(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化剤(C)は、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、テルペン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂、多環芳香型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ビスフェノールAとレゾールから合成されたノボラック型フェノール樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンまたはジヒドロキシビフェニルを含む多価フェノール化合物、無水マレイン酸または無水フタル酸を含む酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびジアミノジフェニルスルホンの一つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物。
前記硬化促進剤(D)は、3級アミン、有機金属化合物、有機リン化合物、イミダゾール系化合物、またはホウ素化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物。
前記無機充填剤(E)は、溶融性シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、クレイ、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、およびガラス繊維よりなる群から選ばれてなる1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物。
前記無機充填剤(E)は、平均粒径が0.001μm〜30μmである球状溶融シリカを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物。
【背景技術】
【0002】
近年、小さく薄いデザインの携帯用デジタル機器が普遍化されると共に、内部に実装される半導体パッケージの単位体積当りの実装効率を高めるために半導体パッケージの軽薄短小化が進められている。パッケージの軽薄短小化に伴い、パッケージを構成している半導体チップ、リードフレーム、及びエポキシ樹脂組成物間の熱膨張係数の差、パッケージを密封するエポキシ樹脂組成物の熱収縮および硬化収縮によってパッケージが反る歪み(warpage)問題が発生している。パッケージの歪み問題が発生すると、半導体後工程において、はんだ時のはんだ不良およびこれによる電気的不良が発生し得るため、耐歪み特性にすぐれる半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を開発する必要がある。
【0003】
エポキシ樹脂組成物の歪み特性を向上させることができる代表的な方法として、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度を高くする方法とエポキシ樹脂組成物の硬化収縮率を低くする方法等が知られている。
【0004】
半導体パッケージを基板に実装する過程で、高温(260℃)にパッケージが露出されるが、このとき、パッケージ内部に存在する水分の急激な体積膨張によってパッケージ内部の剥離またはパッケージ外部の割れが発生し得る。よって、これを防止するために密封用エポキシ樹脂組成物自体の吸収率を下げることは、信頼性を確保するための基本要件である。ところが、歪み特性を改善するためにエポキシ樹脂組成物のガラス転移温度を高める場合は必然的に組成物の吸湿率が高くなるため、必然的にパッケージの信頼性が低下するという問題点がある。よって、信頼性が脆弱なパッケージの場合は、歪み特性を向上させるためにガラス転移温度を高めることに制約が伴うようになる。
【0005】
エポキシ樹脂組成物の硬化収縮率を低くするためには、熱膨張係数が低い無機充填剤の含量を高める方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、無機充填剤の含量を高めると、エポキシ樹脂組成物の流動性低下が伴うため、無機充填剤の含量を高めるにも必ず制約が伴うようになる。
【0006】
特に、半導体分野に使用されているシリコン系ダイ接着剤(die attach adhesive)又はシリコン系ダイ接着フィルム(die attach film)は、エポキシ系硬化型ダイ接着剤とは異なり、速硬化性であって瞬間的な圧力と熱によって接着力の発現が行われる。半導体素子封止用素材が適用された初期には、シリコン系樹脂の長所である硬化後に形成される硬化組成物の柔軟性によってシリコン系ダイ接着剤が注目されたが、最近ではエポキシモールディングの発達によって、シリコン系ダイ接着剤の適用は相対的に多く行われていない。しかし、近年、表面実装型のBOC(Board on chip)半導体パッケージは、工程時間短縮のために硬化工程に多くの時間がかかるエポキシ硬化型ダイ接着剤の代わりに、シリコン系ダイ接着剤を使用して工程収縮を短縮する趨勢にある。
【0007】
一般的に、縮合硬化型シリコン系組成物の方が付加硬化型より接着力が良好だが、縮合反応は付加生成物が形成され、それによって気孔が形成されることから信頼性不良の可能性があるため、半導体用素材として使用される場合は付加硬化型が適している。しかし、半導体チップ接着剤組成物として使用される付加硬化型は、接着剤とエポキシモールディング組成物(epoxy molding compound,EMC)界面の接着力不足によって信頼性不良を引き起こし得る。
