特許第6890637号(P6890637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890637エッチング用組成物及びこれを用いた半導体素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890637
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】エッチング用組成物及びこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20210607BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 27/115 20170101ALI20210607BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20210607BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20210607BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20210607BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20210607BHJP
   C07F 9/09 20060101ALI20210607BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20210607BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   H01L21/308 E
   H01L21/306 E
   H01L21/76 L
   H01L27/105 448
   H01L27/115
   H01L27/11556
   H01L27/11582
   H01L27/105 449
   H01L29/78 371
   C07F9/09 Z
   C07F7/08 Q
   C07F7/10 N
【請求項の数】3
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2019-143244(P2019-143244)
(22)【出願日】2019年8月2日
(62)【分割の表示】特願2015-136714(P2015-136714)の分割
【原出願日】2015年7月8日
(65)【公開番号】特開2020-10043(P2020-10043A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0090660
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0090661
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0090662
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0090663
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0078400
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】パク ゼワン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジンウク
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−128109(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0076918(KR,A)
【文献】 特開2009−021538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/308
C07F 7/08
C07F 7/10
C07F 9/09
H01L 21/336
H01L 21/76
H01L 21/8239
H01L 27/105
H01L 27/115
H01L 27/11556
H01L 27/11582
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無機酸と、
第2無機酸とシラン化合物とを反応させて製造された少なくとも一つのシラン無機酸塩と、
溶媒とを含み、
前記第1無機酸はリン酸であり、
前記第2無機酸は、硫酸、発煙硫酸、硝酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり、
前記シラン化合物は、下記化学式1で表される:
【化1】

(ここで、Rはメチル基であり、R〜Rは、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルコキシ基である)
化合物である、
酸化物層に対して窒化物層を選択的にエッチングするためのエッチング用組成物であり、
前記第2無機酸と前記シラン化合物との重量比が10:100〜20:100であり、
前記第1無機酸は、85%水溶液としての含有量が、83〜85重量%で、
前記シラン無機酸塩の含有量が1〜3重量%で、残部が追加の溶媒である水であり、
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物全体に対してアンモニウム系化合物を0.01重量%〜20重量%でさらに含むエッチング用組成物。
【請求項2】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物全体に対してフッ素系化合物を0.01重量%〜1重量%でさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のエッチング用組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物を用いて行われるエッチング工程を含み、
前記エッチング工程は、酸化物層に対して窒化物層を選択的にエッチングすることを含む半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング用組成物、特に酸化膜のエッチング速度を最小限に抑えながら窒化膜を選択的に除去できる、高選択比のエッチング用組成物およびこのエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程における、シリコン酸化膜(SiO)などの酸化膜とシリコン窒化膜(SiN)などの窒化膜は代表的な絶縁膜であり、それぞれ単独で、または1層以上の膜が交互に積層されて使用される。また、これらの酸化膜および窒化膜は、金属配線等の導電性パターンを形成するためのハードマスクとしても利用される。
【0003】
前記窒化膜を除去するためのウエットエッチング工程では、一般的にリン酸(phosphoric acid)と脱イオン水(deionized water)の混合物が用いられている。前記脱イオン水は、エッチング速度の減少及び酸化膜に対するエッチング選択性の変化を防止するために添加されるものであるが、供給される脱イオン水の量の微細な変化にも窒化膜エッチング除去工程に不具合が生じる問題がある。また、リン酸は強酸であり腐食性を有するので、取り扱いが難しい。
【0004】
これを解決するために、従来ではリン酸(HPO)にフッ酸(HF)または硝酸(HNO)などを含むエッチング用組成物を用いて窒化膜を除去する技術が公知されているが、却って窒化膜と酸化膜のエッチング選択比を阻害する結果を招いた。また、リン酸とケイ酸塩、またはケイ酸を含むエッチング用組成物を利用する技術も知られているが、ケイ酸やケイ酸塩は、基板に影響を与え得るパーティクルを誘発し、むしろ半導体製造工程に適していない問題点がある。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、簡略化された形態で発明の概念を紹介するために提供され、以下の詳細な説明でさらに説明される。この概要は、クレーム主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求された主題の範囲を制限するために使用されることを意図する。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、上記の問題および上記していない他の問題点を克服する。また、本発明の実施形態は上記の問題点を克服するために必要とするものではなく、本発明の実施形態は上記の問題のいずれかを克服しないこともある。
【0007】
本実施形態の態様によれば、エッチング用組成物は、選択的に、酸化物層のエッチング速度を最小にして窒化物層を除去するために設けられてもよい。
【0008】
本実施形態の別の態様によれば、高選択比を有するエッチング用組成物は、エッチングプロセス中にパーティクルの発生を防止するために設けられてもよい。
【0009】
本実施形態のさらに別の態様によれば、この方法は、酸化膜のエッチング速度を最小限にしながら、選択的に窒化物層を除去するための高選択比を有するエッチング用組成物を用いて半導体を製造するために提供されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、第2無機酸とシラン化合物を反応させて製造されたシラン無機酸塩と、溶媒とを含む。
【0011】
前記エッチング用組成物は、前記第1無機酸と、第2無機酸とシラン化合物を反応させて生成されたシラン無機酸塩と、溶媒とを含み、前記第2無機酸は、硫酸、発煙硫酸、硝酸、リン酸、無水リン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記シラン化合物は、下記化学式A1で表される化合物であってよい。
(化学式A1)

【0012】
(前記化学式A1において、
前記R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R〜Rのうち少なくとも一つは、ハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、前記nは1〜10の整数である)
本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、ポリリン酸および下記化学式A1で表されるシラン化合物を反応させて生成されたシラン無機酸塩と、溶媒とを含む。
【0013】
本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、リン酸、無水リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの第2無機酸とシロキサン化合物を反応させて生成されたシロキサン無機酸塩と、溶媒とを含む。
【0014】
本発明のまた他の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、硫酸、発煙硫酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの第2無機酸とシロキサン化合物を反応させて生成されたシロキサン無機酸塩と、溶媒とを含む。
【0015】
本発明のまた他の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、硝酸を含む第2無機酸とシロキサン化合物を反応させて生成されたシロキサン無機酸塩と、溶媒とを含む。
【0016】
