(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のがん種ごとに、がんに罹患するリスクが一定以上であり且つがん罹患前の情報提供者の各miRNA測定値から構成される高リスクmiRNAプロファイルを取得する高リスクmiRNAプロファイル取得部と、
疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値から構成される適正miRNAプロファイルを取得する適正miRNAプロファイル取得部と、
前記高リスクmiRNAプロファイル取得部が取得した各がん種の高リスクmiRNAプロファイルと、前記適正miRNAプロファイル取得部が取得した前記適正miRNAプロファイルとを比較し、当該比較の結果に基づいて各がん種に対応する各miRNA重要度を算出するmiRNA重要度算出部と、
前記複数のがん種に対して、がん種ごとに、前記miRNA重要度算出部が算出した各がん種に対応する各miRNA重要度をmiRNA重要度テーブルに格納するmiRNA重要度テーブル生成部と、
をさらに備える請求項2に記載の情報提供装置。
前記複数のがん種に対して、がん種ごとに、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値に対して未病状態における各がん種に罹患するリスクに対して各miRNAがどのくらい重要であるのかを示す各miRNA重要度を加味した各miRNA統合重要度を格納する統合重要テーブルを記憶する統合重要テーブル記憶部をさらに備え、
前記個別miRNAスコア算出部は、前記ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、スコア算出対象がん種の前記統合重要テーブル内の各miRNA統合重要度とから、各個別miRNAスコアを算出する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、miRNAの状態を利用してがんの発見には寄与できるが、miRNAの状態を利用してがんの予防には寄与できない。
近年、miRNAプロファイルのバランスの乱れががん等の疾病に罹患するリスク(危険度)に関連することが知られている。また、miRNAは、食生活等の生活習慣の改善によって、その発現量をコントロールすることができるため、ユーザがmiRNAの発現量のバランス(miRNAプロファイルのバランス)の乱れを把握することができれば、その改善策を講ずることに寄与することができる。しかしながら、miRNAプロファイルは凡そ2500種類が存在するmiRNAのプロファイルであるために複雑であり、一般のユーザがmiRNAプロファイルを理解することは難しい。また、疾病の種類によっては、疾病に罹患するリスク(疾病罹患リスク)に関連するmiRNAが異なるので、一律にmiRNAプロファイルのバランスの乱れを評価することはできない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ユーザのmiRNAプロファイルのバランスの状態を疾病の種類ごとに簡潔に提示することができる、情報提供装置
、情報提供方法及びmiRNA重要度テーブル生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の一態様は、
複数のがん種に罹患するリスクを提供する情報提供装置であって、ユーザの各miRNA測定値から構成されるユーザmiRNAプロファイルを受けるmiRNAプロファイル入力部と、
前記ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値と、未病状態におけるスコア算出対象がん種に罹患するリスクに対して各miRNAがどのくらい重要であるのかを示す各miRNA重要度とに基づいた各個別miRNAスコアを算出する個別miRNAスコア算出部と、前記個別miRNAスコアに基づいた判定結果データを生成して出力する判定結果データ生成部と、を備える情報提供装置である。
(2)本発明の一態様は、
疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値から構成される適正miRNAプロファイルを記憶する適正miRNAプロファイル記憶部と、前記ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、前記適正miRNAプロファイル内の対応する各miRNA適正値とから、miRNA測定値とmiRNA適正値との乖離量を示す各miRNA乖離値を算出するmiRNA乖離値算出部と、前記複数のがん種に対して、がん種ごとに、未病状態における各がん種に罹患するリスクに対して各miRNAがどのくらい重要であるのかを示す各miRNA重要度を格納するmiRNA重要度テーブルを記憶するmiRNA重要度テーブル記憶部と、をさらに備え、前記個別miRNAスコア算出部は、スコア算出対象がん種の前記miRNA重要度テーブル内の各miRNA重要度と前記各miRNA乖離値とから、各個別miRNAスコアを算出する、上記(1)の情報提供装置である。
(3)本発明の一態様は、
前記複数のがん種ごとに、がんに罹患するリスクが一定以上であり且つがん罹患前の情報提供者の各miRNA測定値から構成される高リスクmiRNAプロファイルを取得する高リスクmiRNAプロファイル取得部と、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値から構成される適正miRNAプロファイルを取得する適正miRNAプロファイル取得部と、前記高リスクmiRNAプロファイル取得部が取得した各がん種の高リスクmiRNAプロファイルと、前記適正miRNAプロファイル取得部が取得した前記適正miRNAプロファイルとを比較し、当該比較の結果に基づいて各がん種に対応する各miRNA重要度を算出するmiRNA重要度算出部と、前記複数のがん種に対して、がん種ごとに、前記miRNA重要度算出部が算出した各がん種に対応する各miRNA重要度をmiRNA重要度テーブルに格納するmiRNA重要度テーブル生成部と、をさらに備える上記(2)の情報提供装置である。
