特許第6886243号(P6886243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886243
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20210603BHJP
   G01N 35/00 20060101ALN20210603BHJP
【FI】
   G01N35/10 C
   G01N35/10 A
   !G01N35/00 E
   !G01N35/00 F
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-34883(P2016-34883)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-151002(P2017-151002A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月11日
【審判番号】不服2020-10879(P2020-10879/J1)
【審判請求日】2020年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 正治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 功夫
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 渡戸 正義
【審判官】 福島 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−32310(JP,A)
【文献】 特開2007−101366(JP,A)
【文献】 特開2010−175417(JP,A)
【文献】 特開2008−175791(JP,A)
【文献】 特開2005−181135(JP,A)
【文献】 特開平1−219670(JP,A)
【文献】 特開2009−115614(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/017294(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下及び水平方向に移動し、液体容器から液体を吸引して、反応容器に吐出する液体分注ノズルと、当該液体分注ノズルを上下方向及び水平方向に移動させる支柱とを有する液体分注機構と、
上記反応容器が複数配置される反応槽と、
上記反応容器内の試料を計測する光度計と、
上記液体分注機構の上記支柱の側面側に配置され、上記支柱の移動に伴って、上記液体分注ノズルの上下方向及び水平方向に移動し、上記液体分注ノズルの側面側から上記液体分注ノズルの先端部分を撮影する液体分注ノズル用カメラと、
上記液体分注機構、上記反応槽、上記光度計、及び上記液体分注ノズル用カメラの動作を制御する制御部と、
を備え
上記反応槽は、上記液体分注ノズルから上記液体が吐出される液体吐出位置を有し、上記液体吐出位置における上記反応槽の側面に透明の反応槽スリットが形成されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
上記液体分注機構は、試料容器から試料を吸引して上記反応容器に吐出する試料分注ノズルを有する試料分注機構であり、上記液体分注ノズル用カメラは、上記試料分注機構の上記支柱の移動に伴って、上記試料分注ノズルの上下方向及び水平方向へ移動し、上記試料分注ノズルの先端部分を撮影する試料分注ノズル用カメラであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置において、
上記試料分注ノズル用カメラは、上記試料分注機構の上記支柱に取り付けられていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動分析装置において
記反応槽は筐体を有し、上記試料分注機構の上記支柱は、上記筐体内を上下方向に移動し、上記試料分注ノズル用カメラは、上記試料分注機構の上記支柱の上記筐体内での上下方向移動に伴って、上記筐体内を上下方向に移動することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動分析装置において、
上記反応槽は上記試料分注ノズルから試料が吐出される試料吐出位置を有し、上記反応容器は四角形の底面を有し、上記試料分注機構の上記支柱の中心軸に直交する線と試料吐出位置の中心点とを結ぶ直線が、上記試料吐出位置に配置された上記反応容器の互いに対向する2つ壁面に直交するように、上記試料分注機構の上記支柱が配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項2に記載の自動分析装置において、
上記試料分注機構は、上記試料分注機構の上記支柱に取り付けられ、水平方向に延び、上記試料分注ノズルを支持する試料分注アームと、この試料分注アームに取り付けられ、上記試料分注ノズル用カメラが取付けられた補助アームとを有し
記反応槽は上記試料分注ノズルから試料が吐出される試料吐出位置を有し、上記反応容器は四角形の底面を有し、上記試料分注ノズル用カメラの撮影方向中心線と上記試料吐出位置の中心点とを結ぶ直線が、上記試料吐出位置に配置された上記反応容器の互いに対向する2つ壁面に直交するように、上記試料分注機構の上記支柱が配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項2に記載の自動分析装置において
記反応槽は筐体を有し、
上記試料分注機構は、上記試料分注機構の上記支柱に取り付けられ、水平方向に延び、上記試料分注ノズルを支持する試料分注アームと、この試料分注アームに取り付けられ、上記試料分注ノズル用カメラが取付けられた補助アームとを有し、
