【実施例】
【0029】
以下、本発明による接合材およびそれを用いた接合方法の実施例について詳細に説明する。
【0030】
[実施例1]
300mLビーカーに純水180.0gを入れ、硝酸銀(東洋化学株式会社製)33.6gを添加して溶解させることにより、原料液として硝酸銀水溶液を調製した。
【0031】
また、5Lビーカーに3322.0gの純水を入れ、この純水内に窒素を30分間通気させて溶存酸素を除去しながら、40℃まで昇温させた。この純水に(銀微粒子被覆用の)有機化合物としてソルビン酸(和光純薬工業株式会社製)44.8gを添加した後、安定化剤として28%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)7.1gを添加した。
【0032】
このアンモニア水を添加した後の水溶液を撹拌しながら、アンモニア水の添加時点(反応開始時)から5分経過後に、還元剤として純度80%の含水ヒドラジン(大塚化学株式会社製)14.91gを添加して、還元液として還元剤含有水溶液を調製した。反応開始時から9分経過後に、液温を40℃に調整した原料液(硝酸銀水溶液)を還元液(還元剤含有水溶液)へ一挙に添加して反応させ、さらに80分間撹拌し、その後、昇温速度1℃/分で液温を40℃から60℃まで昇温させて撹拌を終了した。
【0033】
このようにしてソルビン酸で被覆された銀微粒子(銀ナノ粒子)の凝集体を形成させた後、この銀微粒子の凝集体を含む液をNo.5Cのろ紙で濾過し、この濾過による回収物を純水で洗浄して、銀微粒子の凝集体を得た。この銀微粒子の凝集体を、真空乾燥機中において80℃で12時間乾燥させ、銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を得た。このようにして得られた銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を解砕して、2次凝集体の大きさを調整した。なお、この銀微粒子の平均一次粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めたところ、85nmであった。
【0034】
次に、このようにして2次凝集体の大きさを調整した(ソルビン酸で被覆された)銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子1)86.0gと、第1の溶剤(溶剤1)としてのオクタンジオール(ODO)(協和発酵ケミカル株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、沸点243.0±8.0℃、粘度(25℃)178mPa・s、表面張力(25℃)34.4±3.0dyne/cm(平均値34.4dyne/cm))9.89gと、第2の溶剤(溶剤2)としてのジブチルジグリコール(DBDG)(日本乳化剤株式会社製、沸点254.6℃、粘度(25℃)2.4mPa・s、表面張力(25℃)28.7±3.0dyne/cm(平均値28.7dyne/cm))1.10gと、添加剤としての2−メチル−ブタン−2,3,4−トリオール(イソプレントリオールA(IPTL−A))(日本テルペン化学株式会社製、沸点255.5℃、粘度(25℃)5420mPa・s、表面張力(25℃)38.7dyne/cm)3.0gと、焼結助剤(焼結促進剤)としてのオキシジ酢酸(ジグリコール酸(DGA))(みどり化学株式会社製)0.01gを混合した。この混合物を混練脱泡機(株式会社EME社製のV−mini300型)により公転速度1400rpm、自転速度700rpmで30秒間混練した。この混練物を混合溶剤(日本アルコール販売株式会社製のソルミックスAP−7)で希釈して攪拌し、湿式ジェットミル装置(リックス株式会社製のRM−L1000EP)により解砕し、真空攪拌脱泡ミキサにより真空脱泡して全ての混合溶剤(ソルミックスAP−7)を蒸発させた後、希釈溶剤としてオクタンジオール(ODO)5.80gとジブチルジグリコール(DBDG)0.64gを添加して、80.8質量%の銀粒子1と14.73質量%のODOと1.64質量%のDBDGと2.82質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む銀ペーストからなる接合材を得た。
【0035】
この接合材の粘度をレオメーター(粘弾性測定装置)(Thermo社製のHAAKE Rheostress 600、使用コーン:C35/2°)により求めたところ、25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、25℃で測定した5rpmの粘度に対する1rpm(3.1[1/S])の粘度の比(1rpmの粘度/5rpmの粘度)(Ti値)は3.6であった。この粘度の測定は、せん断速度を1.6[1/S]、3.1[1/S]、6.3[1/S]、15.7[1/S]、31.3[1/S]、62.7[1/S]、156.7[1/S]と変化させて、各せん断速度になったときから20秒後の粘度を測定することによって行った。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.6質量%であった。
【0036】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を以下のようにグラインドゲージ(BYK社の50μmステンレススチール)により評価した。まず、グラインドゲージをアルコール溶剤(ソルミックス)で清掃して十分に乾燥させた後、グラインドゲージの溝が深い方(50μm側)に5〜10g程度の銀ペーストを置き、スクレーパを両手の親指と他の指で挟んで、スクレーパの長辺がグラインドゲージの幅方向と平行になり且つグラインドゲージの溝の深い先端に刃先が接触するようにスクレーパを置き、スクレーパをグラインドゲージの表面に垂直になるように保持しながら、溝の長辺に対して直角に均等な速度で溝の深さ0まで1〜2秒でグラインドゲージを引き終わって3秒以内に、銀ペーストの模様が見易いように光を当てて、銀ペーストに顕著な線が現れ始める部分を、溝の長辺に対して直角方向でグ且つグラインドゲージの表面に対して20〜30°の角度の方向から観察し、溝に沿って1本目に現れる線(1stスクラッチ、最大粒径Dmax)と4本目に現れる線(4thスクラッチ)の粒度を得るとともに、10本以上均一に現れる線の粒度として平均粒径D
50を得た。なお、顕著な線が現れ始める前のまばらに現れる線は無視し、グラインドゲージは左右1本ずつあるため、その2本で示された値の平均値を測定結果とした。その結果、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。
