特許第6881602号(P6881602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881602
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】光学系および光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20210524BHJP
   G02B 13/02 20060101ALI20210524BHJP
   G02B 13/04 20060101ALI20210524BHJP
   G02B 15/20 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/02
   G02B13/04 D
   G02B15/20
【請求項の数】9
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2019-558853(P2019-558853)
(86)(22)【出願日】2017年12月15日
(86)【国際出願番号】JP2017045183
(87)【国際公開番号】WO2019116563
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智希
(72)【発明者】
【氏名】籔本 洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】三輪 哲史
(72)【発明者】
【氏名】坪野谷 啓介
(72)【発明者】
【氏名】槇田 歩
(72)【発明者】
【氏名】上原 健
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−25653(JP,A)
【文献】 特開2006−349948(JP,A)
【文献】 特開2009−280724(JP,A)
【文献】 特開2017−190280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口絞りと、前記開口絞りより物体側に配置された以下の条件式を満足する正レンズとを有する光学系。
ndP1+(0.01425×νdP1)<2.12
18.0<νdP1<35.0
0.702<θgFP1+(0.00316×νdP1)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1<14.500
但し、ndP1:前記正レンズのd線に対する屈折率
νdP1:前記正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFP1:前記正レンズの部分分散比であり、前記正レンズのg線に対する屈折率をngP1とし、前記正レンズのF線に対する屈折率をnFP1とし、前記正レンズのC線に対する屈折率をnCP1としたとき、次式で定義される
θgFP1=(ngP1−nFP1)/(nFP1−nCP1)
【請求項2】
開口絞りと、前記開口絞りより物体側に配置された以下の条件式を満足する正レンズとを有する光学系。
ndP1+(0.01425×νdP1)<2.07
23.5<νdP1<35.0
0.702<θgFP1+(0.00316×νdP1)
1.86<ndP1+(0.00787×νdP1)
但し、ndP1:前記正レンズのd線に対する屈折率
νdP1:前記正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFP1:前記正レンズの部分分散比であり、前記正レンズのg線に対する屈折率をngP1とし、前記正レンズのF線に対する屈折率をnFP1とし、前記正レンズのC線に対する屈折率をnCP1としたとき、次式で定義される
θgFP1=(ngP1−nFP1)/(nFP1−nCP1)
【請求項3】
前記正レンズは、以下の条件式を満足する請求項1に記載の光学系。
1.83<ndP1+(0.00787×νdP1)
【請求項4】
前記正レンズは、以下の条件式を満足する請求項1に記載の光学系。
18.0<νdP1<26.5
1.83<ndP1+(0.00787×νdP1)
【請求項5】
前記正レンズは、以下の条件式を満足する請求項1に記載の光学系。
25.0<νdP1<35.0
1.83<ndP1+(0.00787×νdP1)
【請求項6】
前記正レンズは、以下の条件式を満足する請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学系。
DP1>0.80
但し、DP1:前記正レンズの光軸上の厚さ[mm]
【請求項7】
最も物体側に配置された物体側レンズを有し、
前記開口絞りが前記物体側レンズより像側に配置され、
前記物体側レンズより像側で、前記正レンズが前記開口絞りより物体側に配置される請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項8】
前記正レンズは、ガラスレンズである請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学系を備えて構成される光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に用いられる撮像素子は、高画素化が進んでいる。このような撮像素子を用いた撮像装置に設けられる撮影レンズは、球面収差、コマ収差等の基準収差(単一波長の収差)に加え、白色光源において像の色にじみがないように色収差も良好に補正された、高い解像力を有するレンズであることが望まれている。特に、色収差の補正においては、1次の色消しに加え、2次スペクトルが良好に補正されていることが望ましい。色収差の補正の手段として、例えば、異常分散性を有する樹脂材料を用いる方法(例えば、特許文献1を参照)が知られている。このように、近年の撮像素子の高画素化に伴い、諸収差が良好に補正された撮影レンズが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−194609号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る光学系は、開口絞りと、前記開口絞りより物体側に配置された以下の条件式を満足する正レンズとを有する。
ndP1+(0.01425×νdP1)<2.12
18.0<νdP1<35.0
0.702<θgFP1+(0.00316×νdP1)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1<14.500
但し、ndP1:前記正レンズのd線に対する屈折率
νdP1:前記正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFP1:前記正レンズの部分分散比であり、前記正レンズのg線に対する屈折率をngP1とし、前記正レンズのF線に対する屈折率をnFP1とし、前記正レンズのC線に対する屈折率をnCP1としたとき、次式で定義される
θgFP1=(ngP1−nFP1)/(nFP1−nCP1)
【0005】
第2の態様に係る光学系は、開口絞りと、前記開口絞りより物体側に配置された以下の条件式を満足する正レンズとを有する。
ndP1+(0.01425×νdP1)<2.07
23.5<νdP1<35.0
0.702<θgFP1+(0.00316×νdP1)
1.86<ndP1+(0.00787×νdP1)
但し、ndP1:前記正レンズのd線に対する屈折率
νdP1:前記正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFP1:前記正レンズの部分分散比であり、前記正レンズのg線に対する屈折率をngP1とし、前記正レンズのF線に対する屈折率をnFP1とし、前記正レンズのC線に対する屈折率をnCP1としたとき、次式で定義される
θgFP1=(ngP1−nFP1)/(nFP1−nCP1)
【0006】
第3の態様に係る光学機器は、上記光学系を備えて構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図2】第1実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。
図3】第2実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図4】第2実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。
図5】第3実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図6】第3実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。
図7】第4実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図8】第4実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。
図9】第5実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図10図10(A)、図10(B)、および図10(C)はそれぞれ、第5実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図11】第6実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図12図12(A)、図12(B)、および図12(C)はそれぞれ、第6実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図13】第7実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図14図14(A)、図14(B)、および図14(C)はそれぞれ、第7実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図15】第8実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図16図16(A)、図16(B)、および図16(C)はそれぞれ、第8実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図17】第9実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図18】第9実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。
図19】本実施形態に係る光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
図20】本実施形態に係る光学系の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る光学系および光学機器について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係る光学系を備えたカメラ(光学機器)を図19に基づいて説明する。このカメラ1は、図19に示すように撮影レンズ2として本実施形態に係る光学系を備えたデジタルカメラである。カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、撮像素子3へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子3によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者はカメラ1による被写体の撮影を行うことができる。なお、このカメラは、ミラーレスカメラでも、クイックリターンミラーを有した一眼レフタイプのカメラであっても良い。
【0009】
本実施形態に係る光学系(撮影レンズ)LSの一例としての光学系LS(1)は、図1に示すように、開口絞りSと、開口絞りSより物体側に配置された以下の条件式(1)〜(3)を満足する正レンズ(L13)とを有している。
