特許第6887296号(P6887296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887296
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】符号化装置、復号装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/129 20140101AFI20210603BHJP
   H04N 19/159 20140101ALI20210603BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20210603BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20210603BHJP
【FI】
   H04N19/129
   H04N19/159
   H04N19/176
   H04N19/593
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-87079(P2017-87079)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-121319(P2018-121319A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-89404(P2016-89404)
(32)【優先日】2016年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-12113(P2017-12113)
(32)【優先日】2017年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】根本 慎平
(72)【発明者】
【氏名】岩村 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康孝
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 敦郎
【審査官】 坂東 大五郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134822(JP,A)
【文献】 特開2004−253826(JP,A)
【文献】 PENG, Xiulian et al.,Improved intra frame coding by PU/TU reordering,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC),2010年10月 7日,[JCTVC-C275]
【文献】 SHIODERA, Taichiro et al.,Bidirectional Intra Prediction,ITU - Telecommunications Standardization Sector ST,2007年 1月15日,[VCEG-AE14]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を構成するフレーム単位の原画像を符号化対象ブロックに分割して符号化するように構成されている符号化装置であって、
前記符号化対象ブロックが、それぞれに予測モードが割り当てられるブロックに分割される場合、前記ブロックの各々における前記予測モードの組み合わせに基づいて、前記ブロックの符号化順を決定するように構成されている符号化順制御部と、
前記符号化順と前記符号化対象ブロックの前記ブロックへの分割方法とに基づいて、復号画像を生成するように構成されている復号画像生成部とを具備することを特徴とする符号化装置。
【請求項2】
前記符号化順制御部は、予測画像を生成する際に最も多くの復号済み参照画素を用いるように前記符号化順を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
【請求項3】
動画像を構成するフレーム単位の画像を符号化対象ブロックに分割して復号するように構成されている復号装置であって、
前記符号化対象ブロックが、それぞれに予測モードが割り当てられるブロックに分割される場合、前記ブロックの各々における前記予測モードの組み合わせに基づいて、前記ブロックの復号順を決定するように構成されている復号順制御部と、
前記復号順と前記符号化対象ブロックの前記ブロックへの分割方法とに基づいて、復号画像を生成するように構成されている復号画像生成部とを具備することを特徴とする復号装置。
【請求項4】
前記復号順制御部は、予測画像を生成する際に最も多くの復号済み参照画素を用いるように前記復号順を決定するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の復号装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の符号化装置として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項3又は4に記載の復号装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化装置、復号装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、静止画像や動画像(映像)を伝送又は保存する際のデータ量を圧縮するため
に、符号化方式の研究が行われている。
【0003】
近年、映像符号化技術では、8K-SHV(Super Hi−Vision)に代表
されるような超高解像度映像の普及も進んでおり、膨大なデータ量の動画像を放送波やI
P網で伝送するための手法として、H.264/AVC(Advanced Video
Coding)やH.265/HEVC(High Efficiency Video
Coding)等の符号化方式が知られている。
【0004】
H.265/HEVCに代表される動画像符号化方式では、フレーム間の時間的相関を利
用したインター予測及びフレーム内の空間的相関を利用したイントラ予測の2種類の予測
を切り替えながら予測を行って原画像と予測画像との残差信号を生成した後、直交変換処
理や量子化処理やエントロピー符号化処理等を行うことによってストリームを生成するよ
うに構成されている。
【0005】
イントラ予測では、Planar予測やDC予測や方向予測等の予測モードが用意され
ており、エンコーダで決定された予測モードに従って、隣接する復号済み参照画素を用い
てイントラ予測を行うように構成されている。
【0006】
ここで、H.265/HEVCにおけるイントラ予測では、フレーム内で最も左上に位置
する符号化対象ブロック(以下、「CU:Coding Unit」と呼ぶ)等、隣接す
る復号済み参照画素が存在しないCUでは、規定した値を埋める処理により、予測画像を
生成する際に用いる参照画素を作り出すように構成されている。
【0007】
また、従来のH.265/HEVCにおけるイントラ予測では、符号化処理が、左上のC
U→右上のCU→左下のCU→右下のCUという符号化順(Zスキャン順或いはラスター
スキャン順)で行われるために、参照画素が復号済みでない場合がある。このような場合
には、最も近い復号済み参照画素を0次外挿した値を用いて予測画像を生成するように構
成されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
ここで、従来のH.265/HEVCにおけるイントラ予測では、CUは、それぞれに予
測モードが割り当てられる複数のブロック(以下、「PU:Prediction Un
it」と呼ぶ)に分割される場合(以下、「N×N分割が行われる場合」と呼ぶ)がある
。かかる場合、PUの符号化処理は、上述のZスキャン順で行われるため、例えば、ある
PUに対して左上以外の予測方向の予測モードが割り当てられている際には、参照画素が
復号済みでないため、予測精度が低下して符号化効率が低減するという問題点がある。
【0009】
以下、図12(a)〜図12(d)を参照して、かかる問題点について具体的に説明す
る。なお、本明細書の図において、予測モードの予測方向を示す矢印は、H.265/HE
VCの規格書における記載と同様に、イントラ予測の対象の画素から参照画素に向かうも
のとする(以下同様)。
【0010】
図12に、従来のH.265/HEVCにおいて、CU#1をPU#0〜PU#3に分割
する場合のイントラ予測の一例を示す。
【0011】
図12の例では、PU#0における予測モードは「34」であり、PU#1における予
測モードは「2」であり、PU#2における予測モードは「18」であり、PU#3にお
ける予測モードは「2」であるものとする。
【0012】
図12(a)及び図12(c)に示すように、PU#0及びPU#2の参照画素につい
ては全てが復号済みである。
【0013】
これに対して、図12(b)に示すように、PU#1を符号化する場合、PU#2内に
位置する参照画素は、この時点では復号されていないので、そのままPU#1の予測画像
を生成するための参照画素にすることはできない。このため、従来の従来のH.265/H
EVCでは、PU#0内に位置する復号済み参照画素の一番下に位置する参照画素P#0
の値をPU#2内の同じ列に位置する未復号参照画素にコピーするように規定されている
【0014】
したがって、図12(b)のような方向予測が行われる場合、生成された予測画像の一
部はコピーで埋められた未復号参照画素により構成されているため、予測精度が低下し、
符号化効率が低減してしまうという問題点があった。図12(d)のような方向予測が行
われる場合も同様である。
【0015】
かかる問題点を解決するために、イントラ予測において、上述のZスキャン順の他に、
U型スキャン順やX型スキャン順等を用いることで、符号化順に自由度を持たせることに
よって予測精度の向上を図る技術が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】大久保榮監修、「インプレス標準教科書シリーズ H.265/HEVC教科書」、株式会社インプレスジャパン、2013年10月21日
【非特許文献2】望月等、「平均値座標に基づいた適用イントラ予測方式」、情報処理学会研究報告、vol、2012-AVM-77、No.12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述の非特許文献2等に記載されている技術では、CU単位で、どのよ
うな符号化順を用いるかについて示すフラグを別途伝送する必要があるため、伝送するデ
ータ量が増大してしまうという問題点があった。
【0018】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、伝送するデー
タ量を増大させることなく、符号化効率の低減を防ぐことができる符号化装置、復号装置
及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の特徴は、動画像を構成するフレーム単位の原画像を符号化対象ブロック
に分割して符号化するように構成されている符号化装置であって、前記符号化対象ブロッ
クが、それぞれに予測モードが割り当てられるブロックに分割される場合、前記ブロック
の各々における前記予測モードの組み合わせに基づいて、前記ブロックの符号化順を決定
するように構成されている符号化順制御部と、前記符号化順と前記符号化対象ブロックの
前記ブロックへの分割方法とに基づいて、復号画像を生成するように構成されている復号
画像生成部とを具備することを要旨とする。
【0020】
本発明の第2の特徴は、動画像を構成するフレーム単位の画像を符号化対象ブロックに
分割して復号するように構成されている復号装置であって、前記符号化対象ブロックが、
それぞれに予測モードが割り当てられるブロックに分割される場合、前記ブロックの各々
における前記予測モードの組み合わせに基づいて、前記ブロックの復号順を決定するよう
に構成されている復号順制御部と、前記復号順と前記符号化対象ブロックの前記ブロック
への分割方法とに基づいて、復号画像を生成するように構成されている復号画像生成部と
を具備することを要旨とする。
【0021】
本発明の第3の特徴は、コンピュータを、上述の第1の特徴に記載の符号化装置として
機能させるためのプログラムであることを要旨とする。
【0022】
本発明の第4の特徴は、コンピュータを、上述の第2の特徴に記載の復号装置として機
能させるためのプログラムであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、伝送するデータ量を増大させることなく、符号化効率の低減を防ぐこ
とができる符号化装置、復号装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1の実施形態におけるCUのPUへの分割方法の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る符号化装置1の機能ブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態における予測モードのグループ分け方法の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態において符号化順及び復号順を決定するために用いられる表の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態における符号化順及び復号順の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態における符号化順及び復号順の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る符号化装置1の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態に係る復号装置2の機能ブロック図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る復号装置2の動作を示すフローチャートである。
図10図10は、第2の実施形態において符号化順及び復号順を決定するために用いられる表の一例を示す図である。
図11図11は、第2の実施形態における符号化順及び復号順の一例を示す図である。
図12図12は、従来技術について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、図1図9を参照して、本発明の第1の実施形態に係る符号化装置1及び復号装
置2について説明する。ここで、本実施形態に係る符号化装置1及び復号装置2は、H.
