特許第6890552号(P6890552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890552熱酸発生剤およびこれを用いたレジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890552
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】熱酸発生剤およびこれを用いたレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20210607BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   C09K3/00 K
   G03F7/004 503A
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-564234(P2017-564234)
(86)(22)【出願日】2017年1月23日
(86)【国際出願番号】JP2017002106
(87)【国際公開番号】WO2017130896
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】特願2016-12814(P2016-12814)
(32)【優先日】2016年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】三宅 惇哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 良智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直美
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太郎
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/001804(WO,A1)
【文献】 特開2000−187326(JP,A)
【文献】 特開2001−022057(JP,A)
【文献】 特開2014−080524(JP,A)
【文献】 特開2015−168618(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/084269(WO,A1)
【文献】 特開2004−217748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
G03F 7/004
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)、
(式(I)中、Rは、炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、アシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、10−カンファーイル基または下記一般式(II)、
(一般式(II)中、Yは、単結合または炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、R11およびR12はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6のアルカンジイル基、炭素原子数2〜6のハロゲン化アルカンジイル基、炭素原子数6〜20のアリーレン基または炭素原子数6〜20のハロゲン化アリーレン基を表し、R13は、炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素原子数1〜18のハロゲン化された直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基または炭素原子数7〜20のハロゲン化アリールアルキル基を表し、a、bは、0または1を表し、a、bのどちらか一方は1である。)で表される基を表し、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜14の直鎖または分岐鎖アルキル基あるいはシリル基を表し(ただし、全てが水素原子の場合を除く)、R中の前記脂肪族炭化水素基、前記アリール基、前記アリールアルキル基、前記脂環式炭化水素基は、置換基を有しないか、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基から選ばれる基で置換され、R中の前記脂肪族炭化水素基、前記アリールアルキル基、前記脂環式炭化水素基中のメチレン構造は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−NHCO−、−CONH−で置き換えられていてもよい。)で表され、200℃超で酸を発生させることを特徴とする熱酸発生剤。
【請求項2】
が炭素原子数4のアルキル基である請求項1記載の熱酸発生剤。
【請求項3】
が炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基である請求項1記載の熱酸発生剤。
【請求項4】
が炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基である請求項2記載の熱酸発生剤。
【請求項5】
請求項1記載の熱酸発生剤を含有してなり、200℃超で熱硬化することを特徴とするレジスト組成物。
【請求項6】
請求項2記載の熱酸発生剤を含有してなり、200℃超で熱硬化することを特徴とするレジスト組成物。
【請求項7】
請求項3記載の熱酸発生剤を含有してなり、200℃超で熱硬化することを特徴とするレジスト組成物。
【請求項8】
請求項4記載の熱酸発生剤を含有してなり、200℃超で熱硬化することを特徴とするレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱酸発生剤およびこれを用いたレジスト組成物に関し、詳しくは、酸発生温度の高い熱酸発生剤およびこれを用いたレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱酸発生剤は、半導体、表示素子、封止剤、オーバーコート剤等種々の用途に使用されている。このような熱酸発生剤については、種々の報告がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スルホニウム塩からなる熱酸発生剤が開示されている。また、特許文献2〜4には、熱酸発生剤を含有するレジスト材料が開示されている。さらに、特許文献4には、熱酸発生剤として、オニウム塩系のものの熱酸発生温度は100℃以上であることが開示されている。さらにまた、特許文献5には、特定の構造を有するスルホン体誘導体化合物からなる光酸発生剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−008919号
