(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タングステン含有膜を形成するための固体ソース材料を形成する方法であって、径が5mm未満である粒子の粒子状タングステンヘキサカルボニル原料であって、1.4mmを上回る径の粒子が粒子の15%未満であり、モリブデンの含量が1000ppm未満である原料を用意することと、
粒子状タングステンヘキサカルボニル原料を100℃未満の温度で焼結して、タングステン含有膜を形成するための固体ソース材料を焼結固体として作製することと
を含む方法。
基材上にタングステン含有膜を形成する方法であって、請求項1に記載の固体ソース材料を揮発させて、タングステン固体ソース材料蒸気を形成することと、気相成長条件下でタングステン固体ソース材料蒸気を基材と接触させて、基材上にタングステン含有膜を形成することとを含む方法。
【背景技術】
【0003】
大規模集積回路の製造において、当技術分野では改善されたメタライジング試剤及び方法を探求し続けている。タングステンは、その優れた電気伝導度、高い融点、及び高い電気マイグレーション耐性の結果として、メタライジング材料などの用途において、例えば層間接続用のプラグ充填媒体として利用されてきた。
【0004】
そのような用途のための従来のタングステンソース試剤は六フッ化タングステン(WF
6)である。六フッ化タングステンは、前駆体として一般に有用であるが、付随する欠陥があり、代替のタングステンソース試剤の探求を動機付けてきた。六フッ化タングステンのこれらの欠陥としては、六フッ化タングステンからタングステンを成膜する際の副生成物ガスとして生じるフッ化水素に起因する、ケイ素の界面の消耗及びマイクロ電子デバイスの浸食が挙げられる。
【0005】
したがって上記の欠陥を回避し、化学気相成長(CVD)及び原子層堆積(ALD)などの気相成長法での使用における良好な揮発特性、輸送特性、及び成膜特性を示す、タングステンの新しい固体ソース材料を提供することが望ましい。
【0006】
固体ソース材料はALD及びCVD法においてますます使用されている。固体ソースは、プロセスチャンバーへのソース材料の一定した送出を実現する上での大きな課題を提起する。特に、粒径、粒径分布、表面積、純度、及び表面前処理は、一定の送出及び気相ソース材料濃度の実現において重要となり得る。上記の変数の変化はソース材料の性能及びプロセスの再現性に影響を与え得る。
【0007】
したがって前述の検討事項に関してより優れた特性を有するタングステン固体ソース材料を提供することが当技術分野における大幅な進歩となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、タングステン含有膜を形成するための固体ソース材料、並びにそのような固体ソース材料を作製及び使用するための方法、及びそのような固体ソース材料を供給するためのパッケージに関する。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「and」、及び「the」は文脈上別途明確に指示されない限り複数の指示対象を含む。
【0018】
本開示は、その特徴、態様、及び実施態様に関して本明細書に様々に示されるように、特定の実施において、そのような特徴、態様、及び実施態様の一部又はすべてを、含む、それらから成る、又はそれらから本質的に成るものとして構成されていてもよく、それらの要素及び成分は本開示の様々なさらなる実施を構成するように集約されてもよい。したがって本開示は、様々な置換及び組合せにおけるそのような特徴、態様、及び実施態様、又はそれらの選択された1つ又は複数を、本開示の範囲内であるものとして意図している。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「膜」は、厚さが1000マイクロメートル未満である、例えばそのような値から単原子層厚さの値までである、堆積された材料層のことを指す。様々な実施態様において、本開示の実施における堆積された材料層の膜厚は、関連する特定の用途に応じて、例えば100、10、若しくは1マイクロメートル未満、又は様々な薄膜の領域では200、10、若しくは1ナノメートル未満であってもよい。本明細書で使用する場合、用語「薄膜」は厚さが1マイクロメートル未満である材料の層を意味するが、本開示の幅広い実施におけるコバルト含有材料は関連する用途に適した任意の厚さを有していてもよいことが認識されるであろう。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「ppm」は特定の材料に関する重量による百万分率を意味する。