【0010】
ndP1+(0.01425×νdP1)<2.12 ・・・(1)
18.0<νdP1<35.0 ・・・(2)
0.702<θgFP1+(0.00316×νdP1) ・・・(3)
但し、ndP1:正レンズのd線に対する屈折率
νdP1:正レンズのd線を基準とするアッベ数
θgFP1:正レンズの部分分散比であり、正レンズのg線に対する屈折率をngP1とし、正レンズのF線に対する屈折率をnFP1とし、正レンズのC線に対する屈折率をnCP1としたとき、次式で定義される
θgFP1=(ngP1−nFP1)/(nFP1−nCP1)
なお、正レンズのd線を基準とするアッベ数νdP1は、次式で定義される
νdP1=(ndP1−1)/(nFP1−nCP1)
【0011】
本実施形態によれば、色収差の補正において、1次の色消しに加え、2次スペクトルが良好に補正された光学系、およびこの光学系を備えた光学機器を得ることが可能になる。本実施形態に係る光学系LSは、図3に示す光学系LS(2)でも良く、図5に示す光学系LS(3)でも良く、図7に示す光学系LS(4)でも良く、図9に示す光学系LS(5)でも良い。また、本実施形態に係る光学系LSは、図11に示す光学系LS(6)でも良く、図13に示す光学系LS(7)でも良く、図15に示す光学系LS(8)でも良く、図17に示す光学系LS(9)でも良い。
【0012】
条件式(1)は、正レンズのd線に対する屈折率とd線を基準とするアッベ数の適切な関係を規定するものである。条件式(1)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0013】
条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、例えばペッツバール和が小さくなることで、像面湾曲の補正が困難になるため、好ましくない。条件式(1)の上限値を2.11に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(1)の上限値を、2.10、2.09、2.08、2.07、さらに2.06とすることが好ましい。
【0014】
条件式(2)は、正レンズのd線を基準とするアッベ数の適切な範囲を規定するものである。条件式(2)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0015】
条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、例えば、開口絞りSより物体側の部分群において軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。条件式(2)の上限値を32.5に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2)の上限値を、32.0、31.5、31.0、30.5、30.0、さらに29.5とすることが好ましい。
【0016】
条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、例えば、開口絞りSより物体側の部分群において軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。条件式(2)の下限値を20.0に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2)の下限値を、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0、25.5、26.0、26.5、27.0、27.5、さらに27.7とすることが好ましい。
【0017】
条件式(3)は、正レンズの異常分散性を適切に規定するものである。条件式(3)を満足することで、色収差の補正において、1次の色消しに加え、2次スペクトルを良好に補正することができる。
【0018】
条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、正レンズの異常分散性が小さくなるため、色収差の補正が困難となる。条件式(3)の下限値を0.704に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(3)の下限値を、0.708、0.710、0.712、さらに0.715とすることが好ましい。
【0019】
本実施形態の光学系において、正レンズは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
1.83<ndP1+(0.00787×νdP1) ・・・(4)
【0020】
条件式(4)は、正レンズのd線に対する屈折率とd線を基準とするアッベ数の適切な関係を規定するものである。条件式(4)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0021】
条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、例えば正レンズの屈折率が小さくなることで、基準収差、特に球面収差の補正が困難になるため、好ましくない。条件式(4)の下限値を1.84に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(4)の下限値を、1.85、さらに1.86とすることが好ましい。
【0022】
本実施形態の光学系において、正レンズは、以下の条件式(2−1)および条件式(4−1)を満足してもよい。
18.0<νdP1<26.5 ・・・(2−1)
1.83<ndP1+(0.00787×νdP1) ・・・(4−1)
【0023】
条件式(2−1)は、条件式(2)と同様の式であり、条件式(2)と同様の効果を得ることができる。条件式(2−1)の上限値を26.0に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−1)の上限値を、25.5、さらに25.0とすることが好ましい。一方、条件式(2−1)の下限値を23.5に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−1)の下限値を、24.0、さらに24.5とすることが好ましい。
【0024】
条件式(4−1)は、条件式(4)と同様の式であり、条件式(4)と同様の効果を得ることができる。条件式(4−1)の下限値を1.90に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(4−1)の下限値を、1.92、さらに1.94とすることが好ましい。
【0025】
本実施形態の光学系において、正レンズは、以下の条件式(2−2)および条件式(4−2)を満足してもよい。
25.0<νdP1<35.0 ・・・(2−2)
1.83<ndP1+(0.00787×νdP1) ・・・(4−2)
【0026】
条件式(2−2)は、条件式(2)と同様の式であり、条件式(2)と同様の効果を得ることができる。条件式(2−2)の上限値を32.5に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−2)の上限値を、31.5、さらに29.5とすることが好ましい。一方、条件式(2−2)の下限値を26.2に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−2)の下限値を、26.7、さらに27.7とすることが好ましい。
【0027】
条件式(4−2)は、条件式(4)と同様の式であり、条件式(4)と同様の効果を得ることができる。条件式(4−2)の下限値を1.84に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(4−2)の下限値を1.85とすることが好ましい。
【0028】
本実施形態の光学系において、正レンズは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
DP1>0.80 ・・・(5)
但し、DP1:正レンズの光軸上の厚さ[mm]
【0029】
条件式(5)は、正レンズの光軸上の厚さの適切な範囲を規定するものである。条件式(5)を満足することで、コマ収差、色収差(軸状色収差および倍率色収差)等の諸収差を良好に補正することができる。
【0030】
条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、コマ収差、色収差(軸状色収差および倍率色収差)等の諸収差を補正することが困難になり、好ましくない。条件式(5)の下限値を0.90に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(5)の下限値を、1.00、1.10、1.20、さらに1.30とすることが好ましい。
【0031】
本実施形態の光学系は、最も物体側に配置された物体側レンズを有し、開口絞りSが物体側レンズより像側に配置され、物体側レンズより像側で、正レンズが開口絞りSより物体側に配置されることが望ましい。これにより、コマ収差、色収差(軸状色収差および倍率色収差)等の諸収差を良好に補正することができる。
【0032】
本実施形態の光学系において、正レンズは、ガラスレンズであることが望ましい。これにより、材料が樹脂である場合と比較して、経年変化に強く、温度変化等の環境変化に強いレンズを得ることができる。
【0033】
本実施形態の光学系において、正レンズは、以下の条件式(6)〜(7)を満足することが望ましい。
ndP1<1.63 ・・・(6)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1<39.809・・・(7)
【0034】
条件式(6)は、正レンズのd線に対する屈折率の適切な範囲を規定するものである。条件式(6)を満足することで、コマ収差、色収差(軸状色収差および倍率色収差)等の諸収差を良好に補正することができる。
【0035】
条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、コマ収差、色収差(軸状色収差および倍率色収差)等の諸収差を補正することが困難になり、好ましくない。条件式(6)の上限値を1.62に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0036】
条件式(7)は、正レンズのd線に対する屈折率とd線を基準とするアッベ数の適切な関係を規定するものである。条件式(7)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0037】
条件式(7)の対応値が上限値を上回ると、例えばペッツバール和が小さくなることで、像面湾曲の補正が困難になるため、好ましくない。条件式(7)の上限値を39.800に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(7)の上限値を、39.500、39.000、38.500、38.000、37.500、さらに36.800とすることが好ましい。
【0038】
本実施形態の光学系において、正レンズは、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1<16.260・・・(8)
【0039】
条件式(8)は、正レンズのd線に対する屈折率とd線を基準とするアッベ数の適切な関係を規定するものである。条件式(8)を満足することで、球面収差、コマ収差等の基準収差の補正と、1次の色収差の補正(色消し)を良好に行うことができる。
【0040】
条件式(8)の対応値が上限値を上回ると、例えばペッツバール和が小さくなることで、像面湾曲の補正が困難になるため、好ましくない。条件式(8)の上限値を16.240に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(8)の上限値を、16.000、15.800、15.500、15.300、15.000、14.800、14.500、14.000、さらに13.500とすることが好ましい。
