特許第6895051号(P6895051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895051
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】気密防水用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20180101AFI20210621BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210621BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20210621BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   C09J7/00
   C09J11/06
   C09J133/04
   C09J133/02
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-52420(P2017-52420)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-154732(P2018-154732A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100207295
【弁理士】
【氏名又は名称】寺尾 茂泰
(72)【発明者】
【氏名】池端 晃
(72)【発明者】
【氏名】阿久井 敏文
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−102175(JP,A)
【文献】 特開2006−083235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状構造含有モノマー及び炭素数1〜5のビニルエステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種(a1)、
下記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)、
及び(メタ)アクリル酸(a3)、
を含む共重合成分(a)を共重合してなるアクリル系樹脂(A)、及びイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤からなることを特徴とする気密防水用粘着テープ。
〔式〕
CH2=CR1−CO−O−(R2−COO−)nH ・・・(1)
(ここで、R1は水素またはメチル基、R2エチレン鎖、nは1以上の正数を示す。)
【請求項2】
上記共重合成分(a)の含有割合が、上記炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1)1〜98重量%、上記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)1〜20重量%、上記(メタ)アクリル酸(a3)0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載の気密防水用粘着テープ。
【請求項3】
上記共重合成分(a)として、さらに水酸基含有モノマー(a4)を含有することを特徴とする請求項1または2記載の気密防水用粘着テープ。
【請求項4】
上記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量が、上記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の気密防水用粘着テープ。
【請求項5】
上記粘着剤組成物が、さらに、粘着付与剤(C)を、上記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の気密防水用粘着テープ。
【請求項6】
上記共重合成分(a)が、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−1)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の気密防水用粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密防水用粘着テープに関し、さらに詳しくは、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れた気密防水用粘着テープに関するものである。
【0002】
従来より、アクリル系樹脂を用いた粘着テープは、例えば、クラフトテープ、OPP(Oriented Poly Propylene)テープ、布粘着テープ等の包装用テープ、軽包装用セロハン粘着テープ、仮止め用テープ、自動車用発泡テープ、制振シート、難燃接着テープ、再剥離両面テープ、住宅用養生テープ、防音シール、カーペット固定用両面テープ、仮止め用テープ、電気絶縁用ビニルテープ、屋外防食テープ、屋内表示用テープ、スリップ防止用テープ、各種マスキングテープ、各種表面保護用テープ、気密防水用粘着テープ、医療用救急絆創膏等の貼付基材、サージカルテープ、粘着包帯、電気・電子機器用テープ、光学用両面テープ、表面保護フィルム、半導体用ダイシングテープ、熱伝導テープ、耐熱テープ、導電性テープ等として、幅広い用途に用いられている。中でも、取り扱いやすさの点から気密防水用粘着テープの利用が盛んになっている。
【0003】
気密防水用粘着テープとしては、例えば、下記の特許文献1及び2に開示のものがある。これらに用いられる粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂を用いた粘着剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−83235号公報
【特許文献2】特開2001−294830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、特定条件を満たす合成樹脂フィルム基材の少なくとも片面にアクリル系粘着剤層が設けられてなる防水用粘着テープについて提案されているが、アクリル系粘着剤については検討されていないものであり、かかる粘着剤では接着性や耐湿熱性について満足しないものである。
【0006】
上記特許文献2の開示技術では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びフォスファイト系酸化防止剤を含有している熱可塑性樹脂製フラットヤーン基材にラミ接着強度が1,000g/15mm以上のアクリル系粘着剤からなる建物の気密防水用粘着テープが提案されているが、上記と同様、かかる粘着剤では接着性や耐湿熱性について満足しないものである。
【0007】
