(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の半導体パッケージの形成方法について説明する。
図1は、本実施の形態の半導体パッケージの断面模式図である。
図2は、比較例の半導体パッケージの説明図である。なお、以下の実施の形態はあくまでも一例を示すものであり、各ステップ間に他のステップを備えてもよいし、ステップの順序を適宜入れ換えてもよい。
【0012】
図1に示すように、半導体パッケージ10は、いわゆるファンアウト・ウェハレベルパッケージ等の半導体装置であり、チップサイズに比べて再配線領域を広く取って形成されている。半導体パッケージ10は、再配線層11に半導体チップ21が接続されており、半導体チップ21が樹脂層(封止剤)12で封止されて構成されている。この半導体パッケージ10には配線基板が設けられずに再配線層11が数μmから数十μmの厚みで形成されるため、配線長が短く伝送速度が高まると共にパッケージ全体の厚みが薄化される。また、ボンディング用のワイヤが不要になるため、製造コストが抑えられている。
【0013】
半導体チップ21は、デバイス毎に半導体ウェーハを個片化して形成されている。また、半導体チップ21を内包した半導体パッケージ10のパッケージ上面22及びパッケージ側面23はシールド層25によって覆われている。シールド層25はスパッタ法等によって半導体パッケージ10に対して上方から成膜されている。なお、パッケージ側面23は鉛直になっているが、半導体パッケージ10の間隔を十分に空けてシールド層25を成膜することで、所望の厚みのシールド層25を形成することが可能になっている。このシールド層25によって半導体パッケージ10からの電磁ノイズの漏洩が抑えられている。
【0014】
ところで通常は、
図2Aの比較例の半導体パッケージ60に示すように、電磁ノイズを逃がすためにパッケージ側面62のシールド層64が再配線層61の側面でグランド配線63に接続されている。しかしながら、再配線層61の厚みが薄いため、再配線層61内のグランド配線63とシールド層64のコンタクト不良が起こり易い。特に、半導体パッケージ60のピックアップ時に、シールド層64のバリ部分を起点にパッケージ側面62に膜剥がれが生じると、再配線層61の側面でグランド配線63からシールド層64が分離してコンタクト不良を生じさせる。
【0015】
また、
図2Bの他の比較例の半導体パッケージ70に示すように、再配線層71からパッケージ側面72に厚めの配線73を引き出す構成も考えられる。半導体チップ75の側方で再配線層71にポスト電極76を設けて、ポスト電極76の上部から側方に配線73を引き出して、再配線層71よりも上側にコンタクトポイントを設けている。厚めの配線73によってシールド層77とグランド配線73のコンタクト性を向上させることが可能になっている。しかしながら、ポスト電極76を形成するためにフォトレジスト工程やエッチング工程等を実施しなければならず、加工数が増加して製造コストが高くなる。
【0016】
そこで
図1に示すように、本実施の形態では再配線層11の側面にコンタクトメタル28を設けて、コンタクトメタル28を介して再配線層11の側面から露出したグランド配線17をパッケージ側面23のシールド層25に接続している。コンタクトメタル28とシールド層25の接触面積が増加することで、コンタクト性が向上させると共にシールド層25の耐剥離性を向上させることが可能になっている。また、上記の比較例のようにポスト電極76(
図2B参照)を形成する必要がないため、フォトレジスト工程やレジスト工程等を実施する必要がなく、加工数の増加を最小限にして製造コストの増加を抑えることが可能になっている。
【0017】
以下、
図3及び
図4を参照して、本実施の形態の半導体パッケージの形成方法について説明する。
図3及び
図4は、本実施の形態の半導体パッケージの形成方法の説明図である。なお、
図3Aは保持ステップ、
図3Bは溝形成ステップ、
図3Cはメタル充填ステップのそれぞれ一例を示す図である。また、
図4Aは個片化ステップ、
図4B及び
図4Cはシールド層形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。
【0018】
図3Aに示すように、先ず保持ステップが実施される。保持ステップでは、複数の半導体チップ21を封止剤(樹脂層12)で一括封止したパッケージ基板15が用意される。パッケージ基板15の片面全域には、数μmから数十μmの厚みで再配線層11が薄く形成されている。各再配線層11は交差する分割予定ライン(不図示)で格子状に区画されており、分割予定ラインで区画された各領域に半導体チップ21が接続されている。そして、パッケージ基板15は、再配線層11を上方に向けて樹脂層12側が粘着層32を介してサブストレート31に貼着される。
