特許第6882267号(P6882267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882267ラクトアミド系溶媒を用いて膜を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882267
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ラクトアミド系溶媒を用いて膜を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/28 20060101AFI20210524BHJP
   B01D 71/34 20060101ALI20210524BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20210524BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C08J9/28 101
   C08J9/28CEW
   C08J9/28CEZ
   B01D71/34
   B01D71/68
   C02F1/44 G
   C02F1/44 H
   C02F1/44 K
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-514379(P2018-514379)
(86)(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公表番号】特表2018-530648(P2018-530648A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016071064
(87)【国際公開番号】WO2017045985
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】15185604.4
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー グローンヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】フランク リッティヒ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヘイネン
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ウアヒ
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−211231(JP,A)
【文献】 特開平06−218253(JP,A)
【文献】 特開2012−143749(JP,A)
【文献】 特開2011−200799(JP,A)
【文献】 特開2005−042074(JP,A)
【文献】 特表2010−514869(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101851865(CN,A)
【文献】 特開2015−051639(JP,A)
【文献】 特表2009−534302(JP,A)
【文献】 特表2012−505828(JP,A)
【文献】 Noel,T,Green is the future of chemistry;report of Taminco's second Green Footsteps Event at the i-SUP2012,Green Process Synth,2012年,vol.1,p.399-401
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
B01D 53/22,61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)少なくとも1種のポリマーPおよび溶媒Sを含むドープ溶液Dを準備する工程、ここで、前記少なくとも1種のポリマーPは、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)ポリエーテルスルホン(PESU)及びそれらの混合物からなる群から選択され、ならびに
b)少なくとも1種の凝固剤Cを前記ドープ溶液Dに添加し、該ドープ溶液Dから前記少なくとも1種のポリマーPを凝固させて、膜Mを得る工程
を含む、膜Mを製造するための方法であって、
前記溶媒Sは、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロパンアミドまたはN,N−ジエチル−2−ヒドロキシプロパンアミドである、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の凝固剤Cは、水または水蒸気を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ドープ溶液Dは、(該ドープ溶液を基準として)0.1質量%から10質量%までの、ポリビニルピロリドン及びポリアルキレンオキシドから選択される添加剤をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程a)およびb)の後に、前記膜を酸化処理に供する、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記膜Mは、限外ろ過膜、精密ろ過膜または逆浸透膜もしくは正浸透膜の構成要素である、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により得られる膜。
【請求項7】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により得られる膜の、水処理用途、工業廃水または都市廃水の処理、海水または汽水の淡水化、透析、原形質分離、食品加工のための使用。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により得られる膜を含む膜要素。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により得られる膜を含む膜モジュール。
【請求項10】
請求項記載の膜モジュールまたは請求項記載の膜要素を含むろ過系。
【請求項11】
工程a)およびb)の後に、前記膜を水で洗浄する工程をさらに含む請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の工程:
a)少なくとも1種のポリマーPおよび少なくとも1種の溶媒Sを含むドープ溶液Dを準備する工程、
b)少なくとも1種の凝固剤Cを前述のドープ溶液Dに添加し、前述のドープ溶液Dから前述の少なくとも1種のポリマーPを凝固させて、膜Mを得る工程
を含む、膜Mを製造するための方法であって、
前述の少なくとも1種の溶媒Sは、50質量%超の式(I)
【化1】
[式中、R1およびR2は、無関係にC1〜C20アルキルであり、
3は、Hまたは脂肪族基から選択され、
4は、Hまたは脂肪族基から選択され、
AOは、少なくとも1種のアルキレンオキシドを表し、
nは、0から100までの数である]
による少なくとも1種の化合物を含む、方法に関する。
【0002】
さらに、そのような方法で得られる膜、およびそのような膜の使用に関する。
【0003】
さまざまな種類の膜は、多くの技術分野においてますます重要な役割を果たしている。特に、水の処理方法は、ますます膜技術に依存している。
【0004】
改善された分離特性を有する膜が必要である。
【0005】
したがって、本発明の課題は、改善された透過性および分離性能を有する膜を提供することであった。
【0006】
前述の課題は、請求項1に記載の方法により解決された。
【0007】
本出願の文脈において、膜は、2つの流体を分離するか、または分子および/もしくはイオン成分もしくは粒子を液体と分離することができる薄い半透過性の構造体であると理解されるものとする。膜は、選択的障壁として作用し、一部の粒子、物質または化学物質を通過させる一方、その他のものを保持する。
【0008】
例えば、膜Mは、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノろ過(NF)膜、限外ろ過(UF)膜または精密ろ過(MF)膜であってよい。これらの膜の種類は、当技術分野で一般に知られており、以下でさらに説明される。
【0009】
FO膜は、通常、海水、汽水、下水または汚泥流の処理に好適である。したがって、純水は、それらの流からFO膜を通して、高い浸透圧を有する膜の裏側のいわゆる駆動溶液に除去される。
【0010】
好ましい実施形態では、好適なFO膜は、薄膜複合(TFC)FO膜である。薄膜複合膜の作製方法および使用は、基本的に公知であり、例えばR. J. PetersenによりJournal of Membrane Science 83(1993)81〜150に記載されている。
【0011】
特に好ましい実施形態では、好適なFO膜は、織物層、支持層、分離層および任意に保護層を有する。前述の保護層は、表面を平滑および/または親水性にするための追加の被覆であると見なすことができる。
【0012】
前述の織物層は、例えば、10μmから500μmまでの厚さを有してよい。前述の織物層は、例えば、織布または不織布、例えばポリエステル不織布であってよい。
【0013】
TFC FO膜の前述の支持層は、通常、例えば0.5nmから100nmまで、好ましくは1nmから40nmまで、より好ましくは5nmから20nmまでの平均細孔直径を有する細孔を有する。前述の支持層は、例えば、5μmから1000μmまで、好ましくは10μmから200μmまでの厚さを有してよい。前述の支持層は、例えば、主成分としてポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリニフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリイミドウレタンまたはセルロースアセテートを含む。本発明による方法は、FO膜の支持層の製造に特に好適である。
【0014】
