特許第6884927号(P6884927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6884927三次元形状検出装置、方法、及びプラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884927
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】三次元形状検出装置、方法、及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20210531BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   G01B11/24 F
   H01L21/66 J
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-520334(P2020-520334)
(86)(22)【出願日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】JP2019026713
(87)【国際公開番号】WO2020121565
(87)【国際公開日】20200618
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】永沢 充
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−148447(JP,A)
【文献】 特開2012−18097(JP,A)
【文献】 特開2006−112884(JP,A)
【文献】 特開2006−100619(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0109173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に光スポットを照射し、前記照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出装置であって、
分光反射強度を測定する分光反射強度測定部と、
前記分光反射強度測定部により測定された分光反射強度に基づいて前記光スポットの視野内の領域である第一の領域の分光特徴値を求める分光特徴値算出部と、
射出された光により照明された前記対象の画像を撮像し、前記撮像された画像を基に前記第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する面積率推定部と、
前記推定された面積率を基に三次元形状を求める制御装置と、を備え、
前記第二の領域は、前記光スポットの視野内における前記第一の領域以外の領域であることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元形状検出装置であって、
前記分光特徴値は、複素振幅、分光反射強度または前記複素振幅および前記分光反射強度であることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の三次元形状検出装置であって、
前記分光特徴値は、複素振幅であり、
前記分光特徴値算出部は、予め算出された前記第一の領域の複素振幅と、前記分光反射強度測定部により測定された複数の前記分光反射強度と、前記面積率とを基に前記第二の領域の複素振幅を求めることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の三次元形状検出装置であって、
前記分光特徴値は、複素振幅および分光反射強度であり、
前記分光特徴値算出部は、予め算出された前記第一の領域の複素振幅と、予め算出された前記第一の領域の分光反射強度と、前記分光反射強度測定部により測定された複数の前記分光反射強度と、前記面積率とを基に前記第二の領域の複素振幅および前記第二の領域の分光反射強度を求めることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の三次元形状検出装置であって、
前記分光特徴値は、分光反射強度であり、
前記分光特徴値算出部は、予め算出された前記第一の領域の分光反射強度と、前記分光反射強度測定部により測定された分光反射強度と、前記面積率とを基に前記第二の領域の分光反射強度を求めることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の三次元形状検出装置であって、
前記第一の領域の構造を変更する構造変更部をさらに備え、
前記複数の前記分光反射強度は、前記構造変更部により変更された前記第一の領域の構造における複数の分光反射強度であることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の三次元形状検出装置であって、
前記構造変更部は、プラズマエッチング装置であることを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項8】
対象に光スポットを照射し、前記照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する場合に用いられる面積率を推定する面積率推定方法であって、
射出された光により照明された前記対象の画像を撮像し、前記撮像された画像を基に前記面積率を推定し、
前記面積率は、第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率であり、
前記第一の領域は、前記光スポットの視野内の領域であり、
前記第二の領域は、前記光スポットの視野内における前記第一の領域以外の領域であることを特徴とする面積率推定方法。
【請求項9】
対象に光スポットを照射し、前記照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出方法であって、
分光反射強度を測定する工程と、
前記測定された分光反射強度に基づいて前記光スポットの視野内の第一の領域における分光特徴値を求める工程と、
射出された光により照明された前記対象の画像を撮像し、前記撮像された画像を基に前記第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する工程と、
前記推定された面積率を基に三次元形状を求める工程とを有し、
前記第二の領域は、前記光スポットの視野内における前記第一の領域以外の領域であることを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の三次元形状検出方法であって、
前記分光特徴値は、複素振幅であり、
前記分光特徴値を求める工程は、予め算出された前記第一の領域の複素振幅と、前記測定された複数の前記分光反射強度と、前記面積率とを基に前記第二の領域の複素振幅を求めることを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項11】
請求項9に記載の三次元形状検出方法であって、
前記分光特徴値は、複素振幅および分光反射強度であり、
前記分光特徴値を求める工程は、予め算出された前記第一の領域の複素振幅と、予め算出された前記第一の領域の分光反射強度と、前記測定された複数の前記分光反射強度と、前記面積率とを基に前記第二の領域の複素振幅および前記第二の領域の分光反射強度を求めることを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項12】
請求項9に記載の三次元形状検出方法であって、
前記分光特徴値は、分光反射強度であり、
前記分光特徴値を求める工程は、予め算出された前記第一の領域の分光反射強度と、前記測定された分光反射強度と、前記面積率とを基に前記第二の領域の分光反射強度を求めることを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項13】
試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源と、前記試料が載置される試料台と、前記試料の対象に光スポットを照射し、前記照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
前記三次元形状検出装置は、
分光反射強度を測定する分光反射強度測定部と、
前記分光反射強度測定部により測定された分光反射強度に基づいて前記光スポットの視野内の領域である第一の領域の分光特徴値を求める分光特徴値算出部と、
