(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)、エポキシ硬化剤(B)及び改質樹脂(C)を含む。前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物(D)、光重合開始剤(E)、光増感剤(F)を含んでいてもよく、さらに溶剤(G)を含んでいてもよい。
【0010】
本明細書において活性エネルギー線とは、紫外線;電子線;α線、β線、γ線等の電離放射線を意味する。前記活性エネルギー線が紫外線である場合、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤(E)を含むことが好ましく、さらに光増感剤(F)を含んでもよい。他方、前記活性エネルギー線が電子線、電離放射線である場合、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記光重合開始剤(E)及び光増感剤(F)を含まなくともよい。
【0011】
前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)は、酸基(好ましくはカルボキシ基)を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂であり、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(以下、「特定エポキシ樹脂」という場合がある。)のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させ、さらに1種又は2種以上の2価の有機酸を付加させた構造を有する樹脂(A1);又は前記樹脂(A1)のカルボキシ基の一部に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート等の酸反応性(メタ)アクリレート化合物を付加させた樹脂(A2)であることが好ましい。
【0012】
前記特定エポキシ樹脂としては、1種又は2種以上を用いることができ、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂等が挙げられる。
中でも、耐熱性の観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
前記特定エポキシ樹脂に含まれるノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の合計の含有率は、前記特定エポキシ樹脂100質量%中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0013】
前記有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸の無水物等が挙げられる。前記ジカルボン酸無水物としては、耐熱性の観点から、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の環状構造を有するジカルボン酸の無水物が好ましい。
【0014】
前記酸反応性(メタ)アクリレート化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
【0015】
前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)の酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上、より好ましくは40mgKOH/g以上であり、好ましくは150mgKOH/g以下、より好ましくは100mgKOH/g以下、さらに好ましくは90mgKOH/g以下である。
【0016】
前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上であり、好ましくは12,000以下、より好ましくは10,000以下である。また、前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)の分子量分散度は、好ましくは1.5以上4以下である。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した値を意味するものとする。
【0017】
前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)の含有量は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは18質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0018】
前記エポキシ硬化剤(B)は、前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)に含まれる酸基(好ましくはカルボキシ基)と反応しうる官能基(好ましくはエポキシ基)を有するものであることが好ましい。前記エポキシ硬化剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、前記特定エポキシ樹脂として例示したエポキシ樹脂を用いることができる。中でも、耐熱性の観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が50℃以上120℃以下であるものが好ましい。
【0019】
前記エポキシ硬化剤(B)のエポキシ基当量は、好ましくは5以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上であり、好ましくは500以下、より好ましくは400以下、さらに好ましくは300以下である。
【0020】
前記エポキシ硬化剤(B)の含有量は、前記酸基含有エポキシ(メタ)クリレート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは25質量部以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
【0021】
前記エポキシ硬化剤(B)と併せて、硬化促進剤(B1)を使用してもよい。前記硬化促進剤(B1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物;ジシアンアミド;ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等の環状アミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;有機酸金属塩;ルイス酸;アミン錯塩等が挙げられる。
前記硬化促進剤(B1)の含有量は、前記エポキシ硬化剤(B)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
【0022】
前記改質樹脂(C)は、水酸基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である特定官能基を有する。前記改質樹脂(C)に含まれる前記特定官能基の官能基価は、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは18mgKOH/g以上であり、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、さらに好ましくは120mgKOH/g以下である。
前記官能基価は、前記特定官能基が水酸基のみである場合、水酸基価を表すものとし、前記特定官能基がカルボキシ基のみである場合、酸価を表すものとする。前記特定官能基が水酸基及びカルボキシ基の両方を含む場合、水酸基価及び酸価の合計を表すものとする。
【0023】
前記改質樹脂(C)に含まれる特定官能基の数は、1分子あたり、好ましくは2個以上であり、好ましくは6個以下、より好ましくは4個以下、さらに好ましくは3個以下であり、特に好ましくは2個である。
【0024】
前記改質樹脂(C)は、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
【0025】
前記ポリエステル樹脂としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂;環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル樹脂;これらを共重合して得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0026】
前記ポリエステル樹脂の製造に用いるポリオールとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ポリオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式構造を有するポリオール;ビスフェノールA及びビスフェノールF等の芳香族構造を有するポリオール;前記芳香族構造を有するポリオールをアルキレンオキシド変性したポリオールなどが挙げられる。
