(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これらのシートの間に位置する吸収体と、を備えた、動物の飼育空間の床面又は室外の地面に載置される動物用排泄物処理シートであって、
前記動物用排泄物処理シートは、互いに直交する第1方向及び第2方向を有する四角形の外形形状を有し、排泄物の供給面である第1面と、該第1面とは反対側の面である第2面とを有するとともに、平面視にて、前記動物用排泄物処理シートの中央に位置し且つ前記表面シート、前記吸収体及び前記裏面シートが厚さ方向に重複する部分として区画される中央部と、前記中央部を囲繞し且つ前記中央部の外縁から前記動物用排泄物処理シートの外縁に向かって延出する外周部と、を有しており、
さらに、前記動物用排泄物処理シートは、前記外周部において、前記中央部を囲繞するように延在し且つ前記表面シートと前記裏面シートとが接着剤を介して接合された接合部と、前記接合部の少なくとも一部と前記厚さ方向に重複するように延在し且つ前記第1面から突出しないように露出する止水部と、を備えており、
前記止水部は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向において前記吸収体と重複し、
さらに、前記止水部は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向に沿って間欠的に延在する第1止水部であって、第1止水部小区分と第1間欠部とが交互に並ぶように配置された前記第1止水部と、
前記第1止水部が延在する方向と直交する方向の外方側において前記第1止水部が延在する方向と平行な方向に沿って間欠的に延在する第2止水部であって、第2止水部小区分と第2間欠部とが交互に並ぶように配置された第2止水部と、を含み、
さらに、前記第2止水部小区分は、前記第1止水部の延在する方向と直交する方向において、前記第1間欠部及び当該第1間欠部を挟んで隣接する2つの前記第1止水部小区分の対向する端部の各々と重複する、
前記動物用排泄物処理シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に開示されたペットシートのように、側端部に尿を堰き止めるためのフラップがシート表面から突出するように形成された動物用排泄物処理シートでは、製造後の動物用排泄物処理シートを折り畳んでパッキングする際に、そのパッキングの圧力によってフラップが潰れたり、或いは、ペット(動物)が排泄しようとしてシートの上に乗る際に、フラップを踏んで潰したりしてしまい、かかるフラップが使用時に十分に機能せず、動物から排泄された尿が動物用排泄物処理シートの表面上を伝って面方向の外方側に漏れる「伝い漏れ」を生じる虞があった。加えて、フラップが潰される際に、当該フラップに対応する部分の表面シートと裏面シートの接合が外れてしまい、結果的に、表面シートを透過した尿や吸収体から漏れ出た尿が、上述の表面シートと裏面シートの接合が外れた部分を介して動物用排泄物処理シートの外縁から漏れ出る虞もあった。
さらに、特許文献1に開示されたペットシートのように、尿を堰き止めるフラップが親水性の表面シートを含むようにして構成されていると、尿が親水性の表面シートの内部を伝って面方向の外方側に漏れる「滲み漏れ」を生じる虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、表面シートと裏面シートの接合強度を十分に確保しつつ、動物から排泄された尿を面方向の外方側へ漏れにくくすることができる動物用排泄物処理シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様(態様1)は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これらのシートの間に位置する吸収体と、を備えた動物用排泄物処理シートであって、
前記動物用排泄物処理シートは、排泄物の供給面である第1面と、該第1面とは反対側の面である第2面とを有するとともに、平面視にて、前記動物用排泄物処理シートの中央に位置し且つ前記表面シート、前記吸収体及び前記裏面シートが厚さ方向に重複する部分として区画される中央部と、前記中央部を囲繞し且つ前記中央部の外縁から前記動物用排泄物処理シートの外縁に向かって延出する外周部と、を有しており、
さらに、前記動物用排泄物処理シートは、前記外周部において、前記中央部を囲繞するように延在し且つ前記表面シートと前記裏面シートとが接着剤を介して接合された接合部と、前記接合部の少なくとも一部と前記厚さ方向に重複するように延在し且つ前記第1面から突出しないように露出する止水部と、を備えている。
【0008】
本態様1の動物用排泄物処理シートは、外周部において、前記中央部を囲繞するように延在し且つ表面シートと裏面シートとが接着剤を介して接合された接合部と、前記接合部の少なくとも一部と厚さ方向に重複するように延在し且つ前記第1面から突出しないように露出する止水部と、を備えているため、上述の接合部によって、表面シートと裏面シートの接合強度を十分に確保しつつ、動物用排泄物処理シートに排泄された尿が表面シートの内部を伝って面方向の外方側に漏れる「滲み漏れ」を抑制することができる上、上述の止水部によって、動物用排泄物処理シートに排泄された尿が表面シートの表面上を伝って面方向の外方側に漏れる「伝い漏れ」をも抑制することができる。
また、止水部は、動物用排泄物処理シートの第1面から突出しないように露出した状態で止水作用を発揮するものであるため、当該動物用排泄物処理シートがパッキングされたり、動物に踏まれたりしても止水作用が低下しにくく(すなわち、止水部としての機能を十分に発揮することができ)、上述の伝い漏れを安定的に抑制することができる。
したがって、本態様1の動物用排泄物処理シートは、表面シートと裏面シートの接合強度を十分に確保しつつ、動物用排泄物処理シートに排泄された尿を面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
【0009】
なお、本明細書において、「動物用排泄物処理シートの第1面から突出しない」とは、尿を堰き止める目的で動物用排泄物処理シートの第1面から意図的に突出するように形成されていないこと(すなわち、動物用排泄物処理シートの第1面から突出させることを意図した成形加工や折り畳み加工等の賦形加工が施されていないこと)を意味し、動物用排泄物処理シートの製造過程において意図せず生じ得る小さな膨らみや浮き上がり、動物用排泄物処理シートを構成する部材(例えば、不織布等)の構造上生じ得る微細な凹凸などの態様を除外するものではない(すなわち、本発明の動物用排泄物処理シートにおける止水部は、このような態様を包含していてもよい)。
【0010】
本発明の別の態様(態様2)では、前記態様1の動物用排泄物処理シートにおいて、当該動物用排泄物処理シートは、互いに直交する第1方向及び第2方向を有する四角形の外形形状を有しており、前記止水部は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向において前記吸収体と重複する。
【0011】
本態様2の動物用排泄物処理シートは、止水部(及び該止水部と厚さ方向に重複する接合部)が、第1方向及び第2方向のうちの少なくとも一方の方向において吸収体と重複するため、特に、動物用排泄物処理シートの前記中央部に排泄された尿の伝い漏れを抑制しやすく、さらに、吸収体から漏れ出た尿の滲み漏れも抑制しやすい。
【0012】
更に本発明の別の態様(態様3)では、前記態様2の動物用排泄物処理シートにおいて、前記止水部は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向に沿って連続的に延在する。