射出された光により照明された前記対象の画像を撮像し、前記撮像された画像を基に前記第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する面積率推定部と、
前記推定された面積率を基に三次元形状を求める制御装置とを具備し、
前記第二の領域は、前記光スポットの視野内における前記第一の領域以外の領域であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセスやプロセス後のウェハ等のパターン化された表面形状の測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化が進むにつれて半導体ウェハ表面のプロセス状況を調べる重要性が高まっている。特に、半導体製造の工程ではナノスケールに加工された回路パターンの限界寸法CD(Critical Dimension)の計測が求められており、測長SEM(Scanning Electron Microscope)、AFM(Atomic Force Microscope)等を用いて測定される。特にin-situ(原位置での)計測を前提とする場合、非接触,非破壊,リアルタイム性を重要視して光学的限界寸法OCD(Optical Critical Dimension)測定法(光波散乱測定法Scatterometryとも呼ぶ)による三次元形状測定が用いられる。周期構造をもった表面構造パターンの測定の反射測定を広帯域で行うとき、分光を前に付けて、分光Scatterometryと呼ばれる。
【0003】
一般的に分光Scatterometryによる測定は半導体ウェハのスクライブ領域などにTEG(Test Element Group)と呼ばれるテスト用のパターンを形成し、当該TEGに対して測定を実施することでプロセスの寸法管理を行う。一方で、TEGでの測定による実際のレイアウトパターンの寸法(三次元形状)管理について、例えば特許文献1によれば以下のような問題があることが記載されている。
【0004】
(1)スクライブ領域では、多様なレイアウトパターンを反映した多様なマークを配置するのに必要な面積を確保することができない。
(2)スクライブ領域のマークと実際のレイアウトパターンとでは半導体ウェハ内の位置が異なるため、プロセスに伴う半導体ウェハ内の寸法ばらつき量がそれぞれ異なり、高精度に寸法管理を行うことが困難となる。
(3)スクライブ領域のマークと実際のレイアウトパターンとでは、それぞれにおける周辺のレイアウトパターンを含めたパターン密度が異なる。すなわち、いわゆる近接効果(パターン密度に依存して露光/現像後のパターン寸法が変化する現象)による影響度がそれぞれ異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−100619号公報
【特許文献2】特開2019−57547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記(1)〜(3)の問題に対して特許文献1では、半導体装置の製造方法および半導体製造装置でのレイアウトパターンに関する解決手段を記載している。しかし、レイアウト設計段階ではなく、より後段の半導体製造プロセス中やプロセス後におけるin-situでのウェハ表面の検査過程において、特許文献1のような手段を適用することは困難である。
【0007】
そこで、プロセスやプロセス後の三次元形状検査過程における上記問題の解決手段として、分光Scatterometryの測定をTEGではなく、実際のレイアウトパターンで実施することを考える。これにより、上記(1)の問題に関して、そもそも検査用の多様なレイアウトパターンを配置する必要がなくなる。上記(2)の問題に関して、実際のレイアウトパターンが検査位置となるので、ばらつき量の変動を考慮する必要がなくなる。上記(3)の問題に関して、実際のレイアウトパターンが検査位置となるので、近接効果による影響を考慮する必要がなくなる。すなわち、実際のレイアウトパターンで分光Scatterometryの測定をすることで上記(1)〜(3)の問題を解決できる。
【0008】
分光Scatterometryでは、厳密結合波解析RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)を用いた周期溝に対するベクトル回折理論に基づく解析が適用されることが一般的である。このときRCWAで必要となる構造のモデル化(構造だけでなく屈折率や消衰係数といった光学定数の決定を含む)が必要な領域は、視野が単一パターンならば、その単一パターンを形成する最小の周期構造のみでよい。
【0009】
しかし、散乱光測定時の視野に複数のパターンが含まれる場合は、当該複数パターンにおける最小の周期構造を全てモデル化する必要がある。モデル化が必要な領域は単一パターンと比較して非常に広大である為、視野に含まれる、複雑で広大な複数のパターンのモデル化は現実的に困難である。そこで、実際のレイアウトパターンでの分光Scatterometryを可能とする為に、散乱光測定時の視野に含まれる複数パターンの分光反射から寸法管理の対象外のパターンの影響を、モデル化をすることなく取り除くことが出来る手段が必須となる。
【0010】
本発明の目的は、分光Scatterometryにおいて散乱光測定時の視野に複数パターンが含まれる場合に、当該視野における分光反射強度から三次元形状の寸法管理の対象外であるパターンの影響を取り除き、任意の視野における寸法管理を可能とする三次元形状検出装置、方法、及びプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明においは、対象に光スポットを照射し、照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出装置であって、分光反射強度を測定する分光反射強度測定部と、分光反射強度測定部により測定された分光反射強度に基づいて光スポットの視野内の領域である第一の領域の分光特徴値を求める分光特徴値算出部と、射出された光により照明された対象の画像を撮像し、撮像された画像を基に第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する面積率推定部と、推定された面積率を基に三次元形状を求める制御装置と、を備え、第二の領域は、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域である三次元形状検出装置を提供する。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明においては、対象に光スポットを照射し、照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する場合に用いられる面積率を推定する面積率推定方法であって、射出された光により照明された対象の画像を撮像し、撮像された画像を基に面積率を推定し、面積率は、第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率であり、第一の領域は、光スポットの視野内の領域であり、第二の領域は、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域である面積率推定方法を提供する。
【0013】
更に、上記の目的を達成するため、本発明においては、対象に光スポットを照射し、照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出方法であって、分光反射強度を測定する工程と、測定された分光反射強度に基づいて光スポットの視野内の第一の領域における分光特徴値を求める工程と、射出された光により照明された対象の画像を撮像し、撮像された画像を基に第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する工程と、推定された面積率を基に三次元形状を求める工程とを有し、第二の領域は、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域である三次元形状検出方法を提供する。
【0014】