【0041】
続いて、図20を参照しながら、上述の光学系LSの製造方法について概説する。まず、開口絞りSと、少なくとも開口絞りSより物体側に正レンズを配置する(ステップST1)。このとき、開口絞りSより物体側に配置された正レンズのうち少なくとも1枚が上記条件式(1)〜(3)等を満足するように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する(ステップST2)。このような製造方法によれば、色収差の補正において、1次の色消しに加え、2次スペクトルが良好に補正された光学系を製造することが可能になる。
【実施例】
【0042】
以下、本実施形態の実施例に係る光学系LSを図面に基づいて説明する。図1図3図5図7図9図11図13図15図17は、第1〜第9実施例に係る光学系LS{LS(1)〜LS(9)}の構成及び屈折力配分を示す断面図である。第1〜第4実施例に係る光学系LS(1)〜LS(4)および第9実施例に係る光学系LS(9)の断面図では、合焦レンズ群が無限遠から近距離物体に合焦する際の移動方向を、「合焦」という文字とともに矢印で示している。第5〜第8実施例に係る光学系LS(5)〜LS(8)の断面図では、広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際の各レンズ群の光軸に沿った移動方向を矢印で示している。
【0043】
これら図1図3図5図7図9図11図13図15図17において、各レンズ群を符号Gと数字の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ群等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0044】
以下に表1〜表9を示すが、この内、表1は第1実施例、表2は第2実施例、表3は第3実施例、表4は第4実施例、表5は第5実施例、表6は第6実施例、表7は第7実施例、表8は第8実施例、表9は第9実施例における各諸元データを示す表である。各実施例では収差特性の算出対象として、d線(波長λ=587.6nm)、g線(波長λ=435.8nm)、C線(波長λ=656.3nm)、F線(波長λ=486.1nm)を選んでいる。
【0045】
[全体諸元]の表において、fはレンズ全系の焦点距離、FNОはFナンバー、2ωは画角(単位は°(度)で、ωが半画角である)、Yは像高を示す。TLは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最前面からレンズ最終面までの距離にBFを加えた距離を示し、BFは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最終面から像面Iまでの距離(バックフォーカス)を示す。なお、光学系が変倍光学系である場合、これらの値は、広角端(W)、中間焦点距離(M)、望遠端(T)の各変倍状態におけるそれぞれについて示している。
【0046】
[レンズ諸元]の表において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を示し、Rは各光学面の曲率半径(曲率中心が像側に位置する面を正の値としている)、Dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材料のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材料のd線を基準とするアッベ数を、θgFは光学部材の材料の部分分散比をそれぞれ示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を、(絞りS)は開口絞りSをそれぞれ示す。空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。光学面が非球面である場合には面番号に*a印を付し、光学面が回折光学面である場合には面番号に*b印を付して、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0047】
光学部材の材料のg線(波長λ=435.8nm)に対する屈折率をngとし、光学部材の材料のF線(波長λ=486.1nm)に対する屈折率をnFとし、光学部材の材料のC線(波長λ=656.3nm)に対する屈折率をnCとする。このとき、光学部材の材料の部分分散比θgFは次式(A)で定義される。
【0048】
θgF=(ng−nF)/(nF−nC) …(A)
【0049】
[非球面データ]の表には、[レンズ諸元]に示した非球面について、その形状を次式(B)で示す。X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離(ザグ量)を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。なお、2次の非球面係数A2は0であり、その記載を省略している。
【0050】
X(y)=(y2/R)/{1+(1−κ×y2/R21/2}+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 …(B)
【0051】
光学系が回折光学素子を有する場合、[回折光学面データ]において示す回折光学面の位相形状ψは、次式(C)によって表わされる。
【0052】
ψ(h,m)={2π/(m×λ0)}×(C2×h2+C4×h4+C6×h6…) …(C)
但し、
h:光軸に対して垂直な方向の高さ、
m:回折光の回折次数、
λ0:設計波長、
Ci:位相係数(i=2,4,…)。
【0053】
なお、任意の波長λおよび任意の回折次数mにおける回折面の屈折力φDは、最も低次の位相係数C2を用いて、次式(D)のように表わすことができる。
【0054】
φD(h,m)=−2×C2×m×λ/λ0 …(D)
【0055】
[回折光学面データ]の表には、[レンズ諸元]に示した回折光学面について、式(C)における設計波長λ0、回折次数m、2次の位相係数C2、4次の位相係数C4を示す。「E-n」は、[非球面データ]の表と同様、「×10-n」を示す。
【0056】
光学系が変倍光学系でない場合、[近距離撮影時可変間隔データ]として、fはレンズ全系の焦点距離を、βは撮影倍率をそれぞれ示す。また、[近距離撮影時可変間隔データ]の表には、各焦点距離および撮影倍率に対応する、[レンズ諸元]において面間隔が「可変」となっている面番号での面間隔を示す。
【0057】
光学系が変倍光学系である場合、[変倍撮影時可変間隔データ]として、広角端(W)、中間焦点距離(M)、望遠端(T)の各変倍状態に対応する、[レンズ諸元]において面間隔が「可変」となっている面番号での面間隔を示す。また、[レンズ群データ]の表には、各レンズ群のそれぞれの始面(最も物体側の面)と焦点距離を示す。
【0058】
[条件式対応値]の表には、各条件式に対応する値を示す。
【0059】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0060】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での重複する説明は省略する。
【0061】
(第1実施例)
第1実施例について、図1図2および表1を用いて説明する。図1は、本実施形態の第1実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第1実施例に係る光学系LS(1)は、物体側から順に並んだ、コンバータレンズであり極めて弱い正の屈折力を有する(屈折力がほぼ零の)第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成されている。無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側に移動する。開口絞りSは、第2レンズ群G2内に配設されている。各レンズ群記号に付けている符号(+)もしくは(−)は各レンズ群の屈折力を示し、このことは以下の全ての実施例でも同様である。
【0062】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL14からなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL15および両凸形状の正レンズL16からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当し、第1レンズ群G1の正レンズL13が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。
【0063】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、両凸形状の正レンズL22と、両凸形状の正レンズL23および両凹形状の負レンズL24からなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL25および両凸形状の正レンズL26からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL27と、から構成される。第2レンズ群G2の像側に、像面Iが配置される。第2レンズ群G2における正レンズL22と正レンズL23との間に、開口絞りSが配置される。正レンズL23は、物体側のレンズ面が非球面である。負レンズL25は、物体側のレンズ面が非球面である。正レンズL26は、像側のレンズ面が非球面である。
【0064】
以下の表1に、第1実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0065】
(表1)
[全体諸元]
f 12.568
FNO 2.794
2ω 153.703
Y 14.20
TL 97.296
BF 15.046
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 436.92554 3.000 1.77250 49.62 0.552
2 26.88525 15.423
3 -58.29931 2.500 1.58913 61.22 0.540
4 -127.59160 4.516
5 43.18494 13.500 1.65940 26.87 0.633
6 -26.22295 2.500 1.89190 37.13 0.578
7 -107.86651 5.711
8 -317.61480 2.500 1.84666 23.80 0.622
9 46.68711 4.829 1.48749 70.31 0.529
10 -32.19991 D10(可変)
11 -35.15627 0.900 1.60342 38.03 0.583
12 28.26677 1.124
13 14.91232 2.972 1.88300 40.66 0.567
14 -1328.42940 1.500
15 ∞ 2.573 (絞りS)
16*a 28.76052 4.393 1.85135 40.10 0.569
17 -8.90872 0.900 1.69895 30.13 0.602
18 17.48905 3.478
19*a -8.68242 0.900 1.68893 31.16 0.604
20 3943.13000 2.750 1.85135 40.10 0.569
21*a -14.56098 0.200
22 83.48162 2.582 1.88300 40.66 0.567
23 -48.89245 BF
[非球面データ]
第16面
κ=4.4706
A4=-1.52E-04,A6=-1.27E-06,A8=-9.7E-09,A10=-5.1E-11
第19面
κ=-0.8841
A4=1.54E-05,A6=2.22E-06,A8=-4.7E-09,A10=-7.7E-11
第21面
κ=1.1801
