【文献】
Makromol. Chem.,1990年,191,pp.2971-2978
【文献】
Makromol. Chem.,1990年,191,pp.2979-2984
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明は一般式(I)で表される化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する組成物、当該組成物を重合させることにより得られる重合体、当該重合体を用いた液晶表示素子及び重合性液晶フィルムを提供する。
【0013】
一般式(I)において、Pは重合基を表すが、下記の式(P−1)から式(P−18)
【0015】
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。一般式(I)において、Pが複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
【0016】
一般式(I)において、Spはスペーサー基又は単結合を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から20のアルキレン基又は単結合を表すことが好ましく、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−に置き換えられてもよい炭素原子数1から12のアルキレン基を表すことがより好ましく、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から12のアルキレン基を表すことがさらに好ましく、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から8のアルキレン基がさらにまた好ましく、炭素原子数1から8のアルキレン基が特に好ましい。一般式(I)において、Spが複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
【0017】
一般式(I)において、Bは−O−又は−CH
2−を表すが、−O−を表すことが好ましい。
【0018】
一般式(I)において、A
1及びA
2は各々独立して、無置換又は1つ以上の下記Lによって置換されていてもよい炭素原子数3から20の芳香族又は非芳香族の環状基を表し、当該環状基の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよく、A
1及び/又はA
2が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていてもよいが、無置換又は1〜2個の置換基Lによって置換された1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル基、1,3‐ジオキサン‐2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基又はフルオレン−2,7−ジイル基を表すことが好ましく、無置換又は1〜2個の置換基Lによって置換された1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基又はフルオレン−2,7−ジイル基を表すことがより好ましく、無置換又は1〜2個の置換基Lによって置換された1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5ジイル基を表すことがさらに好ましく、A
1は無置換又は1〜2個の置換基Lによって置換された1,4−フェニレン基を表すことが特に好ましく、A
2は無置換又は1〜2個のLによって置換された1,4−フェニレン基又は1,3−ジオキサン−2,5ジイル基が特に好ましいが、上記Bを有する環に直接連結するA
2は無置換又は1〜2個のLによって置換された1,4−フェニレン基を表すことが特に好ましい。
【0019】
一般式(I)において、置換基LはP−Sp−基(P、Spはそれぞれ、上述の基を表す。)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されてもよい炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、置換基Lが複数現れる場合は各々同一であっても異なっていてもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよいが、P−Sp−基、フッ素原子、塩素原子又は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基を表すことが好ましく、P−Sp−基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基又はメトキシ基を表すことがより好ましい。
【0020】
一般式(I)において、Z
1及びZ
2は各々独立して−O−、−S−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Z
1及び/又はZ
2が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていてもよいが、−COO−、−OCO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことがより好ましい。特に、上記Bを有する環に直接連結するZ
2は単結合を表すことが好ましい。
【0021】
一般式(I)において、m及びnは各々独立して0から5の整数を表し、m+nは1から5の整数を表すが、m+nは1から4の整数を表すことが好ましく、m+nは1から3の整数を表すことがより好ましく、m+nは1または2を表すことがさらに好ましい。
【0022】
一般式(I)において、R
1はP−Sp−基(P、Spはそれぞれ、上述の基を表す。)、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、−N(Y
2)
2、−Si(Y
2)
3、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−C≡C−によって置換されてもよい炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、Y
2は水素原子、又は炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、Y
2が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていてもよく、R
1はP−Sp−基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、P−Sp−基又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から12の直鎖状アルキル基を表すことがより好ましい。
【0023】
一般式(I)で表される化合物として、下記一般式(i−1)から(i−5)で表される化合物がより好ましい。
【0025】
(式中、P、Sp、A
1、A
2、Z
1、Z
2、B及びR
1は各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表す。)
一般式(i−1)から(i−5)で表される化合物のうち、一般式(i−2)及び一般式(i−5)で表される化合物がさらに好ましい。
【0026】
一般式(i−1)から(i−5)で表される化合物は、それぞれ、下記一般式(ia−1)から(ia−5−2)で表される化合物が好ましい。
【0028】
(式中、P、Sp、及びLは一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、aは各々独立して0から2の整数を表し、Z
1a、Z
2aは−COO−、−OCO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表し、R
1aはP−Sp−基又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から12の直鎖状アルキル基を表す。)
一般式(ia−1)から一般式(ia−5‐2)で表される化合物に含まれる下記式(a−1)で表される基としては、下記式(a−2)から(a−7)より選択される基が好ましい。
【0030】
(Lは一般式(I)で定義されたものと同一のものを表す。)
上記一般式(ia−2)、一般式(ia−5−1)、一般式(ia−5−2)で表される化合物は、下記一般式(ib−2−1)から(ib−5−2−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0032】
(式中、P、Sp、及びLは一般式(I)で定義されたものと同一のものを表すが、P、Spが複数現れる場合は各々同一であっても異なっていてもよく、a及びZ
2aは一般式(ia−1)〜(ia−5−2)で定義されたものと同一のものを表し、R
1bは1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられてもよい炭素原子数1から12の直鎖状アルキル基を表す。)
上記一般式(ib−2−1)から一般式(ib−5−2−1)で表される化合物のうち、一般式(ib−2−2)、一般式(ib−5−1−2)、一般式(ib−5−2−1)で表される化合物が好ましく、一般式(ib−2−2)、一般式(ib−5−2−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0033】
一般式(I)で表される化合物として、具体的には、下記の式(I−1)から式(I−56)で表される化合物が好ましい。
【0043】
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(i−a2)で表される化合物の製造
【0046】
(式中、P、Sp及びLは一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、a及びR
1aは一般式(ia−1)〜(ia−5−2)で定義されたものと同一のものを表し、PGは保護基を表す。)
一般式(S−1)で表される化合物のヒドロキシル基を保護基(PG)により保護する。保護基(PG)の種類としては、反応過程において一般式(S−2)で表される化合物を与えるものであり、以降の工程において安定に当該ヒドロキシル基を保護しうるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIG SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)に挙げられている保護基が好ましい。
【0047】
一般式(S−2)で表される化合物を例えばメタンスルホニルクロリド(MsCl)と反応させることにより一般式(S−3)で表される化合物を得られるが、次反応においてマロン酸ジエチルをアルキル化することにより一般式(S−4)で表される化合物を与えるものであればこれに限定されるものではない。
【0048】
一般式(S−3)で表される化合物をマロン酸ジエチルと反応させることにより一般式(S−4)で表される化合物を得る。
【0049】
一般式(S−4)で表される化合物を例えば水素化アルミニウムリチウムにより還元することにより一般式(S−5)で表される化合物を得られるが、還元反応により(S−5)で表される化合物を与えるものであればこれに限定されるものではない。
【0050】
一般式(S−5)で表される化合物と一般式(S−6)で表される化合物を酸触媒として例えばパラトルエンスルホン酸を使用して脱水縮合することにより一般式(S−7)で表される化合物を得られるが、脱水縮合により(S−7)で表される化合物を与えるものであればこれに限定されるものではない。
【0051】
一般式(S−7)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、反応過程において一般式(S−8)で表される化合物を与えるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIG SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)に挙げられている反応条件が好ましい。
【0052】
一般式(S−8)で表される化合物と重合基を形成する化合物を反応させることにより一般式(i―a2)で表される化合物を得る。
【0053】
(i―a1)及び(i―a3)〜(i―a5−2)も同様の方法で製造することができる。
【0054】
各工程の反応条件として、例えば、実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献若しくはSciFinder又はReaxys等のデータベースに収録されている条件が挙げられる。
【0055】
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、シリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、イオン交換樹脂等が挙げられる。
<高分子安定化液晶表示素子用重合性液晶組成物>
[液晶化合物]
高分子安定化液晶表示素子を構成するため、本願発明の上記一般式(I)で表される重合性化合物と混合して使用される重合性液晶組成物としては、一般式(LC)で表される液晶化合物を含有することが好ましい。
【0057】
一般式(LC)中、R
LCは、炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。R
LCのアルキル基は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0058】
一般式(LC)中、A
LC1及びA
LC2は、それぞれ独立して、下記の基(a)、基(b)及び基(c)からなる群より選ばれる基を表す。
(a)トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH
2基又は隣接していない2個以上のCH
2基は酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)、
(c)1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基。
【0059】
前記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ、フッ素原子、塩素原子、−CF
3又は−OCF
3で置換されていてもよい。
【0060】
一般式(LC)中、Z
LCは単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−又は−OCO−を表す。
【0061】
一般式(LC)中、Y
LCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、及び炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよい。
【0062】
一般式(LC)中、aは1〜4の整数を表す。aが2、3又は4を表し、一般式(LC)中にA
LC1が複数存在する場合、複数存在するA
LC1は、同一であっても異なっていてもよく、Z
LCが複数存在する場合、複数存在するZ
LCは、同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC1)及び一般式(LC2)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
【0065】
一般式(LC1)又は(LC2)中、R
LC11及びR
LC21は、それぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよい。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、R
LC11及びR
LC21は、それぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましく、直鎖状であることが更に好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましい。
【0067】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
一般式(LC1)又は(LC2)中、A
LC11及びA
LC21はそれぞれ独立して下記の何れかの構造を表す。該構造中、シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、−CF
3又は−OCF
3で置換されていてもよい。
【0069】
一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、A
LC11及びA
LC21はそれぞれ独立して下記の何れかの構造が好ましい。
【0071】
一般式(LC1)又は(LC2)中、X
LC11、X
LC12、X
LC21〜X
LC23は、それぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、−CF
3又は−OCF
3を表し、Y
LC11及びY
LC21はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、シアノ基、−CF
3、−OCH
2F、−OCHF
2又は−OCF
3を表す。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、Y
LC11及びY
LC21は、それぞれ独立してフッ素原子、シアノ基、−CF
3又は−OCF
3が好ましく、フッ素原子又は−OCF
3がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0072】
一般式(LC1)又は(LC2)中、Z
LC11及びZ
LC21は、それぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−又は−OCO−を表す。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、Z
LC11及びZ
LC21は、それぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−が好ましく、単結合、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−OCF
2−又は−CF
2O−がより好ましく、単結合、−OCH
2−又は−CF
2O−が更に好ましい。
【0073】
一般式(LC1)又は(LC2)中、m
LC11及びm
LC21は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、m
LC11及びm
LC21は、それぞれ独立して1、2又は3が好ましく、低温での保存安定性、応答速度を重視する場合には1又は2がより好ましく、ネマチック相上限温度の上限値を改善する場合には2又は3がより好ましい。一般式(LC1)又は(LC2)中に、A
LC11、A
LC21、Z
LC11及びZ
LC21が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0074】
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることも好ましい。
【0076】
(式中、R
