特許第6886582号(P6886582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886582
(24)【登録日】2021年5月19日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】壁面収納及び壁面収納の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20210603BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   E04F19/08 102J
   A47B55/00
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-251001(P2016-251001)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-104956(P2018-104956A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕之
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−299082(JP,A)
【文献】 特開2000−157362(JP,A)
【文献】 特開2010−104728(JP,A)
【文献】 特開2010−167074(JP,A)
【文献】 特開平07−293524(JP,A)
【文献】 特開2015−223470(JP,A)
【文献】 特開平06−225815(JP,A)
【文献】 実開昭58−062939(JP,U)
【文献】 実開昭57−036158(JP,U)
【文献】 特開2003−265241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
A47B 55/00−55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置される壁面収納であって、
前記壁面収納の上下方向に延びて前記壁面に固定される一対の縦板と、
前記一対の縦板の間において前記縦板を前記壁面に固定する第一固定部材と、
前記一対の縦板の下端面及び前記壁面に固定される地板と、
前記一対の縦板の間において前記地板を前記壁面に固定する第二固定部材と、
前記一対の縦板に嵌め込まれて前記第一固定部材及び前記第二固定部材よりも前記壁面の反対側に配置される背板と、
前記一対の縦板の上端面に固定される天板と、を備える、
壁面収納。
【請求項2】
両端面が前記一対の縦板に固定される桟木を更に備え、
前記桟木は、前記背板の前記壁面側に配置されており、
前記桟木の上端面は、前記一対の縦板の上端面と面一である、
請求項1に記載の壁面収納。
【請求項3】
前記桟木は、前記壁面に固定される、
請求項2に記載の壁面収納。
【請求項4】
前記地板及び前記天板は、前記一対の縦板に対して着脱可能に固定される、
請求項1〜3の何れか一項に記載の壁面収納。
【請求項5】
壁面に壁面収納を設置する壁面収納の設置方法であって、
一対の縦板及び地板を前記壁面に固定するとともに、前記一対の縦板の下端面及び前記壁面に前記地板を固定する第一工程と、
前記第一工程の後に、前記一対の縦板に背板を嵌め込む第二工程と、
前記第二工程の後に、天板を前記一対の縦板の上端面に固定する第三工程と、を備え、
前記第一工程では、前記一対の縦板の間において第一固定部材により前記縦板を前記壁面に固定するとともに、前記一対の縦板の間において第二固定部材により前記地板を前記壁面に固定し、
前記第二工程では、前記第一固定部材及び前記第二固定部材よりも前記壁面の反対側に前記背板を配置する、
壁面収納の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設置される壁面収納及び壁面収納の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オープン棚の壁面収納が記載されている。特許文献1に記載された壁面収納は、仕切部材と棚部材とが床から交互に積み重ねられて構成される。そして、棚部材が仕切部材と壁面とに固定されている。近年、室内空間の意匠性を向上させる観点から、床から浮かせるオープン棚の空間を演出したいとの要望がある。しかしながら、特許文献1に記載された壁面収納では、仕切部材と棚部材とが床から積み上げられるため、床から浮かせるオープン棚の空間を演出することができない。このような問題に対して、特許文献2には、床から浮いた位置に固定される吊戸棚の壁面収納が記載されている。特許文献2に記載された壁面収納では、収納キャビネットの下板及び上板がL字金具で壁面に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−158109号公報