上記反応槽は上記試料分注ノズルから試料が吐出される試料吐出位置を有し、上記反応容器は四角形の底面を有し、
上記筐体は、第1のミラーと、第2のミラーとを内部に有し、上記第1のミラーは、上記試料吐出位置と上記第1のミラーの中心点とを結ぶ直線が上記反応容器の互いに対向する2つ壁面に直交するように配置され、上記第2のミラーは、上記試料分注ノズルが上記試料吐出位置に位置するとき、上記第1のミラーが反射した上記試料分注ノズルの像が入射される位置であり、かつ、入射した上記試料分注ノズルの像を上記試料分注ノズル用カメラに反射できる位置に配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項3に記載の自動分析装置において
記反応槽は、上記試料分注ノズルの水平方向への移動経路の一部を間にして互いに対向して配置される内側プローブガードと外側プローブガードとを有し、上記試料分注ノズル用カメラは、上記試料分注ノズルの先端部が、上記内側プローブガードと上記外側プローブガードとの間に位置したときに、上記試料分注ノズル用カメラの撮影方向中心線が、上記内側プローブガードに遮られることなく、上記試料分注ノズルの先端部と交差するように斜め下方向に向けて、上記試料分注機構の上記支柱の上方に取り付けられていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動分析装置において、
上記外側プローブガードの、上記内側プローブガードに対向する側の側面に鏡面が形成されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項2に記載の自動分析装置において、
上記試料分注ノズルの上下方向の移動と、上記試料分注ノズル用カメラの上下方向の移動とを共通して行う駆動機構を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1に記載の自動分析装置において、
上記液体分注機構は、試薬容器から試薬を吸引して上記反応容器に吐出する試薬分注ノズルを有する試薬分注機構であり、上記液体分注ノズル用カメラは、上記試薬分注機構に配置され、上記試薬分注ノズルの上下方向及び水平方向に移動し、上記試薬分注ノズルの先端部分を撮影する試薬分注ノズル用カメラであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自動分析装置において、
上記試薬分注機構は、一方端が上記試薬分注機構の上記支柱に支持される第1試薬分注アームと、この第1試薬分注アームの他方端に、その一方端が回転可能に支持される第2試薬分注アームとを有し、上記第2試薬分注アームの他方端に上記試薬分注ノズルが支持され、上記試薬分注ノズル用カメラは、上記試薬分注ノズルの上下方向及び水平方向の移動に伴って移動し、上記試薬分注ノズルの先端部分を撮影することを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
請求項11に記載の自動分析装置において、
上記試薬分注ノズル用カメラは、上記試薬分注機構の上記支柱に取り付けられていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
請求項1に記載の自動分析装置において、
上記液体分注機構は、上下及び水平方向に移動し、試料容器から試料を吸引して、反応容器に吐出する試料分注ノズルを有する試料分注機構と、上下及び水平方向に移動し、試薬容器から試薬を吸引して、上記反応容器に吐出する試薬分注ノズルを有する試薬分注機構とを有し、
上記液体分注ノズル用カメラは、上記試料分注機構に配置され、上記試料分注ノズルの上下方向及び水平方向の移動に伴って移動し、上記試料分注ノズルの先端部分を撮影する試料分注ノズル用カメラと、上記試薬分注機構に配置され、上記試薬分注ノズルの上下方向及び水平方向の移動に伴って移動し、上記試薬分注ノズルの先端部分を撮影する試薬分注ノズル用カメラとであることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査に供される、生体試料中の特定成分の定性・定量分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液、尿等の生体試料中に含まれる成分を分析する臨床検査では、試料と試薬を反応させ、反応液の色の変化を吸光度変化として測定し、目的成分の定性・定量分析をする方式が一般的である。
【0003】
近年、臨床検査では検査結果の妥当性を証明することが要求されている。そのために、検査工程の自動化が普及した現在の臨床検査室では、検査に用いられる自動分析装置の個々の測定プロセスを検証することができる仕組みが求められている。
【0004】
自動分析装置の測定プロセスにおいて、試料や試薬の分注に関する動作は非常に重要である。
【0005】
例えば、試料分注動作は、試料容器からの試料吸引動作、反応容器への試料吐出動作、洗浄槽での試料分注ノズル洗浄動作、各動作間のノズル移動動作から構成される。これらの動作は、試料分注機構によって行われ、特に試料分注機構を構成する試料分注ノズルの先端の状態を観察することが重要である。
【0006】
特許文献1には、試験管の上方でノズル先端を撮像するカメラを備え、ノズル先端開口付近の画像を取得し、ノズルに液体を吸入・吐出させるポンプの作動を制御し、液垂れの発生を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−227103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術において、上記カメラはZ軸アームに配置されているものの、ノズルを下降させるZ軸方向移動手段とは独立した位置に配置されている(特許文献1の図1において下降途中のノズル先端はカメラから相当程度離れた位置に図示されている)。
