場合、複数の接着部材を、幅方向に一定のピッチで並べて接着するようにしてもよい。
基板30の厚みは、例えば、20〜100μm程度である。基板30に形成された貫通孔35の直径は、例えば500〜600μm程度である。
【0027】
照明装置10は、基板30の貫通孔35に対して、面発光体20の端子部21が対向するように、面発光体20の上に基板30が貼り合わされている。基板30と面発光体20とを貼り合わせたときに貫通孔35の位置には有底孔41が形成される。端子部21の第2凹部28bおよび第3凹部28cは、有底孔41に連通しており、平面視において有底孔41の開口42よりも外側に延在している。
【0028】
充填部材50は、有底孔41内に、導電ペーストを充填して硬化させてなる部材である。充填部材50は、面発光体20の配線22と、基板30の導体32と、を電気的に接続する。導電ペーストは、ナノ粒子、数十μm以下の球形状もしくは鱗片状の導電材料を樹脂に分散したものである。導電ペーストに熱伝導性が高いAg、Cu等の金属材料を使用した場合、照明装置10の放熱性を向上させることができる。
【0029】
[照明装置の製造方法]
次に、照明装置10の製造方法について
図4ないし
図13Bを参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係る照明装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図5は、第1実施形態に係る照明装置の製造方法において準備される発光素子集合体を模式的に示す平面図である。
図6は、
図5のVI−VI線における断面図である。
図7は、第1実施形態に係る照明装置の製造方法において配線が形成された面発光体を模式的に示す平面図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線における断面図である。
図9は、第1実施形態に係る照明装置の製造方法において貫通孔が形成された基板を模式的に示す平面図である。
図10は、
図9のX−X線における断面図である。
図11は、第1実施形態に係る照明装置の製造方法において貼り合わせにより形成された中間体を模式的に示す平面図である。
図12は、
図11のXII−XII線における断面図である。
図13Aは、
図7に示す端子部の拡大図である。
図13Bは、
図11に示す有底孔の拡大図である。照明装置10の製造方法は、面発光体準備工程S1と、基板準備工程S2と、貼り合わせ工程S3と、導電ペースト充填工程S4と、を含み、この順で各工程が行われる。以下、各工程について詳説する。
【0030】
面発光体準備工程S1は、複数の発光素子25と、複数の発光素子25の素子電極23N、23Pを電気的に接続する配線22を一面に備え他面を発光面とする支持部材24と、を有する面発光体20を準備する工程である。面発光体20は、例えば、
図5および
図6に示す発光素子集合体9を準備して、発光素子集合体9の電極面に配線22を形成することで製造することができる。発光素子集合体9は、4列×4行に並べられた16個の発光素子25と、発光素子25を支持する支持部材24と、透光性部材26と、導光部材27と、接合部材29と、を備えている。発光素子集合体9は、配線22を備えていない点が面発光体20と相違する。発光素子集合体9は、予め製造されたものを用いてもよい。
【0031】
発光素子25を製造する場合には、例えば透光性の基板としてサファイア基板を用い、InGaN系からなる活性領域を含む窒化物半導体からなる半導体層を、MOCVD法(有機金属気相化学成長法)によって形成する。また、半導体層上に例えばAu/Ti合金からなる正負の素子電極23N、23Pを形成する。これにより、発光素子25のチップを形成することができる。
【0032】
発光素子集合体9を製造する場合には、まず、複数の第4凹部27aが形成された導光部材27を準備する。例えばポリカーボネートを用いた導光部材27の第2主面である上面には、4列×4行に並べられた16個の第4凹部27aが備えられている。なお、本実施例においては発光素子25を、4個直列とし、4組並列に設置しているが、適宜設計により2個直列とし、8組並列に配置する事も出来る。また、すべての発光素子を独立して接続することも可能である。
次に、導光部材27の第4凹部27aに、蛍光体を含有する樹脂層を、例えばスクリーン印刷法、ポッティング法等で充填して硬化させることにより、透光性部材26が形成される。また、透光性部材26はシート状に形成し適当な寸法にカットしたものを導光部材27の第4凹部27aに実装しても良い。
