(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程は、前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させながら、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程であることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させる動作は、前記基板の表側面の中心部と外周部との間で前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させる動作であることを特徴とする請求項2に記載の研磨方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、ウェーハ表面から微小突起物を除去するために、化学機械研磨(CMP)装置を用いることが考えられる。CMP装置は、研磨テーブル上の研磨パッドにスラリーを供給しながら、ウェーハを研磨パッドに摺接させることによってウェーハの表面を研磨するように構成される。
【0005】
しかしながら、CMP装置は、ウェーハの倍以上の直径を持つ研磨テーブルを備えた大きな装置であり、広い設置スペースを必要とする。加えて、CMP装置は、スラリーおよび研磨パッドなどの消耗品を必要とし、消耗品のコストが高い。さらに、ウェーハ表面の汚染を防止するために、研磨されたウェーハ表面を十分に洗浄してスラリーをウェーハから除去する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、ウェーハなどの基板を低ランニングコストで研磨することができる研磨方法および研磨装置を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような研磨装置を備えた基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板の裏側面を真空吸着ステージで
水平に保持しながら、前記基板を回転させ、複数の研磨具を保持した研磨ヘッドを回転させ、
液体供給ノズルから液体を前記基板の表側面と略平行に噴射して該基板の表側面に前記液体を供給しながら、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程を含み、
前記液体供給ノズルから前記液体が供給される前記基板の表側面上の領域は、前記基板の回転方向において前記研磨ヘッドの上流側であり、前記基板の表側面は、配線パターンが形成される面であることを特徴とする研磨方法である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程は、前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させながら、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させる動作は、前記基板の表側面の中心部と外周部との間で前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させる動作であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程は、砥粒を含まない液体を前記基板の表側面に供給しながら、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程であることを特徴とする
。
本発明の好ましい態様は、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程は、前記研磨具をその長手方向に送りながら、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程は、前記研磨具をその長手方向に送らずに、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付ける工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨具は、砥粒を含む研磨層からなる研磨面を有した研磨テープであることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様は、配線パターンが形成される表側面と、配線パターンを形成しない裏側面とを備えた基板を準備し、基板の裏側面を真空吸着ステージで
水平に保持しながら、前記基板を回転させ、複数の研磨具を保持した研磨ヘッドを回転させ、前記研磨ヘッドを前記基板の表側面と平行に揺動させながら、
かつ液体供給ノズルから液体を前記基板の表側面と略平行に噴射して該基板の表側面に前記液体を供給しながら、前記回転する複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付けて、基板の表側面を研磨する
工程を含み、前記液体供給ノズルから前記液体が供給される前記基板の表側面上の領域は、前記基板の回転方向において前記研磨ヘッドの上流側であることを特徴とする研磨方法である。
【0010】
本発明の一態様は、配線パターンが形成される表側面と、配線パターンを形成しない裏側面とを備えた基板を研磨するための研磨装置であって、基板の裏側面を水平に保持する保持面を有する真空吸着ステージと、前記真空吸着ステージを回転させるステージモータと、研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドに取り付けられた複数の研磨具と、前記研磨ヘッドおよび前記複数の研磨具を回転させるヘッドモータと、前記保持面と略平行に配置された液体供給ノズルと、前記研磨ヘッドに下向きの荷重を付与し、前記研磨ヘッドが前記複数の研磨具を前記基板の表側面に押し付けることを可能とするアクチュエータを備え、前記液体供給ノズルか