【0013】
本態様3の動物用排泄物処理シートは、止水部が第1方向及び第2方向のうちの少なくとも一方の方向に沿って連続的に延在するため、当該止水部の延在方向と交差する方向(すなわち、止水部を横断する方向)に流れる尿の流路を遮断することができ、面方向の外方側への尿の漏れを、より一層生じにくくすることができる。
【0014】
更に本発明の別の態様(態様4)では、前記態様2の動物用排泄物処理シートにおいて、前記止水部は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向に沿って間欠的に延在する第1止水部であって、第1止水部小区分と第1間欠部とが交互に並ぶように配置された前記第1止水部と、
前記第1止水部が延在する方向と直交する方向の外方側において前記第1止水部が延在する方向と平行な方向に沿って間欠的に延在する第2止水部であって、第2止水部小区分と第2間欠部とが交互に並ぶように配置された第2止水部と、を含み、
さらに、前記第2止水部小区分は、前記第1止水部の延在する方向と直交する方向において、前記第1間欠部及び当該第1間欠部を挟んで隣接する2つの前記第1止水部小区分の対向する端部の各々と重複する。
【0015】
本態様4の動物用排泄物処理シートは、止水部が上記特定の配置形態で配置された第1止水部と第2止水部を含むため、当該止水部を横断する方向に流れる尿が第1止水部の第1間欠部を通って第2止水部に至ったときに、尿を第2止水部の第2止水部小区分によって堰き止めつつ、前記止水部の延在する方向に沿って拡散させることができる。これにより、本態様4の動物用排泄物処理シートは、排泄された尿が一定量を超えるような場合であっても、尿を止水部において、当該止水部の延在する方向に拡散させることにより、面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
【0016】
更に本発明の別の態様(態様5)では、前記態様1〜4のいずれかの動物用排泄物処理シートにおいて、前記表面シートは、シート状の繊維構造体によって構成されており、
前記止水部は、前記繊維構造体の構成繊維同士が溶融した状態で融着した融着部によって構成されている。
【0017】
本態様5の動物用排泄物処理シートは、止水部が表面シートを構成する繊維構造体の構成繊維同士の融着部によって構成されていて、尿が、溶融によって親水性が低下した隙間のない融着部を通過しにくいため、当該止水部において、より優れた止水作用を発揮することができる。
さらに、接着剤だけでなく、融着部も表面シートと裏面シートとの接合に寄与することによって、表面シートと裏面シートとをより高い接合強度で接合することができるため、吸収体から漏れ出た尿を、面方向の外方側へより確実に漏れにくくすることができる。
また、融着部からなる止水部は、周辺部と色が異なり(明度や色彩等の差異、すなわち色差により)視認しやすいため、動物の飼い主がかかる止水部を視認することで、本態様5の動物用排泄物処理シートが、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができる。
【0018】
更に本発明の別の態様(態様6)では、前記態様1〜5のいずれかの動物用排泄物処理シートにおいて、前記止水部は、前記表面シート、前記接着剤及び前記裏面シートが前記厚さ方向に一体化された一体化部によって構成されている。
【0019】
本態様6の動物用排泄物処理シートは、止水部が表面シート、接着剤及び裏面シートを厚さ方向に一体化した一体化部によって構成されているため、当該止水部において、表面シートの供給面から裏面シートの非供給面までの間に、尿の流路となり得る隙間が形成されにくく、当該止水部が動物用排泄物処理シートの面方向の外方側に向かって流れる尿の流路をより確実に遮断することができる。
さらに、止水部がこのような一体化部によって構成されていると、表面シートと裏面シートをより高い接合強度で接合させることができるため、表面シートと裏面シートが、より離間しにくく、吸収体から漏れ出た尿を長期間に亘って漏れにくくすることができる。
【0020】
更に本発明の別の態様(態様7)では、前記態様1〜4のいずれかの動物用排泄物処理シートにおいて、前記表面シートは、シート状の繊維構造体によって構成されており、
前記止水部は、前記繊維構造体の構成繊維同士が部分的に溶融した状態で融着した半融着部によって構成されている。
【0021】
本態様7の動物用排泄物処理シートは、止水部が表面シートを構成する繊維構造体の構成繊維同士の半融着部によって構成されているため、止水部に到達した尿を、毛細管現象により、部分的に融着した構成繊維同士の間に引き込みながら、当該止水部の延在する方向に沿って拡散させることができる。これにより、本態様7の動物用排泄物処理シートは、排泄された尿が一定量を超えるような場合でも、尿を止水部において、当該止水部の延在する方向に拡散させることにより、面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
さらに、上述の接着剤だけでなく、半融着部も表面シートと裏面シートとの接合に一定程度寄与することによって、表面シートと裏面シートとをより高い接合強度で接合することができるため、吸収体から漏れ出た尿を、面方向の外方側へより確実に漏れにくくすることができる。
また、半融着部からなる止水部は、周辺部と色が異なり視認しやすいため、飼い主がかかる止水部を視認することで、本態様7の動物用排泄物処理シートが、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができる。
【0022】
更に本発明の別の態様(態様8)では、前記態様1〜4のいずれかの動物用排泄物処理シートにおいて、前記止水部は、撥水性被膜によって構成されている。
【0023】
本態様8の動物用排泄物処理シートは、止水部が撥水性被膜によって構成されているため、当該撥水性被膜が止水部を横断する方向に流れてきた尿を弾き、優れた止水作用を発揮することができる。さらに、尿を弾いた撥水性被膜は、目視で視認しやすくなるため、飼い主がかかる撥水性被膜からなる止水部を視認することで、本態様8の動物用排泄物処理シートが、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができる。
【0024】
更に本発明の別の態様(態様9)では、前記態様1〜8のいずれかの動物用排泄物処理シートにおいて、前記表面シートは、排泄物の供給面側の表面に凹凸構造を有する。
【0025】
本態様9の動物用排泄物処理シートは、表面シートが排泄物の供給面側の表面に凹凸構造を有しており、当該凹凸構造を有する表面シートは、尿を厚さ方向に透過させる液透過性に優れる上、尿が表面シートの表面を伝わりにくいため、動物用排泄物処理シートの第1面に供給された尿を吸収体に素早く移行させることができ、さらに、面方向の外方側への尿の漏れを、より一層生じにくくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の動物用排泄物処理シートは、表面シートと裏面シートの接合強度を十分に確保しつつ、動物から排泄された尿を面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の動物用排泄物処理シートの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で排泄物の供給面が上方を向くように、水平面上に置いた対象物(例えば、動物用排泄物処理シート等)を垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を単に「平面視」という。
【0029】
