特許第6887727号(P6887727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887727
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ドレッシングボード及び切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/00 20060101AFI20210603BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B24B53/00 K
   H01L21/78 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-119716(P2017-119716)
(22)【出願日】2017年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-965(P2019-965A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(72)【発明者】
【氏名】新田 秀次
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−258689(JP,A)
【文献】 特開2016−000434(JP,A)
【文献】 特開2011−183501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00 − 53/14
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削ブレードをドレッシングするための矩形のドレッシングボードであって、
被切削面である表面及び裏面と、厚さを形成する側面とを備え、
互いに対向する一対の該側面には、該ドレッシングボードをドレッシングテーブルに固定するためのクランプ爪が嵌合する凹部が形成されていることを特徴とするドレッシングボード。
【請求項2】
被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ユニットと、該チャックテーブルと該切削ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、を備えた切削装置であって、
請求項1記載のドレッシングボードを固定するドレッシングテーブルを更に備え、
該ドレッシングテーブルは、該ドレッシングボードの該凹部に嵌合し該ドレッシングボードを固定する一対のクランプ爪部を備えることを特徴とする切削装置。
【請求項3】
該ドレッシングテーブルは、該一対のクランプ爪部を該ドレッシングボードの該凹部に嵌合させる固定位置と、少なくとも一方の該クランプ爪部を該凹部から離れた解放位置とに位置付ける位置付け手段を備える請求項2記載の切削装置。
【請求項4】
該位置付け手段は、該一対のクランプ爪部を互いに接近する方向に付勢するばねから構成される請求項3記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレッシングボード及び該ドレッシングボードを固定保持するドレッシングテーブルを備えた切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが格子状に形成された複数の分割予定ラインに区画された領域に形成された半導体ウェーハは、切削ブレードを備えた切削装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割されたデバイスチップは携帯電話、パソコン等の各種電子機器に広く利用されている。
【0003】
切削装置は、ウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを切削する切削ブレードを回転可能に支持する切削ユニットと、切削すべき領域を検出するアライメントユニットとを少なくとも備えていて、ウェーハを高精度に個々のデバイスチップに分割することができる。
【0004】
切削ブレードの切り刃は一般的にダイヤモンド砥粒がニッケルメッキ層で固定されて形成されている。半導体ウェーハ等の被加工物を切削するにつれて切削ブレードの先端の古くなったダイヤモンド砥粒は切削ブレードから抜け落ち、その結果、新しいダイヤモンド砥粒が突出する自生発刃作用によって切削ブレードは摩耗しながらも常に切れ味を落とすことなく切削を行うことができる。
【0005】
切削ブレードは、新品の状態では、砥粒がボンドに埋まっていて目立てができておらず、スピンドルに取り付けた状態では回転中心と切削ブレードの中心がずれた状態となっており、切削ブレードの真円出しや目立てのためにドレッシングボードを切削する。
【0006】
同様に、切削ブレードが磨耗して目立てが必要になった場合には、ドレッシングボードを切削ブレードで切削して、ニッケルメッキ層からダイヤモンド砥粒を突出させる目立て作業を行う必要がある。
【0007】
ドレッシングボードはチャックテーブルに隣接して配設されたドレッシングテーブルで保持され、ドレッシングボードに適切な本数のハーフカット溝を形成して使用されるが、使用していくうちにドレッシングボードが反り易く、ドレッシングテーブルのバキューム固定が徐々に弱くなり、ドレッシングボードがドレッシングテーブルから離脱しやすいという課題がある。
【0008】