1つの実施形態では、FO膜は、主成分として、少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースナイトレート、再生セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族/脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族/脂肪族ポリイミドまたは脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族ポリイミドウレタン、芳香族/脂肪族ポリイミドウレタンまたは脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族/脂肪族ポリアミドイミドまたは脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミドまたはポリアリーレンエーテル、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)またはポリエーテルスルホン(PESU)、またはそれらの混合物を含む支持層を有する。
【0015】
FO膜の前述の分離層は、例えば、0.05μmから1μmまで、好ましくは0.1μmから0.5μmまで、より好ましくは0.15μmから0.3μmまでの厚さを有してよい。好ましくは、前述の分離層は、例えば、ポリアミドまたはセルロースアセテートを主成分として含んでよい。
【0016】
任意に、TFC FO膜は、30nmから500nmまで、好ましくは100nmから300nmまでの厚さを有する保護層を有してよい。前述の保護層は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含んでよい。1つの実施形態では、保護層は、ハラミン、例えばクロラミンを含む。
【0017】
1つの実施形態では、好適な膜は、本発明による方法により得られる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを含む支持層と、ポリアミドを主成分として含む分離層と、任意に、ポリビニルアルコールを主成分として含む保護層とを有するTFC FO膜である。
【0018】
好ましい実施形態では、好適なFO膜は、ポリアミンおよび多官能性ハロゲン化アシルの縮合から得られる分離層を有する。前述の分離層は、例えば、界面重合法で得ることができる。
【0019】
RO膜は、通常、分子およびイオン、特に一価イオンを除去するのに好適である。一般的に、RO膜は、溶解/拡散機構に基づいて混合物を分離している。
【0020】
好ましい実施形態では、好適な膜は、薄膜複合(TFC)RO膜である。薄膜複合膜の作製方法および使用は、基本的に公知であり、例えばR. J. PetersenによりJournal of Membrane Science 83(1993)81〜150に記載されている。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、好適なRO膜は、織物層、支持層、分離層および任意に保護層を有する。前述の保護層は、表面を平滑および/または親水性にするための追加の被覆であると見なすことができる。
【0022】
前述の織物層は、例えば、10μmから500μmまでの厚さを有してよい。前述の織物層は、例えば、織布または不織布、例えばポリエステル不織布であってよい。
【0023】
TFC RO膜の前述の支持層は、通常、例えば0.5nmから100nmまで、好ましくは1nmから40nmまで、より好ましくは5nmから20nmまでの平均細孔直径を有する細孔を有する。前述の支持層は、例えば、5μmから1000μmまで、好ましくは10μmから200μmまでの厚さを有してよい。前述の支持層は、例えば、主成分として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、PVDF、ポリイミド、ポリイミドウレタンまたはセルロースアセテートを含んでよい。
【0024】
1つの実施形態では、RO膜は、主成分として、ポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースナイトレート、再生セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族/脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族/脂肪族ポリイミドまたは脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族ポリイミドウレタン、芳香族/脂肪族ポリイミドウレタンまたは脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族/脂肪族ポリアミドイミドまたは脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミドまたはポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホンまたはポリエーテルスルホン、またはそれらの混合物を含む支持層を有する。
【0025】
別の好ましい実施形態では、RO膜は、主成分として少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを含む支持層を有する。本発明による方法は、RO膜の支持層を製造するのに特に好適である。
【0026】
前述の分離層は、例えば、0.02μmから1μmまで、好ましくは0.03μmから0.5μmまで、より好ましくは0.05μmから0.3μmまでの厚さを有してよい。好ましくは、前述の分離層は、例えば、ポリアミドまたはセルロースアセテートを主成分として含んでよい。
【0027】
任意に、TFC RO膜は、5nmから500nmまで、好ましくは10nmから300nmまでの厚さを有する保護層を有してよい。前述の保護層は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含んでよい。1つの実施形態では、保護層は、ハラミン、例えばクロラミンを含む。
【0028】
1つの好ましい実施形態では、好適な膜は、ポリエステル不織布と、本発明による方法により得られる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを含む支持層と、ポリアミドを主成分として含む分離層と、任意に、ポリビニルアルコールを主成分として含む保護層とを有するTFC RO膜である。
【0029】
好ましい実施形態では、好適なRO膜は、ポリアミンおよび多官能性ハロゲン化アシルの縮合から得られる分離層を有する。前述の分離層は、例えば、界面重合法で得ることができる。
【0030】
好適なポリアミンモノマーは、第一級アミノ基または第二級アミノ基を有してよく、芳香族であるか(例えば、ジアミノベンゼン、トリアミノベンゼン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,3,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、およびキシレンジアミン)または脂肪族であってよい(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペラジン、およびトリス(2−ジアミノエチル)アミン)。
【0031】
好適な多官能性ハロゲン化アシルとしては、塩化トリメソイル(TMC)、塩化トリメリット酸、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイルおよび類似の化合物または好適なハロゲン化アシルのブレンドが挙げられる。さらなる例として、第二のモノマーは、ハロゲン化フタロイルであってよい。
【0032】
本発明の1つの実施形態では、ポリアミドの分離層は、メタ−フェニレンジアミンMPDの水溶液と塩化トリメソイル(TMC)との非極性溶媒中での反応で作られる。
【0033】
NF膜は、通常、多価イオンおよび多量の一価イオンを除去するのに好適である。一般的に、NF膜は、溶解/拡散または/およびろ過に基づく機構によって機能する。
【0034】
NF膜は、通常、交差流ろ過法で使用される。
【0035】
1つの実施形態では、NF膜は、主成分として、少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースナイトレート、再生セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族/脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族/脂肪族ポリイミドまたは脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族ポリイミドウレタン、芳香族/脂肪族ポリイミドウレタンまたは脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族/脂肪族ポリアミドイミドまたは脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミドまたはポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホンまたはポリエーテルスルホン、またはそれらの混合物を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態では、NF膜は、主成分として、少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを含む。
【0037】
特に好ましい実施形態では、NF膜の主成分は、正または負に帯電している。
【0038】
ナノろ過膜は、しばしば、スルホン酸基、カルボン酸基および/またはアンモニウム基を含む帯電ポリマーを、本発明によるブロックコポリマーと組み合わせて含む。
【0039】
別の実施形態では、NF膜は、主成分として、ポリアミド、ポリイミドまたはポリイミドウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)を含む。
【0040】
UF膜は、通常、例えば10000Daを上回る高分子量の懸濁固体粒子および溶質を除去するのに好適である。特に、UF膜は、通常、細菌およびウィルスを除去するのに好適である。
【0041】
UF膜は、通常、2nmから50nmまで、好ましくは5nmから40nmまで、より好ましくは5nmから20nmまでの平均細孔直径を有する。
【0042】