ら液体が供給される前記基板の表側面上の領域は、前記基板の回転方向において前記研磨ヘッドの上流側であることを特徴とする研磨装置である。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記真空吸着ステージの保持面と平行な方向に前記研磨ヘッドを揺動させる揺動機構をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板の表側面の状態を検出する状態検出センサをさらに備えたことを特徴とす
る。
【0012】
本発明の一態様は、複数の基板を連続的に処理する基板処理システムにおいて、上記研磨装置と、前記研磨装置で研磨した基板の表側面に存在している微小突起物の数をカウントするパーティクルカウンターと、前記微小突起物の数を受信し、前記研磨装置での後続の基板のための研磨レシピを変更する動作制御部と、を含む、基板処理システムである。
【0013】
本発明の一
参考例は、基板回転機構に指令を与えて、基板の裏側面を保持し、該基板を回転させるステップと、研磨ヘッドに連結されたヘッドモータに指令を与えて、前記研磨ヘッドに取り付けられた複数の研磨具を回転させるステップと、前記研磨ヘッドに連結されたアクチュエータに指令を与えて、前記研磨具が、配線パターンが形成される前記基板の表側面に押し付けられるように前記研磨ヘッドに下向きの荷重を付与するステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、砥粒が固定された複数の研磨具を用いることにより、スラリーが不要となるので、低汚染で基板の表側面を研磨することができる。さらに、基板の裏側面には配線パターンは形成されないので、真空吸着ステージを用いて基板の裏側面を保持することができる。基板を流体の静圧により支持する機構は不要であり、研磨装置の低コストが実現できる。真空吸着ステージの保持面は、基板とほぼ同じ大きさとすることが可能であるので、研磨装置全体をコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、研磨装置1は、ウェーハなどの基板Wの裏側面を保持し、基板Wの軸心を中心に回転させる基板回転機構10と、この基板回転機構10に保持された基板Wの表側面を研磨するための複数の研磨テープ61を保持する研磨ヘッド50と、基板Wの表側面に液体を供給する液体供給ノズル27と、基板Wを持ち上げるリフト機構30を備えている。研磨ヘッド50は、基板回転機構10に保持されている基板Wの上側に配置されている。液体供給ノズル27から供給される液体は、砥粒を含まない液体であり、例えば、純水またはアルカリ水である。研磨テープ61は、基板Wの表側面を研磨するための研磨具の一例である。
【0017】
研磨装置1は、隔壁6と換気機構8を備えている。隔壁6の内部空間は処理室7を構成している。基板回転機構10、研磨ヘッド50、液体供給ノズル27、リフト機構30は処理室7内に配置されている。隔壁6には図示しない扉が設けられており、この扉を通じて基板Wを処理室7内に搬入し、かつ処理室7から搬出することが可能となっている。隔壁6の上部には、クリーンエア取入口6aが形成されており、隔壁6の下部には排気ダクト9が形成されている。換気機構8は隔壁6の上面に設置されている。この換気機構8は、ファン8Aと、このファン8Aから送られた空気中のパーティクルや粉塵を除去するフィルター8Bとを備えている。換気機構8は、清浄な空気をクリーンエア取入口6aを通じて処理室7に送り込み、処理室7内の気体を排気ダクト9から排出させる。処理室7内には清浄な空気のダウンフローが形成される。以下に説明する基板の研磨は、この処理室7内で実施され、研磨中に発生する屑、パーティクル、ミストなどの装置外への拡散が防止されている。したがって、一連の研磨処理が終わった後の基板W上に、こうした粒子が意図せず付着してしまうことをより有効に防止できる。
【0018】
基板Wの表側面は、配線パターンが形成される面であり、より具体的には、研磨装置1による基板Wの研磨後にナノインプリントなどにより配線パターンが形成される面である。配線パターンが形成される面の例としては、レジストを塗布する前の面が挙げられる。基板Wの裏側面は配線パターンが形成されない面である。配線パターンが形成されない面の例としては、シリコン面が挙げられる。
【0019】
基板回転機構10は、基板Wの裏側面を真空吸引により保持する真空吸着ステージ11と、真空吸着ステージ11を回転させるステージモータ12と、真空吸着ステージ11に接続されたロータリージョイント15と、ロータリージョイント15に接続された真空ライン17を備えている。本実施形態では、ステージモータ12は中空モータであり、真空吸着ステージ11の軸部11bはステージモータ12内を延びてロータリージョイント15に接続されている。一実施形態では、ステージモータ12は、真空吸着ステージ11の軸部11bの側方に配置され、ベルトなどの動力伝達機構により真空吸着ステージ11の軸部11bに連結されてもよい。
【0020】
真空吸着ステージ11は、基板Wの裏側面を保持する保持面11aと、保持面11a内で開口する複数の吸引孔20と、これら吸引孔20に連通する内部チャンバ21とを備えている。内部チャンバ21は上記ロータリージョイント15に連通している。真空ライン17は、ロータリージョイント15および内部チャンバ21を通じて吸引孔20に連通している。真空ライン17が吸引孔20内に真空(負圧)を形成すると、基板Wの裏側面は保持面11aに吸着される。保持面11aは、基板Wと実質的に同じ大きさを有している。本実施形態では、基板Wおよび保持面11aは円形であり、保持面11aは、基板Wと実質的に同じ直径を有している。よって、基板Wの裏側面の全体は、保持面11aによって支持される。
【0021】