【0009】
このため、試料容器や試薬容器にまでノズルを下降して行う試料吸引動作や試料吐出動作を上記カメラで撮像することは困難である。
【0010】
従い、これらの動作を撮像するためには吸引動作を行うために試料容器内を撮像する位置や吐出動作を行うために反応容器内を撮像する位置に別途カメラを設ける必要がありカメラの個数の増加を伴う。例えば、試料容器内と反応容器内を撮像するためには夫々2つのカメラが追加で必要となる。
【0011】
また、特許文献1には、カメラはZ軸アームに配置されており、Z軸アームにはX軸方向移動手段が設けられているため水平方向に移動することができる構成となっている。しかしながら、Z方向への移動については何ら開示されておらずZ方向への移動中のノズルの先端をカメラで撮像することはできない。
【0012】
従い、移動中のノズル先端を撮像するためにはカメラをZ方向へ移動させるためのアクチュエータが別途必要となり構造の複雑化を招いてしまう。
【0013】
以上のように、特許文献1に開示の技術では、吸引動作、吐出動作、洗浄動作といった複数の異なる位置で実行される動作を1つのカメラで撮像することは困難であった。
【0014】
また、Z方向移動中のノズル先端を撮像することは困難であった。
【0015】
本発明の目的は、吸引動作、吐出動作、洗浄動作の複数の異なる位置で実行される動作を1つのカメラで撮像可能な自動分析装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0017】
自動分析装置において、上下及び水平方向に移動し、液体容器から液体を吸引して、反応容器に吐出する液体分注ノズルと、当該液体分注ノズルを上下方向及び水平方向に移動させる支柱とを有する液体分注機構と、上記反応容器が複数配置される反応槽と、上記反応容器内の試料を計測する光度計と、上記液体分注機構の上記支柱の側面側に配置され、上記支柱の移動に伴って、上記液体分注ノズルの上下方向及び水平方向に移動し、上記液体分注ノズルの側面側から上記液体分注ノズルの先端部分を撮影する液体分注ノズル用カメラと、上記液体分注機構、上記反応槽、上記光度計、及び上記液体分注ノズル用カメラの動作を制御する制御部と、を備え、上記反応槽は、上記液体分注ノズルから上記液体が吐出される液体吐出位置を有し、上記液体吐出位置における上記反応槽の側面に透明の反応槽スリットが形成されている

【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、吸引動作、吐出動作、洗浄動作の複数の異なる位置で実行される動作を1つのカメラで撮像可能な自動分析装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明が適用された自動分析装置の全体概略構成図である。
図2】本発明が適用された試料分注機構の構成説明図である。
図3】本発明が適用された試料分注機構の概略平面図である。
図4】本発明が適用された試料分注機構の動作フローチャートである。
図5】本発明が適用された試料分注機構の洗浄位置における動作説明図である。
図6】本発明が適用された試料分注機構の洗浄位置における動作説明図である。
図7】本発明が適用された試料分注機構の洗浄位置における動作説明図である。
図8】本発明が適用された試料分注機構の試料吐出位置における下方位置での説明図である。
図9】本発明が適用された試料分注機構と、反応槽に配置され試料吐出位置に位置する反応容器の配置説明図である。
図10】本発明が適用された試料分注機構に補助アームを付した場合の例の説明図である。
図11】本発明が適用された試料分注機構に補助アームを付した場合の他の例の説明図である。
図12】プローブガードが形成されている場合の例に本発明が適用された試料分注ノズル用カメラ20を配置する説明図である。
図13】作業者をプローブから保護等するためのプローブガードが形成されている場合の例であり図12の例の変形例の説明図である。
図14】本発明が適用された間接(折れ曲がり機構)を備えた試薬分注機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明が適用された自動分析装置の全体概略構成図である。
【0022】
図1において、操作部1に内蔵された制御ユニット(制御部)6は、インタフェース3を介して、分析部2の動作を制御する。試料分注機構9は、試料を測定する際に、必要な試料量を試料容器8から吸引する。試料分注機構9の支柱32には試料分注ノズル用カメラ20が設置され、この試料分注ノズル用カメラ20は試料分注ノズル18の先端を撮影する。
【0023】
試料分注ノズル18は、反応槽17の試料吐出位置に回転移動したのちに下降動作し、反応槽17に配置された反応容器10に試料を吐出する。
【0024】
このとき、試料分注機構9の支柱(試料分注機構支柱)32に設置された試料分注ノズル用カメラ20は、試料分注ノズル18の先端を撮影する。
【0025】
上記試料吐出位置における反応槽17の側面には、透明の材質で形成された反応槽スリット24が形成されており、試料分注ノズル18が試料吐出位置の反応容器10内に下降した場合も、反応槽スリット24を介して、試料分注ノズル用カメラ20は、試料分注ノズル18の先端の反応容器10内での様子を撮影できる。
【0026】
反応容器10内に試料を吐出した試料分注ノズル18は、試料分注ノズル洗浄機構22へ移動し、試料分注ノズル18の先端の洗浄が実施される。
【0027】
試料分注ノズル洗浄機構22は、洗浄水を噴射する洗浄ノズル33(後述する)と試料分注ノズル18に付着した洗浄水の液滴を除去する液滴除去機構(空気吸引・空気噴射のいずれも含む)と廃液を排出する洗浄槽とを備えている。
【0028】
試料分注ノズル用カメラ20は、試料分注ノズル洗浄機構22における試料分注ノズル18の洗浄の様子を撮影する。