【0008】
よって、半導体素子を密封した後、シリコン系ダイ接着剤との付着性に優れ、且つ耐クラック性に優れるため信頼性を十分に確保できる半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、半導体素子との付着性に優れた半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする別の課題は、シリコン系ダイ接着剤との付着性および耐クラック性に優れた半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとするまた別の課題は、高信頼性の半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的(観点)の一つは、エポキシ樹脂(A)、下記式3で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサン樹脂(B)、硬化剤(C)、硬化促進剤(D)、および無機充填剤(E)を含む半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物により達成されるものである:
【0014】
【化1】
【0015】
前記式3において、R
1ないしR
4は、それぞれ独立して置換または非置換されたC1ないしC10アルキル基、置換または非置換されたC3ないしC20シクロアルキル基、置換または非置換されたC6ないしC20アリール基、置換または非置換されたC7ないしC20アリールアルキル基、置換または非置換されたC1ないしC20ヘテロアルキル基、置換または非置換されたC2ないしC20ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換されたC2ないしC20アルケニル基、置換または非置換されたC2ないしC20アルキニル基、置換または非置換されたC1ないしC10アルコキシ基、エポキシ基置換有機基、または水酸基置換有機基で、R
3およびR
4の一つ以上はビニル基含有有機基で、nの平均値は0ないし100である。なお、式3中の4つのR
1は、それぞれ相互に独立して、同一であっていてもよいし、異なっていてもよい。式3中の2つのR
2は、それぞれ相互に独立して、同一であっていてもよいし、異なっていてもよい。
【0016】
前記ポリオルガノシロキサン樹脂(B)は、下記式4で表される繰り返し単位を含んでもよい:
【0017】
【化2】
【0018】
前記式4において、R
1およびR
2、並びにnは、前記式3で定義した通りである。
【0019】
前記式3において一つ以上のR
2は、エポキシ基置換有機基でもよい。
【0020】
前記ポリオルガノシロキサン樹脂(B)は、エポキシ樹脂組成物総量に対して0.1質量%ないし1.0質量%で含まれてもよい。
【0021】
前記半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)3質量%ないし15質量%;ポリオルガノシロキサン樹脂(B)0.1質量%ないし1.0質量%;硬化剤(C)2質量%ないし10質量%;硬化促進剤(D)0.01質量%ないし1.0質量%;および無機充填剤(E)82質量%ないし92質量%含んでもよい。
【0022】
前記エポキシ樹脂(A)は、下記式1で表されるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂および下記式2で表されるフェノールアラルキル型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれてなる一つ以上を含んでもよい:
【0023】
【化3】
【0024】
前記式1において、Rは炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基で、nの平均値は0ないし7である。
【0025】
【化4】
【0026】
前記式2において、nの平均値は1ないし7である。
【0027】
前記硬化剤(C)は、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、テルペン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂、多芳香型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ビスフェノールAとレゾールから合成されたノボラック型フェノール樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンおよびジヒドロキシビフェニルを含む多価フェノール化合物、無水マレイン酸および無水フタル酸を含む酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびジアミノジフェニルスルホンからなる群から選ばれた1種以上の硬化剤を含んでもよい。
【0028】
前記硬化促進剤(D)は、3級アミン、有機金属化合物、有機リン化合物、イミダゾール系化合物、またはホウ素化合物を含んでもよい。
【0029】