中でも、前記脂環式構造を有するポリオール、前記芳香族構造を有するポリオール及び前記芳香族構造を有するポリオールをアルキレンオキシド変性したポリオールが好ましく、前記芳香族構造を有するポリオールをアルキレンオキシド変性したポリオールがより好ましい。
【0027】
前記ポリオールの分子量は、好ましくは50以上であり、好ましくは1,500以下、より好ましくは1,000以下、さらに好ましくは700以下である。
【0028】
前記芳香族構造を有するポリオールの変性に用いられるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素原子数2以上4以下(好ましくは2以上3以下)のアルキレンオキシドが挙げられる。前記アルキレンオキシドの付加モル数は、前記芳香族構造を有するポリオール1モルに対して、好ましくは2モル以上、より好ましくは4モル以上であり、好ましくは20モル以下、より好ましくは16モル以下である。
【0029】
前記ポリカルボン酸としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;それらの無水物またはエステル化物などが挙げられる。
中でも、脂肪族ポリカルボン酸を含むことが好ましい。前記脂肪族ポリカルボン酸の含有率は、前記ポリカルボン酸の合計中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、好ましくは100モル%以下である。
前記ポリカルボン酸として、脂肪族ポリカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸を含むことも好ましい態様である。前記芳香族ポリカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸の含有量比は、モル基準で、好ましくは1/99以上、より好ましくは30/70以上、さらに好ましくは50/50以上であり、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下である。
【0030】
前記ポリエステル樹脂の製造に用いるポリオールと前記ポリカルボン酸との含有量比(ポリオール/ポリカルボン酸)は、質量基準で、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、さらに好ましくは40/60以上であり、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下である。
【0031】
前記環状エステル化合物としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ε−メチルカプロラクトン、ε−エチルカプロラクトン、ε−プロピルカプロラクトン、3−ペンテン−4−オリド、12−ドデカノリド、γ−ドデカノラクトンが挙げられる。
【0032】
前記ポリエステル樹脂に含まれる炭素原子数4以上のオキシアルキレン単位の含有率は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0033】
前記ポリエステル樹脂は、例えば、前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを反応させることにより製造することができる。反応温度は、好ましくは190℃以上、より好ましくは200℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。反応時間は、好ましくは1時間以上100時間以下である。
【0034】
前記反応の際は、触媒を共存させてもよい。前記触媒としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
前記触媒の量は、前記ポリオール及び前記ポリカルボン酸の合計100質量部に対して、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.0005質量部以上であり、好ましくは0.01質量部以下、より好ましくは0.005質量部以下である。
【0035】
前記ポリウレタン樹脂は、ポリオール及びポリイソシアネートの反応物であり、末端にヒドロキシ基を有する。
【0036】
前記ポリウレタン樹脂の製造に用いるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0037】
前記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキシドを付加重合(開環重合)させたもの等が挙げられる。
【0038】
前記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状ジオール;ネオペンチルグリコール等の分岐鎖状ジオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ピロガロール等のトリオール;ソルビトール、蔗糖、アコニット糖等のポリオール;アコニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸等のトリカルボン酸;リン酸;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン;トリイソプロパノールアミン;ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸等のフェノール酸;1,2,3−プロパントリチオールなどが挙げられる。
【0039】
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0040】
前記ポリエーテルポリオールとしては、前記開始剤にテトラヒドロフランを付加重合(開環重合)させたポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
【0041】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール(例えば、分子量50以上300以下のポリオール)とポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;これらの共重合ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0042】
前記低分子量ポリオールとしては、分子量が50以上300以下程度のポリオールを用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の炭素原子数2以上6以下の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式構造含有ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びそれらのアルキレンオキシド付加物等の芳香族構造含有ポリオールなどが挙げられる。
【0043】
前記ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;並びに前記脂肪族ポリカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸の無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0044】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとの反応物;ホスゲンとビスフェノールA等との反応物などが挙げられる。
【0045】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0046】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、上記低分子量ポリオールとして例示したポリオール;ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ポリエステルポリオール(ポリヘキサメチレンアジペート等)等の高分子量ポリオール(数平均分子量500以上5,000以下)などが挙げられる。
【0047】
前記ポリウレタン樹脂の製造に用いるポリオールの数平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上であり、好ましくは3,000以下、より好ましくは2,000以下である。
【0048】