基板Wは、真空吸着ステージ11によって水平に保持され、ステージモータ12によって真空吸着ステージ11の軸心(基板Wの軸心に一致する)を中心に回転される。液体供給ノズル27は真空吸着ステージ11の上方に配置されている。この液体供給ノズル27は、図示しない液体供給源に接続されており、基板Wの表側面に液体(例えば純水、またはアルカリ水)を供給するように構成されている。液体供給ノズル27は、真空吸着ステージ11の保持面11aと略平行であり、かつ研磨ヘッド50に保持された研磨テープ61を向いて配置されている。液体供給ノズル27は、保持面11aと略平行とみなせる程度に傾いてもよい。例えば、真空吸着ステージ11の保持面11aに対する液体供給ノズル27の角度は、1〜15度の範囲内である。液体は、研磨テープ61と基板Wの表側面との接触点に向かって基板Wの表側面と略平行に噴射される。
【0022】
上記の構成とすることで、基板Wの外周縁に向かう液体の流れを基板W上により効果的に形成して、基板Wから遊離している粒子を液体によって洗い流せるため、基板W上に微小な異物が残存しないようにすることができる。ナノインプリント工程の転写工程にこの基板を用いても、テンプレート側に悪影響を与えたりすることを防止できる。
【0023】
「略平行」には、1度以上〜15度未満の傾斜をつけた場合を含む。液体の噴流の方向が基板Wの表側面と完全に平行であると液体が基板Wにきちんと着水しない可能性がありえる。その一方で、液体の噴流の方向と基板Wの表側面との角度が大きすぎると、基板Wの外周縁に向かう液体の流れを基板W上に形成することがあまり期待できない。また、1度以上〜15度未満の傾斜角度の範囲内で、液体供給ノズル27を基板Wに対して上下に搖動させることで、洗浄効果を高めるようにしてもよい。
【0024】
一実施形態では、液体供給ノズル27から噴射される液体の流速は、1m/秒〜10m/秒の範囲内である。液体の流速が10m/秒よりも高いと、基板Wに傷がつく、あるいは基板Wが破損するおそれがあり、さらに液体が跳ね返って研磨屑が基板Wに再付着するおそれもある。一方で、液体の流速が1m/秒よりも低いと、研磨屑を基板Wから十分に除去することができない可能性がありうる。本実施形態によれば、適切な流速かつ適切な角度で液体の噴流が基板Wに到達するので、液体で研磨屑を流し去ることができ、残留した研磨屑による基板Wの傷を防ぐことができる。
【0025】
液体供給ノズル27から噴射される液体の着水する領域を、研磨ヘッド50の上流側の回転する基板W上の領域にすると、より洗浄効果が期待できる。また、より洗浄効果を高めるため、液体供給ノズル27を基板Wに対して左右に揺動させるようにしてもよい。
【0026】
研磨ヘッド50は、真空吸着ステージ11の保持面11aの上方に配置されている。本実施形態では、真空吸着ステージ11の保持面11aは円形であり、研磨ヘッド50の横幅は、真空吸着ステージ11の保持面11aおよび基板Wの直径よりも小さい。一実施形態では、研磨ヘッド50の横幅は、真空吸着ステージ11の保持面11aの直径の半分である。
【0027】
研磨ヘッド50は研磨ヘッドシャフト51に連結されている。この研磨ヘッドシャフト51は揺動アーム53の一端に連結されており、揺動アーム53の他端は揺動軸54に固定されている。揺動軸54は軸回転機構55に連結されている。軸回転機構55は、モータ、プーリ、ベルトなどから構成することができる。この軸回転機構55により揺動軸54が時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転されると、
図2に示すように、研磨ヘッド50は基板Wの表側面の外周部と中央部との間を揺動する。さらに、
図3に示すように、軸回転機構55が揺動軸54を回転すると、研磨ヘッド50は、真空吸着ステージ11の外側にある退避位置まで移動される。本実施形態では、軸回転機構55および揺動軸54は、研磨ヘッド50を真空吸着ステージ11の保持面11aと平行な方向に揺動させる揺動機構を構成する。
【0028】
図1に示すように、揺動軸54には、揺動軸54、研磨ヘッドシャフト51、および研磨ヘッド50を昇降させる研磨ヘッド昇降機構56が連結されている。研磨ヘッド昇降機構56としては、エアシリンダ、またはサーボモータとボールねじとの組み合わせなどが使用される。
【0029】
リフト機構30は、基板Wの縁部を支持する複数のリフトピン31と、これらリフトピン31を互いに連結するブリッジ32と、ブリッジ32に連結された昇降機33とを備えている。本実施形態では、4本のリフトピン31が配置され、昇降機33にはエアシリンダが使用されている。昇降機33は、ブリッジ32およびリフトピン31を、真空吸着ステージ11に対して相対的に上昇および下降させることが可能に構成されている。より具体的には、昇降機33は、リフトピン31の上端が真空吸着ステージ11の保持面11aよりも高い上昇位置と、リフトピン31の上端が真空吸着ステージ11の保持面11aよりも低い下降位置との間で、リフトピン31を上下動させる。
図1は、リフトピン31が下降位置にあり、かつ研磨ヘッド50が基板W上にある状態を示し、
図4は、リフトピン31が上昇位置にあり、かつ研磨ヘッド50が上記退避位置にある状態を示している。液体供給ノズル27も、
図1に示す液体供給位置と、
図4に示す退避位置との間で移動可能となっている。
【0030】
図5は、真空吸着ステージ11およびリフトピン31を示す平面図である。
図5に示すように、真空吸着ステージ11の外周部には、リフトピン31が通過可能な窪み36が形成されている。本実施形態では、窪み36は、リフトピン31の外周面に沿った半円形状の水平断面を有している。基板Wは、研磨ヘッド50が退避位置にあり、かつリフトピン31が上昇位置にあるときに、搬送ロボット(後述する)によってリフトピン31上に置かれる。リフトピン31が真空吸着ステージ11の保持面11aよりも下方に下降すると、基板Wは保持面11a上に置かれる。さらに、研磨後、基板Wはリフトピン31によって保持面11aから持ち上げられる。基板Wは、研磨ヘッド50が退避位置にあり、かつリフトピン31が上昇位置にあるときに、搬送ロボットによってリフトピン31から取り除かれる。
