(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの斜視図である。
図2は、
図1に示されたウェーハの側面図である。
【0016】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図1に示すウェーハ200の加工方法である。実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象であるウェーハ200は、シリコンを基板とする円板状の半導体ウェーハやサファイア、SiC(炭化ケイ素)などを基板とする光デバイスウェーハである。ウェーハ200は、
図1に示すように、表面201の格子状の分割予定ライン203に区画された複数の領域にデバイス202が形成されたデバイス領域204とデバイス202が形成されていない外周余剰領域205とを備えている。即ち、ウェーハ200は、表面201に複数のデバイス202を備えている。また、ウェーハ200は、外周縁に結晶方位を示すノッチ206を有している。また、ウェーハ200は、
図2に示すように、外周縁に表面201から裏面207に至る断面円弧状の面取り部208が形成されている。
【0017】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図3に示す切削装置1を用いる。次に、実施形態1に係るウェーハの加工方法で用いられる切削装置1の一例を説明する。
図3は、実施形態1に係るウェーハの加工方法で用いられる切削装置の構成例を示す平面図である。
【0018】
切削装置1は、ウェーハ200に切削ブレード21を切り込ませウェーハ200を回転させることで、ウェーハ200に円形の切削加工を施して、ウェーハ200の面取り部208の表面201側を全周に亘って除去して段差部300(
図2に点線で示す)を形成する、所謂エッジトリミング加工をウェーハ200に施す装置である。実施形態1において、切削装置1がウェーハ200の面取り部208の表面201側を全周に亘って除去して形成する段差部300は、表面201から底面302までの深さがウェーハ200の仕上げ厚み400に至る深さに形成されている。また、実施形態1において、ウェーハ200に形成される段差部300は、デバイス202よりもウェーハ200の外周側に位置し、ウェーハ200の径方向の幅が全周に亘って一定の幅に形成されている。
【0019】
また、切削装置1は、段差部300を形成した後、段差部300の内周壁301から僅かに外周側に底面302から裏面207に至る側壁500をウェーハ200の全周に亘って形成する装置でもある。側壁500は、内周壁301と平行に形成されている。内周壁301と側壁500との間の距離600は、仕上げ厚み400以下であり、実施形態1においては、100μmである。
【0020】
切削装置1は、
図3に示すように、ウェーハ200の裏面207を吸引保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200にエッジトリミング加工を施す切削ユニット20と、チャックテーブル10と切削ユニット20とを水平方向と平行なX軸方向に相対移動させるX軸移動ユニット30と、チャックテーブル10と切削ユニット20とを水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向に相対移動させるY軸移動ユニット40と、チャックテーブル10と切削ユニット20とをX軸方向とY軸方向との双方と直交するZ軸方向に相対移動させるZ軸移動ユニット50と、制御ユニット100と、を備える。
【0021】
チャックテーブル10は、円盤形状に形成されているとともに、ウェーハ200の裏面207に対向する対向面11から凸に形成されたリング状の保持凸部12が設けられている。保持凸部12は、上面である保持面13が水平方向に沿って平坦に形成されている。保持凸部12の外縁は、チャックテーブル10が保持するウェーハ200に形成される側壁500と重なる位置、又は側壁500よりも内周側に配置されている。チャックテーブル10は、保持面13に
図5に示す真空吸引経路15及び開閉弁16を介して吸引源17と接続された吸引口14が開口しており、保持面13に載置されたウェーハ200を吸引することで保持する。また、チャックテーブル10は、図示しない回転駆動源によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。
【0022】
X軸移動ユニット30は、チャックテーブル10を回転駆動源とともにX軸方向に移動させることで、チャックテーブル10をX軸方向に加工送りする加工送り手段である。Y軸移動ユニット40は、切削ユニット20をY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10を割り出し送りする割り出し送り手段である。Z軸移動ユニット50は、切削ユニット20をZ軸方向に移動させることで、切削ユニット20を切り込み送りする切り込み送り手段である。X軸移動ユニット30、Y軸移動ユニット40及びZ軸移動ユニット50は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ41、ボールねじ41を軸心回りに回転させる周知のパルスモータ42及びチャックテーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0023】