【特許文献2】特許5453615号
【特許文献3】特許5789461号
【特許文献4】特許4813537号
【特許文献5】WO2014/084269
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献5には、スルホン酸誘導体化合物を熱酸発生剤として用いうることについては開示も示唆もない。このように、酸発生温度が高い熱酸発生剤の構造については、未だ検討の余地が残されている。そこで、本発明の目的は、酸発生温度の高い熱酸発生剤およびこれを用いたレジスト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するスルホン酸誘導体化合物が、上記問題点を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明の熱酸発生剤は、下記一般式(I)、
(式(I)中、Rは、炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、アシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、10−カンファーイル基または下記一般式(II)、
(一般式(II)中、Yは、単結合または炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、R11およびR12はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6のアルカンジイル基、炭素原子数2〜6のハロゲン化アルカンジイル基、炭素原子数6〜20のアリーレン基または炭素原子数6〜20のハロゲン化アリーレン基を表し、R13は、炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素原子数1〜18のハロゲン化された直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基または炭素原子数7〜20のハロゲン化アリールアルキル基を表し、a、bは、0または1を表し、a、bのどちらか一方は1である。)で表される基を表し、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜14の直鎖または分岐鎖アルキル基あるいはシリル基を表し(ただし、全てが水素原子の場合を除く)、R中の前記脂肪族炭化水素基、前記アリール基、前記アリールアルキル基、前記脂環式炭化水素基は、置換基を有しないか、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基から選ばれる基で置換され、R中の前記脂肪族炭化水素基、前記アリールアルキル基、前記脂環式炭化水素基中のメチレン構造は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−NHCO−、−CONH−で置き換えられていてもよい。)で表され、200℃超で酸を発生させることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の熱酸発生剤においては、Rが炭素原子数4のアルキル基であるものが好ましい。また、本発明の熱酸発生剤は、Rが炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基であるものが好ましい。
【0009】
本発明のレジスト組成物は、本発明の熱酸発生剤を含有してなり、200℃超で熱硬化することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酸発生温度の高い熱酸発生剤およびこれを用いたレジスト組成物ことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体化合物について説明する。本発明の熱酸発生剤は、下記一般式(I)、
表されるスルホン酸誘導体化合物からなる。
【0012】
ここで、式(I)中、Rは、炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、アシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、10−カンファーイル基または下記一般式(II)で表される基を表し、脂肪族炭化水素基、アリール基、アリールアルキル基、脂環式炭化水素基は、置換基を有しないか、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基から選ばれる基で置換されていてもよい。また、R中の脂肪族炭化水素基、アリールアルキル基、脂環式炭化水素基中のメチレン構造は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−NHCO−、−CONH−で置き換えられていてもよい。
【0013】
ここで、一般式(II)中、Yは、単結合、炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、R11およびR12はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6のアルカンジイル基、炭素原子数2〜6のハロゲン化アルカンジイル基、炭素原子数6〜20のアリーレン基または炭素原子数6〜20のハロゲン化アリーレン基を表し、R13は、炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、炭素原子数1〜18のハロゲン化された直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基または炭素原子数7〜20のハロゲン化アリールアルキル基を表し、a、bは、0または1を表し、a、bのどちらか一方は1である。
【0014】
上記一般式(I)において、Rは炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、アシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基、10−カンファーイル基、一般式(II)で表される基を表す。このうち、脂肪族炭化水素基、アリール基、アリールアルキル基は、置換基を有さなくともよく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基から選ばれる基で置換されてもよい。
【0015】
置換基としてのハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0016】