LC31、R
LC32、R
LC41、R
LC42、R
LC51及びR
LC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、A
LC31、A
LC32、A
LC41、A
LC42、A
LC51及びA
LC52はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
【0078】
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、−CF
3又は−OCF
3で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、Z
LC31、Z
LC32、Z
LC41、Z
LC42、Z
LC51及びZ
LC52はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表し、Z
5は−CH
2−又は酸素原子を表し、X
LC41は水素原子又はフッ素原子を表し、m
LC31、m
LC32、m
LC41、m
LC42、m
LC51及びm
LC52はそれぞれ独立して0〜3を表し、m
LC31+m
LC32、m
LC41+m
LC42及びm
LC51+m
LC52は1、2又は3であり、A
LC31〜A
LC52、Z
LC31〜Z
LC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物からなる群より選ばれる化合物を一種又は二種以上含むことが好ましい。
【0079】
R
LC31〜R
LC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0081】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
A
LC31〜A
LC52はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
【0083】
Z
LC31〜Z
LC52はそれぞれ独立して単結合、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−OCH
2−が好ましい。
【0084】
一般式(LC3)、一般式(LC4)、及び一般式(LC5)で表される化合物として、一般式(LC3−1)、一般式(LC4−1)、及び一般式(LC5−1)
【0086】
(式中、R
31〜R
33は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R
41〜R
43は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Z
31〜Z
33は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表し、X
41は水素原子又はフッ素原子を表し、Z
34は−CH
2−又は酸素原子を表す。)で表される化合物群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
【0087】
一般式(LC3−1)〜一般式(LC5−1)において、R
31〜R
33は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましい。
【0088】
R
41〜R
43は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基あるいは炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数4〜8のアルケニル基あるいは炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3のアルキル基又は炭素原子数2のアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
【0089】
Z
31〜Z
33は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表すが、単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表すことが好ましく、単結合又は−CH
2O−を表すことがより好ましい。
【0090】
高分子安定化液晶表示素子に用いる場合、重合性液晶組成物において、一般式(LC3−1)、一般式(LC4−1)、及び一般式(LC5−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を5質量%〜50質量%含有することが好ましく、5質量%〜40質量%含有することが好ましく、5質量%〜30質量%含有することがより好ましく、8質量%〜27質量%含有することがより好ましく、10質量%〜25質量%含有することがさらに好ましい。
【0091】
一般式(LC3−1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC3−11)〜一般式(LC3−15)で表される化合物が好ましい。
【0093】
(式中、R
31は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
41aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
一般式(LC4−1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC4−11)〜一般式(LC4−14)で表される化合物が好ましい。
【0095】
(式中、R
32は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
42aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、X
41は水素原子又はフッ素原子を表す。)
一般式(LC5−1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC5−11)〜一般式(LC5−14)で表される化合物が好ましい。
【0097】
(式中、R
33は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
43aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Z
34は−CH
2−又は酸素原子を表す。)
一般式(LC3−11)、一般式(LC3−13)、一般式(LC4−11)、一般式(LC4−13)、一般式(LC5−11)、及び一般式(LC5−13)において、R
31〜R
33は、一般式(LC3−1)〜一般式(LC5−1)における同様の実施態様が好ましい。R
41a〜R
43aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルキル基が特に好ましい。
【0098】
一般式(LC3−12)、一般式(LC3−14)、一般式(LC4−12)、一般式(LC4−14)、一般式(LC5−12)、及び一般式(LC5−14)において、R
31〜R
33は、一般式(LC3−1)〜一般式(LC5−1)における同様の実施態様が好ましい。R
41a〜R
43aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3のアルキル基が特に好ましい。
【0099】
一般式(LC3−11)〜一般式(LC5−14)の中でも、誘電率異方性の絶対値を増大するためには、一般式(LC3−11)、一般式(LC4−11)、一般式(LC5−11)、一般式(LC3−13)、一般式(LC4−13)及び一般式(LC5−13)が好ましく、一般式(LC3−11)、一般式(LC4−11)、一般式(LC5−11)がより好ましい。
【0100】
本発明の液晶表示素子における液晶層は、一般式(LC3−11)〜一般式(LC5−14)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、1種又は2種含有することがより好ましく、一般式(LC3−1)で表される化合物を1種又は2種含有することが特に好ましい。
【0101】
また、一般式(LC3)、一般式(LC4)、及び一般式(LC5)で表される化合物として、一般式(LC3−2)、一般式(LC3−3)、一般式(LC4−2)、及び一般式(LC5−2)
【0103】
(式中、R
51〜R
53は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R
61〜R
63は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、B
1〜B
3はフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、Z
41〜Z
43は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表し、X
42は水素原子又はフッ素原子を表し、Z
44は−CH
2−又は酸素原子を表す。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
【0104】
一般式(LC3−2)、一般式(LC3−3)、一般式(LC4−2)、及び一般式(LC5−2)において、R
51〜R
53は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましい。
【0105】
R
61〜R
63は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基あるいは炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数4〜8のアルケニル基あるいは炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3のアルキル基又は炭素原子数2のアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
【0106】
B
31〜B
33はフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、無置換の1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0107】
Z
41〜Z
43は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表すが、単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表すことが好ましく、単結合又は−CH
2O−を表すことがより好ましい。
【0108】
一般式(LC3−2)、一般式(LC3−3)、一般式(LC4−2)、及び一般式(LC5−2)で表される化合物は、液晶組成物において10〜60質量%含有することが好ましいが、20〜50質量%含有することがより好ましく、25〜45質量%含有することがより好ましく、28〜42質量%含有することがより好ましく、30〜40質量%含有することがさらに好ましい。
【0109】
一般式(LC3−2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC3−21)〜一般式(LC3−29)で表される化合物が好ましい。
【0110】
また、一般式(LC3−3)で表される化合物として、次に記載する一般式(LC3−31)〜一般式(LC3−33)で表される化合物も好ましい。
【0112】
(式中、R
51は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
61aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表すが、一般式(LC3−2)におけるR
51及びR
61と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(LC4−2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC4−21)〜一般式(LC4−26)で表される化合物が好ましい。
【0114】
(式中、R
52は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
62aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、X
42は水素原子又はフッ素原子を表すが、一般式(LC4−2)におけるR
52及びR
62と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(LC5−2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC5−21)〜一般式(LC5−26)で表される化合物が好ましい。
【0116】
(式中、R
53は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
63aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Z
44は−CH
2−又は酸素原子を表すが、一般式(LC5−2)におけるR
53及びR
63と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(LC3−21)、一般式(LC3−22)、一般式(LC3−25)、一般式(LC4−21)、一般式(LC4−22)、一般式(LC4−25)、一般式(LC5−21)、一般式(LC5−22)、及び一般式(LC5−25)において、R
51〜R
53は、一般式(LC3−2)、一般式(LC4−2)及び一般式(LC5−2)における同様の実施態様が好ましい。R
61a〜R
63aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルキル基が特に好ましい。
【0117】
一般式(LC3−23)、一般式(LC3−24)及び一般式(LC3−26)、一般式(LC4−23)、一般式(LC4−24)及び一般式(LC4−26)、一般式(LC5−23)、一般式(LC5−24)及び一般式(LC5−26)においてR
51〜R
53は、一般式(LC3−2)、一般式(LC4−2)及び一般式(LC5−2)における同様の実施態様が好ましい。R
61a〜R
63aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3のアルキル基が特に好ましい。
【0118】
一般式(LC3−21)〜一般式(LC5−26)の中でも、誘電率異方性の絶対値を増大するためには、一般式(LC3−21)、一般式(Lc3−22)及び一般式(LC3−25)、一般式(LC4−21)、一般式(LC4−22)及び一般式(LC4−25)、一般式(LC5−21)、一般式(LC5−22)及び一般式(LC5−25)が好ましい。
【0119】
一般式(LC3−2)、一般式(LC3−3)、一般式(LC4−2)及び一般式(LC5−2)で表される化合物は1種又は2種以上含有することができるが、B
1〜B
3が1,4−フェニレン基を表す化合物、及びB
1〜B
3がトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す化合物をそれぞれ少なくとも1種以上含有することが好ましい。
【0120】
また、一般式(LC3)で表される化合物として、他には、下記一般式(LC3−a)及び一般式(LC3−b)
【0122】
(式中、R
LC31、R
LC32、A
LC31及びZ
LC31はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるR
LC31、R
LC32、A
LC31及びZ
LC31と同じ意味を表し、X
LC3b1〜X
LC3b6は水素原子又はフッ素原子を表すが、X
LC3b1及びX
LC3b2又はX
LC3b3及びX
LC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、m
LC3a1は1、2又は3であり、m
LC3b1は0又は1を表し、A
LC31及びZ
LC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
【0123】
R
LC31及びR
LC32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
【0124】
A
LC31は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
【0125】
Z
LC31は単結合、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
【0126】
一般式(LC3−a)としては、下記一般式(LC3−a1)を表すことが好ましい。
【0128】
(式中、R
LC31及びR
LC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるR
LC31及びR
LC32と同じ意味を表す。)
R
LC31及びR
LC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、R
LC31が炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、R
LC32が炭素原子数1〜7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
【0129】
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b12)を表すことが好ましく、一般式(LC3−b1)、一般式(LC3−b6)、一般式(LC3−b8)、一般式(LC3−b11)を表すことがより好ましく、一般式(LC3−b1)及び一般式(LC3−b6)を表すことがさらに好ましく、一般式(LC3−b1)を表すことが最も好ましい。
【0131】
(式中、R
LC31及びR
LC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるR
LC31及びR
LC32と同じ意味を表す。)
R
LC31及びR
LC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、R
LC31が炭素原子数2又は3のアルキル基を表し、R
LC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
【0132】
また、一般式(LC4)で表される化合物は、下記一般式(LC4−a)から一般式(LC4−c)で表される化合物が好ましく、一般式(LC5)で表される化合物は、下記一般式(LC5−a)から一般式(LC5−c)で表される化合物が好ましい。
【0134】
(式中、R
LC41、R
LC42及びX
LC41はそれぞれ独立して前記一般式(LC4)におけるR
LC41、R
LC42及びX
LC41と同じ意味を表し、R
LC51及びR
LC52はそれぞれ独立して前記一般式(LC5)におけるR
LC51及びR
LC52と同じ意味を表し、Z
LC4a1、Z
LC4b1、Z
LC4c1、Z
LC5a1、Z
LC5b1及びZ
LC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表す。)
R
LC41、R
LC42、R
LC51及びR