切削ユニット20は、Y軸方向と平行な軸心回りに回転するスピンドル22と、スピンドル22を収容しかつY軸移動ユニット40及びZ軸移動ユニット50によりY軸方向とZ軸方向とに移動されるスピンドルハウジング23と、スピンドル22に取り付けられた切削ブレード21とを備える。切削ブレード21は、極薄のリング形状に形成された切削砥石であり、切削水が供給されながらY軸方向と平行な軸心回りにスピンドル22により回転されることで、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200を切削加工するものである。
【0024】
また、切削装置1は、カセット8,9が設置されるカセット台4と、位置合わせユニット5と、カセット台4に載置されたカセット8からウェーハ200を搬出し、チャックテーブル10に搬入する搬送ユニット63と、切削加工後のウェーハ200の裏面207を洗浄する裏面洗浄ユニット60と、切削加工後のウェーハ200の表面201を洗浄する表面洗浄ユニット61と、図示しない撮像ユニットとを備える。
【0025】
カセット8,9は、ウェーハ200を複数収容するための収容器である。一方のカセット8は、切削加工前のウェーハ200を収容し、他方のカセット9は、切削加工後のウェーハ200を収容する。また、位置合わせユニット5は、カセット8から取り出されたウェーハ200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0026】
搬送ユニット63は、搬出入ユニット64と、搬入ユニット65と、第1搬出ユニット66と、第2搬出ユニット67とを備える。搬出入ユニット64は、複数のアームからなる多節リンク部511と、多節リンク部511の先端に設けられかつウェーハ200を保持するハンド部512とを有している。搬出入ユニット64は、切削加工前のウェーハ200をカセット8から位置合わせユニット5へ搬出するとともに、切削加工後のウェーハ200を表面洗浄ユニット61からカセット9へ搬入する。
【0027】
搬入ユニット65は、位置合わせユニット5で位置合わせされた切削加工前のウェーハ200をチャックテーブル10に搬入する。第1搬出ユニット66は、チャックテーブル10上の切削加工後のウェーハ200を裏面洗浄ユニット60に搬送する。第2搬出ユニット67は、切削加工後のウェーハ200を裏面洗浄ユニット60から表面洗浄ユニット61に搬送する。
【0028】
撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200を撮像するものであり、撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200を撮像するCCDカメラにより構成される。
【0029】
制御ユニット100は、切削装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ウェーハ200に対する加工動作を切削装置1に実施させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、切削装置1を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット100の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットや、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0030】
次に、実施形態1に係るウェーハの加工方法を説明する。
図4は、実施形態1に係るウェーハの加工方法を示すフローチャートである。
【0031】
ウェーハの加工方法(以下、単に加工方法と記す)は、ウェーハ200に切削ブレード21を切り込ませて、ウェーハ200をZ軸方向と平行な軸心回りに回転させることで、ウェーハ200に円形の切削加工を施して、段差部300を形成する加工方法である。また、加工方法は、段差部300の外周に側壁500を形成する加工方法である。加工方法は、
図4に示すように、面取り除去ステップST1と、マーク形成ステップST2と、側壁形成ステップST3と、表面保護テープ貼着ステップST4と、表面保護テープ切断ステップST5と、保持ステップST6と、薄化ステップST7とを備える。実施形態1において、加工方法は、面取り除去ステップST1、マーク形成ステップST2及び側壁形成ステップST3において、切削装置1を用いる。
【0032】
(面取り除去ステップ)
図5は、
図4に示されたウェーハの加工方法の面取り除去ステップを示す断面図である。面取り除去ステップST1は、ウェーハ200の外周縁に沿って面取り部208を表面201からウェーハ200の仕上げ厚み400に至る深さに除去し、外周縁に段差部300を形成するステップである。
