(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたラジカル重合開始剤を用いると重合時に結晶が析出したり、硬化物が黄色に着色したり、配向の均一制御が困難になる場合があるという問題があった。また特許文献4に記載された重合性組成物から光重合により得られる硬化物は、透明性に劣るという問題があった。
本発明が解決しようとする問題点は、硬化性に優れ、得られる硬化物が配向保持、耐熱性及び透明性に優れる重合性組成物が、これまでなかったということである。
【0009】
従って本発明の目的は、硬化性に優れ、得られる硬化物が配向保持、耐熱性及び透明性に優れる重合性組成物を提供することにある。
【0010】
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物(A)と、インドール骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B1)並びにジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)よりなる群から選ばれる1つ以上の化合物(B)とを含有する重合性組成物を提供するものである。
【0011】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、
環A
1、環A
2及び環A
3は、それぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環又はフェナントレン環を表し、
これらの環中の−CH=は−N=で置換される場合もあり、これらの環中の−CH
2−は−S−又は−O−で置換される場合もあり、
Z
1、Z
2及びZ
3は、それぞれ独立に、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、
該アルキル基の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基で置換される場合もあり、該アルキル基のメチレン基は酸素原子が隣り合わない条件で−O−又は−CO−で置換される場合もあり、
L
1及びL
2は、それぞれ独立に、直接結合、−COO−、−(CE
2)
p−、−CE=CE−、−(CE
2)
pO−、−CE=CECE
2O−、−C≡C−、−(CE
2)
pCOO−、−(CE
2)
pOCO−O−又は−(CE
2)
qO(CE
2)
rO−を表し、L
3及びL
4は、それぞれ独立に、直接結合、−OCO−、−(CE
2)
p−、−CE=CE−、−O(CE
2)
p−、−OCE
2CE=CE−、−C≡C−、−OCO(CE
2)
p−、−OCO−O(CE
2)
p−又は−O(CE
2)
qO(CE
2)
r−を表し、
L
1及びL
4におけるEは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
L
2及びL
3におけるEは、水素原子を表し、
複数あるEは同一である場合もあり、異なる場合もあり、
a、b及びcはそれぞれ環A
1、環A
2及び環A
3における置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、a、b及びcはそれぞれ独立に0以上2t+2以下の整数で、かつbは1以上の整数を表し、
pは、それぞれ独立に、1〜8の整数を表し、
q及びrは、それぞれ独立に、1〜3の整数を表す。)
【0012】
また、本発明は、化合物(A)が、下記一般式(II)で表される化合物である上記重合性組成物を提供するものである。
【0013】
【化2】
(式中、R
1、R
2、L
1、L
4、環A
1、環A
3、Z
1、Z
3、a及びcは、上記一般式(I)と同じであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、
該アルキル基の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基で置換される場合もあり、
該アルキル基のメチレン基は、酸素原子が隣り合わない条件で−O−又は−CO−で置換される場合もあり、R
3及びR
4の少なくともどちらか一方は、水素原子以外の置換基を表す。)
【0014】
また、本発明は、化合物(A)が、上記一般式(I)又は(II)において、L
1が、−(CH
2)
p−、−CH=CH−、−(CH
2)
pO−、−CH=CHCH
2O−、−(CH
2)
pCOO−、−(CH
2)
pOCO−O−又は−(CH
2)
qO(CH
2)
rO−で表される基であるか、且つ/或いは、L
4が、−(CH
2)
p−、−CH=CH−、−O(CH
2)
p−、−OCH
2CH=CH−、−OCO(CH
2)
p−、−OCO−O(CH
2)
p−又は−O(CH
2)
qO(CH
2)
r−で表される基である上記重合性組成物を提供するものである。
(これらの式中、pは1〜8の整数を表し、q及びrは、それぞれ独立に、1〜3の整数を表す。)
【0015】
また、本発明は、化合物(A)が、上記一般式(I)又は(II)において、環A
1及び環A
3がベンゼン環又はナフタレン環である化合物である上記重合性組成物を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、上記インドール骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B1)が、下記一般式(III)で表される化合物である上記重合性組成物を提供するものである。
【0017】
【化3】
(式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、R
21、OR
21、COR
21、SR
21、CONR
22R
23又はCNを表し、
R
21、R
22及びR
23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
21、R
22及びR
23で表わされる基の水素原子は、更にR
31、OR
31、COR
31、SR
31、NR
32R
33、CONR
32R
33、−NR
32−OR
33、−NCOR
32−OCOR
33、NR
32COR
31、OCOR
31、COOR
31、SCOR
31、OCSR
31、COSR
31、CSOR
31、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR
31で置換される場合もあり、
R
31、R
32及びR
33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
31、R
32及びR
33で表される基の水素原子は、更に水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、水酸基又はカルボキシル基で置換される場合もあり、
R
21、R
22、R
23、R
31、R
32及びR