LC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
【0135】
Z
LC4a1〜Z
LC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
【0136】
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC6)で表される化合物(ただし、一般式(LC1)〜一般式(LC5)で表される化合物を除く。)から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることも好ましい。
【0138】
一般式(LC6)中、R
LC61及びR
LC62は、それぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよい。一般式(LC6)で表わされる化合物としては、R
LC61及びR
LC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記のいずれかの構造を表すことが最も好ましい。
【0140】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
一般式(LC6)中、A
LC61〜A
LC63はそれぞれ独立して下記の何れかの構造を表す。該構造中、シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCH
2CH
2基は−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。
【0142】
一般式(LC6)で表わされる化合物としては、A
LC61〜A
LC63は、それぞれ独立して下記のいずれかの構造が好ましい。
【0144】
一般式(LC6)中、Z
LC61及びZ
LC62はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表し、mLC61は0〜3を表す。一般式(LC6)で表わされる化合物としては、Z
LC61及びZ
LC62はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−が好ましい。
【0145】
一般式(LC6)で表わされる化合物としては、下記一般式(LC6−a1)から一般式(LC6−p1)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。一般式(LC6−a1)〜一般式(LC6−p1)の式中、R
LC61及びR
LC62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表す。
【0150】
[その他の重合性化合物]
高分子安定化液晶表示素子に用いる重合性液晶組成物を構成するため、本願発明の上記一般式(I)で表される重合性化合物以外に用いるその他の重合性化合物としては、一つの反応性基を有する単官能性の重合性化合物、及び二官能又は三官能等の二つ以上の反応性基を有する多官能性の重合性化合物が挙げられる。反応性基を有する重合性化合物はメソゲン性部位を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0151】
反応性基を有する重合性化合物において、反応性基は光による重合性を有する置換基が好ましい。特に、垂直配向膜が熱重合により生成するときに、垂直配向膜材料の熱重合の際に、反応性基を有する重合性化合物の反応を抑制できるので、反応性基は光による重合性を有する置換基が特に好ましい。
【0152】
その他の重合性化合物としては、以下の一般式(P)
【0154】
(上記一般式(P)中、Z
p1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Sp
p2−R
p2を表し、
R
p1及びR
p2はそれぞれ独立して以下の式(R−I)から式(R−IX):
【0156】
のいずれかを表し、前記式(R−I)〜(R−IX)中、R
2〜R
6はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、Tは単結合または−COO−であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2を表し、
Sp
p1及びSp
p2はスペーサー基を表し、Sp
p1及びSp
p2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−(式中、sは1〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、
L
p1及びL
p2はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CO−NR
a−、−NR
a−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−COO−CR
a=CH−COO−、−COO−CR
a=CH−OCO−、−OCO−CR
a=CH−COO−、−OCO−CR
a=CH−OCO−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)z−、−(C=O)−O−(CH
2)z−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)を表し、
M
p2は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、M
p2は無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は−R
p1で置換されていても良く、
M
p1は以下の式(i−11)〜(ix−11):
【0158】
(式中、★でSp
p1と結合し、★★でL
p1若しくはL
p2と結合する。)のいずれかを表し、
M
p3は以下の式(i−13)〜(ix−13):
【0160】
(式中、★でZ
p1と結合し、★★でL
p2と結合する。)のいずれかを表し、
m
p2〜m
p4はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、m
p1及びm
p5はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、Z
p1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、R
p1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、R
p2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Sp
p1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Sp
p2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、L
p1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、M
p2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物が好ましい。また、当該重合性化合物は1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0161】
本発明に係る一般式(P)において、Z
p1は−Sp
p2−R
p2であることが好ましい。
【0162】
また、前記一般式(P)において、m
p1+m
p5が2以上であることが好ましい。
【0163】
また、前記一般式(P)において、L
p1は、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF
2O−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)z−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−(C=O)−O−(CH
2)z−、−OCF
2−又は−C≡C−であり、L
p2は、−OCH
2CH
2O−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)z−、−(C=O)−O−(CH
2)z−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−C
2H
4OCO−又は−C
2H
4COO−であり、前記式中のzは、1〜4の整数であることが好ましい。
【0164】
また、前記一般式(P)のL
p1およびL
p2の少なくともいずれかが、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)z−O−(C=O)−および−O−(C=O)−(CH
2)z−、−(C=O)−O−(CH
2)z−からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0165】
また、前記一般式(P)において、R
p1及びR
p2はそれぞれ独立して以下の式(R−1)から式(R−15):
【0167】
のいずれかがより好ましく、式(R−1)〜式(R−3)のいずれかであることがより好ましく、式(R−1)であることが特に好ましい。
【0168】
また、前記一般式(P)のm
p3は0、1、2又は3を表し、m
p2が1の場合L
p1は単結合であり、m
p2が2又は3の場合複数存在するL
p1の少なくとも1つは単結合であることが好ましい。
【0169】
また、前記一般式(P)のm
p3は0、1、2又は3を表し、m
p3が1の場合M
p2は1,4−フェニレン基であり、m
p3が2又は3の場合複数存在するM
p2のうち少なくともL
p1を介してM
p1と隣接するM
p2は1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0170】
更に、前記一般式(P)のm
p3は0、1、2又は3を表し、M
p2の少なくとも1つが、1つ又は2つ以上のフッ素で置換されている1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0171】
更に、前記一般式(P)のm
p4は0、1、2又は3を表し、M
p3の少なくとも1つが、1つ又は2つ以上のフッ素で置換されている1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0172】
また、前記一般式(P)におけるスペーサー基(Sp
p1、Sp
p2)としては、単結合、−OCH
2−、−(CH
2)
zO−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−(CH
2)
z−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF
2O−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)
z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
z−、−(C=O)−O−(CH
2)
z−、−O−(CH
2)
z−O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−又は−C≡C−であることが好ましく、当該Zは1以上10以下の整数であることが好ましい。
【0173】
本発明に係る一般式(P)の重合性化合物は、一般式(P−a)、一般式(P−b)、一般式(P−c)、一般式(P−d)、一般式(P−e)および一般式(P−f)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0176】
(上記一般式(P−a)〜一般式(P−f)中、R
p1及びR
p2はそれぞれ独立して以下の式(R−I)から式(R−IX):
【0178】
のいずれかを表し、前記式(R−I)〜(R−IX)中、R
2〜R
6はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、Tは単結合または−COO−であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2を表し、
環Aおよび環Bはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基で置換されていても良く、
環Cは以下の式(c−i)〜(c−ix):
【0180】
(式中、★でSp
p1と結合し、★★でL
p5若しくはL
p6と結合する。)のいずれかを表し、
Sp
p1及びSp
p4はスペーサー基を表し、X
p1〜X
p4は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し、
L
p4、L
p5、L
p6、L
p7、L
p8およびL
p10はそれぞれ独立して、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF
2O−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)
z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
z−、−(C=O)−O−(CH
2)
z−、−O−(CH
2)
z−O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−COOCH=CH−、−OCOCH=CH−又は−C≡C−を表し、前記式中のzは1〜8の整数を表すが、zは1〜4の整数であることが好ましく、
L
p3は、−CH=CHCOO−、−COOCH=CH−または−OCOCH=CH−を表し、
L
p9は−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF
2O−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)
z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
z−、−(C=O)−O−(CH
2)
z−、−O−(CH
2)
z−O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−COOCH=CH−、−OCOCH=CH−又は−C≡C−を表し、前記式中のzは1〜8の整数を表すが、zは1〜4の整数であることが好ましく、
上記一般式(P−a)で表される化合物において、m
p6およびm
p7は、それぞれ独立して、0、1、2または3を表し、m
p6+m
p7=2〜5を表し、L
p4が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、環A、環Bが複数存在する場合にはそれらはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、
上記一般式(P−b)で表される化合物において、m
p8およびm
p9は、それぞれ独立して、0、1、2または3を表し、m
p8+m
p9=2〜5を表すが、m
p8=m
p9=1が好ましく、環A、環Bが複数存在する場合にはそれらはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、
上記一般式(P−c)で表される化合物において、m
p10およびm
p11は、それぞれ独立して、0、1、2または3を表すが、m
p8=m
p9=0が好ましく、環A、環Bが複数存在する場合にはそれらはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、
上記一般式(P−d)で表される化合物において、m
p12及びm
p15はそれぞれ独立して1、2又は3を表し、m
p13は、0、1、2又は3を表し、m
p14は、0又は1を表し、m
p12+m
p15=3〜5を表すが、R
p1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、R
p2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Sp
p1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Sp
p4が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、L
p5が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、環A、環Cが複数存在する場合にはそれらはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、
上記一般式(P−e)で表される化合物において、m
p16およびm
p17は、それぞれ独立して、0、1、2または3を表し、m
p16+m
p17=2〜5を表し、Z
p2は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、又は、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基を表し、L
p8が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、環A、環Bが複数存在する場合にはそれらはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、
上記一般式(P−f)で表される化合物において、m
p18は、1、2または3を表し、m
p19は、1、2または3を表し、m
p18+m
p19=2〜5を表し、L
p10が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、環A、環Bが複数存在する場合にはそれらはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
以下に本発明に係る一般式(P−a)〜一般式(P−f)で表される化合物の好ましい構造を例示する。
【0181】
上記一般式(P−a)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−a−1)〜式(P−a−31)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0186】
上記一般式(P−b)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−b−1)〜式(P−b−39)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0191】
(式中、q
1及びq
2は、それぞれ独立して1〜12の整数を示し、R
3及びR
4はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
上記一般式(P−b−35)から(P−b−39)で表される化合物が液晶組成物との溶解性を高める上で好ましく、一般式(P−b−35)で表される化合物が特に好ましい。
【0192】
上記一般式(P−c)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−c−1)〜式(P−c−52)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0196】