【特許文献2】特開2001−186943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載された壁面収納では、水平棚である下板及び上板は上下に倒れやすいため、L字金具で下板及び上板を壁面に固定しても、下板及び上板の耐荷重性を十分に向上させることが難しい。しかも、特許文献2に記載された壁面収納では、下板及び上板を壁面に固定するL字金具が露出するため、意匠性を十分に向上させることができない。
【0005】
そこで、本発明は、耐荷重性を向上させつつ壁面に固定する固定部材を隠すことができる壁面収納及び壁面収納の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る壁面収納は、壁面に設置される壁面収納であって、壁面収納の上下方向に延びて壁面に固定される一対の縦板と、一対の縦板の間において縦板を壁面に固定する第一固定部材と、一対の縦板の下端面及び壁面に固定される地板と、一対の縦板の間において地板を壁面に固定する第二固定部材と、一対の縦板に嵌め込まれて第一固定部材及び第二固定部材よりも壁面の反対側に配置される背板と、一対の縦板の上端面に固定される天板と、を備える。
【0007】
この壁面収納では、一対の縦板及び地板が第一固定部材及び第二固定部材により壁面に固定される。そして、一対の縦板は壁面収納の上下方向に延びるため、一対の縦板を壁面に固定することで、地板のみを壁面に固定する場合に比べて、壁面収納の耐荷重性を向上させることができる。しかも、第一固定部材及び第二固定部材は、一対の縦板の間に配置されるとともに背板の壁面側に配置されるため、一対の縦板、地板、天板及び背板により隠れる。これにより、壁面収納の意匠性を向上させることができる。
【0008】
両端面が一対の縦板に固定される桟木を更に備え、桟木は、背板の壁面側に配置されており、桟木の上端面は、一対の縦板の上端面と面一であってもよい。この壁面収納では、一対の縦板の上端面と面一となる上端面を有する桟木が一対の縦板に固定されているため、一対の縦板は、桟木を介しても天板を支えることができる。これにより、天板の耐荷重性を向上させることができる。しかも、桟木は、両端面が一対の縦板に固定されるとともに背板の壁面側に配置されるため、一対の縦板及び背板により隠れる。このため、桟木が露出することによる意匠性の低下を防止することができる。
【0009】
桟木は、壁面に固定されてもよい。この壁面収納では、桟木が壁面に固定されるため、桟木及び桟木に支持される天板が撓むのを抑制することができる。
【0010】
地板及び天板は、一対の縦板に対して着脱可能に固定されてもよい。この壁面収納では、地板及び天板が一対の縦板に対して着脱可能に固定されるため、設置した壁面収納を容易に分解して取り外すことができる。
【0011】
本発明に係る壁面収納の設置方法は、壁面に壁面収納を設置する壁面収納の設置方法であって、一対の縦板及び地板を壁面に固定するとともに、一対の縦板の下端面及び壁面に地板を固定する第一工程と、第一工程の後に、一対の縦板に背板を嵌め込む第二工程と、第二工程の後に、天板を一対の縦板の上端面に固定する第三工程と、を備え、第一工程では、一対の縦板の間において第一固定部材により縦板を壁面に固定するとともに、一対の縦板の間において第二固定部材により地板を壁面に固定し、第二工程では、第一固定部材及び第二固定部材よりも壁面の反対側に背板を配置する。
【0012】
この壁面収納の設置方法では、一対の縦板及び地板を第一固定部材及び第二固定部材により壁面に固定する。そして、一対の縦板は壁面収納の上下方向に延びるため、一対の縦板を壁面に固定することで、地板のみを壁面に固定する場合に比べて、壁面収納の耐荷重性を向上させることができる。しかも、一対の縦板及び地板を壁面に固定した後に、背板を一対の縦板に嵌め込み、背板を一対の縦板に嵌め込んだ後に、天板を一対の縦板の上端面に固定する。このため、一対の縦板及び地板を壁面に固定した第一固定部材及び第二固定部材を、一対の縦板、地板、天板及び背板により隠すことができる。これにより、壁面収納の意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐荷重性を向上させつつ壁面に固定する固定部材を隠すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の壁面収納の斜視図である。
図2】実施形態の壁面収納の分解斜視図である。
図3】実施形態の壁面収納の正面図である。
図4図3に示すIV−IV線における横断面図である。
図5図3に示すV−V線における縦断面図である。