前記無機充填剤(E)は、溶融性シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、クレイ、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、およびガラス繊維からなる群から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0030】
前記無機充填剤(E)は、平均粒径が0.001μmないし30μmの球状溶融シリカを含んでもよい。
【0031】
本発明の他の目的(観点)は、基板;前記基板上に実装された半導体素子;前記半導体素子と前記基板を電気的に通電させる接続部;および前記半導体素子と前記接続部を密封するモールディング部を含み、前記モールディング部は上述の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を含む半導体パッケージにより達成されるものである。
【0032】
前記半導体素子は、前記基板上にダイ接着フィルムを介して実装し、前記ダイ接着フィルムは、シリコン系接着剤でもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物は、半導体素子およびシリコン系ダイ接着剤と付着性および耐クラック性に優れ、前記エポキシ樹脂組成物で密封された半導体パッケージは、信頼性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明にかかる半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、ポリオルガノシロキサン樹脂(B)、硬化剤(C)、硬化促進剤(D)および無機充填剤(E)を含む。以下、本発明について詳しく説明する。
【0036】
(A)エポキシ樹脂
本発明のエポキシ樹脂(A)は、半導体素子密封用として一般的に含まれるエポキシ樹脂であれば特に制限されない。具体例において、エポキシ樹脂は、分子中に2つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物が好ましい。
【0037】
例えば、エポキシ樹脂は、フェノールまたはアルキルフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合物をエポキシ化することによって得られるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF/ビスフェノールADのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF/ビスフェノールADのグリシジルエーテル、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0038】
本実施形態(具体例)において、前記エポキシ樹脂は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂の一つ以上を含んでもよい。
【0039】
例えば、下記式1で表されるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用してもよい:
【0041】
前記式1において、Rは炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基で、nの平均値は0ないし7である。
【0042】
例えば、下記式2で表されるフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を使用してもよい:
【0044】
前記式2において、nの平均値は1ないし7である。
【0045】
前記式2のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂は、フェノール骨格を基にすると共に、中間にビフェニルを有している構造を形成して、吸湿性、靭性、耐酸化性、および耐クラック性に優れ、架橋密度が低く高温での燃焼時に炭素層(char)を形成すると共に、それ自体でもある程度のレベルの難燃性を確保できるという長所がある。
【0046】
前記エポキシ樹脂は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0047】
前記エポキシ樹脂は、単独で使用したり、フェノール系硬化剤、硬化促進剤、離型剤、カップリング剤、および応力緩和剤等のその他の成分とメルトマスターバッチ(melt master batch)のような先反応をさせて作った付加化合物としても使用できる。また、耐湿信頼性向上のためにエポキシ樹脂中に含有された塩素イオン(ion)、ナトリウムイオン(sodium ion)、およびその他のイオン性不純物が低いものを使用することが好ましい。
【0048】
前記エポキシ樹脂は、前記半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物全質量に対して、2質量%ないし17質量%、例えば、3質量%ないし15質量%で含まれてもよい。前記範囲で、エポキシ樹脂組成物の流動性、難燃性、信頼性が良くなり得る。例えば、2、3、4、5、5.9、6、6.17、6.38、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17質量%で含んでもよい。
【0049】
(B)ポリオルガノシロキサン樹脂