(4)本発明の一態様は、
前記複数のがん種に対して、がん種ごとに、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値に対して未病状態における各がん種に罹患するリスクに対して各miRNAがどのくらい重要であるのかを示す各miRNA重要度を加味した各miRNA統合重要度を格納する統合重要テーブルを記憶する統合重要テーブル記憶部をさらに備え、前記個別miRNAスコア算出部は、前記ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、スコア算出対象がん種の前記統合重要テーブル内の各miRNA統合重要度とから、各個別miRNAスコアを算出する、上記(1)の情報提供装置である。
(
5)本発明の一態様は、前記各個別miRNAスコアを総合したmiRNAスコアを算出するmiRNAスコア算出部をさらに備える、上記(1)
から(4)のいずれかの情報提供装置である。
(
6)本発明の一態様は、スコア算出対象
がん種を示すスコア算出対象疾病指定データの入力を受付けるスコア算出対象疾病指定入力部をさらに備える、上記(1)から(
5)のいずれかの情報提供装置である。
【0007】
(7)本発明の一態様は、複数のがん種に罹患するリスクを提供する
情報提供装置が実行する情報提供方法であって、
前記情報提供装置が備えるmiRNAプロファイル入力部が、ユーザの各miRNA測定値から構成されるユーザmiRNAプロファイルを受けるmiRNAプロファイル入力ステップと、
前記情報提供装置が備える適正miRNAプロファイル記憶部が、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値から構成される適正miRNAプロファイルを記憶する適正miRNAプロファイル記憶ステップと、
前記情報提供装置が備えるmiRNA乖離値算出部が、前記ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、前記適正miRNAプロファイル内の対応する各miRNA適正値とから、miRNA測定値とmiRNA適正値との乖離量を示す各miRNA乖離値を算出するmiRNA乖離値算出ステップと、
前記情報提供装置が備えるmiRNA重要度テーブル記憶部が、前記複数のがん種に対して、がん種ごとに、未病状態における各がん種に罹患するリスクに対して各miRNAがどのくらい重要であるのかを示す各miRNA重要度を格納するmiRNA重要度テーブルを記憶するmiRNA重要度テーブル記憶ステップと、
前記情報提供装置が備える個別miRNAスコア算出部が、スコア算出対象がん種の前記miRNA重要度テーブル内の各miRNA重要度と前記各miRNA乖離値とから、各個別miRNAスコアを算出する個別miRNAスコア算出ステップと、
前記情報提供装置が備える判定結果データ生成部が、前記個別miRNAスコアに基づいた判定結果データを生成して出力する判定結果データ生成ステップと、を含む情報提供方法である。
(8)本発明の一態様は、上記(7)の情報提供方法に使用される
miRNA重要度テーブルを生成するmiRNA重要度テーブル生成装置が実行するmiRNA重要度テーブルの生成方法であって、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとにがんを抑制又は促進するmiRNAを示すmiRNA疾病情報を取得するmiRNA疾病情報取得ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、前記miRNA疾病情報に基づいて、各がん種に対応する各miRNA重要度を算出するmiRNA重要度算出ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに算出された各miRNA重要度をmiRNA重要度テーブルに格納するmiRNA重要度格納ステップと、を含むmiRNA重要度テーブル生成方法である。
【0008】
(9)本発明の一態様は、上記(7)の情報提供方法に使用される
miRNA重要度テーブルを生成するmiRNA重要度テーブル生成装置が実行するmiRNA重要度テーブルの生成方法であって、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに、疾病患者の各miRNA測定値から構成される疾病患者miRNAプロファイルを取得する疾病患者miRNAプロファイル取得ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値から構成される適正miRNAプロファイルを取得する適正miRNAプロファイル取得ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに取得された疾病患者miRNAプロファイルと前記適正miRNAプロファイルとを比較し、当該比較の結果に基づいて各がん種に対応する各miRNA重要度を算出するmiRNA重要度算出ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに算出された各miRNA重要度をmiRNA重要度テーブルに格納するmiRNA重要度格納ステップと、を含むmiRNA重要度テーブル生成方法である。
【0009】
(10)本発明の一態様は、上記(7)の情報提供方法に使用される