図6】壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図7】壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図8】壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図9】壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図10】壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図11】変形例1の壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図12】変形例1の壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図13】変形例2の壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図14】変形例2の壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図15】変形例3の壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図16】変形例3の壁面収納の設置方法を説明するための図である。
図17】変形例4の壁面収納の横断面図である。
図18】変形例5の壁面収納の横断面図である。
図19】変形例6の壁面収納の横断面図である。
図20】変形例7の壁面収納の横断面図である。
図21】変形例8の壁面収納の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態の壁面収納について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、実施形態の壁面収納の斜視図である。図2は、実施形態の壁面収納の分解斜視図である。図3は、実施形態の壁面収納の正面図である。図4は、図3に示すIV−IV線における横断面図である。図5は、図3に示すV−V線における縦断面図である。図1図5に示すように、本実施形態の壁面収納1は、室内等の壁面Wに設置されるオープン棚である。なお、以下の説明において、左右、上下、前後等の方向は、壁面Wに設置された壁面収納1における方向を示す。
【0017】
壁面収納1は、一対の縦板2A,2Bと、1又は複数の第一固定部材3(3A,3B)と、地板4と、1又は複数の第二固定部材5と、背板6と、天板7と、第一桟木8と、第二桟木9と、を備える。
【0018】
縦板2A,2Bは、壁面収納1の上下方向Z(図3における上下方向)及び前後方向Y(図4における上下方向:前後方向は奥行き方向ともいう)に延びる矩形の板状部材により構成されている。縦板2Aは、壁面収納1の右側(図3における右側)に配置される縦板である。縦板2Bは、壁面収納1の左側(図3における左側)に配置される縦板である。縦板2Aと縦板2Bとは、互いに対向している。なお、縦板2A,2Bは、側板ともいう。縦板2Aの下端面21Aと縦板2Bの下端面21Bとは、同じ水平面上に位置する。縦板2Aの上端面22Aと縦板2Bの上端面22Bとは、同じ水平面上に位置する。そして、縦板2A,2Bは、第一固定部材3A,3Bにより、壁面Wに固定されている。
【0019】
第一固定部材3(3A,3B)は、一対の縦板2A,2Bの間において縦板2A,2Bを壁面Wに固定する固定部材である。第一固定部材3Aは、縦板2Aを壁面Wに固定する。第一固定部材3Bは、縦板2Bを壁面Wに固定する。第一固定部材3A,3Bとしては、如何なる固定部材を用いてもよいが、コスト及び施工性の観点から、L字金具を用いることが好ましい。このため、以下の説明では、第一固定部材3A,3BとしてL字金具を用いるものとして説明する。
【0020】
第一固定部材3Aは、縦板2Aの縦板2B側に配置される。そして、第一固定部材3Aは、縦板2Aの縦板2B側の内側面23Aと、縦板2Aと縦板2Bとの間の壁面Wとに、固定される。第一固定部材3Bは、縦板2Bの縦板2A側に配置される。そして、第一固定部材3Bは、縦板2Bの縦板2A側の内側面23Bと、縦板2Aと縦板2Bとの間の壁面Wとに、固定される。なお、L字金具である第一固定部材3A,3Bの固定は、例えば、ボルト締め、ビス止め等により行うことができる。
【0021】
地板4は、壁面収納1の下側に配置される水平棚である。地板4は、壁面収納1の左右方向X(図3における左右方向:幅方向ともいう)及び前後方向Yに延びる矩形の板状部材により構成されている。地板4は、第二固定部材5により、壁面Wに固定されている。また、地板4は、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに固定されている。地板4は、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して着脱可能に固定されていてもよく、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して着脱不能に固定されていてもよい。