1つの実施形態では、UF膜は、主成分として、少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースナイトレート、再生セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族/脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族/脂肪族ポリイミドまたは脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンPTFE、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族ポリイミドウレタン、芳香族/脂肪族ポリイミドウレタンまたは脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族/脂肪族ポリアミドイミドまたは脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミドまたはポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホンまたはポリエーテルスルホン、またはそれらの混合物を含む。
【0043】
本発明の別の実施形態では、UF膜は、主成分として、少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを含む。
【0044】
「ポリスルホン」、「ポリエーテルスルホン」および「ポリフェニレンスルホン」は、芳香族部分のいくつかにスルホン酸および/またはスルホン酸の塩を含むそれぞれのポリマーを含むものとする。
【0045】
1つの実施形態では、UF膜は、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種の部分スルホン化ポリスルホン、部分スルホン化ポリフェニレンスルホンおよび/または部分スルホン化ポリエーテルスルホンを含む。1つの実施形態では、UF膜は、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種の部分スルホン化ポリフェニレンスルホンを含む。
【0046】
「アリーレンエーテル」、「ポリスルホン」、「ポリエーテルスルホン」および「ポリフェニレンスルホン」は、それぞれのアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンまたはポリフェニレンスルホンのブロックならびにその他のポリマーブロックを含むブロックポリマーを含むものとする。
【0047】
1つの実施形態では、UF膜は、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のアリーレンエーテルおよび少なくとも1種のポリアルキレンオキシドの少なくとも1種のブロックコポリマーを含む。1つの実施形態では、UF膜は、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のポリスルホンまたはポリエーテルスルホンおよび少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドの少なくとも1種のブロックコポリマーを含む。
【0048】
1つの実施形態では、UF膜は、さらなる添加剤、例えばポリビニルピロリドンまたはポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドを含む。
【0049】
好ましい実施形態では、UF膜は、主成分として、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホンまたはポリエーテルスルホンを、添加剤、例えばポリビニルピロリドンと組み合わせて含む。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、UF膜は、99.9質量%から50質量%までのポリエーテルスルホンおよび0.1質量%から50質量%までのポリビニルピロリドンの組み合わせを含む。
【0051】
別の実施形態では、UF膜は、95質量%から80質量%までのポリエーテルスルホンおよび5質量%から15質量%までのポリビニルピロリドンを含む。
【0052】
本発明の1つの実施形態では、UF膜は、渦巻き膜として、ピローまたは平板膜として存在している。
【0053】
本発明の別の実施形態では、UF膜は、管状膜として存在している。
【0054】
本発明の別の実施形態では、UF膜は、中空糸膜または毛細管として存在している。
【0055】
本発明のさらに別の実施形態では、UF膜は、シングルボア(single bore)中空糸膜として存在している。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態では、UF膜は、マルチボア(multibore)中空糸膜として存在している。
【0057】
多重チャネル膜は、マルチボア膜とも呼ばれ、1個超の長手方向のチャネルを含み、単に「チャネル」とも呼ばれる。
【0058】
好ましい実施形態では、チャネルの数は、一般的に2から19までである。1つの実施形態では、多重チャネル膜は、2個または3個のチャネルを有する。別の実施形態では、多重チャネル膜は、5個から9個までのチャネルを有する。1つの好ましい実施形態では、多重チャネル膜は、7個のチャネルを有する。
【0059】
別の実施形態では、チャネルの数は、20から100までである。
【0060】
「ボア」とも呼ばれるそのようなチャネルの形状は、異なるものであってよい。1つの実施形態では、そのようなチャネルは、実質的に円形の直径を有する。別の実施形態では、そのようなチャネルは、実質的に楕円形の直径を有する。さらに別の実施形態では、チャネルは、実質的に長方形の直径を有する。
【0061】
いくつかの場合では、そのようなチャネルの実際の形態は、理想的な円形、楕円形または長方形の形態から逸脱してよい。
【0062】
通常、そのようなチャネルは、0.05mmから3mmまで、好ましくは0.5mmから2mmまで、より好ましくは0.9mmから1.5mmまでの直径(実質的に円形の直径の場合)、それよりも小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)またはそれよりも小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。別の好ましい実施形態では、そのようなチャネルは、0.2mmから0.9mmまでの範囲の直径(実質的に円形の直径の場合)、その範囲よりも小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)またはその範囲よりも小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。
【0063】
実質的に長方形の形状を有するチャネルの場合、これらのチャネルは、連続して配置されてよい。
【0064】
実質的に円形の形状を有するチャネルの場合、これらのチャネルは、好ましい実施形態では、中央のチャネルが、他のチャネルに取り囲まれるように配置される。1つの好ましい実施形態では、膜は、1個の中央のチャネルと、その中央のチャネルの周りに環状に配置された例えば4個、6個または18個のさらなるチャネルを有する。
【0065】
そのような多重チャネル膜における壁厚は、通常、最も薄い場所で0.02mmから1mmまで、好ましくは30μmから500μmまで、より好ましくは100μmから300μmまでである。
【0066】
通常、本発明による膜および担体膜は、実質的に円形、楕円形または長方形の直径を有する。好ましくは、本発明による膜は、実質的に円形である。
【0067】
1つの好ましい実施形態では、本発明による膜は、2mmから10mmまで、好ましくは3mmから8mmまで、より好ましくは4mmから6mmまでの直径(実質的に円形の直径の場合)、それよりも小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)またはそれよりも小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。
【0068】
別の好ましい実施形態では、本発明による膜は、2mmから4mmまでの直径(実質的に円形の直径の場合)、それよりも小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)またはそれよりも小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。
【0069】
1つの実施形態では、排除層は、前述の多重チャネル膜の各チャネルの内側に位置している。
【0070】
1つの実施形態では、マルチボア膜のチャネルは、担体膜の細孔径と異なる細孔径を有する活性層または活性層を形成する被覆層を組み込んでよい。被覆層に好適な材料は、ポリオキサゾリン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ヒドロゲル、ポリアミド、両性イオン性のブロックコポリマー、例えばスルホベタインまたはカルボキシベタインである。活性層は、10nmから500nmまで、好ましくは50nmから300nmまで、より好ましくは70nmから200nmまでの範囲の厚さを有してよい。
【0071】
1つの実施形態では、マルチボア膜は、0.2μmから0.01μmの間の細孔径で設計される。そのような実施形態では、毛細管の内径は、0.1mmから8mmの間、好ましくは0.5mmから4mmの間、特に好ましくは0.9mmから1.5mmの間であってよい。マルチボア膜の外径は、例えば、1mmから26mmの間、好ましくは2.3mmから14mmの間、特に好ましくは3.6mmから6mmの間であってよい。さらに、マルチボア膜は、2個から94個まで、好ましくは3個から19個まで、特に好ましくは3個から14個までのチャネルを有してよい。しばしば、マルチボア膜は、7個のチャネルを有する。透過性の範囲は、例えば、100L/m2hbarから10000L/m2hbarの間、好ましくは300L/m2hbarから2000L/m2hbarの間であってよい。
【0072】