33で表される基のメチレン基は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR
34−、−NR
34COO−、−OCONR
34−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により酸素原子が隣り合わない条件で置換される場合もあり、
R
34は、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
13は、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、また、R
13とR
17、R
13とR
18、R
14とR
15、R
15とR
16及びR
16とR
17はそれぞれ結合して環を形成している場合もあり、
R
13で表わされる基の水素原子は、更にR
31、OR
31、COR
31、SR
31、NR
32R
33、CONR
32R
33、−NR
32−OR
33、−NCOR
32−OCOR
33、NR
32COR
31、OCOR
31、COOR
31、SCOR
31、OCSR
31、COSR
31、CSOR
31、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR
31で置換される場合もあり、
R
14、R
15、R
16及びR
17は、それぞれ独立に、R
21、OR
21、SR
21、COR
24、CONR
25R
26、NR
22COR
21、OCOR
21、COOR
24、SCOR
21、OCSR
21、COSR
24、CSOR
21、水酸基、CN又はハロゲン原子を表し、
R
24、R
25及びR
26は、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、
R
18は、R
21、OR
21、SR
21、COR
21、CONR
22R
23、NR
22COR
21、OCOR
21、COOR
21、SCOR
21、OCSR
21、COSR
21、CSOR
21、水酸基、CN又はハロゲン原子を表し、
nは、0又は1を表す。)
【0018】
また、本発明は、上記ジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)が、下記一般式(IV)で表される化合物である重合性組成物を提供するものである。
【0019】
【化4】
(式中、R
41及びR
42は、それぞれ独立に、R
51、OR
51、COR
51、SR
51、CONR
52R
53又はCNを表し、
R
51、R
52及びR
53は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
51、R
52及びR
53で表わされる置換基の水素原子は、更にOR
61、COR
61、SR
61、NR
62R
63、CONR
62R
63、−NR
62−OR
63、−NCOR
62−OCOR
63、−C(=N−OR
61)−R
62、−C(=N−OCOR
61)−R
62、CN、ハロゲン原子又はCOOR
61で置換される場合もあり、
R
51、R
52、R
53、R
61、R
62及びR
63で表される置換基のメチレン基は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR
64−、−NR
64COO−、−OCONR
64−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により酸素原子が隣り合わない条件で置換される場合もあり、
R
61、R
62及びR
63は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
61、R
62及びR
63で表される置換基の水素原子は、更にCN、ハロゲン原子、水酸基又はカルボキシル基で置換される場合もあり、
R
64は、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
52とR
53及びR
62とR
63はそれぞれ結合して環を形成している場合もあり、
R
43は、R
54、OR
54、SR
54、COR
54、CONR
55R
56、NR
55COR
54、OCOR
54、COOR
54、SCOR
54、OCSR
54、COSR
54、CSOR
54、CN又はハロゲン原子を表し、R
44は、R
54、OR
54、SR
54、COR
54、CONR
55R
56、NR
55COR
54、OCOR
54、COOR
54、SCOR
54、OCSR
54、COSR
54、CSOR
54、CN、ハロゲン原子、OH、COOH又は下記一般式(V)で表される基を表し、
R
54、R
55及びR
56は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
f及びgは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。)
【0020】
【化5】
(式中、X
2は、結合手であって、−O−、−S−、−NR
69−、−NR
69CO−、−SO
2−、−CS−、−OCO−又は−COO−を表し、
X
3は、1〜3個のR
70で置換された炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
X
3中のメチレン基は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR
69−、−NR
69COO−、−OCONR
69−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により酸素原子が隣り合わない条件で置換される場合もあり、R
69は、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は複素環を含有する炭素原子数2〜20の基を表し、
R
70は、OR
71、SR
71、CONR
72R
73、NR
72COR
73、OCOR
71、COOR
71、SCOR
71、OCSR
71、COSR
71、CSOR
71、CN又はハロゲン原子を表し、
R
71、R
72及びR
73は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。式中の*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0021】
また、本発明は、更に光学活性化合物を含有する上記重合性組成物を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、上記重合性組成物を用いて硬化物を製造する方法を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、上記重合性組成物を用いて製造した硬化物及び硬化物を使用してなるディスプレイ用光学フィルムを提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の重合性組成物について、その好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0025】