上記一般式(P−d)で表される化合物は、以下の一般式(P−d’)で表される化合物が好ましい。
【0198】
(上記一般式(P−d’)で表される化合物において、m
p20は、2または3を表すことがより好ましい。その他の記号は上記一般式(p−d)と同一なので省略する。)
本発明に係る一般式(P−d)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−d−1)〜式(P−d−36)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0206】
上記一般式(P−e)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−e−1)〜式(P−e−11)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0209】
(式中、r及びsは、それぞれ独立して1〜11の整数を示し、R
34はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
上記一般式(P−f)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−f−1)〜式(P−f−8)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0212】
(式中、q1及びq2は、それぞれ独立して1〜12の整数を示し、R
3及びR
4は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
上記一般式(P−f−1)から(P−f−8)で表される化合物が液晶組成物との溶解性を高める上で好ましい。
【0213】
高分子安定化液晶表示素子に用いる重合性液晶組成物を構成するため、本願発明の上記一般式(I)で表される重合性化合物以外に用いる、メソゲン性部位を含んでいない、その他の重合性化合物としては、以下の一般式(X1a)
【0215】
(式中、A
1は水素原子又はメチル基を表し、
A
2は単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
A
3及びA
6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基で置換されていてもよい。)を表わし、
A
4及びA
7はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
pは0〜10を表し、
B
1、B
2及びB
3は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数3〜6のトリアルコキシシリル基で置換されていてもよい。)で表される化合物が好ましい。また、当該重合性化合物は1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0216】
上記一般式(X1a)は、一般式(II−b)で表される化合物が好ましい。
【0218】
一般式(II−b)で表される化合物は、具体的には下記式(II−q)〜(II−z)、(II−aa)〜(II−al)で表される化合物であることが好ましい。
【0222】
[重合開始剤]
本発明に用いる重合性化合物の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましく、光フリース転位によるラジカル重合、光重合開始剤によるラジカル重合がより好ましい。
[高分子安定化液晶表示素子用液晶組成物]
高分子安定化液晶表示素子を構成するために用いられる重合性液晶組成物は、上記に例示される液晶化合物と上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量のうち、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の含有量を1質量%以上10質量%未満の重合性化合物を含有することが好ましいが、重合性化合物の含有量の下限値は2質量%以上が好ましく、上限値は9質量%未満が好ましく、7質量%未満がより好ましく、5質量%未満がより好ましく、4質量%未満がより好ましい。また、高分子安定化液晶表示素子を構成するために用いられる重合性液晶組成物は、上記に例示される液晶化合物と上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量のうち、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量を10質量%以上40質量%未満の重合性化合物を含有することも好ましいが、この場合の上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量の下限値は12質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、上限値は30%質量未満が好ましく、25%質量未満がより好ましく、20%質量未満がより好ましく、15%質量未満がより好ましい。更に、高分子安定化液晶表示素子を構成するために用いられる重合性液晶組成物は、上記に例示される液晶化合物と上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量のうち、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量5質量%以上15質量%未満とすることが好ましく、7質量%以上12%未満とすることがより好ましい。本発明の高分子安定化液晶表示素子を構成するために用いられる重合性液晶組成物は、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記その他の重合性化合物の合計含有量を1質量%以上40質量%未満とすることで、一軸性の光学異方性、又は一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するポリマーネットワークを形成するものであることが好ましく、該ポリマーネットワークの光学軸又は配向容易軸と低分子液晶の配向容易軸が略一致するように形成されていることがより好ましい。
【0223】
また、高分子安定化液晶表示素子を構成するために用いられる重合性液晶組成物には、上記一般式(I)で表される重合性化合物と上記その他の重合性化合物との重合性化合物の合計量のうち、一般式(I)で表される重合性化合物を10質量%以上100質量%以下の範囲で用いることが良く、20質量%以上80質量%以下とすることが好ましいが、30質量%以上70質量%以下とすることがより好ましく、40質量%以上60質量%以下とすることがさらに好ましく、45質量%以上55質量%以下とすることが特に好ましい。
【0224】
尚、該ポリマーネットワークには、複数のポリマーネットワークが集合することにより高分子薄膜を形成したポリマーバインダも含まれる。ポリマーバインダは、一軸配向性を示す屈折率異方性を有しており、該薄膜に低分子液晶が分散され、該薄膜の一軸性の光学軸と低分子液晶の光学軸が略同一方向へ揃っていることが特徴である。従って、これにより、光散乱型液晶である高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶とは異なり光散乱が起こらず偏光を用いた液晶素子に於いて高コントラストな表示が得られる点と、立下り時間を短くして液晶素子の応答性を向上させることが特徴である。更に、本発明に用いられる重合性液晶組成物は、ポリマーネットワーク層を液晶素子全体に形成させるものであり、液晶素子基板上にポリマーの薄膜層を形成させてプレチルトを誘起させるPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶組成物とは異なる。
【0225】
何れの濃度に於いてもTgの異なる重合性化合物を少なくとも二種類以上含有させて必要に応じてTgを調整することが好ましい。Tgが高いポリマーの前駆体である重合性化合物は、架橋密度が高くなる分子構造を有する重合性化合物であって、官能基数が2以上であることが好ましい。又、Tgが低いポリマーの前駆体は、官能基数が1であるか、又は2以上であって、官能基間にスペーサーとしてアルキレン基等を有し分子長を長くした構造であることが好ましい。ポリマーネットワークの熱的安定性や耐衝撃性向上に対応することを目的にポリマーネットワークのTgを調整する場合、多官能モノマーと単官能モノマーの比率を適宜調整することが好ましい。又、Tgはポリマーネットワークの主鎖、及び側鎖に於ける分子レベルの熱的な運動性とも関連しており、電気光学特性にも影響を及ぼしている。例えば、架橋密度を高くすると主鎖の分子運動性が下がり低分子液晶とのアンカーリング力が高まり駆動電圧が高くなると共に立下り時間が短くなる。一方、Tgが下がるように架橋密度を下げるとポリマー主鎖の熱運動性が上がることにより、低分子液晶とのアンカーリング力が下がり駆動電圧が下がり立下り時間が長くなる傾向を示す。ポリマーネットワーク界面に於けるアンカーリング力は、上述のTgの他にポリマー側鎖の分子運動性にも影響され、多価分岐アルキレン基、及び多価アルキル基を有する重合性化合物を用いることでポリマー界面のアンカーリング力が下げられる。又、多価分岐アルキレン基、及び多価アルキル基を有する重合性化合物は、プレチルト角を誘起させるのに有効で極角方向のアンカーリング力を下げる方向に作用する。
【0226】
重合性液晶組成物が液晶相を示した状態で、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させることにより、重合性化合物の分子量が増加して液晶組成物と重合性化合物を相分離させる。二相に分離する形態は、含有する液晶化合物の種類や重合性化合物の種類に大きく依存して異なる。液晶相中に重合性化合物相が無数に島状の核として発生して成長するバイノーダル分解で相分離構造を形成しても良く、液晶相と重合性化合物相との濃度の揺らぎから相分離するスピノーダル分解により相分離構造を形成しても良い。バイノーダル分解によるポリマーネットワークを形成させるには、少なくとも低分子液晶の含有量を85質量%以上にするのが好ましく、重合性化合物の反応速度が速い化合物を用いることにより可視光の波長より小さい大きさの重合性化合物の核を無数に発生させてナノオーダーの相分離構造が形成されるので好ましい。結果として重合性化合物相に於ける重合が進むと相分離構造に依存して可視光の波長より短い空隙間隔のポリマーネットワークが形成され、一方、ポリマーネットワークの空隙は低分子液晶相の相分離によるもので、この空隙の大きさが可視光の波長より小さいと、光散乱性が無く高コントラストで、且つポリマーネットワークからのアンカーリング力の影響が強まり立下り時間が短くなり高速応答の液晶表示素子が得られるようになり特に好ましい。バイノーダル分解に於ける重合性化合物相の核生成は、化合物の種類や組合せによる相溶性の変化や、反応速度、温度等のパラメーターに影響され適宜必要に応じて調整することが好ましい。反応速度は、紫外線重合の場合は、重合性化合物の官能基や光開始剤の種類及び含有量、紫外線露光強度によるもので反応性を促進するように紫外線露光条件を適宜調整すれば良く、少なくとも20mW/cm
2以上の紫外線露光強度が好ましい。低分子液晶が85質量%以下では、スピノーダル分解による相分離構造でポリマーネットワークを形成させることが好ましい、スピノーダル分解では周期性のある二相の濃度の揺らぎによる相分離微細構造が得られるので可視光波長より小さい均一な空隙間隔を容易に形成するので好ましい。重合性化合物の割合が15質量%未満ではバイノーダル分解による相分離構造を形成させることが好ましく、15質量%以上ではスピノーダル分解による相分離構造を形成させることが好ましい。重合性化合物含有量が増加すると、温度の影響で低分子液晶相と重合性化合物相との二相分離する相転移温度が存在する。二相分離転移温度より高い温度では等方相を示すが、低いと分離が起こり均一な相分離構造が得られず好ましくない。温度により二相分離する場合は、二相分離温度より高い温度に於いて相分離構造を形成させることが好ましい。上述した何れの場合も、低分子液晶の配向状態と同様の配向状態を保持しながらポリマーネットワークが形成される。形成されたポリマーネットワークは、低分子液晶の配向に倣うように光学異方性を示す。ポリマーネットワーク中の液晶層の形態としては、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物が連続層をなす構造、液晶組成物のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造、更に、両基板面を起点にポリマーネットワーク層が存在し、対面基板との中心付近では液晶層のみである構造が挙げられる。何れもの構造もポリマーネットワークの作用により0〜90°のプレチルト角が液晶素子基板界面に対して誘起されていることが好ましい。形成するポリマーネットワークは、共存する低分子液晶を液晶セルの配向膜が示す配向方向へ配向させる機能を有することが好ましく、更に、ポリマー界面方向に対して低分子液晶をプレチルトさせる機能を有していることも好ましい。ポリマー界面に対して低分子液晶をプレチルトさせる重合性化合物を導入すると液晶素子の駆動電圧を低くさせるのに有用で好ましい。又、屈折率異方性を有しても良く、配向方向へ液晶を配向させる機能は、メソゲン基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。
【0227】
VAモード等の垂直配向セルに対しては垂直配向を誘起するメソゲン基を有しない多価アルキル基、又は多価分岐アルキレン基を有する重合性化合物を用いても良く、メソゲン基を有する重合性化合物との併用でも好ましい。上述の重合性液晶組成物を用いて相分離重合により垂直配向セル内にポリマーネットワークが形成された場合は、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが液晶セル基板に対して低分子液晶の垂直方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。又、セル基板表面にある垂直配向膜に液晶が傾斜配向を誘起するようにラビング処理等を施してプレチルト角を誘起するようにした垂直配向膜が用いられた場合は、プレチルトして配向している低分子液晶と同方向に繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが傾斜して形成されていることが好ましい。
【0228】
更に、電圧を印加しながらプレチルト角を誘起する方法では、重合性液晶組成物の閾値電圧よりも0.9V程度低い電圧から2V程度高い電圧の範囲で電圧を印加しながら重合させると繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが所望のプレチルト角、好ましくは0.1〜30°のプレチルト角を誘起するように傾斜して形成されるのでより好ましくなる。何れの方法で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、二枚のセル基板間を連結していることが特徴である。これにより、プレチルト角の熱的安定性が向上して液晶表示素子の信頼性を高められる。
【0229】
他に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークを傾斜配向させて形成することにより低分子液晶のプレチルト角を誘起させる方法として、官能基とメソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が6以上のプレチルト角の誘起角度が小さい二官能アクリレートと官能基と、メソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が5以下のプレチルト角の誘起角度が大きい二官能アクリレートを組合せ用いる方法が挙げられる。これらの化合物の配合比を調整することにより所望のプレチルト角を誘起させることができる。
【0230】
更に、可逆性の光配向機能を有する重合性化合物を少なくとも0.01%以上1%以下の範囲で添加して繊維状、又は柱状のポリマーネットワークを形成させる方法が挙げられる。この場合、トランス体に於いて低分子液晶と同様の棒状の形態になり低分子液晶の配向状態へ影響を及ぼす。本発明の重合性液晶組成物に含有されている該トランス体は、紫外線をセル上面から平行光として露光すると紫外線の進む方向と該棒状の分子長軸方向が平行になるように揃い、低分子液晶も同時に該トランス体の分子長軸方向へ揃うように配向する。セルに対して傾斜して紫外線を露光すると、該トランス体の分子長軸が傾斜方向に向き液晶を紫外線の傾斜方向へ配向させるようになる。即ち、プレチルト角を誘起するようになり光配向機能を示す。この段階で重合性化合物を架橋させると誘起したプレチルト角が重合相分離で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークにより固定化される。従って、VAモードで重要なプレチルト角の誘起は、電圧印加しながら重合相分離させる方法、誘起するプレチルト角が異なる重合性化合物を複数添加して重合相分離させる方法、可逆性の光配向機能を有する重合性化合物が示す光配向機能を用いて紫外線が進む方向へ低分子液晶及び重合性液晶化合物を配向させ重合相分離する方法を必要に応じて用い本発明の液晶素子を作製することができる。
【0231】
光配向機能を有する重合性化合物は、紫外線を吸収してトランス体になる光異性化合物であることが好ましく、更に、光配向機能を有する重合性化合物の反応速度が光配向機能を有する重合性化合物以外の重合性化合物の反応速度より遅いことが好ましい。UV露光されると、直ちに光配向機能を有する重合性化合物はトランス体になり光の進む方向に配向すると、周囲の重合性を含む液晶化合物も同様の方向へ配向する。この時、重合相分離が進行して低分子液晶長軸方向とポリマーネットワークの配向容易軸方向が光配向機能を有する重合性化合物の配向容易軸と同一方向へ揃いUV光が進む方向へプレチルト角が誘起される。
【0232】
更に、IPSやFFSモード等の平行配向セルに於いては、重合性液晶組成物を用いて相分離重合により繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが液晶セル基板面に有る配向膜の配向方向に対して低分子液晶は平行配向するが、形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークの屈折率異方性又は配向容易軸方向と低分子液晶の配向方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。更に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、低分子液晶が分散している空隙を除いて略セル全体に存在していることがより好ましい。ポリマー界面方向に対して該プレチルト角を誘起させることを目的に、メソゲン基を有しない多価アルキル基、又は多価アルキレン基を有する重合性化合物とメソゲン基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。
【0233】
更に、電気光学特性は、ポリマーネットワーク界面の表面積、及びポリマーネットワークの空隙間隔に影響されるが、光散乱を起こさないことが重要で、平均空隙間隔を可視光の波長より小さくすることが好ましい。例えば、該界面の表面積を広げて該空隙間隔を小さくさせるにはモノマー組成物含有量を増加させる方法がある。これにより、重合相分離構造が変化して該空隙間隔が微細になることにより該界面の表面積が増加するようにポリマーネットワークが形成され駆動電圧、及び立ち下がり時間が短くなる。重合相分離構造は、重合温度にも影響される。