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、動物用排泄物処理シート等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物の垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、互いに直交する関係にある。また、本明細書において、「面方向」は、「平面視における略シート状の対象物(例えば、動物用排泄物処理シート等)の平面が延びる方向(すなわち、水平面方向)」を指し、当該面方向と厚さ方向は、互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、「動物用排泄物処理シートの第1方向(例えば、長手方向)において、該動物用排泄物処理シートの第1方向の中央に位置し且つ前記第1方向と直交する第2方向(例えば、幅方向)に延びる中央軸線C
2に対して相対的に近位側」を「第1方向の内方側」といい、「動物用排泄物処理シートの第1方向において、前記中央軸線C
2に対して相対的に遠位側」を「第1方向の外方側」という。同様に、「動物用排泄物処理シートの第2方向において、該動物用排泄物処理シートの第2方向の中央に位置し且つ前記第2方向と直交する第1方向に延びる中央軸線C
1に対して相対的に近位側」を「第2方向の内方側」といい、「動物用排泄物処理シートの第2方向において、前記中央軸線C
1に対して相対的に遠位側」を「第2方向の外方側」という。また、本明細書では、「略シート状の対象物の面方向において、該対象物の中心(第1方向に延びる中央軸線及び第2方向に延びる中央軸線の交点)に対して相対的に近位側」を「面方向の内方側」といい、「略シート状の対象物の面方向において、該対象物の中心に対して相対的に遠位側」を「面方向の外方側」という。
そして、本明細書では、「動物用排泄物処理シートの厚さ方向において、排泄物の供給面に相対的に近位側」を「供給面側」といい、「動物用排泄物処理シートの厚さ方向において、排泄物の供給面に相対的に遠位側」を「非供給面側」という。なお、本明細書においては、「動物用排泄物処理シートの供給側の面」を単に「供給面」といい、「動物用排泄物処理シートの非供給面側の面」を単に「非供給面」という。また、非供給面側は、後述する載置面に相対的に近位側でもあるため、本明細書においては、「非供給面側」を「載置面側」ということがある。同様に、本明細書においては、「非供給面」を「載置面」ということがある。
【0030】
図1は、本発明の第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1を、展開した状態の斜視図であり、
図2は、かかる動物用排泄物処理シート1を、展開した状態で表面シート2側から厚さ方向に見た平面図である。また、
図3は、
図2における動物用排泄物処理シート1の囲み線IIIで囲まれた要部の拡大平面図であり、
図4は、
図2における動物用排泄物処理シート1のIV-IV線に沿った部分断面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、互いに直交する第1方向D
1、第2方向D
2及び厚さ方向Tを有し、平面視にて、前記第1方向D
1に長い縦長の略矩形状の外形形状を有する積層シートによって構成されている。なお、本発明において、動物用排泄物処理シートの外形形状は、このような略矩形状に限定されず、各種用途や意匠性等に応じて、正方形、多角形、円形、楕円形等の任意の外形形状を採用することができる。また、動物用排泄物処理シートの平面視における外形寸法は、当該排泄物処理シートが適用される動物のサイズや種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、適用される動物が犬の場合、第1方向D
1(長手方向)の長さは、400mm〜1200mm程度であり、第2方向D
2(幅方向)の長さは、250mm〜800mm程度である。
【0031】
上述の第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、
図2及び
図4に示すように、厚さ方向Tにおいて、動物から排出された排泄物の供給面となる第1面F
1を形成する液透過性のシート状の繊維構造体からなる表面シート2と、前記供給面とは反対側の載置面(すなわち、動物用排泄物処理シートが載置される床面又は地面と対向する面)となる第2面F
2を形成する液不透過性の樹脂フィルムからなる裏面シート4と、これらのシートの間に配置される吸液性の吸収体3と、を備えていて、さらに、平面視にて、動物用排泄物処理シート1の中央に位置し且つ上述の表面シート2、吸収体3及び裏面シート4が厚さ方向Tに重複する部分として区画される中央部A
1と、前記中央部A
1を囲繞し且つ前記中央部A
1の外縁から前記動物用排泄物処理シート1の外縁(より具体的には、第1方向D
1の両端に位置する第1方向外縁E
1及び第2方向D
2の両端に位置する第2方向外縁E
2)に向かって延出する外周部A
2と、を有している。
【0032】
そして、本第1実施形態においては、動物用排泄物処理シート1は、
図1〜
図4に示すように、外周部A
2において、中央部A
1を囲繞するように延在し且つ表面シート2と裏面シート4とがホットメルト型接着剤等の任意の接着剤を介して接合された接合部5と、当該接合部5と厚さ方向Tに重複するように延在し且つ動物用排泄物処理シート1の第1面F
1から突出しないように露出する止水部6と、を備えている。なお、本第1実施形態における止水部6は、表面シート2を形成する繊維構造体の構成繊維同士が溶融した状態で融着した融着部によって構成されている。ここで、
図5は、
図2における動物用排泄物処理シート1に動物が尿Uを排泄した後の状態を模式的に示す平面図であり、
図6は、
図5における動物用排泄物処理シート1の囲み線VIで囲まれた要部の拡大平面図である。
【0033】
このように、本第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、外周部A
2において、中央部A
1を囲繞するように延在し且つ表面シート2と裏面シート4とが任意の接着剤を介して接合された接合部5と、当該接合部5と厚さ方向Tに重複するように延在し且つ動物用排泄物処理シート1の第1面F
1から突出しないように露出する止水部6と、を備えているため、
図5及び
図6に示すように、上述の接合部5によって、表面シート2と裏面シート4の接合強度を十分に確保しつつ、動物用排泄物処理シート1に排泄された尿Uが表面シート2の内部を伝って面方向の外方側に漏れる滲み漏れを抑制することができる上、上述の止水部6によって、動物用排泄物処理シート1に排泄された尿Uが表面シート2の表面上(すなわち、第1面F
1上)を伝って面方向の外方側に漏れる伝い漏れをも、抑制することができる。
また、上述の止水部6は、動物用排泄物処理シート1の第1面F
1から突出しないように露出した状態で止水作用を発揮するため、当該動物用排泄物処理シート1がパッキングされたり、動物に踏まれたりしても止水作用が低下しにくく(すなわち、止水部としての機能を十分に発揮することができ)、上述の伝い漏れを安定的に抑制することができる。
このようにして、本第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、表面シート2と裏面シート4の接合強度を十分に確保しつつ、当該動物用排泄物処理シート1に排泄された尿Uを面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
【0034】
なお、本発明の動物用排泄物処理シートは、
