特許第6893733号(P6893733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6893733冷凍菓子用ミックスおよびそれを使用した冷凍菓子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893733
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】冷凍菓子用ミックスおよびそれを使用した冷凍菓子
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/00 20060101AFI20210614BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   A23G9/00 101
   A23D9/00 512
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-140782(P2017-140782)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-17335(P2019-17335A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】豊口 柚実子
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 世里子
(72)【発明者】
【氏名】長澤 丈志
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 一郎
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−312560(JP,A)
【文献】 特開2003−284503(JP,A)
【文献】 特開2015−000041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G、A23D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜16質量%の油脂を含有する冷凍菓子用ミックスであって、
当該油脂中に、パーム系油脂およびラウリン系油脂の両方と、オリーブ油とを有し、当該油脂中の、当該パーム系油脂の含有量が40〜85質量%であり、当該ラウリン系油脂の含有量が5〜30質量%であり、当該オリーブ油の含有量が10〜50質量%である、冷凍菓子用ミックス。
【請求項2】
前記オリーブ油が、ピュアオリーブオイルまたはバージンオリーブオイルである、請求項1に記載の冷凍菓子用ミックス。
【請求項3】
前記パーム系油脂が、パーム油であり、前記ラウリン系油脂がヤシ油である、請求項1または2に記載の冷凍菓子用ミックス。
【請求項4】
前記油脂が、3.0〜25.0質量%のUUUを含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の冷凍菓子用ミックス
(ただし、Uは炭素数が16以上の不飽和脂肪酸、UUUは1分子のグリセリンに3分子のUがエステル結合したトリグリセリド、を意味する)。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の冷凍菓子用ミックスが、フリージングされた状態にある、冷凍菓子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍菓子用ミックスおよびそれを使用した冷凍菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
アイスクリーム類に代表される冷凍菓子(冷菓)は、水に、水以外の固形分として、脂肪分、乳成分、糖類、乳化剤、安定剤などを混合乳化して水中油型の液状のミックスを調製し、得られたミックスを必要に応じて含気しながらフリージングして、その後冷凍することにより製造される。一般にアイスクリーム類は、涼をとるために、暑い夏季に消費が増加する。したがって、冷たいだけではなく、食したときの速やかな口どけが重要である。
【0003】
アイスクリーム類には、口どけがよいヤシ油などのラウリン系油脂がよく使用される。ヤシ油以外にも、口どけや保形性を考慮して、例えば、ヤシ油とパーム油の混合油(特許文献1)や、ラウリン系油脂とSUS型油脂の混合油(特許文献2)が提案されている。しかしながら、近年、アイスクリーム類は、冬季に暖かい室内で食されるなど、一年を通して消費されるようになってきた。たとえば、冬季の場合、夏季とは異なり、アイスクリーム類は、速やかな口どけというよりも、風味が濃厚な(コク味がある)ものが求められる。このように、アイスクリーム類が食される機会が増加した結果、アイスクリーム類に求められる風味も幅広くなってきている。従って、新たな風味を有する冷凍菓子の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−36943号公報
【特許文献2】特開平8−298934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、風味が濃厚(コク味がある)でありながら、爽やかな風味も併せ持つ冷凍菓子、および当該冷凍菓子用のミックスを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、油脂を含有する冷凍菓子用ミックスの油脂中に、パーム系油脂およびラウリン系油脂の少なくとも一方に加えて、オリーブ油を含有させることにより、上記課題が解決することを見出した。これにより、本発明は完成された。
【0007】
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)油脂を含有する冷凍菓子用ミックスであって、上記油脂中に、パーム系油脂およびラウリン系油脂の少なくとも一方と、オリーブ油とを有し、上記油脂中の上記オリーブ油の含有量が、10〜50質量%である、冷凍菓子用ミックス。
(2)上記油脂が、パーム系油脂およびラウリン系油脂の両方を含む、(1)の冷凍菓子用ミックス。
