(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の作動可能な装置に対する前記調整を決定することのうち少なくともいくつか及び前記第2の作動可能な装置を調整することのうち少なくともいくつかは、前記第1の動作特性が前記許容可能な値の範囲内にあると判定される前に起こる、請求項1の方法。
前記第1の作動可能な装置の前記調整と前記光ビームの前記スペクトル特徴との間の前記関係に基づいて前記第2の作動可能な装置に対する前記調整を決定することは、前記第1の作動可能な装置の前記調整によって引き起こされる前記光ビームの前記スペクトル特徴の前記推定されるオフセットを補償する前記第2の作動可能な装置に対するオフセット調整を計算することを備える、請求項1の方法。
前記第1の作動可能な装置の前記調整によって引き起こされる前記光ビームの前記スペクトル特徴の前記推定されるオフセットを補償する前記第2の作動可能な装置に対する前記オフセット調整を計算することは、前記推定されるオフセットを、前記光ビームの測定されるスペクトル特徴と前記第2の作動可能な装置の状態との間の関係の勾配で乗算することを備える、請求項4の方法。
前記第2の目標範囲に基づいて前記光源の前記第2の作動可能な装置に対する前記調整を決定することは、前記第2の目標範囲に対応する前記第2の作動可能な装置に対する主調整を計算することを備え、
前記光源の前記第2の作動可能な装置に対する前記調整を決定することは、前記調整を決定するために前記オフセット調整と前記主調整とを足し合わせることを備える、請求項4の方法。
前記光ビームの前記スペクトル特徴を測定することは、N個のパルスで一組の前記光ビームの各パルスについて前記光ビームの前記スペクトル特徴を測定することを含み、Nは30未満の数である、請求項7の方法。
前記光源がいつ前記光ビームのパルスを出力するかに関する前記タイミングは、前記光源の第1段に送信される第1のトリガ信号と前記光源の第2段に送信される第2のトリガ信号との相対的なタイミングである、請求項9の方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[00033]
図1を参照すると、フォトリソグラフィシステム100は、出力装置145(
図3に示されるような、ウェーハ上にマイクロ電子フィーチャをパターニングするフォトリソグラフィ露光装置など)に向けられるパルス光ビーム110を生成する光源105を含む。出力装置145は、パルス光ビーム110を用いて1つ以上の機能(ウェーハのパターニングなど)を実施する。実施される機能の効率及び品質は、光ビーム110の光スペクトルの様々な特徴に依存する。
【0023】
[00034]
図2を参照すると、光源105によって生成されるパルス光ビーム110の光スペクトル200(又は発光スペクトル)は、光ビーム100の光エネルギ、強度、又はパワーが異なる波長(又は周波数)にわたってどのように分布するかについての情報を含んでいる。光ビーム110の光スペクトル200は、スペクトル強度が波長又は光周波数の関数として描画された図式の形で示されている。光スペクトル200は、光ビーム110のスペクトル形状又は強度スペクトルとして参照されてもよい。光ビーム110のスペクトル特徴は、強度スペクトルの任意の態様又は表現を含む。例えば、強度のある特定の値における波長はスペクトル特徴である。別の一例として、光スペクトル200の形状の幅はスペクトル特徴である。この幅は帯域幅として参照されてもよく、その値は、光ビーム110の波長又は周波数で与えられてもよい。
【0024】
[00035] 光源の動作中には、様々な擾乱107(例えば温度勾配、圧力勾配、光学ひずみ、動作条件の変化など)が光源105及び光ビーム110に作用して、光スペクトル200と、ひいては光ビーム110のスペクトル特徴と、を修正する。擾乱107のために、出力装置145における光ビーム110の実際の光スペクトル200及びひいては実際のスペクトル特徴(帯域幅又は波長など)は、出力装置145において所望される光スペクトル又はスペクトル特徴には対応又は一致しないであろう。したがって、光ビーム110の実際のスペクトル特徴は、動作時に、メトロロジ装置150を用いて測定又は推定される。制御システム140がその測定又は推定されたスペクトル特徴を分析して、光源105の1つ以上の特性をどのように変更するのかを決定し、それによって光スペクトル200を調整するとともに、光ビーム110の対象のスペクトル特徴も調整する。制御システム140は、作動システム115に信号を送信して、光源105の1つ以上の特性を変更する。
【0025】
[00036] 作動システム115は、制御システム140と通信する2つ以上の作動モジュール(第1の作動モジュール120及び第2の作動モジュール125など)を含む。第1及び第2の作動モジュール120,125はそれぞれファームウェアとソフトウェアとの任意の組み合わせの形をとる電子機器を含む。第1及び第2の作動モジュール120,125はそれぞれ光源105の第1及び第2の作動可能な装置130,135に結合されている。第1の作動可能な装置130は、第1の作動モジュール120によって(制御システム140の制御下で)、光源105の1つ以上の特性を変更し、それによってパルス光ビーム110のスペクトル特徴を調整するように、変更される。第2の作動可能な装置135は、第2の作動モジュール125によって(制御システム140の制御下で)、光源105の1つ以上の特性を変更し、それによってパルス光ビーム110のスペクトル特徴を調整するように、変更される。第2の作動可能な装置135によって変更される1つ以上の特性は、第1の作動可能な装置130によって変更される1つ以上の特性とは異なっていてもよい。このようにすれば、これらの擾乱107の光ビーム110に対する効果を補正することができる。
【0026】
[00037] 光学系100は、光ビーム110のスペクトル特徴を調整するために、第1の作動可能な装置130が第2の作動可能な装置135よりも迅速に及び/又は微細な調整範囲内で作用することができるように構成されることが可能であるとともに、時には必要である。特に、いくつかの実装形態においては、第1の作動可能な装置130を調整することは、光ビーム110のスペクトル特徴を、値の第1の範囲内且つ第1の速度又は率で変化させ、その一方で、第2の作動可能な装置135を調整することは、光ビーム110のスペクトル特徴を、値の第2の範囲内且つ第2の速度又は率で変化させる。値の第2の範囲は値の第1の範囲よりも大きくてもよい。したがって、第2の作動可能な装置135の調整範囲は、第1の作動可能な装置130の調整範囲よりも粗い。第2の速度は第1の速度よりも遅くてもよい。したがって、第2の作動可能な装置135は、第1の作動可能な装置130よりもゆっくりとスペクトル特徴を変更するように作用する。例えば、第1の作動可能な装置130は6kHzの率でスペクトル特徴を変更するので、光ビーム110のスペクトル特徴を、0.2ミリ秒(ms)足らずのうちに、第1の目標範囲内の値から第2の目標範囲内の値へと変更することができる。その一方で、この例において、第2の作動可能な装置135は、光ビーム110のスペクトル特徴を第1の目標範囲内の値から第2の目標範囲内の値へと変更するのに、少なくとも20msを必要とする。したがって、この例において、第1の作動可能な装置は、光ビーム110のスペクトル特徴の変更において、第2の作動可能な装置135の100倍速い。
【0027】
[00038] 作動システム115は2つのモード下で動作する。もっとも、作動システム115の他の実装形態においては、更なるモードが可能である。1つのモードは定常状態動作モードであり、このモードでは、出力装置145は、光ビーム110のスペクトル特徴が一定に保たれることを必要とする。別のモードは変化状態動作モードであり、このモードでは、出力装置145は、光ビーム110のスペクトル特徴の(例えば第1の目標範囲内の値から第2の目標範囲内の値への)変化を必要とする。定常状態動作時には、第2の作動可能な装置135は(第2の作動モジュール125の制御下で)現在の状態に保たれてもよい。第1の作動可能な装置130は、相対的により迅速に作用しているので、擾乱107によって引き起こされるスペクトル特徴への軽微な又は小さな変更を説明するように(第1の作動モジュール120の制御下で)調整されてもよい。変化状態動作時には、第2の作動可能な装置135は(第2の作動モジュール125の制御下で)調整され、第1の作動可能な装置130は(第1の作動モジュール120の制御下で)変化状態に保たれる。
【0028】
[00039] 制御システム140は、変化状態動作を実施するのにかかる時間を、例えば25〜75%削減するように構成されている。変化状態動作を実施するのにかかる時間を削減することによって、光源110は光ビーム110のスペクトル特徴をより迅速に変更できる。したがって、出力装置145は、出力装置145のスループット又は生産を減少させずに、光ビーム110のスペクトル特徴のより速い変更を行うことができる。出力装置145は一般に、ウェーハのパターニング等の必要な機能を実施するために、光ビーム110のスペクトル特徴を調整することを必要とする。
【0029】