【0031】
図6は、研磨ヘッド50および揺動アーム53の詳細な構成を示す図である。研磨ヘッドシャフト51は、研磨ヘッド50をその軸心CLを中心として回転させる研磨ヘッド回転機構58に連結されている。軸心CLは、真空吸着ステージ11の保持面11aおよび基板Wの研磨される表側面に対して垂直である。研磨ヘッド回転機構58は揺動アーム53内に配置されている。この研磨ヘッド回転機構58は、研磨ヘッドシャフト51に取り付けられたプーリp1と、揺動アーム53に設けられたヘッドモータM1と、ヘッドモータM1の回転軸に固定されたプーリp2と、プーリp1,p2に掛け渡されたベルトb1とを備えている。ヘッドモータM1の回転は、プーリp1,p2およびベルトb1により研磨ヘッドシャフト51に伝達され、研磨ヘッドシャフト51とともに研磨ヘッド50が回転する。
【0032】
研磨ヘッドシャフト51の上端にはエアシリンダ57が連結されている。このエアシリンダ57は、研磨ヘッド50に下向きの荷重を付与するように構成されたアクチュエータである。研磨ヘッドシャフト51には縦方向に延びる溝(図示せず)が形成されており、プーリp1は研磨ヘッドシャフト51の溝に係合する複数の負荷伝達ボール(図示せず)を備えている。これら溝と負荷伝達ボールとによりボールスプライン軸受が構成されている。すなわち、プーリp1は、研磨ヘッドシャフト51の縦方向の移動を許容しつつ、研磨ヘッドシャフト51にトルクを伝達することが可能となっている。
【0033】
研磨ヘッド50には、基板Wの表側面を研磨するための複数の研磨テープ61が着脱可能に取り付けられている。複数の研磨テープ61は、軸心CLの周りに等間隔で配置されている。エアシリンダ57は、研磨ヘッド50に下向きの荷重を付与し、研磨ヘッド50は、軸心CLを中心に回転しながら、研磨テープ61を基板Wの表側面に対して押し付けることができる。
【0034】
基板Wの研磨は次のようにして行われる。基板Wを保持した真空吸着ステージ11を回転させながら、基板Wの表側面と、研磨ヘッド50に保持されている研磨テープ61との接触点に液体供給ノズル27から液体が噴射される。研磨ヘッド50および研磨テープ61は軸心CLを中心に研磨ヘッド回転機構58によって回転させられながら、研磨テープ61は研磨ヘッド50によって基板Wの表側面に押し付けられる。研磨ヘッド50の回転方向は、真空吸着ステージ11の回転方向と同じであってもよく、または反対であってもよい。研磨テープ61は、液体の存在下で基板Wの表側面に摺接され、これにより基板Wの表側面を研磨する。基板Wの研磨中は、研磨ヘッド50はその軸心CLを中心に回転しながら、かつ研磨テープ61を基板Wの表側面に押し付けながら、
図2に示すように、研磨ヘッド50は基板Wの表側面の外周部と中央部との間を揺動する。
【0035】
図2に示すように、研磨ヘッド50が基板Wの表側面の外周部にあるとき、研磨テープ61の一部は、基板Wから外側にはみ出している。したがって、研磨テープ61は、基板Wの表側面の全体を研磨することができる。研磨ヘッド50の横幅が、真空吸着ステージ11の保持面11aの半径よりも大きく、保持面11aの直径よりも小さい場合は、基板Wの研磨中に研磨ヘッド50を揺動させなくてもよい。研磨テープ61を用いた基板Wの研磨は、基板Wの表側面を削り取ることにより、基板Wの表側面から微小突起物を除去し、および/または基板Wの表側面を構成する材料の少なくとも一部を除去する処理である。
【0036】
基板Wの研磨中に研磨ヘッド50から研磨テープ61を通じて基板Wに与えられる力は、真空吸着ステージ11の保持面11aによって支持される。真空吸着ステージ11の保持面11aは、基板Wと実質的に同じ大きさを有しているので、基板Wの裏側面の全体は保持面11aによって支持される。よって、研磨ヘッド50が研磨テープ61を基板Wに押し付けているとき、基板Wは撓まない。
【0037】
研磨ヘッド50は基板Wよりも小さいので、研磨テープ61は基板Wの表側面を局所的に研磨することも可能である。研磨ヘッド50を揺動させる場合においては、研磨ヘッド50の移動速度および/または回転速度を、基板Wの表側面上に予め定義された区間ごとに、予め設定してもよい。例えば、基板Wの外周部での研磨量を増やすために、基板Wの外周部上での区間では、研磨ヘッド50の移動速度を下げる、および/または研磨ヘッド50の回転速度を上げるようにしてもよい。このように、基板Wの研磨中に、研磨ヘッド50の移動速度および/または回転速度を変えることによって、所望の膜厚プロファイルを作ることができる。
【0038】
図1乃至
図3に示すように、基板Wの表側面の状態を検出する状態検出センサ59を揺動アーム53に取り付けてもよい。状態検出センサ59は、研磨ヘッド50とともに揺動し、基板Wの表側面の全体の状態を検出することができる。基板Wの表側面の状態の例としては、膜厚、微小突起物の数、表面粗さなどが挙げられる。このような基板Wの表側面の状態を検出することができる状態検出センサ59として公知の光学式センサを用いることができる。光学式センサは、基板Wの表側面に光を導き、表側面からの反射光に含まれる光学情報に基づいて基板Wの表側面の状態を検出するように構成される。さらに、基板Wの表側面の状態の検出結果に基づいて、基板Wの研磨中に基板Wの表側面の研磨条件を変更してもよい。
【0039】
図7は、研磨ヘッド50を下から見た図である。研磨ヘッド50には、複数の(
図7では3つの)テープカートリッジ60が着脱可能に取り付けられている。各テープカートリッジ60は研磨テープ61を有している。これらのテープカートリッジ60は、研磨ヘッド50の内部に設置されている。
【0040】
図8は、テープカートリッジ60を示す断面図である。
図8に示すように、テープカートリッジ60は、研磨テープ61と、この研磨テープ61の裏側を支持する支持部材62と、この支持部材62を真空吸着ステージ11の保持面11aに向かって付勢する付勢機構63と、研磨テープ61を繰り出すテープ繰り出しリール64と、研磨に使用された研磨テープ61を巻き取るテープ巻き取りリール65とを備えている。