本発明のまた他の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、第2無機酸と第1シラン化合物を反応させて生成されたシラン無機酸塩と、第2シラン化合物と、溶媒とを含み、前記第2無機酸は、硫酸、発煙硫酸、硝酸、リン酸、無水リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記第1及び第2シラン化合物は、それぞれ独立して、下記化学式A1〜A2で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つである。
(化学式A1)
【0017】
(化学式A2)
【0018】
(前記化学式A1〜A2において、
前記R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R〜Rのうち少なくとも一つは、ハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、前記R〜R10のうち少なくとも一つはハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、前記nは1〜10の整数である)
本発明のまた他の一実施例に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1a及び1bは、従来技術によるフラッシュメモリ素子の素子分離工程を示す工程断面図である。
図2図2a〜2cは、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む、フラッシュメモリ素子の素子分離工程を説明するための工程断面図である。
図3図3a〜3fは、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む、フラッシュメモリ素子のパイプチャンネル形成工程を説明するための工程断面図である。
図4図4aおよび4bは、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む、相変化メモリにおけるダイオード形成工程を説明するための工程断面図である。
図5図5は、本発明の実施例1で生成されたシラン無機酸塩の核磁気共鳴(NMR)データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面に示されている参照番号のような、明細書全体を通して同じ要素を指す参照は、本発明の実施形態を詳細にする。以下に、図面を参照して本発明を説明するために実施形態を記載する。
【0021】
図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、いくつかの例において、比率は明確な実施形態の特徴を説明するために誇張され得る。第1の層は、基板の「上に」または第2の層「上に」あるとする場合、第1の層は第2の層または基板上に直接形成される場合だけでなく、特定の場所を指していないだけで、第3の層は第1の層と第2の層または基板との間に存在する。
【0022】
本明細書において、炭素数1〜10のアルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖非サイクリック飽和炭化水素を表し、炭素数1〜10のアルコキシ基は一つ以上のエーテル基、および1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖非サイクリック炭化水素を示す。
【0023】
本発明の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、第2無機酸とシラン化合物を反応させて生成されたシラン無機酸塩と、溶媒とを含んでいる。
【0024】
前記シラン無機酸塩は、酸化膜のエッチング速度を調節して有効酸化膜の高さ(EFH)の調整を容易にすることができる。
【0025】
一方、エッチング用組成物中に含まれるシラン無機酸塩は、酸化物層のエッチング速度の簡単かつ効果的な制御を可能にし、また一実施形態に係る半導体装置の製造において、有効酸化物の高さ(EFH)の制御を容易にできる。
【0026】
以下、実施形態に従って、上記のようなエッチング用組成物に対して添付の図面を参照して説明する。本発明の一実施形態によるエッチング用組成物を説明する前に、図1A〜1Bを参照して半導体装置を製造におけるエッチング用組成物の典型的な使用を説明する。
【0027】
図1a及び1bは、フラッシュメモリ素子の素子分離工程を示す工程断面図である。
【0028】
まず、図1aに示すように、基板(10)上にトンネル酸化膜(11)、ポリシリコン膜(12)、バッファ酸化膜(13)およびパッド窒化膜(14)を順に形成した後、ポリシリコン膜(12)、バッファ酸化膜(13)およびパッド窒化膜(14)を選択的にエッチングしてトレンチを形成する。続いて、トレンチをギャップフィル(gap fill)するまでSOD酸化膜(15)を形成した後、パッド窒化膜(14)を研磨停止膜としてSOD酸化膜(15)に対してCMP工程を行う。
【0029】
次に、図1bに示すように、リン酸溶液を用いたウエットエッチングによってパッド窒化膜(14)を除去した後、洗浄工程によりバッファ酸化膜(13)を除去する。これにより、フィールド領域に素子分離膜(15A)が形成される。しかし、このような窒化膜を除去するためのウエットエッチング工程においてリン酸を用いる場合、窒化膜と酸化膜のエッチング選択比の低下により窒化膜だけでなく、SOD酸化膜までエッチングされ、有効酸化膜の高さ(Effective Field Oxide Height、EFH)を調節することが難しくなる。これにより、窒化膜を除去するための十分なウエットエッチング時間を確保することができなくなるか、追加の工程を要することになり、変化を招き素子特性に悪影響を与えることになる。
【0030】
したがって、酸化膜に対して窒化膜を選択的にエッチングしながらも、パーティクル発生のような問題を有しない、高選択比のエッチング用組成物が求められている。
【0031】
前記典型的なエッチング用組成物の欠点を克服し要求を満たすために、一実施形態において、酸化物層のエッチング速度を最小にしながら、選択的に窒化物層を除去するために高選択比のエッチング用組成物が提供される。このようなエッチング用組成物は、第1無
機酸と、シラン無機酸塩と、溶剤とを含むことができる。一実施形態において、シラン無機酸塩は、第2無機酸とシラン化合物との反応によって製造することができる。
【0032】
シラン無機酸塩を含むエッチング用組成物は、酸化物層のエッチング速度を容易かつ効果的に制御できる。したがって、一実施形態に係る半導体装置の製造において、有効酸化物の高さ(EFH)を容易かつ効率的に制御することができる。
【0033】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて生成される。前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反
応させ生成されることによって、単一の化学式構造ではなく、様々な化学式構造を有するシラン無機酸塩が混合されたものでもよい。つまり、前記エッチング用組成物は、互いに異なる化学式構造を有する少なくとも2種以上のシラン無機酸塩の混合物を含むことができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、前記エッチング用組成物は、1種のシラン無機酸塩のみを含むこともできる。
【0034】
前記第2無機酸は、硫酸、発煙硫酸、硝酸、リン酸、無水リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであってもよく、好ましくは硫酸、硝酸、リン酸である。
【0035】
前記シラン化合物は、下記化学式A1〜A2で表される化合物及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つである。
(化学式A1)

【0036】
前記化学式A1において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、R〜Rのうち少なくとも一つはハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基である。
【0037】
ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード期日ことができ、好ましくフルオロ基またはクロロ基であってもよい。
【0038】
具体的には、前記化学式A1で表される化合物は、ハロシランまたはアルコキシシラン化合物である。
【0039】
前記ハロシラン化合物は、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、トリメチルフルオロシラン、トリエチルフルオロシラン、トリプロピルフルオロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジメチルジフルオロシラン、ジエチルジフルオロシラン、ジプロピルジフルオロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、メチルトリフルオロシラン、エチルトリフルオロシラン、プロピルトリフルオロシラン及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つである。
【0040】
前記アルコキシシラン化合物は、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン(PrTMOS)、プロピルトリエトキシシラン(PrTEOS)、プロピルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピルプロポキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(2−アミノエチル)アミノプロピル]トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つである。
(化学式A2)

【0041】
前記化学式A2において、RからR10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、R〜R10のうち少なくとも一つはハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、nは1〜10の整数である。
【0042】
前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であってもよく、好ましくはフルオロ基またはクロロ基である。
【0043】
具体的には、前記化学式A2で表される化合物は、クロロジメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、クロロジエチルシロキシ−クロロジメチルシラン、ジクロロメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、ジクロロエチルシロキシ−クロロジメチルシラン、トリクロロシロキシ−クロロジメチルシラン、フルオロジメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、ジフルオロメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、トリフルオロシロキシ−クロロジメチルシラン、メトキシジメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、ジメトキシジメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、トリメトキシシロキシ−クロロジメチルシラン、エトキシジメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、ジエトキシメチルシロキシ−クロロジメチルシラン、トリエトキシシロキシ−クロロジメチルシラン、クロロジメチルシロキシ−ジクロロメチルシラン、トリクロロシロキシ−ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシロキシ−トリクロロシラン、ジクロロメチルシロキシ−トリクロロシランまたはトリクロロシロキシ−トリクロロシランなどであってよい。