<化合物(A)>
本発明の重合性組成物に用いられる化合物(A)は、上記一般式(I)で表される化合物である。
【0026】
上記一般式(I)及び上記一般式(II)中、L
1、L
2、L
3及びL
4は、それぞれ独立に、直接結合、−COO−、−OCO−、−(CE
2)
p−、−CE=CE−、−(CE
2)
pO−、−O(CE
2)
p−、−CE=CECE
2O−、−OCE
2CE=CE−、−C≡C−、−(CE
2)
pCOO−、−OCO(CE
2)p−、−(CE
2)
pOCO−O−、−OCO−O(CE
2)
p−、−(CE
2)
qO(CE
2)
rO−又は−O(CE
2)
qO(CE
2)
r−を表し、L
1及びL
4におけるEは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、L
2及びL
3におけるEは水素原子を表し、Eが複数存在する場合、複数あるEは同一であるか、又は異なる場合もあり、a、b及びcはそれぞれ環A
1、環A
2及び環A
3における置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、a、b及びcはそれぞれ独立に0以上2t+2以下の整数で、かつbは1以上の整数を表し、pは、それぞれ独立に、1〜8の整数を表し、q及びrは、それぞれ独立に、1〜3の整数を表す。L
1は、直接結合、−(CE
2)
p−、−CE=CE−、−(CE
2)
pO−、−CE=CECE
2O−、−C≡C−、−(CE
2)
pCOO−、−(CE
2)
pOCO−O−、又は−(CE
2)
qO(CE
2)
rO−であるのが好ましい。L
4は直接結合、−(CE
2)
p−、−CE=CE−、−O(CE
2)
p−、−OCE
2CE=CE−、−C≡C−、−OCO(CE
2)
p−、−OCO−O(CE
2)
p−、又は−O(CE
2)
qO(CE
2)
r−であるのが好ましい。特に、上記一般式(I)で表される化合物及び上記一般式(II)で表される化合物は、以下の(a)及び(b)の条件の一方又は両方を満たすことが広い温度範囲で液晶相を発現し、均一な液晶配向状態が得られる点で好ましい。
(a)L
1が、−(CH
2)
p−、−CH=CH−、−(CH
2)
pO−、−CH=CHCH
2O−、−(CH
2)
pCOO−、−(CH
2)
pOCO−O−又は−(CH
2)
qO(CH
2)
rO−で表される基である。
(b)L
4が、−(CH
2)
p−、−CH=CH−、−O(CH
2)
p−、−OCH
2CH=CH−、−OCO(CH
2)
p−、−OCO−O(CH
2)
p−又は−O(CH
2)
qO(CH
2)
r−で表される基である。
L
1とL
4とは対称である場合もあり、非対称である場合もある。ここでいう対称である場合の例としては、例えばL
1とL
4とも直接結合である場合や、L
1が−(CH
2)
pO−であり、L
4が−O(CH
2)
p−であり、二つの基のpが同数である場合が挙げられる。同様に、L
2とL
3とは対称である場合もあり、非対称である場合もある。
【0027】
上記一般式(I)及び上記一般式(II)中、R
1及びR
2並びにZ
1、Z
2、Z
3で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、Z
1、Z
2、Z
3、R
3及びR
4で表される、ハロゲン原子若しくはシアノ基で置換される場合がある炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノメチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換される場合もあり、該アルキル基中のメチレン基が−O−又は−CO−で置換された基の例としては、アセチル、アセトニル、ブタン−2−オン−1−イル、ブタン−3−オン−1−イル、シクロヘキサン−4−オン−1−イル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、イソブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、t−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、t−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メチル−2−ヒドロキシエトキシ、1−メチル−2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ブトキシエトキシ、2−メチル−2−メトキシエトキシ、1−メチル−2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ及び2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ等が挙げられ、上記炭素数1〜8のアルキル基が置換される場合があるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0028】
上記一般式(I)で表される化合物(A)の中でも、特定の温度で液晶相を示す化合物又は重合後において特定の温度で液晶相を示す化合物は、重合性組成物に用いた場合に良好な配向性を有する硬化物が得られるため、有用である。本発明の重合性組成物を用いて硬化物を製造する際に、作業性が良好であることから、化合物(A)は少なくとも室温付近、具体的には30℃以下で液晶相を示すことが好ましく、特に25℃以下で液晶相を示すことがより好ましい。化合物(A)はこの上限以下のいずれの温度で液晶相を示すことも好ましい。化合物(A)が液晶相を示していることは、偏光顕微鏡観察及び示差走査熱量測定、X線回折測定などにより確認できる。
【0029】
上記一般式(II)で表される化合物(A)が、上記一般式(I)で表される化合物(A)の中でも、液晶性、溶剤溶解性及び他の液晶化合物との相溶性に優れるため好ましい。
【0030】
上記一般式(I)又は(II)で表される化合物(A)の中でも、Eがすべて水素原子である化合物が液晶相を発現する温度範囲が広いため好ましい。
【0031】
上記一般式(I)又は(II)で表される化合物(A)の中でも、環A
1及び環A
3がベンゼン環又はナフタレン環である化合物が合成しやすく、配向性及び溶剤溶解性に優れる点から好ましく、特に環A
1及び環A
3の少なくとも一つがナフタレン環である化合物は、上記特性に加えて耐熱性に優れるため、好ましい。
【0032】
上記一般式(I)又は(II)中のR
1及びR
2が水素原子又はメチル基であるものは、製造が容易で、得られる重合性組成物の硬化性が高いことから好ましい。
【0033】
本発明の重合性組成物に用いることができる、上記化合物(A)の具体的な例としては、以下の化合物No.1〜No.30が挙げられる。ただし、本発明は、以下の化合物により制限を受けるものではない。