【0022】
縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して地板4を着脱可能に固定する場合は、例えば、ハーフェレ社のノックダウン金具(商品名:ミニフィックス15)を用いることができる。具体的には、地板4にボルト(商品名:ミニフィックス15用連結ボルト)を埋め込み、地板4の上面41からボルトを突出させておく。一方、縦板2A,2Bにアンカ(商品名:ミニフィックス15ケーシング)を埋め込み、縦板2A,2Bの下端面21A,21Bにボルトが挿入される穴を形成しておく。そして、地板4から突出するボルトを、縦板2A,2Bの下端面21A,21Bに形成された穴に挿入して、縦板2A,2Bに埋め込んだアンカに固定する。これにより、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して地板4を着脱可能に固定することができる。
【0023】
縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して地板4を着脱不能に固定する場合は、例えば、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bからダボを突出させ、地板4の上面41にダボが嵌め込まれるダボ穴を形成しておく。そして、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bから突出するダボを、地板4の上面41に形成されたダボ穴に嵌め込むとともに、ダボとダボ穴とを接着剤で接着する。これにより、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して地板4を着脱不能に固定することができる。この場合、更に、上述したハーフェレ社のノックダウン金具を用いて、縦板2Aの下端面21A及び縦板2Bの下端面21Bに対して地板4を固定してもよい。
【0024】
左右方向Xにおいて、地板4は、縦板2Aから縦板2Bの反対側に突出するとともに、縦板2Bから縦板2Aの反対側に突出している。左右方向Xにおける地板4の縦板2A,2Bから突出する長さL1(図3参照)は、特に限定されるものではなく、壁面収納1の意匠に応じて適宜選択される。但し、縦板2A,2Bによる地板4の支持強度を十分に確保する観点から、左右方向Xにおいて、地板4の縦板2A,2Bから突出する長さL1は、縦板2Aの縦板2Bとは反対側の外側面24Aから縦板2Bの縦板2Aとは反対側の外側面24Bまでの長さL2の0.5倍以下であることが好ましい。
【0025】
前後方向Yにおいて、地板4は、縦板2A,2Bから壁面Wの反対側に突出している。前後方向Yにおける地板4の縦板2A,2Bから突出する長さL3(図4参照)は、特に限定されるものではなく、壁面収納1の意匠に応じて適宜選択される。但し、縦板2A,2Bによる地板4の支持強度を十分に確保する観点から、前後方向Yにおいて、地板4の縦板2A,2Bから突出する長さL3は、縦板2A,2Bの長さL4の0.5倍以下であることが好ましい。
【0026】
第二固定部材5は、一対の縦板2A,2Bの間において地板4を壁面Wに固定する固定部材である。第二固定部材5としては、如何なる固定部材を用いてもよいが、コスト及び施工性の観点から、L字金具を用いることが好ましい。このため、以下の説明では、第二固定部材5としてL字金具を用いるものとして説明する。
【0027】
第二固定部材5は、地板4の上面41側に配置される。そして、第二固定部材5は、地板4の上面41と、縦板2Aと縦板2Bとの間の壁面Wとに、固定される。なお、L字金具である第二固定部材5の固定は、例えば、ボルト締め、ビス止め等により行うことができる。
【0028】
背板6は、壁面収納1の後側に配置される背板である。背板6は、壁面収納1の左右方向X及び上下方向Zに延びる矩形の板状部材により構成されている。背板6は、縦板2A,2Bに嵌め込まれて、第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5よりも壁面Wの反対側(壁面収納1の前側)に配置されている。具体的に説明すると、縦板2Aの内側面23Aには、上下方向Zに直線状に延びる溝25Aが形成されている。縦板2Bの内側面23Bには、上下方向Zに直線状に延びる溝25Bが形成されている。溝25A,25Bは、第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5よりも壁面Wの反対側の、互いに対向する位置(前後方向Yにおいて同じ位置)に形成されている。そして、背板6の右側端部が溝25Aに嵌め込まれるとともに、背板6の左側端部が溝25Bに嵌め込まれている。
【0029】