本発明のポリオルガノシロキサン樹脂(B)は、下記式3の繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサン化合物(樹脂)である:
【0051】
前記式3において、R
1ないしR
4は、それぞれ独立して、置換または非置換されたC1ないしC10アルキル基、置換または非置換されたC3ないしC20シクロアルキル基、置換または非置換されたC6ないしC20アリール基、置換または非置換されたC7ないしC20アリールアルキル基、置換または非置換されたC1ないしC20ヘテロアルキル基、置換または非置換されたC2ないしC20ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換されたC2ないしC20アルケニル基、置換または非置換されたC2ないしC20アルキニル基、置換または非置換されたC1ないしC10アルコキシ基、エポキシ基置換有機基、または水酸基置換有機基で、R
3およびR
4の一つ以上はビニル基含有有機基で、nの平均値は0ないし100である。なお、式3中の4つのR
1は、それぞれ相互に独立して、同一であっていてもよいし、異なっていてもよい。式3中の2つのR
2は、それぞれ相互に独立して、同一であっていてもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
一実施形態(具体例)として、本発明のポリオルガノシロキサン樹脂は下記式4の繰り返し単位を含んでもよい:
【0054】
前記式4において、R
1およびR
2、並びにnは、前記式3で定義したとおりである。
【0055】
別の実施形態(具体例)において、前記式3で一つ以上のR
2は、エポキシ基置換有機基でもよい。前記エポキシ基置換有機基は、エポキシ基置換C1ないしC30アルキル基、エポキシ基置換C3ないしC30シクロアルキル基、エポキシ基置換C6ないしC30アリール基、エポキシ基置換C7ないしC30アリールアルキル基、エポキシ基置換C1ないしC30ヘテロアルキル基、エポキシ基置換C2ないしC30ヘテロシクロアルキル基またはこれらの組合せでもよい。具体例において、前記エポキシ基置換有機基としては、グリシドキシアルキル基でもよい。例えば、グリシドキシプロピル基(glycidoxypropyl group)でもよい。前記水酸基置換有機基は、水酸基置換C1ないしC30アルキル基、水酸基置換C3ないしC30シクロアルキル基、水酸基置換C6ないしC30アリール基、水酸基置換C7ないしC30アリールアルキル基、水酸基置換C1ないしC30ヘテロアルキル基、水酸基置換C2ないしC30ヘテロシクロアルキル基またはこれらの組合せでもよい。
【0056】
前記ポリオルガノシロキサン樹脂は、エポキシ樹脂組成物に使用されると、半導体素子と基板を付着させるシリコン系ダイ接着剤との付着性に優れるため、エポキシモールディング組成物とシリコン系ダイ接着剤の界面で発生し得るクラックを防止することができ、これによって信頼性をより向上させることができる。
【0057】
前記ポリオルガノシロキサン樹脂は、前記エポキシ樹脂組成物全質量に対して、0.1質量%ないし1.0質量%で含んでもよい。前記範囲で含まれると、シリコン系ダイ接着剤との界面接着力が向上するため信頼性が向上するという利点があり、1.0質量%を超えて多く含まれると、離型性が低下し連続作業性が低下するという問題点が発生し得る。例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0質量%含んでもよい。
【0058】
(C)硬化剤
本発明の硬化剤(C)は、半導体素子密封用として通常使用されるものであり、2つ以上のフェノール性水酸基またはアミノ基等を有するものであれば特に制限されなく、モノマー、オリゴマーおよびポリマーからなる群から選ばれる1種以上を使用してもよい。
【0059】
例えば、硬化剤は、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、テルペン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂、多芳香型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ビスフェノールAとレゾールから合成されたノボラック型フェノール樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンおよびジヒドロキシビフェニルを含む多価フェノール化合物、無水マレイン酸および無水フタル酸を含む酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびジアミノジフェニルスルホンからなる群から選ばれた1種以上の硬化剤を含んでもよい。
【0060】
例えば、硬化剤としては、下記式5で表されるビフェニル骨格を有するフェノールアラルキル型フェノール樹脂または下記式6で表されるザイロック型フェノール樹脂を使用してもよい:
【0062】
前記式5において、nの平均値は1ないし7である。
【0064】
前記式6において、nの平均値は1ないし7である。
【0065】
前記硬化剤は、単独または併用して使用してもよい。例えば、硬化剤に前記エポキシ樹脂、硬化促進剤、およびその他の添加剤等の成分とメルトマスターバッチ(melt master batch)のように先反応させて製造された付加化合物形態で使用してもよい。
【0066】
前記硬化剤は、軟化点が50℃ないし100℃でもよい。前記範囲で適切な樹脂粘度が確保できるため、流動性が低下しない。