【0019】
なお、パッケージ基板15は、半導体チップ21が樹脂層12で封止されてから再配線層11が形成されてもよいし(Chip-first Method)、再配線層11が形成されてから半導体チップ21が樹脂層12で封止されてもよい(RDL-first Method)。粘着層32は、外部刺激によって粘着性が低下するものであればよく、例えば紫外線硬化性樹脂、発泡材が分散された熱剥離性テープ、ワックスが用いられる。サブストレート31としては、パッケージ基板15を平坦な状態で保持可能なものであればよく、例えばシリコンプレート、ガラスプレート、メタルプレートが用いられる。なお、封止剤には、硬化性を有するものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等から選択することができる。
【0020】
図3Bに示すように、保持ステップが実施された後に溝形成ステップが実施される。溝形成ステップでは、ダイヤモンド砥粒等を結合剤で固めた切削ブレード33がスピンドル(不図示)の先端に装着され、パッケージ基板15の樹脂層12側がサブストレート31を介してチャックテーブル(不図示)に保持される。切削ブレード33が分割予定ラインに位置合わせされ、パッケージ基板15の外側で切削ブレード33が再配線層11を切断可能な深さまで降ろされる。そして、切削ブレード33に対してパッケージ基板15が加工送りされて、再配線層11側から切削ブレード33で切り込まれて第1の幅t1で溝27が形成される。
【0021】
パッケージ基板15に対して切削ブレード33によるハーフカットが繰り返されることで、パッケージ基板15の再配線層11に全ての分割予定ラインに沿って溝27が形成される。この溝27によって再配線層11の側面からグランド配線17が露出される。なお、溝形成ステップでは、再配線層11側から分割予定ラインに沿って再配線層11の少なくともグランド配線17が分割可能な深さまで切削ブレード33で切り込む構成であればよい。例えば、グランド配線17を分割可能であれば、切削ブレード33で再配線層11を部分的に切断して溝を形成してもよいし、切削ブレード33で再配線層11側から樹脂層12に到達する深さで溝を形成してもよい。
【0022】
図3Cに示すように、溝形成ステップが実施された後にコンタクトメタル充填ステップが実施される。コンタクトメタル充填ステップでは、溝27に対してグランド配線17とシールド層25(
図4C参照)の双方に導電性を有するコンタクトメタル28が充填されると共に、再配線層11に対してバンプ13が形成される。この場合、スクリーン印刷によってコンタクトメタル28の充填とバンプ13の形成が実施される。スクリーン印刷ではパターン孔が形成されたスクリーンマスクを用い、パターン孔を通じて半田ペーストがパッケージ基板15の再配線層11に転写される。
【0023】
スクリーンマスクには、バンプ13用のパターン孔に加えてコンタクトメタル28用のパターン孔が形成されているため、半田ペーストの転写によってバンプ13の形成とコンタクトメタル28の充填が同時に実施される。なお、溝27に対してコンタクトメタル28を充填する前に、溝27内にシードメタルを薄く成膜してグランド配線17とコンタクトメタル28の密着性を向上させてもよい。なお、コンタクトメタル28としては、導電性を有する金属であれば特に限定されないが、コンタクト性、耐剥離性、加工性が良好なものが好ましく、例えば銅、金属化合物が使用される。
【0024】
図4Aに示すように、コンタクトメタル充填ステップが実施された後に個片化ステップが実施される。個片化ステップでは、ダイヤモンド砥粒等を結合剤で固めた薄型の切削ブレード35がスピンドル(不図示)の先端に装着され、パッケージ基板15の樹脂層12側がサブストレート31を介してチャックテーブル(不図示)に保持される。切削ブレード35が再配線層11の溝27に位置合わせされ、パッケージ基板15の外側で切削ブレード35がサブストレート31途中まで切り込み可能な深さまで降ろされる。そして、切削ブレード35に対してパッケージ基板15が加工送りされてパッケージ基板15が個片化される。
【0025】