miRNA重要度テーブルを生成するmiRNA重要度テーブル生成装置が実行するmiRNA重要度テーブルの生成方法であって、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに、がんに罹患するリスクが一定以上であり且つがん罹患前の情報提供者の各miRNA測定値から構成される高リスクmiRNAプロファイルを取得する高リスクmiRNAプロファイル取得ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値から構成される適正miRNAプロファイルを取得する適正miRNAプロファイル取得ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに取得された高リスクmiRNAプロファイルと前記適正miRNAプロファイルとを比較し、当該比較の結果に基づいて各がん種に対応する各miRNA重要度を算出するmiRNA重要度算出ステップと、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、がん種ごとに算出された各miRNA重要度をmiRNA重要度テーブルに格納するmiRNA重要度格納ステップと、を含むmiRNA重要度テーブル生成方法である。
【0010】
(11)本発明の一態様は、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、情報提供者のmiRNA属性、生化学データ及びmiRNAプロファイルを取得する情報取得ステップを含み、
前記miRNA重要度テーブル生成装置が、取得された情報提供者のmiRNA属性、生化学データ及びmiRNAプロファイルを更に使用して、各がん種に対応する各miRNA重要度を算出する、上記(8)から(10)のいずれかのmiRNA重要度テーブル生成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザのmiRNAプロファイルのバランスの状態を疾病の種類ごとに簡潔に提示することができる、情報提供装置及びmiRNA重要度テーブル生成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
図1において、情報提供装置10は、miRNAプロファイル入力部11と、miRNA乖離値算出部12と、個別miRNAスコア算出部13と、総合miRNAスコア算出部14と、判定結果データ生成部15と、スコア算出対象疾病指定入力部16と、適正miRNAプロファイル記憶部17と、miRNA重要度テーブル記憶部18とを備える。
【0015】
情報提供装置10は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等から構成される。情報提供装置10の各部の機能は、情報提供装置10が備えるCPUがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。情報提供装置10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0016】
また、情報提供装置10には、周辺機器として入力装置、表示装置等が接続されてもよい。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。表示装置とはCRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。また、上記周辺機器については、情報提供装置10に直接接続するものであってもよく、あるいは通信回線を介して接続するようにしてもよい。
【0017】
また、情報提供装置10は、通信回線を介してユーザの端末装置等の外部装置とデータを送受してもよい。ユーザの端末装置以外の外部装置は、例えば医療機関等の情報提供機関のサーバであってもよい。ユーザの端末装置は、例えば、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置であってもよく、又は、据置き型の端末装置(例えば、据置き型のパーソナルコンピュータ等)であってもよい。
なお、情報提供装置10は、インターネット等の通信ネットワークに接続されたサーバコンピュータが情報提供装置10の機能を実現させるためのコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものであってもよい。また、情報提供装置10の一部の機能が端末装置のブラウザ上で動作するスクリプトや端末装置にインストールされるアプリケーションとして端末装置に提供され、情報提供装置10の一部の機能を備えた端末装置と情報提供装置10の残りの機能を備えたサーバコンピュータとが連携することにより情報提供装置10の全機能が実現されるものであってもよい。
【0018】
miRNAプロファイル入力部11は、情報提供装置10に入力されるユーザmiRNAプロファイルを受ける。ユーザmiRNAプロファイルは、一ユーザの各miRNAの測定値(miRNA測定値)の集合として構成されるmiRNAプロファイルのデータである。
図2に、ユーザmiRNAプロファイルの構成例が示される。
図2において、ユーザmiRNAプロファイルは、ユーザmiRNAプロファイルを構成する各miRNAのmiRNA識別子(miRNAID)及びmiRNA測定値を関連付けて格納する。
【0019】
ユーザmiRNAプロファイルを構成するmiRNA測定値は、全てのmiRNAのmiRNA測定値であってもよく、又は、情報提供装置10がスコア算出対象として扱うことができる疾病の疾病罹患リスクに関連する特定のmiRNAのmiRNA測定値のみであってもよい。miRNA測定値は、miRNAの濃度、モル数、蛍光強度又は他の指標で補正した相対値のいずれであってもよい。miRNA測定値の表現方法は、対数表現であってもよい。