また更に、上記の目的を達成するため、本発明においては、試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源と、試料が載置される試料台と、試料の対象に光スポットを照射し、照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出装置とを備えるプラズマ処理装置であって、三次元形状検出装置は、分光反射強度を測定する分光反射強度測定部と、分光反射強度測定部により測定された分光反射強度に基づいて光スポットの視野内の領域である第一の領域の分光特徴値を求める分光特徴値算出部と、射出された光により照明された対象の画像を撮像し、撮像された画像を基に第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する面積率推定部と、推定された面積率を基に三次元形状を求める制御装置とを具備し、第二の領域は、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域であるプラズマ処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、分光Scatterometryにおいて、散乱光測定時の視野に含まれる複数パターンの分光反射から三次元形状の寸法管理の対象外のパターンの影響を取り除き、実際のレイアウトパターンでの寸法管理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1における実際のレイアウトパターンでの寸法管理を実施する三次元形状検出装置の一構成例を示す図。
図2】実施例1におけるサンプル分光反射強度測定処理のフローチャートを示す図。
図3】実施例1におけるTEGおよび混合パターンにおける散乱光測定時の視野の模式図。
図4】実施例1における測定視野変更および測定視野推定処理のフローチャートを示す図。
図5】視野推定処理における各画像処理を示す模式図。
図6】実施例1における寸法管理対象外のパターン影響除去処理のフローチャートを示す図。
図7】断面方向から見たサンプル103のプラズマエッチング前後の模式図。
図8】実施例2における寸法管理対象外のパターン影響除去処理のフローチャートを示す図。
図9】実施例3における寸法管理対象外のパターン影響除去処理のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施するための形態について図面を用いて説明する。それに先立ち、図3を使って、分光Scatterometryでの測定が想定されているTEGにおける、測定時の課題を説明する。
【0018】
図3の(a)で示されるように、テストパターンとして散乱光測定時の視野(光スポット:View of Scatterometry)が十分に収まる広さが確保されている。ここで、(a)においてパターン(1)は三次元形状検査による寸法管理の対象となるパターンを示している。(a)において、測定視野内はパターン(1)で占められているので、散乱光の測定結果として得られる分光反射強度や分光反射率(Reflectance)はパターン(1)の寄与のみである。
【0019】
一方で、実際のレイアウトパターンでは、光散乱光測定を前提としたレイアウトになっていない為、寸法管理の対象とするパターン以外の別パターンや配線領域等が密に混在する。加えて分光Scatterometryでは、一般的に可視光(約400nmから約800nm)の帯域の光を使用する為、結像光学系を使用して光スポットの大きさを絞ろうとしても限界があり、寸法管理の対象とするパターン領域内に散乱光測定時の視野(光スポット)を収めることが難しい。すなわち、散乱光の測定結果は、図3の(b)で示されるように、三次元形状検査による寸法管理の対象となるパターン(1)だけでなく、寸法管理の対象外のパターン(2)との混合パターンの反射率として観測される。本明細書において、パターン(1)を、事前計算可能な光スポットの視野内の領域である第一の領域と呼び、パターン(2)を、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域である第二の領域と呼ぶこととする。
【0020】
上記のように、実際のレイアウトパターンで分光Scatterometryを実施しようとすると、散乱光測定時の視野に寸法管理の対象とするパターン、すなわち、図3の(b)におけるパターン(1)以外のパターンや配線領域等、すなわち図3の(b)におけるパターン(2)が混在することが避けられない。
【0021】
図3の(b)に示すようなパターン(1)、パターン(2)からなる混合パターンの分光測定を実施する場合において、本実施例では散乱光測定時の視野(光スポット:View of Scatterometry)における混合パターンの互いの可干渉性によって、複数の形態に分類する。(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)、(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)、(iii)(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))の3つの実施形態に分類する。本実施例では混合パターンの可干渉性を規定する因子としてコヒーレンス因子fcを式1のように設定する。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、コヒーレンス因子fcは分光測定を実施する光学系の仕様および散乱光測定時の視野における混合パターンの最小周期のピッチ等で規定される変数である。
【0024】
本実施例では、コヒーレンス因子fcが略1に等しい場合を(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)とし、コヒーレンス因子fcが略0に等しい場合を(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)とし、コヒーレンス因子fcが0から1の間である場合を(iii)(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))と分類する。なお、可干渉性の分類は上式に示す規則に一致している必要はなく、コヒーレンス因子fcは必ずしも設定されなくてはいけない訳ではない。以下の実施例の説明において、まず(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)における、寸法管理の対象外であるパターンの影響をモデル化することなく取り除く方法について、以下、説明する。
【実施例1】
【0025】
実施例1は、(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)における、寸法管理の対象外であるパターンの影響をモデル化することなく取り除く三次元形状検出装置および検出方法の実施例である。すなわち、対象に光スポットを照射し、照射された光スポットの視野内の三次元形状を検出する三次元形状検出装置であって、分光反射強度を測定する分光反射強度測定部と、分光反射強度測定部により測定された分光反射強度に基づいて光スポットの視野内の領域である第一の領域の分光特徴値を求める分光特徴値算出部と、射出された光により照明された対象の画像を撮像し、撮像された画像を基に第一の領域の面積と第二の領域の面積との面積率を推定する面積率推定部と、推定された面積率を基に三次元形状を求める制御装置と、を備え、第二の領域は、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域である三次元形状検出装置および検出方法の実施例である。
【0026】
図1は分光Scatterometryを利用し、混合パターンの分光反射から寸法管理の対象外のパターンの影響を取り除いて実際のレイアウトパターンでの寸法管理を実施する、言い換えるとサンプルの測定視野における三次元形状を検出する三次元形状検出装置の模式図および機能ブロック図である。
【0027】
図1に示すように、三次元形状検出装置100はコントローラ群101を介して外部制御装置102と接続されている。外部制御装置102は事前分光特徴値計算機能として、図示を省略したRCWA等のモデル計算により分光特徴値を計算するプログラムなどを実行する中央処理部(CPU)などの内部機能を有する。サンプル103の測定視野における三次元形状を検出する場合には、三次元形状検出装置100は外部制御装置102から受信する信号をもとに検出を開始する。そのため、本明細書における三次元形状検出装置は、上記の三次元形状検出装置100に外部制御装置102を含めた構成と考えることも可能である。