265/HEVC等の動画像符号化方式におけるイントラ予測に対応するように構成され
ている。なお、本実施形態に係る符号化装置1及び復号装置2は、イントラ予測を行う動
画像符号化方式であれば、任意の動画像符号化方式に対応することができるように構成さ
れている。
【0026】
本実施形態に係る符号化装置1は、動画像を構成するフレーム単位の原画像を符号化対
象ブロックに分割して符号化するように構成されている。以下、本実施形態では、かかる
符号化対象ブロックとして、現在のH.265/HEVCで用いられている「CU」を用い
たケースを例に挙げて説明するが、本発明は、かかるケースに限定されず、他の名称の符
号化対象ブロックが用いられるケースにも適用可能である。
【0027】
また、本実施形態に係る符号化装置1は、符号化対象ブロックを複数のブロックに分割
することができるように構成されている。ここで、かかるブロックのそれぞれに対して予
測モードが割り当てられるものとする。以下、本実施形態では、かかるブロックとして、
現在のH.265/HEVCで用いられている「PU」を用いたケースを例に挙げて説明す
るが、本発明は、かかるケースに限定されず、他の名称のブロックが用いられるケースに
も適用可能である。
【0028】
以下、本実施形態では、図1に示すように、CU#1をPU#0〜PU#3に分割する
ケースを例に挙げて説明する。
【0029】
また、本実施形態では、フレーム内で最も左上に位置するCU等、隣接する復号済み参
照画素が存在しない符号化対象のCUでは、規定した値(例えば、10ビットの動画像で
あれば「512」等)を埋める処理により、予測画像を生成する際に用いる参照画素を作
り出すように構成されているため、符号化対象のCUの左側に隣接する画素について全て
参照画素とすることができるものとする。
【0030】
図2に示すように、本実施形態に係る符号化装置1は、予測モード決定部11と、分割
決定部12と、符号化順制御部13と、再計算制御部14と、復号画像生成部15と、エ
ントロピー符号化部16と、メモリ17とを具備している。
【0031】
予測モード決定部11は、CU及びPUに適用する適切な予測モードを決定するように
構成されている。
【0032】
例えば、図3に示すように、現在のH.265/HEVCでは、予測モードは、「0」〜
「34」のいずれかの値を取り、予測モード0は、Planar予測に対応し、予測モー
ド1は、DC予測に対応する。
【0033】
本実施形態では、予測モードを3つの領域に分け、予測モード2〜9は、予測領域Aに
属し、予測モード0、1、10〜26は、予測領域Bに属し、予測モード27〜34は、
予測領域Cに属するものとする。
【0034】
すなわち、CU及びPUの中心から左下側に参照画素がある場合(予測方向が左下であ
る場合)には、予測モードは、予測領域Aに属し、CU及びPUの中心から右上側に参照
画素がある場合(予測方向が右上である場合)には、予測モードは、予測領域Cに属し、
それ以外の場合には、予測モードは、予測領域Bに属する。
【0035】
なお、本発明は、予測モードの数が、現在のH.265/HEVCにおける「35」より
も多くなったケースにも適用可能である。
【0036】
分割決定部12は、CU(本実施形態では、CU#1)を複数のPU(本実施形態では
、PU#0〜PU#3)に分割するか否かについて決定するように構成されている。なお
、本実施形態では、CUを複数のPUに分割する方法として、4分割のケースを例に挙げ
て説明しているが、CUを複数のPUに分割する際の分割数や分割形状については、かか
るケースに制限されるものではない。
【0037】
符号化順制御部13は、分割決定部12によってCU(本実施形態では、CU#1)を
複数のPU(本実施形態では、PU#0〜PU#3)に分割することが決定された場合、
予測モード決定部11によって決定したPUの各々における予測モードの組み合わせに基
づいて、PUの符号化順を決定するように構成されている。
【0038】
ここで、符号化順制御部13は、予測画像を生成する際に最も多くの復号済み参照画素
を用いるようにPUの符号化順を決定するように構成されていてもよい。
【0039】
例えば、符号化順制御部13は、分割決定部12によってCU#1をPU#0〜PU#
3に分割することが決定された場合、図4に示す表に基づいて、PUの符号化順を決定す
るように構成されていてもよい。
【0040】
具体的には、符号化順制御部13は、分割決定部12によってCU#1をPU#0〜P
U#3に分割することが決定された場合で、且つ、図4の(1)のケースのように、PU
#0における予測モードが予測領域Aに属し、PU#1における予測モードが予測領域A
に属し、PU#2における予測モードが予測領域Bに属し、PU#3における予測モード
が予測領域Bに属する場合(例えば、図5に示すように、PU#0における予測モードが
「2」であり、PU#1における予測モードが「2」であり、PU#2における予測モー
ドが「18」であり、PU#3における予測モードが「18」である場合)、図12(a
)〜図12(d)に示すような従来のZスキャン順でなく、図5(a)〜図5(d)に示
すように、PU#0(CU#1内の左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)
→PU#1(CU#1内の右上のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)という符
号化順を採用するように構成されていてもよい。
【0041】
或いは、符号化順制御部13は、分割決定部12によってCU#1をPU#0〜PU#
3に分割することが決定された場合で、且つ、図4の(2)のケースのように、PU#0