【0029】
試料分注ノズル洗浄機構22における試料分注ノズル18の洗浄が終了すると、次の測定動作へ移行する。
【0030】
試料分注ノズル18から試料が吐出された反応容器10は、反応槽17における、試薬吐出位置に回転移動される。試薬分注機構14は、試薬ディスク13に格納されている試薬ボトル(試薬容器)12内の必要な試薬を試薬分注ノズル15により吸引する。
【0031】
試薬分注機構14の試薬分注機構支柱42に設置された試薬分注ノズル用カメラ21は、試薬分注ノズル15の先端を撮影する。
【0032】
試薬分注ノズル15は、反応槽17の試薬吐出位置に回転移動したのちに下降動作し、反応槽17に配置された反応容器10に試薬を吐出する。
【0033】
試薬吐出位置においても、試薬分注機構14の支柱42に設置された試薬分注ノズル用カメラ21は、試薬分注ノズル15の先端を撮影する。
【0034】
上記試薬吐出位置における反応槽17の側面には、透明の材質で形成された反応槽スリット25が形成されており、試薬分注ノズル15が反応容器10内に下降した場合も、反応槽スリット25を介して、試薬分注ノズル用カメラ21は、試薬分注ノズル15の先端の反応容器10内での様子を撮影できる。
【0035】
反応容器10内に試薬を吐出した試薬分注ノズル15は、試薬分注ノズル洗浄機構23へ移動し、試薬分注ノズル15の先端の洗浄が実施される。
【0036】
試薬分注ノズル洗浄機構23は、試料分注ノズル洗浄機構22と同様に、洗浄水を噴射する洗浄ノズルと試薬分注ノズル15に付着した洗浄水の液滴を除去する液滴除去機構と廃液を排出する洗浄槽とを備えている。
【0037】
試薬分注ノズル用カメラ21は、試薬分注ノズル洗浄機構23における試薬分注ノズル15の洗浄の様子を撮影する。
【0038】
試薬分注ノズル15は洗浄が終了すると、次の試薬の吸引動作へ移行する。試薬が吐出された反応容器10は、反応槽17の撹拌位置に回転移動し、撹拌機構16によって、試料と試薬との撹拌動作が実施される。そして、撹拌動作が終了した反応容器10は、反応槽17内を回転移動する。
【0039】
反応容器10が回転移動し、光度計11の前を横切る際に、吸光度が計測される。光度計11により計測された吸光度は、インタフェース3を介して操作部1のデータ演算ユニット5に送られる。データ演算ユニット5は、計測された吸光度を用いて、対象物質の濃度を演算し、測定結果を算出する。算出された測定結果は、データ記憶部7に格納され、表示部26に表示される。
【0040】
試料分注ノズル用カメラ20により撮影された撮影データと、試薬分注ノズル用カメラ21により撮影された撮影データは、インタフェース3を介して操作部1の撮影画像記憶部19に送られ、撮影画像記憶部19に格納される。操作部1の入力機構4はキーボードやマウスであり、オペレータにより試料情報等その他の情報が入力機構4により入力される。
【0041】
制御ユニット(制御部)6は、試料分注機構9、試薬分注機構14、試薬ディスク13、反応槽17、試料分注ノズル用カメラ20、試薬分注ノズル用カメラ21等の分析部2全体の動作を制御する。
【0042】
図2は、試料分注機構9の構成説明図である。図2において、試料分注機構9は、上下方向に延びる試料分注機構支柱32、水平方向に延びる試料分注アーム31、上下方向に延びる試料分注ノズル18および試料分注ノズル用カメラ20を備えている。試料分注アーム31は、試料分注機構支柱32に取り付けられ、試料分注ノズル18を支持する。
【0043】
試料分注ノズル用カメラ20は、試料分注機構支柱32に設置されており、距離Aの位置にある試料分注ノズル先端34の付近である撮影エリア27(破線で示す)を常時撮影可能である。
【0044】
試料分注ノズル18の回転移動、上下移動は、駆動機構55により試料分注機構支柱32を回転動作、上下動作させることにより行われるが、試料分注機構支柱32に設置された試料分注ノズル用カメラ20も、駆動機構55による試料分注機構支柱32の回転動作、上下動作に伴い、回転動作及び上下動作が行われる。試料分注機構支柱32の下降動作は、反応槽17の筐体54(一部を図11に示す)の内部に挿入することにより行われる。
【0045】
試料分注ノズル用カメラ20及び試料分注ノズル先端34は、基準高さHの直上位置に配置され、この基準高さHから下方向に移動して、試料の吸引吐出動作が行われる。
【0046】
図3は、本発明が適用された試料分注機構9の概略平面図である。図3において、試料分注アーム31は、試料分注機構支柱32を軸にし、水平方向に円弧を描くように動作する。
【0047】
試料分注アーム31の水平方向の停止位置は3箇所ある。試料吸引位置30と、試料分注ノズル洗浄槽位置29と、試料吐出位置28である。
【0048】
図3において、試料分注ノズル洗浄槽位置29にて、試料分注ノズル洗浄機構22で洗浄の終了した試料分注ノズル18は、区間βを経由して試料吸引位置30へ移動する。
【0049】
区間βを移動中の試料分注ノズル18は、試料分注機構支柱32に取り付けられ、試料分注機構支柱32の上下水平移動とともに移動する試料分注ノズル用カメラ20により撮影が可能である。
【0050】
試料吸引位置30で、試料容器8から試料を吸引した試料分注ノズル18は、区間β、区間αを経由して、試料吐出位置28へ移動する。区間β、区間αを移動中の試料分注ノズル18は、試料分注ノズル用カメラ20により撮影が可能である。
【0051】
試料吐出位置28に到着した試料分注ノズル18は、反応容器10へ試料を吐出する。試料吐出位置28にて、試料吐出後、試料分注ノズル18は、区間αを経由して試料分注ノズル洗浄槽位置29へ移動する。
【0052】
図4は、本発明が適用された試料分注機構9の動作フローチャートである。試料分注機構9の動作フローをSTEP1からSTEP15まで順に説明する。