【0033】
面取り除去ステップST1では、オペレータが入力ユニットを操作して加工内容情報を制御ユニット100に登録し、オペレータが切削加工前のウェーハ200を収容したカセット8と、ウェーハ200を収容していないカセット9をカセット台4に設置する。面取り除去ステップST1では、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に、制御ユニット100が搬出入ユニット64にカセット8からウェーハ200を取り出させ、位置合わせユニット5へ搬出させる。制御ユニット100は、位置合わせユニット5にウェーハ200の中心位置合わせを行わせ、搬入ユニット65に位置合わせされたウェーハ200をチャックテーブル10上に搬入させる。
【0034】
制御ユニット100は、吸引源17を駆動させてチャックテーブル10にウェーハ200を吸引保持させて、X軸移動ユニット30に切削ユニット20の下方に向けてチャックテーブル10を移動させる。面取り除去ステップST1では、制御ユニット100は、
図5に示すように、回転駆動源にチャックテーブル10を軸心回りに回転させながら一方の切削ユニット20の切削ブレード21を表面201側から面取り部208に仕上げ厚み400に至る深さ切り込ませて段差部300を形成する。加工方法は、面取り除去ステップST1後、マーク形成ステップST2に進む。
【0035】
(マーク形成ステップ)
図6は、
図4に示されたウェーハの加工方法のマーク形成ステップを示す平面図である。
図7は、
図4に示されたウェーハの加工方法のマーク形成ステップ後のウェーハの平面図である。
【0036】
マーク形成ステップST2は、ノッチ206をもとに段差部300よりも内周側にウェーハ200の結晶方位を示すマークである
図7に示すオリエンテーションフラット210を形成するステップである。なお、面取り除去ステップST1のウェーハ200は、
図6に示すように、ノッチ206が段差部300の内周壁301よりも外側に位置し、底面302の外縁に設けられて、段差部300に含まれる領域にノッチ206を有している。
【0037】
マーク形成ステップST2では、制御ユニット100は、撮像ユニットにウェーハを撮像させ、ノッチ206の位置を検出し、実施形態1においては、回転駆動源等にノッチ206を前述した一方の切削ユニット20の切削ブレード21の下方に位置付けさせるとともに、分割予定ライン203をX軸方向及びY軸方向と平行に位置付けさせて、チャックテーブル10をX軸方向に移動させながら一方の切削ユニット20の切削ブレード21をウェーハ200の外周余剰領域205内でかつ段差部300の内周壁301よりも内側に仕上げ厚み400に至る深さ切り込ませる。加工方法は、マーク形成ステップST2では、オリエンテーションフラット210を内周壁301と同一面上に形成する。加工方法は、マーク形成ステップST2後、側壁形成ステップST3に進む。
【0038】
(側壁形成ステップ)
図8は、
図4に示されたウェーハの加工方法の側壁形成ステップを示す断面図である。
図9は、
図4に示されたウェーハの加工方法の側壁形成ステップ後のウェーハの断面図である。
図10は、
図4に示されたウェーハの加工方法の側壁形成ステップ後のウェーハの平面図である。
【0039】
側壁形成ステップST3は、面取り除去ステップST1を実施して段差部300を形成させた後に、段差部300の内周壁301から僅かに外周側で段差部300の底面302からウェーハ200の裏面207に至る深さに除去し、段差部300の外周側に段差部300の底面302からウェーハ200の裏面207に至る側壁500を形成するステップである。側壁形成ステップST3では、制御ユニット100は、
図8に示すように、回転駆動源にチャックテーブル10を軸心回りに回転させながら一方の切削ユニット20の切削ブレード21を底面302の内周壁301から僅かに外周側にウェーハ200の裏面207に至る深さまで切り込ませる。側壁形成ステップST3では、制御ユニット100は、
図9及び
図10に示すように、ウェーハ200の全周に亘って段差部300の内周壁301から僅かに外周側を切削して除去して、全周に亘って側壁500を形成する。なお、実施形態1において、側壁形成ステップST3では、底面302の内周壁301から仕上げ厚み400以下の距離600となる位置に側壁500を形成する。
【0040】
制御ユニット100は、全周に亘って側壁500を形成した後、切削ユニット20をウェーハ200から退避させた後、チャックテーブル10を第1搬出ユニット66に向けて移動させる。制御ユニット100は、チャックテーブル10の吸引保持を停止させた後、第1搬出ユニット66にチャックテーブル10からウェーハ200を裏面洗浄ユニット60に搬送させた後、裏面洗浄ユニット60にウェーハ200の裏面207を洗浄させる。制御ユニット100は、第2搬送ユニット54にウェーハ200を裏面洗浄ユニット60から表面洗浄ユニット61に搬送させ、表面洗浄ユニット61にウェーハ200の表面201を洗浄させた後、搬出入ユニット64にカセット9内にウェーハ200を収容させる。実施形態1において、加工方法は、切削装置1がカセット8内のウェーハ200それぞれに面取り除去ステップST1、マーク形成ステップST2及び側壁形成ステップST3を順に実施する。加工方法は、切削装置1がカセット8内の全てのウェーハ200に側壁形成ステップST3を施した後、表面保護テープ貼着ステップST4に進む。