この課題を解決するために、特開2011−9324号公報では、ドレッシングボードの一端側の反りを抑える係合部を有し、吸着面に形成された吸着力が、ドレッシングボードの一端側から他端側に向けて増加するように形成され、吸着力をドレッシングボードの他端側に偏らせるように構成したドレッシングテーブルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−9324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示されたドレッシングテーブルを使用すると、ドレッシングボードの反りを効果的に防止することができるが、ドレッシングテーブルの吸着力を一端側から他端側に向けて増加するようにした構成であるため、ドレッシングテーブルの構造が複雑になるという問題があった。
【0011】
更に、ドレッシングボードの反りが大きい場合には、ドレッシングテーブルが十分な吸着力を発揮することができず、ドレッシングボードがドレッシングテーブルから浮き上がるのを防止できないという課題もあった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドレッシングテーブルと共働してドレッシングボードの反りを防止できるドレッシングボード及び該ドレッシングボードを固定保持するドレッシングテーブルを備えた切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明によると、切削ブレードをドレッシングするための矩形のドレッシングボードであって、被切削面である表面及び裏面と、厚さを形成する側面とを備え、互いに対向する一対の該側面には、該ドレッシングボードをドレッシングテーブルに固定するためのクランプ爪が嵌合する凹部が形成されていることを特徴とするドレッシングボードが提供される。
【0014】
請求項2記載の発明によると、被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ユニットと、該チャックテーブルと該切削ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、を備えた切削装置であって、請求項1記載のドレッシングボードを固定するドレッシングテーブルを更に備え、該ドレッシングテーブルは、該ドレッシングボードの該凹部に嵌合し該ドレッシングボードを固定する一対のクランプ爪部を備えることを特徴とする切削装置が提供される。
【0015】
好ましくは、該ドレッシングテーブルは、該一対のクランプ爪部を該ドレッシングボードの該凹部に嵌合させる固定位置と、少なくとも一方の該クランプ爪部を該凹部から離れた解放位置とに位置付ける位置付け手段を備える。
【0016】
好ましくは、該位置付け手段は、該一対のクランプ爪部を互いに接近させる方向に付勢するばねから構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のドレッシングボード及び該ドレッシングボードを固定保持するドレッシングテーブルを備えた切削装置によると、ドレッシングボードの側面に形成された凹部をドレッシングテーブルのクランプ爪部で係合(嵌合)保持することで、反り易いドレッシングボードでもバキューム固定に比較して確実にドレッシングテーブルに固定することができる。更に、ドレッシングボードに適切な厚さを設けることで、ドレッシングボードの表裏面をドレッシングに使用することができ、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明実施形態に係る切削装置の斜視図である。
図2】ウエーハユニットの斜視図である。
図3】ドレッシングボードの斜視図である。
図4】ドレッシングボードをドレッシングテーブルに装着する様子を示す斜視図である。
図5図5(A)はドレッシングボードをドレッシングテーブルに載置した状態の一部断面側面図、図5(B)はドレッシングボードをドレッシングテーブルで固定保持した状態の一部断面側面図である。
図6図6(A)はドレッシングボードの表面で切削ブレードをドレッシングしている状態の一部断面側面図、図6(B)はドレッシングボードの裏面で切削ブレードをドレッシングしている状態の一部断面側面図である。
図7】第2実施形態のドレッシングテーブルでドレッシングボードを係合保持している状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係るドレッシングテーブルを備えた切削装置2の斜視図が示されている。切削装置2は2つの切削ブレードが対向して配設されたフェイシングデュアルスピンドルタイプの切削装置である。
【0020】
切削装置2のベース4には、チャックテーブル6が図示しない加工送り機構によりX軸方向に往復動可能に配設されている。チャックテーブル6はSUS等の金属から形成された枠体8内にポーラスセラミックス等から形成された吸引保持部10が配設されて構成されている。
【0021】
チャックテーブル6の周囲には複数のクランプ12及びウォーターカバー14が配設されており、このウォーターカバー14とベース4にわたり蛇腹16が連結されている。チャックテーブル6に隣接して、ウォーターカバー14上にドレッシングボードを保持するドレッシングテーブル60が配設されている。
【0022】
図2を参照すると、ウェーハユニット17の斜視図が示されている。ウェーハユニット17は、外周部が環状フレームFに貼着されたダイシングテープTに半導体ウェーハ(以下、単にウェーハと称することがある)11の裏面を貼着して構成されている。ウェーハ11の表面には格子状に形成された複数の分割予定ライン13によって区画された各領域にIC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0023】