【0053】
STEP1において、試料分注ノズル18は、試料吸引位置30で停止する。このとき、試料分注ノズル用カメラ20は、試料分注ノズル18の先端部分の撮像エリア27の静止画を撮影する。撮影された静止画は、インタフェース3を介してデータ記憶部7に対照画像として格納される。
【0054】
次に、STEP2において、試料分注ノズル18は下降動作を開始する。
【0055】
そして、STEP3において、試料分注ノズル18は試料液面を検出し、下降動作を停止する。
【0056】
STEP2の試料分注ノズル18の下降動作開始時点から、STEP3の下降動作停止時点までにおける試料分注ノズル18の先端付近が試料分注ノズル用カメラ20により動画として撮影され、データ記憶部7に格納される。これは、試料分注ノズル18の下降動作中に先端部からダミー試料等の液体が飛散する可能性があるためである。
【0057】
STEP3において、下降動作が停止したら、そのときの試料分注ノズル18の先端部の静止画像を試料分注ノズル用カメラ20により撮影することで、試料分注ノズル18の先端が適切に試料に到達しているか否かをチェックする。この場合、例えば、試料容器8内の分離剤の層に試料分注ノズル18が達している場合には、表示部26に異常発生のアラームを発生させる。
【0058】
この異常が発生したか否かの判断は、STEP1において、データ記憶部7に格納された対照画像と、撮影した試料分注ノズル18の先端部付近の静止画像とを比較することにより行われる。
【0059】
この比較は、例えば、撮影した静止画像と、データ記憶部7に格納された対照画像とを画像処理し、両者の画像差分をデータ演算ユニット5が演算し、演算した画像差分に従って行われる。
【0060】
また、STEP2からSTEP3の間における試料分注ノズル18から試料等が飛散したか否かの判断は、データ記憶部7に格納された対照画像と、撮影された動画の各フレーム画像とを比較することで、行うことができる。STEP2からSTEP3の間における試料分注ノズル18から試料等が飛散したと判断したときは、異常発生を表示部26に表示させる。
【0061】
次に、STEP4において、試料分注ノズル18は試料容器8内の試料の吸引を開始する。
【0062】
そして、STEP5において、試料分注ノズル18は試料の吸引を停止する。試料分注ノズル18が試料の吸引を停止すると、試料分注ノズル用カメラ20が静止画像を撮影する。撮影した静止画は、上述と同様にしてデータ記憶部7に格納された対照画像と比較され、試料分注ノズル18の先端に異物の付着が無いか否かをチェックする。
【0063】
例えば、試料分注ノズル18の先端にフィブリン等の異物が付着していると判断した場合には、表示部26にアラームを発生させる。
【0064】
次に、STEP6において、試料分注ノズル18は上昇動作を開始する。
【0065】
そして、STEP7において、試料分注ノズル18は上昇動作を停止する。
【0066】
STEP6の試料分注ノズル18の上昇動作開始時点から、STEP7の上昇動作停止時点までにおける試料分注ノズル18の先端付近が試料分注ノズル用カメラ20により動画として撮影され、データ記憶部7に格納される。これは、試料分注ノズル18の上昇動作中に先端部から試料等の液体が飛散する可能性があるためである。
【0067】
そして、STEP7において、上昇動作が停止したら、そのときの試料分注ノズル18の先端部の静止画像を試料分注ノズル用カメラ20により撮影する。これにより、試料分注ノズル18の先端に異物の付着が無いかをチェックする。このチェックは、上述したように、データ記憶部7に格納された対照画像と、撮影した静止画像とを比較することにより行われる。
【0068】
次に、STEP8において、試料分注ノズル18は、試料分注ノズル洗浄槽位置29を経由して試料吐出位置28へ水平移動する。
【0069】
そして、STEP9において、試料分注ノズル18は試料吐出位置28で停止する。
【0070】
STEP8の試料分注ノズル18の水平移動開始時点から、STEP9の停止時点までにおける試料分注ノズル18の先端付近が試料分注ノズル用カメラ20により動画として撮影され、データ記憶部7に格納される。これは、試料分注ノズル18の水平移動動作中に先端部から試料等の液体が飛散する可能性があるためである。上述したと同様にして、撮影した動画により、区間α、区間βにおける試料の飛散有無を判断する。試料の飛散があったと判断した場合には、異常発生のアラームを表示部26に表示させる。
【0071】
次に、STEP10において、試料分注ノズル18は反応容器10内へ下降動作を開始する。
【0072】
そして、STEP11において、試料分注ノズル18は反応容器10の底面に到達すると、試料の吐出を開始する。
【0073】
STEP10からSTEP11までの、試料分注ノズル18の先端部は、上述と同様にして、試料分注ノズル用カメラ20により動画として撮影され、試料等の飛散等の異常が発生した場合は、アラームが表示部26に表示される。
【0074】
次に、STEP12において、試料分注ノズル18が反応容器10への試料の吐出を終了する。
【0075】
そして、STEP13において、試料分注ノズル18が上昇動作を開始する。
【0076】
STEP14において、試料分注ノズル18が上昇を停止する。
【0077】
STEP13からSTEP14までの、試料分注ノズル18の先端部は、上述と同様にして、試料分注ノズル用カメラ20により動画として撮影され、試料等の飛散等の異常が発生した場合は、アラームが表示部26に表示される。
【0078】
また、STEP14にて試料分注ノズル18が上昇動作を停止した後、試料分注ノズル18の先端部の静止画像を撮影し、上述と同様にして、試料の付着有無をチェックし、試料分注ノズル18の先端部に試料が付着していると判断した場合は、異常発生アラームが表示部26に表示される。