[00040] 制御システム140及び作動システム115は、第2の作動可能な装置135を、少なくとも部分的には第1の作動可能な装置130の調整と光ビーム110のスペクトル特徴との関係に基づいた、そして第2の目標範囲にも基づいた量で調整することによって、変化状態動作を実施するのにかかる時間を削減するように構成され設計されている。また、第2の作動可能な装置135は、第1の作動可能な装置130が変化状態に到達するまで待機する代わりに、第1の作動可能な装置130が前の状態から変化状態へと移動している時間の間に調整されてもよい。このようにすれば、第2の作動可能な装置135は、より早くに、且つメトロロジ装置150が光ビーム110のスペクトル特徴の測定を収集するのを待つことを要さずに、調整され得る。
【0030】
[00041] 次に、変化状態動作について述べる前に、フォトリソグラフィシステム100に関する詳細を記載する。
【0031】
[00042] 再び
図1を参照すると、図示されてはいないが、光ビーム110は、光源105と出力装置145との間に設置されたビーム準備システムも通るように導かれ得る。ビーム準備システムは、光ビーム110の態様を修正する光学要素を含み得る。例えば、ビーム準備システムは、反射又は屈折光学要素、光パルス拡張器、及び(自動シャッタを含む)光学的開口を含んでいてもよい。
【0032】
[00043]
図3を参照すると、いくつかの実装形態においては、出力装置145は、ウェーハ360をパターニングするためのフォトリソグラフィ露光装置345である。フォトリソグラフィ露光装置345は、例えば1つ以上の集光レンズ、マスク、及び対物レンズ配置を有するイルミネータシステム361を含む光学配置を備える。マスクは、光ビーム110の光軸OAに沿って、又は光軸OAに垂直な平面内でなど、1つ以上の方向に沿って移動可能である。対物レンズ配置は、投影レンズを含み、マスクからウェーハ360上のフォトレジストへの画像転写が起こることを可能にする。イルミネータシステム361は、光ビーム110がマスクに入射する角度の範囲を調整する。また、イルミネータシステム361は、マスク全体の光ビーム110の強度分布を均質化する(均一にする)。フォトリソグラフィ露光装置345は、数ある特徴の中でも、リソグラフィコントローラ362、空調デバイス、及び様々な電気部品のための電源を含み得る。リソグラフィコントローラ362は、ウェーハ360上に層がどのように印刷されるのかを制御する。リソグラフィコントローラ362は制御システム140に接続されている。
【0033】
[00044] ウェーハ360は光ビーム110によって照射される。処理プログラム又はレシピが、ウェーハ360の露光の長さ、使用されるマスク、ならびに露光に影響を及ぼす他の要因を決定する。リソグラフィの際には、光ビーム110の複数のパルスがウェーハ360の同じ領域を照らして照射量を形成する。ウェーハ360の同じ領域を照らす光ビーム110のパルスの数Nは、露光窓又はスリットとも称され、このスリットの寸法は、マスクの前に設置される露光スリットによって制御され得る。いくつかの実装形態においては、Nの値は、数十、例えば10〜100パルスである。他の実装形態においては、Nの値は、100パルスよりも大きく、例えば100〜500パルスである。マスク、対物レンズ配置、及びウェーハ360のうち1つ以上は、露光フィールド全体で露光窓をスキャンするために、露光の間、相対的に移動可能である。露光フィールドとは、ウェーハ360のうち露光スリット又は露光窓の1回のスキャンで露光される領域である。
【0034】
[00045] ウェーハ360をパターニングするために、光ビーム110は、深紫外(DUV)領域の波長を有する。これは10nm乃至400nmである。光源105がフッ化アルゴン(ArF)を含む利得媒質で満たされたガス放電設計を用いる一実装形態では、光ビーム110は約193nmの波長を有する。光源105がフッ化クリプトン(KrF)を含む利得媒質で満たされたガス放電設計を用いる一実装形態では、光ビーム110は約248nmの波長を有する。光ビーム110のスペクトル特徴は、ウェーハ360での結像の品質に直接的な影響を有する。具体的には、ウェーハ360上にパターニングされるマイクロ電子フィーチャの寸法及び形状は、光ビーム110の光スペクトル200に依存する。一般に、光ビーム110の波長が小さいほど、パターニング可能なフィーチャも小さくなる。
【0035】
[00046]
図4を参照すると、いくつかの実装形態においては、メトロロジ装置150は、第1の作動モジュール120に関連した1つ以上の動作特性を観察するように構成された観察システム405を含むメトロロジ装置450として設計されている。観察システム405は、以下で詳述するように、光源105及び出力装置145など、フォトリソグラフィシステム100の1つ以上の他の構成要素に関連した特性を観察するように構成されていてもよい。
【0036】
[00047] 観察システム405はこれらの特性を制御システム140に出力するように構成されており、制御システムは第1の作動可能な装置130の動作点を示すメトリックを計算又は推定し得る。第1の作動可能な装置130の動作点は、可能な設定、値、又は条件の範囲内のどこで第1の作動可能な装置130が現在動作しているのかを特徴付ける。いくつかの実装形態においては、
図5に関して以下で述べるように、第1の作動可能な装置130はタイミングモジュールであり、例示的な光源505の第1段(マスタ発振器500)及び第2段(パワー増幅器510)に接続されて、マスタ発振器500に送信される第1のトリガ信号とパワー増幅器510に送信される第2のトリガ信号との間の相対的なタイミングを制御する。この相対的なタイミングは、差動タイミングとも称され得る。こうした実装形態において、第1の作動可能な装置130の動作点のメトリックは、ピーク効率差動タイミング(Tpeak)からの実際の相対的なタイミングの変位を定量化することができる。ピーク効率差動タイミングは、光源105又は505に特定の入力エネルギが印加されて(例えば、この入力エネルギは、光源105又は505の1つ以上のガス放電チャンバの電極に印加される電圧に基づいていてもよい)、光源105又は505が最大エネルギを有する光ビーム110を生成するときの、相対的なタイミングの値である。
【0037】
[00048] 第1の作動可能な装置130の動作点のメトリック(MPOP)は、光源105又は505内のガス放電電極に供給される電圧又はエネルギ、光ビーム110の出力エネルギE(110)、及び差動タイミングに基づき、制御システム140によって計算又は推定され得る。例えば、MPOPは次式によって推定することができる。
[00049]
【数1】
[00050] ただし、dVoltage/dMOPAtimingは、差動タイミングの変化に対する(第1段又は第2段へのトリガ信号で供給される)出力電圧の感度の推定である。dVoltage/dMOPAtimingの値は、出力電圧及び実際の差動タイミング(そのような特性は観察システム405によって観察又は検出される)について第1の作動モジュール120に提供されるデータを利用して、制御システム140によって実時間で推定され得る。MPOPの推定はパルス毎に更新されるが、MPOPの正確な推定を行うためには十分なデータが提供される必要がある。
【0038】
[00051] 光源105の動作時には、ピーク効率差動タイミングからオフセットされた設定点のあたりで第1の作動可能な装置130の動作点(及びひいては動作点のメトリック)を調節しつつ、光ビーム110を生成するのが望ましい。光源105の他の特性(例えば光ビーム110の波長及びエネルギ)は、この既知の動作点の周辺で調整(例えば線形化)されてもよい。
【0039】
[00052] 観察システム405は、光源105又は505への入力エネルギ、光ビーム110のエネルギ、及び実際の相対的なタイミングなどの光源105又は505の態様を検出又は検知することができる。したがって、観察システム405は、光ビーム110のエネルギを検出するエネルギ検出器であってもよい。観察システム405は、光源505のガス放電チャンバの電極に送信される電気信号に接続された電圧計であってもよい。観察システム405は、各トリガ信号がマスタ発振器及びパワー増幅器のそれぞれの電極にいつ送信されるのかを検出する電流又は電圧計であってもよい。
【0040】
[00053]
図4に示されるように、メトロロジ装置450は、光源105から出力されたパルス光ビーム110のスペクトル特徴を測定するように構成されたスペクトル特徴ユニット410も含む。いくつかの実装形態においては、スペクトル特徴ユニット410はビームスプリッタなどのビーム分離器を含み、このビーム分離器は、光ビーム110の一部(例えば約1〜2%)を除去してスペクトロメータへと導くように、光ビーム110の経路内に設置される。スペクトロメータは、スペクトル分散デバイスと、光ビーム110の波長に感度を有する検出器と、を含む。
【0041】