一般的に、前述の種類のマルチボア膜は、数個の中空針を備える押出ノズルを通して凝固させた後に半透過性膜を形成するポリマーを押し出すことによって製造される。凝固液は、押出中に中空針を通して、押し出されたポリマーに注入されるため、押出方向に伸びる平行な連続チャネルが、押し出されたポリマー中に形成される。好ましくは、押し出された膜の外表面上の細孔径は、押出ノズルを離れた後に外表面が弱い凝固剤と接触されることによって制御され、その結果、形状は、外表面上に活性層がない状態で固定され、その後、膜は、強い凝固剤と接触される。結果として、チャネルの内側の活性層と外表面とを有する膜を得ることができ、その膜は、液体の流れに対して抵抗を示さないか、またはほとんど示さない。ここで、好適な凝固剤として、溶媒および/または非溶媒が挙げられる。凝固の強さは、非溶媒/溶媒の組み合わせおよび比率によって調節することができる。凝固溶媒は、当業者に公知であり、ルーティン実験により調節することができる。溶媒系凝固剤の一例は、N−メチルピロリドンである。非溶媒系凝固剤は、例えば水、イソプロパノールおよびプロピレングリコールである。
【0073】
MF膜は、通常、0.1μm以上の粒径を有する粒子を除去するのに好適である。
【0074】
MF膜は、通常、0.05μmから10μmまで、好ましくは1.0μmから5μmまでの平均細孔直径を有する。
【0075】
精密ろ過は、加圧系を使用してよいが、加圧を含む必要はない。
【0076】
MF膜は、毛細管、中空糸、平板、管、渦巻き、ピロー、中空細繊維またはトラックエッチであってよい。それらは、多孔質であり、水、一価の種(Na+、Cl-)、溶解性有機物、小コロイドおよびウィルスを通過させるが、粒子、沈殿物、藻類または大型細菌を保持する。
【0077】
精密ろ過系は、最大2%から3%までの濃度の供給溶液中で、0.1マイクロメートルまでのサイズの浮遊物質を除去するように設計されている。
【0078】
1つの実施形態では、MF膜は、主成分として、少なくともポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースナイトレート、再生セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族/脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族/脂肪族ポリイミドまたは脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンPTFE、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族ポリイミドウレタン、芳香族/脂肪族ポリイミドウレタンまたは脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族/脂肪族ポリアミドイミドまたは脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミドまたはポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホンまたはポリエーテルスルホン、またはそれらの混合物を含む。
【0079】
本発明の別の実施形態では、MF膜は、主成分として少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを含む。
【0080】
1つの実施形態では、MF膜は、主成分として、少なくとも1種の部分スルホン化ポリスルホン、部分スルホン化ポリフェニレンスルホンおよび/または部分スルホン化ポリエーテルスルホンを含む。1つの実施形態では、MF膜は、主成分として少なくとも1種の部分スルホン化ポリフェニレンスルホンを含む。
【0081】
1つの実施形態では、MF膜は、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のアリーレンエーテルおよび少なくとも1種のポリアルキレンオキシドの少なくとも1種のブロックコポリマーを含む。1つの実施形態では、MF膜は、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のポリスルホンまたはポリエーテルスルホンおよび少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドの少なくとも1種のブロックコポリマーを含む。
【0082】
膜Mは、工程a)において、少なくとも1種のポリマーPおよび少なくとも1種の溶媒Sを含むドープ溶液Dを準備することにより作製される。
【0083】
好適なポリマーPは、基本的に、膜または膜の一部、例えばRO膜もしくはFO膜の担体膜を製造するのに好適なあらゆるポリマーである。
【0084】
好ましくは、ポリマーPは、ポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースナイトレート、再生セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族/脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族/脂肪族ポリイミドまたは脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族ポリイミドウレタン、芳香族/脂肪族ポリイミドウレタンまたは脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族/脂肪族ポリアミドイミドまたは脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミドまたはポリアリーレンエーテル、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)またはポリエーテルスルホン(PESU)、またはそれらの混合物から選択される。
【0085】
より好ましくは、ポリマーPは、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)またはポリアリーレンエーテル、例えばポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)またはポリエーテルスルホン(PESU)、またはそれらの混合物から選択される。
【0086】
1つの実施形態では、膜Mは、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のポリマーPを含み、それは、部分スルホン化ポリスルホン、部分スルホン化ポリフェニレンスルホンおよび/または部分スルホン化ポリエーテルスルホンである。1つの実施形態では、膜Mは、主成分として、少なくとも1種の部分スルホン化ポリフェニレンスルホンを含む。
【0087】
1つの実施形態では、膜Mは、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のポリマーPを含み、それは、少なくとも1種のアリーレンエーテルおよび少なくとも1種のポリアルキレンオキシドのブロックコポリマーである。1つの実施形態では、膜Mは、主成分としてか、または添加剤として、少なくとも1種のポリスルホンまたはポリエーテルスルホンおよび少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドの少なくとも1種のブロックコポリマーを含む。
【0088】
1つの実施形態では、ポリマーPは、ポリアリーレンエーテルである。
【0089】
好適なポリアリーレンエーテルは、当業者に公知であり、一般式IV
【化2】
[以下の定義を有する:
t、q:互いに無関係に0、1、2または3であり、
Q、T、Y:互いに無関係に化学結合または−O−、−S−、−SO2−、S=O、C=O、−N=N−、−CRab−から選択される群であり、ここで、RaおよびRbは、互いに無関係に水素原子またはC1〜C12−アルキル基、C1〜C12−アルコキシ基またはC6〜C18−アリール基であり、ここで、Q、TおよびYの少なくとも1つは、−O−ではなく、Q、TおよびYの少なくとも1つは、−SO2−であり、
Ar、Ar1:互いに無関係に、6個から18個までの炭素原子を有するアリーレン基である]
のポリアリーレンエーテル単位から構成されてよい。
【0090】
ポリアリーレンエーテルは、一般的に、双極性非プロトン性溶媒中で高温にて好適な出発化合物の重縮合により作製される(例えば、R.N. Johnson et al., J. Polym. Sci. A−1 5 (1967) 2375, J.E. McGrath et al., Polymer 25 (1984) 1827を参照)。
【0091】
好適なポリアリーレンエーテルは、構造X−Ar−Yの少なくとも1種の出発化合物(M1)と、構造HO−Ar1−OHの少なくとも1種の出発化合物(M2)とを、溶媒(L)および塩基(B)の存在下に反応させることによって準備することができ、ここで、
・Yは、ハロゲン原子であり、
・Xは、ハロゲン原子およびOHから、好ましくはハロゲン原子、特にF、ClまたはBrから選択され、ならびに
・ArおよびAr1は、互いに無関係に、6個から18個までの炭素原子を有するアリーレン基である。
【0092】
1つの実施形態では、前述の定義を有する一般式IVの単位から形成されるポリアリーレンエーテルは、溶媒(L)の存在下に準備される:
【化3】
【0093】
Q、TまたはYが、上記前提条件で、化学結合である場合、これは、左に隣接する基および右に隣接する基が、化学結合を介して互いに直接結合していることを意味すると理解される。
【0094】
好ましくは、式(IV)中のQ、TおよびYは、しかし、無関係に−O−および−SO2−から選択されるが、ただし、Q、TおよびYからなる群の少なくとも1つは、−SO2−である。
【0095】
Q、TまたはYが、−CRab−である場合、RaおよびRbは、互いに無関係に水素原子またはC1〜C12−アルキル基、C1〜C12−アルコキシ基またはC6〜C18−アリール基である。
【0096】
好ましくは、C1〜C12−アルキル基は、1個から12個までの炭素原子を有する、直鎖状および分岐鎖状の飽和アルキル基を含む。特に好ましくは、C1〜C12−アルキル基は:C1〜C6−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−メチルペンチルまたは3−メチルペンチル、および長鎖基、例えば非分岐鎖のヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、およびそれらの単一分岐または多分岐の類似物である。
【0097】