【0020】
適正miRNAプロファイル記憶部17は、適正miRNAプロファイルを記憶する。適正miRNAプロファイルは、疾病罹患リスクに基づいた各miRNAの適正値(miRNA適正値)の集合として構成されるmiRNAプロファイルのデータである。
図3に、適正miRNAプロファイルの構成例が示される。
図3において、適正miRNAプロファイルは、適正miRNAプロファイルを構成する各miRNAのmiRNAID及びmiRNA適正値を関連付けて格納する。
【0021】
適正miRNAプロファイルを構成するmiRNA適正値は、全てのmiRNAのmiRNA適正値であってもよく、又は、情報提供装置10がスコア算出対象として扱うことができる疾病の疾病罹患リスクに関連する特定のmiRNAのmiRNA適正値のみであってもよい。miRNA適正値は、疾病罹患リスクに基づいたmiRNAの適正値であって、miRNAの濃度、モル数、蛍光強度又は他の指標で補正した相対値のいずれであってもよい。miRNA適正値の表現方法は、対数表現であってもよい。適正miRNAプロファイルの生成方法は後述する。
【0022】
なお、ユーザmiRNAプロファイルのmiRNA測定値と適正miRNAプロファイルのmiRNA適正値とを同じ表現方法にすることが、後述するmiRNA乖離値算出部12におけるmiRNA乖離値算出処理の観点から好ましい。
【0023】
miRNA乖離値算出部12は、ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、適正miRNAプロファイル内の対応する各miRNA適正値とから、各miRNAの乖離値(miRNA乖離値)を算出する。miRNA乖離値は、一miRNAについてのmiRNA測定値とmiRNA適正値との乖離量を示す値である。miRNA乖離値の算出方法としては、miRNA測定値とmiRNA適正値との減法、除法、対数の減法、対数の除法などが利用可能である。例えば、miRNA測定値とmiRNA適正値との減算結果の差をmiRNA乖離値にしてもよい。
【0024】
miRNA重要度テーブル記憶部18は、疾病の種類ごとに、miRNA重要度テーブルを記憶する。miRNA重要度テーブルは、疾病の種類に対応する各miRNAの重要度(miRNA重要度)を格納するテーブル形式のデータである。
図4に、miRNA重要度テーブルの構成例が示される。
図4において、疾病の種類ごとに、各miRNA重要度テーブルが設けられる。miRNA重要度テーブルは、miRNA重要度テーブルを構成する各miRNAのmiRNAID及びmiRNA重要度を関連付けて格納する。miRNA重要度テーブルを構成するmiRNA重要度は、全てのmiRNAのmiRNA重要度であってもよく、又は、当該miRNA重要度テーブルが対象にする疾病の疾病罹患リスクに関連する特定のmiRNAのmiRNA重要度のみであってもよい。miRNA重要度テーブルの生成方法は後述する。
【0025】
個別miRNAスコア算出部13は、スコア算出対象疾病のmiRNA重要度テーブル内の各miRNA重要度と、miRNA乖離値算出部12の算出結果の各miRNA乖離値とから、各miRNAに個別のスコア(個別miRNAスコア)を算出する。例えば、miRNA乖離値にmiRNA重要度を乗じた結果の積を個別miRNAスコアとして算出してもよい。スコア算出対象疾病は、スコア算出対象疾病指定入力部16から通知される。
【0026】
スコア算出対象疾病指定入力部16には、スコア算出対象疾病指定データが入力される。スコア算出対象疾病指定データは、スコア算出対象疾病を示すデータである。スコア算出対象疾病指定入力部16は、スコア算出対象疾病指定データの入力を受付ける。スコア算出対象疾病指定入力部16は、スコア算出対象疾病指定データで示されるスコア算出対象疾病を個別miRNAスコア算出部13及び判定結果データ生成部15に通知する。スコア算出対象疾病指定データとして、例えば、ユーザが端末装置によりスコア算出対象疾病指定データを情報提供装置10に送信することが挙げられる。この場合、スコア算出対象疾病指定入力部16は、ユーザの端末装置からスコア算出対象疾病指定データを受信し、受信したスコア算出対象疾病指定データで示されるスコア算出対象疾病を個別miRNAスコア算出部13に通知する。
【0027】
なお、スコア算出対象疾病として、情報提供装置10がスコア算出対象として扱うことができる全ての疾病がそれぞれスコア算出対象疾病として予め情報提供装置10に設定されてもよい。この場合、情報提供装置10は、スコア算出対象疾病指定入力部16を備えなくてもよい。情報提供装置10がスコア算出対象として扱うことができる全ての疾病がそれぞれスコア算出対象疾病として予め情報提供装置10に設定される場合、個別miRNAスコア算出部13は、miRNA重要度テーブルが設けられた全ての疾病の種類を対象にして、疾病の種類ごとに、各個別miRNAスコアを算出する。
【0028】
総合miRNAスコア算出部14は、個別miRNAスコア算出部13の算出結果の一スコア算出対象疾病の各個別miRNAスコアを総合した総合miRNAスコアを算出する。総合miRNAスコアは、疾病の種類ごとに算出される。スコア算出対象疾病が複数ある場合には、スコア算出対象疾病ごとに、各個別miRNAスコアを総合した総合miRNAスコアが算出される。
【0029】
