(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下式で表されるモノマー(I)に基づく構成単位(a)および酸素原子を有するカチオン重合性反応基を有する構成単位(b)(ただし、前記構成単位(a)を除く。)を有する含フッ素ポリマーと、光酸発生剤とを含み、
前記含フッ素ポリマーの割合が、インプリント用硬化性組成物の100質量%のうち、11〜89質量%である、インプリント用硬化性組成物。
CH2=C(R1)C(O)OR2Rf (I)
ただし、R1は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子であり、R2は、フッ素原子を有さない2価の連結基であり、Rfは、炭素数2〜6のフルオロアルキル基、または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜6のフルオロアルキル基であり、Rfは、R2に結合する炭素原子が少なくとも1つのフッ素原子を有する。
前記含フッ素ポリマーが、ペンダント基にエチレン性二重結合を有する構成単位(c)をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
数値範囲における「〜」は、特段の定めがない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含むことを示す。
図1〜
図4における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
「モノマー」とは、ポリマーの構成単位となり得る化合物を意味する。モノマーとしては、エチレン性二重結合を有する化合物、エチレン性二重結合と反応し得る基(チオール基等)を有する化合物が挙げられる。
「構成単位」とは、モノマーから構成される単位を意味する。構成単位は、モノマーの反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「光」とは、紫外線、可視光線、赤外線、電子線および放射線の総称である。
【0012】
<インプリント用硬化性組成物>
本発明のインプリント用硬化性組成物は、特定の含フッ素ポリマー(以下、含フッ素ポリマー(A)と記す。)と光酸発生剤とを含み、更に硬化性モノマーを含んでもよく、さらにまた光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。本発明のインプリント用硬化性組成物は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0013】
インプリント用硬化性組成物の25℃における粘度は、0.1Pa・s以上が好ましく、0.2Pa・s以上がより好ましく、1.0Pa・s以上がさらに好ましい。また、上記粘度は15Pa・s以下が好ましく、12Pa・s以下がより好ましい。該粘度が0.1〜15Pa・sの範囲内であれば、特別な操作(たとえば、インプリント用硬化性組成物を高温に加熱して低粘度にする操作等)を行うことなく、インプリント用硬化性組成物をマスターモールドに容易に接触させることができる。また、インプリント用硬化性組成物がモールド基材の表面から流れ出すことなく、簡便にモールド基材の表面に塗布できる。特に、厚さ3mm以上のパターンを作製する際は、基材から材料が流れ出ないように粘度が高い方が望ましく、該粘度は好ましくは、1.0Pa・s以上であり、好ましくは2.0Pa・s以上である。
【0014】
インプリント用硬化性組成物のフッ素含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。このフッ素含有率が前記下限値以上であれば、インプリント用硬化性組成物を硬化した硬化物層が、被転写材料の硬化物との離型性を充分に発揮できる。また、このフッ素含有率は80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。このフッ素含有率が前記上限値以下であれば、モールド基材との密着性の低下を抑えることができる。
【0015】
(含フッ素ポリマー(A))
含フッ素ポリマー(A)は、特定の構成単位(a)および特定の構成単位(b)を有する。含フッ素ポリマー(A)は、特定の構成単位(c)をさらに有することが好ましい。含フッ素ポリマー(A)は、必要に応じて構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)以外の構成単位(d)をさらに有していてもよい。
【0016】
構成単位(a)は、下式で表されるモノマー(I)に基づく構成単位である。
含フッ素ポリマー(A)が構成単位(a)を有することによって、含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層が、被転写材料の硬化物との離型性を発揮できる。
【0017】
CH
2=C(R
1)C(O)OR
2R
f (I)
ただし、R
1は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)であり、R
2は、フッ素原子を有さない2価の連結基であり、R
fは、炭素数2〜6のフルオロアルキル基または炭素数2〜6のフルオロアルキル基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、R
fは、R
2に結合する炭素原子が少なくとも1つのフッ素原子を有する。
R
2としては、モノマー(I)の入手のしやすさの点から、アルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましい。
R
fとしては、離型性の点から、炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基または炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基が好ましい。R
fの炭素数は、離型性の点から、4〜6が好ましく、6が特に好ましく、環境負荷を抑える点から、6以下である。
ここで、R
fの炭素原子間に含まれる該エーテル性酸素原子は一個であってもよく、複数個であってもよい。
【0018】
モノマー(I)としては、下記の化合物が挙げられる。
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
2F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
3F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
4F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
5F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
3、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
2F、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
3F、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
4F、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
5F、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
3、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、
CH
2=C(Cl)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
2F、
CH
2=C(Cl)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
3F、
CH
2=C(Cl)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
4F、
CH
2=C(Cl)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
5F、
CH
2=C(Cl)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F等。
モノマー(I)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
構成単位(b)は、酸素原子を有するカチオン重合性反応基を有する構成単位(ただし、前記構成単位(a)を除く。)である。
含フッ素ポリマー(A)が構成単位(b)を有することによって、含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層が、モールド基材との密着性を発揮できる。