上記の使用に適したC1〜C12−アルコキシ基における有用なアルキル基としては、上で定義された1個から12個までの炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。好ましくは使用に適したシクロアルキル基は、特にC3〜C12−シクロアルキル基を含み、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロペンチルブチル、シクロペンチルペンチル、シクロペンチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルジメチル、シクロヘキシルトリメチルを含む。
【0098】
ArおよびAr1は、互いに無関係にC6〜C18−アリーレン基である。以下に記載の出発材料から出発して、Arは、好ましくは電子が豊富な芳香族物質から誘導されており、それは、好ましくはヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、および4,4’−ビスフェノールからなる群から選択される。Ar1は、好ましくは非置換のC6−アリーレン基またはC12−アリーレン基である。
【0099】
有用なC6〜C18−アリーレン基ArおよびAr1は、特にフェニレン基、例えば1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび1,4−フェニレン、ナフチレン基、例えば1,6−ナフチレン、1,7−ナフチレン、2,6−ナフチレンおよび2,7−ナフチレン、ならびにアントラセン、フェナントレンおよびナフタセンから誘導されるアリーレン基である。
【0100】
好ましくは、式(IV)の好ましい実施形態におけるArおよびAr1は、互いに無関係に、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、および4,4’−ビスフェニレンからなる群から選択される。
【0101】
ポリアリーレンエーテル内に好ましくは存在する単位は、以下の繰り返し構造単位IVaからIVoまでの少なくとも1つを含む単位である:
【化4-1】
【化4-2】
【0102】
好ましくは存在する単位IVaからIVoまでの他に、1つ以上の1,4−ジヒドロキシフェニル単位が、レソルシノール単位またはジヒドロキシナフタレン単位に置き換えられる単位も好ましい。
【0103】
特に好ましくは、一般式IIの単位は、単位IVa、IVgおよびIVkである。ポリアリーレンエーテルAが、実質的に一般式IVの1種類の単位から、特にIVa、IVgおよびIVkから選択される1つの単位から形成される場合も特に好ましい。
【0104】
特に好ましい実施形態では、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=SO2、およびY=SO2である。そのようなポリアリーレンエーテルは、ポリエーテルスルホン(PSU)と呼ばれる。
【0105】
好適なポリアリーレンエーテルAは、好ましくは、2000g/molから70000g/molまで、特に好ましくは5000g/molから40000g/molまで、殊に好ましくは7000g/molから30000g/molまでの範囲の平均分子量Mn(数平均)を有する。ポリアリーレンエーテルの平均分子量は、H.G. Eliasにより「An Introduction to Polymer Science」VCH Weinheim,1997,125ページに記載の通り、ポリアリーレンエーテルを形成するモノマーの比率によって制御および計算することができる。
【0106】
好適な出発化合物は、当業者に公知であり、かついかなる基本的制約も受けないが、ただし、言及された置換基は、求核芳香族置換内で充分に反応性がある。
【0107】
好ましい出発化合物は、二官能性である。「二官能性」とは、求核芳香族置換において反応性である基の数が、出発化合物1つにつき2個であることを意味する。好適な二官能性の出発化合物のさらなる基準は、以下に詳細に説明する通り、溶媒中での充分な溶解性である。
【0108】
モノマー出発化合物が好ましく、このことは、反応が、好ましくは、モノマーから出発して行われ、プレポリマーから出発しないことを意味する。
【0109】
使用される出発化合物(M1)は、好ましくはジハロジフェニルスルホンである。使用される出発化合物(M2)は、好ましくはジヒドロキシジフェニルスルホンである。
【0110】
好適な出発化合物(M1)は、特にジハロジフェニルスルホン、例えば4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、2,2’−ジクロロジフェニルスルホンおよび2,2’−ジフルオロジフェニルスルホンであり、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンおよび4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンが特に好ましい。
【0111】
好ましい化合物(M2)は、相応して2個のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物である。
【0112】
フェノール性OH基は、好ましくは、出発化合物(M1)のハロゲン置換基に対する反応性を高めるために、塩基の存在下に反応される。
【0113】
2個のフェノール性ヒドロキシル基を有する好ましい出発化合物(M2)は、以下の化合物から選択される:
・ジヒドロキシベンゼン、特にヒドロキノンおよびレソルシノール;
・ジヒドロキシナフタレン、特に1,5−ジヒドロキシナフタレン、
・1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、および
・2,7−ジヒドロキシナフタレン;ジヒドロキシビフェニル、特に4,4’−ビフェノール
・および2,2’−ビフェノール;ビスフェニルエーテル、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル
・およびビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビスフェニルプロパン、特に
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
・および2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
・ビスフェニルメタン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;
・ビスフェニルスルホン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;
・ビスフェニルスルフィド、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
・ビスフェニルケトン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン;
・ビスフェニルヘキサフルオロプロパン、特に2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;および
・ビスフェニルフルオレン、特に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;
・1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン(ビスフェノールTMC)。
【0114】
上述の芳香族ジヒドロキシ化合物(M2)から出発して、塩基(B)の添加により、それらの二カリウム塩または二ナトリウム塩を作製し、かつそれらを出発化合物(M1)と反応させることが好ましい。上述の化合物は、さらに、個々に使用されるか、または上述の化合物の2つ以上の組み合わせとして使用されてよい。
【0115】
ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび4,4’−ビスフェノールは、出発化合物(M2)として特に好ましい。
【0116】
しかし、三官能性の化合物を使用することも可能である。この場合、分岐鎖状の構造がもたらされる。三官能性の出発化合物(M2)が使用される場合、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0117】
使用される比率は、基本的に、塩化水素の理論的除去で進行する重縮合反応の化学量論から導き出され、当業者により公知の方法で確立されている。
【0118】
好ましくは、重縮合における転化率は、少なくとも0.9であり、充分に高い分子量を保証する。
【0119】
本発明の文脈において好ましい溶媒(L)は、有機、特に非プロトン性極性溶媒である。好適な溶媒はまた、80℃から320℃まで、特に100℃から280℃まで、殊に150℃から250℃までの範囲の沸点を有する。好適な非プロトン性極性溶媒は、例えば、高沸点エーテル、エステル、ケトン、不斉ハロゲン化炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンおよび/またはN−エチル−2−ピロリドンである。それらの溶媒の混合物を使用することも可能である。
【0120】
好ましい溶媒は、特にN−メチル−2−ピロリドンおよび/またはN−エチル−2−ピロリドンである。
【0121】
好ましくは、出発化合物(M1)および(M2)は、言及された非プロトン性極性溶媒(L)、特にN−メチル−2−ピロリドン中で反応される。
【0122】
好ましい実施形態では、出発化合物(M1)および(M2)は、塩基(B)の存在下で反応される。塩基は、好ましくは無水物である。好適な塩基は、特にアルカリ金属無水物および/またはアルカリ土類金属炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムまたはそれらの混合物であり、炭酸カリウム、特にN−メチル−2−ピロリドンの懸濁液中で粒径測定装置で測定して、200マイクロメートル未満の体積加重平均粒径を有する炭酸カリウムがきわめて特に好ましい。
【0123】
特に好ましい組み合わせは、溶媒(L)であるN−メチル−2−ピロリドンおよび塩基(B)である炭酸カリウムである。
【0124】
好適な出発化合物(M1)と(M2)の反応は、80℃から250℃まで、好ましくは100℃から220℃までの温度で行われ、上限温度は、溶媒の沸点により決定される。
【0125】
反応は、好ましくは、2時間から12時間まで、特に3時間から8時間までの時間間隔内で行われる。
【0126】