A4=1.70E-04,A6=2.80E-09,A8=4.4E-09,A10=-6.6E-11
[近距離撮影時可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=12.568 β=-0.047
D10 3.500 2.914
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.042
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=26.87
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7179
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.871
条件式(5)
DP1=13.500
条件式(6)
ndP1=1.65940
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=35.830
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.920
【0066】
図2は、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーまたは開口数の値を示し、非点収差図および歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。dはd線(波長λ=587.6nm)、gはg線(波長λ=435.8nm)、CはC線(波長λ=656.3nm)、FはF線(波長λ=486.1nm)をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0067】
各諸収差図より、第1実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0068】
(第2実施例)
第2実施例について、図3図4および表2を用いて説明する。図3は、本実施形態の第2実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第2実施例に係る光学系LS(2)は、物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが異なる移動量で光軸に沿って物体側に移動する。開口絞りSは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配設され、合焦の際、第3レンズ群G3とともに光軸に沿って移動する。
【0069】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL13、両凹形状の負レンズL14および両凸形状の正レンズL15からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当する。
【0070】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL21と、両凸形状の正レンズL22および両凹形状の負レンズL23からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第2レンズ群G2の正レンズL21が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。
【0071】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL31および両凸形状の正レンズL32からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL33および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズL35と、から構成される。第3レンズ群G3の像側に、像面Iが配置される。正レンズL35は、両側のレンズ面が非球面である。
【0072】
以下の表2に、第2実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0073】
(表2)
[全体諸元]
f 47.001
FNO 1.402
2ω 50.082
Y 21.70
TL 145.051
BF 37.594
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 75.90770 6.887 1.95375 32.31 0.590
2 1131.20200 6.023
3 -189.73300 1.000 1.67270 32.19 0.597
4 30.09380 14.422
5 -46.99510 8.691 1.55332 71.67 0.540
6 -22.85880 1.000 1.56732 42.58 0.575
7 56.89480 8.513 1.88300 40.80 0.565
8 -77.92800 D8(可変)
9 59.38050 6.435 1.74971 24.66 0.627
10 -274.17620 0.899
11 41.10570 10.372 1.72916 54.66 0.545
12 -50.03390 1.000 1.72825 28.38 0.607
13 28.62810 D13(可変)
14 ∞ 9.166 (絞りS)
15 -32.16080 1.000 1.61266 44.46 0.564
16 26.85940 5.514 1.59282 68.69 0.544
17 -602.32680 4.123
18 37.58510 9.916 1.59282 68.69 0.544
19 -36.02000 1.000 1.55298 55.07 0.545
20 -147.30460 1.318
21*a 81.53680 5.553 1.77250 49.49 0.554
22*a -7038.98050 BF
[非球面データ]
第21面
κ=1.0000
A4=1.15E-05,A6=8.53E-09,A8=3.03E-11,A10=-6.3E-14
第22面
κ=1.0000
A4=2.11E-05,A6=1.38E-08,A8=6.67E-11,A10=-7.4E-14
[近距離撮影時可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=47.001 β=-0.170
D8 7.446 0.200
D13 5.930 4.428
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.101
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=24.66
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7049
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.944
条件式(5)
DP1=6.435
条件式(6)
ndP1=1.74971
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=34.836
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.721
【0074】
図4は、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。各諸収差図より、第2実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0075】
(第3実施例)
第3実施例について、図5図6並びに表3を用いて説明する。図5は、本実施形態の第3実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第3実施例に係る光学系LS(3)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って像側に移動する。開口絞りSは、第3レンズ群G3内に配設されている。
【0076】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凸形状の正レンズL13および両凹形状の負レンズL14からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当する。
【0077】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL21および両凹形状の負レンズL22からなる接合レンズ、から構成される。本実施例では、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL21が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。
【0078】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32および両凹形状の負レンズL33からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL34と、両凹形状の負レンズL35および両凸形状の正レンズL36からなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL37および両凸形状の正レンズL38からなる接合レンズと、から構成される。第3レンズ群G3の像側に、像面Iが配置される。第3レンズ群G3における負レンズL33と正レンズL34との間に、開口絞りSが配置される。
【0079】
以下の表3に、第3実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0080】
(表3)
[全体諸元]
f 102.148
FNO 1.450
2ω 23.842
Y 21.63
TL 150.819
BF 39.632
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 228.14790 4.915 1.59349 67.00 0.537
2 6415.62050 0.100
3 98.03190 9.004 1.49700 81.61 0.539
4 -860.70550 0.100
5 70.05610 11.648 1.49700 81.61 0.539
6 -266.98950 3.500 1.72047 34.71 0.583
7 168.27370 D7(可変)
8 -156.94440 4.000 1.65940 26.87 0.633
9 -74.82770 2.500 1.51680 63.88 0.536
10 48.83690 D10(可変)
11 59.41150 7.084 2.00100 29.13 0.599
12 -9603.99850 0.100
13 101.99880 8.889 1.69680 55.52 0.543
14 -54.38990 1.800 1.71736 29.57 0.604
15 28.02300 5.843
16 ∞ 1.600 (絞りS)
17 118.55000 5.540 1.49700 81.61 0.539
18 -59.97360 0.100
19 -74.13900 1.600 1.72047 34.71 0.583
20 23.56120 8.119 1.76684 46.78 0.558
21 -400.50550 2.828
22 -39.02080 1.600 1.58144 40.98 0.576
23 124.06960 5.332 2.00100 29.13 0.599
24 -52.63590 BF
[近距離撮影時可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=102.148 β=-0.132