における予測モードが予測領域Cに属し、PU#1における予測モードが予測領域Aに属
し、PU#2における予測モードが予測領域Bに属し、PU#3における予測モードが予
測領域Aに属する場合(例えば、図6に示すように、PU#0における予測モードが「3
4」であり、PU#1における予測モードが「2」であり、PU#2における予測モード
が「18」であり、PU#3における予測モードが「2」である場合)、図12(a)〜
図12(d)に示すような従来のZスキャン順でなく、図6(a)〜図6(d)に示すよ
うに、PU#0(CU#1内の左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→P
U#3(CU#1内の右下のPU)→PU#1(CU#1内の右上のPU)という符号化
順を採用するように構成されていてもよい。
【0042】
なお、各PUの予測領域及び符号化順(又は、復号順)の組み合わせは、図4に示す組
み合わせのみに限定されるものではなく、その他の効果(例えば、符号化速度の向上や符
号化処理の簡素化等)が見込める場合には、他の組み合わせであってもよい。
【0043】
ここで、上述のように符号化順を変更すると、利用する参照画素の内容を変更して再計
算する必要のあるPUが生じる。したがって、再計算制御部14は、参照画像として利用
できるように保持されているメモリ17の一部のブロックデータを選択的に消去し再計算
するように構成されている。
【0044】
具体的には、再計算制御部14は、分割決定部12によってCU(本実施形態では、C
U#1)を複数のPU(本実施形態では、PU#0〜PU#3)に分割することが決定さ
れた場合で、且つ、符号化順制御部13によって決定されたPUの符号化順が、図12
a)〜図12(d)に示すような従来のZスキャン順でない場合、符号化順制御部13に
よって決定されたPUの符号化順と従来のZスキャン順とを先頭から比較していき、異な
る符号化順となったPU以降の全てのPUに対して既に作成されている復号画像を消去し
、その後、新たな参照画素を用いて新しい符号化順で符号化処理を行い、復号画像を作成
してメモリ17に保存するように構成されている。
【0045】
例えば、再計算制御部14は、符号化順制御部13によって、PU#0(CU#1内の
左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#1(CU#1内の右上のP
U)→PU#3(CU#1内の右下のPU)という符号化順(図5(a)〜図5(d)参
照)を採用することが決定された場合、従来のZスキャン順と異なる符号化順となったP
U#2(CU#1内の左下のPU)以降の全てのPU#2(CU#1内の左下のPU)、
PU#1(CU#1内の右上のPU)、PU#3(CU#1内の右下のPU)に対して既
に作成されている復号画像を消去し、その後、新たな参照画素を用いて新しい符号化順で
符号化処理を行い、復号画像を作成してメモリ17に保存するように構成されている。
【0046】
同様に、再計算制御部14は、符号化順制御部13によって、PU#0(CU#1内の
左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#3(CU#1内の右下のP
U)→PU#1(CU#1内の右上のPU)という符号化順(図6(a)〜図6(d)参
照)を採用することが決定された場合、従来のZスキャン順と異なる符号化順となったP
U#2(CU#1内の左下のPU)以降の全てのPU#2(CU#1内の左下のPU)、
PU#1(CU#1内の右上のPU)、PU#3(CU#1内の右下のPU)に対して既
に作成されている復号画像を消去し、その後、新たな参照画素を用いて新しい符号化順で
符号化処理を行い、復号画像を作成してメモリ17に保存するように構成されている。
【0047】
復号画像生成部15は、符号化順制御部13によって決定されたPUの符号化順とCU
(本実施形態では、CU#1)のPU(本実施形態では、PU#0〜PU#3)への分割
方法とに基づいて、PUごとの復号画像を生成するように構成されている。
【0048】
具体的には、復号画像生成部15は、分割決定部12によってCU#1を複数のPU#
0〜PU#3に分割することが決定された場合に、符号化順制御部13により決定された
PUの符号化順に従って、逐次、PUごとの復号画像を生成するように構成されている。
【0049】
図2に示すように、復号画像生成部15は、予測部15aと、残差信号生成部15bと
、変換・量子化部15cと、逆量子化・逆直交変換部15dと、局部復号画像生成部15
eとを具備している。
【0050】
予測部15aは、予測モード決定部11により決定された予測モードを用いて予測画像
を生成するように構成されている。すなわち、予測部15aは、予測画像を生成する際に
用いる参照画素の位置を決定するように構成されている。
【0051】
具体的には、予測部15aは、分割決定部12によってCU#1を複数のPU#0〜P
U#3に分割することが決定された場合で、且つ、図4の(1)のケースのように、PU
#0における予測モードが予測領域Aに属し、PU#1における予測モードが予測領域A
に属し、PU#2における予測モードが予測領域Bに属し、PU#3における予測モード
が予測領域Bに属する場合(例えば、図5のケース)、図5(a)〜図5(d)に示すよ
うに、PU#0(CU#1内の左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→P
U#1(CU#1内の右上のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)という符号化
順で、予測画像を生成するように構成されていてもよい。
【0052】