【0021】
一態様において、本開示は、タングステンヘキサカルボニルである、タングステン含有膜を形成するための固体ソース材料であって、モリブデンの含量が1000ppm未満である、固体ソース材料に関する。
【0022】
そのような固体ソース材料は、焼結された固体ソース材料であってもよく、例えば加圧下、非加熱での粒子状固体ソース材料の圧密を含む冷間焼結によって調製された冷間焼結された固体ソース材料であってもよい。あるいは、焼結を加熱及び加圧により行って、粒子状固体ソース材料を圧密して焼結された固体ソース材料を形成させてもよい。
【0023】
本開示の固体ソース材料は、様々な実施態様において、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満、又は任意の他の適切な純度であるモリブデン含量を有していてもよい。
【0024】
特定の実施態様において、固体ソース材料は径が5mm未満である粒子の粒子状原料から圧密された焼結材料であり、1.4mmを上回る径の粒子が粒子の15%未満である。粒子状原料粒子は、本開示の様々な特定の実施態様において、任意の適切な特性のもの、例えば0.25mm〜1.4mmの径の粒子が粒子の少なくとも50%、70%、又はそれを超えるものであってもよい。他の実施態様において、粒子状原料粒子の少なくとも80%は径が0.25mm未満である粒子であってもよい。
【0025】
本開示は別の態様において、径が5mm未満である粒子の粒子状タングステンヘキサカルボニル原料を用意することであって、1.4mmを上回る径の粒子が粒子の15%未満であり、モリブデンの含量が1000ppm未満である上記原料を用意することと、粒子状タングステンヘキサカルボニル原料を100℃未満の温度で焼結して、タングステン含有膜を形成するための固体ソース材料を焼結固体として作製することとを含む、タングステン含有膜を形成するための固体ソース材料を形成する方法に関する。
【0026】
そのような方法における焼結は、熱及び/又は圧力下での原料粒子の圧密、例えば、そのような原料粒子を加熱せずに圧力を用いて原料粒子を圧密する冷間焼結を含んでいてもよい。
【0027】
様々な実施態様における粒子状タングステンヘキサカルボニル原料中のモリブデンの含量は、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満、又は任意の他の適切な純度であってもよい。
【0028】
様々な実施態様における粒子状タングステンヘキサカルボニル原料の粒子は、径が5mm未満であってもよい。粒子は任意の適切な粒径分布のものであってもよく、例えば、本開示の様々な特定の実施態様において、1.4mmを上回る径の粒子が粒子の15%未満であり、及び/又は0.25mm〜1.4mmの径の粒子が粒子の少なくとも50%、70%、75%、又はそれを超える。他の実施態様において、粒子状原料粒子の少なくとも80%は径が0.25mm未満の粒子であってもよい。
【0029】
本開示は別の態様において、本開示の固体ソース材料を揮発させてタングステン固体ソース材料蒸気を形成することと、気相成長条件下でタングステン固体ソース材料蒸気を基材と接触させて基材上にタングステン含有膜を形成することとを含む、基材上にタングステン含有膜を形成する方法に関する。
【0030】
そのような方法において、接触は任意の適切な温度、例えば、200℃未満の温度、150℃、100℃、又は他の温度において、及び任意の適切な圧力において行ってもよい。
【0031】
本開示はさらなる態様において、デバイス又はその前駆構造体を上記のような本開示の方法によってメタライズすることを含む、マイクロ電子デバイスを形成する方法に関する。
【0032】
本開示のさらなる態様は、本開示の固体ソース材料が入った容器を含む、タングステン固体ソース材料供給パッケージに関する。タングステン固体ソース材料パッケージは、例えばProE−Vapという商標でEntegris,Inc.(Billerica、MA、米国)より市販されている種類の気化器パッケージ、又は他の適切な気化器を含んでいてもよく、このパッケージでは固体ソース材料を揮発させて対応する固体ソース材料蒸気を生成させることができ、これを次いで適切な流路によって成膜チャンバーへ輸送し、ここで固体ソース材料蒸気を基材と接触させて、前駆体蒸気の組成及び成膜が行われる周囲環境に応じて元素状金属として又はタングステン含有材料として、例えば、窒化タングステン、酸化タングステン、タングステン酸窒化物として、基材上でタングステンを成膜する。