(3)上記油脂中の上記パーム系油脂の含有量が、40〜85質量%であり、前記油脂中の前記ラウリン系油脂の含有量が、5〜30質量%である、(2)の冷凍菓子用ミックス。
(4)上記パーム系油脂が、パーム油であり、上記ラウリン系油脂がヤシ油である、上記(1)〜(3)の何れか1つの冷凍菓子用ミックス。
(5)(1)〜(4)の何れか1つの冷凍菓子用ミックスが、フリージングされた状態にある、冷凍菓子。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、風味が向上された冷凍菓子を提供できる。また、当該冷凍菓子用のミックスを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂を含有し、油脂中に、パーム系油脂およびラウリン系油脂の少なくとも一方と、オリーブ油とを含有し、オリーブ油の含有量が、10〜50質量%である。
【0010】
(パーム系油脂)
本発明におけるパーム系油脂とは、パーム油や、その加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)であり、より具体的には、パーム油、パーム油の1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)およびパームステアリン(ハードステアリン)などが挙げられる。原料油脂として、パーム系油脂以外の油脂を含む加工油脂は、原料油脂に占めるパーム系油脂の含有量が70質量%以上(好ましくは80質量%以上)である場合パーム系油脂として扱う。本発明の実施の形態においては、これらパーム系油脂から選ばれる1種又は2種以上を用いてもよい。パーム系油脂が含まれると、冷凍菓子用ミックスをフリージングしたときに、オーバーランが出やすい。本発明においては、パーム油が好適に使用できる。
【0011】
(ラウリン系油脂)
本発明におけるラウリン系油脂とは、構成脂肪酸の全量に占めるラウリン酸の含有量が30質量%以上である油脂である。ラウリン系油脂として、例えば、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン及びパーム核ステアリンなどの分別油、これらを用いたエステル交換により得られる油脂、及び、これらの硬化油(例えば、パーム核極度硬化油、パーム核オレイン極度硬化油)が挙げられる。本発明の実施の形態においては、これらラウリン系油脂から選ばれる1種又は2種以上を用いてもよい。冷凍菓子用ミックスにラウリン系油脂が含まれると、冷凍菓子用ミックスをフリージングした冷凍菓子の口どけが良くなる。本発明においては、ヤシ油が好適に使用できる。
【0012】
(オリーブ油)
本発明におけるオリーブ油としては、オリーブの果肉を圧搾して得た油を通常の精製処理した精製オリーブ油でも構わないが、搾ったものを遠心分離や静置して滓を取り除いたのみのバージンオリーブオイルやバージンオリーブオイルと精製オリーブ油とを混合したピュアオリーブオイルが風味向上効果の点でより好ましい。特にバージンオリーブオイルの中でも官能検査や酸度の違いから更に細分化された高級品であるエキストラバージンオリーブオイル(酸度0.8%以下)が最も好ましい。
【0013】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスの油脂中のオリーブ油の含有量は、冷凍菓子用ミックス中の油脂の全量に対して、10〜50質量%、好ましくは、10〜30質量%、さらに好ましくは、15〜25質量%とすることができる。オリーブ油の含有量が上記範囲内であれば、得られる冷凍菓子の風味が、濃厚かつ爽やかになるため、好ましい。
【0014】
また、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスの油脂は、パーム系油脂とラウリン系油脂の両方を有することができる。この場合、好ましくは、オリーブ油の含有量が、パーム系油脂の含有量よりも少なく、かつ、ラウリン系油脂の含有量よりも多いことが好ましい。
【0015】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスの油脂が、パーム系油脂とラウリン系油脂の両方を有する場合、パーム系油脂の含有量とラウリン系油脂の含有量との合計は、冷凍菓子用ミックス中の油脂の全量に対して50〜90質量%、好ましくは、70〜90質量%、さらに好ましくは、75〜85質量%とすることができる。
【0016】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスの油脂が、パーム系油脂とラウリン系油脂の両方を有する場合、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスの油脂中のパーム系油脂の含有量は、冷凍菓子用ミックス中の油脂の全量に対して、50〜85質量%、好ましくは、60〜75質量%、より好ましくは、65〜70質量%である。また、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスの油脂中のラウリン系油脂の含有量は、冷凍菓子用ミックス中の油脂の全量に対して、5〜30質量%、好ましくは、7〜20質量%、より好ましくは、10〜15質量%である。パーム系油脂の含有量とラウリン系油脂の含有量が上記範囲内であれば、得られる冷凍菓子の口どけがシャープとなるため、好ましい。
【0017】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂中に、HHHを3.0〜8.0質量%含有してもよい。ここで、Hは炭素数が16以上の飽和脂肪酸であり、HHHは1分子のグリセリンに3分子のHがエステル結合したトリグリセリドである。HHHを構成するHは、炭素数が16以上の飽和脂肪酸であれば同一の脂肪酸である必要はなく、任意の組合せでよい。Hは、好ましくは炭素数16〜22の直鎖飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸である。HHHは、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、より好ましくは3.5〜7.5質量%含まれ、さらに好ましくは4.0〜7.0質量%含まれる。冷凍菓子用ミックスの油脂中にHHHが上記範囲内で含まれると、当該ミックスをフリージングした冷凍菓子のコク味が増すとともに、副次的な効果として、冷凍菓子にボディー感が付与される。