或いは、予測部15aは、分割決定部12によってCU#1を複数のPU#0〜PU#
3に分割することが決定された場合で、且つ、図4の(2)のケースのように、PU#0
における予測モードが予測領域Cに属し、PU#1における予測モードが予測領域Aに属
し、PU#2における予測モードが予測領域Bに属し、PU#3における予測モードが予
測領域Aに属する場合(例えば、図6のケース)、図6(a)〜図6(d)に示すように
、PU#0(CU#1内の左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#
3(CU#1内の右下のPU)→PU#1(CU#1内の右上のPU)という符号化順で
、予測画像を生成するように構成されていてもよい。
【0053】
ここで、復号画像生成部15の予測部15aは、PU#0〜PU#3の画素と復号済み
参照画素との距離を考慮して予測画像を生成するように構成されていてもよい。
【0054】
例えば、予測部15aは、図6(d)に示すように、PU#1の下側に隣接するPU内
の復号済み参照画素を用いて、PU#1の予測画像を生成するように構成されていてもよ
い。
【0055】
残差信号生成部15bは、予測部15aによって生成された予測画像と原画像との差分
により残差信号を生成するように構成されている。
【0056】
変換・量子化部15cは、残差信号生成部15bによって生成された残差信号に対して
変換処理(例えば、直交変換処理)及び量子化処理を施し、量子化された変換係数を生成
するように構成されている。
【0057】
逆量子化・逆直交変換部15dは、変換・量子化部15cによって生成された量子化さ
れた変換係数に対して、再び逆量子化処理及び逆直交変換処理を施して残差信号を生成す
るように構成されている。
【0058】
局部復号画像生成部15eは、逆量子化・逆直交変換部15dによって生成された残差
信号に対して予測部15aによって生成された予測画像を加えることでPUごとの局部復
号画像を生成するように構成されている。
【0059】
エントロピー符号化部16は、予測モード決定部11によって決定された予測モード等
を含むフラグ情報や量子化された変換係数に対してエントロピー符号化処理を施してスト
リーム出力するように構成されている。
【0060】
メモリ17は、復号画像生成部15によって生成されたPUごとの復号画像を参照画像
として利用可能に保持するように構成されている。
【0061】
図7を参照して、本実施形態に係る符号化装置1の動作の一例について説明する。
【0062】
図7に示すように、ステップS101において、符号化装置1は、CU(本実施形態で
は、CU#1)を複数のPU(本実施形態では、PU#0〜PU#3)に分割するか否か
(N×N分割を適用するか否か)について決定する。
【0063】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS102に進み、「No」の場合、本動作は、
終了する。
【0064】
ステップS102において、符号化装置1は、PU#0〜PU#3の各々に適用する予
測モードを決定する。
【0065】
ステップS103において、符号化装置1は、PUの各々における予測モードの組み合
わせに基づいて、PUの符号化順を一意に決定する。
【0066】
ステップS104において、符号化装置1は、ステップS103において決定したPU
の符号化順が従来のZスキャン順と異なるか否かについて判定する。
【0067】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS105に進み、「No」の場合、本動作は、
終了する。
【0068】
ステップS105において、符号化装置1は、ステップS103において決定したPU
の符号化順における先頭のPUが従来のZスキャン順における先頭のPUと同じであるか
否かについて判定する。
【0069】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS107に進み、「No」の場合、本動作は、
ステップS106に進む。
【0070】
ステップS106において、符号化装置1は、全てのPU#0〜PU#3の復号画像を
メモリから削除する。その後、本動作は、ステップS110に進み、符号化装置1は、ス
テップS103において決定したPUの符号化順を用いて再計算を行い全てのPU#0〜
PU#3の復号画像を生成する。
【0071】
ステップS107において、符号化装置1は、ステップS103において決定したPU
の符号化順における2番目のPUが従来のZスキャン順における2番目のPUと同じであ
るか否かについて判定する。
【0072】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS109に進み、「No」の場合、本動作は、
ステップS108に進む。
【0073】
ステップS108において、符号化装置1は、先頭以外のPUの復号画像をメモリから
削除する。その後、本動作は、ステップS110に進み、符号化装置1は、ステップS1
03において決定したPUの符号化順を用いて再計算を行い2番目以降のPUの復号画像
を生成する。
【0074】
符号化装置1は、ステップS109において、3番目以降のPUの復号画像をメモリか
ら削除し、ステップS110において、ステップS103において決定したPUの符号化
順を用いて再計算を行い3番目以降のPUの復号画像を生成する。
【0075】
本実施形態に係る符号化装置1によれば、伝送するデータ量を増大させることなく、符
号化効率の低減を防ぐことができる。
【0076】
また、本実施形態に係る復号装置2は、動画像を構成するフレーム単位の画像をCUに
分割して復号するように構成されている。また、本実施形態に係る復号装置2は、本実施