すなわち、露光によって光酸発生剤から発生した酸によって、構成単位(b)における酸素原子を有するカチオン重合性反応基と、モールド基材の表面の反応性基(水酸基等)とが反応し、含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層とモールド基材とが化学的に結合する。
【0020】
酸素原子を有するカチオン重合性反応基としては、環状エーテル、ビニルエーテル等が挙げられ、反応性が高く、速やかに結合を形成する点から、環状エーテルが好ましい。
環状エーテルとしては、エポキシ基、オキセタン基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、ビニルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
構成単位(b)の具体例としては、酸素原子を有するカチオン重合性反応基を有するモノマー(II)に基づく構成単位が挙げられる。
モノマー(II)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。モノマー(II)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
構成単位(c)は、ペンダント基にエチレン性二重結合を有する構成単位である。
含フッ素ポリマー(A)が構成単位(c)を有することによって、含フッ素ポリマー(A)を含むインプリント用硬化性組成物の硬化性がよくなる。
【0023】
構成単位(c)は、たとえば、第1の反応性基を有するモノマー(III’)に基づく構成単位(c’)に、第1の反応性基と反応し得る第2の反応性基およびエチレン性二重結合を有するモノマー(X)を反応させることによって形成できる。
第1の反応性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。
第2の反応性基としては、イソシアネート基、カルボキシル基、酸クロライド基等が挙げられる。
【0024】
モノマー(III’)としては、水酸基を有する(メタ)アクリレート、水酸基およびエチレン性二重結合を有する化合物(ただし、(メタ)アクリレートを除く。)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート、カルボキシル基およびエチレン性二重結合を有する化合物(ただし、(メタ)アクリレートを除く。)、水酸基およびチオール基を有する化合物、カルボキシル基およびチオール基を有する化合物、アミノ基およびエチレン性二重結合を有する化合物、チオール基、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
カルボキシル基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、6−アクリルアミドヘキサン酸等が挙げられる。
水酸基およびチオール基を有する化合物としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、α−チオグリセロール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール等が挙げられる。
カルボキシル基およびチオール基を有する化合物としては、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオりんご酸、3−メルカプトイソ酪酸、1−(メルカプトメチル)シクロプロパン酢酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸等が挙げられる。
アミノ基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
チオール基、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物としては、L−システイン等が挙げられる。
モノマー(III’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
モノマー(X)としては、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート、酸クロライド基を有するモノマー等が挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI(商品名))、アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズAOI(商品名))、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI−BEI(商品名))、メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI−EG(商品名))等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
酸クロライド基を有するモノマーとしては、アクリロイルクロライド、メタクリロイルクロライド等が挙げられる。
モノマー(X)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
構成単位(d)は、構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)以外の構成単位である。モノマー(X)と反応せずに残存する構成単位(c’)は、構成単位(d)に含まれる。
構成単位(d)としては、モノマー(I)およびモノマー(II)以外のモノマー(IV)に基づく構成単位が挙げられる。
【0027】
モノマー(IV)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(IV)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
含フッ素ポリマー(A)のフッ素含有率は、22質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。前記下限値以上であれば含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層が、被転写材料の硬化物との離型性を充分に発揮できる。このフッ素含有率は75質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。前記上限値以下であれば、インプリント用硬化性組成物における含フッ素ポリマー(A)と他の成分との相溶性がよい。
含フッ素ポリマー(A)の全構成単位中の構成単位(a)の割合は、含フッ素ポリマー(A)のフッ素含有率が前記範囲内となるように適宜調整する。
【0029】
構成単位(b)の含有量は、構成単位(a)100質量部に対して、10〜150質量部が好ましい。構成単位(b)の含有量が10質量部以上であれば、含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層が、モールド基材との密着性を充分に発揮できる。構成単位(b)の含有量は、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。一方で、構成単位(b)の含有量が150質量部以下であれば、他の構成単位による効果を損ないにくい。構成単位(b)の含有量は120質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
【0030】
含フッ素ポリマー(A)が構成単位(c)を含む場合、構成単位(c)の含有量は、構成単位(a)100質量部に対して、10〜200質量部が好ましい。構成単位(c)の含有量が10質量部以上であれば、含フッ素ポリマー(A)を含むインプリント用硬化性組成物の硬化性がさらによくなる。構成単位(c)の含有量は、20質量部以上がより好ましく30質量部以上がさらに好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。一方、構成単位(c)の含有量は180質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましく、120質量部以下がさらに好ましい。
【0031】
構成単位(d)の含有量は、構成単位(a)100質量部に対して、0〜30質量部が好ましく、0〜20質量部がより好ましく、0〜10質量部がさらに好ましい。構成単位(d)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、他の構成単位による効果を損ないにくい。
含フッ素ポリマー(A)における各構成単位の割合は、たとえば、含フッ素ポリマー(A)を製造する際に用いた各モノマーの質量比から求めることができる。
【0032】
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量は、1,000〜50,000が好ましい。この質量平均分子量は1,500以上がより好ましく、2,000以上がさらに好ましい。一方で、この質量平均分子量は40,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましい。この質量平均分子量が前記範囲内であれば、含フッ素ポリマー(A)が硬化物層の表面に偏在しやすい。その結果、含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層が、被転写材料の硬化物との離型性を充分に発揮できる。