図8に示す実施形態では、付勢機構63としてばねが使用されている。研磨テープ61は、テープ繰り出しリール64から、支持部材62を経由して、テープ巻き取りリール65に送られる。複数の支持部材62は、研磨ヘッド50の半径方向に沿って延びており、かつ研磨ヘッド50の軸心CL(
図1参照)の周りに等間隔に配置されている。各研磨テープ61の基板接触面も、研磨ヘッド50の半径方向に延びている。
【0041】
テープ巻き取りリール65は、
図6および
図7に示すテープ巻き取り軸67の一端に連結されている。テープ巻き取り軸67の他端には、かさ歯車69が固定されている。複数のテープカートリッジ60に連結されたこれらのかさ歯車69は、送りモータM2に連結されたかさ歯車70と噛み合っている。テープカートリッジ60のテープ巻き取りリール65は、送りモータM2により駆動されて研磨テープ61を巻き取るようになっている。送りモータM2、かさ歯車69,70、およびテープ巻き取り軸67は、研磨テープ61をテープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に送るテープ送り機構を構成する。テープ送り機構は、研磨テープ61をその長手方向に所定の速度で送ることが可能である。
【0042】
研磨テープ61は、10mm〜60mmの幅を有し、20m〜100mの長さを有する。研磨テープ61は、砥粒を含む研磨層が片面に形成されたテープである。研磨層の表面は、研磨テープ61の研磨面を構成する。砥粒には、粒径20nm程度のシリカ(SiO
2)が使用される。シリカからなる砥粒は、基板Wの面に傷を生じさせにくいという利点がある。このような研磨テープ61を使用することで、基板Wに存在している微小突起物、特に基板Wの表面に食い込んだパーティクルを除去することができる。
【0043】
この実施例では、基板Wの研磨中は、研磨テープ61は、テープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に所定の速度で送られる。したがって、常に新しい(未使用の)研磨テープ61の研磨面が基板Wに接触する。あるいは、研磨開始直後だけ研磨テープ61を送るようにし、所定の時間(例えば1秒程度)が経過したら研磨テープ61を送らないようにしてもよい。研磨テープ61は、その終端の近傍にエンドマーク(図示せず)を有している。このエンドマークは、研磨テープ61に近接して配置されたエンドマーク検知センサ71によって検知されるようになっている。エンドマーク検知センサ71が研磨テープ61のエンドマークを検知すると、エンドマーク検知センサ71から検知信号が動作制御部(後述する)に送られる。検知信号を受け取った動作制御部は、研磨テープ61の交換を促す信号(警報など)を発するようになっている。テープカートリッジ60は、別々に取り外しが可能となっており、簡単な操作でテープカートリッジ60を交換することが可能となっている。
【0044】
研磨テープ61は、PET(Polyethylene terephthalate)製のテープを基層とし、例えばポリエステル系樹脂といった水溶性の合成樹脂をバインダとし、粒径20nm程度のシリカ(SiO
2)砥粒がテープ上にバインドされていてもよい。
【0045】
研磨処理中に研磨ヘッド50に作用する荷重は、図示しないロードセルにより監視されている。この荷重は2段階のレベルで所定の値以上となるかどうか監視されることができる。基板Wの破損のおそれがある第1のレベル以上の荷重が加わった場合、異常な負荷が生じたとして、警告アラームをオペレータに発報すると同時に研磨ヘッド50を上昇させて研磨処理を停止させることができるように構成される。また、第1のレベル以下ではあるが、第2のレベル以上の値の荷重が加わった場合は、研磨ヘッド50の高さ位置を変更して研磨ヘッド50を基板Wから離間させるようにするか、あるいはすでに研磨ヘッド50が基板Wから離間している場合には、液体供給ノズル27からの液体を研磨テープ61と基板Wとの間の空間に噴射させて、基板Wに対して損傷を与えないようにすることができる。また、後者については、さらに、図示しない気体供給ノズルから気体を研磨テープ61と基板Wとの間の空間にさらに噴射させて、より基板Wに対して損傷を与えないようにすることができる。
【0046】
図9は、上述した研磨装置1の動作の一実施形態を示すフローチャートである。ステップ1では、リフトピン31が昇降機33により上昇され、研磨される基板Wは搬送ロボット(後述する)によりリフトピン31上に置かれる。研磨ヘッド50は退避位置にある。ステップ2では、リフトピン31は基板Wとともに下降し、基板Wは真空吸着ステージ11の保持面11a上に置かれる。リフトピン31は保持面11aよりも下方に下降される。ステップ3では、真空ライン17により真空吸着ステージ11の吸引孔20に真空(負圧)が形成される。基板Wの裏側面は、負圧によって真空吸着ステージ11の保持面11a上に保持される。その後、研磨ヘッド50は退避位置から基板Wの上方位置まで移動される。
【0047】
ステップ4では、真空吸着ステージ11および研磨ヘッド50がそれぞれの軸心を中心に回転される。研磨ヘッド50の回転方向は、真空吸着ステージ11の回転方向と同じであってもよく、または反対であってもよい。基板Wは真空吸着ステージ11とともに回転される。液体は液体供給ノズル27から、回転する基板Wの表側面に供給される。ステップ5では、研磨ヘッド昇降機構56は、研磨ヘッド50を下降させ、次いでエアシリンダ57は、研磨ヘッド50に下向きの荷重を付与する。研磨ヘッド50は、その軸心CLを中心に回転しながら、複数の研磨テープ61を基板Wの表側面に対して押し付ける。さらに、研磨ヘッド50は基板Wの表側面の外周部と中央部との間を該表側面と平行に揺動する。研磨テープ61は、液体の存在下で基板Wの表側面に摺接され、これにより基板Wの表側面を研磨する。