形態に係る符号化装置1と同様に、CUを複数のPUに分割することができるように構成
されている。
【0077】
図8に示すように、本実施形態に係る復号装置2は、エントロピー復号部21と、復号
順制御部22と、復号画像生成部23と、メモリ24とを具備している。
【0078】
エントロピー復号部21は、符号化装置1から出力されたストリームに対してエントロ
ピー復号処理を施すことによって、符号化装置1から出力されたストリームから、変換係
数やフラグ情報等を復号するように構成されている。ここで、変換係数は、符号化装置1
によって、フレーム単位の原画像をCUに分割して符号化された信号として得られた上述
の量子化された変換係数である。また、フラグ情報は、予測モード等の付随する情報を含
む。
【0079】
復号順制御部22は、各PUの予測モードに基づいてPUの復号順を決定するように構
成されている。
【0080】
具体的には、復号順制御部22は、エントロピー復号部21によって出力されたN×N
分割が行われた否か(CUが複数のPUに分割されているか否か)について示すフラグ及
び予測モードの方向に応じて、CU内のPUの復号順を決定するように構成されている。
【0081】
ここで、復号順制御部22は、予測画像を生成する際に最も多くの復号済み参照画素を
用いるようにPUの復号順を決定するように構成されていてもよい。
【0082】
例えば、復号順制御部22は、符号化順制御部13と同様に、CU#1がPU#0〜P
U#3に分割されていた場合、符号化装置1によって保持されている図4に示す表と同じ
表に基づいて、PUの復号順を決定するように構成されていてもよい。
【0083】
具体的には、復号順制御部22は、CU#1がPU#0〜PU#3に分割されていた場
合で、且つ、図4の(1)のケースのように、PU#0における予測モードが予測領域A
に属し、PU#1における予測モードが予測領域Aに属し、PU#2における予測モード
が予測領域Bに属し、PU#3における予測モードが予測領域Bに属する場合(例えば、
図5に示すように、PU#0における予測モードが「2」であり、PU#1における予測
モードが「2」であり、PU#2における予測モードが「18」であり、PU#3におけ
る予測モードが「18」である場合)、図12(a)〜図12(d)に示すような従来の
Zスキャン順でなく、図5(a)〜図5(d)に示すように、PU#0(CU#1内の左
上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#1(CU#1内の右上のPU
)→PU#3(CU#1内の右下のPU)という復号順を採用するように構成されていて
もよい。
【0084】
或いは、復号順制御部22は、CU#1がPU#0〜PU#3に分割されていた場合で
、且つ、図4の(2)のケースのように、PU#0における予測モードが予測領域Cに属
し、PU#1における予測モードが予測領域Aに属し、PU#2における予測モードが予
測領域Bに属し、PU#3における予測モードが予測領域Aに属する場合(例えば、図6
に示すように、PU#0における予測モードが「34」であり、PU#1における予測モ
ードが「2」であり、PU#2における予測モードが「18」であり、PU#3における
予測モードが「2」である場合)、図12(a)〜図12(d)に示すような従来のZス
キャン順でなく、図6(a)〜図6(d)に示すように、PU#0(CU#1内の左上の
PU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)→
PU#1(CU#1内の右上のPU)という復号順を採用するように構成されていてもよ
い。
【0085】
復号画像生成部23は、復号順制御部22によって決定されたPUの復号順及びCU(
本実施形態では、CU#1)のPU(本実施形態では、PU#0〜PU#3)への分割方
法に基づいて、PUごとの復号画像を生成するように構成されている。
【0086】
具体的には、復号画像生成部23は、CU#1が複数のPU#0〜PU#3に分割され
ていた場合に、復号順制御部22により決定されたPUの符号化順に従って、逐次、PU
ごとの復号画像を生成するように構成されている。
【0087】
より具体的には、復号画像生成部23は、CU#1が複数のPU#0〜PU#3に分割
されていた場合に、復号順制御部22によって決定された復号順に従って、エントロピー
復号部21によって出力された量子化された変換係数に対して、逐次、予測画像生成処理
や逆量子化処理や逆直交変換処理を行うことによって、PUごとの復号画像を生成するよ
うに構成されている。
【0088】
図4に示すように、復号画像生成部23は、予測画像生成部23aと、逆量子化・逆変
換部23bと、局部復号画像生成部23cとを具備している。
【0089】
予測画像生成部23aは、復号順制御部22によって決定した復号順に従って、エント
ロピー復号部21によって出力された予測モードを用いて、予測画像を生成するように構
成されていてもよい。
【0090】
具体的には、予測画像生成部23aは、CU#1が複数のPU#0〜PU#3に分割さ
れていた場合で、且つ、図4の(1)のケースのように、PU#0における予測モードが
予測領域Aに属し、PU#1における予測モードが予測領域Aに属し、PU#2における
予測モードが予測領域Bに属し、PU#3における予測モードが予測領域Bに属する場合
(例えば、図5(a)〜図5(d)のケース)、図5(a)〜図5(d)に示すように、
PU#0(CU#1内の左上のPU)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#1
(CU#1内の右上のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)という復号順で、予
