(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023] 幾つかの図面は、概略図として含まれている。図面は例示を目的としており、縮尺どおりであると明記されていない限り、縮尺どおりであるとみなしてはならないと理解されたい。更に、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な描写に比べてすべての態様又は情報を含まない場合があり、例示を目的として追加又は誇張された素材を含むことがある。
【0014】
[0024] 添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。更に、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素間を区別する文字により、参照符号に従って区別することができる。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、その記載は、文字に関わりなく、同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素のうちのいずれにも適用可能である。
【0015】
[0025] 多くの様々な半導体処理では、基板の洗浄、これらの基板からの材料の除去に希釈された酸が使用されうる。例えば、希釈フッ化水素酸は、酸化ケイ素に対する効果的なエッチャントとなりえ、シリコン表面から酸化ケイ素を除去するために使用されうる。エッチング又は洗浄工程が完了した後、酸はウエハ又は基板表面から乾燥除去される。希釈フッ化水素酸(DHF)の使用は、「湿式」エッチングと称されることがあり、希釈剤は水になることが多い。水は、接触する面上で作用する比較的高い表面張力を有する。
【0016】
[0026] サイズの縮小が続いているデバイスのパターニングと特徴には、基板上にエッチングされる又は形成される繊細な特徴が含まれることがある。例えば、多くの処理工程は、基板又は基板上の材料で、トレンチ、孔、又はその他の特徴に作用するか、これらを形成しうる。幅に対する高さの比で定義されるアスペクト比は、デバイスでは非常に高くなることがあり、5、10、20、50、100又はそれ以上になりうる。これらの特徴の多くは、高いアスペクト比を有するのみならず、数ナノメートルのスケールの小さな寸法を有し、例えば、基板全体にわたる限界寸法(多くの場合、これらの特徴の幅又は寸法)は10nm未満、5nm未満、3nm未満、2nm未満、1nm未満、或いは更に小さくなりうる。例えば、2つのトレンチ間の特定の列又は壁の幅は、わずか数ナノメートルになることがある。この材料が薄くなればなるほど、より大きな応力が構造体の完全性に影響を及ぼすことがある。更に、構造体を構成する材料はまた、基板材料、誘電体、フォトレジストなどの材料に加えられる圧力又は応力の効果に影響を及ぼすことがある。
【0017】
[0027] 流体は、特徴が対処しうるよりもかなり大きな表面張力を示すため、繊細な高アスペクト比の特徴を洗浄、エッチング、又は処理するときには、問題が発生することがある。複数の特徴、層又は材料を有する設計では、特徴のわずかな変形又は崩壊であっても、作成されたデバイスによる短絡を引き起こし、動作不能な状態となることがある。例えば、DHFは、低アスペクト比の構造体では十分に動作しうるが、高アスペクト比の特徴でエッチャントとして使用され、エッチング工程が終了してDHFが乾燥除去されるときには、乾燥中に特徴の上に加わる表面張力はパターン崩壊を引き起こすことがある。デバイスの特徴は縮小し続けているため、高アスペクト比の特徴では影響が現れるため、湿式エッチングはもはや十分ではない可能性がある。洗浄工程で流体を除去する有望な技術の1つが、超臨界流体による乾燥工程の実施である。このような技術は、乾燥しやすく、パターン崩壊しにくい表面を提供しうるが、準備の量、ハードウェア要件、関連する工程数により、基板処理全体の効率を低下させることがある。
【0018】
[0028] 現在の技術は、高アスペクト比の構造体を維持しつつ、シリコンと比べて酸化ケイ素を除去する十分な選択性を提供する乾式エッチング処理を実施することによって、これらの問題を克服している。本技術は、シリコン表面から酸化ケイ素の露出した領域を除去するため、フッ素含有前駆体を含みうるプラズマ強化前駆体を利用する。非流体材料を利用することにより、基板特徴への影響は最小限になりうる。エッチングに関する「乾式」という用語は、水が希釈剤又はDHFなどの構成要素として使用されうる湿式エッチングとは異なり、液体の水が使用されないことを意味する。
【0019】
[0029] 残りの開示内容は、開示した技術を利用する特定のエッチング処理を通常通りに特定するものであるが、システム及び方法は、記載されたチャンバで起こりうる堆積及び洗浄処理に対しても等しく適用可能であることは、容易に理解されよう。したがって、この技術は、エッチング処理又はチャンバのみに使用されるよう限定されるとみなすべきではない。更には、本技術の基礎を提供するために例示的なチャンバが説明されているが、本技術は、記載された操作を可能にしうる任意の半導体処理チャンバに適用できることを理解されたい。
【0020】
[0030]
図1は、実施形態による、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、ベーキングチャンバ、及び硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上面図を示す。図面では、一対の前面開口型統一ポッド(FOUP)102により様々なサイズの基板が供給され、基板はロボットアーム104によって受容され、タンデムセクション109a〜cの中に置かれた基板処理チャンバ108a〜fのうちの1つに配置される前に、低圧保持領域106内に配置される。第2のロボットアーム110を使用して、保持領域106から基板処理チャンバ108a〜fまで基板ウエハを搬送して戻すことができる。各基板処理チャンバ108a〜fは、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、予洗浄、ガス抜き、配向、及び他の基板処理に加えて、本明細書に記載された乾式エッチング処理を含む数々の基板処理工程を実施するために装備されうる。
【0021】
[0031] 基板処理チャンバ108a〜fは、基板ウエハ上で誘電体膜を堆積し、アニールし、硬化し、及び/又はエッチングするための一又は複数のシステム構成要素を含みうる。一つの構成では、2対の処理チャンバ(例えば、108c〜d及び108e〜f)が、誘電体材料を基板上に堆積するために使用され、第3の対の処理チャンバ(例えば、108a〜b)が、堆積された誘電体をエッチングするために使用されうる。別の構成では、3対すべてのチャンバ(例えば、108a〜f)が、基板上の誘電体膜をエッチングするように構成されうる。記載された処理の一又は複数のうちのいずれかを、種々の実施形態に示した製造システムから分離されたチャンバ内で実行することができる。システム100において、誘電体膜のための堆積チャンバ、エッチングチャンバ、アニールチャンバ、及び硬化チャンバの付加的な構成が検討されていることが理解されよう。