次に、透光性部材26の上に接合部材の材料として例えば液状のシリコーン樹脂を塗布し、この接合部材の材料の上に、発光素子25のチップを接合する。これにより、透光性部材26の上面と発光素子25の側面とに接合部材29が配置され、透光性部材26の上に、発光素子25が固定される。
次に、導光部材27の上に、発光素子25を覆うように、支持部材の材料を、例えばトランスファーモールドで形成する。次に、支持部材の材料の一部を研削し、発光素子25の素子電極23N、23Pを露出させ、支持部材24を形成する。支持部材24は、発光素子25、透光性部材26、および接合部材29のそれぞれの側面を被覆する。上記手順により発光素子集合体9を製造することができる。
【0033】
発光素子集合体9の電極面に配線22を形成する方法としては、例えば、スパッタ、蒸着、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法、めっき等の公知の方法を用いることができる。発光素子25の素子電極23N、23Pと支持部材24上の略全面に、配線材料として、例えば下からCu/Ni/AuあるいはNi/Ru/Au等の金属層をスパッタ等で形成する。次に、配線材料を例えば厚膜印刷法やレーザアブレーションによってパターニングし、配線22を形成する。このとき、
図7および
図8に示すように、P側(
図7において左側)の端子部21や、N側(
図7において右側)の端子部21も形成する。端子部21は、平面視において、他の配線よりも幅広く、発光素子25の平面形状よりも大きく形成されている。各端子部21は、第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cが形成されるように設けられる。このようにして面発光体20を得ることができる。
【0034】
なお、面発光体20は、16個の発光素子25に対して2箇所の端子部21を備えることとしたが、端子部21の個数は、最大で1つの発光素子当たり2箇所であっても構わない。端子部21は、後記する基板30の貫通孔35に対向する位置に、貫通孔35と同じ数だけ設けられる。
【0035】
基板準備工程S2は、
図9および
図10に示すように、フィルム状の基材31と、基材31の一面における一部に形成された導体32と、基材31の他面に形成された接着部材33と、を有し、厚み方向に貫通する貫通孔35を備える基板を準備する工程である。接着部材33は、例えば両面テープである。接着部材33の一方の接着面は、基材31に接着されており、他方の接着面は剥離フィルム34で覆われている。
また、基板準備工程S2は、代替的に、基材31に導体32が形成された配線基板を準備する工程と、接着部材33の一方の接着面を基材31に貼り付ける工程と、貫通孔35を形成する工程と、を有することとしてもよい。
【0036】
貫通孔35は、面発光体20の各端子部21に対向する位置に、端子部21と同じ個数だけ設けられる。貫通孔35を形成するには、ドリルのほかには、例えば、パンチングやレーザー等を用いてもよい。貫通孔35の平面形状は、例えば円形である。貫通孔35の直径は、例えば500〜600μm程度であり、基板30の厚みは、例えば、100μm程度である。なお、貫通孔を形成する工程にパンチングやレーザーを用いた場合、貫通孔35の形状は円形に限らず、楕円、長方形等の多角形、アレー状、星形等の形状とすることも出来る。
【0037】
貼り合わせ工程S3は、面発光体20において配線22が形成された面上に、基板30における接着部材33の接着面を貼り合わせる工程である。この工程では、基板30から剥離フィルム34を剥がして接着部材33の接着面を露出し、接着部材33の接着面と、面発光体20において配線22が形成された面とを圧着して接合する。このとき、基板30の貫通孔35に対して、面発光体20の端子部21が対向するように位置合わせして接合する。
【0038】
この貼り合わせ工程により、
図11および
図12に示す中間体40が形成される。中間体40は、基板30と面発光体20と、を備えている。中間体40は、貫通孔35の位置に形成された有底孔41に連通した空間部43を、基板30と面発光体20との間に有している。中間体40の空間部43は、
図13Aおよび
図13Bに示すように、平面視において有底孔41の開口42よりも外側に位置する空間を有している。端子部21の第2凹部28bおよび第3凹部28cは、有底孔41に連通しており、平面視において有底孔41の開口42よりも外側に延在している。