[00054] スペクトル分散デバイスは光ビームを異なる分布のスペクトル特徴に分ける。検出器は複数の空間領域を有し、各空間領域が異なる分布のスペクトル特徴を受ける。いくつかの実装形態においては、スペクトル分散デバイスは光干渉ベースのデバイスであり、このデバイスにおいては、光ビームは、互いに光学的に干渉する複数の光ビームを生成することによって、異なる分布のスペクトル特徴に分けられる。例示的な光干渉ベースのデバイスは、エタロン又は格子である。そのようなデバイスは、検出器の別個の空間領域に異なる分布を投影するように構成されたレンズと組み合わせて使用され得る。レンズは、検出器の空間領域に一致する焦点面に光を結像するように、エタロンの出力に設置されてもよい。他の実装形態においては、スペクトル分散デバイスは光分散ベースのデバイスであり、このデバイスにおいては、光ビームは、屈折という光学現象を用いて異なる分布のスペクトル特徴に分けられる。例示的な光分散ベースのデバイスはプリズムであり、光ビームの異なる波長はプリズムで、異なる角度で屈折される。これは、プリズムの材料の屈折率は光ビームの波長によって変化するからである。
【0042】
[00055] 検出器は、各空間領域において投影される光ビームの特徴(強度など)を検出する。例えば、検出器は、各スペクトル特徴分布によって、それぞれの空間領域に堆積されるエネルギを検出又は検知してもよい。空間領域は、スペクトル特徴分布の光子が入射し相互作用する任意の面又は区域である。空間領域は、制御システム140による更なる処理のために、光子のエネルギを電流に変換することができる。いくつかの実装形態においては、検出器はフォトダイオードのアレイを有するフォトダイオード検出器を含み、各フォトダイオードが別個の空間領域として作用する。検出器の各空間領域は、検出器の1つ以上の結像素子(例えばフォトダイオード)からなる面であってもよい。
【0043】
[00056] スペクトル特徴は、(検出器の出力から回復又は推定可能な)光スペクトルからメトリックの値を推定することによって測定され得る。光スペクトル200の詳細に関係する任意の適当な数学的構造(すなわちメトリック)を用いて、光ビーム帯域幅を特徴付ける値を推定することができる。例えば、スペクトル形状の最大ピーク強度の一部(X)のスペクトルの全幅(FWXMと称される)を用いて光ビーム帯域幅を特徴付けることができる。別の一例としては、積分スペクトル強度の一部(Y)を含むスペクトルの幅(EYと称される)を用いて光ビームの帯域幅特徴付けることができる。
【0044】
[00057] メトロロジ装置450は、光源105、光ビーム110、又は出力装置145の他の態様を測定するために用いることのできる1つ以上の他の測定ユニット415を含んでいてもよい。
【0045】
[00058]
図5を参照すると、いくつかの実装形態においては、光源105は、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ光源505である。
図5の例に示されるように、光源505は多段(例えば2段)レーザシステムであり、シード光ビーム511をパワー増幅器(PA)510に提供するマスタ発振器(MO)500を含む。マスタ発振器500は、典型的には、内部で増幅が発生する利得媒質と、光共振器などの光フィードバック機構と、を含む。マスタ発振器510は、典型的には、マスタ発振器500からのシードレーザビーム511でシードされると内部で増幅が発生する利得媒質を含む。パワー増幅器510は、再生リング共振器として設計されている場合にはパワーリング増幅器(PRA)として記述され、この場合、十分な光フィードバックがリング設計から提供され得る。マスタ発振器500は、(パワー増幅器510の出力と比較して)相対的に低い出力パルスエネルギでの中心波長及び帯域幅などのスペクトルパラメータの微調整を可能にする。パワー増幅器510は、マスタ発振器500からシード光ビーム511を受けてそのシード光ビーム511を増幅し、(例えばフォトリソグラフィのために)出力装置145で使用する出力に必要なパワーに到達する。
【0046】
[00059] マスタ発振器500は、2つの細長い電極と、利得媒質の役割を果たすレーザガスと、電極間でガスを循環させるための送風機と、を有する放電チャンバを含む。放電チャンバの一方の側の(スペクトル特徴選択システムとして作用する)第2の作動可能な装置135と、放電チャンバの他方の側の出力カプラ515と、の間にはレーザ共振器が形成される。光源505は、出力カプラ515からの出力を受け取る線中心分析モジュール(LAM)520も含み得る。LAM520は、
図4に示されるメトロロジ装置450の他の測定ユニット415のうち1つを提供してもよい。LAM520は、シード光ビーム511又はパルス光ビーム110の波長(例えば中心波長)を測定するのに用いられ得る、ある種の測定ユニット315の一例である。光源505は、必要に応じてシード光ビーム511又はパルス光ビーム110の寸法及び/又は形状を修正する、1つ以上のビーム修正光学系525も含み得る。
【0047】
[00060] 放電チャンバにおいて使用されるレーザガスは、必要とされる波長及び帯域幅周辺のレーザビームを生成するのに適した任意のガスであってもよく、例えば、レーザガスは、約193nmの波長の光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、又は約248nmの波長の光を放出するフッ化クリプトン(KrF)であり得る。
【0048】
[00061] パワー増幅器510はパワー増幅器放電チャンバを含み、再生リングアンプである場合には、(リフレクタなどの)ビームリターン530も含む。ビームリターンは、(例えば反射を介して)光ビームを放電チャンバ内に戻して、(リング増幅器への入力がリング増幅器からの出力と交差する)循環ループ経路を形成する。パワー増幅器放電チャンバは、一対の細長い電極と、利得媒質の役割を果たすレーザガスと、電極間でガスを循環させるための送風機と、を含む。シード光ビーム511は、パワー増幅器510を繰り返し通過することによって増幅される。ビーム修正光学系525は、シード光ビーム511をパワー増幅器510にインカップルし増幅された放射の一部をパワー増幅器510からアウトカップルして出力光ビーム110を形成するための手法(例えば部分反射ミラー)を提供する。
【0049】
[00062] 線中心分析モジュール520は、マスタ発振器500の出力の波長を監視する。線中心分析モジュール520は、光源105内の他の場所に設置されてもよいし、又は光源105の出力に設置されてもよい。
【0050】
[00063] シード光ビーム511(及びひいては出力光ビーム110)のスペクトル特徴はマスタ発振器500の構成によって決定され、これらのスペクトル特徴は、マスタ発振器500内で生成される光ビーム512を調整することによって調整可能である。(スペクトル特徴選択システムとして作用する)第2の作動可能な装置135は、光源505のマスタ発振器500から光ビーム512を受け、制御システム140からの入力に基づいて光ビーム512のスペクトル特徴を微調整することにより、光源505によって生成される光ビーム110のスペクトル出力を微調整する。
【0051】
[00064]
図6も参照すると、光源505からの光ビーム512に結合する例示的な第2の作動可能な装置635が示されている。いくつかの実装形態においては、第2の作動可能な装置635は、マスタ発振器500から光ビーム512を受けて、マスタ発振器500内の波長及び帯域幅などのスペクトル特徴の微調整を可能にし、シード光ビーム511のこれらのスペクトル特徴を調整する。リソグラフィコントローラ635は、制御システム140と通信する第2の作動モジュール125に接続されている。
【0052】
[00065] 第2の作動可能な装置635は、マスタ発振器500からのパルス光ビーム512と光学的に相互作用するように配列された一組の光学フィーチャ又はコンポーネント600,605,610,615,620を含む。光学コンポーネント600,605,610,615,620は、粗いスペクトル特徴調整システムを提供するように構成されていてもよい。そして、そのようなコンポーネントの調整が十分に迅速な場合には、細密なスペクトル特徴調整システムを提供するように構成されていてもよい。
図6には示されていないが、第2の作動可能な装置635は、細密なスペクトル特徴制御を提供するために、他の光学フィーチャ又は他の非光学フィーチャを含むことが可能である。
【0053】
[00066] 第2の作動モジュール125は、各光学コンポーネント600,605,610,615,620に物理的に結合された1つ以上の作動システム600A,605A,610A,615A,620Aに接続されている。光学コンポーネント600は格子などの分散光学要素600であってもよく、光学コンポーネント605,610,615,620は集合的にビームエキスパンダ601を形成する屈折光学要素であってもよい。格子600は、光ビーム512を分散させ反射するように設計された反射格子であってもよい。したがって、格子600は、DUV範囲の波長を有するパルス光ビーム512と相互作用するのに適した材料で作成される。プリズム605,610,615,620の各々は透過性プリズムであり、光ビーム512がプリズムの本体を通過する際に、この光ビームを分散させ方向転換するように作用する。プリズムの各々は、光ビーム512の波長の透過を許す材料(例えばフッ化カルシウムなど)で作成され得る。4つの屈折光学要素605,610,615,620が図示されているが、ビームエキスパンダ601においては4つよりも少ない又は4つよりも多い屈折光学要素を使用することが可能である。