【0037】
次に、30mm×30mm×1mmの銅基板(C1020)上に厚さ200μmのメタルマスクを配置し、スクリーン印刷機(パナソニックFSエンジニアリング株式会社製のSP18P−L)を使用してメタルスキージにより上記の接合材(銀ペースト)を10mm×10mmの大きさで厚さ(印刷膜厚)200μmになるように銅基板上に塗布した。この塗布膜を3D形状測定機(株式会社キーエンス製のマイクロスコープVR−3200)で観察したところ、塗布膜に泡は観察されなかった。
【0038】
その後、接合材を塗布した銅基板を金属バットに載せ、オーブン(ヤマト科学株式会社製)内に設置し、大気雰囲気中において120℃で20分間加熱して予備乾燥することにより、接合材中の溶剤を除去して予備乾燥膜を形成した。この予備乾燥膜を3D形状測定機(株式会社キーエンス製のマイクロスコープVR−3200)で観察したところ、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されなかった。
【0039】
次に、予備乾燥膜を形成した銅基板を25℃まで冷却した後、予備乾燥膜上に厚さ0.3mmの銀めっきが施された(8mm×8mmの大きさの)SiCチップを配置して、熱プレス機(DOWAエレクトロニクス社製)に設置し、大気雰囲気中において5.0MPaの荷重をかけながら、290℃まで約120秒間で昇温させ、290℃に達した後に90秒間保持する本焼成を行って、銀ペースト中の銀を焼結させて銀接合層を形成し、この銀接合層によってSiCチップを銅基板に接合した接合体を得た。
【0040】
このようにして得られた接合体について、超音波顕微鏡(C−SAM SONOSCAN社製)により銀接合層のボイドの有無を観察したところ、ボイドは観察されなかった。
【0041】
[実施例2]
溶剤1としてのODO添加量を9.34g、溶剤2としてのDBDGの添加量を1.65gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ6.91gおよび1.22gとした以外は、実施例1と同様の方法により、79.5質量%の銀粒子1と15.06質量%のODOと2.66質量%のDBDGと2.77質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.5質量%であった。
【0042】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.7であった。
【0043】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0044】
[実施例3]
溶剤1としてのODOの添加量を8.79g、溶剤2としてのDBDGの添加量を2.20gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ6.88gおよび1.72gとした以外は、実施例1と同様の方法により、79.2質量%の銀粒子1と14.42質量%のODOと3.61質量%のDBDGと2.76質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.3質量%であった。
【0045】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.8であった。
【0046】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0047】
[実施例4]
溶剤1としてのODOの添加量を8.09g、溶剤2としてのDBDGの添加量を0.90g、 添加剤としてのIPTL−Aの添加量を5.0gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ5.56gおよび0.62gとした以外は、実施例1と同様の方法により、81.0質量%の銀粒子1と12.85質量%のODOと1.43質量%のDBDGと4.71質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.8質量%であった。
【0048】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.7であった。
【0049】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0050】
[実施例5]
溶剤1としてのODOの添加量を11.24g、溶剤2としてのDBDGの添加量を1.25g、添加剤としてのIPTL−Aの添加量を1.5gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ6.41gおよび0.71gとした以外は、実施例1と同様の方法により、80.3質量%の銀粒子1と16.46質量%のODOと1.83質量%のDBDGと1.40質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.1質量%であった。
【0051】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.4であった。
【0052】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0053】
[実施例6]
溶剤2としてDBDGの代わりにヘキシルジグリコール(HeDG)(日本乳化剤株式会社製、沸点260℃、粘度(25℃)8.6mPa・s、表面張力(25℃)32.3±3.0dyne/cm(平均値32.3dyne/cm))1.10gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO5.93gおよびHeDG0.66gを添加した以外は、実施例1と同様の方法により、80.7質量%の銀粒子1と14.83質量%のODOと1.65質量%のHeDGと2.81質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.5質量%であった。
【0054】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.5であった。
【0055】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0056】
[実施例7]
溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製、沸点227.8±3.0℃、粘度(25℃)1.38mPa・s、表面張力(25℃)29.9±3.0dyne/cm(平均値29.9dyne/cm))1.10gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO5.33gおよび1−デカノール0.59gを添加した以外は、実施例1と同様の方法により、81.2質量%の銀粒子1と14.36質量%のODOと1.60質量%の1−デカノールと2.83質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は80.0質量%であった。
【0057】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.5であった。
【0058】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0059】
[実施例8]
溶剤1としてのODOの添加量を8.79g(8.79質量%)とし、溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)2.20gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO4.84gおよび1−デカノール1.21gを添加した以外は、実施例1と同様の方法により、81.1質量%の銀粒子1と12.85質量%のODOと3.21質量%の1−デカノールと2.83質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.9質量%であった。
【0060】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.6であった。
【0061】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0062】
[実施例9]
300mLビーカーに純水180.0gを入れ、硝酸銀(東洋化学株式会社製)33.6gを添加して溶解させることにより、原料液として硝酸銀水溶液を調製した。
【0063】
また、5Lビーカーに3322.0gの純水を入れ、この純水内に窒素を30分間通気させて溶存酸素を除去しながら、60℃まで昇温させた。この純水に(銀微粒子被覆用の)有機化合物としてソルビン酸(和光純薬工業株式会社製)44.8gを添加した後、安定化剤として28%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)7.1gを添加した。
【0064】
このアンモニア水を添加した後の水溶液を撹拌しながら、アンモニア水の添加時点(反応開始時)から5分経過後に、還元剤として純度80%の含水ヒドラジン(大塚化学株式会社製)14.9gを添加して、還元液として還元剤含有水溶液を調製した。反応開始時から9分経過後に、液温を60℃に調整した原料液(硝酸銀水溶液)を還元液(還元剤含有水溶液)へ一挙に添加して反応させた。反応開始時から25分経過した時点で、撹拌を終了した。
【0065】
このようにしてソルビン酸で被覆された銀微粒子(銀ナノ粒子)の凝集体を形成させた後、この銀微粒子の凝集体を含む液をNo.5Cのろ紙で濾過し、この濾過による回収物を純水で洗浄して、銀微粒子の凝集体を得た。この銀微粒子の凝集体を、真空乾燥機中において80℃で12時間乾燥させ、銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を得た。このようにして得られた銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を解砕して、2次凝集体の大きさを調整した。なお、この銀微粒子の平均一次粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めたところ、60nmであった。
【0066】
次に、このようにして2次凝集体の大きさを調整した(ソルビン酸で被覆された)銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子2)21.5gと、実施例1と同様の方法により得られた平均一次粒子径85nmの(ソルビン酸で被覆された)銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子1)64.5gとを銀微粒子の凝集体の乾燥粉末として使用し、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ7.19gおよび0.80gとした以外は、実施例1と同様の方法により、59.7質量%の銀粒子1と19.9質量%の銀粒子2と15.85質量%のODOと1.76質量%のDBDGと2.78質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.2質量%であった。
【0067】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.7であった。
【0068】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0069】
[実施例10]
焼結助剤としてオキシジ酢酸(ジグリコール酸)に代えてマロン酸0.01gを使用し、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ7.44gおよび0.83gとした以外は、実施例9と同様の方法により、58.5質量%の銀粒子1と19.5質量%の銀粒子2と17.34質量%のODOと1.93質量%のDBDGと2.72質量%のIPTL−Aと0.01質量%のマロン酸を含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.0質量%であった。
【0070】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.8であった。
【0071】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0072】
[実施例11]