【0048】
ステップ6では、予め設定された研磨時間が経過した後、研磨ヘッド50は研磨ヘッド昇降機構56により上昇される。研磨テープ61は基板Wから離間され、基板Wの研磨が終了される。さらに、研磨ヘッド50の回転、真空吸着ステージ11および基板Wの回転、および液体の供給が停止される。その後、研磨ヘッド50は退避位置に移動される。ステップ7では、基板Wの真空吸着が解除され、次いで、リフトピン31が上昇され、研磨された基板Wはリフトピン31によって真空吸着ステージ11の保持面11aから持ち上げられる。ステップ8では、搬送ロボットにより基板Wはリフトピン31から取り去られ、搬送ロボットにより次工程に搬送される。
【0049】
本発明によれば、砥粒が固定された複数の研磨テープ61を用いることにより、スラリーが不要となるので、低汚染で基板Wの表側面を研磨することができる。基板Wの裏側面には配線パターンは形成されないので、真空吸着ステージ11を用いて基板Wの裏側面を保持することができる。基板Wを流体の静圧により支持する機構は不要であり、研磨装置1の低コストが実現できる。真空吸着ステージ11の保持面11aは、基板Wとほぼ同じ大きさとすることが可能であるので、研磨装置1全体をコンパクトにすることができる。さらに、基板Wの直径よりも小さな幅の研磨ヘッド50を用いることで高効率のよい基板Wの研磨が可能である。
【0050】
図10乃至
図17は、テープカートリッジ60の他の例を示す図である。
この例では、研磨ヘッド50内には研磨テープ61を送るための送りモータM2は設けられていない。テープ繰り出しリール64およびテープ巻き取りリール65は、それぞれリール軸75A,75Bに取り付けられている。リール軸75A,75Bは、軸受76A,76Bによりそれぞれ回転自在に支持されている。これらの軸受76A,76Bはリールハウジング77に固定されている。リールハウジング77はボールスプラインナット78に固定されており、リールハウジング77とボールスプラインナット78はスプラインシャフト79に対して上下方向に相対移動可能となっている。
【0051】
それぞれのリール軸75A,75Bにはブレーキ輪80A,80Bが固定されている。テープ繰り出しリール64とブレーキ輪80Aとは一体に回転し、テープ巻き取りリール65とブレーキ輪80Bとは一体に回転するようになっている。ボールスプラインナット78は、ばね82によって下方に付勢されており、ブレーキ輪80A,80Bはばね82によりブレーキパッド81に押し付けられている。ブレーキパッド81がブレーキ輪80A,80Bに接触しているときは、ブレーキ輪80A,80Bおよびこれに連結されたテープ繰り出しリール64およびテープ巻き取りリール65は自由に回転することができない。リールハウジング77には下方に延びるピン83,83が固定されている。研磨ヘッド50の退避位置にはこれらのピン83,83が接触するピンストッパー(図示せず)が配置されている。
【0052】
リール軸75Aには繰り出しギヤ84Aが取り付けられており、リール軸75Bには巻き取りギヤ84Bが取り付けられている。繰り出しギヤ84Aは巻き取りギヤ84Bよりも大きな径を有している。繰り出しギヤ84Aおよび巻き取りギヤ84Bは、ワンウェイクラッチ85A,85Bを介してリール軸75A,75Bにそれぞれ取り付けられている。テープ繰り出しリール64、テープ巻き取りリール65、ブレーキ輪80A,80B、繰り出しギヤ84A、および巻き取りギヤ84Bは一体的にスプラインシャフト79に対して上下方向に相対移動可能となっている。繰り出しギヤ84Aと巻き取りギヤ84Bとの間にはラックギヤ86A,86Bが設けられている。繰り出しギヤ84Aは一方のラックギヤ86Aと噛み合い、巻き取りギヤ84Bは他方のラックギヤ86Bと噛み合っている。押圧部材62、ブレーキパッド81、およびラックギヤ86A,86Bは、設置台87に固定されている。
【0053】
研磨ヘッド50が退避位置にて下降すると、ピン83,83がピンストッパーに当接し、ピン83,83に連結されたテープ繰り出しリール64、テープ巻き取りリール65、ブレーキ輪80A,80B、繰り出しギヤ84A、および巻き取りギヤ84Bの下降が停止する一方で、押圧部材62、ブレーキパッド81、およびラックギヤ86A,86Bは下降を続ける。その結果、ばね82が圧縮されるとともにブレーキパッド81がブレーキ輪80A,80Bから離れ、これによりテープ繰り出しリール64およびテープ巻き取りリール65が自由に回転できる状態となる。ラックギヤ86A,86Bが下降するにつれて、ラックギヤ86A,86Bに係合する繰り出しギヤ84Aおよび巻き取りギヤ84Bが回転する。テープ繰り出しリール64は繰り出しギヤ84Aとともに回転し、新しい研磨テープ61を所定の長さだけ繰り出す。一方、テープ巻き取りリール65は、ワンウェイクラッチ85Bの作用により回転しない。
【0054】
研磨ヘッド50が上昇すると、ばね82が伸びるとともにラックギヤ86A,86Bが上昇する。ラックギヤ86A,86Bの上昇により繰り出しギヤ84Aおよび巻き取りギヤ84Bが回転する。テープ巻き取りリール65は巻き取りギヤ84Bとともに回転し、使用済みの研磨テープ61を巻き取る。一方、テープ繰り出しリール64はワンウェイクラッチ85Aの作用により回転しない。巻き取りギヤ84Bは繰り出しギヤ84Aよりも小さな直径を有しているので、テープ巻き取りリール65はテープ繰り出しリール64よりも多く回転する。テープ巻き取りリール65にはトルクリミッタ88が装着されており、研磨テープ61を巻き取った後は巻き取りギヤ84Bが空転し、研磨テープ61にテンションが加わる。ブレーキパッド81がブレーキ輪80A,80Bに接触すると、テープ巻き取りリール65の回転が停止し、これにより研磨テープ61の更新が終了する。
【0055】