【0041】
(表面保護テープ貼着ステップ)
実施形態1において、加工方法は、表面保護テープ貼着ステップST4及び表面保護テープ切断ステップST5において、図示しないテープ貼着装置を用いる。
図11は、
図4に示されたウェーハの加工方法の表面保護テープ貼着ステップを示す断面図である。
【0042】
表面保護テープ貼着ステップST4は、側壁形成ステップST3を実施した後、ウェーハ200の表面201にウェーハ200を覆う表面保護テープ220を貼着するステップである。表面保護テープ220は、合成樹脂により構成された基材層221と、基材層221上に配設されウェーハ200の表面201に貼着する糊層222とを備え、ウェーハ200の表面201全体を覆うことができる大きさに形成されている。
【0043】
実施形態1において、表面保護テープ貼着ステップST4は、糊層222とウェーハ200の表面201とを対向させた後、
図11に示すように、表面保護テープ220の糊層222をウェーハ200の表面201に貼着する。加工方法は、表面保護テープ貼着ステップST4後、表面保護テープ切断ステップST5に進む。
【0044】
(表面保護テープ切断ステップ)
図12は、
図4に示されたウェーハの加工方法の表面保護テープ切断ステップを示す断面図である。表面保護テープ切断ステップST5は、表面保護テープ貼着ステップST4を実施した後、テープ貼着装置のカッター70を側壁500に沿って移動させつつカッター70で表面保護テープ220を切断するステップである。
【0045】
表面保護テープ切断ステップST5は、
図12に示すように、カッター70の刃先を表面保護テープ220の基材層221から切り込ませて、カッター70の刃先を側壁500に接触させた状態で、側壁500に沿って移動させる。表面保護テープ切断ステップST5は、表面保護テープ220の側壁500よりも外側にはみ出した部分を切断、除去する。加工方法は、表面保護テープ切断ステップST5後、保持ステップST6に進む。
【0046】
(保持ステップ)
実施形態1において、加工方法は、保持ステップST6及び薄化ステップST7において、
図13に示す研削装置80を用いる。
図13は、
図4に示されたウェーハの加工方法の保持ステップを示す断面図である。保持ステップST6は、表面保護テープ切断ステップST5を実施した後、表面保護テープ220を介してウェーハ200の表面201側をチャックテーブル81で保持するステップである。
【0047】
保持ステップST6は、
図13に示すように、ウェーハ200の表面201側を表面保護テープ220を介して、研削装置80のチャックテーブル81のポーラスセラミックス等から形成された保持面82上に載置し、吸引源83を駆動して、表面保護テープ220を介して保持面82にウェーハ200の表面201を吸引保持する。加工方法は、保持ステップST6後、薄化ステップST7に進む。
【0048】
(薄化ステップ)
図14は、
図4に示されたウェーハの加工方法の薄化ステップを示す断面図である。
図15は、
図4に示されたウェーハの加工方法が施された後にダイシングテープに転写されるウェーハの断面図である。薄化ステップST7は、チャックテーブル10で保持されたウェーハ200の裏面207を仕上げ厚み400へと薄化することで側壁500を除去するステップである。
【0049】
薄化ステップST7では、チャックテーブル81に保持されたウェーハ200の裏面207に研削砥石84を当接させて、チャックテーブル81及び研削砥石84を軸心回りに回転して、仕上げ厚み400になるまでウェーハ200の裏面207に研削加工を施す。薄化ステップST7は、ウェーハ200を仕上げ厚み400になるまで薄化すると、段差部300が表面201から仕上げ厚み400に至る深さに形成されているので、側壁500を全周に亘って除去することとなる。加工方法は、ウェーハ200を仕上げ厚み400まで薄化すると、終了する。
【0050】
仕上げ厚み400まで薄化されると、ウェーハ200は、側壁500が除去されて、外縁に結晶方位を示すオリエンテーションフラット210が設けられる。仕上げ厚み400まで薄化されたウェーハ200は、周知の転写装置に搬送された後、転写装置によりオリエンテーションフラット210を基にアライメントされる。転写装置により、ウェーハ200は、環状フレーム230に対して所定の向きで装着されるように、
図15に示すように、外周縁に環状フレーム230が貼着されたダイシングテープ240が裏面207に貼着された後、表面201から表面保護テープ220が剥がされて、環状フレーム230で支持される。なお、ダイシングテープ240は、合成樹脂により構成された基材層241と、基材層241上に配設されウェーハ200の裏面207に貼着する糊層242とを備えている。