【0044】
前記シラン無機酸塩は、第2無機酸にシラン化合物を添加した後、20℃〜300℃、好ましく50℃〜200℃の温度で反応させる。このとき、空気および水分を除去しながら行ってもよい。反応温度が20℃未満である場合、シラン化合物が結晶化するか、低い反応速度により、シラン化合物が気化することがあり、300℃を超える場合、第2無機酸が蒸発することがある。
【0045】
例えば前記第2無機酸とシラン化合物は、第2無機酸100重量部に対して、シラン化合物0.001重量部〜50重量部、好ましくは0.01重量部〜30重量部を反応させることができる。シラン化合物の反応量が0.01重量部未満である場合、シラン化合物の小さい含量比のために選択比の実現が難しくなることがあり、50重量部を超える場合、シラン化合物の結晶が析出されたり、不定型構造が生成されることがある。
【0046】
反応時に発生する揮発性の副産物は、減圧下で蒸留により除去することができる。反応の生成物を精製して、シラン無機酸塩を分離した後、これをエッチング用組成物に添加することもでき、反応生成物を精製することなく、エッチング用組成物に添加することも可能である。
【0047】
前記反応は、非プロトン性溶媒の存在下または不存在下で行うことができるが、非プロトン性溶媒を使用する場合は、10013mbarで120℃までの沸点または沸騰範囲を有する溶剤または溶剤混合物を好ましく用いることができる。溶剤として、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル;塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン;炭化水素、例えばペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン異性体混合物、ヘプタン、オクタン、ベンジン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK);エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロフィールプロピオネート、エチルブチレートエチルイソブチレート、二硫化炭素およびニトロベンゼンまたはこれらの溶剤の混合物であってもよい。
【0048】
前記のように、シラン無機酸塩は、第2無機酸と前記シラン化合物を反応させて生成されることによって、単一化学式の構造ではなく、様々な化学式の構造を有するシラン無機酸塩が混合したものであってよい。つまり、シラン無機酸塩は、第2無機酸とシラン化合物が交互に反応されたものでもよく、シラン化合物のハロゲン原子の数および位置に応じて、直鎖状または分岐状に反応する様々な化学式の構造を有するシラン無機酸塩の混合物であってよい。
【0049】
様々な化学式構造を有するシラン無機酸塩を具体的に例示すると、下記化学式の通りである。しかし、本発明のシラン無機酸塩が、下記化学式の構造に限定されるものではない。
(化学式A3−1)

【0050】
(化学式A3−2)

【0051】
(化学式A3−3)
【0052】
(化学式A3−4)
【0053】
(化学式A3−5)
【0054】
(化学式A3−6)
【0055】
(化学式A3−7)
【0056】
(化学式A4−1)
【0057】
(化学式A4−2)
【0058】
(化学式A4−3)
【0059】
(化学式A4−4)
【0060】
(化学式A4−5)
【0061】
(化学式A4−6)
【0062】
(化学式A4−7)
【0063】
(化学式A5−1)
【0064】
(化学式A5−2)
【0065】
(化学式A5−3)
【0066】
(化学式A5−4)
【0067】
(化学式A5−5)
【0068】
(化学式A5−6)
【0069】
(化学式A5−7)
【0070】
前記化学式A3−1〜A3−7、A4−1〜A4−7およびA5−1〜A5−7において、R1−1〜R1−8はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であってもよく、好ましくはフルオロ基またはクロロあってよい。
【0071】
シラン無機酸塩の含有量は、エッチング用組成物全体の重量に対して、0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%、より好ましく1重量%〜15重量%、さらに好ましく3重量%〜7重量%である。
【0072】
シラン無機酸塩の含有量が0.01重量%未満である場合は窒化膜に対する高いエッチング選択比を得ることができず、15重量%を超える場合は含有量の増加による、それ以上の効果上昇を期待することは難しく、却ってパーティクルの発生などの問題が生じることもある。
【0073】
例えば、前記シラン無機酸塩の含有量が0.7重量%以上である場合、エッチング用組成物の窒化物のエッチング速度(Å/min)と酸化物のエッチング速度(Å/min)の選択比は200:1以上(窒化物のエッチング速度:酸化物のエッチング速度)、例えば、200:1、200:5、200:10などである。
【0074】
例えば、シラン無機酸塩の含有量が1.4重量%以上である場合、エッチング用組成物の窒化物エッチング速度(Å/min)と酸化物エッチング速度(Å/min)の選択比が200:無限(窒化物エッチング速度:酸化物エッチング速度)であり得る。エッチング用組成物は、前記のように酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比が高い特徴を有するので、酸化膜のエッチング速度を調節して、EFHを容易に調節することができる。
【0075】
一実施例において、シラン無機酸塩は、ポリリン酸と前記化学式A1で表されるシラン化合物とを反応させて生成することができる。
【0076】
この際、前記シラン化合物は、下記化学式B1のように表されてもよい。
(化学式B1)

【0077】
前記化学式B1において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり、好ましくフルオロ基またはクロロ基であってもよい。
【0078】
は1〜4の整数であり、mは1〜10の整数である。
【0079】
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子である。ただ、必要に応じてR〜Rからなる群より選択されるいずれか一つの水素は、下記化学式B2で表される置換基で置換することができる。
(化学式B2)
【0080】
前記化学式B2において、Rのうちのいずれかは、前記化学式B1との結合器であり、残りはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。つまり、前記のRが4個の場合、一つは、前記化学式B1との結合器であり、残りの3つは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。また、Rが一つの場合、Rは前記化学式B1との結合器である。nは0〜3の整数であり、mは1〜10の整数である。
【0081】
前記化学式B2において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素であるか、または第2の化学式B2で表される置換基で置換されてもよい。つまり、RからRに第2の化学式B2で表される置換基が置換されてもよく、また、第2の化学式B2で表される置換基のR〜Rに第3の化学式B2で表示される置換基がまた、置換されてもよい。
【0082】
これは、シラン無機酸塩が、ポリリン酸とシラン化合物を反応させて生成されたからである。つまり、ポリリン酸とシラン化合物とが反応して、前記化学式B1で表される化合物が生成され、前記化学式B1で表される化合物において、ポリリン酸に由来のR〜Rのヒドロキシ基と反応出発物質であるシラン化合物とがさらに反応することができ、継続的に前記化学式B1で表される化合物と反応したシラン化合物と反応出発物質であるポリリン酸とがさらに反応することができ、これらの反応は、継続的に行われてもよい。
【0083】
継続的な反応の進行結果による前記シラン無機酸塩の結果を例示すると、次の通りである。
【0084】
前記化学式B1において、nは1であり、mは1であり、R〜Rの全てが水素である場合を例示すると、下記化学式B3−1の通りである。このとき、R1−1〜R1−3の定義は、Rの定義と同じである。
(化学式B3−1)
【0085】
下記化学式B3−2で表される化合物は、mが2であることを除いては、前記化学式B3−1で表される化合物と同じである。
(化学式B3−2)
【0086】
前記化学式B1において、nは2であり、mは1であり、R〜Rの全てが水素である場合を例示すると、下記化学式B3−3の通りである。このとき、R1−1〜R1−2の定義は、Rの定義と同じである。
(化学式B3−3)
【0087】
前記化学式B1において、nは1であり、mは1であり、RおよびRが水素であり、Rに、前記化学式B2に表示される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式B3−4と同じである。前記化学式B2において、nは0であり、Rのうちのいずれかは、前記化学式B1との結合器である。このとき、R1−1〜R1−6の定義は、Rの定義と同じである。
【0088】
下記化学式B3−4に表示されている化合物は、前記化学式B1で表される化合物のRの置換基を有する前記ポリリン酸から由来の部分と反応出発物質であるシラン化合物とがさらに反応して生成された結果である。
(化学式B3−4)
【0089】
前記化学式B1において、nは1であり、mは1であり、RおよびRが水素であり、Rに前記化学式B2で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式B3−5に通りである。前記化学式B2において、nは1であり、mは1であり、Rのうちのいずれかは、前記化学式B1との結合器であり、R〜Rはすべて水素原子である。このとき、R1−1〜R1−5の定義は、Rの定義と同じである。
【0090】
下記化学式B3−5で表される化合物は、前記化学式B1で表される化合物において、前記ポリリン酸から由来された部分のRの位置のヒドロキシ基と、反応出発物質であるシラン化合物とがさらに反応して、続いて前記化学式B1で表される化合物と反応したシラン化合物と、反応出発物質である前記ポリリン酸とがさらい反応して生成された結果である。
(化学式B3−5)
【0091】
例示的に下記化学式B3−6およびB3−7に表示されている化合物は、前記化学式B2で表される置換基の位置を除いて、前記化学式B3−5で表される化合物と同じ場合である。化学式B3−6の場合は、式B2で表さ置換基が、式B1のRの位置に配置される。化学式B3−7の場合には、式B2で表さ置換基は、式B1のRの位置に配置される。
(化学式B3−6)
【0092】
(化学式B3−7)
【0093】
前記化学式B1において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記RおよびRが水素であり、Rに前記化学式B2で表される置換基が置換されて、前記化学式B2で表される置換基のRの位置に第2化学式B2で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式B3−8の通りである。前記化学式B2において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記Rのうちのいずれかは、前記化学式B1との結合器であり、R〜Rは、水素原子である。このとき、R1−1〜R1−7の定義は、前記Rの定義と同じである。