【0234】
本発明に於いては、相分離速度を速くして重合させることで微細な空隙を有する相分離構造が得られるようにすることが好ましい。相分離速度は、低分子液晶と重合性化合物との相溶性や重合速度に大きく影響される。化合物の分子構造や含有量に大きく依存するので適宜組成を調整して使用することが好ましい。該相溶性が高い場合は、該重合速度の高い重合性化合物を用いることが好ましく、紫外線重合の場合は、紫外線強度を高めることが好ましい。又、重合性液晶組成物中の重合性化合物の含有量を増やすことも好ましい。相溶性が低い場合は、相分離速度は十分に速くなるので本発明の液晶素子を作製するのに好ましい。相溶性を低くする方法として、低温で重合させる方法が挙げられる。低温にすると液晶の配向秩序度が上がり、液晶とモノマーの相溶性が下がるため、重合相分離速度を速くすることができる。更に別の方法として、重合性液晶組成物を過冷却状態を示す温度にして重合させる方法も挙げられる。この場合、重合性液晶組成物の融点よりも僅かに低くすれば良いので、数度温度を低くするだけで相分離を速くさせることも可能になり好ましい。これらにより、モノマー組成物含有量数十%を液晶へ添加した場合に相当する重合相分離構造、即ち、立ち下がり時間が短くなるように作用する構造であるポリマーネットワーク界面の表面積が大きく該空隙間隔が微細なポリマーネットワーク構造が形成される。従って、本発明の重合性液晶組成物は、立ち下がり時間が短くなるように配向機能、架橋密度、アンカーリング力、空隙間隔、を考慮して重合性液晶組成を適宜調整することが好ましい。
【0235】
本発明の重合性液晶組成物を用いた液晶素子において、高いコントラストの表示を得るには光散乱が起こらないようにする必要があるが、上述した方法を考慮して目的の電圧−透過率特性、及びスイッチング特性を得られるように相分離構造を制御して適切なポリマーネットワーク層構造を形成させることが重要である。ポリマーネットワーク層構造を具体的に説明すると次のようになる。
<ポリマーネットワーク層連続構造>
液晶相中に液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造であって、ポリマーネットワークの配向容易軸や一軸の光学軸が低分子液晶の配向容易軸と略同一方向であることが好ましく、低分子液晶のプレチルト角を誘起するようにポリマーネットワークを形成させることが好ましく、ポリマーネットワークの平均空隙間隔を可視光の波長より小さい大きさで少なくとも450nmより小さくすることにより光散乱は起こらなくなるので好ましい。更に、応答の立下り時間をポリマーネットワークと低分子液晶との相互作用効果(アンカーリング力)により低分子液晶単体の応答時間より短くするには、50nm〜450nmの範囲にする事が好ましい。立下り時間が液晶のセル厚の影響が少なくなりセル厚が厚くても薄厚並の立下り時間を示すようにするには、少なくとも平均空隙間隔が下限は200nm付近で且つ上限は450nm付近の範囲に入るようにすることが好ましい。平均空隙間隔を減少させると駆動電圧の増加が課題になるが、駆動電圧の増加を25V以下に抑制して立ち下がり応答時間を短くするには250nm近傍から450nmの範囲に入るようにすれば良く、立下り応答時間が約5msecから約1msecの範囲に改善ができるので好ましい。又、駆動電圧が5V程度以内の増加に抑制するには、平均空隙間隔が300nm付近から450nmの範囲にすることが好ましい。更に、ポリマーネットワークの平均空隙間隔を制御して立下り応答時間を1msec以下の高速応答にすることも可能である。駆動電圧が30V以上に増加する場合があるが、平均空隙間隔を50nm付近から250nm付近の間にすれば良く、0.5msec以下にするには50nm近傍から200nm付近にすることが好ましい。ポリマーネットワークの平均直径は、平均空隙間隔と相反し、20nmから700nmの範囲にあることが好ましい。重合性化合物の含有量が増えると平均直径は増加する傾向にある。反応性を高くして重合相分離速度を高めるとポリマーネットワークの密度が増加してポリマーネットワークの平均直径が減少するので必要に応じて相分離条件を調整すれば良い。重合性化合物含有量が10%以下の場合は、平均直径が20nmから160nmにあることが好ましく、平均空隙間隔が200nmから450nm範囲に於いては、平均直径が40nmから160nmの範囲であることが好ましい。重合性化合物含有量が10%より大きくなると50nmから700nmの範囲が好ましく、50nmから400nmの範囲がより好ましい。
<ポリマーネットワーク層不連続構造>
液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造に対して、重合性化合物含有量が低くなりセル全体にポリマーネットワーク層が被うのに必要な量が不足するとポリマーネットワーク層が不連続に形成される。ポリイミド配向膜等の基板表面の極性が高いと重合性化合物が液晶セル基板界面付近に集まり易く、基板表面からポリマーネットワークが成長して基板界面に付着するようにポリマーネットワーク層が形成され、セル基板表面からポリマーネットワーク層、液晶層、ポリマーネットワーク層、対向基板の順で積層されるように形成される。ポリマーネットワーク層/液晶層/ポリマーネットワーク層の積層構造を示し、且つセル断面方向に対して少なくともセル厚の0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されているとポリマーネットワークと低分子液晶とのアンカーリング力の作用により立下り時間が短くなる効果が発現して好ましい傾向を示す。但し、セル厚の影響が大きくなるのでセル厚を増すと立ち下がり時間が長くなる場合は、ポリマーネットワーク層の厚さを必要に応じて増加させれば良い。ポリマーネットワーク層に於けるポリマーネットワークの構造は、低分子液晶と配向容易軸や一軸の光学軸が略同一の方向へ揃っていれば良く、低分子液晶がプレチルト角を誘起するように形成されていれば良い。平均空隙間隔は90nmから450nmの範囲が好ましい。
【0236】
例えば、重合性化合物含有量が1質量%から6質量%にする場合は、アンカーリング力の高いメソゲン基を有する二官能モノマーを用いることが好ましく、官能基間の距離が短い構造で重合速度が速い二官能モノマーを用いることが好ましく、0℃以下の低温で重合相分離構造を形成させることが好ましい。重合性化合物含有量を6質量%から10質量%未満にする場合は、該二官能モノマーとアンカーリング力が低い単官能モノマーとの組み合わせが好ましく、必要に応じて25℃から−20℃の範囲で重合相分離構造を形成させることが好ましい。更に、該融点が室温以上であれば該融点より5℃程度低くすると低温重合と同様な効果が得られるので好ましい。重合性化合物含有量を10質量%から40質量%にする場合は、ポリマーバインダ、又はポリマーネットワークの影響が低分子液晶の配向や駆動電圧に大きく影響を及ぼし駆動電圧を増大させるので、低分子液晶の配向機能を有し、且つアンカーリング力が比較的弱いメソゲン基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。例えば、アンカーリング力が弱くメソゲン基を有する重合性化合物は、官能基とメソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素数を増やすことが有効で炭素数が5〜10が好ましい。又、重合性化合物が30質量%を超えるとポリマーバインダ中に液晶滴が分散した状態になることもあり、この場合でも屈折率異方性を有しているポリマーバインダであって基板面の配向膜が示す配向方向とポリマーバインダの光軸方向が揃うことが好ましい。
【0237】
重合性液晶組成物中の重合性化合物の濃度が高いほど、液晶組成物とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなり、τdは高速化する。一方、液晶組成物とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなると、τrは低速化する。τdとτrの和を1.5ms未満とするためには、重合性液晶組成物中の重合性化合物の濃度は、1質量%以上40質量%未満であり、2質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましい。
【0238】
TFT駆動液晶表示素子に用いる場合は、フリッカーの抑制、焼付けによる残像等の信頼性を向上させる必要があり電圧保持率が重要な特性になる。電圧保持率を低下させる原因は、重合性液晶組成物内に含有しているイオン性不純物にあると考えられる。特に、可動イオンが電圧保持率に強く影響を及ぼす。そのため、少なくとも比抵抗を10
14Ω・cm以上が得られるように精製処理等を施し可動イオンを取り除くことが好ましい。又、ラジカル重合でポリマーネットワークを形成させると光重合開始剤等から発生するイオン性不純物により電圧保持率が低下する場合があるが、有機酸や低分子の副生成物発生量が少ない重合開始剤を選定することが好ましい。
[高分子安定化液晶表示素子]
本発明の液晶表示素子は、液晶組成物中に重合体又は共重合体を含有し、重合体又は共重合体の含有量が液晶組成物及び重合体又は共重合体の合計の質量の1質量%以上40質量%未満である以外は、従来技術による液晶表示素子と同じ構造を有する。即ち、本発明に係る高分子安定化液晶表示素子は、少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に液晶層が狭持された構造を有している。そして、本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方の透明基板上に液晶組成物を配向させるための配向層を有することが好ましい。基板に設けられたこの配向層と基板に設けられた電極に電圧を印加して、液晶分子の配向が制御される。ポリマーネットワーク又はポリマーバインダが一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有し、ポリマーネットワーク又はポリマーバインダの光軸方向又は配向容易軸方向と低分子液晶の配向容易軸方向が同一方向であることが好ましい。この点で、一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有さない光散乱型のポリマーネットワーク液晶や高分子分散型液晶とは異なる。更に、配向層の配向容易軸方向とポリマーネットワーク又はポリマーバインダの配向容易軸方向が同一であることが好ましい。偏光板、位相差フィルムなどを具備させることにより、この配向状態を利用して表示させる。液晶表示素子としては、TN、STN、ECB、VA、VA−TN、IPS、FFS、πセル、OCB、コレステリック液晶などの動作モードに適用できる。中でも、VA、IPS、FFS、VA−TN、TN、ECBが特に好ましい。尚、本発明の液晶表示素子は、液晶組成物中に重合体又は共重合体を含有する点で、配向膜上に重合体又は共重合体を有するPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示素子とは異なる。
【0239】
本発明の高分子安定化液晶表示素子の基板間の距離(d)は、2〜5μmの範囲が好ましく、3.5μm以下が更に好ましい。一般に、液晶組成物の複屈折率とセル厚の積が0.275近傍になるように複屈折率を調整するが、本発明の重合性液晶組成物では重合相分離後にポリマーネットワークが形成されるため、ポリマーネットワークのアンカーリング力作用とポリマーネットワークの光学的な性質により電界印加時の液晶表示素子の複屈折率が低くなるので液晶組成物、及び重合組成物、又は重合性液晶組成物に含まれる液晶組成物の複屈折率(Δn)と基板間の距離(d)の積は、駆動電圧がポリマーネットワーク形成により5V程度以内の増加では0.3〜0.4μmの範囲が特に好ましく、3V程度以内の増加では0.30〜0.35μmの範囲が更に好ましく、駆動電圧が1V以内の増加では0.29〜0.33μmの範囲が特に好ましい。液晶表示素子の基板間の距離(d)及び液晶組成物の複屈折(Δn)と基板間の距離(d)の積をそれぞれ上記範囲内とすることにより、透過率は、低分子液晶のみに匹敵して高く、高速応答で色再現性が好ましい表示を得ることができる。重合性液晶組成物に用いる液晶組成物の複屈折率を、セル厚(d)と複屈折率(Δn)の積が0.275に対して1から1.9倍になるようにすることが好ましい。
【0240】
本発明の高分子安定化液晶表示素子の駆動電圧は、液晶組成物の誘電異方性や弾性定数だけで決まるものではなく、液晶組成物とポリマー界面との間で作用するアンカーリング力に大きく影響される。例えば高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6−222320号公報において次式の関係が示されている。
【0242】
(Vthはしきい値電圧を表わし、1Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、Δεは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性高分子物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶組成物に対する透明性高分子物質のアンカーリング力を表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
これによると、光散乱型液晶表示素子の駆動電圧は、透明性高分子物質界面の平均空隙間隔、基板間の距離、液晶組成物の弾性定数・誘電率異方性、及び液晶組成物と透明性高分子物質間のアンカーリングエネルギーによって決定される。
【0243】
このうち本発明の液晶表示素子で制御できるパラメーターは、液晶物性とポリマー間のアンカーリング力である。アンカーリング力は、該ポリマーの分子構造、及び低分子液晶の分子構造に大きく依存するため、アンカーリング力が強い重合性化合物を選定すれば応答時間を1.5ms以下に速くすることが可能であるが同時に、駆動電圧が30V以上に増加するので、駆動電圧が30V以下で応答速度が1.5ms以下になるように適宜液晶化合物、及び重合性化合物の選定を行い組成を調整することが好ましい。アンカーリング力の強いポリマー前駆体とアンカーリング力の弱いポリマー前駆体を適宜配合して駆動電圧と応答速度のバランスが取れるように組成を調整することが好ましい。一方、駆動電圧を低くするのに求められる液晶組成物の物性としては、P型液晶では誘電異方性が6以上で、N型液晶では誘電異方性が−3以下にすることが特に好ましい。又、複屈折率を0.09以上にすることが好ましい。更に、液晶組成物の複屈折率と繊維状、又は柱状ポリマーネットワークの屈折率を可能な限り近づけ光散乱を無くすとより好ましくなる。但し、ポリマー前駆体の濃度に液晶素子のリターデーションが影響されるので、適宜、必要なリターデーションが得られるように液晶組成物の複屈折率を増減させて使用することが好ましい。
【0244】
本発明の高分子安定化液晶表示素子は、上述した液晶組成物を−50℃から30℃としながらエネルギー線を照射して、重合性化合物を重合して液晶組成物中に屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するポリマーネットワーク形成して得られたものであることが好ましい。重合温度の上限は、30℃であり、20℃〜−10℃好ましい。実際に重合性化合物組成に依存して低温重合、及び常温重合により、τdが更に高速化することが分かっている。この理由は、1)低温により液晶分子の配向度が上昇した状態で重合すること、2)低温重合により重合したポリマーと液晶組成物との相溶性が下がることで相分離が容易になり、重合相分離速度が速まりポリマーネットワークの空隙間隔が微細になること、3)比較的アンカーリング力が低い重合性化合物を用いても空隙間隔が微細なため、アンカーリング力の影響力が強くなるような屈折率異方性ポリマーネットワークの形成等によるものと考えられる。
【0245】
更に、本発明の高分子安定化液晶表示素子は、一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を持つポリマーネットワーク又はポリマーバインダの光軸方向又は配向容易軸方向が透明基板に対してプレチルト角を成すように形成されたものであることが好ましく、電界の強さを調整して低分子液晶の配向制御行い、基板面に対して傾斜させることにより、上述した液晶層に電圧を印加しながらエネルギー線を照射することで、重合性化合物を高分子化せしめ、液晶組成物中の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有する重合体を得てなる構成であることが好ましい。垂直配向のVAモードに於いては、基板法線方向に対してプレチルト角が20度以内になるように電圧を印加して重合させることにより、現行のVAモードセルの用いられているポルトリュージョン等やPSA液晶の微細なポリマー突起に相当する効果があるだけではなく、PSAでは実現できない高速応答を示すので特に好ましい。又、電界方向を複数の方向から印加して高分子化させることによりマルチドメインを形成させることができ、視野角向上が可能でより好ましくなる。更に、基板界面垂直配向膜界面に於いて低分子液晶がプレチルト角を誘起するように光配向処理やラビング配向処理等を該配向膜に施すことで低分子液晶配向の傾く方向が規定されスイッチング時の配向欠陥発生が抑制され好ましく、複数の方向へ傾くように該配向処理を施すとことも好ましい。前記液晶層は、重合性化合物を含有した液晶組成物に対し、適宜−50℃から30℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することで、屈折率異方性を有するポリマーネットワークの光軸方向が基板面に対してプレチルト角を成すように液晶中に形成される。このプレチルト角は低分子液晶の誘電異方性により電界を印加することにより誘起された配向状態で重合相分離させると、重合後のポリマーネットワークの光軸を基板面に対して傾斜させた液晶素子を得ることができ、前記重合性化合物を高分子化せしめた構成であることがより好ましい。
【0246】
本発明の高分子安定化液晶表示素子に使用される2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができる。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0247】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0248】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整して表示モードにより550nmの1/2、又は1/4になるようにすることが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料などからなる柱状スペーサー等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0249】