図2に示したウェーハユニット17では、被加工物として半導体ウェーハ11を採用した例について示したが、被加工物は半導体ウェーハ11に限定されるものではなく、表面に複数の光デバイスが形成された光デバイスウェーハ等の他のウェーハ、表面に複数のデバイスが形成されたセラミックス基板、樹脂基板等の板状の被加工物を含むものである。
【0024】
再び図1を参照すると、ウェーハユニット17はカセット20内に複数枚収容され、複数枚のウェーハユニット17を収容したカセット20は上下動可能なカセットエレベータ22上に載置される。
【0025】
ベース4の後方には門型形状のコラム24が立設されている。コラム24にはY軸方向に伸長する一対のガイドレール26が固定されている。コラム24には第1Y軸移動ブロック28が、ボールねじ30と図示しないパルスモータとからなる第1Y軸移動機構34によりガイドレール26に案内されてY軸方向に移動可能に搭載されている。
【0026】
第1Y軸移動ブロック28にはZ軸方向に伸長する一対のガイドレール36が固定されている。第1Y軸移動ブロック28上には、第1Z軸移動ブロック38がボールねじ40とパルスモータ42とからなる第1Z軸移動機構44によりガイドレール36に案内されてZ軸方向に移動可能に搭載されている。
【0027】
第1Z軸移動ブロック38には第1切削ユニット46及び第1撮像ユニット52が取り付けられている。第1切削ユニット46は、図6に示すように、図示しないモータにより回転駆動されるスピンドル48の先端部に第1切削ブレード50を着脱可能に装着して構成されている。
【0028】
門型コラム24には更に、第2Y軸移動ブロック28aがボールねじ30aとパルスモータ32aとからなる第2Y軸移動機構34aによりガイドレール26に案内されてY軸方向に移動可能に搭載されている。
【0029】
第2Y軸移動ブロック28aにはZ軸方向に伸長する一対のガイドレール36aが固定されている。第2Y軸移動ブロック28a上には、第2Z軸移動ブロック38aがボールねじ40a及びパルスモータ42aからなる第2Z軸移動機構44aによりガイドレール36aに案内されてZ軸方向に移動可能に搭載されている。
【0030】
第2Z軸移動ブロック38aには第2切削ユニット46a及び第2撮像ユニット52aが取り付けられている。第2切削ユニット46aは、図示しないモータにより回転駆動されるスピンドルの先端部に第2切削ブレードが着脱可能に装着されて構成されている。
【0031】
54はスピンナーテーブル56を有するスピンナー洗浄ユニットであり、切削加工後のウェーハ11をスピンナーテーブル56で吸引保持してスピンナー洗浄し、洗浄後更にスピン乾燥するものである。
【0032】
次に、図3乃至図7を参照して、本発明実施形態に係るドレッシングボード及び該ドレッシングボードを固定保持するドレッシングテーブルについて説明する。図3を参照すると、本発明実施形態に係るドレッシングボード62の斜視図が示されている。
【0033】
ドレッシングボード62は矩形形状をしており、被切削面となる表面62aと、同じく被切削面となる裏面62bと、それぞれ互いに対向する厚さを形成する二対の側面62c,62dとを有している。
【0034】
一対の側面62cには、それぞれ凹部64が形成されている。ドレッシングボード62は、例えば、SiCからなる超砥粒を重量比で55〜60%、フィラーを含むフェノール樹脂を重量比で45〜35%の比率で混練して板状に成形し、150℃〜200℃の低温で調整して製造されている。
【0035】
図4を参照すると、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60に装着する様子を示す斜視図が示されている。ドレッシングテーブル60は、保持面66aを有する基台66と、基台66の両側に配設され、ドレッシングボード62の側面62cに形成された凹部64に係合する一対のクランプ爪部70a,70bとから構成される。
【0036】
図5(A)の断面図に示すように、ドレッシングテーブル60の基台66には、基台66の一対の側面を貫通する貫通孔68が形成されており、この貫通孔68中にクランプ爪部70aのピン76aが圧入固定されており、このピン76aはプレート72に固定されている。
【0037】
更に、プレート72にはクランプ爪74がその長手方向に渡り接着剤等により固定されている。クランプ爪部70aのピン76aが貫通孔68中に圧入固定されているため、クランプ爪部70aは基台66に対して固定的に配設されている。
【0038】
クランプ爪部70aと反対側のクランプ爪部70bは、プレート72にピン76b及びクランプ爪74が固定されている点はクランプ爪部70aと同一構成であるが、ピン76bの直径をピン76aより小さくして、ピン76bが貫通孔68中に摺動可能に配設されている点で貫通孔68中に圧入固定されたピン76aと相違する。
【0039】
ピン76aとピン76bの間の貫通孔68中にはコイルばね78が介装されており、コイルばね78の一端78aはピン76aに連結され、コイルばね78の他端78bはピン76bに連結されている。
【0040】
好ましくは、貫通孔68を基台66中に互いに離間して少なくとも2本形成し、これらの貫通孔中にクランプ爪部70aのピン76aを圧入固定し、クランプ爪部70bのピン76bを摺動可能に配設する。そして、各ピン76aと各ピン76bとをコイルばね78で連結する。
【0041】
このように構成されたドレッシングテーブル60にドレッシングボード62を装着するには、まず図5(A)に示すように、クランプ爪部70bのプレート72を手で把持して矢印A方向に引っ張り、コイルばね78の付勢力に抗してクランプ爪部70bを矢印A方向に十分移動する。
【0042】
この状態で、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60の基台66の保持面66a上に載置して、ドレッシングボード62を左方向に移動して左側の凹部64をクランプ爪部70aのクランプ爪74に係合させる。