【0065】
また上記化合物(A)は、その製造方法については特に限定されず、公知の反応を応用して製造することができ、例えば、フェノールに対してメタクリル酸ハロゲン化物又はアクリル酸ハロゲン化物をエステル化したり、メタアクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物のカルボン酸基をメタンスルホニルクロリドでメシル化した後、フェノール基を有する化合物とエステル化したりすることにより製造することができる。
【0066】
上記化合物(A)の含有量は、本発明の重合性組成物の固形分中、上記化合物(A)及び化合物(B)の総和100質量部に対して80質量部以上であることが硬化物が配向性に優れることから好ましく、99質量%以下であることが硬化性の点で好ましい。より好ましくは、上記化合物(A)及び化合物(B)の総和100質量部に対して、上記化合物(A)の含有量は90質量部以上、99質量部以下である。
【0067】
<化合物(B)>
本発明の重合性組成物に用いられる化合物(B)は、インドール骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B1)並びにジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)よりなる群から選ばれる少なくとも1の化合物を含有する。
また、上記インドール骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B1)並びにジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)は、幾何異性体及び光学異性体が存在するが、これらを区別するものではなく、これら異性体の一種又は二種以上の混合物を表すものであり、特定の異性体を示した構造に限定するものではない。
【0068】
インドール骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B1)が、上記一般式(III)で表される化合物である重合性組成物は、感度が高く、得られる硬化物が透明性に優れることから好ましい。
【0069】
またジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)が、上記一般式(IV)で表される化合物である重合性組成物は、感度が高く、得られる硬化物が透明性に優れることから好ましい。
【0070】
上記一般式(III)及び(IV)中の、R
13、R
21〜R
23、R
31〜R
34、R
51〜R
56、R
61〜R
73及びX
3で表される炭素原子数1〜30の炭化水素基は、特に限定されるものではないが、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基及び炭素原子数7〜30のアリールアルキル基等を表し、重合開始剤として用いた場合の感度が良好なことから、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数4〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜10のアリールアルキル基等がより好ましい。
【0071】
上記炭素原子数1〜20のアルキル基並びに上記一般式(III)中の、R
24〜R
26で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシル等が挙げられ、上記炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル及びイソデシル等が挙げられる。
【0072】
上記炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、3−オクテニル、3−ノネニル、4−デセニル、3−ウンデセニル、4−ドデセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル−1−メチル、及び4,8,12−テトラデカトリエニルアリル等が挙げられ、上記炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、3−オクテニル、3−ノネニル及び4−デセニル等が挙げられる。
【0073】
上記炭素原子数3〜20のシクロアルキル基とは、3〜20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル及びテトラデカヒドロアントラセニル等が挙げられ、上記炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。
【0074】
上記炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された4〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、シクロデシルメチル、2−シクロブチルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−シクロヘプチルエチル、2−シクロオクチルエチル、2−シクロノニルエチル、2−シクロデシルエチル、3−シクロブチルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、3−シクロヘキシルプロピル、3−シクロヘプチルプロピル、3−シクロオクチルプロピル、3−シクロノニルプロピル、3−シクロデシルプロピル、4−シクロブチルブチル、4−シクロペンチルブチル、4−シクロヘキシルブチル、4−シクロヘプチルブチル、4−シクロオクチルブチル、4−シクロノニルブチル、4−シクロデシルブチル、3−3−アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられ、上記炭素原子数4〜10のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、2−シクロブチルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−シクロヘプチルエチル、2−シクロオクチルエチル、3−シクロブチルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、3−シクロヘキシルプロピル、3−シクロヘプチルプロピル、4−シクロブチルブチル、4−シクロペンチルブチル及び4−シクロヘキシルブチル等が挙げられる。
【0075】