【0094】
下記化学式B3−8で表される化合物は、前記化学式B3−7で表される化合物の右端の前記ポリ酸から由来された部分のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シラン化合物とがさらに反応し、続いて、前記化学式B3−7で表される化合物と反応した前記シラン化合物と、反応出発物質である前記ポリリン酸とがさらに反応して生成された結果である。
(化学式B3−8)
【0095】
本発明は、前記B3−1〜B3−8に例示された化合物に限定されるものではなく、前記化合物を参考にして様々な変形が可能である。
【0096】
一方、前記ポリリン酸と反応して前記化学式B1で表されるシラン無機酸塩を生成することができる前記シラン化合物は、前記化学式A1で表される化合物であってもよい。前記化学式A1で表される化合物については、前記の通りである。
【0097】
前記ポリリン酸は、リン酸原子を2個含むピロリン酸またはリン酸原子を3個以上含まれているポリリン酸であってもよい。
【0098】
前記ポリリン酸と前記シラン化合物を反応させ前記シラン無機酸塩を生成する方法は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて前記シラン無機酸塩を生成する方法において、前記第2無機酸の代わりに、前記ポリリン酸を使用することを除いては同一である。
【0099】
一実施例において、前記シロキサン無機酸塩は、下記化学式C1で表すことができる。前記シラン無機酸塩は、リン酸、無水リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの第2無機酸とシロキサン化合物とを反応させて生成されたシロキサン無機酸塩でもよい。
(化学式C1)
【0100】
前記化学式C1で、前記R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨードであってよく、好ましくはフルオロ基またはクロロであってもよい。
【0101】
前記化学式C1で、前記nは0〜3の整数であり、前記nは0〜2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、n+n+m≧1を満足する。つまり、前記化学式C1は、前記リン酸などの第2無機酸に由来する原子団を少なくとも一つは含む。
【0102】
前記化学式C1で、前記lは1〜10の整数であり、前記O〜Oはそれぞれ独立
して0〜10の整数である。
【0103】
前記化学式C1で、前記R〜R11は、それぞれ独立して水素である。ただ、選択的に前記R〜R11からなる群より選択されるいずれか一つの水素は、下記化学式C2で表される置換基で置換することができる。
(化学式C2)
【0104】
前記化学式C2で、前記R12及び前記R13のいずれかは、前記化学式C1との結合器であり、残りはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。つまり、前記のR12が2個で、前記R13が1個ある場合、そのうちの一つは、前記化学式C1との結合器であり、残りの2つは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであってよい。また、前記R12が1個で前記R13が0個の場合は、前記化学式C1との結合器である。
【0105】
前記nは0〜3の整数であり、前記nは0〜2の整数であり、前記mは0または1の整数である。前記lは1〜10の整数であり、前記O〜Oは、それぞれ独立して0〜10の整数である。
【0106】
化学式C2において、前記R〜R11は、それぞれ独立して、水素であるか、または第2の化学式C2で表される置換基で置換されるものであってよい。つまり、前記R〜R11の位置に前記第2の化学式C2で表される置換基が置換可能で、前記第2の化学式C2で表される置換基の前記R〜R11の位置に第3の化学式C2で表される置換基がさらに置換されてもよい。
【0107】
これは、前記シロキサン無機酸塩が、前記第2無機酸と前記シロキサン化合物とを反応させて生成されたものだからである。つまり、前記第2無機酸と前記シロキサン化合物が反応して、前記化学式C1で表される化合物が生成され、前記化学式C1で表される化合物において、前記第2無機酸から由来した部分の前記R〜R11位置のヒドロキシ基と反応出発物質である前記シロキサン化合物とがさらに反応することができ、続いて前記化学式C1で表される化合物と反応した前記シロキサン化合物と、反応出発物質である前記第2無機酸とがさらに反応することができ、このような反応は継続的に行われ得る。
【0108】
前記継続的な反応の進行結果による前記シロキサン無機酸塩の結果を例示すると、次の通りである。
【0109】
前記化学式C1において、前記nは1であり、前記nは0であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O〜Oは0であり、前記R〜R11の全てが水素である場合を例示すると、下記化学式C1−1の通りである。このとき、R1−1〜R1−2の定義は、前記Rの定義と同じで、R2−1〜R2−2の定義は、前記Rの定義と同じである。
(化学式C1−1)
【0110】
下記化学式C1−2で表される化合物は、前記nが1である場合を除いては、前記化学式C1−1に表示されている化合物と同一である場合である。
(化学式C1−2)
【0111】
下記化学式C1−3で表される化合物は、前記のOおよびOが1である場合を除いては、前記化学式C1−1で表される化合物と同一の場合である。
(化学式C1−3)
【0112】
下記化学式C1−4に表示されている化合物は、前記lが2である場合を除いては、前記化学式C1−2に表示されている化合物と同一である場合である。
(化学式C1−4)
【0113】
前記化学式C1で前記nとnが2であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O〜Oは0であり、前記R〜R11の全てが水素である場合を例示すると下記化学式C1−5の通りである。
(化学式C1−5)
【0114】
前記化学式C1において、前記nは1であり、前記nは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O〜Oは0であり、前記R、RおよびR11が水素であり、Rに前記化学式C2で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式C1−6の通りである。前記化学式C2において、前記nおよびnは0であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記R12のいずれか一つは、前記化学式C1との結合器である。このとき、R1−1〜R1−7の定義は、前記R1の定義と同じで、前記R2−1の定義は、前記Rの定義と同じである。下記化学式C1−6で表される化合物は、前記化学式C1で表される化合物において、前記第2無機酸から由来した部分の前記Rの位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とが再び反応して生成された結果である。
(化学式C1−6)
【0115】
前記化学式C1において、前記nは1であり、前記nは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O〜Oは0であり、前記R、RおよびR11が水素であり、前記Rに前記化学式C2で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式C1−7の通りである。前記化学式C2において、前記nおよびnは1であり、前記mは0であり、前記OおよびOは0であり、前記R12のいずれか一つは、前記化学式C1との結合器であり、前記R、R、RおよびR11は、水素である。このとき、R1−1〜R1−3、R2−1、R2−2、R3−1およびR3−2の定義は、それぞれ前記R、RおよびRの定義と同じである。下記化学式C1−7で表される化合物は、前記化学式C1で表される化合物において、前記第2無機酸から由来された部分の前記Rの位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とがさらに反応して、続いて前記化学式C1で表される化合物と反応した前記シロキサン化合物と、反応出発物質である前記第2無機酸とがさらに反応して生成された結果である。
(化学式C1−7)
【0116】
下記化学式C1−8で表される化合物は、前記化学式C2で表される置換基が、前記化学式C1−7の前記R1−3位置で前記化学式C1と連結したことを除けば、前記化学式C1−7で表される化合物と同一の場合である。
(化学式C1−8)
【0117】
前記化学式C1において、前記nは1であり、前記nは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O〜Oは0であり、前記R、R、RおよびR11が水素であり、前記Rに第1の化学式C2で表される置換基が置換され、前記第1の化学式C2で表される置換基のRに第2の化学式C2で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式C1−9の通りである。前記第1化学式C2において、前記nおよびnは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記OおよびOは0であり、前記R12のいずれか一つは、前記化学式C1との結合器であり、前記R、R、およびR11は、水素であり、前記Rは、前記第2の化学式C2で表される置換基である。前記第2の化学式C2において、前記nおよびnは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記OおよびOは0であり、前記R12のいずれか一つは、前記第1の化学式C2との結合器であり、前記R、R、RおよびR11は水素である。このとき、R1−1〜R1−4、R2−1〜R2−3およびR3−1〜R3−3の定義は、それぞれ前記R、RおよびRの定義と同じである。
【0118】
下記化学式C1−9で表される化合物は、前記化学式C1−7で表される化合物の右端の前記第2無機酸から由来した部分と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とがさらに反応し、続いて前記化学式C1−7で表される化合物と反応した前記シロキサン化合物と、反応出発物質である前記第2無機酸とがさらに反応して生成された結果である。
(化学式C1−9)
【0119】
下記化学式C1−10で表される化合物は、前記第2の化学式C2で表される置換基が、前記化学式C1−9の前記R1−4位置に前記化学式C1と連結されたことを除けば、前記化学式C1−9で表される化合物と同じ場合である。
(化学式C1−10)
【0120】
本発明は、前記C1−1〜C1−10に例示された化合物に限定されるものではなく、前記化合物を参考にして様々な変形が可能である。
【0121】
一実施例において、前記シラン化合物は、硫酸、発煙硫酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの第2無機酸とシロキサン化合物とを反応させて生成されたシロキサン、無機酸塩であり得る。
【0122】
このとき、前記シロキサン無機酸塩は、下記化学式C3で表することができる。
(化学式C3)
【0123】
前記化学式C3において、前記R21〜R22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基と炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であってよく、好ましくフルオロ基またはクロロ基であってもよい。