【0028】
三次元形状検出装置100はコントローラ群101以外に、照明光源104、光学系105、分光器群106、光学系移動機構107、サンプル搬送機構108を備えている。
【0029】
照明光源104は分光Scatterometryによりサンプル103の特性を測定可能な広帯域な光源であり、例えば中心波長の異なる複数の発光ダイオードLED(Light Emitting Diode)を組み合わせた光源により実現される。なお、照明光源104は必ずしもLED光源に限定されるわけでなく、ハロゲンランプや重水素ランプ等の他の光源であっても構わない。照明光源104を点灯させる場合には、照明光源駆動回路101−1から所望の強度にて照明光源を点灯させる照明光源駆動信号が照明光源104へと入力される。
【0030】
分光器群106はサンプル103により三次元形状検出装置100の測定視野における反射散乱光を検出する。本実施例における分光器群106は、セレクタ106−1、分光器106−2、視野推定光源106−3により構成される。分光器106−2は照明光源104をサンプル103に照射した際の反射散乱光を広帯域で測定する。この視野推定光源106−3は、外部制御装置102や、後で説明する撮像素子105−9と共に、本実施例の三次元形状検出装置の面積率推定部を構成し、本明細書において視野検出用光源と呼ばれる場合がある。
【0031】
サンプル搬送機構108は検出対象となるサンプル103を図示が省略されたサンプル格納部から光学系105の検出視野がサンプル103に照射可能な位置へと搬送する。またサンプル搬送機構108はサンプル103を固定可能な図示を省略したサンプル固定機構を有している。
【0032】
なお、三次元形状検出装置100は単体でなくてもよく、その他の機能をもつ装置と組み合わせた形態であってもよい。例えば、対象の構造を変更する構造変更部であり、プラズマにより表面処理を行うプラズマ処理装置や、走査電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)と組み合わせることでサンプル103の測定視野における三次元形状を検出する装置構成であってもよい。なお、プラズマ処理装置の基本構成は、例えば本出願人が先に出願した特許文献2などに開示されているように、対象がプラズマ処理される処理室と、マイクロ波の高周波電力を供給する高周波電源と、マイクロ波との相互作用によりプラズマを生成するための磁場を形成する磁場形成部と、高周波電源と磁場形成部を制御する制御部などを備えており、本実施例の三次元形状検出装置100の要部は処理室内に設置される。
【0033】
三次元形状検出装置100の測定視野は光学系105とサンプル103の相対的な位置関係により決定される。光学系移動機構107はその筐体の上に光学系105が設置されており、光学系移動機構107を移動させることで、サンプル103における三次元形状検出装置100の測定視野を変更可能な構成となっている。光学系移動機構107は、例えば直交する2軸の移動機構を組み合わせ、サンプル103に平行な2軸内で任意の距離を移動可能な構成で実現される。ただし、必ずしも移動可能軸は二次元である必要はなく、三次元形状検出装置100の測定視野を所望の位置へ移動可能であれば、一次元であってもかまわない。
【0034】
光学系移動機構107を移動させる場合には、コントローラ群101を構成する移動ステージ駆動回路101−6から所望の移動距離の駆動に必要な駆動信号が光学系移動機構107へ入力される。光学系移動機構107は例えばステッピングモータステージにより実現され、所望の移動距離の駆動において移動距離に相当する数のパルス信号が移動ステージ駆動回路101−6よりから光学系移動機構107へ入力される。光学系移動機構107は必ずしもステッピングモータステージなくてもよく、例えばDCモータステージであり、図示を省略した現在位置検出系の信号を基にして移動ステージ駆動回路101−6と組み合わせたクローズドループ制御系のような、その他の実現手段であっても構わない。なお、図1では光学系移動機構107により光学系105を移動させることで光学系105とサンプル103の相対的な位置を変更したが、相対的な位置の変更手段としてはサンプル103をサンプル搬送機構108により移動することで実現してもよい。
【0035】
図2を用いて、本実施例におけるサンプル103の測定視野における分光反射測定の処理について説明する。図2はサンプル103の測定視野における分光反射測定処理のフローチャートを示したものである。このフローチャートの動作主体は、主に外部制御装置102である。サンプル103の分光反射測定の処理が開始されると(ステップ201、以下S201)、外部制御装置102から照明光源駆動回路101−1を介して照明光源104の強度等の発光条件が設定される(S202)。照明光源104の発光条件が設定された後、S203に移行する。
【0036】
S203では外部制御装置102から照明光源駆動回路101−1に対して照明光源104の発光をONとする為の信号が入力される。その結果、照明光源駆動回路101−1は照明光源104をS202で設定した条件で点灯する駆動信号を送信する。照明光源駆動回路101−1からの駆動信号入力により照明光源104は発光を開始する。照明光源104の光はファイバを介して光学系105を構成するコネクタA105−1に入力される。コネクタA105−1より入力された光はレンズ群A105−2を通過することで、光学的にコリメートな光となる。レンズ群A105−2を通過したコリメート光はミラー105−3に反射された光線は、所定の分割比で反射/透過されるように光学設計された無偏光ビームスプリッタA105−4を透過する。無偏光ビームスプリッタA105−4を反射/透過した光のP偏光とS偏光の成分比率は等しくなる。無偏光ビームスプリッタA105−4を透過した光はレンズ群B105−5を通過する。レンズ群B105−5を通過した光はサンプル103上でスポット径が所定のスポットサイズとなるような収束光となり、その後、所定の分割比で反射/透過されるように光学設計された無偏光ビームスプリッタB105−6にて反射される。無偏光ビームスプリッタB105−6を反射/透過した光のP偏光とS偏光の成分比率は等しくなる。無偏光ビームスプリッタB105−6にて反射された光は偏光子105−7を透過する。偏光子105−7を透過した光は特定の直線偏光へと偏光状態を変えてサンプル103上へと入射され、サンプル103表面上で反射される。サンプル103の表面において反射された光は入射時と略同一のパスを逆方向に通る。サンプル103において反射された光のうち、無偏光ビームスプリッタB105−6において透過された光はレンズ群C105−8を透過して撮像素子105−9へと結像される。一方で、無偏光ビームスプリッタB105−6および無偏光ビームスプリッタA105−4において、ともに反射された光はレンズ群D105−10によりコネクタB105−11へと集光される。すなわち、S203によって光源ONとすることで、サンプル103の測定視野における表面反射光がコネクタB105−11を経由してセレクタ106−1まで到達する。なお、本実施例における光学系105において105−4および105−6の両ビームスプリッタは必ずしも無偏光ビームスプリッタである必要はなく、入射光線の分離の観点で同様な効果が実現可能な光学部品であれば、他の光学部品であっても構わない。
【0037】
S203によって照明光源104の発光がONとなった後、S204に移行する。S204では後述する所定の視野への測定視野変更および測定視野推定処理が実施され、その後、S205の偏光条件変更に移行する。なお、S204で推定される測定視野の大きさはS203にて照明される領域よりも小さい。S205では外部制御装置102から偏光子駆動回路101−5を介して偏光子105−7を駆動させることで特定の直線偏光となるように偏光条件が設定変更され、次のS206に移行する。
【0038】
S206では外部制御装置102からセレクタ制御回路101−0を介してセレクタ106−1において光ファイバの光路切替が実行される。S206の切替では光路は分光器側に設定される。すなわち、S206によりサンプル103の測定視野における表面反射光が分光器106−2まで到達する。S206のセレクタ切替後、S207の分光器測定条件設定に移行する。S207では外部制御装置102から分光器制御回路101−2を介して、露光時間や平均化回数等の分光反射測定時の測定条件が分光器106−2に対して設定される。測定条件が設定された後、S208の分光測定実施に移行する。