実施例9と同様の方法により(ソルビン酸で被覆された)銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を得た後、この銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子2)61.5gと、ミクロンサイズの銀粒子AG2−1C(DOWAエレクトロニクス社製、平均粒径(SEM像により求められる平均一次粒子径)0.3μm)(銀粒子3)20.5gとを、実施例1の銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子1)に代えて使用し、溶剤1としてのODOの添加量を8.25g、溶剤2としてのDBDGの添加量を8.25g、添加剤としてのIPTL−Aの添加量を1.5gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ1.98gおよび1.98gとし、焼結助剤としてのオキシジ酢酸(ジグリコール酸)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、59.2質量%の銀粒子2と19.7質量%の銀粒子3と9.83質量%のODOと9.83質量%のDBDGと1.44質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.2質量%であった。
【0073】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.9であった。
【0074】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0075】
[実施例12]
溶剤1としてのODOの添加量を9.90g、溶剤2としてのDBDGの添加量を6.60gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ2.14gおよび1.43gとした以外は、実施例11と同様の方法により、59.4質量%の銀粒子2と19.8質量%の銀粒子3と11.61質量%のODOと7.74質量%のDBDGと1.45質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.5質量%であった。
【0076】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.9であった。
【0077】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0078】
[実施例13]
溶剤1としてのODOの添加量を11.55g、溶剤2としてのDBDGの添加量を4.95gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ2.13gおよび0.91gとした以外は、実施例11と同様の方法により、59.7質量%の銀粒子2と19.9質量%の銀粒子3と13.26質量%のODOと5.68質量%のDBDGと1.46質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.9質量%であった。
【0079】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.9であった。
【0080】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0081】
[実施例14]
溶剤1としてのODOの添加量を13.20g、溶剤2としてのDBDGの添加量を3.30gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ2.02gおよび0.50gとした以外は、実施例11と同様の方法により、60.0質量%の銀粒子2と20.0質量%の銀粒子3と14.83質量%のODOと3.71質量%のDBDGと1.46質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.3質量%であった。
【0082】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.9であった。
【0083】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0084】
[実施例15]
溶剤1としてのODOの添加量を14.85g、溶剤2としてのDBDGの添加量を1.65gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ1.81gおよび0.20gとした以外は、実施例11と同様の方法により、60.3質量%の銀粒子2と20.1質量%の銀粒子3と16.32質量%のODOと1.81質量%のDBDGと1.47質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.7質量%であった。
【0085】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.9であった。
【0086】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0087】
[実施例16]
溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)8.25gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO2.19gおよび1−デカノール2.19gを添加した以外は、実施例11と同様の方法により、58.9質量%の銀粒子2と19.6質量%の銀粒子3と10.03質量%のODOと10.03質量%の1−デカノールと1.44質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.0質量%であった。
【0088】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.3であった。
【0089】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0090】
[実施例17]
溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)6.60gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO2.30gおよび1−デカノール1.54gを添加した以外は、実施例12と同様の方法により、59.2質量%の銀粒子2と19.7質量%の銀粒子3と11.79質量%のODOと7.86質量%の1−デカノールと1.45質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.4質量%であった。
【0091】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.3であった。