置換基としての炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、第3ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、へプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデ、シルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、へプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ等が挙げられる。
【0017】
置換基としての炭素原子数1〜18のアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第2ブチルチオ、第3ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第3アミルチオ、ヘキシルチオ、へプチルチオ、イソへプチルチオ、第3へプロチルチオ、オクチルチオ、イソオクチルチオ、第3オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチオ、トリデシルチオ、テトラデシルチオ、ペンタデシルチオ、ヘキサデシルチオ、へプタデシルチオ、オクタデシルチオ等が挙げられる。
【0018】
で表される炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、アルケニル基、アルキル基、アルキル基中のメチレン基が脂環式炭化水素基で置換された基、アルキル基中のメチレン基のプロトンが脂環式炭化水素基で置換された基またはアルキル基の末端に脂環式炭化水素が存在する基が挙げられる。アルケニル基としては、アリル、2−メチル−2−プロペニルが挙げられ、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第3アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、へプチル、2−へプチル、3−へプチル、イソへプチル、第3へプチル、オクチル、イソオクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、へブロタデシル、オクタデシルが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、これを構成するシクロアルカン名で例示すると、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタンが挙げられる。
【0019】
で表されるハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、へプタフルオロプロピル、3−ブロモプロピル、ノナフルオロブチル、トリデカフルオロヘキシル、へプタデカフルオロオクチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,1−ジフルオロプロピル、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル、3,3,3−トリプルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ノルボルニル−1,1−ジフルオロエチル、ノルボルニルテトラフルオロエチル、アダマンタン−1,1,2,2−テトラフルオロプロピル、ビシクロ[2.2.1]へプタン−テトラフルオロメチル等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0020】
で表される炭素原子数1〜18のアルキルチオ基で置換された炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素としては、2−メチルチオエチル、4−メチルチオブチル、4−ブチルチオエチル等が挙げられ、ハロゲン原子および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基で置換された炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、1,1,2,2−テトラフルオロ−3−メチルチオプロピル等が挙げられる。
【0021】
で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ピニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第3ブチルフェニル、2,5−ジ第3ブチルフェニル、2,6−ジ−第3ブチルフェニル、2,4−ジ第3ペンチルフェニル、2,5−ジ第3アミルフェニル、2,5−ジ第3オクチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル等が挙げられる。
【0022】
で表されるハロゲン原子で置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、ブロモエチルフェニル等が挙げられる。
【0023】
で表される炭素原子数1〜18のアルキルチオ基で置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、4−メチルチオフェニル、4−ブチルチオフェニル、4−オクチルチオフェニル、4−ドデシルチオフェニルが挙げられる。ハロゲン原子および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基で置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、1,2,5,6−テトラフルオロ−4−メチルチオフェニル、1,2,5,6ーテトラフルオロ−4−ブチルチオフェニル、1,2,5,6−テトラフルオロ−4−ドデシルチオフェニル等が挙げられる。
【0024】
で表される炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、べンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
【0025】
で表されるハロゲン原子で置換されたアリールアルキル基としては、例えば、ペンタフルオロフェニルメチル、フェニルジフルオロメチル、2−フェニルーテトラフルオロエチル、2−(ペンタフルオロフェニル)エチル等が挙げられる。炭素原子数1〜18のアルキルチオ基で置換された炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、p−メチルチオベンジル等が挙げられる。ハロゲン原子および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基で置換されたアリールアルキル基としては、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルチオフェニルエチル等が挙げられる。