測画像を生成するように構成されていてもよい。
【0091】
或いは、予測部23aは、CU#1が複数のPU#0〜PU#3に分割されていた場合
で、且つ、図4の(2)のケースのように、PU#0における予測モードが予測領域Cに
属し、PU#1における予測モードが予測領域Aに属し、PU#2における予測モードが
予測領域Bに属し、PU#3における予測モードが予測領域Aに属する場合(例えば、図
6のケース)、図6(a)〜図6(d)に示すように、PU#0(CU#1内の左上のP
U)→PU#2(CU#1内の左下のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)→P
U#1(CU#1内の右上のPU)という復号順で、予測画像を生成するように構成され
ていてもよい。
【0092】
ここで、復号画像生成部23の予測画像生成部23aは、PU#0〜PU#3の画素と
復号済み参照画素との距離を考慮して予測画像を生成するように構成されていてもよい。
【0093】
例えば、予測画像生成部23aは、図6(d)に示すように、PU#1の下側に隣接す
るPU内の復号済み参照画素を用いて、PU#1の予測画像を生成するように構成されて
いてもよい。
【0094】
逆量子化・逆変換部23bは、エントロピー復号部21によって出力された量子化され
た変換係数に対して逆量子化処理及び逆変換処理(例えば、逆直交変換処理)を施すこと
によって、残差信号を生成するように構成されている。
【0095】
局部復号画像生成部23cは、予測部23aによって生成された予測画像と逆量子化・
逆変換部23bによって生成された残差信号とを加えることでPUごとの復号画像を生成
するように構成されている。
【0096】
メモリ24は、復号画像生成部23によって生成されたPUごとの復号画像を、イント
ラ予測及びインター予測のための参照画像として利用可能に保持するように構成されてい
る。
【0097】
図9を参照して、本実施形態に係る復号装置2の動作の一例について説明する。
【0098】
図9に示すように、ステップS201において、復号装置2は、符号化装置1から出力
されたストリームから、変換係数やフラグ情報を取得する。
【0099】
ステップS202において、復号装置2は、符号化装置1から出力されたストリームに
含まれているフラグ情報に基づいて、CU(本実施形態では、CU#1)が複数のPU(
本実施形態では、PU#0〜PU#3)に分割されているか否か(N×N分割が適用され
ているか否か)について決定する。
【0100】
「Yes」の場合、本動作は、ステップS203に進み、「No」の場合、本動作は、
終了する。
【0101】
ステップS203において、復号装置2は、符号化装置1から出力されたストリームに
含まれているフラグ情報に基づいて、PU#0〜PU#3の各々の予測モードを取得する
【0102】
ステップS204において、復号装置2は、PU#0〜PU#3の各々における予測モ
ードの組み合わせに基づいて、PUの復号順を一意に決定する。
【0103】
ステップS205において、復号装置2は、ステップS204において決定したPUの
復号順に従って、PU#0〜PU#3の復号画像を生成する。
【0104】
本実施形態に係る復号装置2によれば、伝送するデータ量を増大させることなく、符号
化効率の低減を防ぐことができる。
【0105】
(第2の実施形態)
以下、図10及び図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係る符号化装置1及び
復号装置2について、上述の第1の実施形態に係る符号化装置1及び復号装置2との相違
点に着目して説明する。
【0106】
本実施形態に係る符号化装置1では、復号画像生成部15の予測部15aは、予測モー
ドとして、PUに隣接する複数のPU内の復号済み参照画素を用いる予測モードが用いら
れているか否かを考慮して、予測画像を生成するように構成されている。
【0107】
ここで、PUに隣接する複数のPU内の復号済み参照画素を用いる予測モードとしては
、Planar予測やDC予測が挙げられるが、かかる予測モードは、これらに限定され
ることなく、PUに隣接する複数のPU内の復号済み参照画素を用いる任意の予測モード
であってもよい。
【0108】
例えば、本実施形態における符号化装置1では、予測モード決定部11によって決定さ
れた符号化順において符号化対象のPUに隣接する3方向或いは全方向のPU内の画素が
復号済みであった場合で、且つ、かかるPUに対してPlanar予測或いはDC予測が
割り当てられている場合には、復号画像生成部15の予測部15aは、利用可能な全ての
参照画素を用いて予測画像を生成するように構成されており、符号化順制御部13は、図
10に示す表に基づいて、PUの符号化順を決定するように構成されていてもよい。
【0109】
ここで、図10に示す表は、斜線が付してある部分において図4に示す表と異なってい
る。
【0110】
図4に示す表は、符号化処理(或いは、復号処理)にかかる時間短縮を優先して作成さ
れている、すなわち、可能な限り、図12(a)〜図12(d)に示すような従来のZス
キャン順に近づけることで符号化処理(或いは、復号処理)における再計算を必要とする
PU数を少なくしている。
【0111】
一方、図10に示す表は、Planar予測或いはDC予測を利用する場合に、符号化
対象(復号対象)のPUに3方向若しくは全方向で隣接しているPU内の参照画素の利用
を考慮した予測精度の向上を優先して作成されている。
【0112】
したがって、図10に示す表において斜線が付してある部分における予測領域Bの部分
において、予測モードがPlanar予測或いはDC予測であった場合にのみ、符号化順