【0054】
[00067] パルス光ビーム512は、プリズム620、プリズム610、及びプリズム605をこの順序で通って進んだ後、格子600の回折面602に入射する。ビーム512が連続したプリズム620,615,610,605をそれぞれ通過する度に、光ビーム512は光学的に拡大され、次の光学コンポーネントの方に方向転換(ある角度で屈折)される。光ビーム512は、格子600によって回折及び反射され、プリズム605、プリズム610、プリズム615、及びプリズム620をこの順序で通って戻った後、装置635を出ていく。格子600から連続したプリズム605,610,615,620をそれぞれ通過する度に、光ビーム512は、マスタ発振器500の方に戻るように進むにつれて、光学的に圧縮される。
【0055】
[00068] ビームエキスパンダ601のプリズム(プリズム605,610,615,620のうちいずれか1つであってもよい)の回転は、光ビーム512がその回転されたプリズムの入光面に入射する入射角を変化させる。また、その回転されたプリズムを通る光ビーム512の2つの局所的な光学品質、すなわち光学倍率及びビーム屈折角は、その回転されたプリズムの入光面に入射する光ビーム512の入射角の関数である。プリズムを通る光ビーム512の光学倍率は、そのプリズムを出射する光ビーム512の横幅の、そのプリズムに進入する光ビーム512の横幅に対する比である。
【0056】
[00069] ビームエキスパンダ601内のプリズムのうち1つ以上における光ビーム512の局所的な光学倍率の変化は、ビームエキスパンダ601を通る光ビーム512の光学倍率OM665の全体的な変化を引き起こす。ビームエキスパンダ601を通る光ビーム512の光学倍率OM665は、ビームエキスパンダ601を出射する光ビーム512の横幅Woの、ビームエキスパンダ601に進入する光ビーム512の横幅Wiに対する比である。そして、ビームエキスパンダ601内のプリズムのうち1つ以上による局所的なビーム屈折角の変化は、格子600の面602における光ビーム512の入射角662の全体的な変化を引き起こす。
【0057】
[00070] 光ビーム512の波長は、光ビーム512が格子600の回折面602に入射する入射角662を変更することによって調整され得る。具体的には、これは、プリズム605,610,615,620及び格子600のうち1つ以上を回転させ、それによって光ビーム512の入射角662を調整することにより、行うことができる。光ビーム512の帯域幅は、光ビーム512の光学倍率OM665を変更することによって調整され得る。したがって、光ビーム512の帯域幅は、プリズム605,610,615,620のうち1つ以上を回転させることによって調整することができ、これは光ビーム512の光学倍率665を変化させる。特定のプリズムの回転がそのプリズムにおける局所的なビーム屈折角及び局所的な光学倍率の両方を変化させるので、この設計においては、波長及び帯域幅の制御が結合されている。
【0058】
[00071] また、光ビーム512の帯域幅は、プリズム620の回転には比較的敏感であり、プリズム605の回転には比較的鈍感である。これは、プリズム620の回転による光ビーム512の局所的な光学倍率の任意の変化は、他のプリズム615,610,及び605における光学倍率の変化の積で乗算されるためである。なぜなら、それらのプリズムは回転されるプリズム620と格子600との間にあり、光ビーム512は、プリズム620を通過した後、これらの他のプリズム615,610,605を通って進まなければならないからである。一方、光ビーム512の波長は、プリズム605の回転には比較的敏感であり、プリズム620の回転には比較的鈍感である。例えば、波長を変更することなく帯域幅を変更するためには、入射角662を変更せずに光学倍率665が変更されなければならず、これはプリズム620を多く回転させるとともにプリズム605を少なく回転させることによって達成され得る。
【0059】
[00072] 光学コンポーネント600,605,610,615,620の各々について作動システム600A,605A,610A,615A,620Aが図示されているが、光学コンポーネントのうちいくつかは、静止状態で保持されること、又は作動システムに物理的に結合されないことが可能である。例えば、いくつかの実装形態においては、格子600は静止状態で保持されてもよく、プリズム615は静止状態で保持されるとともに作動システムに物理的に結合されなくてもよい。作動システム600A,605A,610A,615A,620Aのうち1つ以上は、その各光学コンポーネントに接続された1つ以上のアクチュエータを備える。光学コンポーネントの調整は、光ビーム512の特定のスペクトル特徴(波長及び/又は帯域幅)の調整を引き起こす。第2の作動モジュール125は制御システム140から制御信号を受信し、制御信号は作動システムのうち1つ以上を動作させ又は制御するための特定のコマンドを含む。作動システムは協働するように選択及び設計されてもよい。
【0060】
[00073] 作動システム600A,605A,610A,615A,620Aのアクチュエータの各々は、各光学コンポーネントを移動又は制御するための機械デバイスである。これらのアクチュエータは、第2の作動モジュール125からエネルギを受け取り、そのエネルギを各光学コンポーネントに与えられる何らかの運動に変換する。例えば、作動システムは、フォースデバイスとビームエキスパンダのプリズムのうち1つ以上を回転させる回転ステージとのうちいずれか1つであってもよい。作動システムは、例えば、ステッパモータなどのモータ、バルブ、圧力制御デバイス、圧電デバイス、リニアモータ、液圧アクチュエータ、ボイスコイル等を含み得る。
【0061】
[00074] 格子600は高ブレーズ角エシェル格子であってもよく、格子の方程式を満足する任意の入射角662で格子600に入射する光ビーム512は反射(回折)されるであろう。格子の方程式は、格子600のスペクトル次数と、回折された波長(回折されたビームの波長)と、光ビーム512の格子600への入射角662と、格子600で回折された光ビーム512の出射角と、格子600に入射する光ビーム512の垂直発散と、格子600の回折面の溝間隔と、の間の関係を提供する。また、光ビーム512の格子600への入射角662が光ビーム512の格子600からの出射角と等しくなるように格子600が用いられる場合には、格子600とビームエキスパンダ(プリズム605,610,615,620)とはリトロー構造で配置され、格子600から反射される光ビーム512の波長はリトロー波長である。格子600に入射する光ビーム512の垂直発散はゼロに近いと考えられる。公称波長を反射するために、格子600は、格子600に入射する光ビーム512に対して位置合わせされるので、公称波長は反射されてビームエキスパンダ(プリズム605,610,615,620)を通って戻り、光源105で増幅される。その後、リトロー波長は、光ビーム512の格子600への入射角662を変更することによって、光源105内の共振器の利得帯域幅全体にわたって調整され得る。
【0062】
[00075] 各プリズムは、マスタ発振器500から格子600に向かう経路上で光ビーム512を光学的に拡大する。したがって、各プリズムは、プリズム620からプリズム605まで、寸法が連続的に大きくなっている。よって、プリズム605はプリズム610よりも大きく、プリズム610はプリズム615よりも大きく、プリズム620が最小のプリズムである。波長は、プリズム605を回転させることによって粗く変更されてもよいし、プリズム620が(粗く)回転されてもよい。光ビーム512の入射角662はプリズム605の回転によって変更され、プリズム620の回転はプリズム605の回転によって引き起こされる倍率の変化を打ち消す。プリズム620は、粗い、広範囲の、及び遅い帯域幅の制御に用いられ得る。一方、プリズム610を制御することにより、帯域幅は、微細な且つ狭い範囲で、しかも更に迅速に制御可能である。
【0063】
[00076]
図5の例において、第1の作動可能な装置130は、第1段(マスタ発振器500)及び第2段(パワー増幅器510)に接続されてマスタ発振器500に送信される第1のトリガ信号とパワー増幅器510に送信される第2のトリガ信号との間の相対的なタイミングを制御するタイミングモジュールである。米国特許第7,830,934号及び第7,203,216号明細書には例示的なタイミングモジュールが図示され説明されている。両文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2つのトリガ信号の間の相対的なタイミングを調整することによって、光ビーム110のスペクトル特徴(帯域幅など)を制御することができる。特に、マスタ発振器500からのシード光ビーム511は、シード光ビーム511の増幅がパワー増幅器510内で発生し得るように、パワー増幅器510の放電領域を、パワー増幅器510内のレーザガスにおいて分布が反転される間に通過しなければならない。したがって、シード光ビーム511のパルスを遅延させることによって、パワー増幅器510から出力される光ビーム110の帯域幅は低減され、それに応じてパワー増幅器510内のレーザガスにおける分布は反転されるであろう。一般に、シード光ビーム511のパルスがマスタ発振器500に長く留まるほど、パワー増幅器510によって出力される光ビーム110の帯域幅は狭くなる。よって、マスタ発振器500へのトリガ信号とパワー増幅器510へのトリガ信号との間の相対的なタイミング作動を用いて光ビーム110の帯域幅を制御することができる。