アクリル系粘着剤組成物は、上述のように、気密防水用粘着テープとしても有用であり、防水・気密用住宅(防水性や気密性が優れている住宅)の品質の促進に関する法律の施行や、住宅の高気密化・高断熱化に伴う省エネルギー化に対応して、住宅の構造体と部材、部材間の間隙等(主として、サッシ開口部廻りや、透湿防水シートの重ね部分等の目地部等)に、気密及び防水の少なくとも一方を目的とした気密防水用粘着テープが用いられている。このような気密防水用粘着テープは、被着体と強固に接着するとともに、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れることが求められている。
【0008】
そこで、本発明ではこのような背景下において、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れた気密防水用粘着テープを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂を用いた気密防水用粘着テープにおいて、アクリル系樹脂を構成する共重合成分として、特定の末端カルボキシル基含有モノマーを含有する場合に、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を必須の架橋剤として用いることにより、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れたものとなることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状構造含有モノマー及び炭素数1〜5のビニルエステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種(a1)、下記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)、及び(メタ)アクリル酸(a3)を含む共重合成分(a)を共重合してなるアクリル系樹脂(A)、及びイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤からなることを特徴とする気密防水用粘着テープに関するものである。
【0011】
〔式〕
CH2=CR1−CO−O−(R2−COO−)nH ・・・(1)
(ここで、R1は水素またはメチル基、R2エチレン鎖、nは1以上の正数を示す。)
【0012】
本発明においては、気密防水用粘着テープとして、より接着性を向上させるために、上記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)をアクリル系樹脂の共重合成分として用いるものであるが、かかる末端カルボキシル基含有モノマー(a2)を含有させる場合には、粗面に対する接着性や低極性の被着体に対する接着性が優れる等の理由から、架橋剤として一般的には、イソシアネート系架橋剤ではなく、エポキシ系架橋剤を用いるものである。これは、かかる末端カルボキシル基含有モノマー(a2)を含有させる場合に、イソシアネート系架橋剤を用いると、保持力を持たすためには架橋剤の添加量が増える等の理由から、通常粗面に対する接着性や低極性の被着体に対する接着性等が低下してしまうことが懸念され、それ故、粗面や低極性の被着体に対する接着性と保持力の両立が困難とされていたためである。しかしながら、エポキシ系架橋剤では、高温・高湿の環境下においては、水分等の影響により粘着剤中の架橋構造が崩れ、経時でゲル分率が低下し、粘着テープとしての経時安定性が損なわれたり、保持力が低下したりする等の問題が生じるものであった。本発明においては、かかる末端カルボキシル基含有モノマー(a2)を共重合成分とする場合においても、架橋剤としてあえてイソシアネート系架橋剤を選択することにより、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れた気密防水用粘着テープとなることを見出したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の気密防水用粘着テープは、プラスチック材をはじめ、金属や木材等の高極性の被着体や低極性の被着体等の各種被着体や粗面を有する被着体に対して良好な接着性を有するものであり、さらに、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れた効果を有するものである。
【0014】
また、上記共重合成分(a)の含有割合が、上記炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1)1〜98重量%、上記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)1〜20重量%、上記(メタ)アクリル酸(a3)0.1〜5重量%であると、接着性及び保持力により優れるようになる。
【0015】
さらに、上記共重合成分(a)として、さらに水酸基含有モノマー(a4)を含有すると、接着性及び保持力により一層優れるようになる。
【0016】
そして、上記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量が、上記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であると、耐湿熱性により優れるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
【0018】
本発明の粘着剤組成物は、特定のモノマー成分を含む共重合成分(a)を共重合してなるアクリル系樹脂(A)、及びイソシアネート系架橋剤(B)を含有するものである。
【0019】
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状構造含有モノマー及び炭素数1〜5のビニルエステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種(a1)、下記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)、及び(メタ)アクリル酸(a3)を含む共重合成分(a)を共重合してなるものである。
さらに、共重合成分(a)として、必要に応じて、水酸基含有モノマー(a4)やその他の重合性モノマー(a5)を含有してなるものである。以下、各共重合成分(a)を順に説明する。
【0020】
〈(a1)成分〉
上記(a1)成分は、炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状構造含有モノマー及び炭素数1〜5のビニルエステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種である。中でも、炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。(a1)の含有割合としては、共重合成分(a)全体の通常1〜98重量%、特には50〜98重量%、さらには70〜98重量%であることが好ましい。(a1)成分の含有量が少なすぎると接着性が低下する傾向があり、多すぎると保持力が低下する傾向がある。
【0021】