図1に示すように、展開した状態でペット等の動物の飼育空間(例えば、室内等)の所定位置に、表面シートが排泄物の供給面側に位置するように載置され、動物から尿などの排泄物が排泄されたときに、当該排泄物を吸収及び保持して、飼育空間を清潔な状態に保つために使用される。さらに、本発明の動物用排泄物処理シートは、飼育空間の床面又は室外の地面に直接載置しても、所定のホルダーやトレイ、敷材等を介して載置してもよい。
【0035】
ここで、本発明の動物用排泄物処理シートが適用される「動物」は、ペット等として飼育され得る動物であれば特に制限されず、犬や猫、ハムスター等の様々な動物を対象とすることができる。また、本発明の動物用排泄物処理シートが吸収及び保持する対象の「排泄物」は、尿に限定されず、例えば、よだれ等の唾液、血液、低粘度の便などの液状ないし低粘度の各種体液を含む。なお、本明細書においては、便宜的に尿を対象として説明する。
【0036】
以下、本発明の動物用排泄物処理シートを構成する各種部材について、上述の第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1を用いて更に詳細に説明する。
【0037】
[表面シート]
上述の第1実施形態において、動物用排泄物処理シート1に用いられる表面シート2は、
図1及び
図2に示すように、平面視にて動物用排泄物処理シート1の第1方向D
1における一方側の第1方向外縁E
1から他方側の第1方向外縁E
1に亘って延在するとともに、第2方向D
2における一方側の第2方向外縁E
2から他方側の第2方向外縁E
2に亘って延在する、第1方向D
1に長い縦長の略矩形状の外形形状を有しており、動物用排泄物処理シート1の厚さ方向Tにおいて、動物から排泄された尿を最初に受ける位置(すなわち、供給面側の位置)に配置されて、動物から排泄された尿を供給面から非供給面側(載置面側)に位置する吸収体3へと移行させる、液透過性のシート状部材によって構成されている。
【0038】
本発明において、表面シートとして用い得る液透過性のシート状部材としては、所定の液透過性を有するものであれば特に制限されず、例えば、エアースルー不織布、SMS不織布(すなわち、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドの積層不織布)、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の不織布や織布、編布などのシート状の繊維構造体;樹脂フィルムに開孔を施した開孔フィルムなどを好適に用いることができる。なお、シート状の繊維構造体は、界面活性剤により親水化処理が施されていてもよい。これらの中でも、液透過性や強度、柔軟性等の点から、シート状の繊維構造体を用いることが好ましく、さらに、エアースルー不織布を用いることがより好ましい。
【0039】
また、表面シートとしてシート状の繊維構造体を用いる場合、その構成繊維は特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂などの樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維が挙げられ、これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。なお、熱可塑性樹脂繊維の構造は、特に制限されず、例えば、芯鞘型繊維等の複合繊維や異形断面型繊維、立体捲縮繊維などを用いてもよい。
【0040】
さらに、上述の熱可塑性樹脂繊維は、例えば、界面活性剤や親水化剤等を用いた処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)などの親水化処理が施されていてもよく、また、顔料や香料、消臭剤、抗菌剤などの任意の添加剤を含んでいてもよい。なお、これらの添加剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0041】
本発明において、表面シートとして用い得るシート状部材の坪量は、所定の液透過性及び強度を有するものであれば特に制限されず、例えば、6g/m
2〜30g/m
2の範囲内であり、好ましくは15g/m
2〜25g/m
2の範囲内である。シート状部材の坪量がこのような範囲内にあると、表面シートとして所定の強度を有するため、動物用排泄物処理シートの上に犬などの動物が乗っても破れにくく、また、かかるシート状部材が繊維構造体からなる場合は、構成繊維の繊維間距離が所定の範囲内となるため、表面シートにおいて、尿を供給面側から載置面側へ移行させる毛細管現象が発現しやすくなる。さらに、表面シートを透過して吸収体に吸収された尿が、表面シートにおける繊維の密集した構造により視認されにくくなるという利点もある。
【0042】
また、表面シートの構造は、表面シートとして用い得る所定の液透過性を有するものであれば特に制限されず、表面シートは、上述の第1実施形態のように略平坦な構造を有するものや排泄物の供給面側の表面に凹凸構造を有するものなどを好適に用いることができる。特に、排泄物の供給面側の表面に凹凸構造を有する表面シートは、尿を厚さ方向に透過させる液透過性に優れる上、尿が表面シートの表面を伝わりにくいため、動物用排泄物処理シートの第1面に供給された尿を吸収体に素早く移行させることができ、さらに、面方向の外方側への尿の漏れを、より一層生じにくくすることができる。
【0043】
なお、表面シートの凹凸構造の形態は、尿などの液の移行を促進し得るものであれば特に制限されず、例えば、平面視にて、表面シートの所定方向に延び且つ当該所定方向に直交する方向に所定間隔で並ぶ複数本の直線状の凸条部と、隣り合う凸条部の間に位置し且つ前記凸条部と並行して延びる複数本の直線状の凹溝部と、によって構成された、前記凸条部の内部構造が中空又は中実である凹凸構造;略平坦な基部上に半球状や円柱状等の凸部が複数個配置された凹凸構造;表面シートの供給面側の表面の略全体に亘って凸部と凹部が不規則に形成された凹凸構造などが挙げられる。かかる凹凸構造を形成する手段は、特に制限されず、例えば、繊維ウェブに連続的に気体(例えば、エア等)を吹き付ける方法や圧縮成形法、ギア延伸法などの任意の賦形方法を採用することができる。
【0044】
また、表面シートとして用い得るシート状部材の寸法形状や厚み等は、かかるシート状部材が動物用排泄物処理シートの表面シートとして機能し得るものであれば特に制限されず、所望の液透過性や強度等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができる。
【0045】
[吸収体]
上述の第1実施形態において、動物用排泄物処理シート1に用いられる吸収体3は、
図2に示すように、平面視にて、動物用排泄物処理シート1の第2方向に延びる中央軸線C
2を第1方向D
1に跨いで延在するとともに第1方向D
1に延びる中央軸線C
1を第2方向D
2に跨いで延在する、四角形の外形形状を有しており、動物用排泄物処理シート1の厚さ方向Tにおいて上述の表面シート2と裏面シート4との間に配置されて、表面シート2を透過してきた尿を吸収して保持する吸収性部材によって構成されている。ここで、表面シート2と吸収体3は、ホットメルト型接着剤等の任意の接着剤によって接合されており、当該接着剤は、排泄物の透過を妨げない程度の坪量(例えば、0.1g/m
2〜10g/m
2)及び塗工形態(例えば、フィルム状(カーテン塗工)、スパイラル状、ドット状、ストライプ状等)で、表面シート2と吸収体3の間に配置されている。
【0046】
吸収体3は、平面視にて、表面シート2及び裏面シート4よりも一回り小さい外形寸法を有していて、上述のように動物用排泄物処理シート1の中央領域に配置されている。吸収体3がこのような中央領域に配置されることにより、動物用排泄物処理シート1は、平面視にて、表面シート2、吸収体3及び裏面シート4が厚さ方向Tに重複する部分である中央部A