【0033】
含フッ素ポリマー(A)は、溶液重合法、バルク重合法、乳化重合法等の公知の重合法によって製造できる。重合法としては、溶液重合法が好ましい。
【0034】
(光酸発生剤)
光酸発生剤は、光を照射することによって酸を発生する化合物であればよい。
光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
【0035】
トリアリールスルホニウム塩またはジアリールヨードニウム塩のカチオン部分の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウム、4−メチル−4’−メチルプロピルジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられる。
【0036】
トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩のアニオン部分の具体例としては、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロイソブチル)トリフルオロホスフェート、ビス(ノナフルオロイソブチル)テトラフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0037】
スルホニルジアゾメタンの具体例としては、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0038】
(硬化性モノマー)
硬化性モノマーは、エチレン性二重結合を1つ以上有する化合物である。
インプリント用硬化性組成物が硬化性モノマーを含むことによって、インプリント用硬化性組成物の硬化性がよくなる。
硬化性モノマーは、インプリント用硬化性組成物を硬化した硬化物層が、被転写材料の硬化物との離型性を充分に発揮できる点、および硬化性モノマーと含フッ素ポリマー(A)との相溶性がよくなる点から、含フッ素モノマーを含むことが好ましい。
硬化性モノマーは、フッ素原子を有さない非フッ素系モノマーを含んでいてもよい。
【0039】
含フッ素モノマーとしては、相溶性の点から、フルオロ(メタ)アクリレートが好ましい。フルオロ(メタ)アクリレートとしては、下記の化合物が挙げられる。
CH
2=CHC(O)OCH(CF
3)
2、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH(CF
3)
2、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
4F、 CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
5F、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
4F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
5F、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F、
CH
2=CHC(O)OCH
2(CF
2)
6F、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2(CF
2)
6F、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2CF
2H、
CH
2=CHC(O)OCH
2(CF
2CF
2)
2H、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2CF
2H、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2(CF
2CF
2)
2H、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2O(CF
2CF
2O)
3CF
3、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2O(CF
2CF
2O)
3CF
3、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3F、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF(CF
3)O(CF
2CF(CF
3)O)
2(CF
2)
3F、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3F、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF(CF
3)O(CF
2CF(CF
3)O)
2(CF
2)
3F、
CH
2=CHC(O)OCH
2CH(OH)CH
2CF
2CF
2CF(CF
3)
2、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CH(OH)CH
2CF
2CF
2CF(CF
3)
2、
CH
2=CHC(O)OCH
2CF
2(OCF
2CF
2)
pOCF
2CH
2OC(O)CH=CH
2(ただし、pは1〜20の整数である。)、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2CF
2(OCF
2CF
2)
pOCF
2CH
2OC(O)C(CH
3)=CH
2(ただし、pは1〜20の整数である。)、
CH
2=CHC(O)OCH
2(CF
2)
4CH
2OC(O)CH=CH
2、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2(CF
2)
4CH
2OC(O)C(CH
3)=CH
2、
CH
2=CHC(O)OCH
2(CF
2)
6CH
2OC(O)CH=CH
2、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2(CF
2)
6CH
2OC(O)C(CH
3)=CH
2、
CH
2=CHC(O)OCH
2(CF
2)
8CH
2OC(O)CH=CH
2、
CH
2=C(CH
3)C(O)OCH
2(CF
2)
8CH
2OC(O)C(CH
3)=CH
2、
CH
2=CHC(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6(CH
2)
2OC(O)CH=CH
2、
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6(CH
2)
2OC(O)C(CH
3)=CH
2等。
含フッ素モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
非フッ素系モノマーとしては、下記の化合物が挙げられる。
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシピロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、9−アントラセニル(メタ)アクリレート、フルオレセインo−(メタ)アクリレート、2−(9H−カルバゾール−9−イル)エチル(メタ)アクリレート、ジルコニウム(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネートジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールグリセロレートジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールグリセロレートジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、1,3−ビス(3−メタクリロイロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアリル酸、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジ(メタ)アクリレート、ペンタリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、各種ウレタンアクリレート等。
非フッ素系モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