そして、上記(a1)成分中の炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−1)、及び、炭素数4〜24、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2)から選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましく、さらに好ましくは保持力と粘着力のバランスが優れる点から(メタ)アクリレート(a1−1)、及び、(メタ)アクリレート(a1−2)の両方を含有するものである。
【0022】
上記炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−1)の含有割合としては、共重合成分(a)全体の1〜20重量%、特には1〜18重量%、さらには2〜15重量%であることが好ましい。(a1−1)成分の含有量が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0023】
上記炭素数4〜24、好ましくは4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2)の含有割合としては、共重合成分(a)全体の55〜97重量%、特には70〜95重量%、さらには80〜90重量%であることが好ましい。(a1−2)の含有量が少なすぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向があり、多すぎると接着性が低下するとともに保持力が低下する傾向がある。
【0024】
また、上記炭素数4〜24、好ましくは4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2)は、炭素数4〜7のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2−1)、及び、炭素数8〜24、好ましくは8〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2−2)から選ばれる少なくとも1種を含有するものであり、好ましくは保持力と高極性被着体と低極性被着体に対する接着性のバランスが優れる点から(メタ)アクリレート(a1−2−1)、及び、(メタ)アクリレート(a1−2−2)の両方を含有するものである。
上記(a1−2−1)成分の上記(a1−2−2)成分に対する含有割合は、重量比で、(a1−2−1)/(a1−2−2)=1/99〜85/15、特には5/95〜80/20、さらには10/90〜70/30、殊には15/85〜40/60であることが好ましい。上記(a1−2−1)成分の含有割合が小さすぎると保持力が低下する傾向があり、大きすぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0025】
上記炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等があげられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0026】
上記炭素数4〜7のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2−1)としては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート等があげられ、中でも入手が容易で経済性に優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0027】
上記炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1−2−2)としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、べヘニル(メタ)アクリレート等があげられ、中でも極性が低くガラス転移温度が低い点で炭素数8〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、特には2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
つぎに、上記(a1)成分中の環状構造含有モノマーとしては、通常、環状構造を有する置換基で置換されたアクリル系モノマーであり、例えば、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン等のモルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の複素環を有する複素環含有(メタ)アクリレートや、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等があげられ、その他、スチレン、α−メチルスチレン等もあげられる。中でも各種物性のバランスが良いことからモルホリン環を有する複素環含有(メタ)アクリレート、特には入手が容易さ、安全性の点からN−(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましい。
【0029】
また、上記(a1)成分中の炭素数1〜5のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等があげられる。中でも、入手が容易な点で、酢酸ビニルが好ましく用いられる。
【0030】
〈(a2)成分〉
上記(a2)成分は、下記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマーである。
【0031】
〔式〕
CH2=CR1−CO−O−(R2−COO−)nH ・・・(1)
(ここで、R1は水素またはメチル基、R2エチレン鎖、nは1以上の正数を示す。)
【0033】
上記(a2)成分の含有割合としては、共重合成分(a)全体の通常1〜20重量%、特には1.5〜15重量%、さらには2〜8.5重量%であることが好ましい。含有割合が少なすぎると各種被着体に対する接着性が低下する傾向があり、多すぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0034】
〈(a3)成分〉
(メタ)アクリル酸(a3)の含有割合としては、共重合成分(a)全体の通常0.1〜5重量%、特には0.5〜4.5重量%、さらには1〜4重量%であることが好ましい。含有割合が少なすぎると各種被着体に対する接着性が低下する傾向があり、多すぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0035】
上記(a2)成分と(a3)成分との含有割合は、重量比で、(a2)成分100重量部に対して(a3)成分が、通常10〜400重量部、特には20〜200重量部、さらには25〜100重量部、殊には30〜75重量部であることが好ましい。(a3)成分が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0036】