【0124】
前記化学式C3において、前記nは0〜3の整数であり、前記nは0〜2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、n+n+m≧1を満足する。つまり、前記化学式C3は、前記硫酸などの第2無機酸に由来する原子団を少なくとも一つは含む。
【0125】
前記化学式C3において、前記lは1〜10の整数である。
【0126】
前記化学式C3において、前記R23〜R25は、それぞれ独立して水素である。ただ、選択的に前記R23〜R25からなる群より選択されるいずれか一つの水素は、下記化学式C4で表される置換基で置換可能である。
(化学式C4)
【0127】
前記化学式C4において、前記R26及び前記R27のいずれか一つは、前記化学式C3との結合器であり、残りはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。つまり、前記のR26が2つであり、前記R27が1ある場合、そのうちの一つは、前記化学式C3との結合器であり、残りの2つは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基と炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであってよい。また、前記R26が1個で、前記R27が0個の場合には、前記化学式C3との結合器である。
【0128】
前記化学式C4において、前記nは0〜3の整数であり、前記nは0〜2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、前記lは1〜10の整数である。
【0129】
前記化学式C4において、前記R23〜R25は、それぞれ独立して、水素であるか、または第2の化学式C4で表される置換基が置換可能である。つまり、前記のR23〜R25位置に前記第2の化学式C4で表される置換基が置換可能で、前記第2の化学式C4で表される置換基の前記R23〜R25位置に第3の化学式C4で表される置換基がまた置換されることもできる。
【0130】
前記継続的な反応進行の結果による前記シロキサン無機酸塩の結果を、前記化学式C1−1〜1−10の場合と同様に例示すると、下記化学式C3−1〜C3−9に通りである。このとき、下記化学式C3−1〜C3−9においてR11−1〜R11−7、R12−1〜R12−3およびR13−1〜R13−3の定義は、それぞれ前記R11、R12およびR13の定義と同じである。
(化学式C3−1)
【0131】
(化学式C3−2)
【0132】
(化学式C3−3)
【0133】
(化学式C3−4)
【0134】
(化学式C3−5)
【0135】
(化学式C3−6)
【0136】
(化学式C3−7)
【0137】
(化学式C3−8)
【0138】
(化学式C3−9)
【0139】
一実施例にかかる前記化合物は、前記3−1から3−9に例示された化合物に限定されるものではない。
【0140】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は硝酸を含む第2無機酸とシロキサン化合物とを反応させて生成されたシロキサン、無機酸塩であり得る。前記シロキサン無機酸塩は、下記化学式C5で表されることができる。
(化学式C5)
【0141】
前記化学式C5において、前記R31〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基と炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であってよく、好ましくフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0142】
前記化学式C5において、前記nは0〜3の整数であり、前記nは0〜2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、n+n+m≧1を満足する。つまり、前記化学式C5は、前記硝酸を含む第2無機酸に由来する原子団を少なくとも一つは含む。
【0143】
前記化学式C5において、前記lは1〜10の整数である。
【0144】
前記化学式C5において、前記R33〜R35は、それぞれ独立して、水素である。ただし、選択的に前記R33〜R35からなる群より選択されるいずれか一つの水素は、下記化学式C6で表される置換基で置換可能である。
(化学式C6)
【0145】
前記化学式C6において、前記R36及び前記R37のいずれかは、前記化学式C5との結合器であり、残りはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。つまり、前記のR36が2個であり、前記R37が1個の場合、そのうちの一つは、前記化学式C5との結合器であり、残りの2つは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。また、前記R36が1個で、前記R37が0個の場合には、前記R36が前記化学式C5との結合器である。
【0146】
前記化学式C6において、前記nは0〜3の整数であり、前記nは0〜2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、前記lは1〜10の整数である。
【0147】
前記化学式C6において、前記R33〜R35は、それぞれ独立して、水素であるか、
または第2の化学式C6で表される置換基が置換されるものでよい。つまり、前記のR33〜R35位置に前記第2の化学式C6で表される置換基が置換されてもよく、前記第2の化学式C6で表される置換基の前記R33〜R35位置に第3の化学式C6で表される置換基がまた置換されてもよい。
【0148】
前記継続的な反応進行の結果による前記シロキサン無機酸塩の結果を前記化学式C1−1〜C1−10の場合と同様に例示すると、下記化学式C5−1〜C5−9の通りである。このとき、下記化学式C5−1〜C5−9において、R21−1〜R21−7、R22−1〜R22−3およびR23−1〜R23−3の定義は、それぞれ前記R21、R22およびR23の定義と同じである。
(化学式C5−1)
【0149】
(化学式C5−2)
【0150】
(化学式C5−3)
【0151】
(化学式C5−4)
【0152】
(化学式C5−5)
【0153】
(化学式C5−6)
【0154】
(化学式C5−7)
【0155】
(化学式C5−8)
【0156】
(化学式C5−9)
【0157】
前記の通り、本発明は前記化学式C5−1〜C5−9に例示の化合物に限定されるものではない。
【0158】
一方、前記第2無機酸と反応して前記化学式C1で表されるシロキサン無機酸塩を生成できる前記のシロキサン化合物は、前記化学式A2で表される化合物であり得る。前記化学式A2で表される化合物については、前記の通りである。
【0159】
前記第2無機酸と前記シロキサン化合物とを反応させて前記シロキサン無機酸塩を生成する方法は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて前記シラン無機酸塩を生成する方法において、前記シラン化合物の代わりに、前記シロキサン化合物を使用することを除いては同一である。
【0160】
本発明の別の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸と、第2無機酸と第2シラン化合物とを反応させて生成されたシラン無機酸塩と、第2シラン化合物と、溶媒とを含んでいる。
【0161】
前記エッチング用組成物は、前記シラン無機酸塩とともに前記第2シラン化合物をさらに含むことができる。前記エッチング用組成物が、前記第2シラン化合物をさらに含むことにより、前記第2シラン化合物は、前記エッチング用組成物を用いてエッチング工程を行う間に前記第1無機酸と反応して、新たなシラン無機酸塩を生成することができる。これにより、酸化膜のエッチング速度を最小限に抑えながら窒化膜を選択的に除去することができ、素子特性に悪影響を及ぼすパーティクル発生などの問題点を有することなく高選択比を有すると言う本発明の効果をより一層高めることができ、前記エッチング工程中に消耗する前記シラン無機酸塩を補充することもできる。
【0162】
前記第2シラン化合物としては、前記で例示された第2シラン化合物として用いることができるシラン化合物の全てを用いることができる。また、好ましくは、前記第2シラン化合物は、前記シラン無機酸塩の生成時に用いられるシラン化合物と同じシラン化合物を使用することができる。この場合、前記第2シラン化合物と前記シラン無機酸塩との成分が類似して、前記第2シラン化合物を添加する効果をさらに増加させることができ、前記シラン無機酸塩を生成した反応溶液を精製することなく前記エッチング用組成物に添加することにより、未反応の第2シラン化合物を、第2シラン化合物として前記エッチング用組成物に容易に添加することができる。
【0163】
前記第2シラン化合物の含有量は、前記エッチング用組成物の総重量に対して、0.001重量%〜15重量%、好ましく0.005重量%〜10重量%、より好ましくは0.01重量%〜5重量%であってよい。前記第2シラン化合物が0.001重量%未満で含まれる場合は、少ない含量比により選択比の調節が困難な問題が生じることもあり、15重量%を超えて含まれる場合、結晶の析出、あるいは副産物が生成される問題が生じることがある。
【0164】
前記第1無機酸は、窒化膜をエッチングするエッチング剤として添加されるものであり、前記窒化膜をエッチングすることができるものであればいずれも使用可能である。例えば、硫酸、硝酸、リン酸、ケイ酸、フッ酸、ホウ酸、塩酸、過塩素酸、およびその混合物からなる群より選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0165】
好ましくは、前記酸化膜に対する前記窒化膜のエッチング選択比を得るために、前記第1無機酸は、リン酸を使用することができる。前記リン酸は、前記エッチング用組成物内に水素イオンを提供して、エッチングを促進させる役割ができる。前記第1無機酸として前記リン酸を使用する場合、前記エッチング用組成物は、硫酸を添加物としてさらに含むことができる。前記硫酸は、前記リン酸を第1無機酸として含むエッチング用組成物の沸点を上昇させて窒化膜のエッチングを助けることができる。
【0166】
前記第1無機酸の含有量は、前記エッチング用組成物の総重量に対して70重量%〜99重量%、好ましくは70重量%〜90重量%、より好ましくは75重量%〜85重量%であってよい。前記第1無機酸が70重量%未満で含まれる場合は、窒化膜が容易に除去されない可能性がありパーティクルが発生する恐れがあり、99重量%を超えて含まれる場合、窒化膜に対する高い選択比を得ることができない。
【0167】
前記の通り、前記エッチング用組成物は、上述の成分を除いた含有量で溶媒を含むことができる。前記溶媒は、具体的には、水または脱イオン水などであってよい。
【0168】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物全体に対してアンモニウム系化合物を0.01重量%〜20重量%でさらに含むことができる。前記エッチング用組成物が、前記アンモニウム系化合物をさらに含む場合、前記エッチング用組成物を長期間の使用でも、エッチング速度の低下および選択度の変化が発生せず、エッチング速度を一定に維持する効果がある。
【0169】
前記アンモニウム系化合物が0.01重量%未満で添加される場合、長期間使用時、選択度を維持する効果が減少し、20重量%を超えて添加される場合は、窒化膜とシリコン酸化膜のエッチング速度が変化するようになり、選択度が変化することがある。