前記ポリイソシアネートとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式構造含有ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0049】
前記ウレタン樹脂の製造に用いるポリオールが有する水酸基と、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の当量割合[イソシアネート基/水酸基]は、モル基準で、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下である。
【0050】
前記ポリウレタン樹脂の製造に用いるポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによりポリウレタン樹脂を製造することができる。得られたポリウレタン樹脂の末端がイソシアネート基である場合、さらにヒドロキシ基を有する鎖伸長剤を反応させてもよい。
【0051】
前記ヒドロキシ基を有する鎖伸長剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール化合物;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール化合物;水などが挙げられる。
【0052】
前記改質樹脂(C)のガラス転移温度は、−100℃以上であり、好ましくは−80℃以上、より好ましくは−70℃以上であり、50℃以下であり、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0053】
前記改質樹脂(C)の数平均分子量は、500以上であり、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上であり、50,000以下であり、好ましくは30,000以下、より好ましくは20,000以下、さらに好ましくは15,000以下である。
前記改質樹脂(C)の数平均分子量は、前記官能基価に基づいて算出することができる。
【0054】
前記改質樹脂(C)(エポキシ樹脂改質材)は、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であり、水酸基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である特定官能基を有するものであり、ガラス転移温度が、−100℃以上50℃以下であり、数平均分子量が、600以上50,000以下であることが好ましい。
【0055】
本発明の改質樹脂(C)は、上記の構成を有するものであり、ソフトセグメントのみで構成されハードセグメント(凝集して、ハードセグメントドメインを形成しうる成分)を含まない。本発明の改質樹脂(C)は、それ自体の化学的・機械的特性を維持しつつエポキシ樹脂との親和性を調整することが可能であり、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中で均一に分散可能であるため、耐熱性と低弾性率化の両立を可能とし、かつ銅箔密着性に優れた硬化物を提供可能になると考えられる。
【0056】
前記改質樹脂の含有量は、前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
【0057】
前記重合性化合物(D)は、活性ラジカルによって重合しうる基(好ましくは重合性二重結合)を有する化合物であり、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
【0058】
前記重合性化合物(D)としては、フェノキシ(メタ)アクリレート等の単官能化合物;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス((メタ)アクリロイロキシエチル)エーテル及び3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能化合物並びにそれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物及びカプロラクトン変性物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の3官能化合物並びにそれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物及びカプロラクトン変性物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能化合物並びにそれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物及びカプロラクトン変性物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能有する化合物並びにそれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物及びカプロラクトン変性物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能化合物並びにそれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物及びカプロラクトン変性物;トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等の7官能以上の化合物並びにそれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物及びカプロラクトン変性物などが挙げられる。
【0059】
前記重合性化合物(D)の数平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0060】
前記重合性化合物(D)を含む場合、その含有量は、前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
【0061】
前記光重合開始剤(E)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(4−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、等のアシルホスフィンオキシド化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン化合物;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアミノアルキルフェノン化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン等が挙げられる。
前記光重合開始剤(E)を用いる場合、その含有量は、前記酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
【0062】
前記光増感剤(F)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の3級アミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
前記光増感剤(F)を用いる場合、その含有量は、前記光重合開始剤(E)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
【0063】
前記溶剤(G)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。具体的には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素溶剤;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素溶剤;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。
【0064】
前記溶剤(G)の含有量は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0065】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、さらに着色剤を含んでいてもよい。前記着色剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、顔料、染料及び天然色素のいずれでもよい。また、前記着色剤の色相は、カラーインデックスにおいて、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫、黒等に分類される着色剤をいずれも用いることができる。