〈(a4)成分〉
本発明では上記(a1)〜(a3)の各成分を共重合したアクリル系樹脂(A)を用いるが、さらに水酸基含有モノマー(a4)を共重合させることが望ましい。この水酸基含有モノマー(a4)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーをあげることができる。
これらの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、特には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート好ましい。
【0037】
上記水酸基含有モノマー(a4)は架橋剤を配合する場合に架橋点となることから有用であり、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる本発明においては特に有効である。かかる場合においては、共重合成分(a)全体の通常0.01〜5重量%、特には0.05〜3重量%、さらには0.05〜2重量%であることが好ましい。(a4)成分が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると各種被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0038】
〈その他の重合性モノマー(a5)〉
本発明では必要に応じてその他の重合性モノマー(a5)を用いてもよく、その他の重合性モノマー(a5)としては、例えば、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーの官能基含有モノマーやその他の共重合性モノマーがあげられる。
【0039】
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等があげられる。
【0040】
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等があげられる。
【0041】
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等があげられる。
【0042】
上記アミノ基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合及びアミノ基(無置換または置換アミノ基)を有するモノマーがあげられ、例えば、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノイソプロピル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルや(メタ)アクリル酸N−(t−ブチル)アミノエチル等のN−アルキルアミノアルキルの(メタ)アクリル酸エステル等の一置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等のN,N−ジアルキルアミノアルキルの(メタ)アクリル酸エステル等の二置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、これらアミノ基含有単量体の四級化塩等;p−アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン類;3−(ジメチルアミノ)スチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類;N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル等のジアルキルアミノアルキルビニルエーテル類;アリルアミン、4−ジイソプロピルアミノ−1−ブテン、トランス−2−ブテン−1,4−ジアミン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等があげられる。
【0043】
上記アミド基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合及びアミド基(アミド結合を有する基)を有するモノマーがあげられ、例えば、(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−s−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(s−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ) アクリルアミド、N,N−ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミドエチルエチレンウレア、(メタ)アクリルアミドt−ブチルスルホン酸等の置換アミド基含有モノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド;これらアミド基含有モノマーの四級化塩等があげられる。
【0044】
上記その他の共重合性モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等があげられる。
【0045】
その他の重合性モノマー(a5)は、用途に応じて物性を調整するために本発明の効果を阻害しない程度含有される。
【0046】
かくして、上記(a1)〜(a3)成分、必要に応じて、さらに(a4)成分や(a5)成分を共重合成分として重合することによりアクリル系樹脂(A)を製造するのであるが、これらの(a1)〜(a5)の各成分は、それぞれ単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かかる重合にあたっては、溶液重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
【0047】
かかる溶液重合は、常法にしがって、例えば、有機溶媒中に、(a1)〜(a3)等の共重合成分(a)、及び、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜98℃で0.1〜20時間重合すればよい。
【0048】
かかる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例としてあげられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0049】
このようにして得られるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、通常10万〜500万、好ましくは30万〜150万、特に好ましくは50万〜90万である。重量平均分子量が小さすぎると、耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると製造が難しくなる傾向となる。
【0050】