【0018】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂中に、UUUを3.0〜25.0質量%含有してもよい。ここで、Uは炭素数が16以上の不飽和脂肪酸であり、UUUは1分子のグリセリンに3分子のUがエステル結合したトリグリセリドである。UUUを構成するUは、炭素数が16以上の不飽和脂肪酸であれば同一の脂肪酸である必要はなく、任意の組合せでよい。Uは、好ましくは炭素数16〜22の直鎖不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の直鎖不飽和脂肪酸である。UUUは、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、より好ましくは6.0〜23.0質量%含まれ、さらに好ましくは10.0〜20.0質量%含まれる。冷凍菓子用ミックスの油脂中にUUUが上記範囲内で含まれると、当該ミックスをフリージングした冷凍菓子のコク味が増す。
【0019】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、SU2を25〜40質量%含有してもよい。ここで、Sは飽和脂肪酸であり、Uは不飽和脂肪酸であり、SU2は1分子のグリセリンに2分子のUと1分子のSがエステル結合したトリグリセリドである。SU2は、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、より好ましくは30〜35質量%含まれ、さらに好ましくは31〜33質量%含まれる。冷凍菓子用ミックスの油脂中にSU2が上記範囲内で含まれると、得られる冷凍菓子の口どけがシャープとなるため、好ましい。
【0020】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに使用される油脂は、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂が、パーム系油脂およびラウリン系油脂の少なくとも一方と、オリーブ油であって、油脂中のオリーブ油の含有量が10〜50質量%という条件を満たせば、特に制限されることはない。食用に適した任意の油脂を任意の組み合わせで使用できる。例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレインおよびパームスーパーオレインなど)、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、綿実油、落花生油、亜麻仁油、乳脂、ラード、牛脂、魚油およびココアバター、ならびにこれらの油脂を、混合、分別、水素添加、エステル交換などから選ばれる一種もしくは二種以上の加工を行った油脂を使用してもよい。
【0021】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、乳脂を含有してもよい。本発明における乳脂は、いわゆる乳脂とその加工品を含むものであり、より具体的には、バター、バターオイルもしくはそれらの分別油、分別油の発酵物、発酵バター、発酵バターオイル、もしくは、それらの分別油などが挙げられ、それらの1種もしくは2種以上を任意に用いることができる。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂は、乳脂を、好ましくは2〜50質量%含有し、より好ましくは4〜30質量%含有し、さらに好ましくは5〜20質量%含有する。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂に占める乳脂の含有量が上記範囲内にあると、冷凍菓子用ミックスをフリージングした冷凍菓子のコク味が、オリーブ油と乳脂のコク味が相乗して深みのある味わいとなる。
【0022】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂を2〜20質量%含有してもよい。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックス中の油脂含量は、より好ましくは3〜16質量%であり、さらに好ましくは4〜14質量%である。
なお、本発明において冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂の含有量は、ミックスに配合される含油成分中の油脂の含有量も含める。例えば、油脂の含有量が12質量%であるココアパウダーをミックス中に5質量%含む場合、ミックスに含まれる油脂に、ココアパウダー由来の油脂0.6質量%(=5×0.12)を含める。
【0023】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、上記油脂の他、通常冷凍菓子用ミックスに使用される、水、乳製品、糖類、乳化剤、安定剤、香料および呈味剤などを使用してもよい。上記乳製品としては、例えば、牛乳、脱脂乳、生クリーム、バター、脱脂粉乳、全脂粉乳、加糖全脂練乳、加糖脱脂粉乳、濃縮乳などが挙げられる。また、上記糖類としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化糖、水あめ、粉あめ、デキストリンなどが挙げられる。また、上記乳化剤としては、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベートなどが挙げられる。上記安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガムのようなガム類、コーンスターチ、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、CMC、微細セルロース、ゼラチン、寒天、ペクチンなどの他、リン酸塩のような塩類が挙げられる。上記呈味剤としては、カカオマス、ココアパウダー、果汁、果肉などが挙げられる。