硬化性モノマーのフッ素含有率は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がさらにより好ましい。このフッ素含有率が前記下限値以上であれば、インプリント用硬化性組成物を硬化した硬化物層が、被転写材料の硬化物との離型性を充分に発揮でき、インプリント用硬化性組成物における硬化性モノマーと含フッ素ポリマー(A)との相溶性がよい。また、このフッ素含有率は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。このフッ素含有率が前記上限値以下であればインプリント用硬化性組成物における硬化性モノマーと含フッ素ポリマー(A)以外の成分との相溶性がよい。
【0042】
硬化性モノマーのフッ素含有率が前記下限値以上であれば、同じくフッ素原子を有する含フッ素ポリマー(A)との相溶性がよくなる。硬化性モノマーと含フッ素ポリマー(A)との相溶性がよければ、インプリント用硬化性組成物中の含フッ素ポリマー(A)の割合を増やすことができる(11質量%以上にできる)ため、モールド基材との密着性、およびインプリント法に用いた際の被転写材料の硬化物との離型性がさらに優れたレプリカモールドの硬化物層を形成できる。
一方、特許文献1に記載のインプリント用の樹脂モールド材料組成物においては、硬化性モノマーが一般的な硬化性モノマーであるため、硬化性モノマーと硬化性のフッ素系ポリマー(A)との相溶性が悪い。そのため、硬化性のフッ素系ポリマー(A)の割合を増やすことができない(10質量%以下にする必要がある)。そのため、特許文献1に記載の樹脂モールド材料組成物から形成されたレプリカモールドの硬化物層は、モールド基材との密着性、およびインプリント法に用いた際の被転写材料の硬化物との離型性ともに不充分である。
【0043】
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、光を吸収することによってラジカルを発生する化合物である。インプリント用硬化性組成物が光ラジカル重合開始剤を含むことによって、光照射により容易に硬化物を与える。
【0044】
光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキシド系、チタノセン系、オキシムエステル系、オキシフェニル酢酸エステル系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系またはチオキサントン系の光重合開始剤、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等が挙げられる。感度および相溶性の点から、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキシド系、ベンゾイン系またはベンゾフェノン系の光重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
(他の成分)
他の成分としては、界面活性剤、酸化防止剤(耐熱安定剤)、チクソトロピック剤、消泡剤、耐光安定剤、ゲル化防止剤、光増感剤、樹脂、樹脂オリゴマー、炭素化合物、金属微粒子、金属酸化物粒子、シランカップリング剤、他の有機化合物等が挙げられる。
【0046】
(溶剤)
本発明のインプリント用硬化性組成物は、溶剤を含んでいてもよい。ただし、インプリント用硬化性組成物を硬化する前には、溶剤を除去することが好ましい。
溶剤としては、含フッ素ポリマー(A)、光酸発生剤、硬化性モノマー、光ラジカル重合開始剤を溶解可能な溶剤であればいずれも用いることができ、エステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれか1つ以上を有する溶剤が好ましい。
溶剤を用いる場合、インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量は、目的の粘度、塗布性、目的とする膜厚等によって適宜調整すればよい。
【0047】
(インプリント用硬化性組成物の各成分の割合)
含フッ素ポリマー(A)の割合は、インプリント用硬化性組成物(溶剤を除く。)の100質量%のうち、11〜89質量%である。含フッ素ポリマー(A)の割合が11質量%以上、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは19質量%以上であれば、モールド基材との密着性、およびインプリント法に用いた際の被転写材料の硬化物との離型性に優れたレプリカモールドの硬化物層を形成できる。一方で、含フッ素ポリマー(A)の割合が89質量%以下、好ましくは86質量%以下、さらに好ましくは83質量%以下であれば、他の成分との相溶性が良く、また他の成分による効果を損ないにくい。
【0048】
光酸発生剤の割合は、インプリント用硬化性組成物(溶剤を除く。)の100質量%のうち、0.01〜7質量%が好ましい。光酸発生剤の割合が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であれば、モールド基材との密着性がさらに優れたレプリカモールドの硬化物層を形成できる。一方、光酸発生剤の割合が、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であれば、硬化物層に残存する光酸発生剤が少なくなり、硬化物層の物性の低下が抑えられる。
【0049】
硬化性モノマーの割合は、インプリント用硬化性組成物(溶剤を除く。)の100質量%のうち、0〜88質量%が好ましい。硬化性モノマーの割合が、好ましくは0質量%超、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であれば、インプリント用硬化性組成物の硬化性がさらによくなる。一方、硬化性モノマーの割合が88質量%以下、より好ましくは84質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下であれば、他の成分による効果を損ないにくい。
【0050】
光ラジカル重合開始剤の割合は、インプリント用硬化性組成物(溶剤を除く。)の100質量%のうち、0.01〜7質量%が好ましい。光ラジカル重合開始剤の割合が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であれば、インプリント用硬化性組成物の硬化性がさらによくなる。一方、光ラジカル重合開始剤の割合が7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であれば、硬化物層に残存する光ラジカル重合開始剤が少なくなり、硬化物層の物性の低下が抑えられる。
【0051】
他の成分の合計の割合は、インプリント用硬化性組成物(溶剤を除く。)の100質量%のうち、0〜10質量%が好ましく、0〜7質量%がより好ましく、0〜5質量%がさらに好ましい。
【0052】
以上説明した本発明のインプリント用硬化性組成物にあっては、フッ素原子を有する構成単位(a)を有する含フッ素ポリマー(A)を11質量%以上含むため、インプリント法に用いた際の被転写材料の硬化物との離型性に優れたレプリカモールドの硬化物層を形成できる。
また、本発明のインプリント用硬化性組成物にあっては、酸素原子を有するカチオン重合性反応基を有する構成単位(b)を有する含フッ素ポリマー(A)を11質量%以上含み、かつ光酸発生剤を含むため、モールド基材との密着性に優れたレプリカモールドの硬化物層を形成できる。すなわち、露光によって光酸発生剤から発生した酸によって、構成単位(b)における酸素原子を有するカチオン重合性反応基と、モールド基材の表面の反応性基とが反応し、含フッ素ポリマー(A)を含む硬化物層とモールド基材とが化学的に結合する。その結果、硬化物層とモールド基材と密着性が発揮される。
【0053】
<インプリント用レプリカモールド>
本発明のインプリント用レプリカモールドは、モールド基材と、モールド基材の表面に形成された、微細パターンを表面に有する硬化物層とを有し、該硬化物層が、本発明のインプリント用硬化性組成物の硬化物からなる。
【0054】
図1は、本発明のインプリント用レプリカモールドの一例を示す模式断面図である。
インプリント用レプリカモールド40は、モールド基材30と、モールド基材30の表面に最表層として設けられた、微細パターン44を表面に有する硬化物層42とを有する。
【0055】
(モールド基材)
モールド基材としては、無機材料製基材または有機材料製基材が挙げられる。
無機材料としては、ガラス(強化されたガラス、結晶化ガラス、石英ガラスも含む。)、シリコンウェハ、金属(アルミニウム、ニッケル、銅等)、金属酸化物(サファイア、酸化インジウムスズ(ITO)等)、窒化珪素、窒化アルミニウム、ニオブ酸リチウム等が挙げられる。
有機材料としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルファイド、トリアセチルセルロース、環状ポリオレフィン等が挙げられる。
【0056】
モールド基材としては、透明性、表面平坦性および光学的等方性の点から、ガラスが好ましく、硬化物層との密着性に優れる点から、表面処理された基材を用いてもよい。表面処理としては、UVオゾン処理、プラズマエッチング処理等が挙げられる。
【0057】
(硬化物層)
硬化物層は、インプリント用硬化性組成物の硬化物からなる層である。