【0066】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、フィラーを含んでいてもよい。前記フィラーとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、有機フィラー;硫酸バリウム、球状シリカ、タルク等の無機フィラーなどが挙げられる。
【0067】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、さらに、熱重合禁止剤、増粘剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0068】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を本発明のソルダーレジストとすることができる。
本発明のソルダーレジストから形成されるドライフィルムも本発明の技術的範囲に包含される。前記ドライフィルムは、例えば、前記ソルダーレジストを基材上に塗布し、必要に応じて含まれる溶剤(G)を乾燥等により除去して樹脂層とすることにより製造することができる。前記塗布には、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等を用いることができる。前記乾燥温度は、好ましくは60℃以上100℃以下である。
【0069】
前記ドライフィルムの厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0070】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成される樹脂層の硬化物を絶縁樹脂層として有するプリント配線板も本発明の技術的範囲に包含される。前記プリント配線板は、例えば、基材上に前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の樹脂層を形成し、硬化させることで製造することができる。前記硬化は熱硬化により行うことが好ましく、硬化温度は好ましくは140℃以上180℃以下である。
【0071】
また、樹脂絶縁層を、感光性の硬化性樹脂層や硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥した乾燥塗膜により形成する場合、基材(基板)上に形成された硬化性樹脂層や乾燥塗膜を、接触式(または非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して、選択的に活性エネルギー線により露光もしくはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する。硬化性樹脂層や乾燥塗膜は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。前記乾燥温度は、例えば、60℃以上120℃以下であることが好ましい。
【0072】
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、LEDを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光装置を用いることができる。
【0073】
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にある光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、光重合開始剤から効率よくラジカルを生成することができる。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜500mJ/cm
2、好ましくは10〜300mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0074】
直接描画装置としては、例えば、日本オルボテック株式会社製、ペンタックス株式会社製、オーク株式会社製、大日本スクリーン株式会社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmの活性エネルギー線を照射する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
【0075】
そして、このようにして硬化性樹脂層や乾燥塗膜を露光することにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させた後、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像して、硬化性樹脂層や乾燥塗膜にパターンが形成される。
【0076】
このとき、現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0077】
さらに、硬化性樹脂層を、例えば140℃以上200℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)のカルボキシ基と、エポキシ硬化剤(B)が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、絶縁信頼性等の諸特性に優れた樹脂絶縁層(パターン)を形成することができる。
【0078】
本発明のプリント配線板中の樹脂絶縁層の全膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmの範囲がより好ましい。
【0079】
前記基材としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
【0080】
本発明のプリント配線板が有する樹脂絶縁層は、永久被膜として好適であり、中でもソルダーレジストとして好適である。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0082】
〔合成例1〕ポリエステル樹脂Aの合成
反応装置に、ビスフェノールA型グリコールエーテル(DIC株式会社製、『ハイプロックス(登録商標) MDB−561』)を772.3質量部と、アジピン酸(以下「AA」という。)146.2質量部を仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を230℃に上昇した後、触媒としてテトライソプロピルチタネート(以下「TiPT」という。)を0.10質量部仕込み、230℃で24時間反応させポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂の水酸基価は37.4mgKOH/g(以下、単位略す。)、数平均分子量は3,000、ガラス転移温度は−27℃であった。
【0083】
〔合成例2〕ポリエステル樹脂Bの合成
反応装置に、ビスフェノールA型グリコールエーテル(DIC株式会社製、『ハイプロックス(登録商標) MDB−561』)を779.1質量部と、イソフタル酸(以下「iPA」という。)を132.9質量部と、セバシン酸(以下「SebA」という。)を40.4質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を230℃に上昇した後、TiPTを0.10質量部仕込み、230℃で24時間反応させポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂の水酸基価は36.9、数平均分子量は3,040、ガラス転移温度は−14℃であった。
【0084】
〔合成例3〕ポリエステル樹脂Cの合成
反応装置に、ビスフェノールA型グリコールエーテル(DIC株式会社製、『ハイプロックス(登録商標) MDB−561』)を596.8質量部と、SebAを257.4質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を230℃に上昇した後、TiPTを0.10質量部仕込み、230℃で24時間反応させポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂の酸価は36.6、数平均分子量は3,070、ガラス転移温度は−33℃であった。
【0085】
〔合成例4〕ポリエステル樹脂Dの合成
反応装置に、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを430.9質量部と、SebAを629.4質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を230℃に上昇した後、TiPTを0.03質量部仕込み、230℃で24時間縮合反応させポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂の水酸基価は24.6、数平均分子量は4,560、ガラス転移温度は−63℃であった。
【0086】
〔合成例5〕ウレタン樹脂Aの合成