【0064】
[00077] これらのトリガ信号の間の相対的なタイミングはレーザ光パルス毎に変更され得るので、そのような制御は、光ビーム512の経路上の光学フィーチャが物理的にいかに速く移動可能であるかによって制約を受ける第2の作動モジュール125に提供されるよりも更に微調整され且つ更に迅速なスペクトル特徴の制御方法を提供する。
【0065】
[00078] 2つの作動可能な装置130,135の間のそのような連携及び協力は、制御システム140によって合わせて用いられ、たとえ光源105が種々の擾乱107に曝され得るとしても、1つ以上のスペクトル特徴(波長又は帯域幅など)を所望の設定点に又は少なくとも設定点の周辺の所望の範囲内に保持する。
【0066】
[00079] 制御システム140は、第1の作動モジュール120と、第2の作動モジュール125と、メトロロジ装置150とに接続されている。制御システム140と特定のコンポーネント(メトロロジ装置150など)との間の接続は、有線接続であってもよいし、又は無線及び非接触接続であってもよい。
【0067】
[00080]
図7を参照すると、制御システム140の一例が制御システム740として図示されている。本明細書に記載されたシステム及び方法の態様に関係する制御システム740について詳述する。制御システム740は、
図7に図示されていない他のフィーチャを含んでいてもよい。制御システム740は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうち1つ以上を含む。
【0068】
[00081] 制御システム740はメモリ700を含み、このメモリは読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであってもよい。コンピュータプログラム命令及びデータを有形に体現するのに適した記憶デバイスは、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスや、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスクや、光磁気ディスクや、CD−ROMディスクを含む、あらゆる形の不揮発性メモリを含む。制御システム740は、1つ以上の入力デバイス705(例えばキーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、マウス、ハンドヘルド入力デバイスのうち1つ以上など)及び1つ以上の出力デバイス710(例えばスピーカ又はモニタなど)も含み得る。
【0069】
[00082] 制御システム740は、1つ以上のプログラム可能プロセッサ715と、(プロセッサ715のような)プログラム可能プロセッサによる実行のために機械読み取り可能な記憶デバイスにおいて有形に体現された1つ以上のコンピュータプログラム製品720とを含む。1つ以上のプログラム可能プロセッサ715は、入力データ上で動作すること及び適切な出力を生成することによって所望の機能を実施するために、各々が命令のプログラムを実行し得る。一般に、プロセッサ715はメモリ700から命令及びデータを受信する。前述のもののいずれかは、特別設計のASIC(特定用途向け集積回路)によって補われるか、又はこれに組み込まれてもよい。
【0070】
[00083] 制御システム740は、例えば、メトロロジ処理モジュール725、決定処理モジュール735、作動処理モジュール755(作動モジュール120,125とそれぞれインターフェイスするサブモジュール755A,755Bを含み得る)、及び出力装置モジュール760を含む。これらの処理モジュールの各々は、プロセッサ715のような1つ以上のプロセッサによって実行される一組のコンピュータプログラム製品であってもよい。
【0071】
[00084] 出力装置モジュール760は、出力装置145、例えば露光装置345のリソグラフィコントローラ362とインターフェイスする。これにより、出力装置モジュール760は、リソグラフィコントローラ362から、フォトリソグラフィシステム100の動作のモードに関するコマンド又は命令を受け取る。例えば、出力装置モジュール760は、リソグラフィコントローラ362から、光ビーム110のスペクトル特徴の目標値に関するコマンドを受け取る。出力装置モジュール760は、リソグラフィコントローラ362から、光ビーム110のスペクトル特徴を第1の目標値範囲の値から第2の目標値範囲の値へと変更するコマンドを受け取ってもよい。出力装置モジュール760は、メトロロジ処理モジュール725ともインターフェイスして、作動システム115を動作のモードのうちの1つ、例えば定常状態動作モード又は変化状態動作モードで動作させる。
【0072】
[00085] メトロロジ処理モジュール725は、観察システム405と、スペクトル特徴ユニット410と、メトロロジ装置450の他の測定ユニット415との各々から出力を受け取る。決定処理モジュール735は、メトロロジ処理モジュール725から出力を受け取り、どの作動サブモジュール755A,755Bが作動又は制御される必要があるのかを判定する。メトロロジ処理モジュール725は、出力装置モジュール760からコマンドを受け取り、これらのコマンドに基づいて計算を実施する。例えば、出力装置モジュール760がメトロロジ処理モジュール725に、光ビーム110のスペクトル特徴を第1の目標値範囲の値から第2の目標値範囲の値へと変更するように命令する場合、メトロロジ処理モジュール725は、変化状態動作を実施及び完了するのに必要な計算の実施を開始してもよい。また、メトロロジ処理モジュール725は、これらの計算に基づいて命令を決定処理モジュール735に送信し、それによって作動システム115を変化状態動作で動作させてもよい。以下では、変化状態動作について詳述する。
【0073】
[00086] 作動処理モジュール755は、作動システム115の他の作動モジュールとインターフェイスする1つ以上の追加的なサブモジュール755Cを含み得る。また、
図7にはごく少数の処理システムしか図示されていないが、制御システム140は他の処理システムを含むことが可能である。更に、制御システム140は、コンポーネントのすべてが内部に共同設置されているように見えるボックスとして表されているが、制御システム140は、物理的に互いに離隔したコンポーネントで構成されることが可能である。
【0074】
[00087] 一般に、メトロロジ処理モジュール725は、少なくとも光ビーム110及び光源105についてのいくらかの情報をメトロロジ装置150から受け取るとともに、露光装置345についての情報をリソグラフィコントローラ362から受け取る。
メトロロジ処理モジュール725は、その情報について分析を実施して、出力装置145に供給される光ビーム110の1つ以上のスペクトル特徴(例えば帯域幅)をどのように調整するかを決定する。メトロロジ処理モジュール725によるこの決定に基づいて、決定処理モジュール735は作動処理モジュール755に信号を送信し、サブモジュール755A及び755Bによって光源105の動作を制御する。
【0075】
[00088] 第1及び第2の作動モジュール120,125は、作動処理モジュール755ならびに第1及び第2の作動可能な装置130,135と通信するために、必要に応じてファームウェアとソフトウェアとの任意の組み合わせの形をとる電子機器を含む。
【0076】
[00089]
図8を参照すると、変化状態動作を実行するための手順800が実施される。この手順において、光源105によって生成されるパルス光ビーム110のスペクトル特徴が調整される。手順800は、制御システム140の制御下で、フォトリソグラフィシステム100によって実施される。手順800は、パルス光ビーム110のスペクトル特徴を第1の目標範囲の値から第2の目標範囲の値へと変更する命令を受け取ることを含む(805)。例えば、制御システム740の出力装置モジュール760が、出力装置145から、光ビーム110のスペクトル特徴を変更する命令を受け取ってもよく、この命令が、メトロロジ処理モジュール725に伝達されてもよい。
【0077】
[00090] 手順800は、光源105の第1の動作特性を調節することを含む(810)。光源105の第1の動作特性は、光源105の第1の作動可能な装置130を、第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあると判定されるまで調整することによって、調節される(810)。この第1の作動可能な装置130の調整は、決定処理モジュール735の制御下で、且つメトロロジ処理モジュール725及び/又は出力装置モジュール760からの出力に基づいて、作動処理モジュール755のサブモジュール755Aによって開始及び制御される。
【0078】