【0033】
したがって、本開示は、本開示のタングステン固体ソース材料を揮発させ、成膜ゾーンへ輸送し、基材と接触させて基材上にタングステン含有材料を成膜する、気相成長法を意図している。
【0034】
様々な実施態様において、成膜条件が300℃未満の温度、例えば50℃〜200℃の範囲の温度を含む成膜方法で固体ソース材料前駆体を使用できる。
【0035】
他の実施態様において、本開示は、アンモニア若しくは水素などの共反応剤(co−reactant)を含む成膜法によってタングステンを含む核形成層を形成して、対応する窒化タングステン膜又は元素状タングステン膜を形成することを意図しており、又はアンモニアと水素の両方をガス混合物として使用してもよく、ガス混合物は例えば固体ソース材料蒸気と別々に若しくは固体ソース材料蒸気とさらに混合物して成膜チャンバーへ流して成膜を行い、所望の特性のタングステン含有膜を形成させる。様々な実施態様において核形成層の厚さは100Å未満であってもよく、又は核形成層におけるその後の成膜と適合する任意の他の適切な厚さであってもよい。
【0036】
本開示のタングステン固体ソース材料を利用してタングステン含有材料を基材上に成膜する気相成長法は、任意の適切な種類のものであってもよい。本開示の様々な実施で使用できる考えられる気相成長法としては、限定はされないが、化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)、疑似ALD、パルスCVD、及びプラズマ強化又はプラズマ支援CVDが挙げられる。
【0037】
特定の実施態様において、本開示のタングステン固体ソース材料、及び水素ソースを使用した固体送出気相成長法によってタングステンを成膜する。水素ソースは、アンモニア、水素、水素プラズマ、アンモニアプラズマ、プラズマ状又は非プラズマ状の水素とアンモニアの混合物、又はリモートプラズマ水素ソースであってもよい。適切なベース層(接着層)、例えばスズ、WN、TaN、TiAlN、TaAlN、TiTaNなどを介して基材上に、タングステンを成膜してもよい。
【0038】
本開示は、タングステン成膜の前に、WN層を基材上にシード層としてin situで形成させることも意図している。窒化タングステン層を、窒化チタン、窒化タンタル、窒化チタンアルミニウムなどの接着層上に形成させてもよい。あるいは、接着層を全く使用せずに窒化タングステン層を基材上に直接形成させてもよい。
【0039】
したがって本開示は、タングステン含有材料を基材上に、例えば薄膜などの任意の適切な厚さの膜で成膜するための、多様な技術及び実施を意図していることが認識されるであろう。
【0040】
したがって本開示は、本開示のタングステン固体ソース材料からタングステンメタライゼーションにより基材をメタライズすることを含む、マイクロ電子デバイスの製造方法を意図しており、メタライゼーションは元素状タングステン又はタングステン組成物(例えば、タングステン合金又は他のタングステン化合物)の形態である。そのようなメタライズすることは、マイクロ電子デバイス又はデバイス前駆体の相互接続構造体、ワード線若しくはビット線、又は他の構造体をもたらすのに利用できる。
【0041】
本開示のタングステン固体ソース材料は、本明細書における本開示に基づき、当技術分野の技術の範囲内で容易に調製できる。タングステン固体ソース材料の精製は、固体の繰り返し分別昇華、有機溶媒からの固体生成物の再結晶、及び/又は有機溶媒によるカラムクロマトグラフィーの使用とそれに続く生成物の単離によって実現できる。
【0042】
図面を参照すると、
図1は、本開示の一実施態様による、タングステン固体ソース材料が入った、タングステン固体ソース材料の貯蔵及び分注パッケージ100の模式図である。
【0043】
固体ソース材料の貯蔵及び分注パッケージ100は、例えば例示されるように概して円筒形であってもよい容器102を含み、容器102はその中の内部容積部104を画定している。この実施態様において、タングステン固体ソース材料は周囲温度条件で固体であり、そのような固体ソース材料は容器の内部容積部104の中に配置されたトレー106の表面上で担持されていてもよく、トレーは、容器を使用した分注において容器中でバルブヘッド組立体へ向かって上方への蒸気が流れるための、トレーに結合された流路管108を有する。