【0043】
この状態でクランプ爪部70bの把持を解放すると、図5(B)に示すように、コイルばね78の付勢力によりクランプ爪部70bのクランプ爪74はドレッシングボード62の右側の凹部64に係合し、ドレッシングボード62はコイルばね78の付勢力によりドレッシングテーブル60に対して固定される。付勢力の強いコイルばね78を採用することにより、ドレッシングボード62は凹部64に係合したクランプ爪74により強固に固定される。
【0044】
尚、上述した実施形態のドレッシングテーブル60では、クランプ爪部70aは固定でクランプ爪部70bのみが移動可能なように構成したが、クランプ爪部70aのピン76aを貫通孔68中に摺動可能に構成することにより、両方のクランプ爪部70a,70bを移動可能なように構成してもよい。
【0045】
この場合には、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60に装着するには、両方のクランプ爪部70a,70bを横方向に引っ張り、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60の基台66の保持面66a上に載置した後、クランプ爪部70a,70bの把持を解放して、コイルばね78の付勢力によりクランプ爪部70a,70bのクランプ爪74をドレッシングボード62の凹部64に係合させて、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60に対して固定する。
【0046】
次に、図6を参照して、切削ブレード50のドレッシング方法について説明する。まず、図6(A)に示すように、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60に固定した後、高速回転する切削ブレード50で被切削面であるドレッシングボード62の表面62aに所定深さ切り込み、切削装置2の加工送り機構を駆動して、ドレッシングボード62の表面62aに切削溝80を形成する。
【0047】
第1切削ユニット46を図1でY軸方向に割り出し送りしながら、ドレッシングボード62の表面62aに次々と切削溝80を形成して切削ブレード50のドレッシングを実施する。このドレッシングにより、切削ブレード50の目立てや新たに装着した切削ブレード50の真円出しを行うことができる。
【0048】
ドレッシングボード62の表面62aに次々と切削溝80を形成して切削ブレード50のドレッシングを実施すると、ドレッシングボード62に残留応力が蓄積され、ドレッシングボード62は中央部分に比べて両端部分が上方に反る反りが発生するが、本実施形態のドレッシングボード62及びドレッシングテーブル60の組み合わせでは、クランプ爪74がドレッシングボード62の凹部64に強く係合しているため、ドレッシングボード62の反りが抑制される。
【0049】
図3に示すように、ドレッシングボード62の側面62c,62dは十分な厚さを形成しているため、ドレッシングボード62の表面62aの全領域を使用しての切削ブレード50のドレッシングが終了すると、図6(B)に示すように、ドレッシングボード62の上下を反転してドレッシングボード62をドレッシングテーブル60で固定し、被切削面たる裏面62bに切削ブレード50を所定深さ切り込ませて加工送り機構を駆動することにより、切削ブレード50のドレッシングを実施して裏面62bに所定深さの切削溝80を形成する。
【0050】
このように、ドレッシングボード62は十分な厚さを有しているため、ドレッシングボード62の表面62a及び裏面62bの両方を切削ブレード50のドレッシングに使用することができ、経済的である。
【0051】
図7を参照すると、本発明第2実施形態のドレッシングテーブル60Aの側面図が示されている。本実施形態のドレッシングテーブル60Aでは、一対のクランプ爪部70はドレッシングボード62の凹部64に嵌合する固定位置と、凹部64から離れた解放位置との間で回動可能にドレッシングテーブル60Aの基台66に取り付けられている。
【0052】
即ち、クランプ爪部70の取り付け部82はドレッシングテーブル60Aの基台66に固定されており、クランプ爪74がドレッシングボード62の凹部64に係合する方向にクランプ爪部70のプレート72が、取り付け部82に対してばね等の付勢手段により付勢されて取り付けられている。
【0053】
図7に示されたクランプ爪部70の位置は、クランプ爪74がドレッシングボード62の凹部64に強制的に係合した固定位置であり、この固定位置からプレート72を矢印方向に回動することにより、クランプ爪74はドレッシングボード62の凹部64から離れた解放位置に位置付けられ、ドレッシングボード62をドレッシングテーブル60Aから取り外すことができる。
【0054】
ドレッシングボード62は、ニッケルメッキ層でダイヤモンド砥粒が固定された切削ブレードの他にも、レジンボンドやメタルボンド等で砥粒が固定された切削ブレードの真円出しや目立てに用いる事が出来る。
【符号の説明】
【0055】
2 切削装置
6 チャックテーブル
46 第1切削ユニット
46a 第2切削ユニット
50 切削ブレード
60,60A ドレッシングテーブル
62 ドレッシングボード
62a 表面
62b 裏面
62c,62d 側面
64 凹部
66 基台
68 貫通孔
70,70a,70b クランプ爪部
72 プレート
74 クランプ爪
76a,76b ピン
78 コイルばね
80 切削溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7