1と、当該中央部A
1を囲繞し且つ当該中央部A
1の外縁から動物用排泄物処理シート1の外縁に向かって延出する外周部A
2と、に区画される。
【0047】
そして、吸収体3は、
図4に示すように、厚さ方向Tにおいて、相対的に供給面側に位置し且つ青色や緑色、黄色、オレンジ色等の任意の色に着色された親水性の有色シート31と、相対的に非供給面側に位置し且つ排泄物を吸収し保持するための吸収性材料によって形成された吸収コア32と、これらの有色シート31及び吸収コア32を非供給面側から被覆する、少なくとも1枚の液透過性シートからなるコアラップシート33と、を備えている。さらに、吸収コア32は、
図4に示すように、厚さ方向Tにおいて、相対的に供給面側に位置し且つ吸収性ポリマー321aによって構成された第1吸収コア321と、相対的に非供給面側に位置し且つ吸収性ポリマー322a及び吸水性繊維322bによって構成された第2吸収コア322と、を備えている。
【0048】
第1吸収コア321は、
図4に示すように、上述の有色シート31と第2吸収コア322の間において面状に分散した状態で配置された、粒状の吸収性ポリマー321aによって構成されていて、第2吸収コア322は、上述の第1吸収コア321とコアラップシート33の間において面状に分散した状態で配置された、粒状の吸収性ポリマー322aと吸水性繊維322bとの混合物によって構成されている。
【0049】
第1吸収コア321を構成する吸収性ポリマー321aと、第2吸収コア322を構成する吸収性ポリマー322aは、同一の吸収性ポリマーであっても、異なる吸収性ポリマーであってもよい。かかる吸収性ポリマーは、尿などの排泄物を吸収及び保持し得るものであれば特に制限されず、例えば、ポリアクリル酸系(例えば、アクリル酸ナトリウムコポリマー等)、デンプン系、セルロース系等の任意の高吸水性ポリマーを採用することができる。吸収性ポリマーの坪量は、特に制限されないが、吸収性等の点から、第1吸収コア321を構成する吸収性ポリマー321aの坪量は、20g/m
2〜50g/m
2の範囲内であることが好ましく、第2吸収コア322に含まれる吸収性ポリマー322aの坪量は、8g/m
2〜30g/m
2の範囲内であることが好ましい。
【0050】
第2吸収コア322に含まれる吸水性繊維は、尿などの排泄物を吸収及び保持し得るものであれば特に制限されず、例えば、フラッフパルプ等のパルプ、コットンなどのセルロース系吸水性繊維を用いることができる。吸水性繊維の坪量は、特に制限されないが、吸収性の点から、30g/m
2〜115g/m
2の範囲内であることが好ましい。
【0051】
本第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、吸収体3の吸収コア32が上述のような第1吸収コア321及び第2吸収コア322によって構成されているため、表面シート2を透過してきた尿が、第2吸収コア322に含まれる吸水性繊維322bの親和力によって、第1吸収コア321の吸収性ポリマー321aの間を通過して第2吸収コア322に引き込まれやすくなっている。これにより、かかる動物用排泄物処理シート1は、表面シート2を透過してきた尿を迅速に吸収体3に吸収させることができるため、尿が動物用排泄物処理シート1の面方向の外方側へ流れにくく、当該面方向の外方側への尿の漏れを、より生じにくくすることができる。
さらに、本第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、動物が第1面F
1上に乗ったときに、動物の足から掛かる圧力によって第2吸収コア322に含まれる吸水性繊維322bの間に保持された尿が滲み出てきたとしても、この滲み出てきた尿を、第2吸収コア322に含まれる吸収性ポリマー322aと、第2吸収コア322の供給面側に位置する第1吸収コア321の吸収性ポリマー321aとによって吸収することができるため、尿を吸収体3から滲出させにくくすることができる。
【0052】
また、本第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、吸収体3が第1吸収コア321の吸収性ポリマー321aと、第2吸収コア322の吸収性ポリマー322a及び吸水性繊維322bとを吸収性材料として含むものであるため、吸収体全体としての保水量が大きく、尿などの排泄物を長時間に亘って確実に吸収及び保持することができる。
【0053】
なお、本発明において、吸収体として用い得る吸収性部材は、尿などの排泄物を吸収して保持し得るものであれば上述の第1実施形態の態様のものに限定されず、当分野において公知の任意の吸収性部材を用いることができる。また、吸収性部材は、上述の第1実施形態のような2層の吸収コアを備えた2層構造の吸収性部材のほか、単一層の吸収コアを備えた単層構造や3層以上の吸収コアを備えた多層構造の吸収性部材であってもよい。
【0054】
上述の第1実施形態において、有色シート31は、青色や緑色、黄色、オレンジ色等の任意の色に着色されたティッシュペーパー(例えば、針葉樹晒クラフトパルプを主原料として形成された、坪量が13.5g/m
2程度のティッシュペーパー等)によって構成されており、
図4に示すように、吸収体3において、吸収コア32の供給面側(すなわち、表面シート側)の表面を覆うように配置されている。かかる有色シート31は、コアラップシート33と協働して吸収コア32の型崩れを防止するとともに、吸収コア32に吸収された尿の色を、有色シート31の色彩に紛れさせて目立たなくする(すなわち、吸収体3に吸収された排泄物が供給面側から視認されにくくする)ことができる。
【0055】
なお、本第1実施形態においては、有色シート31と吸収コア32は、水スプレーによって接着されている。この水スプレーは、吸収体3を製造する際に、吸収コア32(具体的には、吸収性ポリマー321aからなる第1吸収コア321)の上面(すなわち、動物用排泄物処理シートにおける供給面側の表面)に水を噴霧し、その上に有色シート31を貼り付けるという接着手段である。この水スプレーによって噴霧された水は、その後蒸発し、当該水の噴霧箇所は乾燥した状態となるので、上述の有色シート31と吸収コア32(具体的には、吸収性ポリマー321aからなる第1吸収コア321)は、接着成分等の他の成分を介さずに、直接的に接合された状態となる。有色シート31と吸収コア32がこのような水スプレーによって接着されていると、有色シート31と吸収コア32との間に接着成分等の他の成分が介在せず、表面シートを透過してきた尿を迅速に吸収コア32に吸収させることができるので、尿が動物用排泄物処理シートの面方向の外方側へ流れにくく、当該面方向の外方側への尿の漏れを、より生じにくくすることができる。
【0056】
なお、本第1実施形態においては、有色シート31は、シート全体が任意の色に着色されているが、本発明においては、このような態様に限定されず、有色シートは、部分的に着色されていてもよい。また、有色シートの着色形態も特に制限されず、有色シートは、単一の色彩に着色されていても、複数種類の色彩に着色されていてもよく、また、所定の色彩を伴った模様や柄、キャラクター等の任意の形態で着色することができる。このような有色シートは、例えば、着色前の基材シート(例えば、ティッシュペーパー、エアースルー不織布等の不織布)に、染色や印刷などの任意の着色手段を用いて着色することにより得ることができる。
【0057】
また、本第1実施形態において、コアラップシート33は、上述の有色シート31と同様のティッシュペーパー(例えば、針葉樹晒クラフトパルプを主原料として形成された、坪量が13.0g/m
2〜13.5g/m
2のティッシュペーパー等)によって構成されており、