制御部13は、図10に示す表に基づいて、PUの符号化順を決定し、それ以外の場合に
は、図4に示す表に基づいて、PUの符号化順を決定するように構成されていてもよい。
【0113】
このように、図4に示す表及び図10に示す表を複合して使用することで、符号化処理
(或いは、復号処理)にかかる時間を増大させずに予測制度の向上を図ることができる。
【0114】
なお、各PUの予測領域及び符号化順(又は、復号順)の組み合わせは、図10に示す
組み合わせのみに限定されるものではなく、その他の効果(例えば、符号化速度の向上や
符号化処理の簡素化等)が見込める場合には、他の組み合わせであってもよい。
【0115】
具体的には、符号化順制御部13は、分割決定部12によってCU#1をPU#0〜P
U#3に分割することが決定された場合で、且つ、図10の(1)のケースのように、P
U#0における予測モードが予測領域Bに属し、PU#1における予測モードが予測領域
Cに属し、PU#2における予測モードが予測領域Aに属し、PU#3における予測モー
ドが予測領域Aに属する場合で、且つ、予測領域Bに属するPU#0における予測モード
が「0」又は「1」である(Planar予測或いはDC予測である)場合、図11(a
)〜図11(d)に示すように、PU#1(CU#1内の右上のPU)→PU#2(CU
#1内の左下のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)→PU#0(CU#1内の
左上のPU)という符号化順を採用するように構成されていてもよい。
【0116】
一方、符号化順制御部13は、分割決定部12によってCU#1をPU#0〜PU#3
に分割することが決定された場合で、且つ、図10の(1)のケースのように、PU#0
における予測モードが予測領域Bに属し、PU#1における予測モードが予測領域Cに属
し、PU#2における予測モードが予測領域Aに属し、PU#3における予測モードが予
測領域Aに属する場合で、且つ、予測領域Bに属するPU#0における予測モードが「0
」又は「1」でない(Planar予測或いはDC予測でない)場合、PU#0(CU#
1内の左上のPU)→PU#1(CU#1内の右上のPU)→PU#2(CU#1内の左
下のPU)→PU#3(CU#1内の右下のPU)という符号化順を採用するように構成
されていてもよい。
【0117】
このように、分割決定部12によってCU#1をPU#0〜PU#3に分割することが
決定された場合で、且つ、図10の(1)のケースのように、PU#0における予測モー
ドが予測領域Bに属し、PU#1における予測モードが予測領域Cに属し、PU#2にお
ける予測モードが予測領域Aに属し、PU#3における予測モードが予測領域Aに属する
場合、PU#1〜PU#3の予測画像は、上述の第1の実施形態の場合と同一の予測画像
が生成される。しかしながら、PU#0では、PU#0と全方位で隣接するPU内の画素
が復号済みであるため、上述の第1の実施形態の場合と比べて、より予測精度を向上させ
ることができる(図11(d)参照)。
【0118】
本実施形態に係る復号装置2では、本実施形態に係る符号化装置1と同様に、復号画像
生成部23の予測部23aは、予測モードとして、PUに隣接する複数のPU内の復号済
み参照画素を用いる予測モードが用いられているか否かを考慮して、予測画像を生成する
ように構成されている。
【0119】
(その他の実施形態)
上述のように、本発明について、上述した実施形態によって説明したが、かかる実施形
態における開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべき
ではない。かかる開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らか
となろう。
【0120】
また、上述の実施形態では特に触れていないが、上述の符号化装置1及び復号装置2に
よって行われる各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また
、かかるプログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュ
ータ読取り可能媒体を用いれば、かかるプログラムをコンピュータにインストールするこ
とが可能である。ここで、かかるプログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は
、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものでは
ないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0121】
或いは、上述の符号化装置1及び復号装置2内の少なくとも一部の機能を実現するため
のプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサ
によって構成されるチップが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…符号化装置
11…予測モード決定部
12…分割決定部
13…符号化順制御部
14…再計算制御部
15…復号画像生成部
15a…予測部
15b…残差信号生成部
15c…変換・量子化部
15d…逆量子化・逆変換部
15e…局部復号画像生成部
16…エントロピー符号化部
17…メモリ
2…復号装置
21…エントロピー復号部
22…復号順制御部
23…復号画像生成部
23a…予測画像生成部
23b…逆量子化・逆変換部
23c…局部復号画像生成部
24…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12