特に好適な出発材料、塩基、溶媒、関係するすべての化合物の比率、反応時間および反応パラメーター、例えば温度および圧力ならびに好適な後処理方法は、米国特許第4,870,153号明細書(US4,870,153)、第4欄11行目〜第17欄64行目、欧州特許出願公開第113112号明細書(EP113112)、6ページ1行目〜9ページ14行目、欧州特許出願公開第297363号明細書(EP-A297363)、10ページ38行目〜11ページ24行目、欧州特許出願公開第135130号明細書(EP-A135130)、1ページ37行目〜4ページ20行目に開示されており、参照によって本願に組み込まれる。
【0127】
1つの特に好ましい実施形態では、ポリマーPは、ポリエーテルスルホンである。
【0128】
1つの特に好ましい実施形態では、ポリマーPは、ポリスルホンである。
【0129】
1つの特に好ましい実施形態では、ポリマーPは、ポリフェニレンスルホンである。
【0130】
1つの実施形態では、ポリマーPは、ポリエーテルスルホンおよび、ポリエーテルスルホンブロックとポリアルキレンオキシドブロックとを含むブロックコポリマーの混合物である。
【0131】
本発明によれば、前述の少なくとも1種の溶媒Sは、50質量%超、好ましくは70質量%超、より好ましくは90質量%超、特に好ましくは95質量%超の式(I)
【化5】
[式中、R1およびR2は、無関係にC1〜C20アルキルであり、
3は、Hまたは脂肪族基から選択され、
4は、Hまたは脂肪族基から選択され、
AOは、少なくとも1種のアルキレンオキシドを表し、
nは、0から100までの数である]
による少なくとも1種の化合物を含む。
【0132】
好ましくは、R1およびR2は、無関係にC1〜C4アルキルから選択される。
【0133】
1つの実施形態では、R1およびR2は、メチルである。
【0134】
1つの実施形態では、R1およびR2は、エチルである。
【0135】
好ましくは、R3は、C1〜C4アルキルから選択される。
【0136】
1つの実施形態では、R3は、メチルである。
【0137】
1つの実施形態では、R3は、エチルである。
【0138】
好ましくは、R4は、HまたはC1〜C20アルキルであり、より好ましくは、HまたはC1〜C12アルキルであり、さらにより好ましくは、HまたはC1〜C4アルキルである。
【0139】
1つの実施形態では、R4は、メチルである。
【0140】
1つの実施形態では、R4は、エチルである。
【0141】
1つの実施形態では、R4は、プロピルである。
【0142】
1つの実施形態では、R4は、ブチルである。
【0143】
1つの実施形態では、アルキレンオキシドAOは、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、1,2−ブチレンオキシドまたはテトラヒドロフランからなる群から選択される1種以上のアルキレンオキシドAOである。
【0144】
ここで、アルキレンオキシドAOを含む溶媒Sが参照される場合、これは、前述のアルキレンオキシドが分子に開環形態で含まれることを意味する。
【0145】
1つの実施形態では、アルキレンオキシドAOは、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH2−CH(CH2−CH3)−O−または−(CH24−O−からなる群から選択される1種以上のアルキレンオキシドAOである。
【0146】
1つの実施形態では、溶媒Sは、2種以上のアルキレンオキシドAOをブロックコポリマーとして含む。
【0147】
1つの実施形態では、溶媒Sは、2種以上のアルキレンオキシドAOをランダムポリマーとして含む。
【0148】
1つの実施形態では、式IにおけるアルキレンオキシドAOは、EOのホモポリマーである。
【0149】
1つの実施形態では、式IにおけるアルキレンオキシドAOは、POのホモポリマーである。
【0150】
1つの実施形態では、式IにおけるアルキレンオキシドAOは、EOおよびPOのコポリマーである。
【0151】
1つの実施形態では、式IにおけるアルキレンオキシドAOは、EOおよびPOのブロックコポリマーである。
【0152】
1つの実施形態では、式IにおけるアルキレンオキシドAOは、ポリエチレンオキシド(PEO)−ポリプロピレンオキシド(PPO)−PEOの構造のブロックコポリマーである。
【0153】
1つの実施形態では、式IにおけるアルキレンオキシドAOは、EOおよびPOのランダムコポリマーである。
【0154】
「n」は、0から100まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から10まで、さらにより好ましくは0から3までの数である。
【0155】
1つの実施形態では、「n」は、1から100まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは1から10まで、さらにより好ましくは1から3までの数である。
【0156】
1つの実施形態では、溶媒Sは、50質量%超の式(II)
【化6】
による少なくとも1種の化合物を含む。
【0157】
好ましくは、R1およびR2は、無関係にC1〜C4アルキルから選択される。
【0158】
1つの実施形態では、R1およびR2は、メチルである。
【0159】
1つの実施形態では、R1およびR2は、エチルである。
【0160】
好ましくは、R3は、C1〜C4アルキルから選択される。
【0161】
1つの実施形態では、R3は、メチルである。
【0162】
1つの実施形態では、R3は、エチルである。
【0163】
好ましくは、R4は、HまたはC1〜C20アルキル、さらに好ましくは、HまたはC1〜C12アルキル、さらにより好ましくは、HまたはC1〜C4アルキルである。
【0164】
1つの実施形態では、R4は、メチルである。
【0165】
1つの実施形態では、R4は、エチルである。
【0166】
1つの実施形態では、R4は、プロピルである。
【0167】
1つの実施形態では、R4は、ブチルである。
【0168】
1つの実施形態では、溶媒Sは、50質量%超の式(III)
【化7】
による少なくとも1種の化合物を含む。
【0169】
好ましくは、R1およびR2は、無関係にC1〜C4アルキルから選択される。
【0170】
1つの実施形態では、R1およびR2は、メチルである。
【0171】
1つの実施形態では、R1およびR2は、エチルである。
【0172】
好ましくは、R3は、C1〜C4アルキルから選択される。
【0173】
1つの実施形態では、R3は、メチルである。
【0174】
1つの実施形態では、R3は、エチルである。
【0175】
好ましい実施形態では、前述の少なくとも1種の溶媒Sは、50質量%超、好ましくは70質量%超、より好ましくは90質量%超、特に好ましくは95質量%超のN,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロパンアミドおよび/またはN,N−ジエチル−2−ヒドロキシプロパンアミドを含む。
【0176】
さらに好ましい実施形態では、前述の少なくとも1種の溶媒Sは、50質量%超、好ましくは70質量%超、より好ましくは90質量%超、特に好ましくは95質量%超のN,N−ジメチル−2−メトキシプロパンアミドおよび/またはN,N−ジエチル−2−メトキシプロパンアミドを含む。
【0177】
式(I)による溶媒と組み合わせて使用するのに好適なさらなる溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびアルコール、好ましくは二価アルコールまたは三価アルコールが挙げられる。好適なアルコールとしては、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、sec−ペンタノール、イソペンタノール、1,2−エタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールが挙げられる。
【0178】
1つの実施形態では、溶媒Sは、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロパンアミドである。
【0179】
1つの実施形態では、溶媒Sは、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシプロパンアミドである。
【0180】
1つの実施形態では、溶媒Sは、N,N−ジメチル−2−メトキシプロパンアミドである。
【0181】
1つの実施形態では、溶媒Sは、N,N−ジエチル−2−メトキシプロパンアミドである。
【0182】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種の溶媒Sは、実質的にジメチル−2−ヒドロキシプロパンアミドからなる。
【0183】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種の溶媒Sは、実質的にジエチル−2−ヒドロキシプロパンアミドからなる。
【0184】
ポリマーPおよび溶媒Sの他に、ドープ溶液Dは、任意に、さらなる添加剤をさらに含んでよい。例えば、ドープ溶液は、第二のドープポリマーDP2をさらに含んでよい。好適な第二のドープポリマーDP2としては、ポリビニルピロリドン、またはポリアルキレンオキシドが挙げられる。
【0185】
好適なポリアルキレンオキシドは、特にジオールのポリエーテルである。好適なポリアルキレンオキシドは、通常、少なくとも1種のアルキレンオキシドの重合により生成される。好適なモノマーアルキレンオキシドは、例えば、1個以上のアルキル基および/またはアリール基を有するエチレンオキシドまたは置換されたエチレンオキシドである。好適なモノマーアルキレンオキシドは、例えば、スチレンオキシドまたはC2〜C20−アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、シクロヘキセンオキシド、ドデセンエポキシド、オクタデセンエポキシドである。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドおよびペンテンオキシドが特に好適であり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが特に好ましい。
【0186】
好適なポリアルキレンオキシドは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0187】