D7 7.956 19.956
D10 17.029 5.029
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.042
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=26.87
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7179
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.871
条件式(5)
DP1=4.000
条件式(6)
ndP1=1.65940
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=35.830
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.920
【0081】
図6は、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。各諸収差図より、第3実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0082】
(第4実施例)
第4実施例について、図7図8および表4を用いて説明する。図7は、本実施形態の第4実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第4実施例に係る光学系LS(4)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って像側に移動する。開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設され、合焦の際、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3と同様に、像面Iに対して固定される。
【0083】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、極めて弱い屈折力を有する保護ガラスHGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の正レンズL11が物体側レンズに該当する。
【0084】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22および両凹形状の負レンズL23からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。
【0085】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32と、正の屈折力を有する第3部分群G33とを有している。第1部分群G31は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32からなる接合レンズ、から構成される。第2部分群G32は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL33および両凹形状の負レンズL34からなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL35と、から構成される。第3部分群G33は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37および両凹形状の負レンズL38からなる接合レンズと、から構成される。第3レンズ群G3の第2部分群G33は、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振レンズ群(部分群)を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。なお、第3レンズ群G3における第2部分群G32と第3部分群G33との間に、固定絞り(フレアカット絞り)Saが配置される。
【0086】
第3レンズ群G3の像側に、像面Iが配置される。第3レンズ群G3と像面Iとの間には、抜き差し交換可能な光学フィルターFLが配設されている。抜き差し交換可能な光学フィルターFLとして、例えば、NCフィルター(ニュートラルカラーフィルター)や、カラーフィルター、偏光フィルター、NDフィルター(減光フィルター)、IRフィルター(赤外線カットフィルター)等が用いられる。
【0087】
以下の表4に、第4実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0088】
(表4)
[全体諸元]
f 392.000
FNO 2.881
2ω 6.245
Y 21.63
TL 396.319
BF 74.502
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 1200.37020 5.000 1.51680 63.88 0.536
2 1199.78950 1.000
3 250.71590 16.414 1.43385 95.25 0.540
4 -766.97150 45.000
5 158.99440 18.720 1.43385 95.25 0.540
6 -400.00000 2.261
7 -377.29180 6.000 1.61266 44.46 0.564
8 461.79700 95.451
9 70.05760 4.000 1.79500 45.31 0.560
10 47.57190 11.944 1.49782 82.57 0.539
11 1223.84820 D11(可変)
12 -546.41280 2.500 1.80610 40.97 0.569
13 76.73180 6.996
14 -241.81680 4.500 1.65940 26.87 0.633
15 -56.62280 2.500 1.48749 70.32 0.529
16 234.80990 D16(可変)
17 ∞ 5.100 (絞りS)
18 95.57020 6.000 1.75500 52.33 0.548
19 -75.36620 1.800 1.80809 22.74 0.629
20 -757.80810 4.500
21 279.80870 4.700 1.74971 24.66 0.627
22 -82.76070 1.800 1.59319 67.90 0.544
23 50.04470 3.390
24 -226.07440 1.800 1.83481 42.73 0.565
25 105.63280 4.250
26 ∞ 0.250
27 105.07290 3.700 1.69680 55.52 0.543
28 -158.46840 0.100
29 92.25180 4.000 1.72047 34.71 0.583
30 -129.17240 1.800 1.92119 23.96 0.620
31 404.52160 7.500
32 ∞ 1.500 1.51680 63.88 0.536
33 ∞ BF
[近距離撮影時可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=392.000 β=-0.173
D11 13.847 29.047
D16 33.495 18.295
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.042
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=26.87
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7179
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.871
条件式(5)
DP1=4.500
条件式(6)
ndP1=1.65940
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=35.830
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.920
【0089】
図8は、第4実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。各諸収差図より、第4実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0090】
(第5実施例)
第5実施例について、図9図10および表5を用いて説明する。図9は、本実施形態の第5実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第5実施例に係る光学系LS(5)は、物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1〜第4レンズ群G1〜G4がそれぞれ図9の矢印で示す方向に移動する。開口絞りSは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配設され、変倍の際、第2レンズ群G2とともに光軸に沿って移動する。
【0091】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凹形状の負レンズL13と、両凸形状の正レンズL14と、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当し、第1レンズ群G1の正レンズL14が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。負メニスカスレンズL11は、両側のレンズ面が非球面である。負レンズL13は、像側のレンズ面が非球面である。
【0092】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL23と、から構成される。
【0093】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31および両凹形状の負レンズL32からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33と、両凸形状の正レンズL34と、から構成される。本実施例では、無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第3レンズ群G3の負メニスカスレンズL33および正レンズL34が光軸に沿って像側に移動する。
【0094】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42からなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL43と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL44および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL45からなる接合レンズと、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。負メニスカスレンズL45は、像側のレンズ面が非球面である。
【0095】
以下の表5に、第5実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0096】
(表5)
[全体諸元]
変倍比 2.07
W M T
f 16.65 24.00 34.45
FNO 4.14 4.15 4.15
2ω 53.79 41.95 31.59
Y 21.60 21.60 21.60
TL 245.879 245.879 245.879
BF 39.00 49.01 65.28
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1*a 174.00980 3.000 1.76684 46.78 0.5576