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、さらには10以下が好ましく、殊には7以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
【0051】
さらに、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−80〜10℃、特には−70〜−10℃、さらには−65〜−20℃であることが好ましく、ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
【0052】
なお、上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。
【0053】
アクリル系樹脂(A)の分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
【0054】
また、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度については、Foxの式を用いて算出し、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常DSCにより測定されてなる文献値及びカタログ記載値を用いた。
ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
【0055】
【数1】
【0056】
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
【0057】
アクリル系樹脂(A)は溶媒等により粘度調整され、アクリル系樹脂(A)溶液として塗工に供せられる。かかるアクリル系樹脂(A)溶液の粘度としては、取扱い易さの点から500〜20000mPa・sであることが好ましく、特には1000〜18000mPa・sが好ましく、さらには2000〜15000mPa・sが好ましい。かかる粘度が高すぎると流動性が低下して取り扱いにくくなる傾向にあり、低すぎると粘着剤の塗工が困難となる傾向がある。
【0058】
アクリル系樹脂(A)溶液の粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3 回転粘度計法に準じて測定した。
【0059】
<イソシアネート系架橋剤(B)>
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系樹脂(A)に加え、イソシアネート系架橋剤(B)を含有する。イソシアネート系架橋剤(B)は、アクリル系樹脂(A)中の官能基と反応し、架橋構造を形成させるものである。
【0060】
上記イソシアネート系架橋剤(B)は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等があげられる。
【0061】
上記イソシアネート系架橋剤(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の架橋剤、例えば、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等と併用してもよい。
【0062】
上記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、特には0.1〜1重量部、さらには0.3〜0.9重量部であることが好ましい。上記含有量が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると低極性の被着体に対する接着性が低下する傾向がある。
【0063】
<粘着付与剤(C)>
粘着付与剤(C)は、アクリル系樹脂(A)の物性を調整するために用いられるものであり、本発明の粘着剤組成物に含有されることが好ましい。粘着付与剤(C)としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、クマロン系樹脂、石油樹脂系等があげられる。
また、気密防水用粘着テープとして用いる場合には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂が好ましく、さらに好ましくは、物性のバランスが優れる点でロジン系樹脂である。
【0064】
上記粘着付与剤(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して通常1〜50重量部、特には5〜30重量部、さらには5〜20重量部であることが好ましく、要求物性に応じて適量配合する。
【0065】
さらに、本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、アクリル系樹脂(A)以外の樹脂成分、アクリルモノマー、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、ラジカル捕捉剤等の各種添加剤、金属及び樹脂粒子等を配合することができる。また、上記の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
【0066】
上記その他の成分の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量以下である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
【0067】
本発明の粘着剤組成物は、上記のように、アクリル系樹脂(A)及びイソシアネート系架橋剤(B)に加え、必要に応じて粘着付与剤(C)、さらには、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤等を含有するものであってもよい。
上記成分を混合することにより、本発明の粘着剤組成物を得ることができる。また、この粘着剤組成物が架橋されることにより、本発明の粘着剤が得られる。また、この粘着剤は、本発明の粘着テープの粘着剤層として用いることも有用である。
具体的には、上記粘着剤組成物を、酢酸エチル等の溶媒に溶解させて、固形分濃度が10〜70%になるように塗工用の粘着剤組成物溶液を調液し、この溶液を基材に塗工、乾燥することにより粘着テープの粘着剤層とすることができる。
【0068】
<粘着テープ>
本発明の粘着テープは、上記粘着剤組成物を硬化することにより得られた粘着剤を、粘着剤層として含有するものである。
【0069】
上記粘着剤層の厚みとしては、5〜200μmであることが好ましく、特に好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは15〜130μmである。
かかる厚みが厚すぎると粘着剤の塗工が困難になる傾向があり、薄すぎると充分な粘着力が得られない傾向がある。
【0070】
上記粘着剤層のゲル分率は、90重量%以下、特には1〜90重量%であることが好ましい。
かかるゲル分率が好ましい範囲より高すぎると粘着力が低下する傾向があり、好ましい範囲より低すぎると凝集力が低下し、所望の粘着力が得られにくい傾向がある。
【0071】