判定結果データ生成部15は、判定結果データを生成して出力する。判定結果データは、総合miRNAスコア、個別miRNAスコア、個別miRNAスコアを図形式に表したものなどである。総合miRNAスコアは、総合miRNAスコア算出部14から判定結果データ生成部15に渡される。個別miRNAスコアは、個別miRNAスコア算出部13から判定結果データ生成部15に渡される。判定結果データとして出力される個別miRNAスコアとして、スコア算出対象疾病との関係性が大きい複数個が選定される。個別miRNAスコアを図形式に表したものとして、例えばレーダーチャートが生成される。レーダーチャートに使用される個別miRNAスコアは、スコア算出対象疾病との関係性が大きいものとして選定された複数個の個別miRNAスコアである。スコア算出対象疾病は、スコア算出対象疾病指定入力部16から通知される。なお、判定結果データは、総合miRNAスコア、個別miRNAスコア及び個別miRNAスコアを図形式に表した例えばレーダーチャートのうち、いずれか一つ又は複数であってもよい。
【0030】
次に、
図5を参照して、
図1に示される情報提供装置10の動作を説明する。
図5は、本実施形態に係る情報提供方法の例を示すフローチャートである。
【0031】
(ステップS1) ユーザmiRNAプロファイルが情報提供装置10に入力される。ユーザmiRNAプロファイルは、ユーザの端末装置から情報提供装置10へ送信されてもよく、又は、ユーザの端末装置以外の外部装置から情報提供装置10へ送信されてもよい。ユーザの端末装置以外の外部装置は、例えば医療機関等の情報提供機関のサーバであってもよい。
【0032】
miRNAプロファイル入力部11は、情報提供装置10に入力されたユーザmiRNAプロファイルを受ける。miRNAプロファイル入力部11は、当該ユーザmiRNAプロファイルをmiRNA乖離値算出部12へ渡す。
【0033】
(ステップS2) miRNA乖離値算出部12は、miRNAプロファイル入力部11から受けたユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、適正miRNAプロファイル記憶部17に記憶される適正miRNAプロファイル内の対応する各miRNA適正値とから、各miRNA乖離値を算出する。miRNA乖離値算出部12は、算出結果の各miRNA乖離値を個別miRNAスコア算出部13へ渡す。
【0034】
(ステップS3) スコア算出対象疾病指定入力部16が、個別miRNAスコア算出部13及び判定結果データ生成部15に対して、スコア算出対象疾病指定データで示されるスコア算出対象疾病を通知する。ここでの一例として、スコア算出対象疾病は「疾病A」である。したがって、ここでは、スコア算出対象疾病として「疾病A」がスコア算出対象疾病指定入力部16から個別miRNAスコア算出部13及び判定結果データ生成部15に対して通知される。
【0035】
(ステップS4) 個別miRNAスコア算出部13は、miRNA重要度テーブル記憶部18に記憶される疾病AのmiRNA重要度テーブル内の各miRNA重要度とmiRNA乖離値算出部12から受けた各miRNA乖離値とから、各個別miRNAスコアを算出する。個別miRNAスコア算出部13は、算出結果の疾病Aの各個別miRNAスコアを総合miRNAスコア算出部14へ渡す。
【0036】
(ステップS5) 総合miRNAスコア算出部14は、個別miRNAスコア算出部13から受けた疾病Aの各個別miRNAスコアを総合した総合miRNAスコアを算出する。総合miRNAスコア算出部14は、算出結果の疾病Aの総合miRNAスコアを判定結果データ生成部15へ渡す。
【0037】
(ステップS6) 判定結果データ生成部15は、疾病Aの判定結果データを生成して出力する。判定結果データは、総合miRNAスコア、個別miRNAスコア、個別miRNAスコアを図形式に表した例えばレーダーチャートなどである。なお、判定結果データは、総合miRNAスコア、個別miRNAスコア及び個別miRNAスコアを図形式に表した例えばレーダーチャートのうち、いずれか一つ又は複数であってもよい。判定結果データの出力先は、予め設定される。判定結果データの出力先は、ユーザの端末装置であってもよく、又は、ユーザの端末装置以外の外部装置であってもよい。ユーザの端末装置以外の外部装置は、例えば医療機関等の情報提供機関のサーバであってもよい。
【0038】
[適正miRNAプロファイル生成方法]
次に本実施形態に係る適正miRNAプロファイル生成方法を説明する。適正miRNAプロファイルは、疾病罹患リスクに基づいた各miRNA適正値から構成されるmiRNAプロファイルのデータである。この適正miRNAプロファイルの生成方法の例を以下に説明する。
【0039】
まず健常情報提供者のmiRNAプロファイル(健常者miRNAプロファイル)を取得する。このために、健常情報提供者として、若年層(20代及び30代)を中心に各種疾病に罹患していない者であって血液及び各種疾病に関連する生化学データが適正値である者が情報提供者の中から選択される。若年層は疾病罹患リスクが全般的に低く、また若年層のmiRNAプロファイルは個体間のバラつきが小さいことが知られている。健常者miRNAプロファイルは、一健常情報提供者の各miRNA測定値の集合として構成されるmiRNAプロファイルのデータである。なお、健常情報提供者の採血後の追跡研究で一定期間以上各種疾病に罹患しなかった者の当該採血された時の過去の血液から測定された各miRNA測定値から構成されるmiRNAプロファイルのみを健常者miRNAプロファイルに使用してもよい。
【0040】
次いで、複数の健常情報提供者の健常者miRNAプロファイルに基づいて、各miRNA適正値を求める。この求められた各miRNA適正値を一集合として、
図3に例示されるように各miRNAのmiRNAID及びmiRNA適正値を関連付けて適正miRNAプロファイルを構成する。
【0041】