【0026】
で表されるアシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基の炭素原子数はアシル基を含むものである。例えば、アセチルフェニル、アセチルナフチル、ベンゾイルフェニル、1−アントラキノリル、2−アントラキノリルが挙げられる。
【0027】
で表される炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基としては、これを構成するシクロアルカン名で例示すると、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタンが挙げられる。
【0028】
上記の一般式(II)は、エーテル基である。一般式(II)において、Yで表される炭素原子数1〜4のアルカンジイル基としては、メチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、ブチレン、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、ブタン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0029】
11、R12で表される炭素原子数2〜6のアルカンジイル基としては、エチレン、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、ブチレン、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ぺンタン−1,3−ジイル、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−2,3−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、ヘキサン−1,2−ジイル、ヘキサン−1,3−ジイル、ヘキサン−1,4−ジイル、ヘキサン−2,5−ジイル、ヘキサン−2,4−ジイル、ヘキサン−3,4−ジイル等が挙げられる。
【0030】
11、R12で表される炭素原子数2〜6のハロゲン化アルカンジイル基としては、上記の炭素原子数2〜6のアルカンジイル基中の少なくとも1つのプロトンがハロゲン原子で置換されたものである。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。例えば、テトラフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、1−フルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロパン−1,3ジイル、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン−1,3ジイル、1,1,2,2−テトラフルオロペンタン−1,5ジイル等が挙げられる。
【0031】
11、R12で表される炭素原子数6〜20のアリーレン基としては、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル−2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル等が挙げられる。
【0032】
11、R12で表される炭素原子数6〜20のハロゲン化アリーレン基としては、上記の炭素原子数6〜20のアリーレン基中の少なくとも1つのプロトンがハロゲン原子で置換されたものである。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。例えばテトラフルオロフェニレンが挙げられる。
【0033】
13で表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第3アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、へプチル、2−へプチル、3−へプチル、イソヘプチル、第3へプチル、オクチル、イソオクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、へプタデシル、オクタデシルが挙げられる。
【0034】
13で表される炭素原子数1〜18のハロゲン化アルキル基は、上記の炭素原子数1〜18のアルキル基中の少なくとも1つのプロトンがハロゲン原子で置換されたものである。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。例えば、トリプルオロメチル、ペンタフルオロエチル、へプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、トリデカフルオロヘキシル、へプタデカフルオロオクチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,1−ジフルオロプロピル、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、1,1,2,2−テトラフルオロテトラデシル等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0035】
13で表される炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基としては、これを構成するシクロアルカン名で例示すると、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタンが挙げられる。
【0036】
13で表される炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基または炭素原子数7〜20のハロゲン化アリールアルキル基としては、上記Rとして、例示した基が挙げられる。
【0037】
一般式(II)として好ましい基は、酸発生能力、カチオン重合性能力等が良好であるので、R11で表される基のイオウ原子と隣接する炭素原子にフッ素が結合した基であり、炭素原子数の総数が2〜18の基である。
【0038】
一般式(I)中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜14の直鎖または分岐鎖アルキル基あるいはシリル基を表す。
【0039】
炭素原子数1〜14の直鎖または分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、ブロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、イソブチル、第3ブチル、1−ペンチル、イソペンチル、第3ペンチル、ネオペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、へプチル、2−へプチル、3−へプチル、イソへプチル、第3へプチル、1−オクチル、イソオクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル、1−ノニル、イソノニル、1−デシル、1−ドデシルが挙げられる。これらの中でも、溶解性と酸発生率の両方が良好なので、炭素原子数3〜8のアルキル基が好ましく、炭素原子数4のアルキル基がより好ましい。また原料が安価でかつ収率がよく製造コストが小さいので、1−ブチル基がさらに好ましい。また、無置換のアルキル基であることが好ましい。