【0067】
前記硬化剤に含まれるフェノール性水酸基の当量は、90g/eqないし300g/eqでもよい。前記範囲内で、前記エポキシ樹脂組成物の硬化性、難燃性および流動性のバランスに優れる。例えば、100g/eqないし300g/eqでもよい。
【0068】
前記エポキシ樹脂(A)と硬化剤(C)の組成比は、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の当量:硬化剤(C)に含まれるフェノール性水酸基の当量の比が0.5:1ないし2:1でもよい。前記範囲内で、樹脂組成物の流動性が確保でき、硬化時間が遅延しなくなり得る。例えば、前記当量比は、0.8:1ないし1.6:1でもよい。
【0069】
前記硬化剤は、前記半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物全質量に対して、2質量%ないし10質量%で含まれてもよい。例えば、2質量%ないし8質量%で含まれてもよい。前記範囲内で、未反応のエポキシ基およびフェノール性水酸基が多量発生しないため、前記エポキシ樹脂組成物の流動性、難燃性および信頼性に優れ得る。例えば、2、3、4、5、5.23、5.41、6、7、8、9、または10質量%で含まれてもよい。
【0070】
(D)硬化促進剤
本発明の硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤の反応を促進する。前記硬化促進剤としては、3級アミン、有機金属化合物、有機リン化合物、イミダゾール系化合物、またはホウ素化合物等を使用してもよく、必ずしもこれに制限されるのではない。例えば、有機リン化合物を使用してもよい。
【0071】
具体的には、前記3級アミンには、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール、トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノ−ルとトリ−2−エチルヘキシル酸の塩等があるが、これに制限されるのではない。前記有機金属化合物は、クロミウムアセチルアセトネート、ジンクアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート等があるが、これに制限されるのではない。前記有機リン化合物は、トリス−4−メトキシホスフィン、テトラブチルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、トリフェニルホスフィン−1,4−ベンゾキノン付加物等があるが、これに制限されるのではない。前記イミダゾール系化合物は、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−アミノイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等があるが、これに制限されるのではない。前記ホウ素化合物は、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、テトラフェニルボロン塩、トリフルオロボラン−n−ヘキシルアミン、トリフルオロボランモノエチルアミン、テトラフルオロボラントリエチルアミン、テトラフルオロボランアミン等があるが、これに制限されるのではない。これ以外にも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、およびフェノールノボラック樹脂塩等を使用してもよい。
【0072】
また、前記硬化促進剤は、エポキシ樹脂および/またはフェノール系硬化剤と先反応させて製造された付加化合物形態で使用できる。
【0073】
前記硬化促進剤は、前記エポキシ樹脂組成物全質量に対して、0.001質量%ないし1.5質量%で含まれてもよい。前記範囲内で硬化反応時間が遅延されなく、組成物の流動性が確保され得る。例えば、0.01質量%ないし1質量%で含まれてもよい。例えば、0.001、0.01、0.1、0.15、0.16、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4または1.5質量%で含まれてもよい。
【0074】
(E)無機充填剤
無機充填剤は、エポキシ樹脂組成物において機械的物性を向上させ、応力を下げるために使用する。前記無機充填剤の例としては、溶融性シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、クレイ、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、およびガラス繊維等を挙げることができるが、これに制限されるのではない。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0075】
例えば、低応力化のためには線膨張係数が低い溶融シリカを使用する。前記溶融シリカとは、比重が2.3以下の非晶性シリカを意味するものであり、結晶性シリカを溶融して作ったり多様な原料から合成した非晶性シリカを含んでもよい。
【0076】