miRNA適正値は、miRNA測定値の適正な範囲であってもよく、又は、miRNA測定値の最適値であってもよい。miRNA測定値の最適値としては、適正な範囲内に在るmiRNA測定値の平均値又は中央値であってもよい。又は、疾病を促進させるmiRNAに対してmiRNA測定値の適正な範囲の下限値をmiRNA適正値にしたり、また、疾病を抑制させるmiRNAに対してmiRNA測定値の適正な範囲の上限値をmiRNA適正値にしたりしてもよい。適正miRNAプロファイルは、各種疾病の疾病罹患リスクが最も低いmiRNAプロファイルであることが好ましい。
【0042】
[miRNA重要度テーブル生成方法]
次に本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法を説明する。miRNA重要度テーブルは、疾病の種類ごとに生成される。miRNA重要度テーブルは、疾病の種類に対応する各miRNA重要度を格納するテーブル形式のデータである。
【0043】
本実施形態では、疾病罹患リスクを促進するmiRNA及び疾病罹患リスクを抑制するmiRNAに対して、miRNA重要度の絶対値が大きく設定される。本実施形態では、miRNA重要度の設定例として、疾病罹患リスクを促進するmiRNAの場合、疾病罹患リスクを促進する度合い(疾病罹患促進度)が大きいほど、miRNA重要度は「絶対値がより大きい負の値」に設定される。一方、疾病罹患リスクを抑制するmiRNAの場合、疾病罹患リスクを抑制する度合い(疾病罹患抑制度)が大きいほど、miRNA重要度は「絶対値がより大きい正の値」に設定される。
【0044】
以下、miRNA重要度テーブルの生成方法の例1から例3までを説明する。
【0045】
(miRNA重要度テーブル生成方法の例1)
図6は、本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法の例1を示すフローチャートである。
図6を参照して、本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法の例1を説明する。
【0046】
(ステップS21) 疾病の種類ごとに疾病を抑制又は促進するmiRNAを示すmiRNA疾病情報を取得する。miRNA疾病情報として、例えば論文や特許公報や学会誌等の公知文献や公開データベースなどの公知情報が挙げられる。
【0047】
(ステップS22) 取得されたmiRNA疾病情報に基づいて、各疾病の種類に対応する各miRNA重要度を算出する。疾病の種類ごとに、miRNA疾病情報で示される疾病罹患促進度及び疾病罹患抑制度に基づいて、各miRNA重要度を算出する。さらには、同じ疾病罹患促進度又は疾病罹患抑制度を開示するmiRNA疾病情報の数や質によって、当該疾病罹患促進度又は疾病罹患抑制度に基づいた各miRNA重要度の算出に対して重み付けを行ってもよい。具体的には、同じ疾病罹患促進度又は疾病罹患抑制度を開示するmiRNA疾病情報の数が多かったり、疾病罹患促進度又は疾病罹患抑制度の程度が大きかったりする場合、当該疾病罹患促進度又は疾病罹患抑制度に基づいた各miRNA重要度に対して絶対値を一定量大きくする。
【0048】
(ステップS23) 疾病の種類ごとに算出された各miRNA重要度を、
図4に例示されるように、各miRNAのmiRNAIDに関連付けて、それぞれ対応する疾病の種類のmiRNA重要度テーブルに格納する。
【0049】
(miRNA重要度テーブル生成方法の例2)
図7は、本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法の例2を示すフローチャートである。
図7を参照して、本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法の例2を説明する。
【0050】
(ステップS31) 疾病の種類ごとに、疾病患者の各miRNA測定値から構成される疾病患者miRNAプロファイルを取得する。疾病患者は、疾病に罹患している者である。疾病患者miRNAプロファイルは、一疾病患者の各miRNA測定値の集合として構成されるmiRNAプロファイルのデータである。
【0051】
(ステップS32) 適正miRNAプロファイルを取得する。適正miRNAプロファイルは、上述した適正miRNAプロファイル生成方法によって生成されたものである。
【0052】
(ステップS33) 疾病の種類ごとに取得された疾病患者miRNAプロファイルと適正miRNAプロファイルとを比較し、当該比較の結果に基づいて各疾病の種類に対応する各miRNA重要度を算出する。例えば、疾病Aについて、疾病Aの疾病患者miRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、適正miRNAプロファイル内の対応する各miRNA適正値とから、各miRNA乖離値を算出する。算出結果のmiRNA乖離値が一定量以上の乖離であるmiRNAに対して、疾病Aの疾病患者miRNAプロファイル内のmiRNA測定値が対応するmiRNA適正値よりも大きい場合、疾病AのmiRNA重要度として疾病罹患促進度が大きい所定値を割り当て、一方、疾病Aの疾病患者miRNAプロファイル内のmiRNA測定値が対応するmiRNA適正値よりも小さい場合、疾病AのmiRNA重要度として疾病罹患抑制度が大きい所定値を割り当てる。
【0053】
(ステップS34) 疾病の種類ごとに算出された各miRNA重要度を、
図4に例示されるように、各miRNAのmiRNAIDに関連付けて、それぞれ対応する疾病の種類のmiRNA重要度テーブルに格納する。
【0054】
(miRNA重要度テーブル生成方法の例3)
図8は、本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法の例3を示すフローチャートである。
図8を参照して、本実施形態に係るmiRNA重要度テーブル生成方法の例3を説明する。
【0055】