【0022】
[0032]
図2Aは、処理チャンバ内部で区切られたプラズマ生成領域を有する例示的な処理チャンバシステム200の断面図を示す。膜(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、オキシ炭化シリコン等)のエッチングをする間、処理ガスはガス流入口アセンブリ205を通って第1のプラズマ領域215内に流れることができる。遠隔プラズマシステム(RPS)201が任意選択的にシステム内に含まれ、第1のガスを処理することがある。その後、ガスは、ガス流入口アセンブリ205を通って移動する。流入口アセンブリ205は、2つ以上の異なるガス供給チャネルを含むことができ、第2のチャネル(図示せず)は、含まれる場合、RPS201を迂回することがある。
【0023】
[0033] 冷却プレート203、フェースプレート217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び基板255が上部に配置された基板支持ペデスタル265が図示されており、各々は実施形態に従って含まれうる。ペデスタル265は、基板の温度を制御するために熱交換流体が貫流する熱交換チャネルを有しうる。熱交換チャネルは、処理工程中に基板又はウエハを加熱及び/又は冷却するように作動しうる。ペデスタル265のウエハ支持プラッタは、アルミニウム、セラミック、又はこれらの組み合わせを含み、更に、組込型抵抗加熱素子を用いて、比較的高温(例えば、約100℃以下から約1100℃以上)に達するために抵抗加熱されうる。
【0024】
[0034] フェースプレート217は、最上部が狭く、底部に向けて拡張して広くなっているピラミッド形、円錐形、又は同様の別の構造であってよい。フェースプレート217は更に、図示したように平坦で、処理ガスを分配するために使用される複数の貫通チャネルを含んでいてよい。プラズマ生成ガス及び/又はプラズマ励起種は、RPS201の使用に応じて、
図2Bに示すフェースプレート217の複数の孔を通過し、第1のプラズマ領域215の中へより均一に供給されうる。
【0025】
[0035] 例示的な構成は、ガス/種がフェースプレート217の孔を通って、第1のプラズマ領域215へ流れ込むように、ガス流入口アセンブリ205が、フェースプレート217によって第1のプラズマ領域215から区切られたガス供給領域258の中へ開かれていることを含みうる。第1のプラズマ領域215から、供給領域258、ガス流入口アセンブリ205、及び流体供給システム210へのプラズマの大量逆流を防止するために、構造的及び動作的特徴が選択されうる。フェースプレート217(又はチャンバの導電性上部)及びシャワーヘッド225は、それらの特徴の間に絶縁リング220が配置されているように示されており、それにより、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223に対するフェースプレート217にAC電位を印加することが可能となる。絶縁リング220をフェースプレート217とシャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223との間に位置付けることができ、それにより、第1のプラズマ領域内で容量結合プラズマ(CCP)の形成が可能となる。更に、バッフル(図示せず)を第1のプラズマ領域215内に配置するか、さもなければガス流入口アセンブリ205と結合することができ、ガス流入口アセンブリ205を通って領域に流れ込む流体の流れに効果を及ぼす。
【0026】
[0036] イオンサプレッサ223は、構造体全体にわたって複数の開孔を画定するプレート又はその他の形状を含みうる。これは、非荷電中性種又はラジカル種がイオンサプレッサ223を通過し、サプレッサとシャワーヘッドとの間の活性化されたガス供給領域内に入ることを可能にしつつ、第1のプラズマ領域215から出るイオン帯電種の移動を抑制するように構成されている。実施形態では、イオンサプレッサ223は、様々な開口構成を有する穴あきプレートを備えうる。これらの非荷電種には、開孔を介して反応性がより低いキャリアガスと共に搬送される非常に反応性の高い種が含まれうる。上述したように、孔を介したイオン種の移動を減らすことができ、ある場合には、完全に抑えることができる。イオンサプレッサ223を通過するイオン種の量を制御することにより、有利には、下位のウエハ基板と接触させられるガス混合物に対する制御を向上させることができ、それにより、ガス混合物の堆積特性及び/又はエッチング特性に対する制御を向上させることができる。例えば、混合ガスのイオン濃度の調節は、SiNx:SiOxエッチング比率、Si:SiOxエッチング比率など、エッチング選択性を大幅に変えることができる。堆積が実行される代替的な実施形態では、誘電体材料に対する共形型から流動可能型の堆積のバランスをシフトさせることもできる。
【0027】
[0037] イオンサプレッサ223の複数の開孔は、イオンサプレッサ223を通る活性ガス(すなわち、イオン種、ラジカル種、及び/又は中性種)の通過を制御するように構成されうる。例えば、イオンサプレッサ223を通過する活性ガスの中のイオン帯電種の流量を減らすように、孔のアスペクト比(すなわち、孔の長さに対する直径)及び/又は孔の形状寸法を制御することができる。イオンサプレッサ223の孔は、プラズマ励起領域215に対向するテーパ部と、シャワーヘッド225に対向する円筒部とを含みうる。円筒部は、シャワーヘッド225へと通過するイオン種の流量を制御するように成形及び寸法形成されうる。イオンサプレッサ223を通るイオン種の流量を制御する追加手段として、調節可能な電気的バイアスをイオンサプレッサ223に印加してもよい。
【0028】
[0038] イオンサプレッサ223は、プラズマ生成領域から基板まで移動するイオン帯電種の量を減らすか、又はなくすように機能することができる。非荷電中性種及びラジカル種は、基板と反応するように、更にイオンサプレッサの開口を通過することができる。基板周囲の反応領域のイオン帯電種の完全な除去は、実施形態によっては実行されない場合があることに留意されたい。特定の場合では、イオン種は、エッチング及び/又は堆積処理を行うために基板に到達することが意図されている。このような場合、イオンサプレッサは、一定の水準で処理を支援する反応領域内のイオン種の濃度の制御に役立ちうる。
【0029】