前記無機充填剤の形状および粒径は、特に限定されないが、粒径0.001μmないし30μmであるものを使用してもよい。例えば、平均粒径0.001μmないし30μmの球状溶融シリカを含んでもよい。前記無機充填剤は、相異なる粒径を有する球状溶融シリカの混合物を含んでもよい。例えば、平均粒径が5μmないし30μmの球状溶融シリカ50質量%ないし99質量%、および平均粒径が0.001μmないし1μmの球状溶融シリカを1質量%ないし50質量%混合して使用してもよい。また、用途に応じて、最大粒径を45μm、55μm、または75μmに調整して使用してもよい。
【0077】
前記無機充填剤は、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、およびアルコキシシランからなる群から選ばれる1種以上のカップリング剤で表面処理した後に使用してもよい。
【0078】
前記無機充填剤は、エポキシ樹脂組成物の成形性、低応力性、および高温強度等の物性によって適切な割合で含んでもよい。例えば、前記無機充填剤は、前記エポキシ樹脂組成物全質量に対して、70質量%ないし94質量%で含まれてもよい。前記範囲内で、歪み特性およびパッケージの信頼性に優れ、流動性と成形性に優れる。例えば、前記エポキシ樹脂組成物全質量に対して、82質量%ないし92質量%で含まれてもよい。例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93または94質量%で含まれてもよい。
【0079】
(添加剤)
本発明にかかるエポキシ樹脂組成物は、前記成分以外に、添加剤として着色剤、カップリング剤、離型剤、応力緩和剤、架橋増進剤、およびレベリング剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
【0080】
前記着色剤としては、カーボンブラックや、有機または無機染料を使用できるが、これに制限されるのではない。
【0081】
前記カップリング剤としては、シランカップリング剤を使用してもよい。前記シランカップリング剤としては、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、およびアルコキシシランからなる群から選ばれる1種以上を使用できるが、これに制限されるのではない。
【0082】
前記離型剤としては、パラフィン系ワックス、エステル系ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、天然脂肪酸、および天然脂肪酸金属塩からなる群から選ばれる1種以上を使用してもよい。
【0083】
前記応力緩和剤としては、変性シリコンオイル、シリコンエラストマー、シリコンパウダー、およびシリコンレジンからなる群から選ばれる1種以上を使用してもよいが、これに制限されるのではない。また、前記架橋増進剤、およびレベリング剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
【0084】
前記添加剤は、前記エポキシ樹脂組成物全質量に対して、0.1質量%ないし5.5質量%で含まれてもよい。例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5または5.5質量%含んでもよい。
【0085】
前記エポキシ樹脂組成物は、難燃剤をさらに含んでもよい。前記難燃剤としては、非ハロゲン系有機または無機難燃剤を使用してもよい。非ハロゲン系有機または無機難燃剤としては、ホスファゲン、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム等の難燃剤を使用してもよいが、これに制限されるのではない。
【0086】
前記難燃剤は、無機充填剤の含量およびフェノール系硬化剤の種類等によって難燃性が違ってくるため、エポキシ樹脂組成物の難燃性によって適切な割合で含まれてもよい。前記難燃剤の含量は、前記エポキシ樹脂組成物全質量に対して、10質量%以下、例えば、8質量%以下、他の例としては5質量%以下で含まれてもよい。
【0087】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度が高く、硬化収縮率が低いためパッケージ歪み特性に優れ、半導体パッケージを構成する他の各種材料に対して付着力と耐吸湿性が強いため信頼性に優れ、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても優れた難燃性を確保できる。
【0088】
以上で説明した本発明のエポキシ樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されない。例えば、組成物に含まれる各構成成分をヘンシェルミキサーやレジゲミキサーを用いて均一に混合した後、ロールミルやニーダーで90℃ないし120℃で溶融混錬し、冷却および粉砕過程を経て製造できる。前記エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を密封する方法としては、低圧トランスファー成形方法が最も一般的に用いることができる。しかし、圧縮(compression)成形方法またはインジェクション(injection)成形方法、或いはキャスティング(casting)成形方法等の方法でも成形することができる。前記方法によって銅リードフレーム、鉄リードフレーム、または前記リードフレームにニッケル、銅、およびパラジウムからなる群から選ばれる1種以上の物質でプレプレーティングされたリードフレーム、または有機系ラミネートフレームを含む半導体素子を製造することができる。
【0089】
本発明は、前記で説明したエポキシ樹脂組成物を使用して密封された半導体素子を提供する。