【0051】
環状フレーム230で支持されたウェーハ200は、レーザーアブレーション加工、又は、切削加工が施されて、個々のデバイス202に分割される。また、ウェーハ200は、裏面207側から透過性を有するレーザー光線が分割予定ライン203に沿って照射されて、分割予定ライン203に沿った改質層が形成され、薄化ステップ、転写、エキスパンドステップを順に実施されて、改質層から表面201に至るクラックが形成されて、個々のデバイス202に分割されても良い。
【0052】
実施形態1に係る加工方法は、面取り除去ステップST1を実施した後に、側壁形成ステップST3を実施する。表面保護テープ切断ステップST5において、側壁500に沿ってカッター70を移動させて、表面保護テープ220を切断するため、研削後のウェーハ200の外周から表面保護テープ220がほぼはみ出すことなく、はみだした表面保護テープ220が転写時にダイシングテープ240に貼着することを抑制することができる。
【0053】
また、実施形態1に係る加工方法は、デバイス202が100層を超える回路層からなり、ウェーハ200の面取り部208のみならず外周余剰領域205が除去される場合であっても、面取り除去ステップST1及び側壁形成ステップST3実施後の表面保護テープ切断ステップST5において、側壁500に沿ってカッター70を移動させて、表面保護テープ220を切断するために、研削後のウェーハ200の外周からはみ出す表面保護テープ220を抑制することができる。その結果、加工方法は、表面保護テープ220からダイシングテープ240にウェーハ200を貼り替える転写時にダイシングテープ240と表面保護テープ220とが貼着することを抑制することができるという効果を奏する。
【0054】
また、加工方法は、表面保護テープ切断ステップST5において、カッター70を側壁500に沿わして表面保護テープ220を切断するので、傷やクラックが側壁500に形成されても、側壁500が薄化ステップST7で除去されてしまうためウェーハ200が損傷することを抑制することができる。
【0055】
また、実施形態1に係る加工方法は、面取り除去ステップST1及び側壁形成ステップST3実施後に表面保護テープ貼着ステップST4を実施するので、段差部300などを形成する際に、表面保護テープ220を切削せずに、糸状の屑が発生することを抑制することができる。
【0056】
また、加工方法は、マーク形成ステップST2において、ウェーハ200の結晶方位を示すオリエンテーションフラット210を段差部300の内周壁301と同一面上に形成するので、薄化ステップST7後に側壁500が除去されても、ウェーハ200の結晶方位を認識することができる。
【0057】
また、加工方法は、内周壁301との間の距離600が仕上げ厚み400以下となる位置に側壁500を形成するので、薄化ステップST7後に側壁500が除去されても、ウェーハ200の外縁からはみ出る表面保護テープ220を抑制することができ、表面保護テープ220とダイシングテープ240とが貼着することを抑制することができる。
【0058】
なお、前述した実施形態1に係るウェーハの加工方法によれば、以下の切削装置が得られる。
(付記1)
ウェーハに切削加工を施す切削装置であって、
該ウェーハの裏面を保持するチャックテーブルと、
切削ブレードで該ウェーハの外周縁に沿って面取り部を表面からウェーハの仕上げ厚みに至る深さに除去し、該外周縁に段差部を形成する切削ユニットと、
各構成要素を制御する制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、該段差部を形成させた後に、該切削ユニットに該段差部の内周壁から僅かに外周側で該段差部の底面からウェーハの裏面に至る深さに除去し、該段差部の外周側に該段差部の底面からウェーハの裏面に至る側壁を形成させることを特徴とする切削装置。
【0059】
上記切削装置は、実施形態1等に係る加工方法と同様に、段差部を形成した後に、側壁を形成する。このために、切削装置は、ウェーハの表面に表面保護テープが貼着された日に側壁に沿ってカッターを移動させて、表面保護テープを切断することができ、ウェーハを損傷させることなく、研削後のウェーハ外周からはみ出る表面保護テープを抑制することができ、はみだした表面保護テープが転写時にダイシングテープに貼着することを抑制することができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、前述した実施形態1では、面取り除去ステップST1と側壁形成ステップST3とにおいて、同じ切削ブレード21を用いたが、本発明では、面取り除去ステップST1において、一方の切削ユニット20の切削ブレード21を用い、側壁形成ステップST3において、他方の切削ユニット20の切削ブレード21を用いるなど、面取り除去ステップST1と側壁形成ステップST3とにおいて互いに異なる切削ブレード21を用いても良い。また、本発明では、面取り除去ステップST1及び側壁形成ステップST3において、図示しない研削砥石により研削加工により段差部300及び側壁500を形成しても良い。