【0079】
次に、STEP15において、試料分注ノズル18は、試料分注ノズル洗浄槽位置29へ移動する。試料分注ノズル18が試料分注ノズル洗浄位置29への水平移動期間中における試料分注ノズル18の先端部は、試料分注ノズル用カメラ20により動画像として撮影され、区間αにおける試料飛散の有無がチェックされる。この動画像による試料飛散のチェックは、STEP8からSTEP9における試料分注ノズル18の試料の飛散判断と同様にして行われる。
【0080】
図5は、本発明が適用された試料分注機構9の洗浄位置における動作説明図である。図5において、試料分注ノズル18は、試料分注ノズル洗浄機構22に備えられた洗浄ノズル33から吐出される洗浄水により洗浄される。洗浄時には、試料分注ノズル用カメラ20は、距離Aの位置にある試料分注ノズル18の先端の様子を撮影する。これにより、試料分注ノズル18の先端に十分な洗浄水が吐出されているかどうかを画像で捉えることができる。
【0081】
図6は、本発明が適用された試料分注機構9の試料吸引位置30における動作説明図である。図6において、試料分注ノズル18は、試料吸引位置30にて、試料容器8に格納された試料30を吸引する。試料吸引後の試料分注ノズル18の先端の様子は、距離Aの位置にある試料分注ノズル用カメラ20が捉える。試料分注ノズル18が試料吸引を開始するときは、図6に示した状態から、試料容器8の液面にまで下降する。この下降位置にて、試料分注ノズル18が試料吸引を開始するときにも、試料分注ノズル用カメラ20により試料分注ノズル18の先端部を撮影することができる。
【0082】
図7は、本発明が適用された試料分注機構9の試料吐出位置における上方位置での説明図である。反応容器10へ試料を吐出する直前および反応容器10へ試料を吐出した直後の様子は、距離Aの位置にある試料分注ノズル用カメラ20が捉える。ここで、基準高さHは反応槽17の筐体上面位置に対応している。
【0083】
図8は、本発明が適用された試料分注機構9の試料吐出位置における下方位置での説明図である。反応容器10は、恒温環境を維持するための反応槽17の中にセットされている。試料分注ノズル18が反応容器10へ試料を吐出する位置の反応槽17には、反応槽スリット24が設置されている。
【0084】
反応槽スリット24は透明の材料から形成されており、試料分注ノズル18が反応容器10へ試料を吐出する様子は、試料分注支柱32が下降動作を行うに伴って、試料分注ノズル用カメラ20が基準高さHより下方に移動して撮影する。つまり、試料分注ノズル用カメラ20が、反応槽17の上面より下方に移動し、反応槽スリット24及び反応槽17の内部の反応容器10を介して、反応槽17の筐体の上面より下方に位置する試料分注ノズル18の先端部を、この先端部から距離Aの位置にある試料分注ノズル用カメラ20で捉えることができる。
【0085】
図9は、本発明が適用された試料分注機構9と、反応槽17に配置され、試料吐出位置28に位置する反応容器10の配置説明図である。
【0086】
反応槽17と試料分注機構9とを平面図で見た場合、円形状の反応槽17の中心点17cと試料分注機構支柱32の中心軸32cとを結ぶ直線上に試料吐出位置28の中心を位置させることが望ましい。つまり、中心軸32cに直交する線と試料吐出位置の中心点10cと中心点17cとを結ぶ線が直線となるように、配置させることが望ましい。そして、試料分注機構支柱32を回転させて、試料分注アーム31の長手方向中心線を、中心点17cと中心軸32cとを結ぶ直線上に配置させることにより、カメラ20の撮影方向中心線は、中心点17cと中心軸32cとを結ぶ直線上に配置され、反応容器10の中心点10cを通過する。
【0087】
図示した例においては、反応容器10は四角形の底面を有し、互いに対向する2つの辺(容器の壁面)が、中心点17cと中心軸32cとを結ぶ線に直交する配置となる。このような配置関係とすることにより、反応容器10内を、光の屈折等の影響を抑制して撮影することが可能となる。
【0088】
図10は、本発明が適用された試料分注機構9に補助アームを付した場合の例の説明図である。
【0089】
自動分析装置の部品配置等の関係により、円形状の反応槽17の中心点17cと試料分注機構支柱32の中心軸32cとを結ぶ直線上に試料吐出位置28の中心を位置させることが出来ない場合がある。この場合、試料分注ノズル用カメラ20を試料分注機構支柱32に設置したのでは、試料分注ノズル用カメラ20の撮影方向中心線が中心点17cと反応容器10の中心点10cとを結ぶ直線上に配置できない。図10に示した例はこのような場合に対応する例である。
【0090】
図10において、補助アーム35の一方端部が試料分注アーム31の下部に取付けられ、補助アーム35の他方端に試料分注ノズル用カメラ20が取付けられている。試料分注アーム31に取り付けられた試料分注ノズル18が試料吐出位置28に位置する状態で、試料分注ノズル用カメラ20の撮影方向中心線が中心点17cと中心軸32cとを結ぶ直線上に配置される状態となるように、試料分注機構支柱32が配置され、分注ノズル用カメラ20が補助アーム35に取り付けられ、かつ、補助アーム35が試料分注アーム31に取り付けられている。そして、試料吐出位置に配置された四角形の底面を有する反応容器10の互いに対向する2つ壁面に、試料分注ノズル用カメラ20の撮影方向中心線が直交する構成となる。
【0091】
図10に示した例においては、図9の例に比較して、試料分注ノズル用カメラ20が反応槽17の筐体に接近しており、試料分注機構支柱32が下降し、試料分注ノズル18が反応容器10内への挿入動作により、試料分注ノズル用カメラ20が反応槽17の筐体上面に接触する可能性がある。このため、反応槽17の試料吐出位置近傍の反応槽17の筐体には、試料分注ノズル用カメラ20と筐体との衝突を回避し、試料分注ノズル用カメラ20により反応容器10内の試料分注ノズル18の先端が撮影可能なように切欠き又は穴が形成される。