【0170】
前記アンモニウム系化合物は、アンモニア水、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(ammonium peroxydisulfate)、硫酸アンモニウム塩、フッ酸アンモニウム塩(ammonium hydrofluoric acid salt)から選択されるいずれか一つまたは複数の混合物を利用することができる。また、前記アンモニウム系化合物は、前記化合物に限定されるものではなく、アンモニウムイオンを有する全ての化合物を含む。たとえば、前記アンモニウム系化合物は、NH4とHClを一緒に使用することもできる。
【0171】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物全体に対してフッ素系化合物を0.01重量%〜1重量%でさらに含むことができる。前記フッ素系化合物が0.01重量%未満で添加される場合、窒化膜のエッチング速度が小さくなって、窒化膜の除去が容易ではない場合があり、1重量%を超える場合は、窒化膜のエッチング速度は大幅に向上するが、酸化膜もまた、エッチングされるという短所がある。
【0172】
前記フッ素系化合物は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択されるいずれか一つまたは複数の混合物を用いることができる。より好ましくは、フッ化水素アンモニウムを用いることが、長期使用時の選択度も維持できるので良い。
【0173】
前記エッチング用組成物は、エッチング性能を向上させるために、当業界で通常使用される任意の添加剤をさらに含むことができる。添加剤としては、界面活性剤、キレート剤、防腐剤などを使用することができる。
【0174】
前記エッチング用組成物は、前記シラン無機酸塩を含むことにより、著しく高い酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比を示すので、窒化膜エッチング工程に使用することができる。
【0175】
したがって、エッチング工程において、酸化膜のエッチングを最小化し、EFHを容易に調節することができる。また、窒化膜の選択的エッチング除去の際、酸化膜の膜質損傷やエッチングによる酸化膜の電気的特性の低下を防止し、パーティクルの発生が防止されて、素子特性を向上させることができる。
【0176】
本発明の他の一実施例に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む。
【0177】
一実施例において、このようなエッチング工程は、窒化膜をエッチングすることを特徴とし、特に、酸化膜に対して窒化膜を選択的にエッチングすることを特徴とする。
【0178】
前記窒化膜は、シリコン窒化膜、例えばSiN膜、SiON膜などを含むことができる。
【0179】
また、前記酸化膜は、シリコン酸化膜、例えばSOD(Spin On Dielectric)膜、HDP(High Density Plasma)膜、熱酸化膜(thermal oxide)、BPSG(Borophosphate Silicate
Glass)膜、PSG(Phospho Silicate Glass)膜、BSG( Boro Silicate Glass)膜、PSZ(Polysilazane)膜、FSG(Fluorinated Silicate Glass)膜、LP−TEOS(Low Pressure Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、PETEOS(Plasma Enhanced Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、HTO(High Temperature Oxide)膜、MTO(Medium Temperature Oxide)膜、USG(Undopped Silicate Glass)膜、SOG(Spin On
Glass)膜、APL(Advanced Planarization Layer)膜、ALD(Atomic Layer Deposition)膜、PE−酸化膜(Plasma Enhanced oxide)、O3−TEOS(O3−Tetra
Ethyl Ortho Silicate)膜およびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つ以上の膜であり得る。
【0180】
前記エッチング用組成物を利用するエッチング工程は、当業界に公知のウエットエッチング方法、例えば浸漬させる方法、噴射する方法等により行われる。
【0181】
前記エッチング工程の際、工程温度は50℃〜300℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲であってよく、適正の温度は、他の工程とその他の要因を考慮して、必要に応じて変更することができる。
【0182】
このように、前記エッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む半導体素子の製造方法によれば、窒化膜と酸化膜とが交互に積層されるか混在している場合、窒化膜に対する選択的エッチングが可能である。また、従来のエッチング工程において問題となったパーティクル発生を防止して、プロセスの安定性および信頼性を確保することができる。
【0183】
したがって、このような方法は、半導体素子の製造工程において、酸化膜に対して窒化膜の選択的エッチングが必要な、色々の過程において効率よく適用され得る。
【0184】
図2a〜2cは、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物(例えば、高選択比のエッチング用組成物)を用いたエッチング工程を含む、フラッシュメモリ素子の素子分離工程を説明するための工程断面図である。
【0185】
一実施形態における図2aを参照すると、基板(20)上にトンネル酸化膜(21)、ポリシリコン膜(22)、バッファ酸化膜(23)及び/またはパッド窒化膜(24)を形成する。例えば、一実施形態において、基板20上にトンネル酸化膜21、ポリシリコン膜22、バッファ酸化膜23及び/またはパッド窒化膜24を順次形成することができる。
【0186】
続いて、ポートおよびエッチング工程により、パッド窒化膜(24)、バッファ酸化膜(23)、ポリシリコン膜(22)およびトンネル酸化膜(21)を選択的にエッチングして、基板(20)の素子分離領域を露出させる。次いで、パッド窒化膜(24)をマスクとして利用し、露出された基板(20)を選択的にエッチングして表面から所定の深さを有するトレンチ(25)を形成する。
【0187】
図2bを参照すると、トレンチ(25)をギャップフィルするまで、基板(20)の全面に化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)などを利用して、酸化膜(26)を形成する。
【0188】
続いて、パッド窒化膜(24)を、研磨停止膜として酸化膜(26)に対して化学的機械的平坦化(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程を行ってもよい。続いて、ドライエッチングを用いて洗浄工程を行ってもよい。
【0189】
図2cを参照すると、本発明に係るエッチング用組成物を利用するウエットエッチング工程により、パッド窒化膜(24)を選択的に除去した後、洗浄工程によりバッファ酸化膜(23)を除去する。これにより、フィールド領域には素子分離膜(26A)が形成される。
【0190】
図2cに示すように本発明においては、酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比の高い高選択比のエッチング用組成物を用いることにより、STIパターンにギャップフィルされた酸化膜のエッチングは最小限に抑えながら、十分な時間で窒化膜を完全に選択的除去ができる。これにより、有効酸化膜の高さ(EFH)を容易に制御することができる。さらに、酸化膜の損傷やエッチングによる電気的特性の低下やパーティクル発生を防止して、素子特性を向上させることができる。
【0191】
前記の通り、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物はフラッシュメモリ素子の素子分離工程に適用することができるが、それに限定されるものではない。例えば、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物は、DRAM素子の素子分離工程にも無論適用可能である。
【0192】
図3a〜3fは、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のチャネル形成工程を説明するための工程断面図である。ここで、チャネル形成工程は、本実施形態によるエッチング用組成物(例えば、高選択比エッチング用組成物)を用いたエッチングプロセスを含んでもよい。
【0193】
図3aを参照すると、一実施例において、基板(30)上にパイプゲート電極膜(31)を形成されてもよい。この場合、パイプチャンネルを形成するために、パイプゲート電極膜(31)に窒化膜(32)が埋め込まれてもよい。ここで、パイプゲート電極膜(31)は、第1及び/または第2導電膜(31A及び/または31B)を含む。例えば、第1及び/または第2導電膜(31A及び/または31B)は、不純物がドーピングされたポリシリコンを含むことができる。
【0194】
より具体的には、基板(30)上に第1導電膜(31A)を形成し、第1導電膜(31A)上に窒化膜を蒸着し、この窒化膜をパターニングして、パイプチャンネルを形成するための窒化膜(32)を形成した後、窒化膜(32)によって現れる第1導電膜(31A)上に第2導電膜(31B)を形成する。この第1及び第2導電膜(31Aおよび31B)がパイプゲート電極膜(31)を構成する。
【0195】
続いて、前記工程結果物の上に垂直方向に積層される複数のメモリセルの形成のために、第1層間絶縁膜(33)と、第1ゲート電極膜(34)とを交互に積層する。以下、説明の便宜のために、第1層間絶縁膜(33)および第1ゲート電極膜(34)が交互に積層された構造物をセルゲート構造(CGS)と称することにする。
【0196】
ここで、第1層間絶縁膜(33)は、複数層のメモリセル間分離のためのもので、例えば、酸化膜を含むことができ、第1ゲート電極膜(34)は、例えば、不純物がドーピングされたポリシリコンを含むことができる。本実施例では、6層の第1ゲート電極膜(34)が示されているが、これに限定されるものではない。
【0197】
続いて、セルのゲート構造(CGS)を選択的にエッチングして窒化膜(32)を露出
させる一対の第1及び第2ホール(H1、H2)を形成する。第1および第2ホール(H1、H2)は、メモリセルのチャネル形成のための空間である。
【0198】
図3bを参照すると、第1および第2ホール(H1、H2)内に埋め込まれる窒化膜(35)を形成する。この窒化膜(35)は、後述するトレンチ形成工程(図3c参照)で第1及び第2ホール(H1、H2)により、第1ゲート電極膜(34)が露出されている場合に発生の可能性がある損傷を防止するためのものである。
【0199】
図3cを参照すると、複数の層の第1ゲート電極膜(34)が、第1および第2ホール(H1、H2)で分離されるように、一対の第1及び第2ホール(H1、H2)の間のセルゲート構造物(CGS)を選択的にエッチングしてトレンチ(S)を形成する。
【0200】
図3dを参照すると、トレンチ(S)内に埋め込まれる犠牲膜(36)を形成する。
【0201】