図4に示すように、吸収体3において、有色シート31及び吸収コア32を非供給面側(すなわち、裏面シート側)から被覆するように配置されている。このようなコアラップシート33を備えていることにより、動物用排泄物処理シート1は、吸収コア32の型崩れや有色シート31の位置ズレ等が生じにくくなっている。
本発明において、コアラップシートは、液透過性を有し且つ吸収コアの型崩れ等を防止し得るものであれば特に制限されず、上述のティッシュペーパーのほか、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布などの任意の不織布を用いることができる。
【0058】
そして、本第1実施形態においては、吸収体3は、
図1及び
図2に示すように、平面視にて四角形の外形形状を有しているが、本発明においては、このような態様に限定されず、吸収体は、例えば、円形、楕円形等の四角形以外の任意の平面視形状を有していてもよい。さらに、本発明においては、吸収体の配置される位置も、動物用排泄物処理シートが上述の中央部と外周部に区画され得る限り特に限定されず、吸収体は、平面視にて、動物用排泄物処理シートの中心に対して任意の方向に一定程度偏って配置されていてもよい。
【0059】
なお、吸収体として用い得る吸収性部材の外形寸法や厚み、坪量等は、かかる吸収性部材が動物用排泄物処理シートの吸収体として機能し得るものであれば特に制限されず、当該動物用排泄物処理シートが適用される動物のサイズや種類等に応じた任意の外形寸法や厚み、坪量等を採用することができる。
【0060】
[裏面シート]
上述の第1実施形態において、動物用排泄物処理シート1に用いられる裏面シート4は、平面視にて動物用排泄物処理シート1の第1方向D
1における一方側の第1方向外縁E
1から他方側の第1方向外縁E
1に亘って延在するとともに、第2方向D
2における一方側の第2方向外縁E
2から他方側の第2方向外縁E
2に亘って延在する、第1方向D
1に長い縦長の略矩形状の外形形状を有しており、動物用排泄物処理シート1の厚さ方向Tにおいて、当該動物用排泄物処理シート1が載置される床面又は地面と対向する位置(すなわち、非供給面側の位置)に配置されて、動物用排泄物処理シート1に吸収及び保持された尿の漏洩を防ぐように機能する、液不透過性のシート状部材によって構成されている。
【0061】
本発明において、裏面シートとして用い得る液不透過性のシート状部材としては、所定の液不透過性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等によって形成された樹脂フィルム、該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体、各種樹脂フィルム同士を積層した積層樹脂フィルム(例えば、ポリエチレン/ポリプロピレンの積層フィルム)、撥水性又は疎水性の不織布などを好適に用いることができる。
【0062】
さらに、裏面シートとして用い得るシート状部材の坪量は、所定の液不透過性及び強度を有するものであれば特に制限されず、例えば、5g/m
2〜30g/m
2の範囲内であり、好ましくは15g/m
2〜20g/m
2の範囲内である。
【0063】
また、裏面シートは、上述の表面シートと同様に、吸収体を非供給面側から覆うことができる外形形状及び寸法を有しており、上述の第1実施形態においては、裏面シート4は、平面視にて、表面シート2と略同一の外形形状及び寸法を有している。なお、裏面シートとして用い得るシート状部材の寸法形状や厚み等は、かかるシート状部材が動物用排泄物処理シートの裏面シートとして機能し得るものであれば特に制限されず、所望の液不透過性や強度等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができる。
【0064】
[接合部]
そして、上述の第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、
図1〜
図4に示すように、外周部A
2において、中央部A
1を囲繞するように延在し且つ表面シート2と裏面シート4とがホットメルト型接着剤等の任意の接着剤を介して接合された接合部5を備えている。かかる接合部5は、接着剤が少なくとも表面シート2の非供給面側の表面から厚さ方向に一定程度浸み込み、表面シート2の構成繊維間に入り込んだ状態で固まっているため、表面シート2と裏面シート4の接合強度を十分に確保しつつも、供給面に排泄された尿や吸収体から漏れ出た尿が表面シート2の内部を伝って面方向の外方側に漏れる滲み漏れを抑制することができ、尿を動物用排泄物処理シート1の面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
【0065】
本発明において、接合部に用いられる接着剤の塗工量及び塗工形態は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、任意の塗工量(例えば、0.1g/m
2〜10g/m
2)及び塗工形態(例えば、1本又は複数本の直線状、帯状、スパイラル状、オメガ状、ジグザグ状等)を採用することができる。
【0066】
[止水部]
さらに、上述の第1実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、
図1〜
図4に示すように、外周部A
2において、上述の接合部5と厚さ方向Tに重複するように延在し且つ動物用排泄物処理シート1の第1面F
1から突出しないように露出する止水部6を備えている。なお、本第1実施形態においては、止水部6は、表面シート2を形成する繊維構造体の構成繊維同士が溶融した状態で融着した融着部によって構成されている。
【0067】
このような止水部6を備えていることによって、動物用排泄物処理シート1は、
図5及び
図6に示すように、供給面に排泄された尿が表面シート2の表面上(すなわち、第1面F
1上)を伝って流れたとしても、その流れを止める(より具体的には、止水部6に流れてきた尿を、止水部6において当該止水部6を横断する方向に流れにくくする)ことができ、尿が動物用排泄物処理シート1の面方向の外方側に漏れる伝い漏れを抑制することができる。
また、かかる止水部6は、動物用排泄物処理シート1の第1面F
1から突出しないように露出した状態で止水作用を発揮するため、動物用排泄物処理シート1がパッキングされたり、動物に踏まれたりしても当該止水部6の止水作用が低下しにくく、上述の伝い漏れを安定的に抑制することができる。
【0068】
なお、本第1実施形態において、止水部6は、
図2に示すように、上述の接合部5と厚さ方向Tに重複する部分が中央部A
1を囲繞するように延在しているが、本発明においては、このような態様に限定されず、例えば、本発明の動物用排泄物処理シートが適用される動物の習性や動物用排泄物処理シートの配置形態(例えば、壁面に沿うようにして床面上に配置される形態等)によって動物の尿が面方向の外方側へ漏れにくい部分がある場合は、止水部は、かかる部分には配置せずに、尿が面方向の外方側へ漏れ出る虞がある部分のみに(すなわち、接合部の一部のみと厚さ方向に重複するように)配置してもよい。
【0069】
本発明において、動物用排泄物処理シートの第1面から突出しないように露出する止水部を形成する手段は、止水作用を有する部分を形成し得るものであれば特に制限されず、例えば、ヒートシーラー等の加熱溶着手段又は超音波溶着手段を用いて、表面シートの所定部分を少なくとも部分的に溶融させることにより形成することができる。この場合、止水部は、表面シートが溶融した部分(溶融部)によって構成される。なお、上述の第1実施形態のように、表面シートがシート状の繊維構造体(例えば、不織布等)によって構成されている場合は、表面シートを形成する繊維構造体の所定部分における構成繊維を完全に溶融させた状態又は部分的に溶融させた状態で、かかる構成繊維同士を融着させることにより形成することができる。この場合、止水部は、表面シートを形成する繊維構造体の構成繊維同士が溶融した状態で融着した融着部又は繊維構造体の構成繊維同士が部分的に溶融した状態で融着した半融着部によって構成される。なお、止水部を上述の融着部又は半融着部によって構成すると、当該止水部は、構成繊維間の空隙が減少するため、動物用排泄物処理シートの第1面から僅かに窪んだ凹部となる。