(ステップS41) 疾病の種類ごとに、高リスクmiRNAプロファイルを取得する。高リスクmiRNAプロファイルは、疾病罹患リスクが一定以上であり且つ疾病罹患前の一情報提供者の各miRNA測定値の集合として構成されるmiRNAプロファイルのデータである。高リスクmiRNAプロファイルのmiRNA測定値の測定に使用される血液は、該当する情報提供者の過去に採決された血液(例えば凍結保存されている血液)であってもよい。又は、疾病に罹患していない情報提供者のmiRNAを継続して測定しておき、疾病に罹患した時点で罹患前のmiRNA測定値を高リスクmiRNAプロファイルに使用してもよい。
【0056】
(ステップS42) 適正miRNAプロファイルを取得する。適正miRNAプロファイルは、上述した適正miRNAプロファイル生成方法によって生成されたものである。
【0057】
(ステップS43) 疾病の種類ごとに取得された高リスクmiRNAプロファイルと適正miRNAプロファイルとを比較し、当該比較の結果に基づいて各疾病の種類に対応する各miRNA重要度を算出する。例えば、疾病Aについて、高リスクmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、適正miRNAプロファイル内の対応する各miRNA適正値とから、各miRNA乖離値を算出する。算出結果のmiRNA乖離値が一定量以上の乖離であるmiRNAに対して、高リスクmiRNAプロファイル内のmiRNA測定値が対応するmiRNA適正値よりも大きい場合、疾病AのmiRNA重要度として疾病罹患促進度が大きい所定値を割り当てる。一方、算出結果のmiRNA乖離値が一定量未満の乖離であるmiRNAに対して、高リスクmiRNAプロファイル内のmiRNA測定値が対応するmiRNA適正値よりも小さい場合、疾病AのmiRNA重要度として疾病罹患抑制度が大きい所定値を割り当てる。
【0058】
なお、情報提供者のmiRNAの測定に使用された疾病罹患前の血液の採血時点から当該情報提供者が疾病に罹患した時点までの期間(疾病罹患前期間)の長さを、当該疾病のmiRNA重要度に加味してもよい。例えば、疾病罹患前期間の長さが短いほど、miRNA重要度の絶対値が大きく設定される。
【0059】
(ステップS44) 疾病の種類ごとに算出された各miRNA重要度を、
図4に例示されるように、各miRNAのmiRNAIDに関連付けて、それぞれ対応する疾病の種類のmiRNA重要度テーブルに格納する。
【0060】
以上がmiRNA重要度テーブルの生成方法の例1から例3までの説明である。
なお、上述したmiRNA重要度テーブルの生成方法の例1から例3までは、それぞれ単独に使用されてもよく、又は、いずれか複数が組み合わされて使用されてもよい。例えば、miRNA重要度テーブルの生成方法の例1から例3までのいずれかの方法で、例えばmiRNA重要度テーブルの生成方法の例1で仮のmiRNA重要度テーブルを生成する。次いで、miRNA重要度テーブルの生成方法の例2の疾病患者miRNAプロファイルと適正miRNAプロファイルの情報やmiRNA重要度テーブルの生成方法の例3の高リスクmiRNAプロファイルの情報と適正miRNAプロファイルの情報に基づいて、仮のmiRNA重要度テーブルの数値を調整する。この調整の結果を、最終のmiRNA重要度テーブルに決定する。どの方法で仮のmiRNA重要度テーブルを生成するのかは、疾病の種類や、各方法で得られる情報の量、質に基づいて適宜選択すればよい。
【0061】
また、miRNA重要度テーブルの生成方法において、情報提供者のmiRNA属性、生化学データ及びmiRNAプロファイルを取得する情報取得ステップを含み、取得された情報提供者のmiRNA属性、生化学データ及びmiRNAプロファイルを更に使用して、各疾病の種類に対応する各miRNA重要度を算出してもよい。
【0062】
情報提供者のmiRNA属性は、情報提供者の属性であって当該情報提供者のmiRNA測定値に影響を与えるものである。miRNA属性として、例えば、年齢、性別、人種、情報提供者の疾病の罹患歴、情報提供者の親族の罹患歴などが挙げられる。miRNA属性は、少なくとも年齢と性別を含むことが好ましい。miRNA属性は、年齢と性別のみであってもよい。なお、人種を表す情報として、国籍を利用してもよい。
【0063】
生化学データとして、例えば、人の検体(例えば、血液、尿、大便など)の生化学検査の結果のデータ、人の皮膚の撮像画像、人の超音波画像、人のX線画像、人に対する医師の診断の結果のデータなどが挙げられる。情報提供者の生化学データは、情報提供者が例えば人間ドック等の健康診断を受けた際に得られた検査結果のデータであってもよい。
【0064】
情報提供者のmiRNAプロファイルは、一情報提供者の各miRNA測定値の集合として構成されるmiRNAプロファイルのデータである。
【0065】
例えば、卵巣がんのような女性特有の疾患に対応するmiRNA重要度テーブルを生成する場合、性別を考慮した各miRNA重要度を設定する。また、認知症のような高齢により罹患率が高まる疾患に対応するmiRNA重要度テーブルを生成する場合、年齢を考慮した各miRNA重要度を設定する。
【0066】
[総合miRNAスコア算出方法]
次に本実施形態に係る総合miRNAスコア算出方法を説明する。
本実施形態では、ユーザのユーザmiRNAプロファイルを使用して、疾病の種類ごとに、当該ユーザの総合miRNAスコアを算出する。ある疾病、例えば疾病Aについてのユーザの総合miRNAスコアは、当該ユーザが疾病Aに罹患するリスクの観点において、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを示す情報である。
【0067】