【0039】
S208では、外部制御装置102から分光器制御回路101−2を介してS207で設定された露光時間に基づいて分光器制御回路101−2分光反射測定が実施され、S209に移行する。S209では現在の分光反射測定回数Nnowが、S207で設定された平均化回数Naveに達したか否かを判定する。現在の分光反射測定回数NnowがS207で設定された平均化回数Nave以下のとき(S209におけるNo)、再びS208に移行する。一方、分光反射測定回数NnowがS207で設定された平均化回数Nave以上になったとき(S209におけるYes)、S210に移行する。
【0040】
S210では分光器106−2で測定した分光反射の測定結果を、分光器制御回路101−2を介して外部制御装置102へと送信する。分光反射測定結果の送信が終了すると、S211に移行する。S211では外部制御装置102から照明光源駆動回路101−1に対して照明光源104をOFFとする為の信号が入力される。その結果、照明光源駆動回路101−1は照明光源104を消灯する駆動信号を送信する。S211によって照明光源104をOFFとすることで、サンプル103の測定視野における分光反射測定の処理が終了する(S212)。
【0041】
次に、図4を用いて、本実施例における測定視野変更および測定視野推定処理(S204)について説明する。図4はサンプル103における測定視野変更および測定視野推定処理のフローチャートを示したものである。このフローチャートの動作主体は、主に外部制御装置102である。サンプル103における測定視野変更および測定視野推定処理が開始されると(S401)、外部制御装置102から移動ステージ駆動回路101−6を介して所望の移動距離の駆動に必要な駆動信号が光学系移動機構107へ送信される(S402)。駆動信号が送信された後、S403に移行する。
【0042】
S403では光学系移動機構107の現在位置Pnowが目標位置Ptargetと略一致しているかを判定する。光学系移動機構107がまだ移動中であると判定された場合(S403におけるNo)、再びS403に移行する。一方、光学系移動機構107が移動完了し、現在位置Pnowが目標位置Ptargetと略一致していると判定された場合(S403におけるYes)、S404に移行する。S404では外部制御装置102からセレクタ制御回路101−0を介してセレクタ106−1において光ファイバの光路切替が実行される。S404の切替では光路は視野推定光源106−3側に設定される。
【0043】
セレクタ切替後、S405に移行する。S405では外部制御装置102から視野推定光源駆動回路101−3を介して視野推定光源106−3の強度等の発光条件が設定される。視野推定光源106−3の発光条件が設定された後、S406に移行する。S406では外部制御装置102から視野推定光源駆動回路101−3に対して視野推定光源106−3の発光をONとする為の信号が入力される。その結果、視野推定光源駆動回路101−3は視野推定光源106−3をS405で設定した条件で点灯する駆動信号を送信する。視野推定光源駆動回路101−3からの駆動信号入力により視野推定光源106−3は発光を開始する。
【0044】
このとき、視野推定光源106−3の光は図2のS208において、サンプル103の表面において反射され、分光器106−2に到達した照明光源104の光と、セレクタ106−1以降において、略逆のパスを通り、サンプル103の表面に到達する。また、光学的に略逆のパスを通っていることから、視野推定光源106−3のサンプル103上における視野(光スポット)は分光器106−2のサンプル103上における測定視野に略等しい。S406において視野推定光源106−3の発光がONとなった後、S407の視野推定処理に移行する。S407では分光反射強度を測定時の視野を推定する処理が実施される。
【0045】
図5を用いて、本実施例における視野推定処理を説明する。図5の(a)は三次元形状検査による寸法管理の対象となるパターン(1)と寸法管理の対象外のパターン(2)の混合パターンをもつサンプル103について、S406において視野推定光源106−3により照明されているサンプル表面を、視野画像検出装置の一部である撮像素子105−9により撮像した撮像画像の一部を表したものである。視野画像検出装置の一部である外部制御装置102は、S407の視野推定処理では、まず撮像素子105−9により撮像した撮像画像をもとに円形の分光反射強度の測定時の視野を画像抽出する。視野推定光源106−3により照明されることで撮像画像では分光反射強度の測定時の視野(View of Scatterometry)は、その他の領域と比較して明るさが高くなっている。
【0046】
そこで、視野画像検出装置は、このコントラスト比を基に画像処理により、円形の分光反射強度の測定時の視野を抽出する。当該画像処理は、例えばハフ変換を用いた円形領域抽出を実施する。円形領域抽出された画像は図5の(b)に示す模式図のようになる。なお、円形領域抽出に用いる画像処理はハフ変換に限定するものでなく、機械学習による領域抽出等、その他の画像処理であっても構わない。本実施例における分光反射強度の測定時の推定視野は当該円形抽出された領域とする。S407における円形領域抽出の後、S408に移行する。S408ではS407で推定した視野内の混合パターンにおける寸法管理の対象となるパターン(1)と寸法管理の対象外のパターン(2)の面積率を推定する処理が実施される。先に説明した通り、パターン(1)は、事前計算可能な光スポットの視野内の領域である第一の領域、パターン(2)は、光スポットの視野内における第一の領域以外の領域である第二の領域である。
【0047】
図5を用いて本実施例における面積率推定処理について説明する。S408では、まずS407で推定した推定視野の画像である図5の(b)からパターン(1)とパターン(2)の領域分割の為の画像処理を実施する。例えば、エッジ検出とモルフォロジー変換を組み合わせて領域の二値化を実施することで面積率推定を実施する。
【0048】
図5の(c)は図5の(b)に対して輝度の不連続性を基にエッジ検出を実施した結果の模式図である。さらに図5の(d)は図5の(c)に対して膨張、収縮あるいはそれらを組み合わせたモルフォロジー変換を実施した結果の模式図である。さらに、図5の(e)は図5の(d)に対して二値化による領域分割を実施した結果の模式図である。得られた図5の(e)を基にパターン(1)のみの領域を示した画像の模式図が図5の(f)、パターン(2)のみの領域を示した画像の模式図が図5の(g)である。外部制御装置102は、この図5の(f)と図5の(g)のピクセル比率を基に視野内全体におけるパターン(2)の面積比率s(0≦s≦1)を計算し、その値を本実施例における視野内の推定面積率とする。以上のS408における視野内の面積率推定処理の後、S409に移行する。
【0049】
S409では外部制御装置102から視野推定光源駆動回路101−3に対して視野推定光源106−3をOFFとする為の信号が入力される。その結果、視野推定光源駆動回路101−3は視野推定光源106−3を消灯する駆動信号を送信する。S409によって視野推定光源106−3をOFFとすることで、視野内の混合パターンにおける測定視野変更および測定視野推定処理が終了する(S410)。
【0050】
図6を用いて、本実施例の(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)における、混合パターンの分光反射強度から寸法管理対象外であるパターンの影響を取り除く方法について説明する。図6は寸法管理対象外のパターン影響除去処理のフローチャートを示したものであり、このフローチャートの処理主体は外部制御装置102である。後で説明する図8図9のフローチャートも同様である。
【0051】