【0039】
導電ペースト充填工程S4は、中間体40において有底孔41へ導電ペーストを充填する工程である。この工程では、
図1および
図2に示すように、有底孔41へ導電ペーストを充填して導電ペーストを硬化させた充填部材50を介して配線22と導体32とを電気的に接続する(
図1および
図2参照)。導電ペーストを例えばスクリーン印刷法、ディスペンス法、インクジェット法等から適宜選ばれた手段により有底孔41へ充填すると、導電ペーストは、有底孔41の底面をなす端子部21に接触する。このとき、導電ペーストは、端子部21の導体配線の上面に接触するのみならず、毛細管現象により第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cに入り込む。これにより、導電ペーストはスムーズに有底孔41に充填され第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cの底面および内周面まで入り込む。第2凹部28bおよび第3凹部28cの一部分は、空間部43を形成している。そして、有底孔41は、面発光体20と基板30との間に形成された空間部43に連通しているので、導電ペーストは毛細管現象により空間部43に充填される。空間部43は、平面視において有底孔41の開口42よりも外側に延在しており、有底孔41において開口42の直下の空間よりもさらに奥深くに導電ペーストを到達させることができる。したがって、導電ペーストは、有底孔41の底面までスムーズに入り込むことができるようになる。
また、仮に導電ペーストを有底孔41へ充填する際に空気を巻き込んでしまった場合、開口42の直下では導電ペーストが端子部21に接触しつつ、空間部43を空気の逃げ道にすることもできる。
その後、有底孔41へ充填された導電ペーストは加熱硬化されて充填部材50となり、充填部材50は、面発光体20の配線22と、基板30の導体32とを電気的に接続する。以上の工程により、
図1に示す照明装置10を製造することができる。また、導電ペーストと端子部21の導体配線との接触面積が増加する。
【0040】
以上のように構成された実施形態に係る照明装置の製造方法によれば、有底孔41へ導電ペーストが充填されるときに、空間部43によって導電ペーストと面発光体20の配線との接触面積が増加して密着度が高くなる。そのため、接続信頼性の向上した照明装置を製造することができる。
【0041】
また、第1実施形態に係る照明装置は、
図14に示すよう、充填部材に凹みを形成するようにしてもよい。
図14は、第1実施形態に係る照明装置の製造方法により製造された照明装置の変形例を模式的に示す断面図である。照明装置10Bは、充填部材50Bの断面形状が異なる点が、照明装置10と相違する。有底孔41に充填する導電ペーストの材料によっては、硬化後に、充填部材50Bの上面の中央部が凹んで、基板30の上面よりも低くなることがある。この場合でも、同様に第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cがあることで接続信頼性の向上した照明装置を製造することができる。
【0042】
また、以下の方法で段差を形成して第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cとしてもよい。例えば、第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cの凹底面となる支持部材24の上面に、予め深さ30μm程度の窪みを形成しておいてもよい。この場合、凹部をより深くすることができる。また、この場合、配線22の厚みを例えば500Å(0.05μm)程度に薄くすることができるので、面発光体の全体を薄くすることもできる。その他の方法として、例えば、配線22を形成する際に第1凹部28a、第2凹部28b、第3凹部28cの凹底面が配線の上面となるように、端子部21における凹底面以外の箇所の厚みを凹底面の箇所の厚みよりも30μm程度厚くするようにしてもよい。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る照明装置について説明する。
図15は、第2実施形態に係る照明装置の製造方法において配線が形成された面発光体を模式的に示す平面図である。
図16は、
図15のXVI−XVI線における断面図である。