[0039] シャワーヘッド225は、イオンサプレッサ223との組み合わせにより、第1のプラズマ領域215内に存在するプラズマが、基板処理領域233内のガスの直接励起を避けることを可能にしうるが、更に励起種がチャンバプラズマ領域215から基板処理領域233内へ移動することを可能する。このようにして、チャンバは、エッチングされている基板255にプラズマが接触することを防止するように構成されうる。これにより、有利には、基板上にパターン形成された様々な複雑な構造及び膜が保護される。これらの複雑な構造及び膜は、生成されたプラズマが直接接触すると、損傷、位置ずれ、又は歪みが生じることがある。更に、プラズマが基板に接触するか、又は基板レベルに接近することが許容された場合、酸化物種がエッチングを行う速度が上昇しうる。したがって、材料の露出した領域が酸化物である場合、プラズマを基板から離れた位置に留めることにより、この材料を更に保護することができる。
【0030】
[0040] 処理システムは、処理チャンバに電気的に結合された電源240を更に含みうる。電源240は、第1のプラズマ領域215又は処理領域233でプラズマを生成するために、フェースプレート217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び/又はペデスタル265に電力を供給する。電源は、実行される処理に応じて、チャンバに調節可能な量の電力を送るように構成されうる。このような構成により、実行される処理において調節可能なプラズマを使用することが可能となりうる。オン又はオフ機能が提示されることが多い遠隔プラズマユニットとは異なり、調節可能なプラズマは、特定の量の電力をプラズマ領域215に供給するように構成されうる。この結果、特定のプラズマ特性の開発を可能にすることができ、これにより、特定の方法で前駆体を分離し、これらの前駆体によって生成されたエッチングプロファイルを強化することができる。
【0031】
[0041] プラズマは、シャワーヘッド225上方のチャンバプラズマ領域215、又はシャワーヘッド225下方の基板処理領域233において点火されうる。例えば、フッ素含有前駆体又はその他の前駆体の流入からラジカル前駆体を生成するために、プラズマはチャンバプラズマ領域215の中に存在しうる。通常は高周波(RF)範囲内の交流電圧が、フェースプレート217などの処理チャンバの導電性上部とシャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223との間に印加されて、堆積中にチャンバプラズマ領域215内でプラズマが点火される。RF電源は、13.56MHzの高RF周波数を発生させうるが、単独で又は13.56MHzの周波数との組み合わせで他の周波数を発生させることもできる。
【0032】
[0042]
図2Bは、フェースプレート217を介した処理ガスの分配に影響を与える特徴の詳細
図253である。
図2A及び
図2Bに示すように、フェースプレート217、冷却プレート203、及びガス流入口アセンブリ205が交差することにより、ガス供給領域258が画定される。ガス供給領域258には、ガス流入口アセンブリ205から処理ガスが供給されうる。ガスは、ガス供給領域258に充満して、フェースプレート217の開孔259を通って、第1のプラズマ領域215まで流れることができる。開孔259は、流れを実質的に一方向へ導くように構成されうる。これにより、処理ガスは、処理領域233内に流れうるが、フェースプレート217を横断した後、ガス供給領域258内に逆流することが部分的又は完全に防止されうる。
【0033】
[0043] 処理チャンバセクション200で使用されるシャワーヘッド225などのガス分配アセンブリは、デュアルチャネルシャワーヘッド(DCSH)とも称され、
図3に記載された実施形態で更に詳しく示される。デュアルチャネルシャワーヘッドは、処理領域233の外のエッチャントの分離を可能にし、処理領域内に送る前に、チャンバ構成要素及び相互との限られた相互作用をもたらすエッチング処理を提供することができる。
【0034】
[0044] シャワーヘッド225は、上方プレート214と下方プレート216とを含みうる。プレートを互いに結合させて、プレート間の空間218を画定することができる。プレートを連結することにより、上方プレートと下方プレートを通る第1の流体チャネル219と、下方プレート216を通る第2の流体チャネル221とを設けることができる。形成されたチャネルは、第2の流体チャネル221のみを介して、下方プレート216を通して空間218からの流体アクセスをもたらすように構成されてもよく、第1の流体チャネル219は、プレートと第2の流体チャネル221との間の空間218から流体的に分離されうる。空間218は、ガス分配アセンブリ225の側面を介して流体的にアクセス可能でありうる。
【0035】
[0045]
図3は、実施形態による、処理チャンバで使用するためのシャワーヘッド325の底面図である。シャワーヘッド325は、
図2Aに示されたシャワーヘッド225に対応しうる。第1の流体チャネル219の図を示す貫通孔365は、シャワーヘッド225を通る前駆体の流れを制御して影響を与えるための複数の形状及び構成を有しうる。第2の流体チャネル221の図を示す小さな孔375は、シャワーヘッドの表面上に、貫通孔365の間でさえもほぼ均等に配分される。他の構成に比べて、これらの小さな孔375は、前駆体がシャワーヘッドから流出する際に、より均一な混合をもたらす助けとなりうる。
【0036】
[0046] 上述のチャンバは、エッチング方法を含む例示的な方法の実行に使用されうる。
図4を見ると、本技術の実施形態による方法400の例示的な工程が示されている。方法の第1の工程の前に、基板は、方法400が実行されうるチャンバの処理領域内に配置される前に1つ又は複数の方法で処理されうる。例えば、トレンチ、孔、又は他の特徴は、基板に形成されてよく、この基板はシリコン基板を含みうる。幾つかの実施形態では、孔は、酸化物ハードマスクを利用しうる反応性イオンエッチングによって形成されうる。反応性イオンエッチングは、深い高アスペクト比構造を生成しうるが、形成される構造内に、炭素、酸素、又は他の材料を含みうる残留物を残すことがある。アッシング工程は実行されうるが、形成された構造内には酸化物の残留物質が残りうる。このような工程の一部又は全部は、前述のようにチャンバ又はシステムツール内で実行されるか、方法400の工程が実行されるチャンバを含む同一システムツール上の異なるチャンバ内で実行されてもよい。
【0037】