反応装置に、ポリエステル樹脂Aを1000.0質量部加えて、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、『コスモネート(登録商標)T−80』)13.9質量部を仕込んだ。次いで、外温80℃に昇温した後、10時間反応を継続させ、ウレタン樹脂Aを合成した。
得られたウレタン樹脂の水酸基価は28.0、数平均分子量は4,010、ガラス転移温度は−22℃であった。
【0087】
〔実施例1〕
混合容器に酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂としてオルソクレゾール型エポキシアクリレート樹脂(DIC株式会社製、「DICLITE(登録商標) UE−9000」、不揮発分63.4質量%)を100質量部、合成例1で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂A)を5質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製「イルガキュア(登録商標)907」)を3.2質量部、多官能アクリレートとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商標;新中村化学工業株式会社製「A−DPH」)を1.9質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、「EPICLON(登録商標) N−680」)を24.4質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3質量部、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート13.3質量部を配合し、攪拌することで本発明のエポキシ樹脂組成物(X1)を得た。
前記エポキシ樹脂組成物(X1)を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。
【0088】
〔実施例2〜4、6〕
合成例1で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂A)5質量部の代わりに、合成例2、4で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂B、D)5質量部又は合成例3で得られた両末端COOH基ポリエステル(ポリエステル樹脂C)5質量部又は合成例5で得られた両末端OH基ポリウレタン(ウレタン樹脂A)5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(X2)〜(X4)、(X6)を得た。
前記エポキシ樹脂組成物(X2)〜(X4)、(X6)を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。
【0089】
〔実施例5〕
合成例1で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂A)5質量部の代わりに、合成例4で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂D)10質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(X5)を得た。
前記エポキシ樹脂組成物(X5)を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。
【0090】
〔比較例1〕
混合容器に酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂としてオルソクレゾール型エポキシアクリレート樹脂(DIC株式会社製、「DICLITE(登録商標) UE−9000」)を100質量部、(他社添加剤等添加)、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製「イルガキュア(登録商標)907」)を3.2質量部、多官能アクリレートとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−DPH」)を1.9質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、「EPICLON(登録商標) N−680」)を37.7質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3質量部配合し、相溶するまで攪拌することで本発明のエポキシ樹脂組成物(X’1)を得た。
前記エポキシ樹脂組成物(X’1)を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。
【0091】
〔比較例2〕
合成例1で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂A)5質量部の代わりに、ポリエステル樹脂(DIC株式会社製、『ポリライト(登録商標) OD−X−2921』、数平均分子量540、ガラス転移温度−5℃、水酸基価208)5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(X’2)を得た。
前記エポキシ樹脂組成物(X’2)を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。
【0092】
〔比較例3〕
合成例1で得られた両末端OH基ポリエステル(ポリエステル樹脂A)5質量部の代わりに、カルボン酸末端ポリブタジエン(岡本製油株式会社製、『SB−20』、数平均分子量350)5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(X’3)を得た。
前記エポキシ樹脂組成物(X’3)を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。
【0093】
〔ガラス転移温度(Tg)の評価方法〕
実施例及び比較例で得たエポキシ樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。得られた硬化物を幅10mm×長さ50mmの大きさに切り出し、下記の条件にて、貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)を測定した。E”/E’をtanδとした場合、tanδが最大となる温度をガラス転移温度(Tg、単位;℃)とし、測定した。
測定機器 :動的粘弾性測定機(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)
型式 :DMA6100
測定温度範囲:−100℃〜250℃
昇温速度 :5℃/分
周波数 :1Hz
測定モード :引張モード
評価基準は以下の通りとした。
○:135℃以上
△:130℃以上135℃未満
×:130℃未満
【0094】
〔弾性率の評価方法〕
実施例及び比較例で得たエポキシ樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。得られた硬化物を幅10mm×長さ80mmの大きさに切り出し、引張弾性率を測定した。
測定機器 :島津オートグラフ(株式会社島津製作所製)
型式 :AG−1
試験速度 :10mm/min
標線間距離 :20mm
評価基準は以下の通りとした。
○:1700MPa以下
△:1700MPa超1800MPa以下
×:1800MPa超
【0095】
〔銅箔密着性の評価方法〕
実施例及び比較例で得たエポキシ樹脂組成物を銅箔上に50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に160℃で1時間熱硬化させた。得られた硬化物を幅10mm×長さ100mmの大きさに切り出し、剥離試験機を用いて90°ピール強度を測定した。
測定機器 :島津オートグラフ(株式会社島津製作所製)
型式 :AG−1
試験速度 :50mm/min
評価基準は以下の通りとした。
○:0.2N以上
△:0.15N以上0.2N未満
×:0.15N未満
【0096】
【表1】
【0097】
実施例1〜6の本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いた場合は、耐熱性と低弾性率化の両立を可能とし、かつ銅箔密着性に優れた硬化物を製造可能であった。
【0098】
これに対して、比較例1の組成物は、改質樹脂(C)を含まないものであり、得られた硬化物は、銅箔密着性に劣るものであり、弾性率の高いものあった。
【0099】
比較例2の組成物は、分子量600未満のポリエステル樹脂を含むものであり、得られた硬化物は、銅箔密着性、弾性率、耐熱性ともに不十分であった。
【0100】
比較例3の組成物は、分子量350のポリブタジエン樹脂を含むものであり、得られた硬化物は、銅箔密着性に劣るものであった。