上記炭素原子数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナントレニル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4−クロロフェニル、4−カルボキシルフェニル、4−ビニルフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル等が挙げられ、上記炭素原子数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル及びナフチル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4−クロロフェニル、4−カルボキシルフェニル、4−ビニルフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル等が挙げられる。
【0076】
上記炭素原子数7〜30のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7〜30の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル等が挙げられ、上記炭素原子数7〜20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7〜30の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル及びフェニルエチル等が挙げられる。
【0077】
上記一般式(III)中の、R
13、R
21〜R
23、R
31〜R
34、並びに一般式(IV)中のR
51〜R
56、R
61〜R
64、R
69、R
70及びX
3で表される複素環を含有する炭素原子数2〜20の基としては、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリジルエチル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラニルエチル、ピラゾリル、トリアジル、トリアジルメチル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル及び2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられ、重合開始剤として用いた場合の感度が良好なことから、炭素原子数2〜10の複素環含有基がより好ましい。複素環を含有する炭素原子数2〜20の基としては、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリジルエチル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラニルエチル、ピラゾリル、トリアジル、トリアジルメチル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル及び2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられ、置換基等を含めて具体的に記載すると下記の構造を有する基等が挙げられる。
【0078】
【化36A】
(上記式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、Zは直接結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。尚、式中の*は、これらの式で表される基が、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0079】
上記一般式(III)中のR
13とR
17、R
13とR
18、R
14とR
15、R
15とR
16、R
16とR
17、並びに一般式(IV)中のR
52とR
53及びR
62とR
63が、結合して形成する環としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペンテン、ベンゼン、ピロリジン、ピロール、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロピリジン、ラクトン環及びラクタム環等の5〜7員環並びにナフタレン及びアントラセン等の縮合環等が挙げられる。
【0080】
上記一般式(III)中のR
13が、炭素原子数6〜30のアリール基であるものは、感度が高く、得られる硬化物が透明性に優れることに加えて、製造及び入手が容易であることから更に好ましい。更に、上記炭素原子数6〜30のアリール基中の水素原子の少なくても一つが、ニトロ基、CN又はハロゲン原子で置換されているものは、感度が良好な点から好ましい。
また、上記一般式(III)中のR
11が、R
21であり、R
21が、炭素原子数1〜10のアルキル基であるものは、溶剤溶解性に優れる点から好ましい。また、R
12が、R
21であり、R
21が、メチル基、エチル基又はフェニル基であるものは、重合開始剤として用いた場合、硬化性に優れる点から好ましい。また、R
14〜R
17がR
21又はCNであり、R
21が、水素原子であるもの、特にR
14〜R
17が水素原子であるものが、合成が容易なので好ましい。また、R
18がR
21であり、R
21が水素原子であるものは、合成が容易なので好ましい。
【0081】
上記、インドール骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B1)のうち、上記一般式(III)で表される好ましい具体例としては、以下の化合物No.31〜No.232が挙げられる。但し本発明は以下の化合物により何等制限を受ける物ではない。
【0097】
ジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)としては、上記一般式(IV)で表される化合物のうち、R
44が上記一般式(V)で表される基であり、一般式(V)中のX
2が、−O−又は−OCO−である化合物は、感度が高く、製造が容易であるため好ましい。また、一般式(V)中のX
3が、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換されている化合物は、現像性に優れるため好ましい。また、一般式(V)中のX
3が、水酸基又はカルボキシル基で置換された炭素原子数1〜10のアルキル基であるものは、液晶汚染性が低い点で好ましい。
【0098】
上記、ジフェニルスルフィド骨格及びオキシムエステル基を有する化合物(B2)のうち、上記一般式(IV)で表される好ましい具体例としては、以下の化合物No.233〜No.350が挙げられる。但し本発明は以下の化合物により何等制限を受ける物ではない。
【0109】
また上記化合物(B)は、その製造方法については特に限定されず、公知の反応を応用して製造することができ、例えば、インドール化合物、又は、ジフェニルスルフィド化合物を、酸クロリドでアシル化し、塩酸ヒドロキシルアミンでオキシム化した後、酸無水物あるいは酸クロリドを反応させることにより製造することができる。
【0110】
本発明の重合性組成物において、上記化合物(A)と上記化合物(B)との配合割合は、特に制限されず、本発明の効果が損なわれない範囲であれば良いが、両者の合計量を100質量部としたとき、上記化合物(B)が、0.1〜10質量部、特に0.5〜8質量部となるようにすることが好ましい。上記化合物(B)の比率を0.1質量部以上とすると、重合反応を容易に進行させることができるため好ましく、10質量部以下とすると、重合性組成物から化合物(B)が析出しにくく、組成物の配向性が低下しにくいので、硬化膜の光学物性の悪化が容易に防止できるため好ましい。