[0047] 方法400は、工程405で、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流し込むことを含みうる。例示的なチャンバは、RPSユニット201又は第1のプラズマ領域215のうちの一方又は両方を含みうる、前述のチャンバ200になりうる。これらの領域の一方又は両方は、工程405で使用される遠隔プラズマ領域であってよい。プラズマは、工程410で、フッ素含有前駆体のプラズマ放出物を生成しうる遠隔プラズマ領域内で形成されてよい。プラズマ放出物は、工程415で、チャンバの処理領域に流し込まれうる。理解されうるように、プラズマ放出物は処理領域内で基板と相互作用することがあり、基板は半導体基板を介して形成されるトレンチ又は他の特徴を含むことがあり、半導体基板はシリコン、ゲルマニウム、又は他の任意の基板、或いは構成要素の組み合わせを含みうる。
【0038】
[0048] 基板は、一又は複数の供給源に由来する酸素に露出された領域を含む。例えば、酸素は、トレンチ又は他の特徴が形成された後に残留する酸素ハードマスクになりうる。酸化物はまた、基板を空気に露出することによって形成された酸化物の層であってよく、或いは酸化物の層を含んでもよい。例えば、シリコン基板が空気又は他の何らかの酸素供給源に露出されると、酸化物の薄層が基板上に形成される。工程420では、水素含有前駆体は、プラズマ放出物と共に処理領域に供給されうる。工程425では、露出した酸化物の少なくとも一部を取り除くため、プラズマ放出物と水素含有前駆体は、露出した酸化物と相互作用しうる。除去中、処理領域内の相対湿度は約50%以下に維持されうる。
【0039】
[0049] 工程425で酸化物の一部が除去された後、工程430で処理領域内の相対湿度を約50%以上に高めてもよい。幾つかの実施形態では、相対湿度を高めつつ、プラズマ放出物は処理領域へ継続的に流し込まれうる。工程435では、さらなる量の露出した酸化物が除去されうる。除去中に処理領域内の相対湿度を高めることによって、さらなる量の酸化物が除去されうるため、以下で更に説明されるプロセスのさらなる利点が可能となりうる。
【0040】
[0050] 本方法で使用される前駆体は、フッ素含有前駆体又はハロゲン含有前駆体を含みうる。例示的なフッ素含有前駆体は、遠隔プラズマ領域に流し込まれる三フッ化窒素(NF
3)であってよく、処理領域から分離されうるが、流体的に連結されうる。三フッ化窒素と併用して、或いは三フッ化窒素の代わりに、他のフッ素供給源も使用されうる。一般的に、フッ素含有前駆体は、遠隔プラズマ領域の中に流されてよく、フッ素含有前駆体は、原子状フッ素、二原子フッ素、三フッ化窒素、四フッ化炭素、フッ化水素及び二フッ化キセノンからなる群から選択される少なくとも一つの前駆体、及び半導体処理で使用される又は有用な、他の様々なフッ素含有前駆体を含みうる。前駆体はまた、窒素、ヘリウム、アルゴン、又は他の希ガス、不活性ガスを含みうる任意の数のキャリアガス、或いは有用な前駆体を含みうる。
【0041】
[0051] 当業者によって理解されるように、水素含有前駆体は、水素、炭化水素、水、過酸化水素、又は水素を含みうる他の材料を含みうる。キャリアガス又は不活性材料などの追加の前駆体は、二次前駆体にも含まれうる。一又は複数の前駆体は遠隔プラズマ領域を迂回し、処理チャンバの付加領域に流し込まれうる。これらの前駆体は、処理領域又はチャンバの他の何らかの領域で、プラズマ放出物と混合されうる。例えば、フッ素含有プラズマ放出物を生成するため、フッ素含有前駆体が遠隔プラズマを経由して流されている間、水素含有前駆体は遠隔プラズマ領域を迂回しうる。水素含有前駆体はチャンバ上部を迂回することによって遠隔プラズマ領域を迂回することがあり、或いは、シャワーヘッド(例えば、
図2のシャワーヘッド225)内の空間へのアクセスを可能にするポートを経由するなどして、チャンバの分離された領域に流し込まれることがある。水素含有前駆体は次いで処理領域へ流し込まれ、そこでフッ素含有プラズマ放出物と混ざるか、相互作用しうる。実施形態によっては、除去工程中、プラズマ処理領域はプラズマがない状態に維持されうる。「プラズマがない状態」とは、工程中に処理領域内でプラズマが能動的に形成されえないことを意味するが、前述のように遠隔的に生成されたプラズマ放出物は工程中に使用されうる。
【0042】
[0052] 本技術の追加の態様は、
図5A〜
図5Cを参照して更に理解されよう。
図5は、本技術の実施形態によって処理される基板の断面図を示す。
図5Aから始まり、本技術が利用されうる基板の断面図が示されている。例えば、シリコン基板505は、図示したトレンチ510などのように、基板表面に形成又は画定された特徴を有しうる。本技術によって包含される実施形態では、トレンチ510は反応性イオンエッチング処理によって形成されうるが、トレンチ及び他の特徴を形成しうる他のエッチング処理も同様に包含されうる。トレンチ510は、前述の高アスペクト比トレンチであってよく、10を超える、50を超える、100を超えるアスペクト比を有してもよく、或いは、これらの数値又はこれ以外の数値の範囲内で、より深くより狭いトレンチが形成されてもよい。
【0043】
[0053] トレンチ510を形成するために反応性イオンエッチング使用された例示的な状況では、酸化物ハードマスク515が基板505の表面上に形成されうる。更に、残留物質520が、炭素、酸素、又はエッチングによる他の不純物を含みうるトレンチ510内に形成されること、或いは残ることがありうる。処理の工程(前述の処理400の選択された工程)は、シリコン基板505の表面から露出した酸化物材料を除去するために実行されうる。例えば、フッ素含有前駆体の水素含有前駆体及びプラズマ放出物は、残留物質520に加えて、酸化物ハードマスク515を少なくとも部分的に除去するために、処理領域に供給されうる。トレンチ510は他の任意の特徴と共に高アスペクト比を有しうるため、実施形態では、処理領域内の相対湿度は約50%未満に維持されうる。水滴が乾くとき又は除去されるときには、パターン変形や崩壊を引き起こすことがあるが、相対湿度を約50%未満に維持することによって、表面に沿って水滴が形成されることはない。
【0044】
[0054] 酸化物ハードマスク515及び残留物質520が除去された後には、酸化物の薄膜が残ることがある。
図5Bに示したように、酸化物材料525は基板505の上に存在しうる。例えば、酸化物材料525は、空気にさらされたシリコン表面全体にわたって存在する酸化物層になることがあり、或いは、酸化物ハードマスク515の残留部分になることがありうる。酸化物材料525は、約10nm以下、約8nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下、或いはそれ以下の酸化物の薄層になりうる。
図4に関連して説明されたような乾式エッチング工程では、酸化物材料525の除去に困難が伴うことがありうる。例えば、残留酸化物材料525は、シリコン基板505と上を覆う酸化物材料525との間の界面では、わずかであるがより不定形になりうる。酸素の最後の原子層は、シリコンマトリクスと酸化ケイ素構造との間で共有されうる。場合によっては、乾式エッチング工程はこのような結合を切り離すことができないことがあり、その結果、残留酸素が酸化物材料525などと共に表面に残ることがある。