1つの実施形態では、好適なポリアルキレンオキシドは、少なくとも2つの異なるアルキレンオキシドのコポリマーである。1つの実施形態では、好適なポリアルキレンオキシドは、少なくとも2つの異なるアルキレンオキシドのランダムコポリマーである。別の実施形態では、好適なポリアルキレンオキシドは、少なくとも2つの異なるアルキレンオキシドのブロックコポリマーである。
【0188】
1つの好ましい実施形態では、好適なポリアルキレンオキシドは、エチレンオキシド(「ポリエチレンオキシド」)またはプロピレンオキシド(「ポリプロピレンオキシド」)のホモポリマーである。
【0189】
1つの実施形態では、好適なポリアルキレンオキシドは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダムコポリマーである。
【0190】
1つの実施形態では、好適なポリアルキレンオキシドは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである。
【0191】
好適なポリアルキレンオキシドは、直鎖状または分岐鎖状であってよい。ポリアルキレンオキシドの分岐は、例えばエポキシド基およびOH部分またはクロロ部分を有するモノマーをポリアルキレンオキシドに組み込むことによって達成することができる。好ましくは、好適なポリアルキレンオキシドは、直鎖状である。
【0192】
1つの実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックは、1から500までのアルキレンオキシド単位を含む。好ましくは、好適なポリアルキレンオキシドは、2から300まで、より好ましくは3から150まで、さらにより好ましくは5から100まで、特に好ましくは10から80までのアルキレンオキシド単位を含む。
【0193】
1つの実施形態では、第二のドープポリマーDP2は、100,000g/mol超の分子量Mwまたは60超のK値を有するポリアルキレンオキシドである(MwおよびK値は、実験の節に記載の通りに測定される)。
【0194】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種のドープポリマーDP2は、100kDaから600kDaまでのモル質量Mwを有するポリアルキレンオキシドである。
【0195】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種のドープポリマーDP2は、100kDaから400kDaまでのモル質量Mwを有する。
【0196】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種のドープポリマーDP2は、300kDaから600kDaまでのモル質量Mwを有する。
【0197】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種のドープポリマーDP2は、60から200までのK値を有するポリアルキレンオキシドである。
【0198】
1つの実施形態では、前述の少なくとも1種のドープポリマーDP2は、80から120までのK値を有するポリアルキレンオキシドである。
【0199】
1つの実施形態では、ドープ溶液Dは、5質量%から30質量%までのポリアリーレンエーテル、例えばポリエーテルスルホンと、1質量%から10質量%までの少なくとも1種の第二のドープポリマーDP2、例えばポリエチレンオキシドまたはポリビニルピロリドンと、60質量%から94質量%までの少なくとも1種の溶媒Sとを含み、ただし、それらの量は合計100%である。
【0200】
上記のドープ溶液は、貯蔵安定性があり、比較的長い期間、例えば1週または1ヶ月にわたって、混濁を示さずに貯蔵することができる。
【0201】
本発明による方法の工程b)では、少なくとも凝固剤Cは、前述のドープ溶液Dに添加される。その結果、前述の少なくとも1種のポリマーPが凝固して、膜Mが得られる。
【0202】
凝固剤Cは、溶媒SよりもポリマーPの溶解性が低い。凝固剤Cは、式(I)による化合物とは異なるものである。
【0203】
好適な凝固剤Cは、例えば、液体の水、水蒸気、アルコールまたはそれらの混合物を含む。1つの実施形態では、凝固剤Cは、液体の水、水蒸気、アルコールまたはそれらの混合物である。
【0204】
好ましくは凝固剤Cとして好適なアルコールは、さらなる官能基、例えばイソプロパノール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールを有していないモノアルカノール、ジアルカノールまたはトリアルカノールである。
【0205】
膜M、特に限外ろ過膜Mの製造としては、しばしば非溶媒誘起相分離(NIPS)が挙げられる。
【0206】
NIPS法では、出発材料として使用されるポリマー(例えばポリビニルピロリドン、ビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、ポリアミドスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびポリテトラフルオロエチレン、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択されるもの;好ましくはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、セルロースアセテートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるもの、特にポリエーテルスルホンを含む)は、少なくとも1種の溶媒Sに、使用される任意の1種以上の添加剤と共に溶解される。次の工程では、多孔質のポリマー膜は、制御条件下に凝固浴中で形成される。ほとんどの場合、凝固浴は水を凝固剤として含むか、または凝固浴は水性媒体であり、ここで、マトリックスを形成するポリマーは、可溶性ではない。ポリマーの曇点は、理想的な三元相図で定義される。二峰性の相分離では、微視的多孔質の構造が次に得られて、水溶性成分(高分子添加剤を含む)は、最終的に水相で見られる。
【0207】
凝固剤および1種以上のマトリックスポリマーと同時に相溶性があるさらなる添加剤、例えば第二のドープポリマーDP2が存在している場合、凝離が表面上で生じる。表面凝離に伴い、特定の添加剤の富化が観察される。したがって、膜表面は、主であるマトリックス形成ポリマーと比べて新規の(親水性)特性を提供し、相分離を誘起する本発明の添加剤の富化は、付着防止性の表面構造をもたらす。
【0208】
膜を作製するための溶液の一般的な作製方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
a)少なくとも1種のポリマーPおよび少なくとも1種の溶媒Sを含むドープ溶液Dを準備する工程、ここで、前述の少なくとも1種の溶媒Sは、50質量%超の式(I)
【化8】
[式中、R1およびR2は、無関係にC1〜C20アルキルであり、
3は、Hまたは脂肪族基から選択され、
4は、Hまたは脂肪族基から選択され、
AOは、1種以上のアルキレンオキシドを表し、
nは、0から100までの数である]
による少なくとも1種の化合物を含み、
a2)さらなる添加剤、例えば細孔を形成する添加剤、例えばPVP、PEG、スルホン化PESUまたはそれらの混合物を添加する工程、
a3)粘性溶液が得られるまで混合物を加熱する工程;一般的にドープ溶液Dの温度は、5℃から250℃まで、好ましくは25℃から150℃まで、より好ましくは50℃から90℃までであり、
a4)混合物が形成されるまで、溶液/懸濁液を1時間から15時間以内で撹拌する工程、一般的に、均質化は2時間以内で終了し、
b)膜ドープを凝固浴に流し込み、膜構造体を得る工程。任意に、流し込みは、膜構造体を機械的に安定化するためのポリマー支持体(不織布)を使用して輪郭にすることができる。
【0209】
1つの実施形態では、中空糸膜またはマルチボア膜(多チャネル中空糸膜)は、数個の中空針を備える押出ノズルを通して凝固した後に半透過性膜を形成するポリマーを押し出すことによって製造される。凝固液体は、押出中に中空針を通して、押し出されたポリマーに注入されるため、押出方向に伸びる平行な連続チャネルが、押し出されたポリマー中に形成される。好ましくは、押し出された膜の外表面上の細孔径は、押出ノズルを離れた後に外表面が弱い凝固剤に接触されることによって制御され、その結果、形状は、外表面上に活性層がない状態で固定され、その後、膜は、強い凝固剤と接触される。結果として、チャネルの内側の活性層と外表面とを有する膜を得ることができ、それは、液体の流れに対して抵抗を示さないか、またはほとんど示さない。ここで、好適な凝固剤としては、溶媒および/または非溶媒が挙げられる。凝固剤の強さは、非溶媒/溶媒の組み合わせおよび比率によって調節することができる。凝固剤は、当業者に公知であり、ルーティン実験により調節することができる。
【0210】
任意に、本発明による方法にさらなる方法工程が続いてよい。例えば、そのような方法は、c)すでに得られた膜を例えば次亜塩素酸ナトリウムを使用して酸化処理する工程を含んでよい。そのような方法は、例えば、I.M.Wienk,E.E.B.Meuleman,Z.Borneman,Th.Van den Boomgaard,C.A.Smoulders,Chemical Treatment of Membranes of a Polymer Blend:Mechanism of the reaction of hypochlorite with poly(vinylpyrrolidone),Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry 1995,33,49〜54に記載されている。
【0211】
本発明による方法は、さらにd)膜を水で洗浄する工程を含んでよい。
【0212】
本発明による方法は、容易かつ経済的に実施することができ、優れた分離特性、機械的安定性およびファウリング特性を有する膜Mの製造を可能にする。
【0213】
膜Mは、優れた分離特性を有する。特に、膜Mは、きわめて良好な分子量カットオフ(MWCO)を有する。好ましい実施形態では、膜Mは、実験の節に記載の通りに測定された、20kDa未満の分子量カットオフを有する。
【0214】
膜Mは、さらに、きわめて良好な透過性を有する。好ましい実施形態では、膜Mは、実験の節に記載の通りに測定されて、200kg/hm2bar、多くの場合230kg/hm2barから740kg/hm2barまでの範囲、好ましくは500kg/hm2bar超の純水透過率(PWP)を有する。