図17は、第2実施形態に係る照明装置の製造方法において貫通孔が形成された基板を模式的に示す断面図である。
図18は、第2実施形態に係る照明装置の製造方法において貼り合わせにより形成された中間体を模式的に示す断面図である。
図19は、第2実施形態に係る照明装置の製造方法により製造された照明装置を模式的に示す断面図である。
以下では、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る照明装置の製造方法は、前記した方法と同様なので説明を適宜省略する。前記面発光体準備工程S1では、
図15に示す面発光体20Cを準備する。面発光体20Cは、配線22に接続された端子部の形状が、
図7に示す面発光体20と相違している。端子部21Cは、凹部を備えず、略均一な厚みで平坦に形成されている。なお、面発光体20Cは、
図5に示す発光素子集合体9の電極面に、
図15に示すパターンで配線22を形成することで製造できる。
【0045】
前記基板準備工程S2では、
図17に示す基板30Cを準備する。基板30Cは、貫通孔の断面形状が、
図10に示す基板30と相違している。貫通孔35Cは、基板30Cにおいて導体32が形成された面から接着面へのパンチングにより形成されている。このため、貫通孔35Cは、基板30Cにおいて導体32が形成された面よりも接着面の方が広く形成されている。また、貫通孔35Cは、接着部材33が配置された側の開口が、導体32が配置された側の開口よりも大きく広がっている。貫通孔35Cにおいて、接着部材33側の開口近傍の内周面36は、接着部材33側の開口に近付くにつれて広がるようなテーパー面となっている。
【0046】
前記貼り合わせ工程S3では、基板30Cから剥離フィルム34を剥がして接着部材33の接着面を露出し、接着部材33の接着面と、面発光体20Cにおいて配線22が形成された面とを圧着して接合する。このとき、基板30Cの貫通孔35Cに対して、面発光体20Cの端子部21が対向するように位置合わせして接合する。この貼り合わせ工程により、
図18に示す中間体40Cが形成される。中間体40Cは、基板30Cと面発光体20Cと、を備えている。中間体40Cは、貫通孔35Cの位置に形成された有底孔41Cに連通した空間部43Cを、基板30Cと面発光体20Cとの間に有している。空間部43Cは、平面視において有底孔41Cの開口42よりも外側に位置する空間を有している。空間部43Cは、基板30Cの貫通孔35Cの内周面36と面発光体20Cにおいて配線22が形成された面との間に形成される。
【0047】
前記導電ペースト充填工程S4では、中間体40Cの有底孔41Cへ導電ペーストを充填して導電ペーストを硬化させた充填部材50を介して配線22と導体32とを電気的に接続する(
図19参照)。導電ペーストを例えばスクリーン印刷法により有底孔41Cへ充填すると、導電ペーストは、有底孔41Cの底面をなす端子部21Cに接触する。有底孔41Cは、基板30Cの貫通孔35Cの内周面36と、面発光体20Cにおいて配線22が形成された面と、の間に形成された空間部43Cに連通しているので、導電ペーストは空間部43Cに充填される。空間部43Cは、平面視において有底孔41Cの開口42よりも外側に延在しており、有底孔41Cにおいて開口42の直下の空間よりもさらに奥深くに導電ペーストを到達させることができる。そのため、導電ペーストをスムーズに有底孔41C内に充填することができる。また、仮に導電ペーストを有底孔41Cへ充填する際に空気を巻き込んでしまった場合、開口42の直下では導電ペーストが端子部21Cに接触しつつ、空間部43Cを空気の逃げ道にすることもできる。
その後、有底孔41Cへ充填された導電ペーストは加熱硬化されて充填部材50となり、充填部材50は、面発光体20Cの配線22と、基板30Cの導体32とを電気的に接続する。以上の工程により、
図19に示す照明装置10Cを製造することができる。照明装置10Cでは、導電ペーストと端子部21Cの導体配線との接触面積が増加する。
なお、中間体40Cにおいて面発光体20Cを、
図8に示す面発光体20に置き換えて基板30Cと貼り合わせてから導電ペーストを充填して照明装置を製造するようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明に係る照明装置について、発明を実施するための形態によって具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。