2枚の基板間に重合性液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーンまたはフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の重合性液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本発明に用いられる重合性液晶組成物は、ODF工程における液晶・モノマー複合材料の滴下が安定的に行えるため、好適に使用することができる。
【0250】
重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、活性エネルギー線である紫外線又は電子線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、重合性化合物を含有した液晶組成物に対し、重合性液晶組成物を−50℃から20℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数100Hzから5kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
【0251】
照射時の温度は、重合性液晶組成物が−50℃から30℃の温度範囲であることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、365nm未満の紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm
2〜100W/cm
2が好ましく、2mW/cm
2〜50W/cm
2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm
2から500J/cm
2が好ましく、100mJ/cm
2から200J/cm
2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
<位相差板等用重合性液晶組成物>
本願発明の一般式(I)で表される重合性化合物は、他の数種類の重合性(液晶)化合物と混ぜ合わせて重合性液晶組成物とした後、液晶状態で配列させて重合させることにより均一な配向を有するフィルム状の重合体を作製することができ、これを偏光板や位相差板(光学異方体)等に使用することができる。このような光学異方体の作製について以下に述べる。本願発明の一般式(I)で表される重合性化合物と混ぜ合わせる他の重合性液晶化合物としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられる。
(単官能重合性液晶化合物)
分子内に1個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)として、下記一般式(II−1)で表される化合物が好ましい。
【0253】
(式中、P
2は重合性官能基を表し、S
1は炭素原子数1〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、X
1は−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P
2−S
1、及びS
1−X
1は、−O−O−、−O−NH−、−S−S−及び−O−S−基を含まない。)、q1は0又は1を表し、MGはメソゲン基を表し、R
21は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−、−N(CH
3)−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基及び該アルケニル基の有する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されても良く、複数置換されている場合それぞれ同一であっても、異なっていても良い。ただし、上記一般式(I)で表される化合物を除く。)
ここで、P
2は、下記の式(P−2−1)から式(P−2−20)で表される重合性基から選ばれる置換基を表すのが好ましい。
【0255】
これらの重合性官能基のうち、重合性を高める観点から、式(P−2−1)、(P−2−2)、(P−2−7)、(P−2−12)、(P−2−13)が好ましく、式(P−2−1)、(P−2−2)がより好ましい。
【0256】
また、S
1は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表すことが好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、S
1は炭素原子数1〜12のアルキレン基を表すことがより好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良い。
【0257】
X
1は−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、X
1は−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましい。
MGはメソゲン基を表し、一般式(II−b)
【0259】
(式中、B1、B2及びB3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基、又はフルオレン−2,7−ジイル基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、及び/又は、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z1及びZ2はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、−C=N−、−N=C−、−CONH−、−NHCO−、−C(CF
3)
2−、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数2〜10のアルキル基又は単結合を表し、r1は0、1、2又は3を表し、B1及びZ1が複数存在する場合は、それぞれ、同一であっても、異なっていても良い。)で表される。このうち、B1、B2及びB3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基を表すことが好ましい。
【0260】
R
21は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1から8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素原子数1から8の直鎖又は分岐アルケニル基を表すことがより好ましく、該アルキル基及びアルケニル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基及び該アルケニル基の有する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されても良く、複数置換されている場合それぞれ同一であっても、異なっていても良い。
一般式(II−1)の例として、下記一般式(II−1−1)〜(II−1−4)で表される化合物を挙げることができるが、下記の一般式に限定されるわけではない。
【0262】
式中、P
2、S
1、X
1、q1、及び、R
21は、それぞれ、上記一般式(II−1)の定義と同じものを表し、
B11、B12、B13、B2、B3は、上記一般式(II−b)のB1〜B3の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良く、
Z11、Z12、Z13、Z2は、上記一般式(II−b)のZ1〜Z3の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良く、
上記一般式(II−1−1)〜(II−1−4)で表される化合物としては、以下の式(II−1−1−1)〜式(II−1−1−26)で表される化合物を例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0268】
式中、R
cは水素原子又はメチル基を表し、mは0〜18の整数を表し、nは0又は1を表し、R
21は、上記一般式(II−1)の定義と同じものを表すが、R
21は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1個の−CH
2−が−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、によって置換されても良い、炭素原子数1から6の直鎖アルキル基又は炭素原子数1から6の直鎖アルケニル基を表すことが好ましく、
上記環状基は、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良い。
【0269】
分子内に1個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物の合計含有量は、用いる重合性液晶化合物の合計量のうち、0〜90質量%含有することが好ましく、0〜85質量%含有することがより好ましく、0〜80質量%含有することが特に好ましい。
(2官能重合性液晶化合物)
分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(III)として、下記一般式(III−1)で表される化合物が好ましい。
【0271】
(式中、P
2及びP
3はそれぞれ独立して、重合性官能基を表し、S
1及びS
2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、X
1及びX
2はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P
2−S
1、P
3−S
2、S
1−X
1及びS
2−X
2は、−O−O−、−O−NH−、−S−S−及び−O−S−基を含まない。)、q1及びq2はそれぞれ独立して、0又は1を表し、MGはメソゲン基を表す。)
ここで、P
2及びP
3はそれぞれ独立して、下記の式(P−2−1)から式(P−2−20)で表される重合性基から選ばれる置換基を表すのが好ましい。
【0273】
これらの重合性官能基のうち、重合性を高める観点から、式(P−2−1)、(P−2−2)、(P−2−7)、(P−2−12)、(P−2−13)が好ましく、式(P−2−1)、(P−2−2)がより好ましい。
【0274】
また、S
1及びS
2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜15のアルキレン基を表すことが好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、S
1及びS
2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基を表すことがより好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良い。
【0275】
X
1及びX
2はそれぞれ独立して、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、X
1及びX
2はそれぞれ独立して、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましい。
MGはメソゲン基を表し、一般式(III−b)
【0277】
(式中、B1、B2及びB3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基、又はフルオレン−2,7−ジイル基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、及び/又は、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z1及びZ2はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、−C=N−、−N=C−、−CONH−、−NHCO−、−C(CF
3)
2−、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数2〜10のアルキル基又は単結合を表し、r1は0、1、2又は3を表し、B1及びZ1が複数存在する場合は、それぞれ、同一であっても、異なっていても良い。)で表される。このうち、B1、B2及びB3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基を表すことが好ましい。
【0278】
一般式(III−1)の例として、下記一般式(III−1−1)〜(III−1−4)で表される化合物を挙げることができるが、下記の一般式に限定されるわけではない。
【0280】
式中、P
2、S
1、X
1、q1、X
2、S
2、q2、P
3は、それぞれ、上記一般式(III−1)の定義と同じものを表し、
B11とB12とB13、B2、B3は、上記一般式(III−b)のB1〜B3の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良く、
Z11とZ12とZ13、Z2は、それぞれ、上記一般式(III−b)のZ1、Z2の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良い。
【0281】
上記一般式(III−1−1)〜(III−1−4)で表される化合物のうち、一般式(III−1−2)〜(III−1−4)で表される、化合物中に3つ以上の環構造を有する化合物を用いると、得られる光学異方体の配向性が良好で、かつ硬化性も良好であるため好ましく、化合物中に3つの環構造を有する一般式(III−1−2)で表される化合物を用いることが特に好ましい。
【0282】
上記一般式(III−1−1)〜(III−1−4)で表される化合物としては、以下の式(III−1−1−1)〜式(III−1−1−21)で表される化合物を例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0287】
式中、R
d及びR
eは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
上記環状基は、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良く、
m1、m2は、それぞれ独立して0〜18の整数を表し、n1、n2、n3、n4はそれぞれ独立して0又は1を表す。
【0288】
2つの重合性官能基を有する液晶化合物は、1種又は2種以上用いることができるが、1種〜5種が好ましく、2種〜5種がより好ましい。
【0289】
分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物の合計含有量は、用いる重合性液晶化合物の合計量のうち、10〜90質量%含有することが好ましく、15〜85質量%含有することがより好ましく20〜80質量%含有することが特に好ましい。
(多官能重合性液晶化合物)
分子内に3つ以上の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物としては、3つの重合性官能基を有する化合物を用いることが好ましい。分子内に3個の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物として、下記一般式(IV−1)で表される化合物が好ましい。
【0291】
(式中、P
2〜P
4はそれぞれ独立して、重合性官能基を表し、S
1〜S
3はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、X
1〜X
3はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P
2−S
1、P
3−S
2、P
4−S
3、S
1−X
1、S
2−X
2、及びS
3−X
3は、−O−O−、−O−NH−、−S−S−及び−O−S−基を含まない。)、q1〜q4はそれぞれ独立して、0又は1を表し、MGはメソゲン基を表す。)
ここで、P
2〜P
4はそれぞれ独立して、下記の式(P−2−1)から式(P−2−20)で表される重合性基から選ばれる置換基を表すのが好ましい。
【0293】
これらの重合性官能基のうち、重合性を高める観点から、式(P−2−1)、(P−2−2)、(P−2−7)、(P−2−12)、(P−2−13)が好ましく、式(P−2−1)、(P−2−2)がより好ましい。
【0294】
また、S
1〜S
3はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜15のアルキレン基を表すことが好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、S
1〜S
3はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基を表すことがより好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良い。X
1〜X
3はそれぞれ独立して、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、X
1〜X
3はそれぞれ独立して、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましい。
MGはメソゲン基を表し、一般式(IV−b)
【0296】
(式中、B1、B2及びB3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基、又はフルオレン−2,7−ジイル基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、及び/又は、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z1及びZ2はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、−C=N−、−N=C−、−CONH−、−NHCO−、−C(CF
3)
2−、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数2〜10のアルキル基又は単結合を表し、r1は0、1、2又は3を表し、B1及びZ1が複数存在する場合は、それぞれ、同一であっても、異なっていても良い。)で表される。このうち、B1、B2及びB3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基を表すことが好ましい。
一般式(IV−1)の例として、下記一般式(IV−1−1)〜(IV−1−8)で表される化合物を挙げることができるが、下記の一般式に限定されるわけではない。
【0298】
式中、P
2、S
1、X
1、q1、X
2、S
2、q2、P
3、X
3、q4、S
3、q3、P
4は、それぞれ、上記一般式(IV−1)の定義と同じものを表し、
B11とB12とB13、B2、B3は、それぞれ、上記一般式(IV−b)のB1〜B3の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良く、
Z11とZ12とZ13、Z2は、それぞれ、上記一般式(IV−b)のZ1、Z2の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良い。
【0299】
上記一般式(IV−1−1)〜(IV−1−8)で表される化合物としては、以下の式(IV−1−1−1)〜式(IV−1−1−6)で表される化合物を例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0302】