【0215】
膜Mは、きわめて良好なファウリング特性を有し、かつほんのわずかなファウリングおよびバイオファウリングしか示さない。
【0216】
膜Mは、貯蔵安定性があり、耐用年数が長い。
【0217】
本発明の別の態様は、上に記載される本発明による方法を用いて得られる膜である。
【0218】
本発明の別の態様は、膜Mの使用である。
【0219】
好ましい実施形態では、膜Mは、海水または汽水または地表水の処理に使用される。
【0220】
本発明の1つの好ましい実施形態では、本発明による膜、特にRO膜、FO膜またはNF膜は、海水または汽水の淡水化に使用される。
【0221】
膜M、特にRO膜、FO膜またはNF膜は、例えば3質量%から8質量%までの特に高い塩分を有する水の淡水化に使用される。例えば、膜Mは、採鉱および石油/ガス生産および粉砕方法からの水を淡水化して、これらの用途において比較的高い収率を得るのに好適である。
【0222】
異なる種類の膜Mが、共に、例えばRO膜およびFO膜、RO膜およびUF膜、RO膜およびNF膜、RO膜およびNF膜およびUF膜、NF膜およびUF膜を組み合わせる複合系で使用されてもよい。
【0223】
別の好ましい実施形態では、膜M、特にNF膜、UF膜またはMF膜は、海水または汽水の淡水化より前に水処理工程で使用される。
【0224】
別の好ましい実施形態では、膜M、特にNF膜、UF膜またはMF膜は、工業廃水または都市廃水の処理に使用される。
【0225】
膜M、特にRO膜および/またはFO膜は、食品加工において、例えば食用液体(例えば果汁)の濃縮、脱塩または脱水に、ホエイタンパク質粉末の製造に、および乳の濃縮(ラクトースを含むホエイ粉末の製造からのUF透過液はROにより濃縮することができる)、ワイン加工、洗車用水の提供、メープルシロップの製造、水素の電気化学的製造の際の電極表面上の無機物の形成防止、岩礁水槽への水の供給に使用することができる。
【0226】
膜M、特にUF膜は、医療用途、例えば透析および他の血液処理、食品加工、チーズを製造するための濃縮、タンパク質の加工、タンパク質の脱塩および溶媒交換、タンパク質の分画、果汁の清澄化、発酵培養液からのワクチンおよび抗生物質の回収、実験室レベルの水質浄化、飲料水の消毒(ウィルスの除去を含む)、懸濁活性炭前処理と組み合わされた内分泌物および農薬の除去において使用することができる。
【0227】
膜M、特にRO膜、FO膜、NF膜は、鉱山の回復、均一系触媒回収、脱塩反応法に使用することができる。
【0228】
膜M、特にNF膜は、二価イオンまたは重金属イオンおよび/または放射性金属イオンの分離に、例えば採鉱用途、均一系触媒回収、脱塩反応法において使用することができる。
【0229】
実施例
例およびその他で使用される略語:
NMP N−メチルピロリドン
DMAc ジメチルアセトアミド
PWP 純水透過率
MWCO 分子量カットオフ
DMF ジメチルホルムアミド
THF テトラヒドロフラン
PESU ポリエーテルスルホン
AMD3L N,N−ジメチル−ラクトアミド
Ultrason(登録商標)E 6020P 粘度数(ISO 307、1157、1628;0.01g/mol フェノール/1,2−オルトジクロロベンゼン1:1溶液中)82;ガラス転移温度(DSC、10℃/min;ISO 11357−1/−2に準拠)225℃;分子量Mw(DMAc中でのGPC、PMMA標準):75000g/molを有するポリエーテルスルホン
Luvitec(登録商標)K90 フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値90で特徴づけられる溶液粘度を有するポリビニルピロリドン
Luvitec(登録商標)K30 フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値30で特徴づけられる溶液粘度を有するポリビニルピロリドン
POLYOX(登録商標)WSR−N10 フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値68で特徴づけられる溶液粘度、および分子量Mw(水中でのGPC、ポリエチレンオキシド標準):102000g/molを有するポリエチレンオキシド
POLYOX(登録商標)WSR−N80 フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値84で特徴づけられる溶液粘度、および分子量Mw(水中でのGPC、ポリエチレンオキシド標準):187000g/molを有するポリエチレンオキシド
POLYOX(登録商標)WSR−N750 フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値109で特徴づけられる溶液粘度、および分子量Mw(水中でのGPC、ポリエチレンオキシド標準):456000g/molを有するポリエチレンオキシド
Pluriol(登録商標)9000E フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値33で特徴づけられる溶液粘度、および分子量Mw(水中でのGPC、ポリエチレンオキシド標準):10800g/molを有するポリエチレンオキシド
Breox(登録商標)75W55000 フィッケンチャーの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932(58))により測定される、K値42で特徴づけられる溶液粘度、および分子量Mw(水中でのGPC、ポリエチレンオキシド標準):14300g/molを有するポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマー。
【0230】
得られたポリアルキレンオキシドポリマーの分子量分布および平均分子量は、GPC測定により測定した。
【0231】
GPC測定は、水を溶媒として使用して行った。ろ過後(細孔径0.2μm)、100μlのこの溶液をGPC系に注入した。分離のために、2つのヒドロキシル化ポリメタクリレートカラム(TSKgel GMPWXL、30cm)を使用した。系を0.8ml/minの流速で35℃にて操作した。検出系としては、RI検出器を使用した(DRI Agilent 1100)。較正は、106g/molから1,522,000g/molまでの範囲の分子量を有するポリエチレンオキシド標準(Polymer Labs社、Agilent easy vial)を使用して実施した。
【0232】
膜の純水透過率(PWP)を、60mmの直径を有する圧力セルを使用して、超純水(無塩水、Millipore UF−systemでろ過)を使用して試験した。
【0233】
それに続く試験では、異なるPEG標準の溶液を、0.15barの圧力でろ過した。供給物および透過液のGPC測定により、膜の分子量カットオフを測定した。
【0234】
例1から5まで:ポリビニルピロリドンを第二のドープポリマーとして使用する膜の作製
マグネチックスターラーが装備された三ツ口フラスコに、75mlの第1表に記載の溶媒S1、第1表に記載の量のLuvitec K30(「K30」)およびLuvitec K90(「K90」)を第二のドープポリマーとして、ならびに19gのポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)E 6020P)を添加した。混合物を60℃で穏やかに撹拌しながら均質の澄明な粘性溶液が得られるまで加熱した。その溶液を一晩、室温で脱気した。その後、Erichsen Coating機を使用して5mm/minの速度で操作して、60℃にてキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いてガラス板上に流し込んだ。膜フィルムを、水浴に25℃で10分間含浸させる前に、30秒間放置した。
【0235】
膜をガラス板から取り外した後、膜を12時間にわたって水浴に慎重に移した。その後、膜を、50℃で4.5時間にわたって2500ppmのNaOClを含む浴に移した。次に、膜を60℃の水で洗浄し、亜硫酸水素ナトリウムの0.5質量%溶液で1回洗浄して活性塩素を除去した。水による複数回の洗浄工程の後、純水透過率(PWP)および最小細孔径(MWCO)に関する特性評価を開始するまで、膜を湿った状態で貯蔵した。
【0236】
【表1】
【0237】
例6から13まで:ポリアルキレンオキシドを第二のドープポリマーとして使用する膜の作製
マグネチックスターラーが装備された三ツ口フラスコに、75mlの第1表に記載の溶媒S1、第2表に記載の量のPOLYOX(登録商標)WSR−N10(「N10」)、POLYOX(登録商標)WSR−N80(「N80」)、POLYOX(登録商標)WSR−N750(「N750」)、Breox(登録商標)75W55000(「Breox」)および/またはPluriol(登録商標)9000E(「P9000」)を第二のドープポリマーとして、ならびに19gのポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)E 6020P)を添加した。混合物を60℃で穏やかに撹拌しながら均質の澄明な粘性溶液が得られるまで加熱した。その溶液を一晩、室温で脱気した。その後、膜溶液を60℃で2時間再加熱して、Erichsen Coating機を使用して5mm/minの速度で操作して、60℃にてキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いてガラス板上に流し込んだ。膜フィルムを、水浴に25℃で10分間含浸させる前に、30秒間放置した。
【0238】
膜をガラス板から取り外した後、膜を12時間にわたって水浴に慎重に移した。その後、膜を、50℃で4.5時間にわたって2500ppmのNaOClを含む浴に移して、ポリアルキレンオキシドを除去した。次に、膜を60℃の水で洗浄し、亜硫酸水素ナトリウムの0.5質量%溶液で1回洗浄して活性塩素を除去した。水による複数回の洗浄工程の後、純水透過率(PWP)および最小細孔径(MWCO)に関する特性評価を開始するまで、膜を湿った状態で貯蔵した。
【0239】
【表2】
【0240】
本発明によるAMD3Lを使用して製造した膜は、当該技術分野で公知の膜よりも改善された分離特性を示す。AMD3Lを使用して製造した膜は、改善された(比較的小さい)MWCOを示す一方、当該技術分野で公知の膜の透過性を維持している。