[00091] 第1の動作特性の値の許容可能な範囲は、第1の動作特性の動作範囲に集中していてもよい。例えば、動作範囲は、第1の動作特性の値を制限することによって定義される。具体的には、第1の動作特性は、これらの制限値を超える値までは押し込まれ得ない。このように、調節(810)は、第1の動作特性を、変化状態動作の間、動作範囲の中心に集中させようとする。
【0079】
[00092] 第1の動作特性は、第1の作動可能な装置130の現在の状態と第1の作動可能な装置130の目標状態との相対値であってもよい。第1の作動可能な装置130は、光源105がいつ光ビーム110のパルスを出力するかに関するタイミングであってもよい。また、この、光源105がいつ光ビーム110のパルスを出力するかに関するタイミングは、制御システム140から光源の第1段(光源505のマスタ発振器500など)に送信される第1のトリガ信号と制御システム140から光源の第2の状態(光源505のパワー増幅器510など)に送信される第2のトリガ信号との相対的なタイミングであってもよい。
【0080】
[00093] 第1の作動可能な装置130への変更又は調整は第1の動作特性の変化を引き起こし、この変化は光ビーム110のスペクトル特徴に望ましくないオフセットをもたらす。例えば、第1の動作特性が手順800の始めに−0.3(任意の単位)という値を有しており、調節810の始めにおよそ−0.4(任意の単位)の値の範囲にあるように命令される場合、第1の動作特性のこの変化は、約25フェムトメートル(fm)の帯域幅の変動を引き起こし得る。
【0081】
[00094] 制御システム140は、第1の動作特性の変化によって引き起こされるスペクトル特徴の変動を打ち消す、光源105の第2の作動可能な装置135に対する調整を決定する(815)。制御システム140は、少なくとも部分的には、第1の作動可能な装置130の調整と光ビーム110のスペクトル特徴との間の関係に基づいて、そして第2の目標範囲にも基づいて、調整を決定する(815)。例えば、メトロロジ処理モジュール725は、例えばメモリ700に記憶された情報、出力装置モジュール760からの命令、及び/又はメトロロジ装置150からの情報に基づいて調整を決定する(815)ように計算を実施してもよい。
【0082】
[00095] 手順800は、決定された調整に基づく量で第2の作動可能な装置135を調整することを含む(820)。具体的には、一旦メトロロジ処理モジュール725によって調整量が決定されると(815)、決定処理モジュール735に信号が送信され、決定処理モジュールが、第2の作動モジュール125と通信するサブモジュール755Bに送信する制御信号を決定し、それによって第2の作動可能な装置135が調整される。例えば、第2の作動可能な装置135が第2の作動可能な装置635である場合には、第2の作動可能な装置635に対する調整は光学要素605A,610A,615A,620Aのうち1つ以上を調整し、それによって光ビーム512の光学倍率OMが調整される。光ビーム512の光学倍率OMに対するこの調整によって、光ビーム512のスペクトル特徴(帯域幅など)が変更され、ひいては出力装置145に向けられる光ビーム110のスペクトル特徴が変更される。
【0083】
[00096] また、制御システム140は、第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあるという初期決定の前に、決定(815)を始めてもよく、調整(820)を始めてもよい。したがって、決定(815)及び調整(820)は、第1の動作特性の調節(815)の開始と平行して始まってもよい。決定(815)及び調整(820)は、手順800におけるフィードフォワード制御と考えられ得る。なぜなら、第2の作動可能な装置135に対する変更は、第2の作動可能な装置135の状態又は負荷の誤差に基づいていないからである。むしろ、決定(815)及び調整(820)は、後述するように、第2の作動可能な装置135の状態又は負荷の誤差(error in the state or load)以外の要因に基づいている。
【0084】
[00097]
図9を参照すると、光源105の第1の動作特性を調節するための手順810が実施される。手順810は、
図8には一度しか示されていないが、変化状態動作の全体を通じて実施される。光源105の第1の動作特性は、メトロロジ装置150によって観察される(900)。例えば、第1の動作特性は第1の作動可能な装置130の動作点であってもよく、この場合、観察システム405が動作点を観察する。(制御システム140の)メトロロジ処理モジュール725は、観察システム405から動作点の値を受け取る。
【0085】
[00098] 次に、制御システム140は、観察される第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定する(905)。例えば、最小値と最大値とが許容可能な値の範囲を定義するところ、メトロロジ処理モジュール725は、観察される第1の動作特性が最小値よりも大きく且つ最大値よりも小さいかどうかを判定する。
【0086】
[00099] 観察される第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にある場合(905)、メトロロジ装置150は光源105の第1の動作特性の観察を継続し(900)、第1の作動可能な装置130に対する調整は不要である。観察される第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にない場合(905)、第1の作動可能な装置130は調整される(910)。例えば、メトロロジ処理モジュール725は、観察された第1の動作特性が許容可能な値の範囲の外にあると判定する場合には(905)、決定処理モジュール735に信号を送信し、決定処理モジュールが第1の作動可能な装置130が調整されるべきであることを決定する。決定処理モジュール735は適切な信号を作動処理モジュール755に、具体的にはサブモジュール755Aに送信する。このサブモジュールは第1の作動モジュール120に信号を送信し、それによって第1の作動可能な装置130が調整される。
【0087】
[000100]
図10を参照すると、光源105の第2の作動可能な装置135の調整を決定するための手順815が実施される。第1の作動可能な装置130の調整によってもたらされる光ビーム110のスペクトル特徴のオフセットが推定される(1000)。例えば、メトロロジ処理モジュール725は、第1の作動可能な装置130に対する調整によって光ビーム110のスペクトル特徴がどの程度変更されるかを計算してもよい。
【0088】
[000101] メトロロジ処理モジュール725は、スペクトル特徴に対する第1の動作特性の感度に基づいてスペクトル特徴オフセットSF
offを推定してもよい(1000)。この感度は、スペクトル特徴を第1の作動可能な装置130の状態と関係づけるモデルによって計算され得る。例えば、オフセット(SF
off)は、以下のように計算することができる。
[000102]
【数2】
[000103] ただし、Δop1は第1の動作特性の初期値と第1の動作特性の目標値との差、CVは第1の動作特性と第1の作動可能な装置130の状態との関係を定義する構成可能値(configurable value)、dSF/dAct1は光ビーム110の測定されるスペクトル特徴(SF)対第1の作動可能な装置130の状態のタイミング曲線の勾配である。
図11には、第2の作動可能な装置135の別個の状態(例えばプリズム620の別個の角度)について、一組の例示的なタイミング曲線が図示されている。第1の動作特性の目標値は許容可能な値の範囲内にあり、第1の動作特性の初期値は手順800の開始前の値であり得る。構成可能値CVは、第1の作動可能な装置130の状態と第1の動作特性との間のDC利得を定義し、手順800の開始前に設定される。
【0089】
[000104] 一旦スペクトル特徴オフセットSF
offが推定されると(1000)、制御システム140は、第1の作動可能な装置130の調整によってもたらされる光ビーム110の推定されるスペクトル特徴オフセットSF
offを補償する第2の作動可能な装置135に対するオフセット調整を計算する(1005)。決定処理モジュール735は、メトロロジ処理モジュール725によって提供される推定オフセットに基づいて、このオフセット調整を計算してもよい。第2の作動可能な装置135に対するオフセット調整は、以下のように、推定されるスペクトル特徴オフセット(例えばSF
off)を、光ビーム110の測定されるスペクトル特徴と第2の作動可能な装置135の状態との間の関係の勾配で乗算することによって計算されてもよい。
[000105]
【数3】
[000106] ただし、Act2
offは計算される第2の作動可能な装置135に対するオフセット調整であり、Act2
state/SF
measは、光ビーム110の測定されるスペクトル特徴(SF
meas)と第2の作動可能な装置135の状態(Act1
state)との間の関係の勾配である。
【0090】
[000107] 例えば、第2の作動可能な装置135が