【0024】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、一般的な水中油型乳化物の製造方法に従って製造できる。ミックスは、例えば、水に牛乳、生クリーム、バター、脱脂粉乳などの乳製品、砂糖、デキストリンなどの糖類、食用油脂、乳化剤および安定剤などを加熱溶解し、ホモジナイザー(均質機)にかけてエージングすることにより、調製できる。
【0025】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子は、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスを使用して得られる冷凍菓子である。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子は、例えば、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに、必要に応じて、香料、呈味剤等を添加してフリージングし、冷凍硬化工程を経て製造できる。
【0026】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子は、乳等省令および公正競争規約で定められているところのアイスクリーム類の分類による、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスであることが好ましく、アイスミルク、ラクトアイスであることがより好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例の内容に限定されない。
【0028】
<測定方法>
以下に示す油脂の各脂肪酸含有量、各トリアシルグリセロール含有量およびヨウ素価は以下の方法により測定した。
油脂を構成する各脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96)に準拠した方法で測定した。
油脂を構成する各トリアシルグリセロールの含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993))に準拠した方法で測定した。
油脂のヨウ素価は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
冷凍菓子のオーバーラン(OR)は、以下の数式に従って測定した、
OR=(X−Y)/Y×100
(ここで、X:一定容積あたりの冷凍菓子用ミックスの重量(g)
Y:一定容積あたりのフリージング後の冷凍菓子の重量(g)である)
【0029】
<油脂の調製>
以下の食用油脂を準備した。
パーム油(PMO、ヨウ素価52、日清オイリオグループ株式会社製)
ヤシ油(CNO、日清オイリオグループ株式会社製)
オリーブ油1(エキストラバージンオリーブオイル、イタリア産、日清オイリオグループ株式会社製)
オリーブ油2(ピュアオリーブオイル、イタリア産、日清オイリオグループ株式会社製)
オリーブ油3(エキストラバージンオリーブオイル、スペイン産)
オリーブ油4(ピュアオリーブオイル、スペイン産)
菜種油(RSO、日清オイリオグループ株式会社製)
【0030】
<冷凍菓子用ミックスおよび冷凍菓子の調製、評価>
表1、2の油脂配合に従って、油脂1〜9を調製した。表3の冷凍菓子用ミックスの配合に従って、油脂1〜9をそれぞれ使用した実施例1〜6および比較例1〜3のミックスを、以下の手順に従って調製した。また、調製したミックスを使用して、以下の手順に従ってアイスクリーム類を調製した。さらに、比較例1のミックスを使用して調整したアイスクリーム類に、以下の手順に従ってオリーブ油1を添加して比較例4のアイスクリーム類を調整した。調製したアイスクリーム類について、風味、食感、および口どけについて、以下の基準に従って評価した。結果を表5、6に示す。
【0031】
(冷凍菓子用ミックスおよび冷凍菓子の調製方法)
脱脂粉乳、水あめ、砂糖、水など、水相の成分を混合し、温度70℃まで撹拌昇温後、油相の成分を加え、さらに80℃まで昇温した。次いでホモゲナイザーを用いて微細均質化し、実施例1〜6および比較例1〜3のミックスを調製した。調製した各ミックスについて、アイスクリーマーを用いてフリージングを行い、オーバーランを80に調整した、実施例1〜6および比較例1〜3のアイスクリーム類を得た(オーバーランが80に到達しないものは、最大のオーバーランに調製した)。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
(オリーブ油1の添加)
比較例1のアイスクリーム類、約43gに、オリーブ油1を添加し、オリーブ油1がアイスクリーム類1の全体にいきわたるように、スプーンでよくかき混ぜた。その後、得られたアイスクリーム類を、−20℃で24時間保管して、比較例4のアイスクリーム類を得た。ここで、オリーブ油1は、アイスクリーム類中の油脂中のオリーブ油1の含有量が35質量%となるよう、1.29g添加した。
【0036】
(アイスクリーム類に含まれる油脂のトリグリセリド組成)
表4に、油脂1(実施例1)、油脂5(実施例5)、油脂6(実施例6)、油脂7(比較例1)、油脂8(比較例2)、油脂9(比較例3)のトリグリセリド組成を示した。
【0037】
【表4】
【0038】
(風味、食感および口どけの評価方法)
−20℃で72時間保管したアイスクリーム類の風味、食感、および口どけについて、5人の専門パネルにより食し、以下の評価基準に従って採点した。採点の合計値により、以下に示す基準に従って各項目を総合的に評価した。風味が「○」以上であり、その他の項目に「×」がないものを合格とした。

風味の評価基準
3・・・コク味が強く、爽やかさがある
2・・・コク味がある、爽やかさはあるがやや弱い
1・・・ふつう
0・・・苦味がある

食感の評価基準
3・・・滑らか
2・・・やや滑らか
1・・・ふつう
0・・・シャリシャリ感がある

口どけの評価基準
3・・・非常に口どけが良い
2・・・口どけが良い
1・・・ふつう
0・・・口どけが悪い

総合評価基準
採点合計 評価
13以上15以下 ◎(非常に良好)
9以上12以下 ○(良好)
5以上8以下 △(ふつう)
0以上4以下 ×(不良)
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】