【0044】
固体ソース材料は容器の内部容積部の内表面上、例えばトレー106及び管108の表面上に担持される。固体ソース材料は容器の内部容積部中へ任意の適切な方法で導入することができ、固体ソース粒子状原料を容器へ導入した後に固体ソース材料を容器中でin situで焼結させることができる。in situの焼結は冷間焼結を含んでいてもよく、又は熱と圧力の両方を粒子状原料へ加えることによる、又は熱のみを加えることによる粒子状固体ソース材料の圧密を含んでいてもよい。
【0045】
容器102は首状部109を有し、これにバルブヘッド組立体110が接合されている。バルブヘッド組立体は示されている実施態様においてハンドル112を備えているが、代わりに空気圧式バルブアクチュエータなどの自動バルブアクチュエータを含むバルブヘッド組立体を採用してもよい。バルブヘッド組立体110は分注口114を含み、これは流路を容器へつなぐための取付要素又は接続要素へ連結するように構成されていてもよい。そのような流路は
図1において矢印Aによって模式的に表され、流路は下流のALD又は化学気相成長チャンバー(
図1には示されない)へ連結されていてもよい。
【0046】
使用時、容器102を加熱し、それにより容器中の固体ソース材料を少なくとも部分的に揮発させて固体ソース材料蒸気をもたらす。そのような熱の投入は参照矢印Qによって模式的に表されている。ハンドル112をバルブの開放位置に変えると、バルブヘッド組立体110内のバルブ流路を通って容器から固体ソース材料蒸気が放出され、すると前駆体から生じる蒸気が矢印Aによって模式的に示される流路に分注される。
【0047】
本開示のタングステン固体ソース材料は、下流の前駆体を利用するプロセスの装置又は設備へ固体ソース材料を分注するための様々な適切な容器中に充填してもよいことが認識されるであろう。
【0048】
本開示の特徴及び利点を、以下の非限定的な例によってさらに充分に示す。
【実施例】
【0049】
実施例1
タングステンヘキサカルボニルの気化試験を行って、タングステンヘキサカルボニル固体ソース材料を評価した。
【0050】
タングステンヘキサカルボニル材料が入った気化器アンプルを操作して生じた蒸気をモニタリングするためにサーモパイル赤外(TPIR)検出器を使用した。TPIR検出器は1メートルの直線状セルを使用し、参照チャンネル、「遊離」一酸化炭素(CO)のチャンネル、二酸化炭素(CO
2)のチャンネル、及び5.0ミクロンでフィルタリングされるチャンネルでのW(CO)
6とMo(CO)
6の両方の検出を可能にするための5.0ミクロンにおける金属中心に配位しているCOのチャンネルで構成された。
【0051】
以下の表1に示す粒径分布を有する粒子状タングステンヘキサカルボニル材料を用いて、NSIアンプル#1と表される第1の気化器容器を操作した。
【0052】
図2は、650グラムのタングステンヘキサカルボニル材料が入ったそのようなアンプル#1をモニタリングする、サーモパイル赤外(TPIR)検出器の出力のグラフであり、チャンネル1=CO、チャンネル2=CO
2、チャンネル3=タングステンヘキサカルボニル、及びチャンネル4=参照である。アンプルを55℃に加熱し、タングステンヘキサカルボニル固体ソース材料に接触させアルゴンキャリアガス中の揮発したタングステンヘキサカルボニルをアンプルから分注するために、アルゴンキャリアガスを500標準立方センチメートル毎分(sccm)の流量及び40torrの圧力でアンプルに通して流した。
【0053】
アンプル#1を60分の最初の連続フロー平衡によって操作し、続いて規定の流量のアルゴン流を用いる5秒の「ON」操作、及びアルゴン流を用いない10秒の「OFF」操作の繰り返しのサイクルを含む500sccmアルゴンパルス試験を行った。TPIRデータは試験の最初の1時間の間にガス相濃度の急速な低下を示し、これは粒子状固体ソース材料中の揮発性Mo(CO)
6がW(CO)
6よりも多く揮発したことに起因していた。アンプル#1中の粒子状固体ソース材料は焼結されなかった。
【0054】
複数回再生利用されている、以下の表2に示す粒径分布を有する粒子状タングステンヘキサカルボニル材料を用いて、NSIアンプル#2と表される第2の気化器容器を操作した。