【0092】
なお、図10に示した例は補助アーム35を試料分注アーム31に取り付けた場合の例であるが、補助アーム35の一方端を試料分注機構支柱32に取り付け、補助アーム35の他方端に試料分注ノズル用カメラ20を取り付ける構成であってもよい。
【0093】
図11は、本発明が適用された試料分注機構9に補助アームを付した場合の他の例の説明図である。
【0094】
図11において、補助アーム35の一方端部が試料分注アーム31の下部に取付けられ、補助アーム35の他方端に試料分注ノズル用カメラ20が取付けられている。そして、反応槽17の筐体54の内部の試料吐出位置28の近辺には、ミラー36、37が配置されている。
【0095】
ミラー37(第1のミラー)は、反応槽17の中心点17cと反応容器10の中心点10cとを結ぶ直線上に配置され、反応容器10内に挿入された試料分注用ノズル18の先端部像を反射する。ミラー36(第2のミラー)は、試料分注ノズル18が試料吐出位置に位置するとき、ミラー37が反射した試料分注用ノズル18の先端部像が入射される位置であり、かつ、入射した試料分注用ノズル18の先端部像を試料分注ノズル用カメラ20に反射できる位置に配置されている。
【0096】
上記構成配置により、反応槽17の中心点17cと試料分注機構支柱32の中心軸32cとを結ぶ直線上に試料吐出位置28の中心を位置させることが出来ない場合であっても、反応容器10内に挿入された試料分注用ノズル18の先端部を試料分注ノズル用カメラ20で撮影することができる。
【0097】
なお、試料分注ノズル用カメラ20の撮影方向中心線は、試料分注ノズル18の先端部と交差する配置となっている。
【0098】
また、図11に示した例においては、試料分注アーム31に補助アーム35を取り付ける例であるが、図3に示すように、試料分注ノズル用カメラ20を試料分注機構支柱32に取り付ける例にも適用可能である。その場合は、ミラー36の配置位置が、図11の例とは異なる位置となる。
【0099】
図12は、試料分注ノズル18の水平方向への移動経路に、作業者をプローブから保護等するためのプローブガードが反応槽17に形成されている場合の例に、本発明が適用された試料分注ノズル用カメラ20を適用する説明図である。
【0100】
図12において、プローブガード38、39は、作業者が不意に感染の危険性のある試料分注ノズル18に接触することを防ぐために、配置された接触防御壁である。このため、プローブガード38、39は、試料分注ノズル18の水平方向への移動経路の一部を間にして互いに対向して配置される。
【0101】
試料分注ノズル用カメラ20を試料分注ノズル18の先端を撮影するために、図2等に示したように、試料分注ノズル18の先端部に対して水平な位置に配置すると、試料分注ノズル用カメラ20と試料分注ノズル18の先端との間に内側プローブガード38が位置した場合、内側プローブガード38により、試料分注ノズル18の先端が遮られ、試料分注ノズル用カメラ20により試料分注ノズル18の先端を撮影することができない。
【0102】
そのため、試料分注ノズル用カメラ20を、試料分注ノズル18の先端に対して水平な位置ではなく、内側プローブガード38が試料分注ノズル用カメラ20と試料分注ノズル18の先端との間の障壁とならないように、試料分注機構支柱32の上方に取り付ける。そして、試料分注ノズル用カメラ20の撮影方向中心線が試料分注ノズル先端34と交差するように、試料分注ノズル用カメラ20を斜め下方向に向けて取付け、内側プローブガード38に遮られることなく、試料分注ノズル先端34を観察可能とする。
【0103】
図13は、図12に示した例と同様に、試料分注ノズル18の移動経路に、作業者をプローブから保護等するためのプローブガードが形成されている場合の例であり、図12の例の変形例の説明図である。
【0104】
図12の例においては、内側プローブガード38に遮られることなく、試料分注ノズル先端34を観察可能であるが、試料分注ノズル18の試料分注ノズル用カメラ20と対向する側の反対側(裏側)については、撮影が困難である。
【0105】
そこで、図13に示す例は、外側プローガード39の内側プローブガード38に対向する側の側面に鏡面44を形成する。鏡面44は、試料分注ノズル18の裏側が試料分注ノズル用カメラ20により観察可能なように形成されている。
【0106】
その他の構成は、図12の例と同等となっている。鏡面44は、外側プローブガード39の内側プローブガード38に対向する側の側面全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。また、外側プローブガード39の壁面に対して傾斜して形成されていてもよい。さらに、凹面鏡とすることも可能である。
【0107】
以上の説明は、試料分注機構9に本発明を摘用し、試料分注ノズル用カメラ20により試料分注用ノズル18の先端を撮影する構成であるが、本発明は、試薬分注機構14についても、図2図13に示した例と同様に、試薬分注機構支柱、試薬分注アーム、試薬分注ノズル、カメラ20と同様な試薬ノズル用カメラにより構成し、試薬分注ノズルの先端を撮影することが可能である。
【0108】
試薬分注機構14の構成は、図2の試料分注機構支柱32、試料分注アーム31、試料分注ノズル18、試料ノズル用カメラ20を、それぞれ、試薬分注機構支柱、試薬分注アーム、試薬分注ノズル、試薬分注ノズル用カメラに置き換えたものと同様であるので、図2を試薬分注機構の構成を示す図とすることができる。
【0109】