【0040】
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジt−ブチルシリル基、トリt−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0041】
本発明の熱酸発生剤に係る化合物においては、感光基のナフタルイミド骨格の特定の位置、すなわち、ナフタレン構造の4位、に炭素原子数1〜14の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を有する化合物が好ましい。
【0042】
上記一般式(I)で表されるスルホン酸誘導体化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.58が挙げられる。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
上記一般式(I)におけるRは、用途に応じて適正な有機スルホン酸を放出するように選択すればよいが、炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基が、酸強度が強いので好ましい。
【0051】
上記一般式(I)で表されるスルホン酸誘導体化合物の製造方法については、特に制限をされず、周知の化学反応を応用して合成することができる。例えば、下記のように臭化物を出発物質として合成する方法が挙げられる。
【0052】
ここで、式中、RおよびRは、上記一般式(I)と同様の基を表す。
【0053】
本発明の熱酸発生剤は、加熱によりルイス酸を放出する特性を有し、酸反応性有機物質に作用して分解や重合をすることが可能である。加熱条件は、70〜300℃、好ましくは200〜250℃で1〜100分である。プレベイクした後、加圧して、ポストベイクしてもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。
【0054】
本発明の熱酸発生剤を酸反応性有機物質に対して使用する場合、その使用量は、特に制限されるものではないが、酸反応性有機物質100質量部に対して、好ましくは0.05〜100質量部、更に好ましくは0.05〜20質量部の割合で用いることが好ましい。ただし、酸反応性有機物質の性質、光の照射強度、反応に要する時間、物性、コスト等の要因により、配合量を上述の範囲より増減させて用いることも可能である。
【0055】
上記酸反応性有機物質は、加熱により熱酸発生剤から発生する酸により重合または架橋するものであり、ビニルエーテル基、エポキシ基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、水酸基等のカチオン重合性官能基を有する種々のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを用いることができる。また、これらの官能基を有するポリマーについても限定されず、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、天然ゴム、ブロック共重合体ゴム、シリコーン系等の各種ポリマーを用いることができる。
【0056】
上記酸反応性有機物質としては、具体的には、エポキシ化合物、スチレン類、ビニル化合物、ビニルエーテル類、オキセタン化合物、スピロオルソエステル類、ビシクロオルソエステル類、スピロオルソカーボナート類、環状エーテル類、ラクトン類、オキサゾリン類、アジリジン類、シクロシロキサン類、ケタール類、環状酸無水物類、ラクタム類、アリールジアルデヒド類等の他、これらの重合性基を側鎖に有する重合性あるいは架橋性ポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。これらは単独または二種以上で混合してもよい。
【0057】
上記エポキシ基化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂;1,4−ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂;1,2:8,9−ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ノルボルネンモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン等の脂環式エポキシ樹脂;臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂等を挙げることができる。また、エポキシ基含有オリゴマーや、上記エポキシ基含有モノマーやオリゴマーの付加重合体を用いることもできる。
【0058】
上記オキセタニン化合物としては、例えば、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等が挙げられる。
【0059】
ポジ型フォトレジストは、酸の作用でエステル基あるいはアセタール基等の化学結合の切断等現像液に対する溶解性が増加する方向に変化する樹脂(以下、「レジストベース樹脂」とも称する)が使用され、ネガ型フォトレジストは、酸の作用で重合または架橋等の化学結合の形成による現像液に対する溶解性が減少する変化する化合物または樹脂が使用される。
【0060】
上記レジストベース樹脂または化合物としては、ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体;ポリアクリル酸およびその誘導体;ポリメタクリル酸およびその誘導体;ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体から選ばれ形成される2以上の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレンおよびそれらの誘導体から選ばれ形成される2以上の共重合体;シクロオレフィンおよびその誘導体、無水マレイン酸、並びに、アクリル酸およびその誘導体から選ばれる3以上の共重合体;シクロオレフィンおよびその誘導体、マレイミド、並びに、アクリル酸およびその誘導体から選ばれる3以上の共重合体;ポリノルボルネン;メタセシス開環重合体からなる一群から選択される1種以上の高分子重合体;これら高分子重合体にアルカリ溶解制御能を有する酸不安定基を部分的に置換した高分子重合体等が挙げられる。高分子重合体に導入される酸不安定基としては、三級アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、アリール基置換アルキル基、テトラヒドロピラン−2−イル基等の複素脂環基、三級アルキルカルボニル基、三級アルキルカルボニルアルキル基、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0061】