この例のテープカートリッジ60では研磨テープ61を送るためのモータが不要であるので、研磨ヘッド50の構成を簡素化することができる。また、研磨テープ61を間欠的に送るので、研磨テープ61の使用量が削減できる。
図12および
図13から分かるように、この例のテープカートリッジ60は対称的な構造を有しており、1つのテープカートリッジ60が2つの研磨テープ61,61を有している。この実施例では、研磨テープ61に砥粒を固定するために用いられるバインダの粘着力は、上記の研磨テープ61を送るタイプのテープカートリッジを採用した実施例に比較して弱いものが選定されている。例えば、水溶性のバインダを使用することができる。
【0056】
基板Wの研磨中は、研磨テープ61はその長手方向には送られず、研磨テープ61の研磨面と研磨ヘッド50との相対位置は固定である。研磨ヘッド50が
図4に示す退避位置に移動した時に、研磨テープ61はその長手方向にテープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に所定の長さだけ送られる。本実施形態においては、研磨テープ61が基板Wに接触することにより、研磨テープ61から砥粒が脱落し、研磨テープ61が基板W上の微小突起物に押圧されながら砥粒が基板W上の微小突起物に接触することにより基板W上の微小突起物は擦り取られて基板Wから除去される。
【0057】
一実施形態では、研磨テープ61の代わりに、砥粒が固定された研磨パッドを研磨具として用いてもよい。例えば、研磨具は、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンなどの合成樹脂と、該合成樹脂の一面にバインダにより固定された砥粒を有する研磨パッドから構成されてもよい。
図18は、そのような構成の複数の研磨パッドを備えた研磨ヘッド50の底面図である。複数の研磨パッド90は、上述した実施形態における研磨テープ61と同様に、研磨ヘッド50の軸心CLの周りに等間隔で配置されている。各研磨パッド90の下面は、砥粒が固定された研磨面を構成している。
【0058】
上述した各実施形態によれば、研磨ヘッド50は、複数の研磨具(研磨テープ61または研磨パッド90)を備えており、これら研磨具を軸心CLの周りで回転させながら、基板Wの表側面を研磨する。研磨ヘッド50は複数の研磨具を備えているので、基板W上に多くの微小突起物が存在していても、回転する複数の研磨具(研磨テープ61または研磨パッド90)によりこれら微小突起物を効率的に除去することができる。さらに、複数の研磨具は、基板Wの表側面に垂直な軸心CLの周りを回転するので、研磨ヘッド50は基板Wの表側面の全体から微小突起物を除去することができる。
【0059】
図19は、上述した研磨装置1を備えた基板処理システムを示す平面図である。この基板処理システムは、複数の基板を連続的に処理(すなわち、研磨、洗浄、および乾燥)することができる複合型処理システムである。
図19に示すように、基板処理システムは、多数の基板を収容する基板カセット(ウェーハカセット)が載置される4つのフロントロード部121を備えたロードアンロード部120を有している。フロントロード部121には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0060】
ロードアンロード部120には、フロントロード部121の配列方向に沿って移動可能な第1の搬送ロボット(ローダー)123が設置されている。第1の搬送ロボット123は各フロントロード部121に搭載された基板カセットにアクセスして、基板を基板カセットから取り出すことができるようになっている。第1の搬送ロボット123に隣接してパーティクルカウンター124が設置されている。このパーティクルカウンター124は、基板の表側面に存在しているパーティクルなどの微小突起物の数をカウントするための装置である。なお、このパーティクルカウンター124は省略することもできる。
【0061】
基板処理システムは、さらに、上述した複数の研磨装置1と、研磨装置1の近傍に配置された第2の搬送ロボット126と、基板が一時的に置かれる第1の基板ステーション131および第2の基板ステーション132を備えている。この実施形態では、2台の研磨装置1が隣り合わせに設けられている。一実施形態では、1台の研磨装置1,または3台以上の研磨装置1を設けてもよい。
【0062】
基板処理システムは、さらに、研磨装置1で研磨された基板を洗浄する洗浄ユニット134と、洗浄された基板を乾燥させる乾燥ユニット135と、基板を第2の基板ステーション132から洗浄ユニット134に搬送する第3の搬送ロボット137と、基板を洗浄ユニット134から乾燥ユニット135に搬送する第4の搬送ロボット138と、基板処理システム全体の動作を制御する動作制御部133とを備えている。本実施形態では、洗浄ユニット134は、2つのロールスポンジを回転させながら基板の表側面および裏側面に接触させるロールスポンジタイプの洗浄機である。乾燥ユニット135は、IPA蒸気(イソプロピルアルコールとN
2ガスとの混合気体)と、純水をそれぞれのノズルから基板の表側面に供給しながら、これらノズルを基板の表側面に沿って移動させるように構成されている。
【0063】
基板処理システムの動作は次の通りである。第1の搬送ロボット123は、基板を基板カセットから取り出し、パーティクルカウンター124に搬送する。パーティクルカウンター124は、基板の表側面に存在しているパーティクルなどの微小突起物の数をカウントし、その微小突起物の数を動作制御部133に送信する。動作制御部133は、微小突起物の数に基づいて研磨装置1での研磨レシピを変更してもよい。例えば、微小突起物の数が所定の基準値を上回った場合は、基板の研磨時間を長くしてもよい。
【0064】
第1の搬送ロボット123は、基板をパーティクルカウンター124から取り出し、さらに第1の基板ステーション131の上に置く。第2の搬送ロボット126は、基板を第1の基板ステーション131から取り上げ、2台の研磨装置1のいずれかに基板を搬入する。
【0065】