【0090】
ここで、密封する過程は特に限定されなく、成形法によって適切に成形機を選択し、成形機を用いてエポキシ樹脂組成物で半導体素子を密封成形した後、硬化させ、成形が完了した半導体素子パッケージを後硬化させることにより、密封された半導体素子を提供することができる。このとき、密封成形温度および時間は160℃ないし190℃で40秒ないし300秒で、後硬化させる温度および時間は160℃ないし190℃で0時間ないし8時間でもよい。
【0091】
(半導体パッケージ)
本発明の一実施形態(具体例)にかかる半導体パッケージは、基板;前記基板上に実装された半導体素子;前記半導体素子と前記基板を電気的に通電させる接続部;および前記半導体素子と前記接続部を密封するモールディング部を含む。
【0092】
前記モールディング部は、上述の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物で形成される。
【0093】
前記半導体素子は、複数個でもよく、前記基板上にダイ接着フィルムを介して実装できる。
【0094】
図1は、本発明の一実施形態(具体例)にかかる半導体パッケージ100の概略的な構成を表した断面図である。
図1を参照すると、半導体パッケージ100は、BOC(Board on chip)タイプの半導体パッケージであって、基板110、基板110上に位置したダイ接着フィルム130、基板110上に位置し、ダイ接着フィルム130を通じて前記基板110上に付着した半導体素子120、半導体素子120と基板110を相互に電気的に連結するためのボンディングワイヤ等の接続部150、半導体素子120および接続部150を密封(encapsulate)し、基板110、基板110上に実装された半導体素子120および接続部150を含む実装構造を保護するためのモールディング部140を含む。
【0095】
半導体素子120が実装された基板110の実装面と対向する基板の他面には、半導体素子120を外部回路(図面上未図示)と電気的に連結するための複数の半田ボール160が形成されている。
【0096】
モールディング部140は、基板110上で半導体素子120と接続部150を完全に覆うように形成してもよい。
【0097】
前記モールディング部140は、上述の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を含んでいればよく、前記ダイ接着フィルム130は、シリコン系ダイ接着フィルムでもよい。
【0098】
本発明の一実施形態(具体例)にかかる半導体パッケージは、半導体素子を実装させるダイ接着フィルムとしてシリコン系ダイ接着剤を使用する際、シリコン系ダイ接着剤とエポキシ樹脂組成物間のヒドロシリル化反応を通じて接着力および耐クラック性が向上するため、高信頼性を維持することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成および作用をより詳しく説明する。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示するものであり、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0100】
ここに記載していない内容は、本技術分野の熟練者であれば十分に技術的に類推できるもののため、その説明は省略する。
【0101】
(実施例および比較例)
下記実施例および比較例で使用した成分の仕様は次の通りである。
【0102】
(A)エポキシ樹脂
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EOCN−1020−55,日本化薬社)を使用した。
【0103】
(B)ポリオルガノシロキサン樹脂
下記式4で表されるポリオルガノシロキサン樹脂を合成例に従い製造して使用した。
【0104】
【化11】
【0105】
前記式4において、前記4つのR
1は、それぞれ相互に独立して、同一であり、全てメチル基であり、前記2つのR
2は、それぞれ相互に独立して、異なっており、一方(式中、Siの下側に結合するR
2)がメチル基であり、他方(式中、Siの上側に結合するR
2)がグリシドキシプロピル基である。
【0106】
(C)硬化剤
ザイロック型フェノール樹脂であるHE100C―10(Air Water社)を使用した。
【0107】
(D)硬化促進剤
トリフェニルホスフィンであるTPP(Hokko社)を使用した。
【0108】
(E)無機充填剤
平均粒径が16μmである球状溶融シリカと、平均粒径が0.5μmである球状溶融シリカを9対1の重量比で混合して使用した。
【0109】
(F)カップリング剤
(f1)メルカプトプロピルトリメトキシシランであるKBM―803(Shinetsu社)、および(f2)メチルトリメトキシシランであるSZ―6070(Dow Corning chemical社)を混合して使用した。
【0110】
(G)添加剤
(g1)離型剤としてカルナバワックス、および(g2)着色剤としてカーボンブラックMA−600(Matsusita Chemical社)を使用した。
【0111】
(合成例)