【0111】
本発明の重合性組成物では、上記化合物(A)とは別に他の液晶化合物を本発明の効果が損なわれない範囲(上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部)で用いることができる。他の液晶化合物としては、通常一般に使用される液晶化合物を使用することができ、該液晶化合物の具体例としては、特に制限するものではないが、例えば下記群Iにおける各式で表される液晶化合物が挙げられる。
【0112】
【化63】
(式中、W
1は、水素原子、分岐を有する場合がある炭素原子数1〜8のアルキル基、分岐を有する場合がある炭素原子数1〜8のアルコキシ基、分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルケニル基、分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルコキシアルキル基、分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルカノイルオキシ基又は分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基を表し、W
3は、シアノ基、ハロゲン原子、分岐を有する場合がある炭素原子数1〜8のアルキル基、分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルカノイルオキシ基又は分岐を有する場合がある炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基を表し、W
2及びW
4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はニトリル基を表す。)
【0113】
また、上記化合物(B)の他に、公知のラジカル重合開始剤を併用することもできる。
【0114】
公知のラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、
【0115】
公知のラジカル重合開始剤としては、市販のラジカル重合開始剤を使用することができ、例えば、N−1414、N−1717、N−1919、NCI−831、NCI−930(ADEKA製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF製)及び過酸化ベンゾイル等が挙げられ、これらの重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0116】
本発明の重合性組成物が、化合物(B)以外のラジカル重合開始剤を含有する場合、その含有量は、化合物(B)100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
【0117】
また、本発明の重合性組成物は、少なくとも室温付近、具体的には30℃以下で液晶相を示すことが好ましく、特に25℃以下で液晶相を示すことが、光学材料として平易に使用できるという点で、より好ましい。重合性組成物は液晶相は当該温度以下のいずれの温度で示す場合も好ましい。重合性組成物において液晶相を確認する方法としては化合物における液晶相の確認と同様の方法が挙げられる。
【0118】
また、本発明の重合性組成物には、必要に応じて用いられる他の単量体(エチレン性不飽和結合を有する化合物)を上記ラジカル重合開始剤と共に溶剤に溶解して溶液にすることができる。
【0119】
上記他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アリルオキシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−フェニルエチル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、ジフェニルメチル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタクロルフェニル(メタ)アクリレート、2−クロルエチル(メタ)アクリレート、メチル−α−クロル(メタ)アクリレート、フェニル−α−ブロモ(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン及びジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0120】
本発明の重合性組成物を用いて作製される硬化物の耐熱性及び光学特性を確保するために、上記の他の単量体の含有量は、上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、特に30質量部以下がより好ましい。
【0121】
また、上記ラジカル重合開始剤と増感剤の組合せも好ましく使用することができる。上記の増感剤としては、例えば、チオキサントン、フェノチアジン、クロロチオキサントン、キサントン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ルプレン等が挙げられる。上記ラジカル重合開始剤及び/又は上記増感剤を添加する場合、それらの添加量は、それぞれ上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下がさらに好ましく、0.1〜3質量部の範囲内がより好ましい。
【0122】
上記溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチレン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ及びブチルセルソルブ等である。溶剤は単一化合物でする場合があり、または混合物である場合もある。これらの溶剤の中でも、沸点が60〜250℃のものが好ましく、60〜180℃のものが特に好ましい。60℃より低いと塗布工程で溶剤が揮発して膜の厚さにムラが生じやすく、250℃より高いと脱溶剤工程で減圧しても溶剤が残留したり、高温での処理による熱重合を誘起したりして配向性が低下する場合がある。
【0123】
重合性組成物に含有される場合がある光学活性化合物とは、 分子内に不斉炭素を有し、互いに鏡像の関係にある一対の立体の化合物 (対掌体) のことを指し、物理的には偏光面を回転させる性質をもつ化合物を意味する。
【0124】
本発明の重合性組成物に、更に上記光学活性化合物を含有させることによって、液晶骨格のらせん構造を内部に有する高分子を得ることができ、コレステリック液晶相を固定化させることができる。上記の光学活性化合物を含有させる場合、上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲内が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。上記の光学活性化合物としては、例えば下記の化合物No.384〜No.395を挙げることができる。