【0045】
[0055]
図4に関して説明されているように、幾つかの工程を含む乾式エッチング工程は、基板の表面レベルでのフッ素濃度を高めることがある。乾式エッチングがシリコン表面から酸素の最終層の切り離しに失敗すると、エッチャントで使用されるフッ素は酸化物材料525と接着又は結合することがある。低アスペクト比の特徴で使用されるときには、湿式エッチングが乾式エッチングの場合と同じ量のフッ素を基板内に保持することないが、湿式エッチングは高アスペクト比の特徴を保持することはできず、表面張力によりパターン崩壊を引き起こすことがある。残留フッ素は、デバイスの機能に影響を及ぼす不純物として作用することがある。例えば、トレンチ又は特徴は、メモリデバイスの製造で形成されうる。セルの形成前には、比較的、或いはほぼ純粋な基板表面が求められる。不純物はデバイスからの漏洩電流を高め、その結果、電力消費を高め、メモリデータを漏洩から保持するためのリフレッシュレートの増大により、バッテリ寿命を短くする。
【0046】
[0056] 酸化物材料525によって、基板内のフッ素の表面レベル濃度を高めることができる。酸化物材料525に含まれる又は付着したフッ素は、中心領域など、基板のある領域では原子百分率で8%以上になりうる。この不純物による漏洩電流を最小限に抑える所望のフッ素レベルは、例えば、約3%以下になることがある。このようなレベルのフッ素の取り込みは湿式エッチングによって生成されうるが、特徴サイズは減少するため、湿式エッチングはパターンの崩壊及びデバイスの不具合を引き起こしうる。しかしながら、本技術は、表面レベルのフッ素濃度を他の乾式エッチング処理よりも引き下げるため、相対湿度及び/又は以下で説明する一又は複数の他の条件を利用してもよい。
【0047】
[0057]
図4と共に前述したように、処理チャンバ内の相対湿度は約50%を超えて高くなることがある。相対湿度を高めることにより、余分な酸素を含む材料がシリコン表面から除去され、これにより酸素に関連しうる残留フッ素が除去されうる。フッ素の原子百分率を下げることによって、漏洩電流は低下し、デバイス性能は改善されうる。しかしながら、発明者は更に、一連の工程の中で、相対湿度が高まる前に酸化物材料の大部分を最初に除去する工程が実行されてもよいと判断した。相対湿度が初期段階で約50%を超えて高くなると、何らかの問題が起こりうる。相対湿度が十分に高い場合、基板表面に水滴が形成されることがあり、前述のようにパターン崩壊又は変形を引き起こしうる。単層の液体の水であっても、パターン変形又は崩壊を生むことがわかった。
【0048】
[0058] 更に、ドライエッチャントによる除去中の酸化物ハードマスクは、フッ化ケイ素を生成しうる。しかしながら、水があると、酸化物ハードマスクからフルオロケイ酸が生成されることがあり、比較的粘着性であるため、パターン崩壊を引き起こしうる。したがって、酸化物ハードマスクが除去されると、ハードマスク材料の大部分を除去するため、工程は低い相対湿度(例えば、約25%の相対湿度)で実行されてもよい。他の実施形態では、相対湿度は約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、或いはそれ以下に維持されうる。相対湿度はまた、これらの数値の任意の間、或いはこれらの範囲内に含まれる任意のより小さな値の範囲内にあってもよい。
【0049】
[0059] 残留酸化物材料が十分に(例えば、数ナノメートル程度の閾値以下に)低減されているときには、或いは、エッチング工程が余計な酸化物材料を除去しないときには、相対湿度は約50%を超えて高くなることがある。相対湿度が高くなると余計な酸素が除去可能になり、酸化物に関連する又は付着しているフッ素も同様に除去されうる。実施形態によっては、相対湿度は約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、又はそれ以上になりうるが、100%の相対湿度では液体の水が存在しうるため、パターン崩壊又は変形を引き起こしうる。したがって、相対湿度は約100%以下、又は他の定められたパーセンテージの間、或いは定められた範囲内の任意の小さな範囲内に維持されうる。
【0050】
[0060]
図5Cに示したように、相対湿度が高くなると、余計な酸化物材料525が基板505から除去可能になり、含まれているフッ素も除去可能になりうる。本技術は同様に、空気への曝露などにより、ハードマスク材料を除去する工程なしで、基板の上に存在しうる酸素又は酸化物の薄層を除去するために用られうる。例えば、空気に曝露されたほぼ清浄な基板には、
図5Bに示されたものと同様の基板を手始めにするなど、追加処理の前に基板を更に洗浄するため、方法400の幾つかの工程が実行されてもよい。
【0051】
[0061]
図6に戻ると、本技術の実施形態による相対湿度に関連する構成要素の表面濃度を表すチャートが示されている。チャートは、湿度の上昇と共に実行される方法400の選択された工程を示している。例えば、シリコン基板などの基板は、
図5Bに示した層525などの酸化物材料の薄層を有しうる。水蒸気などの水素含有前駆体は、フッ素含有前駆体のプラズマ放出物と共に、半導体処理チャンバの処理領域に供給されうる。
図6に示した菱形605は、シリコン基板内での(例えば、基板表面での残留酸化物材料内での)フッ素濃度に対応している。
図6はまた四角形610を含み、これはシリコン基板(例えば、表面レベルの酸化物材料)内の酸素濃度に対応している。
図6に示されているように、除去工程は酸化物材料を完全に除去することはできない。三角形615は、基板表面の残存酸化物材料の実際の厚みを示している。図示しているように、ハードマスク除去後の厚みは1nm未満で、例えば、約6Åになりうる。
【0052】
[0062]
図6はまた、相対湿度が約25%上昇すると、フッ素濃度はわずかに減少し、一方、酸素濃度及び酸化物の厚みは実質的に維持されることを示している。しかしながら、相対湿度が約50%の相対湿度を越えて上昇すると、階段状の変化が起こり、酸素濃度、酸化物の厚み、及びフッ素濃度はすべて低下する。フッ素濃度は約2%未満に引き下げられ、これは適切なデバイス品質と漏洩効果をもたらしうる。したがって、
図6は、表面上の特徴を維持しつつ、基板内のフッ素濃度を下げるため、本技術が高くなった相対湿度をどのように利用するのかを示している。
図6の生成に使用されたデバイスは、基板を横断する限界寸法を維持した。例えば、高アスペクト比の特徴は実質的に低下せず、パターン変形又は崩壊は基板全体にわたって発生しなかった。実施形態によっては、基板の限界寸法(例えば、高アスペクト比の特徴の幅、又はこれを含む値)は、10%未満だけ低下してもよい。また、実施形態によっては、約8%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下だけ低下してもよい。或いは、本技術によって、基板の限界寸法は実質的に又は基本的に維持されてもよい。