式中、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R
i、R
j及びR
kはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基を表し、これらの基が炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数1〜6のアルコキシ基の場合、全部が未置換であるか、あるいは1つまたは2つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよく、上記環状基は、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良い。
m4〜m9はそれぞれ独立して0〜18の整数を表し、n4〜n10はそれぞれ独立して0又は1を表す。
【0303】
3個以上の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物は、1種又は2種以上用いることができる。
【0304】
分子内に3個以上の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物の合計含有量は、用いる重合性液晶化合物の合計量のうち、0〜40質量%含有することが好ましく、0〜30質量%含有することがより好ましく、0〜20質量%含有することが特に好ましい。
(一般式(I)で表される重合性化合物)
本発明である一般式(I)で表される重合性化合物は、1種又は2種以上用いることができる。
【0305】
一般式(I)で表される重合性化合物の合計含有量は、上記一般式(I)〜一般式(IV)で表される重合性液晶化合物の合計量のうち、得られる塗膜の基材との密着性を向上させることから、10質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましく、30質量%以上含有することが特に好ましい。また、一般式(I)で表される重合性化合物の合計含有量の上限は、上記一般式(I)〜一般式(IV)で表される重合性液晶化合物の合計量のうち、90質量%以下含有することが好ましく、80質量%以下含有することがより好ましく、70質量%以下含有することが特に好ましい。
(光学異方体の製造方法)
(光学異方体)
本発明の重合性液晶組成物を用いて作製した光学異方体は、基材、必要に応じて配向膜、及び、重合性液晶組成物の重合体を順次積層したものである。
(基材)
本発明の光学異方体に用いられる基材は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品や光学フィルムに通常使用する基材であって、本発明の重合性液晶組成物の塗布後の乾燥時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材やプラスチック基材等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート(アクリル樹脂)、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン又はポリスチレン等が挙げられる。中でもポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート等のプラスチック基材が好ましく、ポリアクリレート、ポリオレフィン、セルロース誘導体等の基材がさらに好ましく、ポリオレフィンとしてCOP(シクロオレフィンポリマー)を用い、セルロース誘導体としてTAC(トリアセチルセルロース)を用い、ポリアクリレートとしてPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いることが特に好ましい。基材の形状としては、平板の他、曲面を有するものであっても良い。これらの基材は、必要に応じて、電極層、反射防止機能、反射機能を有していてもよい。
【0306】
本発明の重合性液晶組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基材の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、シランカップリング処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基材表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設ける、あるいは、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルター、等であっても良い。中でも付加価値がより高くなるピックアップレンズ、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルターは好ましい。
(配向処理)
また、上記基材には、本発明の重合性液晶組成物を塗布乾燥した際に重合性液晶組成物が配向するように、通常配向処理が施されている、あるいは配向膜が設けられていても良い。配向処理としては、延伸処理、ラビング処理、偏光紫外可視光照射処理、イオンビーム処理等が挙げられる。配向膜を用いる場合、配向膜は公知慣用のものが用いられる。そのような配向膜としては、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クマリン化合物、カルコン化合物、シンナメート化合物、フルギド化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、アリールエテン化合物等の化合物が挙げられる。ラビングにより配向処理する化合物は、配向処理、もしくは配向処理の後に加熱工程を入れることで材料の結晶化が促進されるものが好ましい。ラビング以外の配向処理を行う化合物の中では光配向材料を用いることが好ましい。
(塗布)
本発明の光学異方体を得るための塗布法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、フレキソコーティング法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディップコーティング法、スリットコーティング法等、公知慣用の方法を行うことができる。重合性液晶組成物を塗布後、必要に応じて乾燥させる。
(重合工程)
本発明の重合性液晶組成物の重合操作については、重合性液晶組成物中の液晶化合物が基材に対して水平配向、垂直配向、又はハイブリッド配向、あるいはコレステリック配向(平面配向)した状態で一般に紫外線等の光照射、あるいは加熱によって行われる。重合を光照射で行う場合は、具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。
(重合方法)
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
【0307】
照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を保持できる温度とし、重合性液晶組成物の熱重合の誘起を避けるため、可能な限り30℃以下とすることが好ましい。尚、液晶組成物は、通常、昇温過程において、C(固相)−N(ネマチック)転移温度(以下、C−N転移温度と略す。)から、N−I転移温度範囲内で液晶相を示す。一方、降温過程においては、熱力学的に非平衡状態を取るため、C−N転移温度以下でも凝固せず液晶状態を保つ場合がある。この状態を過冷却状態という。本発明においては、過冷却状態にある液晶組成物も液晶相を保持している状態に含めるものとする。具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。紫外線照射強度は、0.05kW/m
2〜10kW/m
2の範囲が好ましい。特に、0.2kW/m
2〜2kW/m
2の範囲が好ましい。紫外線強度が0.05kW/m
2未満の場合、重合を完了させるのに多大な時間がかかる。一方、2kW/m
2を超える強度では、重合性液晶組成物中の液晶分子が光分解する傾向にあることや、重合熱が多く発生して重合中の温度が上昇し、重合性液晶のオーダーパラメーターが変化して、重合後のフィルムのリタデーションに狂いが生じる可能性がある。
【0308】
マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させた後、該未重合部分の配向状態を、電場、磁場又は温度等をかけて変化させ、その後該未重合部分を重合させると、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることもできる。
【0309】
また、マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させる際に、予め未重合状態の重合性液晶組成物に電場、磁場又は温度等をかけて配向を規制し、その状態を保ったままマスク上から光を照射して重合させることによっても、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることができる。
【0310】
本発明の重合性液晶組成物を重合させて得られる光学異方体は、基板から剥離して単体で光学異方体として使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学異方体として使用することもできる。特に、他の部材を汚染し難いので、被積層基板として使用したり、他の基板に貼り合わせて使用したりするときに有用である。
(位相差膜)
本発明の位相差膜は、本発明の光学異方体と同様にして作成される。基材が位相差を有する場合には、基材の有する複屈折性、及び、本発明の位相差膜の複屈折性を加算した複屈折性を有する位相差膜が得られる。前記位相差膜は、基材の有する複屈折性と位相差膜の有する複屈折性が基材の面内で同じ方向の場合もあれば、異なる方向の場合もある。液晶デバイス、ディスプレイ、光学素子、光学部品、着色剤、セキュリティ用マーキング、レーザー発光用部材、光学フィルム、及び、補償フィルム等の用途に応じて、用途に適した形で適用される。
(位相差パターニング膜)
本発明の位相差パターニング膜は、本発明の光学異方体同様に、基材、配向膜、及び、重合性組成物溶液の重合体を順次積層したものであるが、重合工程において、部分的に異なる位相差が得られるようにパターニングされたものである。パターニングは、線状のパターニング、格子状のパターニング、円状のパターニング、多角形状のパターニング等、異なる方向の場合もある。液晶デバイス、ディスプレイ、光学素子、光学部品、着色剤、セキュリティ用マーキング、レーザー発光用部材、光学フィルム、及び、補償フィルム等の用途に応じて、適用される。
部分的に異なる位相差を得る方法としては、基材に配向膜を設け、配向処理する際に本発明の重合性組成物溶液を塗布乾燥した際に重合性組成物がパターニング配向するように処理する。そのような配向処理は、微細ラビング処理、フォトマスクを介しての偏光紫外可視光照射処理、微細形状加工処理等が挙げられる。配向膜は、公知慣用のものが用いられる。そのような配向膜としては、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クマリン化合物、カルコン化合物、シンナメート化合物、フルギド化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、アリールエテン化合物等の化合物が挙げられる。微細ラビングにより配向処理する化合物は、配向処理、もしくは配向処理の後に加熱工程を入れることで材料の結晶化が促進されるものが好ましい。ラビング以外の配向処理を行う化合物の中では光配向材料を用いることが好ましい。
【実施例】
【0311】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は、「質量%」を意味する。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0312】
【化107】
【0313】
温度計、冷却器、及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に水素化ナトリウム(油性60%)20.4g、テトラヒドロフラン200mLを加えた。氷冷しながら式(I−1−1)で表される化合物50.0g、テトラヒドロフラン200mLを滴下した。さらにテトラブチルアンモニウムブロミド34.0gを加えた後、氷冷しながらベンジルブロミド86.8gを滴下し、加熱還流させた。反応後、トルエンで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−2)で表される化合物42.6gを得た。
【0314】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−1−2)で表される化合物37.2g、トリエチルアミン54.4g、ジメチルアミノピリジン2.0g、ジクロロメタン680mLを加えた。氷冷しながらメタンスルホニルクロリド40.8gを滴下し室温で反応させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−3)で表される化合物48.0gを得た。
【0315】
温度計及び冷却器を備え窒素置換した反応容器に式(I−1−3)で表される化合物44.8g、マロン酸ジエチル24.0g、炭酸セシウム149.6g、テトラブチルアンモニウムブロミド2.0g、アセトニトリル480mLを加え加熱還流させた。反応後、アセトニトリルを留去しジクロロメタンに再溶解させ、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び蒸留により精製を行い、式(I−1−4)で表される化合物34.4gを得た。
【0316】
温度計、冷却器及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に水素化アルムニウムリチウム7.6g、テトラヒドロフラン100mLを加えた。氷冷しながら式(I−1−4)で表される化合物34.4g、テトラヒドロフラン200mLを滴下し、加熱還流させた。反応後、酢酸エチル及び硫酸水溶液を適量滴下し、セライトろ過を行い、ろ液を酢酸エチルで希釈した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、再結晶により精製を行い、式(I−1−5)で表される化合物20.0gを得た。
【0317】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−1−6)で表される化合物55.1g、2,3-ジフルオロフェノール50.0g、トリフェニルホスフィン121.0g、テトラヒドロフラン500mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル85.5gを滴下し室温で反応させた。反応後、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−7)で表される化合物58.7gを得た。
【0318】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−1−7)で表される化合物58.7g、テトラヒドロフラン500mLを加えた。−50℃に冷却しながら1.0mol/L sec-ブチルリチウム315mLを滴下し同温度で反応させた。さらに同温度でジメチルホルムアミド35.4g、テトラヒドロフラン100mLを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸を適量滴下した後、ヘキサンで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により単離精製を行い、式(I−1−8)で表される化合物26.8gを得た。
【0319】
温度計、冷却器及びディーンスターク管を備え窒素置換した反応容器に式(I−1−5)で表される化合物16.3g、式(I−1−8)で表される化合物15.0g、p-トルエンスルホン酸1水和物1.1g、シクロヘキサン140mL、ジイロプロピルエーテル35mLを加え加熱還流させた。反応後、トルエンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−1−9)で表される化合物22.2g(cis/trans=22/78)を得た。
【0320】
オートクレーブ容器に式(I−1−9)で表される化合物22.2g、5%パラジウム炭素(50%Wet)2.2g、テトラヒドロフラン220mLを加え0.4MPaの水素雰囲気下50 ℃で反応させた。反応液をろ過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により単離精製を行い、式(I−1−10)で表される化合物9.9g(cis/trans=3/97)を得た。
【0321】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−1−10)で表される化合物9.9g、ジイソプロピルエチルアミン4.5g、ジクロロメタン150mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル2.7gを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1)で表される化合物8.0g(trans体のみ)を得た。
MS 483 (M+H
+)
(実施例2)式(I−19)で表される化合物の製造
【0322】
【化108】
【0323】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に(I−1−2)で表される化合物40.0g、2。,3−ジフルオロフェノール22.8g、トリフェニルホスフィン55.1g、テトラヒドロフラン230mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル39.1gを滴下し室温で反応させた。反応後、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−19−1)で表される化合物30.4gを得た。
【0324】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−19−1)で表される化合物30.4g、テトラヒドロフラン250mLを加えた。−50℃に冷却しながら1.0mol/L sec−ブチルリチウム150mLを滴下し同温度で反応させた。さらに同温度でジメチルホルムアミド13.9g、テトラヒドロフラン40mLを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸を適量滴下した後、ヘキサンで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により単離精製を行い、式(I−19−2)で表される化合物6.9gを得た。
【0325】
温度計、冷却器及びディーンスターク管を備え窒素置換した反応容器に式(I−1−5)で表される化合物6.1g、式(I−19−2)で表される化合物6.9g、p-トルエンスルホン酸1水和物0.4g、シクロヘキサン60mL、ジイロプロピルエーテル15mLを加え加熱還流させた。反応後、トルエンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−19−3)で表される化合物9.1g(cis/trans=26/74)を得た。
【0326】