寸法管理対象外のパターン影響除去処理が開始されると(S601)、所定の1つ目の視野におけるサンプル分光反射強度測定処理が実施される(S602)。S602で実施される処理は図2を用いて上述した処理に等しい。S602の結果、1つ目の視野における分光反射強度Iおよび1つ目の視野における寸法管理対象外であるパターンの面積率sの取得が完了する(S603)。S603が終了すると、S604に移行する。S604では1つ目の視野とは異なる、所定の2つ目の視野におけるサンプル分光反射強度測定処理が実施される(S604)。S604で実施される処理もS602と同じく、図2を用いて上述した処理に等しい。S604の結果、2つ目の視野における分光反射強度I’および2つ目の視野における寸法管理対象外であるパターンの面積率s’の取得が完了する(S605)。ここで、サンプル103の分光反射強度測定視野において、ある観測点x、時刻tで、分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスがi番目の波長λiに相当する波数kiにおいて、寸法管理対象であるパターン(1)での反射光の波の振幅ψ1,iおよび寸法管理対象外であるパターン(2)での反射光の波の振幅ψ2,iは複素表現を用いて一般的に式2で表される。ここで、式2におけるφは初期位相を表す。
【0052】
【数2】
【0053】
本実施例では(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)を想定しているので、パターン(1)の反射光とパターン(2)の反射光は互いに干渉する為、混合パターンの分光反射強度IAll,iは振幅ψの和を二乗することにより得られる。さらに、本実施例の混合パターンの分光反射強度IAll,iはパターン(2)の面積率s、パターン(1)の振幅ψ1,iおよびパターン(2)の振幅ψ2,iを用いて、式3で表現する。
【0054】
【数3】
【0055】
すなわち、混合パターンの振幅ψAll,iを、混合パターンを形成する各パターンの振幅とその面積率の積の和で表現し、その2乗をとることで強度を計算している。簡単の為に、ψ1,iおよびψ2,iについて、エクスポネンシャルを用いた複素数表記でなく、式4のような複素数表記で表すと、混合パターンの分光反射強度Iは式5で表される。
【0056】
【数4】
【0057】
【数5】
【0058】
ここで、寸法管理対象であるパターン(1)の振幅ψ1,iは、該分光反射強度を測定したサンプル103の実測部の断面構造解析等を基に、外部制御装置102の事前分光特徴値計算機能によってRCWA等のモデル計算により事前に得られるものとすると、S603までの時点で、式5におけるIAll,i、s、αi、βiが既知の値であり、パターン(2)に関するパラメータであるγi、δiの2つが未知の値である。しかしながら、S604における2つ目の視野における分光反射強度を得ることで、式6に示すように未知の値が2つ、式2つの連立方程式に帰着でき、未知の値、すなわち寸法管理対象外のパターン(2)の振幅ψ2,iの実部αiおよび虚部βiを導出することが出来る。
【0059】
【数6】
【0060】
S606では、波長λiにおける寸法管理対象外の振幅ψ2,iを式6に相当する連立方程式を解くことにより、導出する。振幅ψ2,iの実部αiおよび虚部βiを導出した後、S607に移行する。S607では分光反射測定の波長レンジにおけるインデックスiが所定の最後の波長レンジに相当するインデックスnendに等しいか否かを判定する。S607において、現在のインデックスiがnendよりも小さいとき(S607におけるNo)、S608に移行し、現在のインデックスiを1だけインクリメント(S608)した後、S606に再び移行する。
【0061】
一方、現在のインデックスiがnendよりも大きいと判定したとき(S607におけるYes)、S609に移行する。S609では任意の視野におけるサンプル103の分光反射強度IAll,i’’および、該視野におけるパターン(2)の面積率s’’を測定する。S609で実施される処理も、図2を用いて上述した処理に等しい。
【0062】
続くS610では、寸法推定対象であるパターン(1)の、推定構造モデルに対応した振幅ψ1,cal,iの実部αcal,iおよび虚部βcal,iと、S606で導出したパターン(2)の振幅ψ2,iの実部γiおよび虚部δiを用いて、パターン(2)の面積率がs’’となる混合パターンの任意の視野での、分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスがi番目の、推定構造モデルに対応する計算分光反射強度Ical,iを式7に示す計算により導出する。分光反射強度Ical,iを導出すると、S611に移行する。
【0063】
【数7】
【0064】
S611では分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスiが所定の最後の波長レンジに相当するインデックスnendに等しいか否かを判定する。S611において、現在のインデックスiがnendよりも小さいとき(S611におけるNo)、S612に移行し、現在のインデックスiを1だけインクリメント(S612)した後、S610に再び移行する。一方、現在のインデックスiがnendよりも大きいと判定したとき(S611におけるYes)、S613に移行する。
【0065】
S613では推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、実測した任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と比較して全波長において一致しているか否かを判定する。判定としては例えば全波長レンジにおいて、計算により求めた推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iと実測した任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’の差の二乗和を計算し、この値が所定の閾値以内か否かを基に判定する。S613において、全波長において推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と等しくないと判定されたとき(S613におけるNo)、S614に移行し、寸法推定対象であるパターン(1)の現在の構造パラメータを変更(S614)した後、再びS610に移行する。
【0066】
一方で、S613において、全波長において推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と等しいと判定されたとき(S613におけるYes)、(i)混合パターンの可干渉性が高い場合の寸法管理対象外のパターン影響除去処理を終了する(S615)。なお、図6では全波長における推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iおよび任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’をそれぞれIcalおよびIAll’’と表記している。
【0067】
ここで、式6からも明らかなように、(i)混合パターンの可干渉性が高い場合では導出すべき未知の値が2つであるので、2つ以上の式による連立方程式を構築出来ればよく、上述の図6ではその一例として測定視野を変更した2回の測定を実施することで、連立方程式を構築した。連立方程式の構築方法は測定視野を変更した測定を実施することに限定されるものではなく、同一視野であっても、視野内の構造が変化する前後での分光反射強度により連立方程式を構築してもよい。
【0068】
例えば図7の(a)は、サンプル103の散乱光測定時の視野(View of Scatterometry)を断面方向から見た模式図である。断面の上部はプラズマエッチング時のパターン保護を目的とした、レジスト材料(Resist Material)を表す。全面がレジスト材料で覆われている領域が寸法管理の対象外のパターン(2)で、一部のみがレジスト材料で覆われている領域が寸法管理の対象となるパターン(1)である。
【0069】
一方で、図7の(b)は図7(a)をプラズマエッチングした後のサンプル103を同じく断面方向から見た模式図である。パターン(1)はエッチングされて、その三次元構造が変化している。この図7の(a)と(b)のそれぞれで寸法管理対象のパターン(1)の振幅を、該分光反射強度を測定したサンプル103の実測部の断面構造解析等を基に、外部制御装置102の事前分光特徴値計算機能によってRCWA等のモデル計算により得られるならば、図7の(a)と(b)のそれぞれで分光反射強度を測定することで連立方程式を構築して、寸法管理の対象外のパターン(2)の振幅ψ2,iを得ることが出来る。
【0070】