【0053】
[0063] 本技術にしたがって、処理条件はまた、方法400で、また他の除去方法で実行される工程に影響を及ぼしうる。実施形態によっては、方法400の工程の各々は一定の温度で実行されてよく、一方、幾つかの実施形態では、温度は異なる工程中に調節されてもよい。例えば、基板、ペデスタル、又はチャンバの温度は、方法400の間に、実施形態によっては、約50℃以下に維持されうる。基板の温度はまた、約45℃以下、約40℃以下、約35℃以下、約30℃以下、約25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下に維持されうる。しかしながら、幾つかの実施形態では、水になることがある水素含有前駆体が凍るのを防ぐため、約0℃以上に維持されうる。温度はまた、これらの範囲内、これらの範囲によって包括される更に小さな範囲内、或いはこれらの範囲のいずれかの間の任意の温度に維持されうる。
【0054】
[0064] 幾つかの実施形態では、第1の除去工程425は第1の温度で実行され、一方、追加の除去工程435は第2の温度で実行されうる。一方又は両方の温度は前述のいずれかの範囲内にありうる。実施形態によっては、第2の温度は、第1の温度より低くなりうる。例えば、相対湿度が増大している間には、基板の温度は第1の温度から第2の温度へ引き下げられうる。基板の温度を下げることによって、ウエハレベルでの相対湿度は、処理チャンバに実質的により多くの水蒸気を加えることなく、高められうる。チャンバ構成要素又は基板の上に水滴が形成される機会は減少し、パターンの変形又は崩壊の低下或いは防止に役立ちうる。
【0055】
[0065] 例えば、実施形態によっては、第1の温度は10℃以上になることがあり、第2の温度は10℃以下になることがありうる。幾つかの実施形態では、第1の温度は約10℃から約20℃の間、約11℃から約18℃の間、約12℃から約15℃の間であってよく、或いは、実施形態によっては、約12℃、約13℃、約14℃、又は約15℃になりうる。更に、実施形態によっては、第2の温度は約0℃から約10℃の間、約1℃から約8℃の間、約2℃から約5℃の間であってよく、或いは、実施形態によっては、約2℃、約3℃、約4℃、又は約5℃になりうる。実施形態によっては、第1の温度と第2の温度との間の温度低下は、少なくとも約2℃になることがあり、また、少なくとも約3℃、少なくとも約4℃、少なくとも約5℃、少なくとも約6℃、少なくとも約7℃、少なくとも約8℃、少なくとも約9℃、少なくとも約10℃、少なくとも約11℃、少なくとも約12℃、又はそれ以上になることがありうる。更に、温度低下は約15℃以下、又はこれらの範囲内のいずれかの間の更に小さな任意の範囲内、又はこれらのいずれかの範囲内になりうる。
【0056】
[0066] チャンバ内の圧力はまた、実行される工程に影響を及ぼすことがあり、実施形態によっては、チャンバ圧力は約50Torr以下、約40Torr以下、約30Torr以下、約25Torr以下、約20Torr以下、約15Torr以下、約10Torr以下、約5Torr以下、約1Torr以下、又はそれ以下になりうる。圧力はまた、これらの範囲内、これらの範囲によって包括される更に小さな範囲内、或いはこれらの範囲のいずれかの間の任意の圧力に維持されうる。
【0057】
[0067] 幾つかの実施形態では、第1の除去工程425は第1の圧力で実行され、一方、追加の除去工程435は第2の圧力で実行されうる。一方又は両方の圧力は前述のいずれかの範囲内にありうる。実施形態によっては、第2の圧力は、第1の圧力より高くなりうる。例えば、相対湿度が上昇している間には、処理チャンバ内の圧力は第1の圧力から第2の圧力へ高められうる。チャンバ内の圧力を高めることによって、ウエハレベルでの相対湿度は、処理チャンバに実質的により多くの水蒸気を加えることなく、上昇しうる。チャンバ構成要素又は基板の上に水滴が形成される機会は減少し、パターンの変形又は崩壊の低下或いは防止に再度役立ちうる。
【0058】
[0068] 例えば、実施形態によっては、第1の圧力は約10Torr以下になることがあり、第2の温度は10Torr以上になることがありうる。幾つかの実施形態では、第1の圧力は約0Torから約10Torrの間、約3Torrから約9Torrの間、約5Torrから約8Torrの間であってよく、或いは、実施形態によっては、約5Torr、約6Torr、約7Torr、又は約8Torrになりうる。幾つかの実施形態では、第2の圧力は約10Torから約20Torrの間、約10Torrから約18Torrの間、約11Torrから約15Torrの間であってよく、或いは、約11Torr、約12Torr、約13Torr、約14Torr、又は約15Torrになりうる。実施形態によっては、第1の圧力と第2の圧力との間の圧力上昇は、少なくとも1Torrであってよく、実施形態によっては、少なくとも約2Torr、少なくとも約3Torr、少なくとも約4Torr、少なくとも約5Torr、少なくとも約6Torr、少なくとも約7Torr、少なくとも約8Torr、又はこれ以上になりうる。実施形態によっては、圧力上昇は約10Torrになることがあり、或いはこれらの範囲内のより小さな範囲、又はこれらの範囲の間になりうる。
【0059】
[0069] 一又は複数の前駆体の流量はまた、他の処理条件のいずれかによって調節されうる。例えば、フッ素含有前駆体の流量は、処理領域内の相対湿度が上昇する間に減少しうるが、幾つかの実施形態では、流量は維持されるか増加してもよい。方法400のいずれかの工程では、フッ素含有前駆体の流量は約2sccmから約100sccmの間になりうる。更に、フッ素含有前駆体の流量は、少なくとも約2sccm、少なくとも約3sccm、少なくとも約4sccm、少なくとも約5sccm、少なくとも約6sccm、少なくとも約7sccm、少なくとも約8sccm、少なくとも約9sccm、少なくとも約10sccm、少なくとも約11sccm、少なくとも約12sccm、少なくとも約13sccm、少なくとも約14sccm、少なくとも約15sccm、少なくとも約16sccm、少なくとも約17sccm、少なくとも約18sccm、少なくとも約19sccm、少なくとも約20sccm、少なくとも約25sccm、少なくとも約30sccm、少なくとも約40sccm、少なくとも約50sccm、少なくとも約60sccm、少なくとも約80sccm、又はこれ以上になりうる。流量はまた、これらの定められた流量の間、或いはこれらの数値のいずれかによって包含されるより小さな範囲内にあってもよい。
【0060】