オートクレーブ容器に式(I−19−3)で表される化合物9.1g、5%パラジウム炭素(50%Wet)1.1g、テトラヒドロフラン80mLを加え0.4MPaの水素雰囲気下50 ℃で反応させた。反応液をろ過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により単離精製を行い、式(I−19−4)で表される化合物3.0g(cis/trans=4/96)を得た。
【0327】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−19−4)で表される化合物3.0g、ジイソプロピルエチルアミン3.0g、ジクロロメタン60mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル1.9gを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−19)で表される化合物1.1g(trans体のみ)を得た。
MS 525 (M+H
+)
(実施例3)式(I−38)で表される化合物の製造
【0328】
【化109】
【0329】
オートクレーブ容器に式(I−1−5)で表される化合物15.0g、5%パラジウム炭素(50%Wet)1.5g、テトラヒドロフラン90mLを加え0.5MPaの水素雰囲気下35 ℃で反応させた。反応液をろ過後濃縮して式(I−38−1)で表される化合物10.0gを得た。
【0330】
温度計、冷却器及びディーンスターク管を備えた反応容器に式(I−38−1)で表される化合物9.0g、テレフタルアルデヒド3.1g、p-トルエンスルホン酸1水和物0.2g、トルエン55mLを加え加熱還流させた。反応後、テトラヒドロフランで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、再結晶により精製を行い、式(I−38−2)で表される化合物8.7gを得た。
【0331】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−38−2)で表される化合物8.4g、ジイソプロピルエチルアミン7.2g、ジクロロメタン120mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル4.4gを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−38)表される化合物5.5gを得た。
MS 595 (M+H
+)
(実施例4)式(I−26)で表される化合物の製造
【0332】
【化110】
【0333】
温度計、冷却器、及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に水素化ナトリウム(油性60%)31.5g、テトラヒドロフラン420mLを加えた。氷冷しながら式(I−26−1)で表される化合物50.0g、テトラヒドロフラン420mLを滴下した。さらにテトラブチルアンモニウムブロミド53.0gを加えた後、氷冷しながらベンジルブロミド134.8gを滴下し、加熱還流させた。反応後、トルエンで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−26−2)で表される化合物45.9gを得た。
【0334】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−26−2)で表される化合物45.9g、トリエチルアミン83.7g、ジメチルアミノピリジン3.4g、ジクロロメタン840mLを加えた。氷冷しながらメタンスルホニルクロリド63.2gを滴下し室温で反応させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−26−3)で表される化合物64.7gを得た。
【0335】
温度計及び冷却器を備え窒素置換した反応容器に式(I−26−3)で表される化合物64.7g、マロン酸ジエチル38.2g、炭酸セシウム237.3g、テトラブチルアンモニウムブロミド3.4g、アセトニトリル650mLを加え加熱還流させた。反応後、アセトニトリルを留去しジクロロメタンに再溶解させ、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び蒸留により精製を行い、式(I−26−4)で表される化合物41.2gを得た。
【0336】
温度計、冷却器及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に水素化アルムニウムリチウム10.1g、テトラヒドロフラン240mLを加えた。氷冷しながら式(I−26−4)で表される化合物41.2g、テトラヒドロフラン120mLを滴下し、加熱還流させた。反応後、酢酸エチル及び硫酸水溶液を適量滴下し、セライトろ過を行い、ろ液を酢酸エチルで希釈した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、再結晶により精製を行い、式(I−26−5)で表される化合物22.4gを得た。
【0337】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−26−2)で表される化合物35.1g、2,3−ジフルオロフェノール25.0g、トリフェニルホスフィン60.5g、テトラヒドロフラン250mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル42.7gを滴下し室温で反応させた。反応後、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−26−6)で表される化合物30.5gを得た。
【0338】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−26−6)で表される化合物30.5g、テトラヒドロフラン250mLを加えた。−50℃に冷却しながら1.0mol/Lsecブチルリチウム142mLを滴下し同温度で反応させた。さらに同温度でジメチルホルムアミド16.0g、テトラヒドロフラン40mLを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸を適量滴下した後、ヘキサンで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により単離精製を行い、式(I−26−7)で表される化合物10.7gを得た。
【0339】
温度計、冷却器及びディーンスターク管を備え窒素置換した反応容器に式(I−26−5)で表される化合物8.6g、式(I−26−7)で表される化合物10.7g、p-トルエンスルホン酸1水和物0.7g、シクロヘキサン100mL、ジイロプロピルエーテル25mLを加え加熱還流させた。反応後、トルエンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−26−8)で表される化合物13.8g(cis/trans=24/76)を得た。
【0340】
オートクレーブ容器に式(I−26−8)で表される化合物13.8g、5%パラジウム炭素(50%Wet)1.4g、テトラヒドロフラン120mLを加え0.4MPaの水素雰囲気下50 ℃で反応させた。反応液をろ過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により単離精製を行い、式(I−26−9)で表される化合物7.6g(cis/trans=3/97)を得た。
【0341】
温度計及び滴下ロートを備え窒素置換した反応容器に式(I−26−9)で表される化合物7.6g、ジイソプロピルエチルアミン8.9g、ジクロロメタン140mLを加えた。氷冷しながら塩化メタクリロイル6.2gを滴下し室温で反応させた。反応後、10%塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−26)で表される化合物4.0g(trans体のみ)を得た。
MS 469(M+H
+)
<高分子安定化液晶表示素子>
(実施例5)
n型液晶として下記(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を調製した。重合性化合物として、下記式(I−1)で示される化合物及び、下記式(A−1)で示される化合物を用いた。
【0342】
n型液晶組成物として(LCN−1;Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)90%、重合性化合物(I−1)8%、重合性化合物(A−1)2%及び重合光開始剤Irgacure651を0.2%含有する重合性液晶組成物(LCM−1)を調製した。 液晶の垂直配向(ホメオトロピック配向)が得られるように、セルギャップ3μmのポリイミド配向膜を塗布した後、基板面法線方向に対してプレチルト角が1°〜2°になるようにラビング配向処理を施しITO付きパラレルラビング配向のセルを用いた。重合性液晶組成物(LCM−1)を60℃に加熱して、真空注入法によりガラスセル内に注入した。
【0343】
注入後ガラスセルを取り出し、注入口を封口剤3026E(スリーボンド社製)で封止した。紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介した照射強度が15mW/cm
2の紫外線を、25℃又は−10℃で300秒間照射した。これにより重合性液晶組成物の重合性化合物を重合させて、VAモードの液晶表示素子を得た。直交する二枚の偏光板の間に作製したセルを置くと黒くなりセルを方位角方向へ回転しても暗視野が変化せず、ポリマーネットワークの光軸方向と液晶配向容易軸方向が同一方向であることを確認した。
【0344】
60Hzの矩形波を印加して、電圧−透過率特性(V90:透過率90%時の印加電圧)び応答時間(立下り時間、立上り時間)を測定した結果を以下の表1に示す。
【0345】
【化111】
【0346】
【化112】
【0347】
【化113】
【0348】
(実施例6)
用いる重合性化合物を、重合性化合物(I−19)5%及び重合性化合物(A−1)5%に変更した以外は実施例5と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0349】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(実施例7)
用いる重合性化合物を、重合性化合物(I−38)10%に変更した以外は実施例5と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0350】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(実施例8)
用いる重合性化合物を、重合性化合物(I−26)10%に変更した以外は実施例5と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0351】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(比較例1)
重合性化合物を用いない(すなわち液晶組成物(LCN−1)100%)以外は実施例5と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0352】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(比較例2)
用いる重合性化合物を、重合性化合物(A−1)5%及び重合性化合物(A−2)5%に変更した以外は実施例5と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0353】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(実施例9)
n型液晶として(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を下記(LCN−2)で示される組成物(Δn0.12、粘性η19mPa・s、Δε−3.3)に変更した以外は実施例5と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0354】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(実施例10)
n型液晶として(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を下記(LCN−2)で示される組成物(Δn0.12、粘性η19mPa・s、Δε−3.3)に変更し、用いる重合性化合物を、重合性化合物(I−19)7%及び重合性化合物(A−1)3%に変更した以外は実施例6と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0355】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(実施例11)
n型液晶として(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を下記(LCN−2)で示される組成物(Δn0.12、粘性η19mPa・s、Δε−3.3)に変更した以外は実施例7と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0356】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(実施例12)
用いる重合性化合物を(I−19)から(I−26)に変更した以外は実施例10と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0357】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(比較例3)
n型液晶として(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を下記(LCN−2)で示される組成物(Δn0.12、粘性η19mPa・s、Δε−3.3)に変更した以外は比較例1と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0358】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
(比較例4)
n型液晶として(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を下記(LCN−2)で示される組成物(Δn0.12、粘性η19mPa・s、Δε−3.3)に変更した以外は比較例2と同様の方法にて、VAモードの液晶表示素子を得た。
【0359】
60Hzの矩形波を印加して電圧−透過率特性及び応答時間を測定した結果を以下の表1に示す。
【0360】
【化114】
【0361】
【表1】
【0362】
この結果、本発明の一般式(I)で表される重合性化合物を用いた実施例は、重合性化合物を用いていない比較例1、比較例3の結果と比べ、立下り時間及び立上り時間が著しく短くなり、応答性の改善が見られた。さらに、本発明の一般式(I)で表される重合性化合物を用いた実施例5〜12は、本発明の一般式(I)で表される重合性化合物を用いていない比較例2及び比較例4と比べV90の値が低下し、駆動電圧の増加が抑えられた液晶表示素子を得ることができる。
<光学異方体>
(実施例13〜16、比較例5〜6)
(重合性液晶組成物(1)の調製)
下記表に示す通り、式(I−1)で表される化合物30質量部、式(X−1)で表される化合物20質量部、式(X−2)で表される化合物20質量部、式(X−3)で表される化合物30質量部の合計値100質量部に対して、重合開始剤イルガキュア907(E-1)5質量部、p−メトキシフェノール(MEHQ)(F−1)0.1質量部、及び、界面活性剤メガファックF−554(G−1)0.1質量部用い、これらの化合物の全合計量が25質量%となるように、有機溶媒であるMEK(H−1)75質量%を用い、攪拌プロペラを有する攪拌装置を使用し、攪拌速度が500rpm、溶液温度が60℃の条件下で1時間攪拌後、0.2μmのメンブランフィルターで濾過して重合性液晶組成物(1)を得た。
(重合性液晶組成物(2)〜(4)、比較用重合性液晶組成物(5)及び(6)の調製)
本発明の重合性液晶組成物(1)において、式(I−1)で表される化合物を式(I−19)、式(I−38)、式(I-26)、式(R−1)、式(R−2)で表される化合物にそれぞれ変更した以外は重合性液晶組成物(1)の調製と同一条件で、下記表2に示すような重合性液晶組成物(2)〜(4)、比較用重合性液晶組成物(5)及び(6)を得た。
【0363】
【表2】
【0364】
【化115】
【0365】
【化116】
【0366】
(実施例13)
<密着性等評価用薄膜の作製>
基材として、COP(シクロオレフィンポリマー)基板上に垂直配向膜用であるシランカップリング系材料(JNC製:DMOAP)をスピンコート法で塗布し、100℃で1時間焼成して基材を得た。得られた基材にバーコーター♯5を用いて、調整した上記重合性液晶組成物(1)を室温で、塗布し、60℃で2分乾燥した。その後、25℃で1分放置した後に、コンベア式の高圧水銀ランプを使用して、照度が200mJ/cm
2となるようにセットしてUV光を照射することにより、実施例13の薄膜を得た。
<塗膜の密着性評価>
上記により得られた薄膜(塗膜)を、JIS K5600−5−6に則り、カッターを用いたクロスカット法を用いて、カッターで碁盤目状に切り目を入れ、2mm角の碁盤目にし、塗膜の密着性を測定した。
分類0:いずれの基盤目にもはがれがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれが確認される(5%未満)。
分類2:塗膜がカットの線に沿って、交差点においてはがれている(5%以上15%未満)。
分類3:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている(15%以上35%未満)。
分類4:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的に大きくはがれを生じている(35%以上65%未満)。
分類5:分類4以上(65%以上)。
<塗膜のヘイズ評価>
上記密着性評価試験において得られた薄膜を、日本電色工業株式会社製の濁度計NDH2000を用いて3点測定し平均値を評価した。
◎:0.1未満
○:0.1以上0.2未満
△:0.2以上0.5未満
×:0.5以上
<塗膜の耐久性評価>
上記密着性評価試験において得られた薄膜を85℃で500時間加熱して耐久性測定用薄膜を得た。上記加熱試験前後の入射光θ=50°の位相差Reを大塚電子製のRETS−100にて測定し(波長は550nm)、加熱前の位相差を100%とした場合の加熱後の位相差変化率を評価した。
◎:変化なし
○:3%未満の低下
△:3%以上〜7%未満の低下
×:7%以上の低下
得られた結果を以下の表3に示す。
【0367】
【表3】
【0368】
(実施例14〜16、比較例5〜6)
重合性液晶組成物(2)〜(6)を用いて、実施例13と同様に、密着性評価用薄膜を作製し、密着性、ヘイズ、耐久性を測定した。結果を、それぞれ、実施例14〜16、比較例5〜6とし、上記表3に示す。
【0369】
その結果、式(I−1)、式(I−19)、式(I−38)、式(I−26)で表される本願発明の化合物を用いた重合性液晶組成物(実施例13〜16)は、比較例5〜6に比べ、基材との密着性が良好な光学異方体を得ることができる。