【0136】
【化75】
(化合物No.384〜395中の*は不斉炭素を表す)
【0137】
また、本発明の重合性組成物には、空気界面側に分布する排除体積効果を有する界面活性剤をさらに含有させることできる。該界面活性剤としては、重合性組成物を支持基板などに塗布することを容易にしたり、液晶相の配向を制御したりする等の効果を得られるものが好ましい。かかる界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリエチレングリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、ペルフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。界面活性剤の好ましい使用量は、界面活性剤の種類、組成物の成分比などに依存するが、上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲であることが好ましく、0.01〜1質量部の範囲内がより好ましい。
【0138】
また、本発明の重合性組成物には、重合性組成物の特性を調製するために必要に応じて添加物をさらに含有させる場合がある。このような添加物としては、例えば、保存安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、無機物、有機物等の微粒子化物、並びにポリマー等の機能性化合物が挙げられる。
【0139】
上記保存安定剤は、重合性組成物の保存安定性を向上させる効果を付与することができる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、2−ナフチルアミン類及び2−ヒドロキシナフタレン類等が挙げられる。これらを添加する場合は、上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。
【0140】
上記酸化防止剤としては、特に制限がなく公知の化合物を使用することができ、例えば、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、トリフェニルホスファイト及びトリアルキルホスファイト等が挙げられる。
【0141】
上記紫外線吸収剤としては、特に制限がなく公知の化合物を使用することができ、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物又はニッケル錯塩系化合物等によって紫外線吸収能をもたさせたものを用いることができる。
【0142】
上記微粒子化物は光学(屈折率)異方性(Δn)を調整したり、硬化物の強度を上げたりするために用いることができる。上記微粒子化物の材質としては無機物、有機物、金属等が挙げられる。凝集防止のため、上記微粒子化物としては、0.001〜0.1μmの粒子径が好ましく、0.001〜0.05μmの粒子径であるものがさらに好ましい。また、粒子径の分布がシャープであるものが好ましい。上記化合物(A)と上記化合物(B)との合計量100質量部に対して、上記微粒子化物は、0.1〜30質量部の範囲内で好ましく使用することができる。
【0143】
上記無機物としては、例えば、セラミックス、フッ素金雲母、フッ素四ケイ素雲母、テニオライト、フッ素バーミキュライト、フッ素ヘクトライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、カオリナイト、フライポンタイト、ZnO、TiO
2、CeO
2、Al
2O
3、Fe
2O
3、ZrO
2、MgF
2、SiO
2、SrCO
3、Ba(OH)
2、Ca(OH)
2、Ga(OH)
3、Al(OH)
3、Mg(OH)
2及びZr(OH)
4等が挙げられる。
また、炭酸カルシウムの針状結晶などの微粒子は光学異方性を有し、このような微粒子によって重合体の光学異方性を調節できる。上記有機物としては、例えばカーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート及びポリイミド等が挙げられる。
【0144】
上記ポリマーは、硬化物の電気特性や配向性を制御することができる。上記ポリマーとしては、上記溶剤に可溶性の高分子化合物が好ましく使用することができる。かかる高分子化合物としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエポキサイド、ポリエステル、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0145】
次に本発明の重合性組成物を用いて硬化物を製造する方法について説明する。
本発明の硬化物を製造する方法としては、例えば、上記重合性組成物を溶剤に溶解した後、支持基板に塗布して、重合性組成物中の液晶分子を配向させた状態で脱溶剤し、次いでエネルギー線を照射して重合することにより得ることができる。
【0146】
上記支持基板としては、特に限定されないが、好ましい例としては、ガラス板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリイミド板、ポリアミド板、ポリメタクリル酸メチル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニル板、ポリテトラフルオロエチレン板、セルロース板、シリコン板、反射板及び方解石板等が挙げられる。このような支持基板上に、後述のようにポリイミド配向膜又はポリビニルアルコール配向膜を施したものが特に好ましく使用することができる。
【0147】
上記支持基板に本発明の重合性組成物の溶液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、該方法としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法及び流延成膜法等を用いることができる。尚、本発明の硬化物の膜厚は用途等に応じて適宜選択されるが、好ましくは0.005〜30μm、より好ましくは0.01〜20μm、特に好ましくは0.05〜15μmの範囲から選択される。
【0148】
本発明の重合性組成物中の液晶分子を配向させる方法としては、例えば、支持基板上に事前に配向処理を施す方法が挙げられる。配向処理を施す好ましい方法としては、各種ポリイミド系配向膜、ポリアミド系配向膜又はポリビニルアルコール系配向膜からなる液晶配向層を支持基板上に設け、ラビング等の処理を行う方法が挙げられる。また、支持基板上の組成物に磁場や電場等を印加する方法等も挙げられる。
【0149】
上記方法により液晶分子を配向させた後、下記に示す方法で重合性組成物を硬化させる方法は、液晶の配向制御に優れた硬化物を作製できることから好ましい。
【0150】