図3eを参照すると、前記の工程結果物(例えば、図3dに示す構造)上に、選択トランジスタの形成のために第2層間絶縁膜(37)、第2ゲート電極膜(38)を順次形成する(例えば、図3(a)〜(d)に関連して説明したプロセス)。例えば、図3eに示すように、第2層間絶縁膜(37)、第2ゲート電極膜(38)及び別の第2層間絶縁膜(37)順次に形成されてもよい。以下、説明の便宜のために、第2層間絶縁膜(37)、第2ゲート電極膜(38)及び第2層間絶縁膜(37)の積層構造を選択ゲート構造(SGS)という。
【0202】
第2層間絶縁膜(37)は、例えば、酸化膜を含むことができ、第2ゲート電極膜(38)は、例えば、不純物がドーピングされたポリシリコンを含むことができる。
【0203】
選択ゲート構造(SGS)は、選択的に第1および第2のホール(H1、H2)に埋め込まれた窒化物層(35)を露出させる少なくとも一つの孔を形成するようにエッチングすることができる。例えば、選択ゲート構造(SGS)は、第1および第2ホール(H1、H2)に埋め込まれた窒化物層(35)を露出させる第3及び第4ホール(H3、H4)を形成するために選択的にエッチングしてもよい。本明細書において、第3および第4ホール(H3、H4)は、選択トランジスタのチャネルが形成される領域であってもよい。
【0204】
図3fを参照すると、第3および第4ホール(H3、H4)によってあらわれる窒化膜(35)およびその下部の窒化膜(32)を本発明に係るエッチング用組成物を利用するウエットエッチング工程によって選択的に除去する。
【0205】
本実施形態に係る(エッチング工程を含む)フラッシュメモリのためのチャネルを形成する工程の場合、メモリセルのチャネル膜が形成されるセルチャンネルホール(例えば、一対のチャンネルホールH5、H6)と、セルのチャネルホール(H5、H6)下部に配置され、これらを相互連結させるパイプチャンネルホール(H7)とが形成される。このとき、本発明に係るフラッシュメモリ(エッチング工程を含む)のためのチャネル形成工程において、高選択比のエッチング用組成物を利用することにより、酸化膜の損失もなく十分な時間で窒化膜を完全に選択除去して、プロファイルを損なうことなく、パイプのチャンネルを正確に形成することができる。また、本発明に係るフラッシュメモリ(エッチング工程を含む)のためのチャネル形成工程において、従来問題視されていたパーティクルの発生を防止することができ、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
【0206】
以降、後続工程、フローティングゲート形成工程およびコントロールゲート形成工程などを行うことにより、フラッシュメモリ素子を形成する。
【0207】
図4aおよび4bは、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物(高選択比のエッチング用組成物)を用いたエッチング工程を含む相変化メモリ素子におけるダイオード形成工程を説明するための工程断面図である。
【0208】
図4aを参照すると、一実施形態において、基板(40)上に導電領域(41)を露出する開口部を有する絶縁構造が提供される。導電領域(41)は、例えばn+不純物領域であり得る。
【0209】
続いて、開口部を埋めるようにポリシリコン膜(42)を形成した後、不純物をイオン注入してダイオードを形成する。
【0210】
続いて、ポリシリコン膜(42)の上部にチタンシリサイド膜(43)を形成する。チタンシリサイド膜(43)は、チタン膜を形成した後、ポリシリコン膜(42)と反応するように熱処理することによって形成することができる。
【0211】
続いて、チタンシリサイド膜(43)の上部にチタン窒化膜(44)および窒化膜(45)を順に形成する。
【0212】
続いて、ハードマスクを用いたドライエッチング工程を行って形成されたダイオード間の孤立されたスペースに酸化膜(46)を形成した後、CMP工程を行い、それぞれ分離された下部電極の1次構造を形成する。
【0213】
図4bを参照すると、前記図4aに関する記載の工程成果物(例えば、図4aに示す構造)に本発明に係るエッチング用組成物(例えば、高選択比のエッチング用組成物)を利用するウエットエッチング工程を行い、上部の窒化膜(45)を選択的に除去する。このように、窒化膜除去の際、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を利用することにより、酸化膜を損失することなく十分な時間で窒化膜を完全に選択除去することができる。また、酸化膜の膜質損傷や酸化膜のエッチングによる電気的特性の低下およびパーティクル発生を防止して、素子特性を向上させることができる。続いて、窒化膜(45)が除去されたスペースにチタンを蒸着して下部電極を形成する。
【0214】
前述した工程の外に、本発明のエッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む半導体素子の製造方法は、特に窒化膜の選択的除去が要求される工程、例えば、窒化膜と酸化膜とが交互に積層されたり、混在されている場合、窒化膜に対する選択的エッチングが要求される工程に効率的に適用可能である。
【0215】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではないと理解するべきである。
<実施例A:エッチング用組成物の製造>
下記表A1に示すように、シラン無機酸塩およびリン酸を組成物の総重量に対して表される各重量比で混合して、エッチング用組成物を製造した。第1無機酸は、85%水溶液を用いた。
【0216】
【表A1】
【0217】
図5は、前記実施例Aで製造されたシラン無機酸塩の核磁気共鳴(NMR)データを示すグラフである。
【0218】
図5を参照するとグラフは、一実施形態によるエッチング用組成物中のシラン無機酸塩の少なくとも一つを示す。前記化学式A1において、R1はメチルであり、R2〜R4はクロロ基である化合物と、第2無機酸であるリン酸とが反応してシラン無機酸塩が製造されたことが確認できる。また、図5において、単一組成物を示す幅の狭いピーク(sharp peak)と異なり、11.1364ppm〜11.4053ppmにおける幅の広いピーク(broad peak)が観察される。従って、このような幅の広いピークは、エッチング用組成物が様々な化学式構造を有するシラン無機酸塩が混合していることを示す。
<実験例A1:製造されたエッチング用組成物の選択比測定>
前記製造されたエッチング用組成物を用いて157℃のプロセス温度で窒化膜および酸化膜に対するエッチングを行い、薄膜厚さの測定装置である偏光解析器(NANO VIEW、SEMG−1000)を用いて窒化膜および酸化膜のエッチング速度および選択比を測定して、表A2に示す。エッチング速度は、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した数値であり、選択比は酸化膜エッチング速度に対する窒化膜エッチング速度
の比を示す。
【0219】
【表A2】
【0220】
<比較例A1〜A3:エッチング用組成物の製造>
比較例A1では、リン酸を用いて157℃の処理温度でエッチング速度および選択比を前記実施例のように測定した。また、比較例A2では、リン酸にフッ酸0.05%を添加した混合物を利用して、フッ酸が添加された工程で可能な低温プロセスである130℃の処理温度においてエッチング速度および選択比を測定し、比較例A3では、比較例A2と同じ混合物を用いて、前記実施例と同じ157℃の処理温度でエッチング速度および選択比を測定した。比較例A1〜A3で使用されるリン酸は、85%水溶液である。比較例A1〜A3の評価結果を下記表A3に示す。
【0221】
【表A3】
【0222】
前記表A2およびA3から分かるように、実施例のエッチング用組成物が比較例A1〜A3に比べて酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比が著しく高いことが確認できる。したがって、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を用いると、酸化膜のエッチング速度を調節してEFHの調節を容易にすることができ、酸化膜の膜質損傷を防止することができる。また、従来問題視されていたパーティクル発生を防止することができ、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
【0223】
<実験例A2:時間経過による選択比変化の測定>
実施例A1およびA2で製造されたエッチング用組成物について、リン酸との混合直後(0時間)、および8時間経過後、エッチング用組成物を利用して、窒化膜および酸化膜のエッチング速度および選択比を測定した。比較例A4では、リン酸を用いて前記実施例と同様に窒化膜および酸化膜に対するエッチング速度および選択比を評価した。
【0224】
評価は160℃の処理温度で行われた。エッチング速度は、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した数値であり、選択比はPSZ膜のエッチング速度に対する窒化膜エッチング速度の比を示す。評価結果を下記表A4に示す。
【0225】
【表A4】
【0226】
前記表A4から分かるように、実施例で製造されたエッチング用組成物は、従来リン酸を用いるエッチング用組成物に比べて、窒化膜に対して非常に高いエッチング選択比を示した。したがって、このような高選択比のエッチング用組成物は、窒化膜除去時に酸化膜の膜質損傷や酸化膜のエッチングによる電気的特性の低下やパーティクル発生を防止しながら窒化膜を選択的にエッチングすることにより、素子特性を向上させることができることが分かる。
【0227】
<実施例B:エッチング用組成物の製造>
下記の表B1に示すように、シラン無機酸塩およびリン酸を組成物の総重量に対して表示される各重量比で混合して、エッチング用組成物を製造した。第1無機酸は、85%水溶液を用いた。
【0228】
【表B1】
【0229】
<実験例B1:製造されたエッチング用組成物の選択比測定>
前記製造されたエッチング用組成物を用いて157℃の処理温度で窒化膜および酸化膜に対するエッチングを行い、薄膜厚さの測定装置である偏光解析器(NANO VIEW、SEMG−1000)を用いて窒化膜および酸化膜に対するエッチング速度および選択比を測定して、表B2に示す。エッチング速度は、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した数値であり、選択比は酸化膜エッチング速度に対する窒化膜エッチング速度の比を示す。
【0230】
【表B2】
【0231】
<比較例B1〜B3:エッチング用組成物の製造>
比較例B1では、リン酸を用いて157℃の処理温度でエッチング速度および選択比を前記実施例のように測定した。また、比較例B2では、リン酸にフッ酸0.05%を添加した混合物を利用して、フッ酸が添加された工程で可能な低温プロセスである130℃の処理温度においてエッチング速度および選択比を測定し、比較例B3では、比較例B2と同じ混合物を用いて、前記実施例と同じ157℃の処理温度においてエッチング速度および選択比を測定した。比較例B1〜B3で用いられたリン酸は、85%水溶液であった。比較例B1〜B3の評価結果を下記表B3に示す。
【0232】
【表B3】
【0233】
前記表B2およびB3から分かるように、実施例のエッチング用組成物が比較例B1〜B3に比べて酸化膜の窒化膜のエッチング選択比著しく高いことが確認できる。したがって、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を用いると、酸化膜のエッチング速度を
調節してEFHの調節を容易にすることができ、酸化膜の膜質損傷を防止することができる。また、従来問題視されていたパーティクル発生を防止することができ、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