このとき、切削ブレード35が第1の幅t1よりも細い第2の幅t2で形成され、切削ブレード35の幅中心が第1の幅t1の中央に一致した状態で溝27に沿って再配線層11側から切り込まれる。これにより、切削ブレード35でコンタクトメタル28の幅方向の両端部分を残しながら切削され、コンタクトメタル28(溝27)に沿ってパッケージ基板15が分割される。パッケージ基板15に対して切削ブレード33による分割が繰り返されることで、パッケージ基板15が個々の半導体パッケージ10に分割される。これにより、各半導体パッケージ10の再配線層11の側面でグランド配線17を覆うコンタクトメタル28がパッケージ側面23から露出される。
【0026】
図4Bに示すように、個片化ステップが実施された後にシールド層形成ステップが実施される。シールド層形成ステップでは、サブストレート31上の粘着層32に外部刺激が加えられ、サブストレート31から各半導体パッケージ10が剥離される。そして、
図4Cに示すように、サブストレート31から保持テープ36に半導体パッケージ10が貼り替えられる。保持テープ36の保持面には格子状の浅溝37が形成されており、浅溝37によって保持面が複数の領域に区画されている。各領域に半導体パッケージ10の再配線層11側が保持されて、半導体パッケージ10同士が離間して整列される。
【0027】
そして、半導体パッケージ10に対して上方から導電性材料が成膜処理されて、半導体パッケージ10のパッケージ上面22及びパッケージ側面23、すなわちコンタクトメタル28表面及び樹脂層12表面にシールド層25が形成される。パッケージ側面23にはコンタクトメタル28が広い面積で露出しているため、再配線層11内のグランド配線17が薄く形成された場合でも、パッケージ側面23のシールド層25がコンタクトメタル28を介してグランド配線17に良好に接続される。このような構成により、半導体パッケージ10で生じた電磁ノイズがグランド配線17及びコンタクトメタル28を通じて半導体パッケージ10外に逃がされる。
【0028】
このとき、保持テープ36の浅溝37の溝幅が、半導体パッケージ10同士のパッケージ間隔よりも大きく形成されており、浅溝37の内側に半導体パッケージ10のパッケージ側面23が食み出している。よって、シールド層形成ステップでは、浅溝37の側面にはシールド層25が形成されず、パッケージ側面23と浅溝37の間でシールド層25が分離される。よって、半導体パッケージ10のピックアップ時にバリの発生が抑えられ、シールド層25の膜剥がれが防止されてシールド層25とコンタクトメタル28のコンタクト性が悪化することがない。
【0029】
なお、シールド層25は、銅、チタン、ニッケル、金等のうち一つ以上の金属によって成膜された厚さ数μm以上の多層膜であり、例えば、スパッタ法、イオンプレーディング法、スプレー塗布法、CVD(chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法によって形成される。なお、シールド層25は、真空雰囲気下で上記の多層膜を有する金属フィルムをパッケージ上面22及びパッケージ側面23に接着する真空ラミネートによって形成してもよい。このようにして、パッケージ上面22及びパッケージ側面23がシールド層25でカバーされた半導体パッケージ10が製造される。
【0030】
以上のように、本実施の形態の半導体パッケージ10の製造方法によれば、再配線層11が薄く形成されていても、再配線層11の側面で少なくともグランド配線17を覆うようにコンタクトメタル28が形成されるため、コンタクトメタル28とシールド層25の接触面積が増加して、グランド配線17をパッケージ側面23のシールド層25に確実に接続できる。また、再配線層11の側面にコンタクトメタル28を形成するという簡易な構成により、パッケージ内にポスト電極を形成する構成と比較してコストの増加を抑えることができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、再配線層に分割予定ラインに沿った溝を形成し、溝に充填されたコンタクトメタルを切削ブレードで切断する構成にしたが、この構成に限定されない。
図5に示すように、コンタクトメタル43の加工性が悪い材質の場合には、分割予定ライン内に2列の溝42を形成し、2列の溝42に充填されたコンタクトメタル43の間を切削ブレード45で切断する構成にしてもよい。この場合、溝形成ステップで分割予定ラインの幅方向中心を挟んで2列の溝42を形成し、コンタクトメタル充填ステップで2列の溝42にコンタクトメタル43を充填するようにする。
【0032】