2*a 19.00290 9.504
3 2467.43120 1.550 1.88300 40.66 0.5668
4 47.79750 5.082
5 -58.98140 1.500 1.88300 40.66 0.5668
6 131.38830 0.400 1.55389 38.09 0.5928
7*a 338.15080 2.275
8 58.67000 6.011 1.65940 26.87 0.6327
9 -53.33540 D9(可変)
10 48.43770 1.050 1.84666 23.80 0.6215
11 18.35690 4.400 1.62004 36.40 0.5833
12 86.30180 0.100
13 29.42080 4.920 1.54270 46.52 0.5649
14 -60.41780 13.037
15 ∞ D15(可変) (絞りS)
16 -123.25200 2.504 1.62004 36.40 0.5833
17 -25.39870 1.000 1.88300 40.66 0.5668
18 172.17000 2.118
19 -23.38080 0.800 1.88300 40.66 0.5668
20 -107.86150 0.150
21 95.70770 4.746 1.75520 27.58 0.6036
22 -27.47760 D22(可変)
23 35.36650 10.703 1.49782 82.57 0.5386
24 -20.32710 1.100 1.83400 37.18 0.5778
25 -937.90680 0.100
26 42.41910 9.349 1.49782 82.57 0.5386
27 -30.37810 0.100
28 -82.86330 8.406 1.69981 48.62 0.5611
29 -18.48470 1.600 1.80610 40.97 0.5688
30*a -514.67980 BF
[非球面データ]
第1面
κ=1.0000
A4=3.80E-06,A6=3.24E-09,A8=0.00E+00,A10=0.00E+00
第2面
κ=1.0000
A4=-2.16E-05,A6=0.00E+00,A8=0.00E+00,A10=0.00E+00
第7面
κ=1.0000
A4=1.52E-05,A6=-1.98E-08,A8=4.77E-12,A10=0.00E+00
第30面
κ=1.0000
A4=1.68E-05,A6=1.29E-08,A8=0.00E+00,A10=0.00E+00
[変倍撮影時可変間隔データ]
W M T
D9 31.945 14.177 2.000
D15 3.000 8.124 13.036
D22 9.233 5.684 1.200
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 -23.300
G2 10 40.700
G3 16 -100.700
G4 23 71.100
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.042
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=26.87
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7176
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.871
条件式(5)
DP1=6.011
条件式(6)
ndP1=1.65940
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=35.830
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.920
【0097】
図10(A)、図10(B)、および図10(C)はそれぞれ、第5実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第5実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0098】
(第6実施例)
第6実施例について、図11図12および表6を用いて説明する。図11は、本実施形態の第6実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第6実施例に係る光学系LS(6)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1〜第4レンズ群G1〜G4がそれぞれ図11の矢印で示す方向に移動する。開口絞りSは、第3レンズ群G3の最も物体側に配設され、変倍の際、第3レンズ群G3とともに光軸に沿って移動する。
【0099】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当する。
【0100】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24と、から構成される。本実施例では、第2レンズ群G2の正レンズL23が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面が非球面である。負メニスカスレンズL24は、像側のレンズ面が非球面である。
【0101】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL32および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL34および両凸形状の正レンズL35からなる接合レンズと、から構成される。正レンズL35は、像側のレンズ面が非球面である。
【0102】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL41と、両凸形状の正レンズL42および両凹形状の負レンズL43からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第4レンズ群G4の正レンズL42および負レンズL43からなる接合レンズを光軸に沿って移動させることにより、合焦を行う。
【0103】
第5レンズ群G5は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL51と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL52と、から構成される。第5レンズ群G5の像側に、像面Iが配置される。
【0104】
以下の表6に、第6実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0105】
(表6)
[全体諸元]
変倍比 7.85
W M T
f 24.72 58.06 194.00
FNO 3.6 5.5 6.5
2ω 85.214 39.016 12.106
Y 21.60 21.60 21.60
TL 149.280 177.480 204.279
BF 41.57417 41.57416 41.57414
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 106.2691 1.50009 1.948329 29.38 0.5986
2 55.80163 7.30993 1.49782 82.57 0.5386
3 721.044 0.50000
4 56.41199 6.09566 1.755124 52.3 0.5546
5 228.7709 D5(可変)
6*a 351.2249 1.50017 1.766453 49.52 0.5595
7 14.18364 9.01226
8 -33.6001 1.66909 1.765555 50.3 0.5581
9 -897.93 0.56126
10 84.50917 4.54086 1.749714 24.66 0.6272
11 -27.578 0.72854
12 -25.0651 1.60720 1.85108 40.12 0.5685
13*a -68.5357 D13(可変)
14 ∞ 0.50000 (絞りS)
15 22.36461 5.76460 1.622737 37.84 0.5805
16 -41.5197 0.53608
17 -49.778 2.77298 1.601161 59.42 0.5426
18 -25.8168 1.50000 1.949966 29.37 0.5987
19 -488.723 0.73221
20 21.29787 1.55564 1.949962 29.19 0.5991
21 12.32916 7.99913 1.514583 66.9 0.5319
22*a -34.5982 D22(可変)
23 -18.915 3.76687 1.659561 33.71 0.5887
24 -20.5674 20.49954
25 125.1181 2.44870 1.717883 32.43 0.5914
26 -28.3836 1.50000 1.722329 53.46 0.5526
27 25.2098 D27(可変)
28 43.35023 4.87974 1.526294 53.27 0.5529
29 -77.8742 0.50000
30 65.86578 1.50000 1.95 29.37 0.5987
31 31.35903 BF
[非球面データ]
第6面
κ=2.0000
A4=8.04557E-06,A6=-1.75069E-08,A8=2.16280E-11,A10=-1.75432E-14
第13面
κ=0.7223
A4=-4.49448E-06,A6=-9.55340E-09,A8=-2.86951E-12,A10=-1.24795E-13
第22面
κ=1.5559
A4=2.87124E-05,A6=-2.90386E-08,A8=-2.57823E-10,A10=5.13004E-13
[変倍撮影時可変間隔データ]
W M T
D5 0.5 18.19587 50.27128
D13 32.59041 16.20141 0.50004
D22 1.55479 5.41058 12.0062
D27 1.57961 24.6165 28.44611
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 96.6403
G2 6 -16.9148
G3 14 25.6849
G4 23 -40.1664
G5 28 233.4501
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.101
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=24.66
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7051
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.944
条件式(5)
DP1=4.54086
条件式(6)
ndP1=1.749714
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=34.836
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.721
【0106】
図12(A)、図12(B)、および図12(C)はそれぞれ、第6実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第6実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0107】
(第7実施例)