硬化物層は、複数の凸部および複数の凹部のいずれか一方または両方を有する微細パターンを表面に有する。微細パターンは、後述するマスターモールドの微細パターンに対応した反転パターンである。
【0058】
凸部としては、硬化物層の表面に延在する長尺の凸条、表面に点在する突起等が挙げられる。凹部としては、硬化物層の表面に延在する長尺の溝、表面に点在する孔等が挙げられる。
【0059】
凸条または溝の形状としては、直線、曲線、折れ曲がり形状等が挙げられる。凸条または溝は、複数が平行に、または交差することなく存在して縞状をなしていてもよい。
凸条または溝の、長手方向に直交する方向の断面形状としては、長方形、台形、三角形、半円形等が挙げられる。
突起または孔の形状としては、三角柱、四角柱、六角柱、円柱、三角錐、四角錐、六角錐、円錐、半球、多面体等が挙げられる。
【0060】
凸条または溝の幅は、1nm〜500μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、15nm〜10μmがさらに好ましい。凸条の幅とは、長手方向に直交する方向の断面における底辺の長さを意味する。溝の幅とは、長手方向に直交する方向の断面における上辺の長さを意味する。
【0061】
突起または孔の幅は、1nm〜500μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、15nm〜10μmがさらに好ましい。突起の幅とは、底面が細長い場合、長手方向に直交する方向の断面における底辺の長さを意味し、そうでない場合、突起の底面における最大長さを意味する。孔の幅とは、開口部が細長い場合、長手方向に直交する方向の断面における上辺の長さを意味し、そうでない場合、孔の開口部における最大長さを意味する。
【0062】
凸部の高さは、1nm〜500μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、15nm〜10μmがさらに好ましい。
凹部の深さは、1nm〜500μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、15nm〜10μmがさらに好ましい。
【0063】
微細パターンが密集している領域において、隣接する凸部(または凹部)間のピッチ(中心間距離)は、1nm〜500μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、15nm〜10μmがさらに好ましい。
【0064】
以上説明した本発明のインプリント用レプリカモールドにあっては、硬化物層が本発明のインプリント用硬化性組成物の硬化物からなるため、硬化物層とモールド基材との密着性、およびインプリント法に用いた際の被転写材料の硬化物との離型性に優れる。
【0065】
<レプリカモールドの製造方法>
本発明のレプリカモールドの製造方法は、下記の工程(a)〜(c)を有する。
工程(a):
図2に示すように、微細パターン12を表面に有するマスターモールド10とモールド基材30との間に、マスターモールド10の微細パターン12がインプリント用硬化性組成物20に接するように、インプリント用硬化性組成物20を挟持する工程。
工程(b):インプリント用硬化性組成物20を硬化させて硬化物層を形成する工程。
工程(c):硬化物層とマスターモールドとを分離する工程。
【0066】
(マスターモールド)
マスターモールドは、表面に微細パターンを有する。微細パターンは、レプリカモールドの微細パターンに対応した反転パターンである。
マスターモールドとしては、非透光材料製モールドまたは透光材料製モールドが挙げられる。
非透光材料製モールドとしては、シリコンウェハ、ニッケル、銅、ステンレス、チタン、SiC、マイカ等が挙げられる。
透光材料製モールドとしては、石英ガラスなどのガラス、ポリジメチルシロキサン、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、透明フッ素樹脂等が挙げられる。透光材料製モールドは、複数の材料から構成されてもよい。
モールド基材およびマスターモールドのうち少なくとも一方は、光酸発生剤および光ラジカル重合開始剤が作用する波長の光を40%以上透過する材料であることが好ましい。
【0067】
(工程(a))
モールド基材の表面にインプリント用硬化性組成物を配置する方法としては、インクジェット法、ポッティング法(ディスペンス法)、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法、ダイコート法、ラングミュラープロジェット法、真空蒸着法等が挙げられる。
インプリント用硬化性組成物は、モールド基材の表面の全体に配置してもよく、モールド基材の表面の一部に配置してもよい。
【0068】
マスターモールドをインプリント用硬化性組成物に押しつける際のプレス圧力(ゲージ圧)は、0超〜10MPa以下が好ましく、0.1〜5MPaがより好ましい。
マスターモールドをインプリント用硬化性組成物に押しつける際の温度は、0〜110℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。
工程(a)においては、アライメントマークによってマスターモールドとモールド基材との位置調整を行ってもよい。
【0069】
(工程(b))
インプリント用硬化性組成物に光を照射してインプリント用硬化性組成物を硬化させる。
光を照射する方法としては、透光材料製マスターモールドを用いてマスターモールド側から光照射する方法、透光材料製モールド基材を用いてモールド基材側から光照射する方法、マスターモールドおよびモールド基材の隙間から光照射する方法が挙げられる。光の波長は、200〜500nmが好ましい。光を照射する際には、インプリント用硬化性組成物を加熱して硬化を促進してもよい。
光を照射する際の温度は、0〜110℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。
【0070】
(工程(c))
硬化物層とマスターモールドとを分離する際の温度は、0〜110℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。
【0071】
以上説明した本発明のインプリント用レプリカモールドの製造方法にあっては、本発明のインプリント用硬化性組成物を硬化させて硬化物層を形成しているため、硬化物層とモールド基材との密着性、およびインプリント法に用いた際の被転写材料の硬化物との離型性に優れたレプリカモールドを製造できる。
【0072】
<微細パターンを表面に有する物品>
本発明の微細パターンを表面に有する物品の製造方法で得られる、微細パターンを表面に有する物品は、基材と、基材の表面に形成された、微細パターンを表面に有する硬化物層とを有する。
微細パターンを表面に有する物品においては、硬化物層が、被転写材料の硬化物からなる。
【0073】
図3は、微細パターンを表面に有する物品の一例を示す模式断面図である。
微細パターンを表面に有する物品70は、基材60と、基材60の表面に最表層として設けられた、微細パターン74を表面に有する硬化物層72とを有する。
【0074】
(基材)
基材としては、無機材料製基材または有機材料製基材が挙げられる。
無機材料および有機材料としては、上述したモールド基材と同様なものが挙げられる。
【0075】
(硬化物層)
硬化物層は、被転写材料の硬化物からなる層である。
硬化物層は、複数の凸部および複数の凹部のいずれか一方または両方を有する微細パターンを表面に有する。微細パターンは、本発明のインプリント用レプリカモールドの微細パターンに対応した反転パターンである。
【0076】
(被転写材料)
被転写材料としては、硬化性組成物が挙げられる。硬化性組成物としては、硬化性樹脂および硬化性モノマーのいずれか一方または両方と、光開始剤とを含むものが挙げられる。
硬化性樹脂、硬化性モノマーおよび光開始剤としては、公知のものが挙げられる。
硬化性組成物としては、インプリント用に市販されているものを用いてもよい。
【0077】
<微細パターンを表面に有する物品の製造方法>
本発明の微細パターンを表面に有する物品の製造方法は、下記の工程(α)〜(γ)を有する。
工程(α):
図4に示すように、微細パターン44を表面に有する本発明のインプリント用レプリカモールド40と基材60との間に、インプリント用レプリカモールド40の微細パターン44が被転写材料50に接するように、被転写材料50を挟持する工程。
工程(β):被転写材料50を硬化させて硬化物層を形成する工程。
工程(γ):硬化物層とインプリント用レプリカモールドとを分離する工程。
【0078】
(工程(α)〜(γ))
工程(α)〜(γ)は、上述した本発明のインプリント用レプリカモールドの製造方法における工程(a)〜(c)と同様に行えばよい。
【0079】
以上説明した本発明の微細パターンを表面に有する物品の製造方法にあっては、本発明のインプリント用レプリカモールドを用いているため、インプリント用レプリカモールドにおいて硬化物層とモールド基材との剥離が抑えられ、かつインプリント用レプリカモールドの硬化物層と被転写材料の硬化物との離型性に優れる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。なお、例1〜13は実施例であり、例14〜18は比較例である。