【0092】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0093】
[実施例18]
溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)4.95gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO2.32gおよび1−デカノール0.99gを添加した以外は、実施例13と同様の方法により、59.5質量%の銀粒子2と19.8質量%の銀粒子3と13.47質量%のODOと5.77質量%の1−デカノールと1.46質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.8質量%であった。
【0094】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.2であった。
【0095】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0096】
[実施例19]
溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)3.30gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO2.23gおよび1−デカノール0.56gを添加した以外は、実施例14と同様の方法により、59.8質量%の銀粒子2と19.9質量%の銀粒子3と15.07質量%のODOと3.77質量%の1−デカノールと1.46質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.2質量%であった。
【0097】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.2であった。
【0098】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0099】
[実施例20]
溶剤2としてDBDGの代わりに1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)1.65gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO2.05gおよび1−デカノール0.23gを添加した以外は、実施例15と同様の方法により、60.1質量%の銀粒子2と20.0質量%の銀粒子3と16.59質量%のODOと1.84質量%の1−デカノールと1.47質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.6質量%であった。
【0100】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.1であった。
【0101】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0102】
[実施例21]
溶剤2としてDBDGの代わりにヘキシルジグリコール(HeDG)(日本乳化剤株式会社製)8.25gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO1.99gおよびHeDG1.99gを添加した以外は、実施例11と同様の方法により、59.1質量%の銀粒子2と19.7質量%の銀粒子3と9.88質量%のODOと9.88質量%のHeDGと1.44質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.2質量%であった。
【0103】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.1であった。
【0104】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0105】
[実施例22]
溶剤1としてのODOの添加量を7.50g、溶剤2としてのDBDGの添加量を7.50g、添加剤としてのIPTL−Aの添加量を3.0gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ1.65gおよび1.65gとした以外は、実施例11と同様の方法により、59.5質量%の銀粒子2と19.8質量%の銀粒子3と8.90質量%のODOと8.90質量%のDBDGと2.90質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.3質量%であった。
【0106】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.1であった。
【0107】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0108】
[実施例23]
溶剤1としてのODOの添加量を8.00g、溶剤2としてのDBDGの添加量を8.00g、添加剤としてのIPTL−Aの添加量を2.0gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ1.92gおよび1.92gとした以外は、実施例11と同様の方法により、59.2質量%の銀粒子2と19.7質量%の銀粒子3と9.59質量%のODOと9.59質量%のDBDGと1.92質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は78.0質量%であった。
【0109】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.2であった。
【0110】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0111】
[実施例24]
実施例9と同様の方法により(ソルビン酸で被覆された)銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を得た後、この銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子2)72.0gと、ミクロンサイズの銀粒子AG2−1C(DOWAエレクトロニクス社製、平均粒径0.3μm)(銀粒子3)10.0gとを、実施例1の銀微粒子の凝集体の乾燥粉末(銀粒子1)に代えて使用し、溶剤1としてのODOの添加量を8.25g、溶剤2としてのDBDGの添加量を8.25g、添加剤としてのIPTL−Aの添加量を1.5gとし、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ2.75gおよび2.75gとし、焼結助剤としてのオキシジ酢酸(ジグリコール酸)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、68.3質量%の銀粒子2と9.5質量%の銀粒子3と10.40質量%のODOと10.40質量%のDBDGと1.40質量%のIPTL−Aを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は76.5質量%であった。