縦板2A,2Bに嵌め込まれた背板6の下端面61は、縦板2A,2Bの下端面21A,21Bと面一となっている。つまり、背板6の下端面61と縦板2A,2Bの下端面21A,21Bとは、同じ水平面上に位置する。縦板2A,2Bに嵌め込まれた背板6の上端面62は、縦板2A,2Bの上端面22A,22Bと面一となっている。つまり、背板6の上端面62と縦板2A,2Bの上端面22A,22Bとは、同じ水平面上に位置する。
【0030】
天板7は、壁面収納1の上側に配置される水平棚である。天板7は、壁面収納1の左右方向X及び前後方向Yに延びる矩形の板状部材により構成されている。天板7は、縦板2Aの上端面22A及び縦板2Bの上端面22Bに固定されている。天板7は、縦板2Aの上端面22A及び縦板2Bの上端面22Bに対して着脱可能に固定されていてもよく、縦板2Aの上端面22A及び縦板2Bの上端面22Bに対して着脱不能に固定されていてもよい。
【0031】
縦板2Aの上端面22A及び縦板2Bの上端面22Bに対して天板7を着脱可能に固定する手段、及び縦板2Aの上端面22A及び縦板2Bの上端面22Bに対して天板7を着脱不能に固定する手段は、縦板2Aの上端面22A及び縦板2Bの上端面22Bに対して地板4を固定する場合と同様の手段とすることができる。また、天板7は、地板4と同じ形状を成している。左右方向X及び前後方向Yにおいて、縦板2A,2Bに対する天板7の位置関係は、縦板2A,2Bに対する地板4の位置関係と同様となっている。但し、天板7は、地板4と異なる形状を成していてもよく、縦板2A,2Bに対して地板4とは異なる位置関係となっていてもよい。
【0032】
第一桟木8は、縦板2Aから縦板2Bまで左右方向Xに直線状に延びる桟木である。第一桟木8は、背板6の壁面W側に配置されており、その両端面が縦板2A,2Bに固定されている。具体的には、第一桟木8の右端面は、縦板2Aの内側面23Aに固定されており、第一桟木8の左端面は、縦板2Bの内側面23Bに固定されている。第一桟木8の上端面81は、縦板2A,2Bの上端面22A,22Bと面一となっている。つまり、第一桟木8の上端面81と縦板2A,2Bの上端面22A,22Bとは、同じ水平面上に位置する。第一桟木8の壁面W側の後端面82は、縦板2A,2Bの壁面W側の後端面26A,26Bと面一となっている。つまり、第一桟木8の後端面82と縦板2A,2Bの後端面26A,26Bとは、同じ鉛直面上に位置する。第一桟木8は、壁面Wに固定されている。壁面Wに対する第一桟木8の固定は、例えば、ビス止め、接着等により行うことができる。
【0033】
第二桟木9は、縦板2Aから縦板2Bまで左右方向Xに直線状に延びる桟木である。第二桟木9は、第一桟木8と同様に、背板6の壁面W側に配置されており、その両端面が縦板2A,2Bに固定されている。第二桟木9は、第一桟木8よりも下方に配置されている。そして、第二桟木9は、縦板2A,2B及び第一桟木8とともに、壁面収納1の正面視において矩形の枠体を成している。これにより、縦板2A,2B及び第一桟木8の形状保持性が高まる。なお、第二桟木9は、第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5と干渉しない位置に配置されている。
【0034】
次に、図6図10も参照して、壁面収納1の設置方法について説明する。図6図10は、壁面収納の設置方法を説明するための図である。
【0035】
まず、第一工程(S1)を行う。第一工程(S1)では、まず地板固定工程(S11)を行い、次に縦板固定工程(S12)を行う。
【0036】
地板固定工程(S11)では、まず、壁面Wに補助部材11を取り付ける(図6参照)。補助部材11は、地板4の位置決めを行うための部材であり、直線状に延びる棒状部材により構成されている。そして、補助部材11の上端面が水平となるように、補助部材11を配置する。なお、最終的に補助部材11は壁面Wから取り外すため、壁面Wに対する補助部材11の取り付けは、例えば、ビス止め、接着等の簡易な方法でよい。また、地板4の位置決めに問題が無ければ、又は、地板4の位置決めを行う必要が無ければ、壁面Wに補助部材11を取り付けなくてもよい。
【0037】
地板固定工程(S11)では、次に、地板4を補助部材11の上面に載せた状態で、第二固定部材5により地板4を壁面Wに固定する(図6参照)。第二固定部材5の数は、特に限定されないが、全ての第二固定部材5は、後工程の縦板固定工程(S12)において地板4に固定される縦板2A,2Bの間に配置されるようにする。
【0038】
縦板固定工程(S12)では、まず、縦板2A,2B、第一桟木8及び第二桟木9をユニット10として組み立てる(図7参照)。ユニット10は、縦板2A,2Bに第一桟木8及び第二桟木9が固定されたユニットである。なお、ユニット10の組み立ては、どの段階で行ってもよく、例えば、補助部材取付工程(S1)の前に行ってもよい。
【0039】