本実施例に示した、以上の構成および動作によれば、三次元形状検出装置100は(i)混合パターンの可干渉性が高い場合(Coherent)において寸法管理対象外のパターンの影響をモデル化することなく取り除くことが可能となり、ひいては任意の視野における寸法(三次元形状)管理が可能となる。
【実施例2】
【0071】
本実施例では(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)における、寸法管理の対象外であるパターンの影響をモデル化することなく取り除く方法について、以下、説明する。
【0072】
実施例2においても、サンプル分光反射強度測定処理については、実施例1で説明した処理内容と同じ内容が実施される。以下、図8を用いて、本実施例において実施例1と異なる、(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)における、混合パターンの分光反射強度から寸法管理対象外であるパターンの影響を取り除く方法について説明する。
【0073】
図8は寸法管理対象外のパターン影響除去処理のフローチャートを示したものである。寸法管理対象外のパターン影響除去処理が開始されると(S801)、所定の視野におけるサンプル分光反射強度測定処理が実施される(S802)。S802で実施される処理は実施例1において、図2を用いて説明した処理に等しい。S802の結果、所定の視野における分光反射強度Iおよび当該所定の視野における寸法管理対象外であるパターンの面積率sの取得が完了する(S803)。ここで、サンプル103の分光反射強度測定において、本実施例では分光反射強度測定の測定レンジにおけるインデックスがi番目の波長λiにおける混合パターンの分光反射強度IAll,iを式8で表現する。
【0074】
【数8】
【0075】
すなわち、混合パターンの強度IAll,iを、混合パターンを形成する各パターンの強度とその面積率の積の和で表現している。これは、本実施例では(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)を想定しており、分光反射強度IAll,iがパターン(1)の反射光とパターン(2)の反射光を実施例1のように振幅の和をとった後に二乗するのでなく、強度の和で表現される為である。ここで、寸法管理対象であるパターン(1)の分光反射強度I1,iは該分光反射強度を測定したサンプル103の実測部の断面構造解析等を基に、外部制御装置102の事前分光特徴値計算機能によってRCWA等のモデル計算により事前に得られるものとすると、S803までの時点で、式8におけるIAll,i、s、I1,iが既知の値であり、パターン(2)の分光反射強度I2,iのみが未知の値である。その為、式8に示す未知の値1つに対する方程式を解くことにより、未知の値、すなわちパターン(2)の分光反射強度I2,iを導出することが出来る(S804)。波長λiにおける寸法管理対象外のパターン(2)の分光反射強度I2,iを導出した後、S805に移行する。
【0076】
S805では分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスiが所定の最後の波長レンジに相当するインデックスnendに等しいか否かを判定する。S805において、現在のインデックスiがnendよりも小さいとき(S805におけるNo)、S806に移行し、現在のインデックスiを1だけインクリメント(S806)した後、S804に再び移行する。一方、現在のインデックスiがnendよりも大きいと判定したとき(S805におけるYes)、S807に移行する。
【0077】
S807では任意の視野におけるサンプル103の分光反射強度IAll,i’’および、該視野におけるパターン(2)の面積率s’’を測定する。S807で実施される処理も、図2を用いて上述した処理に等しい。続くS808では寸法推定対象であるパターン(1)の、推定構造モデルに対応した分光反射強度I1,cal,iと、導出したパターン(2)の分光反射強度I2,iを用いて、パターン(2)の面積率がs’’となる混合パターンの任意の視野での、分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスがi番目の、推定構造モデルに対応する計算分光反射強度Ical,iを式9に示す計算により導出する。
【0078】
【数9】
【0079】
分光反射強度Ical,iを導出すると、S809に移行する。S809では分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスiが所定の最後の波長レンジに相当するインデックスnendに等しいか否かを判定する。S809において、現在のインデックスiがnendよりも小さいとき(S809におけるNo)、S810に移行し、現在のインデックスiを1だけインクリメント(S810)した後、S808に再び移行する。一方、現在のインデックスiがnendよりも大きいと判定したとき(S809におけるYes)、S811に移行する。
【0080】
S811では推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、実測した任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と比較して全波長において一致しているか否かを判定する。判定としては例えば全波長レンジにおいて、計算により求めた推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iと実測した任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’の差の二乗和を計算し、この値が所定の閾値以内か否かを基に判定する。S811において、全波長において推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と等しくないと判定されたとき(S811におけるNo)、S812に移行し、寸法推定対象であるパターン(1)の現在の構造パラメータを変更(S812)した後、再びS808に移行する。
【0081】
一方で、S811において、全波長において推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と等しいと判定されたとき(S811におけるYes)、(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)の寸法管理対象外のパターン影響除去処理を終了する(S813)。なお、図8では全波長における推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iおよび任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’をそれぞれIcalおよびIAll’’と表記している。
本実施例に示した、以上の構成および動作によれば、三次元形状検出装置100は(ii)混合パターンの可干渉性が低い場合(Incoherent)において寸法管理対象外のパターンの影響をモデル化することなく取り除くことが可能となり、ひいては任意の視野における寸法(三次元形状)管理が可能となる。
【実施例3】
【0082】
本実施例では(iii)(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))における、寸法管理の対象外であるパターンの影響をモデル化することなく取り除く方法について、以下、説明する。
【0083】
本実施例においても、サンプル分光反射強度測定処理については、実施例1で説明した処理内容と同じ内容が実施される。以下、本実施例において実施例1および2と異なる、(iii)(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))における、混合パターンの分光反射強度から寸法管理対象外であるパターンの影響を取り除く方法について図9を用いて説明する。
【0084】
図9は寸法管理対象外のパターン影響除去処理のフローチャートを示したものである。寸法管理対象外のパターン影響除去処理が開始されると(S901)、所定の1つ目の視野におけるサンプル分光反射強度測定処理が実施される(S902)。S902で実施される処理は実施例1で説明した処理内容と同じ内容が実施される。S902の結果、1つ目の視野における分光反射強度Iおよび1つ目の視野における寸法管理対象外であるパターンの面積率sの取得が完了する(S903)。S903が終了すると、S904に移行する。S904では1つ目の視野とは異なる、所定の2つ目の視野におけるサンプル分光反射強度測定処理が実施される(S904)。S904で実施される処理もS902と同じく、図2を用いて上述した処理に等しい。S904の結果、2つ目の視野における分光反射強度I’および2つ目の視野における寸法管理対象外であるパターンの面積率s’の取得が完了する(S905)。