第7実施例について、図13図14および表7を用いて説明する。図13は、本実施形態の第7実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第7実施例に係る光学系LS(7)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6とから構成されている。広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1〜第5レンズ群G1〜G5がそれぞれ図13の矢印で示す方向に移動する。開口絞りSは、第2レンズ群G2内に配設されている。
【0108】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および両凸形状の正レンズL12からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当する。正メニスカスレンズL13における像側のレンズ面に、回折光学素子DOEが配設される。回折光学素子DOEは、例えば、互いに異なる材質の2種類の回折素子要素が同一の回折格子溝で接する密着複層型の回折光学素子であり、2種類の紫外線硬化樹脂によって所定の格子高さを有する1次の回折格子(光軸に対して回転対称形状の回折格子)が形成される。
【0109】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22からなる接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL23と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24と、から構成される。第2レンズ群G2における正メニスカスレンズL23と正メニスカスレンズL24との間に、開口絞りSが配置される。本実施例では、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。第2レンズ群G2の負レンズL21および正メニスカスレンズL22からなる接合レンズと、正メニスカスレンズL23とは、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振レンズ群(部分群)を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。
【0110】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、から構成される。
【0111】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42からなる接合レンズ、から構成される。
【0112】
第5レンズ群G5は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL51および両凹形状の負レンズL52からなる接合レンズ、から構成される。本実施例では、第5レンズ群G5の全体を光軸に沿って移動させることにより、合焦を行う。
【0113】
第6レンズ群G6は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL61および両凸形状の正レンズL62からなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL63と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL64と、から構成される。第6レンズ群G6の像側に、像面Iが配置される。
【0114】
以下の表7に、第7実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0115】
(表7)
[全体諸元]
変倍比 2.00
W M T
f 199.985 300.128 400.487
FNO 5.770 5.773 7.777
2ω 12.088 8.032 3.016
Y 21.60 21.60 21.60
TL 218.509 276.018 309.437
BF 63.575 63.605 63.797
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 338.9295 3.0000 1.806100 33.34 0.5904
2 157.1292 7.1098 1.487490 70.32
3 -645.1901 0.1000
4 127.7241 6.3846 1.516800 64.13
5*b 1000.0000 D5(可変)
6 -122.6329 1.7000 1.743997 44.79
7 65.7202 3.5689 1.659398 26.87 0.6323
8 249.7691 15.0000
9 -47.9778 3.5000 1.756462 24.89 0.6196
10 -45.0509 2.2932
11 ∞ 0.5000 (絞りS)
12 43.2479 2.9936 1.620041 36.26
13 64.4050 D13(可変)
14 82.9323 1.7000 1.808090 22.74
15 46.2622 3.6463
16 71.4836 4.1939 1.612720 58.54
17 -405.4059 D17(可変)
18 56.3851 6.9255 1.497820 82.57
19 -60.8758 1.7000 1.755000 52.33
20 -374.3030 D20(可変)
21 102.7274 2.4918 1.592701 35.31
22 -125.8788 1.0000 1.755000 52.33
23 40.8982 D23(可変)
24 121.6273 1.7000 1.659398 26.87 0.6323
25 52.1810 5.7438 1.595510 39.21
26 -42.4345 0.1000
27 -97.3797 1.5000 1.456000 91.37
28 59.1706 12.2493
29 -26.6286 1.5000 1.755000 52.33 0.5476
30 -37.6940 BF
[回折光学面データ]
第5面
λ0=587.6
m=1
C2=-2.57E-05
C4=-2.04E-11
[変倍撮影時可変間隔データ]
W M T
D5 11.860 93.192 119.742
D13 10.900 0.500 3.244
D17 0.600 5.172 0.600
D20 34.411 13.877 0.200
D23 6.561 9.070 31.254
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 213.671
G2 6 -546.584
G3 14 370.319
G4 18 149.206
G5 21 -72.703
G6 24 -875.523
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.042
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=26.87
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7172
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.871
条件式(5)
DP1=3.5689
条件式(6)
ndP1=1.659398
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=35.830
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.920
【0116】
図14(A)、図14(B)、および図14(C)はそれぞれ、第7実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第7実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0117】
(第8実施例)
第8実施例について、図15図16および表8を用いて説明する。図15は、本実施形態の第8実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第8実施例に係る光学系LS(8)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とがそれぞれ図15の矢印で示す方向に移動する。開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設され、変倍の際、第1レンズ群G1と、第3レンズ群G3と、第5レンズ群G5と同様に、像面Iに対して固定される。
【0118】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および両凸形状の正レンズL12からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL11が物体側レンズに該当する。
【0119】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と、両凹形状の負レンズL24と、から構成される。本実施例では、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL23が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。
【0120】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた片平形状の正レンズL32と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と、両凹形状の負レンズL34と、両凸形状の正レンズL35および両凹形状の負レンズL36からなる接合レンズと、から構成される。
【0121】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第4レンズ群G4の全体が光軸に沿って物体側に移動する。
【0122】
第5レンズ群G5は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52および両凹形状の負レンズL53からなる接合レンズと、像側に凹面を向けた片平形状の負レンズL54と、両凸形状の正レンズL55と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL56と、から構成される。第5レンズ群G5の像側に、像面Iが配置される。
【0123】
以下の表8に、第8実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0124】
(表8)
[全体諸元]
変倍比 2.74
W M T
f 71.5 135.0 196.0
FNO 2.859 2.902 2.881
2ω 33.642 17.738 12.209
Y 21.60 21.60 21.60
TL 245.879 245.770 245.789
BF 53.966 53.966 53.966
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 123.4009 2.8 1.95 29.37 0.600
2 87.56469 9.9 1.49782 82.57 0.539
3 -1181.09 0.1
4 93.41088 7.7 1.433852 95.25 0.540
5 711.1154 D5(可変)
6 70.14635 2.4 1.71999 50.27 0.553
7 33.21159 10.25
8 -115.534 2 1.618 63.34 0.541
9 123.4243 2
10 53.14446 4.4 1.749714 24.66 0.627