さらに、本発明においては、動物用排泄物処理シートの第1面から突出しないように露出する止水部は、後述する実施形態のように、表面シートの供給面側の表面における所定部分に、撥水剤を塗工することによっても形成することができる。この場合、止水部は、撥水剤による撥水性被膜によって構成される。
【0070】
上述の第1実施形態においては、止水部6は、
図2に示すように、動物用排泄物処理シート1の中央部A
1に位置する吸収体3の面方向の外方側(すなわち、外周部A
2)において、動物用排泄物処理シート1の外縁に沿って(より具体的には、第1方向D
1の両端に位置する第1方向外縁E
1及び第2方向D
2の両端に位置する第2方向外縁E
2のそれぞれに沿って)前記第1方向D
1及び前記第2方向D
2に延在する四角形の外形形状を有する吸収体3を囲繞するように連続的に配置されている。本発明において、止水部の配置形態は、当該止水部の止水作用を発揮し得る形態であれば上述の第1実施形態の態様に限定されず、止水部は任意の態様で配置することができるが、止水部は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向において、上述の四角形の外形形状を有する吸収体と重複するように配置されていることが好ましい。止水部がこのように配置されていると、止水部及び当該止水部と厚さ方向に重複する接合部が、第1方向及び第2方向のうちの少なくとも一方の方向において吸収体と重複するため、特に、動物用排泄物処理シートの中央部に排泄された尿の伝い漏れが抑制しやすくなるとともに、吸収体から漏れ出た尿の滲み漏れも抑制しやすくなる。
【0071】
ここで、本明細書において、止水部が所定の一方向(例えば、第1方向等)において吸収体と重複するとは、平面視にて、吸収体の外形形状を前記所定の一方向に投影させたときに、止水部がその投影させた吸収体の範囲内に存在すること(換言すれば、吸収体の外形形状の前記所定の一方向に直交する他方向(例えば、第2方向等)の端縁を通り且つ前記所定の一方向に延びる2本の仮想直線の間に、止水部が存在すること)を意味する。
【0072】
さらに、止水部が前記第1方向及び前記第2方向のうちの少なくとも一方の方向に沿って連続的に延在していると、当該止水部の延在方向と交差する方向(すなわち、止水部を横断する方向)に流れる尿の流路を遮断することができるため、動物用排泄物処理シートの面方向の外方側への尿の漏れを、より一層生じにくくすることができる。
【0073】
また、上述の第1実施形態のように、止水部が表面シートを形成する繊維構造体の構成繊維同士の融着部によって構成されていると、尿が、溶融によって親水性が低下した隙間のない融着部を通過しにくくなるため、当該止水部において、より優れた止水作用を発揮することができる。加えて、上述の接合部における接着剤だけでなく、止水部における融着部も表面シートと裏面シートとの接合に寄与することによって、表面シートと裏面シートとをより高い接合強度で接合することができるため、吸収体から漏れ出た尿を、面方向の外方側へより確実に漏れにくくすることができる。さらに、融着部からなる止水部は、周辺部と色が異なり視認しやすいため、動物の飼い主がかかる止水部を視認することで、本発明の動物用排泄物処理シートが、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができるという利点もある。
【0074】
本明細書において、「融着部」は、構成材料(例えば、繊維構造体の構成繊維等)が加熱等により完全に溶融した後に冷えて固まった部分を意味し、「半融着部」は、構成材料が加熱等により部分的に溶融(例えば、繊維構造体の構成繊維の表面部分のみが溶融)した後に冷えて固まった部分を意味する。したがって、繊維構造体の融着部は、構成繊維の繊維状の構造が維持されておらず、複数の構成繊維が溶融して固まった塊状の一体化物によって構成されている。一方、繊維構造体の半融着部は、構成繊維の繊維状の構造を維持しつつ、構成繊維の表面部分のみが溶融して、複数の構成繊維同士が融着した繊維構造物によって構成されている。
【0075】
また、本発明においては、上述の止水部は、エンボス加工等の任意の圧搾加工手段により、動物用排泄物処理シートの外周部における表面シート、接着剤及び裏面シートが厚さ方向に一体化された一体化部によって構成されていてもよい。止水部がこのような一体化部によって構成されていると、当該止水部において、表面シートの供給面から裏面シートの非供給面までの間に、尿の流路となり得る隙間が形成されにくくなるため、当該止水部が動物用排泄物処理シートの面方向の外方側に向かって流れる尿の流路をより確実に遮断することができる。さらに、止水部がこのような一体化部によって構成されていると、表面シートと裏面シートとをより高い接合強度で接合させることができるため、表面シートと裏面シートとがより離間しにくく、吸収体から漏れ出た尿を長期間に亘って漏れにくくすることができる。
【0076】
なお、上述したとおり、本発明においては、止水部は、表面シートを形成するシート状の繊維構造体の所定部分における構成繊維を部分的に溶融させた状態で、構成繊維同士を融着した半融着部によって構成することができる。ここで、
図7は、止水部6が半融着部によって構成されている場合の動物用排泄物処理シート1(上述の第1実施形態の動物用排泄物処理シート1の変形例に該当し、止水部6が半融着部によって構成されていること以外は、上述の第1実施形態と同様の構成を有する。)に、動物が尿Uを排泄した後の状態を模式的に示す平面図である。止水部6がこのような半融着部によって構成されていると、
図7に示すように、止水部6に到達した尿Uを、半融着部の繊維構造物による毛細管現象によって融着した構成繊維同士の間に引き込みながら、当該止水部6の延在する方向に沿って拡散させることができる。これにより、かかる止水部を備えた動物用排泄物処理シートは、排泄された尿が一定量を超えるような場合でも、尿を止水部において、当該止水部の延在する方向に拡散させることにより、面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。また、止水部がこのような半融着部によって構成されていると、上述の接合部における接着剤だけでなく、半融着部も表面シートと裏面シートとの接合に一定程度寄与することによって、表面シートと裏面シートをより高い接合強度で接合することができるため、吸収体から漏れ出た尿を、面方向の外方側へより確実に漏れにくくすることができる。
さらに、半融着部からなる止水部は、周辺部と色が異なり視認しやすいため、動物の飼い主がかかる止水部を視認することで、本発明の動物用排泄物処理シートが、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができるという利点もある。
【0077】
なお、上述の第1実施形態においては、止水部6は、平面視にて、第1方向D
1に延在する直線状の止水部と、第2方向D