<実施例C:エッチング用組成物の製造>
下記の表C1に示すように、シロキサン無機酸塩およびリン酸を組成物の総重量に対する表示の各重量比で混合して、エッチング用組成物を製造した。第1無機酸は、85%水溶液を用いた。
【0234】
【表C1】
【0235】
<実験例C1:製造されたエッチング用組成物の選択比測定>
前記実施例C1で製造されたエッチング用組成物を用いて、157℃の処理温度で窒化膜および酸化膜に対するエッチングを行い、薄膜の厚さ測定装置である偏光解析器(NANO VIEW、SEMG−1000)を用いて窒化膜と酸化膜のエッチング速度および選択比を測定して、表C2に示す。エッチング速度は、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した数値であり、選択比は酸化膜エッチング速度に対する窒化膜エッチング速度の比を示す。
【0236】
【表C2】
【0237】
<比較例C1〜C3:エッチング用組成物の製造>
比較例C1では、リン酸を用いて157℃の処理温度でエッチング速度および選択比を前記実施例のように測定した。また、比較例C2では、リン酸にフッ酸0.05%を添加した混合物を利用して、フッ酸が添加された工程で可能な低温プロセスである130℃の処理温度においてエッチング速度および選択比を測定し、比較例C3では、比較例C2と同じ混合物を用いて、前記実施例と同じ157℃の処理温度においてエッチング速度および選択比を測定した。比較例C1〜C3で使用されるリン酸は、85%水溶液であった。比較例C1〜C3の評価結果を表C3に示した。
【0238】
【表C3】
【0239】
前記表C2とC3から分かるように、実施例のエッチング用組成物が比較例C1〜C3に比べて酸化膜の窒化膜のエッチング選択比が著しく高いことが確認できる。したがって、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を用いると、酸化膜のエッチング速度を調節してEFHの調節を容易にすることができ、酸化膜の膜質損傷を防止することができる。また、従来問題視されていたパーティクル発生を防止することができ、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
【0240】
<実験例C2:時間の経過による選択比変化の測定>
前記実施例C1で製造されたエッチング用組成物について、リン酸との混合直後(0時間)、および8時間経過後、エッチング用組成物を利用して、窒化膜および酸化膜に対するエッチング速度および選択比を測定した。比較例C4では、リン酸を用いて、前記実施例C1と同様に窒化膜および酸化膜のエッチング速度および選択比を評価した。
【0241】
評価は、160℃の処理温度で行われた。エッチング速度は、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した数値であり、選択比はPSZ膜エッチング速度に対する窒化膜エッチング速度の比を示す。評価結果を表C4に示す。
【0242】
【表C4】
【0243】
前記表C4から分かるように、実施例C1で製造されたエッチング用組成物は、従来のリン酸を用いるエッチング用組成物に比べて窒化膜に対して非常に高いエッチング選択比を示した。したがって、このような高選択比のエッチング用組成物は、窒化膜除去時に酸化膜の膜質損傷や酸化膜のエッチングによる電気的特性の低下およびパーティクルの発生を防止しながら窒化膜を選択的にエッチングすることにより、素子特性を向上させることができることが分かる。
【0244】
<実施例D:エッチング用組成物の製造>
下記表D1に示すように、シラン無機酸塩およびリン酸を組成物の総重量に対して表示される各重量比で混合して、エッチング用組成物を製造した。リン酸は、85%水溶液を用いた。
【0245】
【表D1】
【0246】
<実験例D1:製造されたエッチング用組成物の選択比測定>
前記製造されたエッチング用組成物を用いて157℃のプロセス温度で窒化膜および酸化膜のエッチングを行い、薄膜の厚さ測定装置である偏光解析器(NANO VIEW、SEMG−1000)を用いて窒化膜および酸化膜のエッチング速度および選択比を測定して表D2に示す。エッチング速度は、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した数値であり、選択比は酸化膜エッチング速度に対する窒化膜エッチング速度の比を示す。
【0247】
【表D2】
【0248】
<比較例D1〜D3:エッチング用組成物の製造>
比較例D1では、リン酸を用いて157℃のプロセス温度でエッチング速度および選択比を前記実施例のように測定した。また、比較例D2では、リン酸のフッ酸0.05%を添加した混合物を利用して、フッ酸が添加された工程で可能な低温プロセスである130℃のプロセス温度においてエッチング速度および選択比を測定し、比較例D3では、比較例D2と同じ混合物を用いて、前記実施例と同じ157℃のプロセス温度においてエッチング速度および選択比を測定した。比較例D1〜D3で使用されるリン酸は、85%水溶液であった。比較例D1〜D3の評価結果を下記表D3に示す。
【0249】
【表D3】
【0250】
前記表D2およびD3から分かるように、実施例のエッチング用組成物が比較例D1〜D3に比べて酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比著しく高いことが確認できる。したがって、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を用いると、酸化膜のエッチング速度を調節してEFHの調節を容易にすることができ、酸化膜の膜質損傷を防止することができる。また、従来問題視されていたパーティクルの発生を防止することができ、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
【0251】
本明細書において、「一実施形態」または「実施形態」とは、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な箇所における「一実施例において」とは、必ずしも全て同じ実施例を参照するのではなく、また、必ずしも他の実施例の相互排他的な別個または代替の実施例ではない。同じことが用語「実施」に適用される。
【0252】
本出願で用いられる単語「例示」は、例、事例、または描出として役立つことを意味する。本明細書で「例示」として記載の任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計より好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、むしろ単語「例示」の使用は、概念を具体的に提示するためにある。
【0253】
さらに、用語「または」は、排他的な「または」を意味するよりも包含的な「または」を主旨とする。特に指定されるか、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを用いる」は、任意の自然な包含的置換を意味することを指す。つまり、「XがAを用いる」、「XがBを用いる」、または「XがAとBの両方を用いる」とのことであり、「XがAまたはBを用いる」とは、前述の例のいずれかに合致する。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲において、冠詞「a」および「an」は、単数形を対象とするように別途指定されるかまたは文脈から明らかでない限り、通常「1つ以上」の意味として解釈されることとする。
【0254】
また、用語「システム」、「コンポーネント」、「モジュール」、「インターフェイス」、「モデル」などは、一般にハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、または実行ソフトウェアのいずれかのコンピュータ関連実体を指すこととする。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータで有り得るがそれに限定されることではない。例示として、コントローラ上で実行されるアプリケーションとコントローラとは共にコンポーネントとすることができる。1つまたは複数のコンポーネントは、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在してもよく、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局在および/または2つ以上のコンピュータ間に分散してもよい。
【0255】
本発明は、方法の形およびその方法を実施するための装置において実施されてもよい。また、本発明は、磁気記録媒体、光記録媒体、固体記憶装置、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、ハードドライブまたは任意の機械読み取り可能媒体のような、有形的表現媒体、非一時的媒体において、プログラムコードの形で具現され、プログラムコードがコンピュータなどのマシンにロードされ実行されるときに、マシンは本発明を実施するための装置となる。また、本発明は、例えば、記憶媒体に記憶されるか、マシンにロードおよび/もしくは実行されるか、または、光ファイバ、もしくは電磁放射を介して、電線や配線などの伝送媒体もしくはキャリアで伝送されたプログラムコードの形で具現化することができ、プログラムコードがコンピュータなどのマシンにロードされ実行されるとき、マシンは本発明を実施するための装置となる。汎用プロセッサ上で実施される場合、プロセッサと結び付くプログラムコードセグメントは、特定の論理回路と同様に動作する固有の装置を提供する。また、本発明は、媒体を介して電気的または光学的に送信されるビットストリームまたは他の信号値のシーケンス、本発明の方法および/または装置を使用して生成された、磁気記録媒体に保存された磁界の変化等の形で具現化することができる。
【0256】
本明細書に記載された例示的な方法のステップは、必ずしも記載された手順で行われる必要はないと理解されるべきであり、そのような方法のステップの手順は単なる例示であると理解されるべきである。同様に、追加のステップは、そのような方法に含まれてもよく、特定のステップは、本発明の様々な実施例と一致する方法で、省略又は組み合わせられてもよい。
【0257】
本明細書で構成要素および基準に関して用いられるように、用語「互換性のある」とは、構成要素が全体的または部分的に基準で特定された方法で他の構成要素と通信し、基準で特定された方法で十分に通信することが可能な前記他の構成要素によって認識されることを指す。互換性のある構成要素は、基準で特定された方法で内部的に動作する必要はない。
【0258】
本明細書における請求要素は、フレーズ「〜ための手段」または「〜ためのステップ」を使用して明確に記載されない限り、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきでない。
【0259】
本明細書に記載の本発明の実施例について、前述の実施例と利点は単なる例であり、本発明または特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。本開示の原理の趣旨および範囲内に入る多数の他の変形及び実施形態は、当業者によって考案されることができる。また本発明の教示は、他のタイプの装置にも容易に適用可能である。より具体的には、様々な変形及び変更は、開示、図面および添付の特許請求の範囲内における構成部品および/または対象の組み合わせ装置の配置において可能である。構成部品および/または配置の変化及び修正に加えて、代替的な用途は、当業者には明らかである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4a
図4b
図5