11 333.2994 3.55
12 -77.3115 2.2 1.603 65.44 0.539
13 202.6654 D13(可変)
14 ∞ 2.5 (絞りS)
15 581.5556 3.7 1.83481 42.73 0.565
16 -130.482 0.2
17 90.3298 3.85 1.59319 67.9 0.544
18 ∞ 0.2
19 52.76588 4.9 1.49782 82.57 0.539
20 448.6586 2.04364
21 -118.745 2.2 2.001 29.12 0.600
22 173.2289 4.55
23 114.6359 5.75 1.90265 35.73 0.580
24 -66.799 2.2 1.58144 40.98 0.576
25 41.99665 D25(可変)
26 57.83565 4.8 1.49782 82.57 0.539
27 -190.077 0.1
28 44.19055 2 1.95 29.37 0.600
29 28.478 5.55 1.59319 67.9 0.544
30 166.4062 D30(可変)
31 52.69825 1.8 1.804 46.6 0.557
32 31.18732 5.15
33 102.8337 3.35 1.84666 23.83 0.620
34 -102.758 1.6 1.71999 50.27 0.553
35 42.05936 2.58303
36 ∞ 1.6 1.95375 32.33 0.591
37 68.58142 3.75
38 101.2296 3.85 1.59319 67.9 0.544
39 -172.177 0.15
40 47.98548 3.9 1.71999 50.27 0.553
41 137.9944 BF
[変倍撮影時可変間隔データ]
W M T
D5 3.223 34.216 51.137
D13 50.289 19.296 2.375
D25 16.922 14.139 16.940
D30 1.903 4.686 1.884
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 143.981
G2 6 -45.565
G3 14 94.464
G4 26 58.195
G5 31 -109.088
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.101
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=24.66
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7049
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.944
条件式(5)
DP1=4.4
条件式(6)
ndP1=1.749714
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=34.836
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.721
【0125】
図16(A)、図16(B)、および図16(C)はそれぞれ、第8実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第8実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0126】
(第9実施例)
第9実施例について、図17図18および表9を用いて説明する。図17は、本実施形態の第9実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第9実施例に係る光学系LS(9)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って像側に移動する。開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設され、合焦の際、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3と同様に、像面Iに対して固定される。
【0127】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、極めて弱い屈折力を有する保護ガラスHGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第1レンズ群G1の正レンズL11が物体側レンズに該当する。
【0128】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22および両凹形状の負レンズL23からなる接合レンズと、から構成される。本実施例では、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22が条件式(1)〜(3)等を満足する正レンズに該当する。
【0129】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1部分群G31と、負の屈折力を有する第2部分群G32と、正の屈折力を有する第3部分群G33とを有している。第1部分群G31は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32からなる接合レンズ、から構成される。第2部分群G32は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL33および両凹形状の負レンズL34からなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL35と、から構成される。第3部分群G33は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37および両凹形状の負レンズL38からなる接合レンズと、から構成される。第3レンズ群G3の第2部分群G33は、光軸と垂直な方向へ移動可能な防振レンズ群(部分群)を構成し、手ブレ等による結像位置の変位(像面I上の像ブレ)を補正する。第3レンズ群G3の像側に、像面Iが配置される。
【0130】
以下の表9に、第9実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0131】
(表9)
[全体諸元]
f 392.000
FNO 2.880
2ω 6.240
Y 21.63
TL 395.808
BF 82.991
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd θgF
1 1200.37020 5.000 1.51680 63.88 0.536
2 1199.78950 1.000
3 240.22360 17.017 1.43385 95.25 0.540
4 -729.29990 45.000
5 160.88120 18.323 1.43385 95.25 0.540
6 -400.00000 2.375
7 -367.69050 6.000 1.61266 44.46 0.564
8 428.09960 94.771
9 69.79560 4.000 1.79500 45.31 0.560
10 47.51370 11.999 1.49782 82.57 0.539
11 1422.36780 D11(可変)
12 -535.33080 2.500 1.79500 45.31 0.560
13 77.99670 4.269
14 -254.93650 4.500 1.61155 31.26 0.618
15 -52.91530 2.500 1.48749 70.32 0.529
16 239.57030 D16(可変)
17 ∞ 5.100 (絞りS)
18 102.03190 6.000 1.75500 52.33 0.548
19 -79.94970 1.800 1.80809 22.74 0.629
20 -555.10010 4.500
21 216.25360 4.700 1.74971 24.66 0.627
22 -92.01210 1.800 1.59319 67.90 0.544
23 49.75230 3.446
24 -226.07440 1.800 1.83481 42.73 0.565
25 106.00750 4.500
26 105.90030 3.700 1.69680 55.52 0.543
27 -165.71400 0.100
28 91.71790 4.000 1.72047 34.71 0.583
29 -129.60590 1.800 1.92119 23.96 0.620
30 366.08650 BF
[近距離撮影時可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=392.000 β=-0.173
D11 13.810 29.010
D16 36.508 21.308
[条件式対応値]
条件式(1)
ndP1+(0.01425×νdP1)=2.057
条件式(2),(2−1),(2−2)
νdP1=31.26
条件式(3)
θgFP1+(0.00316×νdP1)=0.7173
条件式(4),(4−1),(4−2)
ndP1+(0.00787×νdP1)=1.858
条件式(5)
DP1=4.500
条件式(6)
ndP1=1.61155
条件式(7)
ndP1−(0.040×νdP1−2.470)×νdP1=36.513
条件式(8)
ndP1−(0.020×νdP1−1.080)×νdP1=12.605
【0132】
図18は、第9実施例に係る光学系の無限遠合焦状態における諸収差図である。各諸収差図より、第9実施例に係る光学系は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0133】
上記各実施例によれば、色収差の補正において、1次の色消しに加え、2次スペクトルが良好に補正された光学系を実現することができる。
【0134】
ここで、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0135】
なお、以下の内容は、本実施形態の光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0136】
合焦レンズ群とは、合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示すものとする。すなわち、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この合焦レンズ群は、オートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モータ等を用いた)モータ駆動にも適している。
【0137】
本実施形態の光学系の第4、第7、第9実施例において、防振機能を有する構成のものを示したが、本願はこれに限られず、防振機能を有していない構成とすることもできる。また、防振機能を有していない他の実施例についても、防振機能を有する構成とすることができる。
【0138】
レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0139】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0140】
各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【符号の説明】
【0141】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群 G6 第6レンズ群
I 像面 S 開口絞り
図1
図2
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図20