かかるレジストベース樹脂または化合物の詳細な具体例は、例えば、特開2003−192665号公報、特開2004−323704号公報の請求項3、特開平10−10733号公報に開示されている。
【0062】
また、上記レジストベース樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、通常1,500〜300,000、好ましくは2,000〜200,000、更に好ましくは3,000〜100,000である。この場合、レジストベース樹脂のMwが1,500未満では、レジストとしての耐熱性が低下する傾向があり、一方300,000を越えると、レジストとしての現像性や塗布性が低下する傾向がある。
【0063】
本発明のレジスト組成物は、通常、その使用に際して、全固形分濃度が、通常5〜50質量%、好ましくは10〜25質量%となるように溶剤に溶解した後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することによって調整される。本発明のレジスト組成物は、本発明の熱酸発生剤以外の熱酸発生剤、光酸発生剤、レジストベース樹脂およびその他の任意成分を混合、溶解あるいは混練等の方法により調製することができる。
【0064】
本発明のレジスト組成物は、特に、化学増幅型レジストとして有用である。化学増幅型レジストには、露光により光酸発生剤から発生した酸の作用によって、化学的な連鎖反応を起こし、ベース樹脂の架橋反応や極性変化で現像液に不溶化させるネガ型レジストと、高分子側鎖の脱保護反応で誘起される極性変化で現像液に可溶化させるポジ型レジストの2通りがある。
【0065】
上記レジスト組成物の露光で使用される光源としては、ArFエキシマーレーザー(波長193nm)KrFエキシマーレーザー(波長248nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線、EUV等の荷電粒子線等、各種の放射線を使用することが可能である。
【0066】
また、本発明のレジスト組成物には、任意の添加剤を用いることができる。各種添加剤としては、有機溶剤;ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系の紫外線吸収剤;フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤;カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤;ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン酸アミド系化合物、メラミン系化合物、フッ素樹脂または金属酸化物、(ポリ)リン酸メラミン、(ポリ)リン酸ピペラジン等の難燃剤;炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エステル系、脂肪族アマイド系または金属石けん系の滑剤;染料、顔料、カーボンブラック等の着色剤;フュームドシリカ、微粒子シリカ、けい石、珪藻土類、クレー、カオリン、珪藻土、シリカゲル、珪酸カルシウム、セリサイト、カオリナイト、フリント、長石粉、蛭石、アタパルジャイト、タルク、マイカ、ミネソタイト、パイロフィライト、シリカ等の珪酸系無機添加剤;ガラス繊維、炭酸カルシウム等の充填剤;造核剤、結晶促進剤等の結晶化剤、シランカップリング剤、可撓性ポリマー等のゴム弾性付与剤、増感剤等が挙げられる。これらの各種添加剤の使用量は、本発明のカチオン重合性組成物中、合計で、50質量%以下とする。
【0067】
本発明のレジスト組成物の具体的な用途としては、光学フィルター、塗料、コーティング剤、ライニング剤、接着剤、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、薄膜トランジスタ(TFT)・液晶表示装置・有機EL表示装置・プリント基板等に用いられる層間絶縁膜、表面保護膜、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、プラズマ表示パネル用の電極材料、印刷インク、歯科用組成物、光造形用樹脂、液状および乾燥膜の双方、微小機械部品、ガラス繊維ケーブルコーティング、ホログラフィ記録用材料、磁気記録材料、光スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、スクリーン印刷用ステンシル、透明導電膜等のタッチパネル、MEMS素子、ナノインプリント材料、半導体パッケージの二次元および三次元高密度実装等のフォトファブリケーション、加飾シート、人口爪、ガラス代替光学フィルム、電子ペーパー、光ディスク、プロジェクター・光通信用レーザー等に用いられるマイクロレンズアレイ、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ・撮像用レンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、絶縁用パッキング、熱収縮ゴムチューブ、O−リング、表示デバイス用シール剤、保護材、光ファイバー保護材、粘着剤、ダイボンディング剤、高放熱性材料、高耐熱シール材、太陽電池・燃料電池・二次電池用部材、電池用固体電解質、絶縁被覆材、複写機用感光ドラム、ガス分離膜、コンクリート保護材・ライニング・土壌注入剤・シーリング剤・蓄冷熱材・ガラスコーティング・発泡体等の土木・建築材料、チューブ・シール材・コーティング材料・滅菌処理装置用シール材・コンタクトレンズ・酸素富化膜、バイオチップ等の医療用材料、自動車部品、各種機械部品等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
[実施例1〜5および比較例]
<酸発生温度の測定>
実施例1〜5として、化合物No.4、No.5、No.20、No.27、No.34および、下記化学式で表す比較化合物について、酸発生温度を測定した。結果を表1に示す。なお、酸発生温度は、下記に示すエポキシ化合物1.0gと各化合物0.1gを混合したサンプルから10mgを測り取り、TG/DTA(昇温10℃/分、25℃〜400℃)を測定し、発熱温度を測定することにより酸発生温度とした。
【0070】
比較化合物
【0071】
エポキシ化合物
【0072】
【表1】
【0073】
上記表1から明らかなように、本発明の熱酸発生剤は、酸発生温度が高いことが確認できた。