【0055】
アンプル#2を60分の最初の連続フロー平衡によって操作し、続いて規定の流量のアルゴン流を用いる5秒の「ON」操作、及びアルゴン流を用いない10秒の「OFF」操作の繰り返しのサイクルを含む500sccmアルゴンパルス試験を行った。
【0056】
図3は、タングステンヘキサカルボニル材料が入ったアンプル#2をモニタリングする、サーモパイル赤外(TPIR)検出器の出力のグラフであり、チャンネル1=CO、チャンネル2=CO
2、チャンネル3=タングステンヘキサカルボニル、及びチャンネル4=参照である。アンプルを55℃に加熱し、タングステンヘキサカルボニル固体ソース材料に接触させアルゴンキャリアガス中の揮発したタングステンヘキサカルボニルをアンプルから分注するために、アルゴンキャリアガスを500標準立方センチメートル毎分(sccm)の流量及び40torrの圧力でアンプルに通して流した。このアンプル中の材料は焼結されなかった。
【0057】
図3のデータは、タングステンヘキサカルボニル濃度の初期の大幅な低下がなかったこと、及びタングステンヘキサカルボニル濃度が蒸気の分注操作の間安定であったことを示す。タングステンヘキサカルボニル固体ソース材料のその後の解析は、約320ppmのモリブデンを含有することを示した。モリブデン含量がより少ないと、アンプル#1の操作において見られたような、アンプルからの送出時間の初期における濃度の大きな低下を生じさせないことが結論づけられた。
【0058】
図4は、第1のアンプル(NSI #1)及び第2のアンプル(NSI #2)における、分布における粒子の%を粒径の範囲の関数として粒径の様々な部分範囲について示す、粒径分布の比較のグラフである。
【0059】
図5は、アンプルでin situで形成された1つの固体の塊を示す、55℃にてアンプル中で72時間加熱した後の焼結タングステンヘキサカルボニル材料の写真である。材料の融点をはるかに下回っているにもかかわらず、固体はほとんど溶融しているように見える。この材料は焼結後の硬質の固体の塊であり、大きな力によって破壊して大きな断片にすることができる。焼結した塊の利点としては、前駆体の気化のための均一な表面積をもたらすこと、キャリアガスで運ばれる粒子の形成が低減されること、固体ソース材料蒸気が下流のタングステン成膜プロセスチャンバーへより均一に送出されること、輸送の際のアンプル中の焼結材料の動きがより少ないことが挙げられる。
【0060】
原料の粒子状タングステンヘキサカルボニル固体ソース材料の粒径分布は、原料の粒子状固体ソース材料を焼結するための時間及び温度を決定するのに重要である。焼結された固体ソース材料を作製するために任意の適切な温度及び時間を使用できるが、より小さい径の粒子はより急速に焼結し、焼結は100℃未満の温度で有利に行われる。
【0061】
そのような材料からの生成した蒸気中のタングステンヘキサカルボニルの濃度が過度に低下することなく、固体ソース材料蒸気の有利な初期段階の送出を実現するために、並びに均一な送出、及び関連する気相成長法、例えば原子層堆積(ALD)又は化学気相成長(CVD)の再現性の点で安定な操作を実現するためには、本開示のタングステンヘキサカルボニル固体ソース材料は1000ppm未満のモリブデン含量を有する。
【0062】
モリブデンは、採掘されたままのタングステン中に特徴的に存在する、タングステンの自然の不純物であり、タングステン及びモリブデンヘキサカルボニルはカルボニル化プロセスの間に生成する。これまで、微量のモリブデンであってもタングステン気相成長法において非常に有害である場合があると認識されていなかった。したがって、本開示のタングステンヘキサカルボニル固体ソース材料は、タングステンのメタライゼーション法の分野における大きな進歩を実現する。
【0063】
本開示は特定の態様、特徴、及び例示的な実施態様に関して本明細書に示されているが、本開示の利用はこのように限定はされず、むしろ、本明細書における説明に基づいて本開示の分野の業者が思いつくような、多くの他の変形物、修正物、及び代替的実施態様にまで及び、それらを包含することが理解されるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲に記載される本開示は、その趣旨及び範囲内でそのようなあらゆる変形物、修正物、及び代替的実施態様を含むものとして広く理解及び解釈されることを意図している。