総合miRNAスコアとして、例えば、miRNA点数、miRNA年齢、miRNA偏差値などが挙げられる。miRNA点数は、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを、規定の満点(例えば100点満点)で点数化した点数である。miRNA年齢は、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを、年齢に例えて表現するものである。miRNA偏差値は、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを、偏差値で表現するものである。
【0068】
次式に、総合miRNAスコアの算出式の例を示す。次式は、疾病Aの総合miRNAスコアを算出する算出式であって、
図2のユーザmiRNAプロファイル、
図3の適正miRNAプロファイル及び
図4のmiRNA重要度テーブルを使用したものである。
疾病Aの総合miRNAスコア=[mirnaid_1のmiRNA乖離値「mirna測定値_1−mirna適正値_1」×mirna重要度_1A]+[mirnaid_2のmiRNA乖離値「mirna測定値_2−mirna適正値_2」×mirna重要度_2A]+・・・
上記した疾病Aの総合miRNAスコアの算出式では、miRNA測定値からmiRNA適正値を減じた結果の差をmiRNA乖離値として算出し、miRNA乖離値にmiRNA重要度を乗じた結果の積を個別miRNAスコアとして算出し、各個別miRNAスコアの総和を総合miRNAスコアとして算出している。
【0069】
なお、上記した疾病Aの総合miRNAスコアの算出式において、算出に使用されるmiRNAを全種類とし、且つ、疾病Aの疾病罹患リスクとの関係が殆どないと判断することができるmiRNAのmiRNA重要度をゼロにしてもよい。又は、算出に使用されるmiRNAを、疾病Aの疾病罹患リスクに関係があると判断することができるmiRNAのみにしてもよい。
【0070】
また、がんについては、がんの種類ごとに個別の総合miRNAスコア算出式を使用してもよい。
【0071】
また、上記した疾病Aの総合miRNAスコアの算出式では、miRNA測定値からmiRNA適正値を減じた結果の差をmiRNA乖離値として算出したが、これに限定されない。miRNA乖離値の算出方法は、miRNA測定値とmiRNA適正値との除法、対数の減法、対数の除法などであってもよい。
【0072】
また、上記した疾病Aの総合miRNAスコアの算出式では、miRNA乖離値にmiRNA重要度を乗じた結果の積を個別miRNAスコアとして算出したが、これに限定されない。個別miRNAスコアの算出方法は、miRNA乖離値とmiRNA重要度との加法、減法、除法などであってもよく、又は、2次関数や3次関数を使用してもよい。
【0073】
また、上記した疾病Aの総合miRNAスコアの算出式では、各個別miRNAスコアの総和を総合miRNAスコアとして算出したが、これに限定されない。総合miRNAスコアの算出方法は、各個別miRNAスコアを使用した減法、乗法、除法などであってもよく、又は、2次関数や3次関数を使用してもよい。
【0074】
上述した実施形態によれば、ユーザに対して疾病の種類ごとに総合miRNAスコア等の判定結果データを算出して提示することにより、ユーザのmiRNAプロファイルのバランスの状態を疾病の種類ごとに簡潔に提示することができるという効果が得られる。これにより、ユーザに対して、例えば疾病Aの総合miRNAスコアに基づいて疾病Aの疾病罹患リスクを認識させて、食生活等の生活習慣の改善によるmiRNAプロファイルのバランスの改善策を講ずる契機を与えることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態では、疾病の種類ごとに総合miRNAスコアを算出したが、複数の疾病の疾病罹患リスクを統合して、複数の疾病に関する統合的な健康指標として一つの統合miRNAスコアを算出してもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、miRNA乖離値算出部12、適正miRNAプロファイル記憶部17及びmiRNA重要度テーブル記憶部18を設けたが、これに限定されない。例えば、miRNA重要度にmiRNA適正値を加味したmiRNA統合重要度を格納する統合重要テーブルを設け、個別miRNAスコア算出部13は、ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、統合重要テーブル内の各miRNA統合重要度とから、各個別miRNAスコアを算出してもよい。この情報提供装置の構成例を示すブロック図が
図9に示される。
図9に示される情報提供装置10は、統合重要テーブルを記憶する統合重要テーブル記憶部20を備える。
図10に例示されるように、統合重要テーブルは、疾病の種類ごとに、疾病に罹患するリスクに基づいた各miRNA適正値に対して疾病の種類に対応する各miRNA重要度を加味した各miRNA統合重要度を格納する。
図9に示される情報提供装置10において、個別miRNAスコア算出部13は、ユーザmiRNAプロファイル内の各miRNA測定値と、スコア算出対象疾病の統合重要テーブル内の各miRNA統合重要度とから、各個別miRNAスコアを算出する。判定結果データ生成部15は、個別miRNAスコアに基づいた判定結果データを生成して出力する。
【0077】
また、上述した情報提供装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0078】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0079】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。