【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)一実施形態に係る超電導ケーブルは、
外管と、
前記外管の内部に設けられる内管と、
前記内管の内部に設けられ、フォーマと該フォーマの外周に設けられる超電導材とを含むコア部と、
前記外管の外周に設けられる第1断熱層と、
を備え、
前記内管の内部に冷媒が充填され、前記外管と前記内管との間に形成される空間に液化天然ガスが充填される。
【0007】
上記(1)の構成によれば、内管の内部に充填された冷媒によってコア部を冷却し、かつ外管と内管との間に形成される空間に極低温の液化天然ガスが充填されることで、コア部への熱侵入量を大幅に低減できる。従って、真空層の形成による断熱構造が不要となり、定期的な真空引きなどのメンテナンスが不要になる。
また、エネルギ源として広く用いられる既存の液化天然ガスを用いるので、天然ガスを冷却するための冷凍機は不要であり、また、外管の外周に設けられる第1断熱層は、液化天然ガスの保冷に用いられる断熱材をそのまま用いればよいため低コスト化できる。
また、熱侵入量を低減することで、低減された熱侵入量に相当する分だけ超電導ケーブルに循環される冷媒を冷却するための冷凍機能力を低減でき、超電導ケーブルに循環する冷媒量も低減できる。
さらに、冷媒循環量を低減できれば、冷媒循環ポンプなどを含む冷却システムを低コスト化できる。
【0008】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記コア部は、前記超電導材の外周に設けられる電気絶縁層を含む。
上記(2)の構成によれば、超電導材の外周に電気絶縁層を設けることで、超電導材からの部分放電の発生を抑制でき、これによって、エネルギ消費効率の低下を抑制できる。
【0009】
(3)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記内管の外周に設けられる第2断熱層を備える。
上記(3)の構成によれば、内管の外周に第2断熱層を設けることで、内管内側への熱侵入をさらに抑制できる。
【0010】
(4)一実施形態では、前記(1)〜(3)の何れかの構成において、
前記内管は1個の内管で構成されると共に、前記内管は前記外管の内部で前記外管と同心状に配置される。
上記(4)の構成によれば、内管を1個とし、かつ内管を外管の内部で外管と同心状に配置することで、内管の構成を簡素化できる。
【0011】
(5)一実施形態では、前記(4)の構成において、
前記コア部は、前記超電導材の外周に設けられる電気絶縁層を含み、
前記フォーマの外周に複数の前記超電導材と複数の前記電気絶縁層とが前記フォーマの径方向に沿って交互に設けられる。
上記(5)の構成によれば、比較的小容量の直流送電(双極送電)や3相交流送電に適用でき、かつコア部をコンパクト化できる。これによって、超電導ケーブルの直径を縮小できる。
【0012】
(6)一実施形態では、前記(4)の構成において、
前記内管の内部に複数のコア部が設けられると共に、
前記複数のコア部は前記内管の軸方向に沿って配置される。
上記(6)の構成によれば、1個の内管の中に複数のコア部を設けることで、超電導ケーブルの構成を簡素化しつつ、直流送電(双極送電)や3相交流送電に適用可能な超電導ケーブルとすることができる。
【0013】
(7)一実施形態では、前記(1)〜(3)の何れかの構成において、
複数の前記内管が前記外管の内部に設けられると共に、前記複数の内管は前記外管の軸方向に沿って配置される。
上記(7)の構成によれば、外管の内部に複数の内管を備えることで、大容量の直流送電(双極送電)や3相交流送電に適用可能な超電導ケーブルとすることができる。
【0014】
(8)一実施形態では、前記(7)の構成において、
前記複数の内管の各々の内部に前記コア部が設けられる。
上記(8)の構成によれば、複数の内管の内部に夫々コア部を設けることで、大容量の直流送電(双極送電)や3相交流送電可能な超電導ケーブルとすることができる。
【0015】
(9)一実施形態では、前記(1)〜(8)の何れかの構成において、
前記冷媒が液体窒素である。
液化天然ガスの温度は常圧下で−160℃程度であり、液体窒素の温度は常圧下で−196℃である。従って、液体窒素の外側に液化天然ガスを充填することで、液体窒素より外気との温度差を縮めることができ、これによって、外部からの侵入熱を低減できる。さらに、液化天然ガスが気化することで、液体窒素が超電導材から受ける熱を液化天然ガスが吸収でき、これによって、液体窒素の温度上昇を抑制できる。
【0016】
(10)一実施形態に係る液化天然ガス輸送システムは、
前記(1)〜(9)の何れかの構成を有する超電導ケーブルと、
前記超電導ケーブルの一端側に設けられた液化天然ガス供給源と、
前記液化天然ガス供給源と前記超電導ケーブルの前記外管と前記内管との間に形成される空間との間に設けられる第1配管と、
前記超電導ケーブルの他端側に設けられた需要先と、
前記空間と前記需要先との間に設けられる第2配管と、
を備え、
前記液化天然ガス供給源から液化天然ガスを前記超電導ケーブルを介して前記需要先に輸送するように構成される。
【0017】
上記(10)の構成によれば、コア部を冷却する冷媒の外側に極低温の液化天然ガスが充填されることで、コア部への熱侵入量を大幅に低減できる。従って、真空層による断熱構造が不要となり、定期的な真空引きなどのメンテナンスが不要になる。
また、外部の侵入熱を吸収して気化した液化天然ガスは、輸送終端側の需要先に送り、需要先でそのままエネルギ源として利用できるので、エネルギ消費効率を向上できる。