【0112】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.4であった。
【0113】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0114】
[実施例25]
添加剤としてのIPTL−Aの代わりに2−メチル−ブタン−1,3,4−トリオール(イソプレントリオールB(IPTL−B))(沸点278〜282℃、粘度(25℃)4050mPa・s、表面張力(25℃)47.5±1.0dyne/cm(平均値47.5dyne/cm))3.00gを添加し、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ2.84gおよび0.32gとした以外は、実施例1と同様の方法により、83.4質量%の銀粒子1と12.34質量%のODOと1.37質量%のDBDGと2.92質量%のIPTL−Bと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は82.8質量%であった。
【0115】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.4であった。
【0116】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡は観察されず、予備乾燥膜にクラックや剥離は観察されず、接合体の銀接合層にボイドは観察されなかった。
【0117】
[比較例1]
溶剤1としてのODO添加量を17.49gとし、溶剤2としてのDBDGを添加せず、希釈溶剤としてODOおよびDBDGの代わりにODO5.67gを添加した以外は、実施例1と同様の方法により、81.4質量%の銀粒子1と15.80質量%のODOと2.79質量%のIPTL−Aと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.9質量%であった。
【0118】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は3.3であった。
【0119】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡が形成され、予備乾燥膜にクラックが生じたが、予備乾燥膜の剥離は観察されなかった。また、接合体の銀接合層には予備乾燥膜のクラックを起点にしたボイドが観察された。
【0120】
[比較例2]
添加剤としてのIPTL−Aの代わりにジオール(IPDL−EtHex)(日本テルペン化学株式会社製、沸点287.8℃、粘度(25℃)90.2mPa・s、表面張力(25℃)30.3dyne/cm)3.0gを添加し、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ8.36gおよび0.93gとした以外は、実施例1と同様の方法により、78.6質量%の銀粒子1と16.55質量%のODOと1.84質量%のDBDGと2.74質量%のIPDL−EtHexと0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は77.5質量%であった。
【0121】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.5であった。
【0122】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡が形成され、予備乾燥膜にクラックや剥離が生じたが、予備乾燥膜の剥離は観察されなかった。また、接合体の銀接合層には予備乾燥膜のクラックを起点にしたボイドが観察された。
【0123】
[比較例3]
添加剤としてのIPTL−Aの代わりにジオール(IPDL−C8)(日本テルペン化学株式会社製、沸点308.1℃、粘度(25℃)65mPa・s、表面張力(25℃)30.86dyne/cm)3.0gを添加し、希釈溶剤としてのODOおよびDBDGの添加量をそれぞれ8.13gおよび0.90gとした以外は、実施例1と同様の方法により、78.9質量%の銀粒子1と16.28質量%のODOと1.81質量%のDBDGと2.75質量%のIPDL−C8と0.01質量%のDGAを含む接合材(銀ペースト)を得た。なお、銀ペースト中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は77.5質量%であった。
【0124】
この接合材(銀ペースト)中に含まれる銀粒子の粒度を実施例1と同様の方法により評価したところ、1stスクラッチは20μm未満、4thスクラッチは10μm未満、平均粒径D
50は5μm未満であった。また、この接合材(銀ペースト)の粘度とTi値を実施例1と同様の方法により求めたところ、粘度は25℃において5rpm(15.7[1/S])で15(Pa・s)であり、Ti値は4.5であった。
【0125】
この接合材を用いて、実施例1と同様の方法により、塗布膜、予備乾燥膜および接合体を作製して観察したところ、塗布膜に泡が形成され、予備乾燥膜にクラックや剥離が生じた。また、接合体の銀接合層には予備乾燥膜のクラックを起点にしたボイドが観察された。
【0126】
[比較例4]
溶剤2としてDBDGの代わりにヘキサデカン(和光純薬工業株式会社、沸点286.6±3.0℃、粘度(25℃)3mPa・s、表面張力(25℃)27.3±3.0dyne/cm(平均値27.3dyne/cm)、非極性)1.10gを添加し、希釈溶剤としてODOおよびDBDGを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、接合材(銀ペースト)の作製を試みたが、希釈溶剤としてODOおよびヘキサデカンを添加する前に分離が生じたため、各成分が分散不良で銀ペーストを作製することができなかった。
【0127】
これらの実施例および比較例の接合材の製造条件および特性を表1〜表2に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】