[0070] 水素含有前駆体は、使用される前駆体に応じて、これらの流量のいずれかで流されうるが、これは水素含有前駆体の任意の数になりうる。例えば、水蒸気が用いられる場合、水は少なくとも約1g/分の流量で導入されうる。水はまた、少なくとも約2g/分、少なくとも約3g/分、少なくとも約4g/分、少なくとも約5g/分、少なくとも約6g/分、少なくとも約7g/分、少なくとも約8g/分、少なくとも約9g/分、又はそれ以上の流量で導入されうるが、構成要素及び基板上での水の結露を減らすため、水は約10g/分未満で導入されうる。水はまた、これらの定められた流量の間、或いはこれらの数値のいずれかによって包含されるより小さな範囲内の流量で導入されうる。
【0061】
[0071] 方法400が完了すると、基板内のフッ素濃度は約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又はこれ以下になりうる。同様に、実施形態によっては、基板内の酸素濃度は約15%以下になり、また、約12%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又はこれ以下になりうる。
【0062】
[0072] 幾つかの実施形態では、相対湿度の上昇は、段階的に実行されうる。例えば、相対湿度は、前駆体が処理領域に供給される間に、ある割合だけ増加しうる。相対湿度は、約50%以下の相対湿度、約40%以下の相対湿度、約30%以下の相対湿度、約20%以下の相対湿度、約15%以下の相対湿度、約10%以下の相対湿度、約5%以下の相対湿度、又はそれ以下になりうる、一又は複数の増分で上昇しうる。相対湿度はまた、これらの値のいずれかの間、或いはこれらの範囲のいずれかによって包含されるより小さな範囲内の増分で上昇しうる。更に、パターンの変形又は崩壊につながりうる過剰な水の結露が発生する機会を減らすため、ある期間にわたって実行されうる実施形態では、相対湿度は開始時の相対湿度から最終の相対湿度まで徐々に高められてもよい。
【0063】
[0073]
図7に注目すると、本技術の実施形態による方法700の例示的な工程が示されている。方法700は、前述の方法400の工程、条件、パラメータ、又は結果の一部又はすべてを含みうる。例えば、方法700は、工程705では、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流し込むことを含みうる。フッ素含有前駆体のプラズマ放出物を生成するため、前駆体は、遠隔プラズマ領域内にプラズマを形成する間に流されうる。プラズマ放出物は、工程710で、チャンバの処理領域に流し込まれる。基板は処理領域内に収容され、基板は露出した酸化物の領域を有する高アスペクト比の特徴によって特徴付けられうる。
【0064】
[0074] 工程715では、プラズマ放出物が処理領域に流し込まれている間に、水素含有前駆体は処理領域に流し込まれる。実施形態によっては、水素含有前駆体は遠隔プラズマ領域を迂回しうる。工程720では、処理領域内の相対湿度が約50%以上に維持されている間に、露出した酸化物の少なくとも一部は除去されうる。工程725では、少なくとも部分的な除去後、処理領域内の相対湿度を約50%以上に維持している間に、フッ素含有前駆体の流量は増やされてもよい。工程730では、余計な露出した酸化物が除去されうる。
【0065】
[0075] 本技術は、相対湿度が閾値を超えて上昇できない条件下で、前述の利点を生み出すときに有効となりうる。更に、相対湿度の上昇と共に、フッ素含有前駆体の流量を増やしうるため、余計な酸素又はフッ素の材料を更に除去しうる。前述のような材料の除去をもたらすため、方法は相対湿度の閾値(例えば、少なくとも約50%の相対湿度)を含みうる。相対湿度が残留酸化物層に対して約50%以下に下がると、上述のように結合を切り離すことは、より困難になるか不可能になりうる。
【0066】
[0076]
図8は、本技術の実施形態による、構成要素の表面濃度と前駆体の流量との関係を表すチャート図を示す。チャートは、フッ素含有前駆体の流量が増える現在の技術の工程中の、シリコン基板への酸素とフッ素の取り込みの影響を示す。工程中の相対湿度は約50%から約65%の間に維持された。図示したように、フッ素濃度は、四角形805で示されているように、フッ素含有前駆体の流量が増加しているのに対して約3%以下の取り込みに維持された。流量が増えるにつれて、三角形815で示されているように、前述の酸化物層の厚みは1オングストローム以上減少した。更に、菱形810で示されているように、酸素の取り込みは流量の増大と共に減少した。フッ素含有前駆体の流量は、増加の前及び後に説明された前駆体流量のいずれかになりうる。実施形態によっては、流量は、少なくとも約1sccm、少なくとも約2sccm、少なくとも約3sccm、少なくとも約4sccm、少なくとも約5sccm、少なくとも約6sccm、少なくとも約7sccm、少なくとも約8sccm、少なくとも約9sccm、少なくとも約10sccm、少なくとも約11sccm、少なくとも約12sccm、少なくとも約13sccm、少なくとも約14sccm、少なくとも約15sccm、少なくとも約20sccm、又はこれ以上に増大しうる。
【0067】
[0077] 実施形態によっては、除去工程は酸素の取り込みを約14%以下に低減し、また、酸素の取り込みを約12%以下、約10%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又はこれ以下に低減しうる。除去工程はまた、酸素の取り込みを少なくとも約2%だけ低減し、また、酸素の取り込みを少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、又はこれ以上だけ低減しうる。
【0068】
[0078] 方法700は、酸化物材料(例えば、
図5Bに示した酸化物材料525)の上で実行されうる。実施形態によっては、酸化物の露出した領域は約5nm以下の厚みによって特徴付けられ、また、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下、約9Å以下、約8Å以下、約7Å以下、約6Å以下、約5Å以下、約4Å以下、約3Å以下、又はこれ以下の厚みによって特徴付けられうる。約数ナノメートル以下の厚みによって特徴付けられる酸化物材料の上で工程を実行することによって、フルオロケイ酸の影響は軽減され、これはパターンの変形又は崩壊を低減しうる。更に、方法700は、基板の特徴の寸法又は基板の限界寸法に対する影響を維持、或いは制限しうる。この方法によって、寸法は約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下だけ低減されることがあり、実質的に又は基本的に維持されうる。
【0069】
[0079]