そして、個片化ステップで、2列の溝42の間隔よりも僅かに大きな切削ブレード45を用いて、2列の溝42の間が再配線層46側からサブストレート47の途中まで切り込まれてパッケージ基板41が分割される。これにより、コンタクトメタル43として加工性が悪い材料を用いた場合であっても、切削ブレード45によるコンタクトメタル43の切削量が抑えられ、切削ブレード45の目潰れ等の切削性能の低下を防止することができる。また、コンタクトメタル43を厚く形成することができるため、コンタクト性を向上させることができる。
【0033】
また、上記の実施の形態では、再配線層に1つの半導体チップを接続した半導体パッケージを例示したが、この構成に限定されない。再配線層に複数の半導体チップを実装した半導体パッケージを製造してもよい。例えば、
図6に示すように、再配線層51に複数(例えば、2つ)の半導体チップ52a、52bを接続し、半導体チップ52a、52bをまとめてシールドした半導体パッケージ50を製造するようにしてもよい。なお、半導体チップ52a、52bは同一機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0034】
また、上記の実施の形態の溝形成ステップでは、溝形成手段として切削ブレードを用いられたが、この構成に限定されない。溝形成手段は、再配線層の少なくともがグランド配線を分割する深さまで切り込んで第1の幅の溝を形成する構成であればよい。例えば、溝形成手段としてプロファイラを用いてパッケージ基板に溝を形成してもよいし、レーザアブレーション用の加工ヘッドを用いて、アブレーション加工によってパッケージ基板に溝を形成してもよい。なお、レーザアブレーションとは、レーザ光線の照射強度が所定の加工閾値以上になると、固体表面で電子、熱的、光科学的及び力学的エネルギーに変換され、その結果、中性原子、分子、正負のイオン、ラジカル、クラスタ、電子、光が爆発的に放出され、固体表面がエッチングされる現象をいう。
【0035】
また、上記の実施の形態の個片化ステップでは、分割手段として切削ブレードが用いられたが、この構成に限定されない。分割手段は、第1の幅よりも細い第2の幅に形成されて、半導体パッケージを分割する構成であればよい。例えば、分割手段としてプロファイラを用いてパッケージ基板を分割してもよいし、レーザアブレーション用の加工ヘッドを用いて、アブレーション加工によってパッケージ基板を分割してもよい。
【0036】
また、上記の実施の形態では、パッケージ基板に対する溝の形成とパッケージ基板の分割が同一の装置で実施されてもよいし、別々の装置で実施されてもよい。
【0037】
また、上記の実施の形態のコンタクトメタル充填ステップでは、スクリーン印刷によって再配線層の溝にコンタクトメタルを充填する構成にしたが、この構成に限定されない。再配線層の溝にコンタクトメタルを充填可能であればよく、例えば、ディスペンサを用いて再配線層の溝にコンタクトメタルを充填してもよい。
【0038】
また、上記の実施の形態の保持ステップでは、保持部材としてサブストレートが用いられたが、この構成に限定されない。保持部材は、パッケージ基板を保持するものであればよく、例えば、保持テープ、保持治具、チャックテーブルで構成されてもよい。
【0039】
また、上記の実施の形態のシールド層形成ステップでは、浅溝付きの保持テープに半導体パッケージが保持された状態でシールド層が形成される構成にしたが、この構成に限定されない。浅溝付きの保持治具に半導体パッケージが保持された状態でシールド層が形成されてもよい。さらに、シールド層の膜剥がれが問題にならない場合には、保持テープや保持治具には浅溝が形成されていなくてもよい。
【0040】
また、上記の実施の形態では、半導体パッケージとしてファンアウト・ウェハレベルパッケージを例示したが、この構成に限定されない。本発明は、他の半導体パッケージの製造方法にも適用することも可能である。
【0041】
また、上記の実施の形態では、チップとして再配線層に半導体チップが接続される構成にしたが、この構成に限定されない。チップは再配線層に実装されるチップ部品であればよく、例えば、コンデンサや他のチップ部品で構成されてもよい。
【0042】
また、半導体パッケージは、携帯電話等の携帯通信機器に用いられる構成に限らず、カメラ等の他の電子機器に用いられてもよい。
【0043】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0044】
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【0045】
また、本実施の形態では、本発明を半導体パッケージの形成方法に適用した構成について説明したが、再配線層が形成された他のパッケージ部品の形成方法に適用することも可能である。