2に延在する直線状の止水部とを井桁状に組み合わせた態様で配置されているが、本発明においては、止水部の配置態様は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、止水部は、例えば、第1方向及び第2方向の少なくとも一方向に延在する直線状、波線状、ジグザグ状若しくは破線状の態様、又はこれらの態様を任意に組み合わせた態様(例えば、平面視にて、吸収体を囲繞する井桁状、四角形状、L字形状、平行線状等の態様)で配置することができ、さらには、止水部の延在する方向に直交する方向に並ぶ多重線状の態様で配置することもできる。
【0078】
以下、上述の第1実施形態とは止水部の態様のみが異なる、本発明の別の実施形態(第2実施形態及び第3実施形態)について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と異なる構成以外の構成は、基本的に上述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る動物用排泄物処理シート1を、展開した状態で表面シート2側から厚さ方向に見た平面図であり、
図9は、
図8における動物用排泄物処理シート1の囲み線IXで囲まれた要部の拡大平面図である。また、
図10は、
図9における動物用排泄物処理シート1に動物が尿Uを排泄した後の状態を模式的に示す拡大平面図である。
本第2実施形態においては、止水部6は、
図8及び
図9に示すように、第1方向D
1及び第2方向D
2の各々に沿って間欠的に延在する第1止水部61であって、第1止水部小区分61sと第1間欠部61bとが交互に並ぶように配置された前記第1止水部61と、前記第1止水部61が延在する方向と直交する方向の外方側において前記第1止水部61が延在する方向と平行な方向に沿って間欠的に延在する第2止水部62であって、第2止水部小区分62sと第2間欠部62bとが交互に並ぶように配置された第2止水部62と、前記第2止水部62が延在する方向と直交する方向の外方側において前記第2止水部62が延在する方向と平行な方向に沿って間欠的に延在する第3止水部63であって、第3止水部小区分63sと第3間欠部63bとが交互に並ぶように配置された第3止水部63と、を有し、さらに、前記第2止水部小区分62sは、前記第1止水部61の延在する方向と直交する方向において、前記第1間欠部61b及び当該第1間欠部61bを挟んで隣接する2つの前記第1止水部小区分61sの対向する端部の各々と重複し、前記第3止水部小区分63sは、前記第2止水部62の延在する方向と直交する方向において、前記第2間欠部62b及び当該第2間欠部62bを挟んで隣接する2つの前記第2止水部小区分62sの対向する端部の各々と重複するように配置されている。
【0080】
この第2実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、止水部6が上記特定の配置形態で配置された第1止水部61と第2止水部62とを有しているため、
図10に示すように、当該止水部6を横断する方向に流れる尿Uが第1止水部61の第1間欠部61bを通って第2止水部62に到達したときに、尿Uを第2止水部62の第2止水部小区分62sによって堰き止めつつ、当該止水部6の延在する方向に沿って拡散させることができる。これにより、本第2実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、排泄された尿Uが一定量を超えるような場合であっても、尿Uを止水部6において、当該止水部6の延在する方向に拡散させることにより、面方向の外方側へ漏れにくくすることができる。
なお、本第2実施形態においては、止水部6が上記特定の配置形態で配置された第3止水部63を更に有しているため、
図10に示すように、止水部6を横断する方向に流れる尿Uが第2止水部62の第2間欠部62bを通って第3止水部63まで到達したとしても、尿Uを第3止水部63の第3止水部小区分63sによって堰き止めつつ、前記止水部6の延在する方向に沿って拡散させることができ、当該尿Uを面方向の外方側へより確実に漏れにくくすることができる。
【0081】
なお、本第2実施形態においては、止水部6が上記特定の配置形態で配置された第1止水部61、第2止水部62及び第3止水部63を有するように構成されているが、本発明においては、止水部は、このような構成に限定されず、止水部は、第3止水部を有していなくても、第4止水部以上の止水部を第3止水部の外方側に有していてもよい。特に、止水部が第4止水部以上の止水部を有している場合は、止水部を横断する方向に流れる尿を、面方向の外方側へより一層漏れにくくすることができる。
【0082】
また、上述の第2実施形態においては、止水部6(具体的には、第1止水部61、第2止水部62及び第3止水部63)は、第1方向D
1及び第2方向D
2の各々に沿って間欠的に延在するように配置されているが、本発明においては、このような態様に限定されず、止水部は、尿の流動方向や漏れの生じやすい箇所の傾向等に応じて、第1方向及び第2方向のうちの少なくとも一方の方向に沿って間欠的に延在するように配置されてもよい。
【0083】
<第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態に係る動物用排泄物処理シート1を、展開した状態で表面シート2側から厚さ方向に見た平面図であり、
図12は、
図11における動物用排泄物処理シート1のXII-XII線に沿った部分断面図である。
本第3実施形態においては、止水部6’は、
図11及び
図12に示すように、外周部A
2において、上述の接合部5と厚さ方向Tに重複するように延在し且つ動物用排泄物処理シート1の第1面F
1から突出しないように露出する撥水性被膜によって構成されている。この撥水性被膜は、外周部A
2において、表面シート2の供給面側の表面にシリコン系撥水剤等の任意の撥水剤を塗工することにより形成されており、かかる撥水性被膜の配置形態は、
図11に示すように、上述の第1実施形態と同様である。
【0084】
本第3実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、止水部6’が撥水性被膜によって構成されているため、当該撥水性被膜が止水部6’を横断する方向に流れてきた尿を弾き、優れた止水作用を発揮することができる。さらに、尿を弾いた撥水性被膜は、目視で視認しやすくなるため、動物の飼い主がかかる撥水性被膜からなる止水部6’を視認することで、かかる止水部6’を備えた動物用排泄物処理シート1が、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができる。
【0085】
なお、上述の撥水性被膜の撥水性の程度は、かかる撥水性被膜が止水部として機能し得る程度の撥水性を要し、例えば、撥水性被膜の表面に水を滴下したときに、滴下した水が当該撥水性被膜の表面で弾かれて水滴を形成する程度の撥水性である。
【0086】
本発明において、撥水剤の種類や塗工量等は、かかる撥水剤によって形成される撥水性被膜が動物用排泄物処理シートの止水部として機能し得るものであれば特に制限されず、所望の止水作用等に応じた任意の種類や塗工量等を採用することができる。
また、上述の撥水剤は、本発明の効果を阻害しない限り、色素や香料等の任意の添加成分を含んでいてもよい。例えば、撥水剤が食紅等の色素を含むものであると、かかる撥水剤によって形成される有色の撥水性被膜は、動物用排泄物処理シートに尿が供給される前においても、目視で視認しやすいため、動物の飼い主がかかる撥水性被膜からなる止水部を視認することで、かかる止水部を備えた動物用排泄物処理シートが、尿を外部へ漏らしにくい動物用排泄物処理シートであるとの安心感を、飼い主に醸成することができる。
【0087】
本発明の動物用排泄物処理シートは、上述の各実施形態等に制限されず、本発明の目的や趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。