水とイソプロピルアルコールを5:5の重量比で混合した混合溶媒1kgを3口フラスコに投入した後、65℃を維持しながら3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン300gを硝酸0.1モルと1時間にわたって滴下した。滴下が完了した後、75℃で4時間加熱し、メトキシジメチルビニルシラン40gを投入した後、反応を実施した。次いで、室温に冷却した後、水層を取り除いてイソプロピルアルコールに溶解されたシロキサン溶液を製造した。次に、得られたシロキサン溶液を水で洗浄して副産物である有機酸を取り除いた。続いて、シロキサン溶液を減圧蒸留してイソプロピルアルコールを取り除いて前記式4で表されたポリオルガノシロキサンを得た。
【0112】
(実施例1ないし3、および比較例1ないし3)
下記表1の組成に従い、ヘンシェルミキサー(KEUM SUNG MACHINERY CO.LTD(KSM―22))を用いて均一に混合した後、連続ニーダーを用いて90℃ないし110℃で溶融混錬し、冷却、粉砕して半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物を製造した。下記物性評価方法によって、物性測定した後、その結果物を表1に合わせて示した。
【0113】
(物性評価方法)
(1)スパイラルフロー(Spiral flow,inch)
EMMI規格を基準に金型を製作して成形温度175℃、成形圧力70Kgf/cm
2で流動長さ(inch)を評価した。
【0114】
(2)ガラス転移温度(Tg)および熱膨張係数(μm/m)
昇温速度10℃/minでTMA(熱機械分析;Thermal Mechanical Analyser)を使用して測定した。
【0115】
(3)離型力
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.3MPa、硬化時間90秒で半導体素子パッケージ{200FBGA(Fine Ball Grid Array;ファインピッチ・ボールグリッドアレイ),0.22t(厚),SSE(Streaming SIMD Extensions)}を連続して成形した。ゲート詰り、エアベント詰り、金型へのパッケージ取られ(package separation from the mold)、カル落ち(cull falling)等の成形不良が発生するまでのショット数を離型不良として測定し、その結果を下記表1に示した。
【0116】
(4)接着力
PCB(printed−circuit board:プリント回路基板)(200FBGA,0.22t,SSE)のPSR(photo solder resist:フォトソルダーレジスト)層上にシリコン系ダイ接着剤(ダウコーニング(Dow corning)社、DA−6633)を20μm厚で均一に塗布した後、接着力測定試片は30mm×30mmのシリコン系ダイ接着剤が塗布されたPCBに直径3mmの前記実施例および比較例で製造されたエポキシ樹脂組成物を成形して硬化試片を得た後、試片を175℃のオーブンに入れて4時間後硬化(PMC;post mold cure)させた試片と85℃/85%相対湿度条件下で168時間放置させた後、260℃で30秒間IR(赤外線)リフローを1回通過させることを3回繰り返すプレコンディション条件下における試片に対して、Die shear test(ダイのせん断試験)器(Dage 4000,DS−200 load cell)を用いて接着力を測定した。
【0117】
(5)耐クラック性の評価:信頼性の評価
前記実施例と比較例で製造された組成物で半導体パッケージを組み立てた後、175℃で4時間後硬化した。製造された半導体パッケージは、半導体素子を基板上にシリコン系ダイ接着剤(ダウコーニング(DOW corning)社、DA−6633)を介して実装させた。このような半導体パッケージを125℃で24時間乾燥させた後、85℃/85%相対湿度条件下で168時間放置させ、260℃で30秒間IRリフローを1回通過させることを3回繰り返すプレコンディション条件下におけるモールディング部とダイ接着フィルムの界面上クラック発生有無を非破壊検査器であるC−SAM(Scanning Acoustical Microscopy;Cモード超音波顕微鏡)を用いてクラック有無を評価した。
【0118】
【表1】
【0119】
前記表1において、ガラス転移温度以下(未満)での線膨張率をα1(=熱膨張係数α1(μm/m))とし、ガラス転移温度以上での線膨張率をα2(=熱膨張係数α2(μm/m))としている。また、前記表1において、接着力の単位はkgfである。耐クラック性は、サンプル数200個とし、このうちクラックが発生した個数を表している。
【0120】
前記表1の結果の通り、実施例1ないし実施例3の半導体素子密封用エポキシ樹脂組成物は、接着力および耐クラック性に優れることを確認できた。
【0121】
それに対して、ポリオルガノシロキサン樹脂を使用しない比較例1、およびポリオルガノシロキサン樹脂を微量使用した比較例2は、実施例1ないし3に比べて接着力および耐クラック性が著しく低下することを確認し、ポリオルガノシロキサン樹脂を過量使用した比較例3は、離型力が低下するため連続作業性が低下することが予想できる。
【0122】
以上本発明の実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるのではなく、相違する多様な形態で製造でき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できるということを理解すると考える。そのため、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。