図6に図示される第2の作動可能な装置635のように設計されている場合には、決定処理モジュール735は、推定されるスペクトル特徴オフセット(1000)を補償するために、作動システム605A,610A,615A,620Aのうち1つ以上に対する調整を計算する(1005)。例えば、作動システム620Aがステッパモータであり、関連する光学コンポーネント620がプリズムであり、調整中のスペクトル特徴が光ビーム110の帯域幅である場合には、決定処理モジュール735が多数の工程を計算し、それらの工程を通じてステッパモータ620Aが移動され、それによってプリズム620が回転されるとともに帯域幅が調整されてもよい。また、決定処理モジュール735は、他の光学コンポーネント(他のプリズム605,610,又は615のうち1つ以上など)が調整される必要があることも計算し得る。
【0091】
[000108] 上述したように、制御システム140は、少なくとも部分的に第2の目標範囲に基づいて、光源105の第2の作動可能な装置135に対する調整も決定する(815)。この調整は、光ビーム110のスペクトル特徴を変更する命令に基づく第2の作動可能な装置135に対する主調整であり、そのような変更が第1の作動可能な装置130に影響されるかどうか又は影響するかどうかとは無関係である。そのため、手順815は、第2の目標範囲に対応する第2の作動可能な装置135に対する主調整(Act2
main)を計算することも含む(1010)。上述の例においては、決定処理モジュール735は、光ビーム110の帯域幅を第1の目標範囲にある現在の値から第2の目標範囲の値へと調整するために、プリズム620がどの程度調整される必要があるのかを決定するであろう。
【0092】
[000109] 第2の作動可能な装置135に対する、(1010で)計算される調整Act2
mainと、(1005で)計算されるAct2
offとは、両方が必要である。主調整Act2
mainは、(例えば出力装置モジュール760を介して出力装置145によってコマンドされるような)光ビーム110の帯域幅のコマンドされる変更を実施するのに必要である。オフセット調整Act2
offは、(810で)第1の作動可能な装置130を動作状態に移すための第1の作動可能な装置130の初期調整によって引き起こされる帯域幅に対する望ましくない調整を補償するのに必要である。したがって、手順815は、オフセット調整Act2
offと主調整Act2
mainとを足し合わせることによって光源105の第2の作動可能な装置135に対する全体的な調整Act2
overallを決定することを含む(1015)。
【0093】
[000110]
図12を参照すると、いくつかの実装形態においては、決定された調整に基づいて第2の作動可能な装置135が調整された(820)後で、手順1200が実施される。初めに、制御システム140は、第2の作動可能な装置135が820での調整を完了したかどうかを判定する(1205)。例えば、制御システム140は、メトロロジ装置150から、第2の作動可能な装置135の状態を示す信号を受信し得る。第2の作動可能な装置135は、調整を完了すると(1205)、現在の状態で維持される(1210)。例えば、
図6に図示される例示的な第2の作動可能な装置635を参照すると、第2の作動モジュール125は、作動システム620Aに信号を送信して、プリズム620を静止させ現在の状態に維持し得る。
【0094】
[000111] また、第2の作動可能な装置135は、出力装置145に向けられる光ビーム110の設定されたパルス数(例えばN、ただしNは正の整数である)の間、現在の状態に維持されてもよい(1210)。第2の作動可能な装置135が現在の状態に維持される(1210)間のパルスの数は、数十(例えば40未満、30未満、又は20未満)程度であり得る。
【0095】
[000112] 第2の作動可能な装置135が現在の状態に維持される間(1210)、パルス光ビーム110のスペクトル特徴が測定される(1215)。具体的には、メトロロジ装置450のスペクトル特徴ユニット410が、光ビーム110についての測定を実施する(1215)。上述のように、スペクトル特徴ユニット410は光ビーム110の光スペクトルを測定し、その光スペクトルから光ビーム110のスペクトル特徴が決定される。メトロロジ処理モジュール725が光スペクトルから光ビーム110のスペクトル特徴を決定してもよい。また、第2の作動可能な装置135が現在の状態に維持される間(1210)、出力装置145に向けられる光ビーム110の各パルスについてスペクトル特徴が測定されてもよい(1215)。したがって、上記の例においては、Nが15であれば、スペクトル特徴は15個のパルスについて測定され得る(1215)。
【0096】
[000113] 次に、制御システム140は、測定されたスペクトル特徴(1215)が第2の目標範囲にあるかどうかを判定する(1220)。例えば、メトロロジ処理モジュール725は、測定されたスペクトル特徴が第2の目標範囲の上限値よりも小さく第2の目標範囲の下限値よりも大きいかどうかを判定する。測定されたスペクトル特徴(1215)が第2の目標範囲にない場合には(1220)、第2の作動可能な装置135は、測定されたスペクトル特徴が第2の目標範囲からどれだけ離れているかに基づいて調整される(1225)。例えば、決定処理モジュール735がサブモジュール755Bに信号を送信し、このサブモジュールが第2の作動モジュール125に、第2の作動可能な装置135に対する調整を行ってスペクトル特徴を第2の目標範囲に近いか又は第2の目標範囲内の新しい値に調整するように命令する。
【0097】
[000114] 第2の作動可能な装置135の調整(1225)の後、手順1200は、第2の作動可能な装置135を現在の状態で維持し続け(1210)、その一方で光ビーム110のスペクトル特徴を測定する(1215)。
【0098】
[000115]
図12には図示されていないが、第2の作動可能な装置135が現在の状態で維持される(1210)間、複数のスペクトル特徴が測定される(1215)場合には、測定された各スペクトル特徴はメモリ(例えばメモリ700)内に記憶される。この場合、メトロロジ処理モジュール725が測定されたスペクトル特徴の平均値を計算してもよく、その平均値が、ステップ1220において、測定されたスペクトル特徴として用いられ、第2の目標範囲と比較されてもよい。
【0099】
[000116] 制御システム140が、測定されたスペクトル特徴(1215)が第2の目標範囲内にあると判定する(1220)場合には、変化状態動作は完了され、作動システム115は定常状態動作下で動作し得る。定常状態動作においては、出力装置145は、光ビーム110のスペクトル特徴が一定に保たれることを必要とする。
【0100】
[000117] 第2の作動モジュール125を用いたパルス光ビーム110のスペクトル特徴の調整は、第1の作動可能な装置130が動作している実際の値の調整を引き起こしてもよく、逆もまた同様である。これは、第1の作動可能な装置130と第2の作動可能な装置135とが互いに直列であるために起こり得る。すなわち、一方の値又は設定が変更されると、他方の値又は設定が変更され、両者がスペクトル特徴を変更するように作用する。したがって、第1の作動可能な装置130に対する変更又は調整(810)がスペクトル特徴にどのように影響を及ぼすかを予測又は推定することが可能であり、この情報は、第2の作動可能な装置に対する調整を決定するために用いられる(815)。
【0101】
[000118] スペクトル特徴(帯域幅など)を制御することに加え、別のスペクトル特徴(波長など)が、例えば第2の作動モジュール125による閉ループ制御によって制御されてもよい。
【0102】
[000119] 本明細書に記載された手順及び装置のいくつかの実装形態は、いくつかの既知の技術に比べ、変化状態動作の合計時間を約30〜65%短縮する。なぜなら、第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあると判定される前に、手順800が第2の作動可能な装置135の調整(815)を始めるからである。例えば、いくつかの既知の技術においては、変化状態動作が完了するのには1秒かかる。これに対し、本明細書に記載された手順においては、変化状態動作が完了するのにかかるのは2分の1秒である。このようにして、出力装置145は、例えばウェーハ360をより迅速に処理することができ、出力装置145による全体的な生産量が増加する。他の実装形態は以下の特許請求の範囲内にある。本発明の他の態様は、以下の番号を付した条項に記載する。
【0103】
条項1
光源によって生成されるパルス光ビームのスペクトル特徴を調整する方法であって、
パルス光ビームのスペクトル特徴を第1の目標範囲の値から第2の目標範囲の値へと変更する命令を受け取ることと、
第1の動作特性を調節することは光源の第1の作動可能な装置を第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあると判定されるまで調整することを含むところ、光源の第1の動作特性を調節することと、
光源の第2の作動可能な装置に対する調整を、少なくとも部分的には、
第1の作動可能な装置の調整と光ビームのスペクトル特徴との間の関係に基づいて、及び
第2目標範囲に基づいて、決定することと、
決定された調整に基づく量で第2の作動可能な装置を調整することと、
を備える、方法。
【0104】
条項2