研磨装置1は、上述した動作シーケンスに従って基板の表側面を研磨する。必要に応じて、研磨された基板を他方の研磨装置1でさらに研磨してもよい。第2の搬送ロボット126は、研磨された基板を研磨装置1から第2の基板ステーション132に搬送する。第3の搬送ロボット137は、基板を第2の基板ステーション132から洗浄ユニット134に搬送する。洗浄ユニット134は、液体を基板に供給しながら、ロールスポンジを基板の両面に擦り付けて基板を洗浄する。
【0066】
第4の搬送ロボット138は、洗浄された基板を洗浄ユニット134から乾燥ユニット135に搬送する。乾燥ユニット135は、移動するノズルからIPA蒸気と純水を基板に供給することにより、基板を乾燥する。第1の搬送ロボット123は、乾燥された基板を乾燥ユニット135から取り出し、基板カセットに戻す。このようにして、基板の研磨、洗浄、および乾燥が実行される。
【0067】
一実施形態では、乾燥された基板を基板カセットに戻す前に、第1の搬送ロボット123は基板をパーティクルカウンター124に搬送してもよい。パーティクルカウンター124は、研磨装置1により研磨された基板の表側面上に存在する微小突起物の数をカウントし、その微小突起物の数を動作制御部133に送信する。動作制御部133は、微小突起物の数に基づいて研磨装置1での後続の基板のための研磨レシピを変更してもよい。例えば、微小突起物の数が所定の基準値を上回った場合は、後続の基板の研磨時間を長くしてもよい。
【0068】
上述した基板処理システムは、1枚の基板を複数の研磨装置1で連続的に研磨するシリアル研磨と、複数枚の基板を複数の研磨装置1で並行して研磨するパラレル研磨と、複数の基板のそれぞれを複数の研磨装置1で連続的に研磨しながら、複数の基板を複数の研磨装置1で同時に研磨するシリアル研磨とパラレル研磨の組み合わせのいずれかを選択的に実行することができる。さらに、2つの研磨装置1のうちの一方は、研磨テープに代えて、砥粒を持たないクリーニングテープを用いてもよい。この場合は、2つの研磨装置1のうちの一方で研磨テープにより基板を研磨した後、他方の研磨装置1でクリーニングテープにより基板をクリーニングすることができる。
【0069】
研磨装置1、パーティクルカウンター124などを含む基板処理システムの動作は、動作制御部133によって制御される。本実施形態では、動作制御部133は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。
図20は、動作制御部133の構成の一例を示す模式図である。動作制御部133は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置210と、記憶装置210に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)などの処理装置220と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置210に入力するための入力装置230と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置240と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置250を備えている。
【0070】
記憶装置210は、処理装置220がアクセス可能な主記憶装置211と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置212を備えている。主記憶装置211は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置212は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0071】
入力装置230は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み込むための記録媒体読み込み装置232と、記録媒体が接続される記録媒体ポート234を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み込み装置232の例としては、CDドライブ、DVDドライブなどの光学ドライブや、カードリーダーが挙げられる。記録媒体ポート234の例としては、USB端子が挙げられる。記録媒体に記録されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置230を介して動作制御部
133に導入され、記憶装置210の補助記憶装置212に格納される。出力装置240は、ディスプレイ装置241、印刷装置242を備えている。印刷装置242は省略してもよい。
【0072】
動作制御部
133は、記憶装置210に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。すなわち、動作制御部
133は、基板回転機構10に指令を与えて、基板の裏側面を保持し、該基板を回転させるステップと、研磨ヘッド50に連結されたヘッドモータM1に指令を与えて、研磨ヘッド50に取り付けられた研磨具(研磨テープ61または研磨パッド90)を回転させるステップと、研磨ヘッド50に連結されたアクチュエータ57に指令を与えて、研磨具が、配線パターンが形成される基板の表側面に押し付けられるように研磨ヘッド50に下向きの荷重を付与するステップを実行する。これらステップを動作制御部133に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して動作制御部133に提供される。または、プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して動作制御部133に提供されてもよい。
【0073】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。