縦板固定工程(S12)では、次に、ユニット10を地板4に載置して、縦板2A,2Bの下端面21A,21Bを地板4の上面41に固定し、第一固定部材3A,3Bにより縦板2A,2Bを壁面Wに固定し、第一桟木8を壁面Wに固定する(図8参照)。地板4、縦板2A,2B、及び第一桟木8の固定順序は、特に限定されるものではなく、作業性等に鑑みて適宜選択することができる。第一固定部材3A,3Bの数は、特に限定されないが、全ての第一固定部材3A,3Bは、縦板2A,2Bの間に配置されるようにする。
【0040】
第一工程(S1)が終わると、次に、第二工程(S2)を行う。第二工程(S2)では、縦板2A,2Bに背板6を嵌め込む(図9参照)。背板6が嵌め込まれる縦板2A,2Bの溝25A,25Bは、第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5よりも壁面Wの反対側に形成されているため、背板6を溝25A,25Bに嵌め込むことで、背板6は、第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5よりも壁面Wの反対側に配置される。
【0041】
第二工程(S2)が終わると、次に、第三工程(S3)を行う、第三工程(S3)では、天板7を縦板2A,2Bの上端面22A,22Bに固定する(図10参照)。そして、壁面Wから補助部材11を取り外す(図1参照)。これにより、壁面収納1の設置が終了する。
【0042】
このように、本実施形態に係る壁面収納1では、縦板2A,2B及び地板4が第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5により壁面Wに固定される。そして、縦板2A,2Bは壁面収納1の上下方向Zに延びるため、縦板2A,2Bを壁面Wに固定することで、地板4のみを壁面Wに固定する場合に比べて、壁面収納1の耐荷重性を向上させることができる。しかも、第一固定部材3A,3B及び第二固定部材5は、縦板2A,2Bの間に配置されるとともに背板6の壁面W側に配置されるため、縦板2A,2B、地板4、天板7及び背板6により隠れる。これにより、壁面収納1の意匠性を向上させることができる。
【0043】
また、縦板2A,2Bの上端面22A,22Bと面一となる上端面81を有する第一桟木8が縦板2A,2Bに固定されているため、縦板2A,2Bは、第一桟木8を介しても天板7を支えることができる。これにより、天板7の耐荷重性を向上させることができる。しかも、第一桟木8は、両端面が縦板2A,2Bに固定されるとともに背板6の壁面W側に配置されるため、縦板2A,2B及び背板6により隠れる。このため、第一桟木8が露出することによる意匠性の低下を防止することができる。
【0044】
また、第一桟木8が壁面Wに固定されるため、第一桟木8及び第一桟木8に支持される天板7が撓むのを抑制することができる。
【0045】
また、地板4及び天板7が縦板2A,2Bに対して着脱可能に固定される場合は、設置した壁面収納1を容易に分解して取り外すことができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0047】
例えば、上記実施形態では、第一工程(S1)の具体的な順序を説明したが、第一工程(S1)は、如何なる順序で行ってもよい。例えば、図11及び図12に示す変形例1のように、地板固定工程(S11)と縦板固定工程(S12)とを併せてもよく、図13及び図14に示す変形例2のように、地板固定工程(S11)と縦板固定工程(S12)との順序を入れ替えてもよい。
【0048】
図11及び図12に示す変形例1の第一工程(S1)では、まず、縦板2A,2B、第一桟木8、第二桟木9及び地板4をユニット10Aとして組み立てる(図11参照)。ユニット10Aは、縦板2A,2Bに第一桟木8及び第二桟木9が固定されるとともに、縦板2A,2Bの下端面21A,21Bに地板4が固定されたユニットである。次に、第二固定部材5により地板4を壁面Wに固定し、第一固定部材3A,3Bにより縦板2A,2Bを壁面Wに固定し、第一桟木8を壁面Wに固定する(図12参照)。変形例1では、地板4がユニット10Aとして組み立てられるため、地板4の位置決めを行うための補助部材11の代わりに、第一桟木8の位置決めを行う補助部材11Aを壁面Wに取り付けてもよい。この場合、補助部材11Aは、背板6の壁面W側に配置されるため、最終的に補助部材11Aを取り外さなくてもよい。
【0049】