【0081】
<物性、評価>
(ポリマーの質量平均分子量)
下記装置を用い、下記条件にて測定した。
GPCシステム:HLC−8220GPC(東ソー社製)、
カラム:TSK guard Column Super MZ−L、TSK gel
HZ4000、TSK gel HZ3000、TSK gel HZ2500、TSK gel HZ2000(この順に連結して使用した)、
カラムオーブン温度:40℃、 溶媒:テトラヒドロフラン、 流量:0.35mL/分、 標準サンプル:ポリスチレン。
【0082】
(硬化性組成物の粘度)
硬化性組成物の粘度は、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、10s
−1の剪断速度における動的粘弾性を25℃で測定し、求めた。
【0083】
(評価用試験体の作製)
離型処理を施した石英ガラス基板(マスターモールドに相当)の表面に硬化性組成物を塗布し、硬化性組成物が塗布されていない部分に厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムをスペーサとして設置した。離型処理を施していないスライドガラス基板(モールド基材に相当)を硬化性組成物の表面に重ね、スライドガラス基板側の高圧水銀ランプから紫外線を露光量:1000mJ/cm
2で照射し、硬化物層を形成した後、石英ガラス基板を硬化物層から剥離した。硬化物層の表面をエタノールで洗浄し、乾燥させた後、100℃で60分間ベークすることで、表面が平坦な硬化物層(厚さ:100μm)付きのスライドガラス基板(レプリカモールドに相当)を得た。
【0084】
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−DCP)の100質量部に、光ラジカル重合開始剤(BASFジャパン社製、Irgacure(商品名)1173)の3質量部を添加して被転写材料を調製した。
硬化物層の表面に被転写材料を塗布した。離型処理を施した石英ガラス基板を、厚さ50μmのPETフィルムのスペーサを介して被転写材料の表面に重ね、石英ガラス基板側の高圧水銀ランプから紫外線を露光量:1000mJ/cm
2で照射し、被転写材料の硬化物を形成した後、石英ガラス基板を被転写材料の硬化物から剥離した。被転写材料の硬化物の表面をエタノールで洗浄し、乾燥させた後、125℃で15分間ベークすることで、硬化物層の表面に厚さ:50μmの被転写材料の硬化物からなる層を有する評価用試験体を得た。
【0085】
(PosiTest試験機による剥離強度の測定)
二液混合型のエポキシ系急速硬化接着剤(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ・ジャパン社製、アラルダイト(商品名)ラピッド)を介して被転写材料の硬化物の表面に剥離強度測定密着子(ドリー)を接合し、接合面からはみ出した余分な接着剤を掻き取り、24時間養生して被転写材料の硬化物とドリーとを接着させた。接着剤が固化した後、専用カッターを用いてスライドガラス基板に到達するまでドリーに沿って被転写材料の硬化物および硬化物層に刃を入れ、ドリーと被転写材料の硬化物との接合面が3.14cm
2になるように切れ目を入れた。
【0086】
ドリーを接着した評価用試験体について、PosiTest試験機(DeFelsko社製)を用い、ASTM D4541(ISO 4624)の試験法に準拠して、被転写材料の硬化物と硬化物層との界面、または硬化物層とスライドガラス基板との界面の剥離強度を測定した。PosiTest試験機のアクチュエーターに、ドリー用固定治具を介して、評価用試験体のドリーを連結した後、ポンプで圧力をかけてドリー部分の被転写材料の硬化物または硬化物層が引き剥がされるまでの剥離荷重を測定した(ドリーサイズ:20mmφ、分解能:±0.01MPa、精度:±1%、測定範囲:0〜20MPa)。その後、引き剥がれ後の被転写材料の硬化物および硬化物層の剥離状態を調べ、下記基準にて評価した。
良好(○):スライドガラス基板の表面に硬化物層が浮きもなく全面にわたって残存し、かつ硬化物層の表面に被転写材料の硬化物がまったく残存していない。
不良(×):硬化物層の表面に被転写材料の硬化物が一部でも残っている;スライドガラス基板の表面から硬化物層に浮きが発生した;スライドガラス基板の表面に何も残存しない;または、スライドガラス基板が破損した。
【0087】
(厚み3mmの硬化物の作製)
離型処理を施した石英ガラス基板の表面に硬化性組成物を塗布し、硬化性組成物が塗布されていない部分に厚さ3mmのシリコンゴムをスペーサとして設置した。離型処理を施していないスライドガラス基板を硬化性組成物の表面に重ね、スライドガラス基板側の高圧水銀ランプから紫外線を露光量:1000mJ/cm
2で照射し、硬化物層を形成した後、石英ガラス基板を硬化物層から剥離した。硬化物層の表面をエタノールで洗浄し、乾燥させた後、100℃で60分間ベークすることで、表面が平坦な硬化物層(厚さ:3mm)付きのスライドガラス基板を得た。
離型処理を施した石英ガラス基板の表面に硬化性組成物を塗布した際、硬化性組成物の粘度が低いと石英ガラス基板上に組成物が拡がってしまい、シリコンゴムスペーサの高さより硬化性組成物の高さが低くなってしまう。この場合、スライドガラス基板にも硬化性組成物を塗布し、硬化性組成物同士を重なるように石英ガラス基板を重ね、紫外線を照射することで、厚さ3mmの硬化物を得ることができる。
【0088】
<原料>
(モノマー(I))
モノマー(I−1):3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート(旭硝子社製)。
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F (I−1)
【0089】
(モノマー(II))
モノマー(II−1):(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート(大阪有機化学工業社製、OXE−30)。
モノマー(II−2):3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(ダイセル社製、サイクロマーM100)。
【0090】
【化1】
【0091】
モノマー(II−3):4−ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテルの合成。
【0092】
【化2】
【0093】
1Lの3つ口フラスコに、1,4ブタンジオールの123.0g、エピクロロヒドリンの500.0gを仕込み、撹拌しながら150mmHgに減圧した。内温を61〜65℃に保ちながら、48%水酸化ナトリウム水溶液の120gを4時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間撹拌した。その間、1時間ごとに留出した水層を除去し、有機層を反応液に戻して反応を続けた。室温に戻し、イオン交換水の300gを加えて30分間撹拌した後、水層を抽出した。ロータリーエバポレーターで未反応のエピクロロヒドリンを除去した後、トルエンで1回、酢酸エチルで2回抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製を行い、4−(2,3−エポキシプロポキシ)ブタノールの75.7gを得た。
500mLの3つ口フラスコに、4−(2,3−エポキシプロポキシ)ブタノールの30.0g、トリエチルアミンの31.3g、テトラヒドロフランの100mLを仕込み、撹拌しながら氷浴で10℃以下に冷却した。メタクリル酸無水物の38.2gを5分かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌し、室温に戻しさらに1晩撹拌した。ジエチルエーテルの100mL、飽和塩化アンモニウム水溶液の100mLを加え、30分間撹拌した。その後、有機層を抽出し、飽和食塩水、飽和重層水、飽和食塩水の順番で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/10)で精製を行い、モノマー(II−3)の20.3gを得た。得られたモノマー(II−3)について
1H−NMRで同定を行った。
1H−NMR(アセトン−d6、テトラメチルシラン(TMS)、300MHz):6.05(s、1H of C(CH
3)=CH
2)、5.59(s、1H of C(CH
3)=CH
2)、4.14(t、2H of CH
2−O−CO)、3.68(dd、1H of O−CH
2−CH(O)CH
2)、3.50(q、2H of CH
2−CH
2−O−CH
2)、3.28(dd、1H of O−CH
2−CH(O)CH
2)、3.05(m、1H of CH(O)CH
2)、2.69(dd、1H of CH(O)CH
2)、2.51(dd、1H of CH(O)CH
2)、1.90(s、3H
of C(CH