本発明の重合性組成物を重合させる方法は、光、電磁波又は熱を用いる公知の方法を適用できる。光又は電磁波による重合反応としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、リビング重合等があげられる。これらの重合反応によれば、重合性組成物が液晶相を示す条件下で、重合を行なわせることが容易である。また磁場や電場を印加しながら架橋させることも好ましい。支持基板上に形成した液晶(共)重合体は、そのまま使用する場合があり、或いは必要に応じて、支持基板から剥離したり、他の支持基板に転写したりして使用する場合もある。
【0151】
上記光の好ましい種類は、紫外線、可視光線、赤外線等である。電子線、X線などの電磁波を用いる場合もある。通常は、紫外線または可視光線が好ましい。好ましい波長の範囲は150〜500nmである。さらに好ましい範囲は250〜450nmであり、最も好ましい範囲は300〜400nmである。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、またはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが挙げられるが、超高圧水銀ランプを使用することが好ましい。光源からの光は、そのまま重合性組成物に照射する場合もあり、フィルターによって選択した特定の波長(または特定の波長領域)を重合性組成物に照射する場合もある。好ましい照射エネルギー密度は、2〜5000mJ/cm
2であり、さらに好ましい範囲は10〜3000mJ/cm
2であり、特に好ましい範囲は100〜2000mJ/cm
2である。好ましい照度は0.1〜5000mW/cm
2であり、さらに好ましい照度は1〜2000mW/cm
2である。光を照射するときの温度は、重合性組成物が液晶相を有するように設定できるが、好ましい照射温度は100℃以下である。100℃以上の温度では熱による重合が起こりうるので良好な配向が得られないときがある。
【0152】
本発明の硬化物は本発明の重合性組成物の硬化物であり、その製造方法としては上記の硬化物の製造方法が挙げられる。本発明の硬化物は光学異方性を有する成形体として利用することができる。この成形体の用途としては、例えば、位相差板(1/2波長板、1/4波長板など)、偏光素子、二色性偏光板、液晶配向膜、反射防止膜、選択反射膜、視野角補償膜等に代表されるディスプレイ用光学フィルムとして好ましく用いることができる。その他にも、液晶レンズ、マイクロレンズ等の光学レンズ、高分子分散型液晶(PDLC)電子ペーパー及びデジタルペーパー等の情報記録材料にも利用することができる。
【実施例】
【0153】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0154】
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
化合物No.1又はNo.6の1.0gを2−ブタノン4.0gに溶解させ、更に化合物No.101、No.235又は比較化合物No.1〜No.4の0.03gを添加、完全に溶解させた。得られた溶液を、0.45μmフィルターで濾過して、実施例1〜4及び比較例1〜4の重合性組成物をそれぞれ得た。詳細を[表1]に示す。
【0155】
【化76】
【0156】
【化77】
【0157】
【化78】
【0158】
【化79】
【0159】
【表1】
【0160】
[評価例1〜4及び比較評価例1〜4]
重合性組成物No.1〜4又は比較重合性組成物No.1〜4を、ガラス基板上にスピンコート(500rpm、2秒間、900rpm、5秒間)し、ホットプレートを用いて、90℃で90秒間プリベークを行った後、23℃で40秒間冷却した。その後、高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm
2を照射し評価サンプルを作成した。得られたサンプルの400nmにおける透過率を測定した。透過率が97%以上のものをAとし、97%未満のものをBとした。ディスプレイ用光学フィルム等に代表される用途では透過率の評価がAの物が好ましい。評価結果を[表2]に示す。
【0161】
【表2】
【0162】
[表1]及び[表2]より比較化合物No.1を用いた硬化物の透過率が低いことが明らかである。これに対し、化合物No.101、化合物No.235、比較化合物No.2〜4を用いた硬化物の透過率が良好であった。
【0163】
[評価例5〜8及び比較評価例5〜7]
重合性組成物No.1〜4又は比較重合性組成物No.2〜4を、スピンコーターを使用して、ラビング処理したポリイミド付ガラス基板上に塗工し、100℃に設定したホットプレート上で3分間乾燥させた。室温に戻し3分間放置後、高圧水銀灯(120W/cm)で20秒間照射し硬化させ、各重合性組成物の硬化物である重合膜をそれぞれ得た(膜厚が約1μmになるようにスピンコーターの回転数及び時間を調整した。)。得られた各硬化物を以下の手法により評価した。
【0164】
<配向性>
得られた硬化物をOPTIPHOT2−POL(ニコン社製)偏光顕微鏡を使用し、表面の光学組織の確認を実施した。配向が一様であり、配向欠陥が確認されないものをAとし、表面が透明であるが、一部配向ムラが確認されるものをBとし、結晶化や配向ムラ等が確認されるものをCとした。ディスプレイ用光学フィルム等に代表される用途では配向性の評価がAの物が好ましい。
【0165】
<硬化性>
得られた硬化物の表面硬化性を目視で確認した。均一に硬化しており、タックも残っていないものをAとし、均一に硬化しているが、若干タックが残っているものをBとし、全面にタックが残り、表面がベトついているものをCとした。ディスプレイ用光学フィルム等に代表される用途では硬化性の評価がAの物が好ましい。
【0166】
<耐熱性>
得られた硬化物について、OPTIPHOT2−POL(ニコン社製)偏光顕微鏡を用いてセナルモン法に基づく複屈折測定法に従い、室温25℃で波長546nmにおけるリターデーションを測定した。更にその硬化物を150℃オーブンで30分放置後、室温に冷却し上記方法に準じてリターデーションを測定し、下記式にて変化率を算出した。(変化率が小さい程熱による光学物性変化が小さく、耐熱性が高いと言える。)
(リターデーション変化率/%)=100−(リターデーション(耐熱試験後)/リターデーション(耐熱試験前)×100)
【0167】
【表3】
【0168】
[表1]及び[表3]からも分かるように、比較評価例5〜7の重合性組成物は、硬化性が低く、耐熱試験後のリターデーション変化も大きく、硬化性及び耐熱性が劣ることが確認できた。
これに対し、本発明の重合性組成物(評価例5〜8)は、均一に硬化し、配向性が一様であり、耐熱試験後のリターデーション変化も小さく、硬化性、配向性及び耐熱性に優れることが確認できた。特に化合物(A)として化合物No.1を用いたものは耐熱性に優れることが確認できた。
よって本発明の重合性組成物及び重合性組成物を用いて製造した硬化物が、ディスプレイ用光学フィルムに対して有用であることは明らかである。