図9は、本技術の実施形態による方法900の例示的な工程を示す。方法900は、前述の方法400又は方法700の工程、条件、パラメータ、又は結果の一部又はすべてを含みうる。方法900は、方法700又は方法400に関して上記で説明した残留酸化物材料に対して実行されうる。例えば、方法900は、工程905では、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流し込むことを含みうる。工程910で、フッ素含有前駆体のプラズマ放出物を生成するため、前駆体は、遠隔プラズマ領域内にプラズマを形成する間に流し込まれる。プラズマ放出物は、工程915で、チャンバの処理領域に流し込まれうる。基板は処理領域内に収容され、基板は露出した酸化物の領域を有する高アスペクト比の特徴によって特徴付けられうる。
【0070】
[0080] 工程920では、プラズマ放出物が処理領域に流し込まれている間に、水素含有前駆体は処理領域に流し込まれる。実施形態によっては、水素含有前駆体は遠隔プラズマ領域を迂回しうる。工程925では、前駆体は処理領域を経由して一定の時間流し込まれうる。少なくとも露出した酸化物材料の一部は、工程930で、前駆体導入中に除去されうる。除去中、処理チャンバ内の相対湿度は、上述の閾値として約50%以上に維持されうる。
【0071】
[0081] 方法900はまた、相対湿度が閾値を超えて上昇できない条件下で、前述の利点を生み出すときに有効となりうる。更に、相対湿度の上昇及び/又はフッ素含有前駆体の流量の増加に関連して、基板での酸素濃度を更に下げるため、酸化物材料の除去は一定の時間以上実行されうる。
【0072】
[0082]
図10は、本技術の実施形態による、構成要素の表面濃度と経過時間との関係を表すチャートを示している。フッ素含有プラズマ放出物と水素含有前駆体は、図示されているように、最大400秒間まで一定の時間だけパターニングされた基板に供給された。工程中の相対湿度は約50%から約65%の間に維持された。図示されているように、基板の酸素濃度が低下する間、本方法はフッ素濃度を相対的に維持した。フッ素の取り込みは四角形1005で示されており、酸素の取り込みは菱形1010で示されている。チャートは付加的に、残留酸化物の厚みの減少を三角形1015で示している。図示したように、方法900の除去工程は、酸素の取り込みを少なくとも約1%だけ低減し、また、酸素の取り込みを少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、又はこれ以上だけ、低減しうる。実施形態によっては、前駆体とプラズマ放出物の供給は少なくとも約100秒間継続され、また、少なくとも約150秒間、少なくとも約200秒間、少なくとも約250秒間、少なくとも約300秒間、少なくとも約350秒間、少なくとも約400秒間、少なくとも約450秒間、少なくとも約500秒間、又はこれ以上継続されうる。しかしながら、時間が増大するにつれ、基板には表面の不具合が発生し、基板上の表面の均一性が低下しうる。したがって、幾つかの実施形態では、工程は約500秒間以下で実行されうる。
【0073】
[0083] 前述の方法により、フッ素の取り込みを抑制しつつ、また、高アスペクト比の特徴となりうる基板の特徴の限界寸法を維持しつつ、基板からの酸化物の除去が可能になりうる。実行される工程は、除去中に相対湿度を高めること、除去中にフッ素含有前駆体の流量を増やすこと、又は除去を前述の時間だけ継続すること、のうちの一又は複数を含みうる。追加のチャンバ工程はまた、本開示全体を通じて説明されているように、調節されうる。本方法及び工程を利用することにより、高アスペクト比の特徴は、湿式エッチングのようにパターン崩壊を引き起こすことなく、また、幾つかの従来の乾式エッチングとは異なり、フッ素などの不純物の含有を抑制しつつ、洗浄されエッチングされうる。
【0074】
[0084] 上記の記載では、説明を目的として、本技術の様々な実施形態の理解を促すために、数々の詳細が提示されている。しかしながら、これらの詳細のいくつかを含まずに又は更なる詳細と共に、特定の実施形態を実施し得ることが、当業者には明らかであろう。
【0075】
[0085] 幾つかの実施形態を開示したが、当業者は、実施形態の精神から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造物、及び均等物を使用できることを認識されよう。さらに、幾つかの周知の処理及び要素は、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために説明されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものと見なすべきではない。さらに、方法又は処理は、連続的又は段階的に説明され得るが、工程は、同時に行われてもよく、又は、記載よりも異なる順序で行われてもよいことを理解されたい。
【0076】
[0086] 値の範囲が提供されている場合、文脈上そうでないと明示されていない限り、当然ながら、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限値の最も小さい単位まで具体的に開示されている。記載された範囲の任意の記載値又は記載されていない介在値の間の任意の狭い範囲、そしてその記載範囲のその他任意の記載された又は介在する値も包含される。これら小さい範囲の上限及び下限は、その範囲に個々に含まれ、又はその範囲から除外される場合があり、小さい範囲に限界値のいずれかが含まれる、どちらも含まれない、又は両方が含まれる各範囲もまた、記載された範囲における明確に除外される任意の限界値を条件として、この技術範囲に包含される。記載された範囲に一又は複数の限界値が含まれる場合、これらの含有限界値のいずれか又は両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0077】
[0087] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明らかに示していない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「ある前駆体(a precursor)」への言及は、複数のこのような前駆体を含み、「その層(the layer)」への言及は、当業者に知られている一又は複数の層及びその均等物への言及を含み、その他の形にも同様のことが当てはまる。
【0078】
[0088] また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用された場合、記載された特徴、整数、構成要素、又はステップの存在を特定することを意図しているが、一又は複数のその他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、又はグループの存在又は追加を除外するものではない。