3)=CH
2)、1.70(m、4H of CH
2−CH
2−CH
2−CH
2)
【0094】
(モノマー(III’))
モノマー(III’−1):2―ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業社製)。
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2OH (III’−1)
モノマー(III’−2):α−チオグリセロール(東京化成工業社製)。
HSCH
2CH(OH)CH
2OH (III’−2)
【0095】
(モノマー(X))
モノマー(X−1):メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI−EG(商品名))。
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2O(CH
2)
2NCO (X−1)
【0096】
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(東京化成工業社製)。
【0097】
(含フッ素モノマー)
モノマー(F−1):3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート(旭硝子社製)(モノマー(I−1)と同じ)。
CH
2=C(CH
3)C(O)O(CH
2)
2(CF
2)
6F (F−1)
【0098】
モノマー(F−2):1H,1H,8H,8H−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールジアクリレートの合成。
【0099】
【化3】
【0100】
1Lの3つ口フラスコに、1H,1H,8H,8H−ドデカフルオロ−1,8―オクタンジオールの90.0g、トリエチルアミンの55.3g、テトラヒドロフランの1200mLを仕込み、撹拌しながら氷浴で10℃以下に冷却した。アクリロイルクロライドの49.5gを2時間かけて滴下した後、10℃以下で5時間撹拌し、室温に戻しさらに1晩撹拌した。テトラヒドロフランを留去した後、塩酸(1M)の300mL、酢酸エチルの300mLを加え、30分間撹拌した。その後、有機層を抽出し、飽和食塩水、飽和重層水、飽和食塩水の順番で洗浄した。有機層から酢酸エチルを留去し、残った液体にシリカゲルカラム精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)を行い、無色透明のモノマー(F−2)の95.9gを得た。収率は82%であった。得られたモノマー(F−2)について
1H−NMRで同定を行った。
1H−NMR(クロロホルム−d1、テトラメチルシラン(TMS)、300MHz):6.52(d、2H of CH=CH
2)、6.17(dd、2H of CH=CH
2)、5.98(d、2H of CH=CH
2)、4.66(t、4H of CH
2)。
【0101】
モノマー(F−3):1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H−ドデカフルオロ−1,10−デカンジオールジアクリレートの合成。
【0102】
【化4】
【0103】
1Lの3つ口フラスコに、1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H−ドデカフルオロ−1,10−デカンジオールの20.0g、トリエチルアミンの11.4g、テトラヒドロフランの250mLを仕込み、撹拌しながら氷浴で10℃以下に冷却した。アクリロイルクロライドの10.2gを30分間かけて滴下した後、10℃以下で3時間撹拌し、室温に戻しさらに1晩撹拌した。塩酸(1M)の200mL、酢酸エチルの100mLを加え、さらに30分間撹拌した。その後、有機層を抽出し、飽和食塩水、飽和重層水、飽和食塩水の順番で洗浄した。有機層から、酢酸エチルを留去し、残った液体にシリカゲルカラム精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)を行い、無色透明のモノマー(F−3)の19.1gを得た。収率は75%であった。得られたモノマー(F−3)について
1H−NMRで同定を行った。
1H−NMR(アセトン−d6、テトラメチルシラン(TMS)、300MHz):6.41(d、2H of CH=CH
2)、6.16(dd、2H of CH=CH
2)、5.91(d、2H of CH=CH
2)、4.50(t、4H of O−CH
2)、2.67(t、4H of CH
2−CF
2)。
【0104】
モノマー(F−4):1H,1H,10H,10H−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオールジアクリレートの合成。
【0105】
【化5】
【0106】
1Lの3つ口フラスコに、1H,1H,10H,10H−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオールの20.0g、トリエチルアミンの9.6g、テトラヒドロフランの100mLを仕込み、撹拌しながら氷浴で10℃以下に冷却した。アクリロイルクロライドの8.0gを30分間かけて滴下した後、10℃以下で3時間撹拌し、室温に戻しさらに1晩撹拌した。塩酸(1M)の200mL、酢酸エチルの100mLを加え、さらに30分間撹拌した。その後、有機層を抽出し、飽和食塩水、飽和重層水、飽和食塩水の順番で洗浄した。有機層から、酢酸エチルを留去し、残った液体にシリカゲルカラム精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)を行い、無色透明のモノマー(F−4)の21.9gを得た。収率は89%であった。得られたモノマー(F−4)について
1H−NMRで同定を行った。
1H−NMR(クロロホルム−d1、テトラメチルシラン(TMS)、300MHz):6.51(d、2H of CH=CH
2)、6.16(dd、2H of CH=CH
2)、5.96(d、2H of CH=CH
2)、4.65(t、4H of CH
2)。
【0107】
モノマー(F−5):1H,1H,6H,6H−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの合成。
【0108】
【化6】
【0109】
1Lの3つ口フラスコに、1H,1H,6H,6H−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールの15.0g、トリエチルアミンの12.7g、テトラヒドロフランの100mLを仕込み、撹拌しながら氷浴で10℃以下に冷却した。アクリロイルクロライドの10.6gを30分間かけて滴下した後、10℃以下で3時間撹拌し、室温に戻しさらに1晩撹拌した。塩酸水溶液(1M)の200mL、酢酸エチルの100mLを加え、さらに30分間撹拌した。その後、有機層を抽出し、飽和食塩水、飽和重層水、飽和食塩水の順番で洗浄した。有機層から、酢酸エチルを留去し、残った液体にシリカゲルカラム精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)を行い、無色透明のモノマー(F−5)の15.9gを得た。収率は75%であった。得られたモノマー(F−5)を
1H−NMRで同定を行った。
1H−NMR(クロロホルム−d1、テトラメチルシラン(TMS)、300MHz):6.51(d、2H of CH=CH
2)、6.19(dd、2H of CH=CH
2)、5.98(d、2H of CH=CH
2)、4.65(t、4H of CH
2)。
【0110】
(非フッ素系モノマー)
モノマー(M−1):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−DCP)。
モノマー(M−2):イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレートIB−XA)。
モノマー(M−3):ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−200)。
【0111】
【化7】
【0112】
(光酸発生剤)
(P−1):トリアリールスルホニウム塩系光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI―210S)。
(P−2):トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成工業社製)。
【0113】
(光ラジカル重合開始剤)
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(東京化成工業社製)。
【0114】
<含フッ素ポリマー(A)の製造>
(製造例1)
含フッ素ポリマー(A−1)の製造:
還流冷却管、窒素導入管を備えた二つ口フラスコ中に、モノマー(I−1)の31.6g、モノマー(II−1)の13.5g、熱重合開始剤の0.54gおよび2−ブタノン(MEK)の405gを仕込み、窒素置換した後、50℃に加熱し、24時間撹拌した。薄層クロマトグラフィ(TLC)によりモノマーが消費されていることを確認した後、70℃まで昇温し、30分間撹拌した。全量がおよそ100gになるまで濃縮した後、室温まで冷却し、得られた反応液をメタノールの1Lに加え、固体を析出させて回収した。さらに、得られた固体をMEKの15gに溶解し、メタノールの1Lに加え、再度固体を析出させて回収し、真空乾燥して含フッ素ポリマー(A−1)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0115】
(製造例2)
含フッ素ポリマー(A−2)の製造:
モノマー(I−1)の量を30.9gに変更し、モノマー(II−1)の代わりにモノマー(II−2)の14.1gを用い、熱重合開始剤の量を0.53gに変更した以外は、製造例1と同様にして、含フッ素ポリマー(A−2)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0116】
(製造例3)
含フッ素ポリマー(A−3)の製造:
モノマー(I−1)の量を30.1gに変更し、モノマー(II−1)の代わりにモノマー(II−3)の14.9gを用い、熱重合開始剤の量を0.52gに変更した以外は、製造例1と同様にして、含フッ素ポリマー(A−3)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0117】
(製造例4)
含フッ素ポリマー(A−4)の製造:
還流冷却管、窒素導入管を備えた二つ口フラスコ中に、モノマー(I−1)の30.0g、モノマー(II−1)の14.9g、モノマー(III’−1)の4.5g、モノマー(III’−2)の5.0g、熱重合開始剤の0.57gおよびMEKの127gを仕込み、窒素置換した後、50℃に加熱し、24時間撹拌した。薄層クロマトグラフィ(TLC)によりモノマーが消費されていることを確認した後、70℃まで昇温し、30分間撹拌した。全量がおよそ100gになるまで濃縮した後、室温まで冷却し、得られた反応液をヘキサンの1Lに加え、粘稠体を析出させて回収した。さらに、得られた粘稠体をMEKの15gに溶解し、ヘキサンの1Lに加え、再度粘稠体を析出させて回収し、真空乾燥して含フッ素ポリマー(A−4)の前駆体を得た。質量平均分子量(Mw)は1,900であった。
【0118】
還流冷却管、窒素導入管を備えた二つ口フラスコ中に、含フッ素ポリマー(A−4)の前駆体の45.0g、ジラウリル酸ジブチル錫(DBTDL)の6.6mg、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の185mg、モノマー(X−1)の21.0g、MEKの255gを仕込み、窒素置換した後、40℃に加熱し、24時間撹拌した。FT−IRによってイソシアネート由来ピーク(2250cm
−1付近)が消失していることを目安とし、モノマー(X−1)が消費されていることを確認した後、70℃まで昇温し、30分間撹拌した。全量がおよそ100gになるまで濃縮した後、室温まで冷却し、得られた反応液をヘキサン1Lに加え、粘稠体を析出させて回収した。さらに、得られた粘稠体をMEKの15gに溶解し、ヘキサンの1Lに加え、再度粘稠体を析出させて回収し、真空乾燥して含フッ素ポリマー(A−4)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0119】
(製造例5)
含フッ素ポリマー(A−5)の製造:
モノマー(II−1)の代わりにモノマー(II−2)の15.9gを用いた以外は、製造例4と同様にして、含フッ素ポリマー(A−5)の前駆体を得た。質量平均分子量(Mw)は2,000であった。
含フッ素ポリマー(A−4)の前駆体の代わりに含フッ素ポリマー(A−5)の前駆体の45.0gを用い、DBTDLの量を6.5mgに変更し、BHTの量を182mgに変更し、モノマー(X−1)の量を20.6gに変更した以外は、製造例4と同様にして、含フッ素ポリマー(A−5)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0120】
(製造例6)
含フッ素ポリマー(A−6)の製造:
モノマー(II−1)の代わりにモノマー(II−2)の15.9gを用い、モノマー(III’−1)の量を7.5gに変更し、モノマー(III’−2)の量を2.5gに変更し、熱重合開始剤の量を0.29gに変更し、MEKの量を131gに変更した以外は、製造例4と同様にして、含フッ素ポリマー(A−6)の前駆体を得た。質量平均分子量(Mw)は3,100であった。
含フッ素ポリマー(A−4)の前駆体の代わりに含フッ素ポリマー(A−6)の前駆体の46.7gを用い、DBTDLの量を11mgに変更し、BHTの量を153mgに変更し、モノマー(X−1)の量を17.3gに変更し、MEKの量を265gに変更した以外は、製造例4と同様にして、含フッ素ポリマー(A−6)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0121】
(製造例7)
含フッ素ポリマー(A−7)の製造:
モノマー(I−1)の量を35.0gに変更し、モノマー(II−1)の量を10.0gに変更し、熱重合開始剤の量を0.50gの変更した以外は、製造例1と同様にして、含フッ素ポリマー(A−7)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0122】
(製造例8)
含フッ素ポリマー(A−8)の製造:
モノマー(II−1)の14.9gをモノマー(II−2)の12.1gに変更し、モノマー(III’−1)の量を5.5gに変更し、モノマー(III’−2)の量を2.1gに変更し、熱重合開始剤の量を0.24gに変更した以外は、製造例4と同様にして、含フッ素ポリマー(A−8)の前駆体を得た。質量平均分子量(Mw)は2,000であった。
含フッ素ポリマー(A−4)の前駆体の代わりに含フッ素ポリマー(A−8)の前駆体の40.0gを用い、DBTDLの量を4.1mgに変更し、BHTの量を115mgに変更し、モノマー(X−1)の量を13.0gに変更した以外は、製造例4と同様にして、含フッ素ポリマー(A−8)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0123】
(製造例9)
含フッ素ポリマー(A−9)の製造:
モノマー(I−1)の量を18.0gに変更し、モノマー(II−1)の量を22.0gに変更し、熱重合開始剤の量を0.58gの変更した以外は、製造例1と同様にして、含フッ素ポリマー(A−9)を得た。結果を表1および表2に示す。
【0124】
【表1】
*1:モノマー(III’−1)の物質量×1に相当するモノマー(I)、(II)、(III’)の合計100質量部に対する質量部数と、モノマー(III’−2)の物質量×2に相当するモノマー(I)、(II)、(III’)の合計100質量部に対する質量部数との合計。
*2:モノマー(I)、(II)、(III’)の総物質量に対する物質量。
【0125】
【表2】
【0126】
(例1〜18)
表3に記載の各成分を配合組成(数値は質量%)にしたがって配合し、ミックスローターで撹拌、混合することで均一で透明な硬化性組成物を得た。評価結果を表4に示す。
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
例1〜13は、含フッ素ポリマー(A)を11質量%以上含むため、モールド基材との密着性が高く、また被転写材料の硬化物との離型性にも優れていた。
例14〜16は、含フッ素ポリマー(A)の含有量が10質量%以下であるため、モールド基材との密着性に劣り、剥離強度の測定の際にスライドガラス基板の表面から硬化物層の一部が剥がれた。
【0130】
例17は、硬化性モノマーのフッ素含有率が1質量%未満であるため、硬化性モノマーと含フッ素ポリマー(A)との相溶性が悪く、含フッ素ポリマー(A)の割合が10質量%でも相溶させることができなかった。相溶性が悪かったため、評価用試験体の作製を行うことができなかった。
例18は、硬化性モノマーのフッ素含有率が1質量%未満であるため、硬化性モノマーと含フッ素ポリマー(A)とを相溶させるために、含フッ素ポリマー(A)の含有量を5質量%にする必要があった。含フッ素ポリマー(A)の含有量が10質量%以下であるため、モールド基材との密着性に劣り、剥離強度の測定の際にスライドガラス基板の表面から硬化物層が剥がれた。
【0131】
例1〜5、10〜13、16は、粘度が0.1Pa・s以上であるものの、1.0Pa・s以下で硬化性組成物が広がりやすいため、石英ガラス基板だけでなく、スライドガラス基板上にも硬化性組成物を塗布することで、厚さ3mmの硬化物を作製することができた。
例6〜9は、粘度が2.0Pa・s以上であるため、石英ガラス基板上に硬化性組成物を塗布するだけで、厚さ3mmの硬化物を得ることができた。
例14、15、18は、粘度が0.1Pa・s未満であるため、石英ガラス基板上でもスライドガラス基板上でも硬化性組成物が広がり、硬化性組成物同士を重ねても厚さ3mmの硬化物は作製できなかった。