試薬分注機構14には、試料分注機構9と同様な構成を有する場合の他に、図14に示すような関節機構(折れ曲がり機構)を有する構成がある。つまり、図14において、試薬分注機構14は、上下方向に移動し、かつ、回転する試薬分注機構支柱48と、第1試薬分注アーム45と、第2試薬分注アーム52と、試薬分注ノズル46とを有する。そして、第1試薬分注アーム45の一方端は、試薬分注機構支柱48に支持され、第1試薬分注アーム45の他方端は回転軸53を有し、この回転軸53に第2試薬分注アーム52の一方端が支持される。そして、第2試薬分注アーム52の他方端に試薬分注ノズル46が支持されている。第1試薬分注アーム45は試薬分注機構支柱48の回転に同期して回転移動するが、第2試薬分注アーム52は、回転軸53で試薬分注機構支柱48の回転とは独立して可能となっており、試薬分注ノズル46の回転移動は、試薬分注機構支柱48の回転と同期しない構成となっている。
【0110】
このような関節機構を有する試薬分注機構14の支柱48に試薬分注ノズル用カメラ47を固定すると、この試薬分注ノズル用カメラ47は、試薬分注ノズル46の先端を撮影可能とすることは保障できない。
【0111】
そこで、試薬分注ノズル用カメラ47は、試薬分注機構支柱48の回転とは独立して回転する駆動機構に固定され、試薬分注ノズル用カメラ47が試薬分注ノズル46の先端を追従可能なように構成する。ただし、試薬分注ノズル用カメラ47は、Z方向には、試薬分注機支柱48の上下動に同期して上下動する。
【0112】
図14は、本発明が適用された間接(折れ曲がり機構)を備えた試薬分注機構の説明図である。図14に示すように、第2試薬分注アーム52の独立した回転動作に関わらず、試薬吸引位置50、試薬分注ノズル洗浄槽位置49、試薬吐出位置51においては、試薬分注ノズル46の先端は、試薬分注ノズル用カメラ47の撮影方向中心線に位置する。
【0113】
また、試薬分注ノズル46が、これら試薬吸引位置50、試薬分注ノズル洗浄槽位置49、試薬吐出位置51間の移動中においても、試薬分注ノズル46の先端が、試薬分注ノズル用カメラ47の撮影方向中心線に位置するように試薬分注ノズル用カメラ47の回転動作が制御される。
【0114】
本発明の実施例は以上のように構成されているので、試料分注ノズル及び試薬分注ノズルの、吸引動作、吐出動作、洗浄動作の複数の異なる位置で実行される動作を1つのカメラで撮像可能であり、個々の動作プロセスを検証可能な自動分析装置を実現することができる。
【0115】
なお、以上の例においては、試料分注ノズル及び試薬分注ノズルの吸引動作、吐出動作、洗浄動作の全てを撮像することを説明したが、実際に撮像する箇所は、これらの全てを撮像する必要はなく、複数の異なる位置で実行される動作をカメラで撮像すれば良い。
【0116】
このように、試料分注ノズル及び試薬分注ノズルの吸引動作、吐出動作、洗浄動作の全てを撮像しなくとも、カメラの共通化によるカメラ数の増加抑制による簡便性効果が得られるからである。
【0117】
また、同様に、吸引動作、吐出動作、洗浄動作の全てを撮像することを説明したが、実際に撮像する箇所は、Z方向での移動中の試料分注ノズル先端や試薬分注ノズル先端を撮像すれば良い。
【0118】
この場合、カメラ20は、試料分注ノズル又は試薬分注ノズルの上下方向移動にのみ追従して移動する構成とすることができる。
【0119】
このように構成すれば、カメラ用のZ方向アクチュエータが不要となり、試料分注ノズルや試薬分注ノズルのZ方向駆動のアクチュエータとカメラ用のアクチュエータの共通化による複雑化抑制の効果が得られるからである。
【0120】
また、上述した例では、ノズル18の先端部をカメラ20により撮影する例であるが、本発明は、カメラ20の撮影エリアを拡大し、ノズル18の先端部を含むノズル18の側面を撮影可能な構成とすることもできる。
【0121】
また、上述した例においては、試料分注機構9及び試薬分注機構14に、カメラを備える例を説明したが、いずれか一方のみにカメラを備える場合であっても、本発明は適用可能である。
【0122】
また、試料分注機構及び試薬分注機構は、いずれも、液体分注機構と定義でき、試料分注ノズル及び試薬分注ノズルは、いずれも、液体分注ノズルと定義できる。また、試料容器及び試薬容器は、いずれも、液体容器と定義することができ、試料分注ノズル用カメラ及び試薬分注ノズル用カメラは、いずれも、液体分注ノズルカメラと定義できる。この場合、液体分注機構は、試料分注機構及び試薬分注機構のうちのいずれか一方のみ有していてもよいし、両者を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1・・・操作部、 2・・・分析部、 3・・・インタフェース、 4・・・入力機構、 5・・・データ演算ユニット、 6・・・制御ユニット、 7・・・データ記憶部、 8・・・試料容器、 9・・・試料分注機構、 10・・・反応容器、 11・・・光度計、 12・・・試薬容器、 13・・・試薬ディスク、 14・・・試薬分注機構、 15、46・・・試薬分注ノズル、 16・・・撹拌機構、 17・・・反応槽、 18・・・試料分注ノズル、 19・・・撮影画像記憶部、 20・・・試料分注ノズル用カメラ、 21・・・試薬分注ノズル用カメラ、 22・・・試料分注ノズル洗浄機構、 23・・・試薬分注ノズル洗浄機構、 24、25・・・反応槽スリット、 26・・・表示部、 27・・・試料分注ノズル用カメラの撮影エリア、 30・・・試料、 31・・・試料分注アーム、 32・・・試料分注機構支柱、 33・・洗浄ノズル、 34・・・試料分注ノズル先端、 35・・・補助アーム、 36、37・・・ミラー、 38、39・・・プローブガード、 42、48・・・試薬分注機構支柱、 44・・・鏡面、 45・・・第1試薬分注アーム、 47・・・試薬分注ノズル用カメラ、 52・・・第2試薬分注アーム、 53・・・回転軸、 54・・・反応槽の筐体、 55・・・駆動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14