図13及び図14に示す変形例2の第一工程(S1)では、まず、縦板2A,2B、第一桟木8及び第二桟木9からなるユニット10を組み立てる。次に、ユニット10の縦板2a,2b及び第一桟木8を壁面Wに固定する(図13参照)。次に、地板4を壁面W及び縦板2A,2Bの下端面21A,21Bに固定する(図14参照)。変形例2では、地板4よりも先にユニット10の縦板2a,2b及び第一桟木8が壁面Wに固定されるため、変形例1と同様に、地板4の位置決めを行うための補助部材11の代わりに、第一桟木8の位置決めを行う補助部材11Aを壁面Wに取り付けてもよい。この場合、補助部材11Aは、背板6の壁面W側に配置されるため、最終的に補助部材11Aを取り外さなくてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、壁面収納1は第一桟木8及び第二桟木9を備えるものとして説明したが、壁面収納1は必ずしも第一桟木8及び第二桟木9を備えなくてもよい。例えば、第二桟木9が無い変形例3の場合、第一工程(S1)の縦板固定工程(S12)では、まず、縦板2A,2B及び第一桟木8をユニット10Bとして組み立てる(図15参照)。ユニット10Bは、縦板2A,2Bに第一桟木8が固定されたユニットである。次に、ユニット10Bを地板4に載置して、縦板2A,2Bの下端面21A,21Bを地板4の上面41に固定し、第一固定部材3A,3Bにより縦板2A,2Bを壁面Wに固定し、第一桟木8を壁面Wに固定する(図16参照)。
【0051】
また、上記実施形態では、地板4及び天板7は、左右方向X及び前後方向Yにおいて縦板2A,2Bから突出しているものとして説明したが、図17に示す変形例4の壁面収納1Aのように、地板4及び天板7は、左右方向Xにおいて縦板2A,2Bから突出していなくてもよく、前後方向Yにおいて縦板2A,2Bから突出していなくてもよい。この場合、縦板2A,2Bは、壁面収納1Aの左右端部に配置される側板となる。
【0052】
また、上記実施形態では、背板6は、縦板2Aと縦板2Bとの間にのみ配置されるものとして説明したが、図18に示す変形例5の壁面収納1Bのように、縦板2Aと縦板2Bとの間に配置される背板6に加えて、縦板2Aの縦板2Bとは反対側に配置される背板6Aと、縦板2Bの縦板2Aとは反対側に配置される背板6Bと、を更に備えてもよい。この場合、背板6A及び背板6Bの壁面W側は、背板6A及び背板6Bにより隠れるため、背板6A及び背板6Bの壁面W側でも、第一固定部材3及び第二固定部材5により縦板2A,2B及び地板4を壁面Wに固定してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、壁面収納1は、一対の縦板を備えるものとして説明したが、縦板の数は限定されるものではない。例えば、図19に示す変形例6の壁面収納1Cは、3枚の縦板2A,2B,2Cを備える。この場合、地板4は、3枚の縦板2A,2B,2Cの下端面に固定され、天板7は、3枚の縦板2A,2B,2Cの上端面に固定される。そして、縦板2A及び縦板2Bに背板6が嵌め込まれるとともに、縦板2B及び縦板2Cに背板6が嵌め込まれる。また、図20に示す変形例7の壁面収納1Dは、4枚の縦板2A,2B,2C,2Dを備える。この場合、地板4は、4枚の縦板2A,2B,2C,2Dの下端面に固定され、天板7は、4枚の縦板2A,2B,2C,2Dの上端面に固定される。そして、縦板2Bと縦板2Cとが隣接されて、縦板2A及び縦板2Bに背板6が嵌め込まれるとともに、縦板2C及び縦板2Dに背板6が嵌め込まれる。なお、図20に示す変形例7の壁面収納1Dにおいて、縦板2A,2Bに固定される地板4及び天板7と、縦板2C,2Dに固定される地板4及び天板7とを、別部材とすれば、複数(2つ)の独立した壁面収納を左右方向Xに組み合わせたものとなる。
【0054】
また、図21に示す変形例8の壁面収納1Eのように、複数の壁面収納を上下方向Zに組み合わせてもよい。この場合、上下に隣接する一対の壁面収納の間で、下側の壁面収納の天板7と上側の壁面収納の地板4とを一枚の板材で共用してもよく、下側の壁面収納の天板7と上側の壁面収納の地板4とを別部材としてもよい。なお、図21では、下側の壁面収納の天板7と上側の壁面収納の地板4とを一枚の板材で共用したものを示している。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,1B,1C,1D,1E…壁面収納、2A,2B,2C…縦板、21A,21B…下端面、22A,22B…上端面、23A,23B…内側面、24A,24B…外側面、25A,25B…溝、26A,26B…後端面、3A,3B…第一固定部材、4…地板、41…上面、5…第二固定部材、6,6A,6B…背板、61…下端面、62…上端面、7…天板、8…第一桟木(桟木)、81…上端面、82…後端面、9…第二桟木、10,10A,10B…ユニット、11,11A…補助部材、W…壁面、X…左右方向、Y…前後方向、Z…上下方向。
図1
図2
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図6
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図8
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