光源の第1の動作特性を調節することは、
第1の作動可能な装置が調整された後で光源の第1の動作特性を観察することと、
観察される第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定することと、
観察される第1の動作特性が許容可能な値の範囲外にあると判定される場合には、光源の第1の作動可能な装置を調整することと、
を備えるフィードバックループとして実施される、条項1の方法。
【0105】
条項3
第2の作動可能な装置に対する調整を決定することのうち少なくともいくらか及び第2の作動可能な装置を調整することのうち少なくともいくらかは、第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあると判定される前に起こる、条項1の方法。
【0106】
条項4
第1の作動可能な装置の調整と光ビームのスペクトル特徴との間の関係に基づいて第2の作動可能な装置に対する調整を決定することとは、第1の作動可能な装置の調整によって引き起こされる光ビームのスペクトル特徴のオフセットを推定することを備える、条項1の方法。
【0107】
条項5
オフセットは、
第1の動作特性の目標値は許容可能な値の範囲内にあるところ、第1の動作特性の初期値と第1の動作特性の目標値との差と、
第1の動作特性と第1の作動可能な装置の状態との間の関係を定義する校正値と、
光ビームの測定されるスペクトル特徴対第1の作動可能な装置の状態のタイミング曲線の勾配と、
に基づいて推定される、条項4の方法。
【0108】
条項6
第1の作動可能な装置の調整と光ビームのスペクトル特徴との間の関係に基づいて第2の作動可能な装置に対する調整を決定することは、第1の作動可能な装置の調整によって引き起こされる光ビームのスペクトル特徴の推定されるオフセットを補償する第2の作動可能な装置に対するオフセット調整を計算することを備える、条項4の方法。
【0109】
条項7
第1の作動可能な装置の調整によって引き起こされる光ビームのスペクトル特徴の推定されるオフセットを補償する第2の作動可能な装置に対するオフセット調整を計算することは、推定されるオフセットを、光ビームの測定されるスペクトル特徴と第2の作動可能な装置の状態との間の関係の勾配で乗算することを備える、条項6の方法。
【0110】
条項8
第2の目標範囲に基づいて光源の第2の作動可能な装置に対する調整を決定することは、第2の目標範囲に対応する第2の作動可能な装置に対する主調整を計算することを備え、光源の第2の作動可能な装置に対する調整を決定することは、調整を決定するためにオフセット調整と主調整とを足し合わせることを備える、条項6の方法。
【0111】
条項9
第2の作動可能な装置が調整を完了した後で、
光ビームのスペクトル特徴を測定しつつ第2の作動可能な装置を現在の状態で維持することと、
光ビームの測定されるスペクトル特徴が第2の目標範囲内になるまで第2の作動可能な装置を調整することと、
を更に備える、条項1の方法。
【0112】
条項10
光ビームのスペクトル特徴を測定することは、N個のパルスで一組の光ビームの各パルスについて光ビームのスペクトル特徴を測定することを含む、条項9の方法。ただし、Nは30未満の数である。
【0113】
条項11
光源の第1の動作特性は、第1の作動可能な装置の状態と第1の作動可能な装置の目標状態との相対値を備え、
第1の作動可能な装置は、光源がいつ光ビームのパルスを出力するかに関するタイミングである、条項1の方法。
【0114】
条項12
光源がいつ光ビームのパルスを出力するかに関するタイミングは、光源の第1段に送信される第1のトリガ信号と光源の第2段に送信される第2のトリガ信号との相対的なタイミングである、条項11の方法。
【0115】
条項13
第2の作動可能な装置は、パルス光ビームと相互作用するように構成された光学系を備えており、
第2の作動可能な装置を調整することは、光学系を調整し、それによってパルス光ビームの光学倍率を調整するとともに光ビームのスペクトル特徴を変更することを備える、条項1の方法。
【0116】
条項14
光ビームのスペクトル特徴は光ビームの帯域幅である、条項1の方法。
【0117】
条項15
光源の第1の作動可能な装置を調整することは、光ビームのスペクトル特徴を、値の第1の範囲内且つ第1の速度で変化させ、
光源の第2の作動可能な装置を調整することは、光ビームのスペクトル特徴を、値の第2の範囲内且つ第2の速度で変化させ、
値の第2の範囲は値の第1の範囲よりも大きく、
第2の速度は第1の速度よりも遅い、条項1の方法。
【0118】
条項16
第1の動作特性の値の許容可能な範囲は第1の動作特性の動作範囲に集中しており、第1の動作特性の動作範囲は第1の動作特性の制限値によって定義される、条項1の方法。
【0119】
条項17
光源によって生成されるパルス光ビームのスペクトル特徴を調整するシステムであって、
光源の第1の作動可能な装置に結合された第1の作動モジュールであって、第1の作動可能な装置は、第1の作動モジュールによって調整され、それによってパルス光ビームのスペクトル特徴を値の第1の範囲内で調整するように構成されている、第1の作動モジュールと、
光源の第2の作動可能な装置に結合された第2の作動モジュールであって、第2の作動可能な装置は、第
2の作動モジュールによって調整され、それによってパルス光ビームのスペクトル特徴を値の第2の範囲内で調整するように構成されている、第2の作動モジュールと、
第1の作動モジュール及び第2の作動モジュールに接続された制御システムと、
を備えており、制御システムは、
パルス光ビームのスペクトル特徴を第1の目標範囲の値から第2の目標範囲の値へと変更する命令を受け取り、
第1の動作特性を調節することは第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあると判定されるまで第1の作動可能な装置を調整することを含むところ、光源の第1の動作特性を調節し、
第2の作動可能な装置に対する調整を、少なくとも部分的には、第1の作動可能な装置の調整と光ビームのスペクトル特徴との間の関係に基づいて、及び第2の目標範囲に基づいて、決定し、
決定された調整に基づく量で第2の作動可能な装置を調整するように構成されている、システム。
【0120】
条項18
光源の第1の動作特性は、第1の作動可能な装置の状態と第1の作動可能な装置の目標状態との相対値を備え、第1の作動可能な装置は、光源がいつ光ビームのパルスを出力するかに関するタイミングである、条項17のシステム。
【0121】
条項19
光源は、第1段及び第2段を含む多段ガス放電システムであり、
光源がいつ光ビームのパルスを出力するかに関するタイミングは、光源の第1段に送信される第1のトリガ信号と光源の第2段に送信されるトリガ信号との相対的なタイミングである、条項18のシステム。
【0122】
条項20
第1段はパルスシード光ビームを出力する発振器装置を含み、第2段はパルスシード光ビームを受け取ってパルス光ビームを出力する光増幅装置を含む、条項19のシステム。
【0123】
条項21
第2の作動可能な装置は、パルス光ビームと相互作用してパルス光ビームの光学倍率を調整するように構成された光学系を含み、パルス光ビームの光学倍率を調整することは、それによって光ビームのスペクトル特徴を変更する、条項17のシステム。
【0124】
条項22
光学系は、パルス光ビームが通過して進む1つ以上のプリズムと、パルス光ビームが反射する格子とを含み、パルス光ビームの光学倍率は、プリズムのうち1つ以上を回転させることによって調整される、条項21のシステム。
【0125】
条項23
第1の動作特性を測定するように構成された観察システムを含むメトロロジ装置を更に備え、制御システムは観察システムから第1の動作特性の測定を受け取るように構成されている、条項17のシステム。
【0126】
条項24
メトロロジ装置は、パルス光ビームのスペクトル特徴を測定するように構成されたスペクトル特徴ユニットを含み、制御システムは、スペクトル特徴ユニットからスペクトル特徴の測定を受け取るように構成されている、条項23のシステム。
【0127】
条項25
光源によって生成されるパルス光ビームのスペクトル特徴を調整するシステムであって、
パルス光ビームのスペクトル特徴を値の第1の範囲内で調整する第1の作動可能な手段と、
第1の作動可能な手段を制御する第1の作動手段と、
パルス光ビームのスペクトル特徴を値の第2の範囲内で調整する第2の作動可能な手段と、
第2の作動可能な手段を制御する第2の作動手段と、
第1の作動手段及び第2の作動手段に接続された制御手段と、
を備え、
制御手段は、
パルス光ビームのスペクトル特徴を第1の目標範囲の値から第2の目標範囲の値へと変更する命令を受け取り、
第1の動作特性を調節することは第1の動作手段に信号を送信して第1の作動可能な手段を第1の動作特性が許容可能な値の範囲内にあると判定されるまで調整することを含むところ、光源の第1の動作特性を調節し、
第2の作動可能な手段に対する調整を、少なくとも部分的には、第1の作動可能な手段の調整と光ビームのスペクトル特徴との間の関係に基づいて、及び第2の目標範囲に基づいて、決定し、
決定された調整に基づく量で第2の作動可能な手段を調整するように、第2の作動手段に信号を送信する、システム。