【0085】
ここで、本実施例では(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))を想定しているので、混合パターンの分光反射強度IAll,iの一部はパターン(1)の反射光とパターン(2)の反射光が互いに干渉し、また一部は互いに干渉しないので混合パターンの分光反射強度IAll,iを式10の1つ目の式で表現する。
【0086】
【数10】
【0087】
コヒーレンス因子fcとの積をとる、可干渉性が低い項について混合パターンを形成する各パターンの強度とその面積率の積の和で、残りの1−fcとの積をとる、可干渉性が高い項について混合パターンを形成する各パターンの振幅とその面積率の積の和でそれぞれ表現している。なおパターン(2)の分光反射強度I2,iが、振幅の絶対値の二乗の半分に等しいことから、式10の2つ目の式で表される。ここで、寸法管理対象であるパターン(1)の分光反射強度I1,i、振幅の実部αiおよび虚部βiは該分光反射強度を測定したサンプル103の実測部の断面構造解析等を基に、外部制御装置102の事前分光特徴値計算機能によってRCWA等のモデル計算により事前に得られるものとすると、S903までの時点で、式10におけるIAll,i、I1,i、s、αi、βiが既知の値であり、パターン(2)に関するパラメータであるγi、δiの2つが未知の値である。しかしながら、S904における2つ目の視野における分光反射強度を得ることで、式11に示すように未知の値が2つ、式2つの連立方程式に帰着でき、未知の値、すなわち寸法管理対象外のパターン(2)の振幅ψ2,iの実部αiおよび虚部βiを導出することが出来る。
【0088】
【数11】
【0089】
S906では、波長λiにおける寸法管理対象外の振幅ψ2,iの実部αiおよび虚部βiを式11に相当する連立方程式を解くことにより、導出する。振幅ψ2,iを導出した後、S907に移行する。S907では分光反射測定の波長レンジにおけるインデックスiが所定の最後の波長レンジに相当するインデックスnendに等しいか否かを判定する。S907において、現在のインデックスiがnendよりも小さいとき(S907におけるNo)、S908に移行し、現在のインデックスiを1だけインクリメント(S908)した後、S906に再び移行する。一方、現在のインデックスiがnendよりも大きいと判定したとき(S907におけるYes)、S909に移行する。S909では任意の視野におけるサンプル103の分光反射強度IAll,i’’および、該視野におけるパターン(2)の面積率s’’を測定する。S909で実施される処理も、図2を用いて上述した処理に等しい。
続くS910では、寸法推定対象であるパターン(1)の、推定構造モデルに対応した分光反射強度I1,cal,i、振幅ψ1,cal,iの実部αcal,iおよび虚部βcal,iと、S906で導出したパターン(2)の振幅ψ2,iの実部γiおよび虚部δiを用いて、パターン(2)の面積率がs’’となる混合パターンの任意の視野での、分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスがi番目の、推定構造モデルに対応する計算分光反射強度Ical,iを式12に示す計算により導出する。
【0090】
【数12】
【0091】
分光反射強度Ical,iを導出すると、S911に移行する。S911では分光反射強度測定の波長レンジにおけるインデックスiが所定の最後の波長レンジに相当するインデックスnendに等しいか否かを判定する。S911において、現在のインデックスiがnendよりも小さいとき(S911におけるNo)、S912に移行し、現在のインデックスiを1だけインクリメント(S912)した後、S910に再び移行する。一方、現在のインデックスiがnendよりも大きいと判定したとき(S911におけるYes)、S913に移行する。S913では推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、実測した任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と比較して全波長において一致しているか否かを判定する。判定としては例えば全波長レンジにおいて、計算により求めた推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iと実測した任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’の差の二乗和を計算し、この値が所定の閾値以内か否かを基に判定する。S913において、全波長において推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と等しくないと判定されたとき(S913におけるNo)、S914に移行し、寸法推定対象であるパターン(1)の現在の構造パラメータを変更(S914)した後、再びS910に移行する。一方で、S913において、全波長において推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iが、任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’と等しいと判定されたとき(S913におけるYes)、(iii)(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))の寸法管理対象外のパターン影響除去処理を終了する(S915)。なお、図9では全波長における推定構造モデルに対応する計算強度Ical,iおよび任意の視野におけるサンプル分光反射強度IAll,i’’をそれぞれIcalおよびIAll’’と表記している。
なお、上記例では振幅を寸法管理対象外であるパターン(2)の影響を、振幅ψ2,iを推定することで除去したが、少なくとも3つ以上の視野における分光反射強度の測定のもと、パターン(2)の分光反射強度I2,iおよび振幅ψ2,iを推定することで導出してもよい。
【0092】
本実施例に示した、以上の構成および動作によれば、三次元形状検出装置100は(iii)(i)と(ii)の中間の場合(Between (i) and (ii))において寸法管理対象外のパターンの影響をモデル化することなく取り除くことが可能となり、ひいては任意の視野における寸法(三次元形状)管理が可能となる。
【0093】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0094】
更に、上述した各構成、機能、外部制御装置等は、それらの一部又は全部の機能を実現するCPU用のプログラムを作成する例を中心に説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、外部制御装置の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0095】
100・・・三次元形状検出装置、101・・・コントローラ群、101−0・・・セレクタ制御回路、101−1・・・照明光源駆動回路、101−2・・・分光器制御回路、101−3・・・視野推定光源駆動回路、101−4・・・受光素子制御回路、101−5・・・偏光子駆動回路、101−6・・・移動ステージ駆動回路、102・・・外部制御装置、103・・・サンプル、104・・・照明光源、105・・・光学系、105−1・・・コネクタA、105−2・・・レンズ群A、105−3・・・ミラー、105−4・・・無偏光ビームスプリッタA、105−5・・・レンズ群B、105−6・・・無偏光ビームスプリッタB、105−7・・・偏光子、105−8・・・レンズ群C、105−9・・・撮像素子、105−10・・・レンズ群D、105−11・・・コネクタB、106・・・分光器群、106−1・・・セレクタ、106−2・・・分光器、106−3・・・視野推定光源、107・・・光学系移動機構、108・・・サンプル搬送機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9