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)に粘着剤層が形成された粘着テープ(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×48時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
【0072】
上記粘着剤層の粘着力としては、通常、使用される被着体に対して1〜100N/25mmであるが、中でも、比較的極性が高い被着体としてSUS304鋼板の試験板を使用した場合は、JIS Z0237に準じた180°剥離強度で、25N以上/25mmであることが好ましく、特に好ましくは30N以上/25mm、さらに好ましくは35N以上/25mmである。なお、通常上限は100N/25mm程度である。
また、比較的極性が低い被着体としてポリエチレン製の試験板を使用した場合は、JIS Z0237に準じた180°剥離強度で、3N以上/25mmであることが好ましく、特に好ましくは5N以上/25mm、さらに好ましくは10N以上/25mmである。なお、通常上限は100N/25mm程度である。また、粗面を有する被着体としてOSB板の試験板を使用した場合は、JIS Z0237に準じた90°剥離強度で、3N以上/25mmであることが好ましく、特に好ましくは5N以上/25mm、さらに好ましくは6N以上/25mmである。なお、通常上限は50N/25mm程度である。
【0073】
なお、粘着力は被着体の組成(材質)や表面状態(表面粗さ)、処理(洗浄)条件等で変わるため、上記の粘着力範囲に限定されるものではない。
【0074】
かかる粘着力の測定は、JIS Z0237に準じて測定する値である。具体的には、後記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0075】
なお、試験片が両面粘着テープである場合には、試験しない粘着面はJIS C2318に規定される呼び厚さ25番のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー S10)で覆って測定することができる。
【0076】
また、粘着剤層の保持力としては、後記実施例に記載の方法で測定した場合、24時間経過後に試験片が試験板からずれたとしても3.0mm以下であるか、または、試験片が24時間以内に落下したとしても、その保持時間は、150min以上であることが好ましい。
【0077】
また、上記粘着剤層の耐湿熱性としては、後記実施例に記載の方法で測定した場合、すなわち60℃、90%RHの恒温恒湿器中に14日間保管した後、ゲル分率試験においては、初期ゲル分率からの差が10%未満であることが好ましい。一方、保持力試験においては、初期の試験片のずれ幅からの差が1mm未満であることが好ましい。
【0078】
本発明の粘着テープにおいては、片面粘着テープ又は両面粘着テープである。
【0079】
また、両面粘着テープの粘着剤層は、ともに同一の粘着剤層であってもよいし、異なる組成の粘着剤層であってもよい。
【0080】
本発明の粘着テープには、上記粘着剤層を、基材に設けることがハンドリング等の点から好ましい。基材としては、従来公知の基材であれば特に限定されることはないが、例えば、レーヨン布、綿布、ポリエステル布、レーヨンとポリエステルの混紡糸からなる布、不織布、フラットヤーンクロス、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムがラミネートされた積層フィルム等があげられ、これらの中でも長手方向の引張強度が高い点から、フラットヤーンクロスを含有するものが好ましい。
【0081】
フラットヤーンクロスとは、フラットヤーンと呼ばれるポリエチレンやポリプロピレンのフィルムを、短冊状にカットし延伸することにより強度を持たせた平らな糸を織って織布としたもので、この織布の縦と横に交差するフラットヤーンの交差部を熱融着により固定して目ずれしないようにしたものが用いられる。
【0082】
かかる粘着テープの製造方法については、公知一般の粘着テープの製造方法を用いればよく、例えば、基材の一方の面に粘着剤を塗布・乾燥し、形成された粘着剤層の表面にリリースライナーを重ねる方法、あるいはリリースライナーの一方の面に粘着剤を塗布・乾燥し、形成された粘着剤層の表面に基材、好ましくは手切れ性を有する基材を重ねる方法によって製造することができる。
【0083】
基材の上に粘着剤層を設けるにあたり、手切れ性を有する基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理等の公知慣用の表面処理を適宜施してもよい。
【0084】
上記リリースライナーとしては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、セロハン等のプラスチックからなるプラスチックフィルム;クラフト紙、和紙等の紙;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等を発泡させてなる発泡体シート;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体等があげられる。また、これらはその片面または両面にコロナ処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0085】
また、上記リリースライナーとして、例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙にポリエチレン等のフィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル酸エステル共重合体等の樹脂を塗布した紙、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等に、剥離剤であるフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等を塗布してなるものもあげられる。
【0086】
これらの中でも、容易に手で引き裂けやすいという点で紙製のリリースライナーが好ましく、原紙の坪量が40〜120g/m2、好ましくは50〜80g/m2である紙製リリースライナーが特に好ましい。さらに、かかるリリースライナーの厚みとしては、40〜180μmであることが好ましく、特には60〜140μm、さらには80〜120μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎると巻き取り時にシワが入る等、製造が困難になる傾向があり、厚すぎると手切れ性が低下する傾向がある。
【0087】
なお、両面粘着テープの粘着剤層上にリリースライナーを積層する場合においては、作業性の向上のために、両面に積層されるリリースライナーの剥離力が異なるようにそれぞれのリリースライナーを選択することが好ましい。例えば、両面粘着テープの初めに貼着する面側のリリースライナーの剥離力は、次に貼着する面側のリリースライナーの剥離力より軽剥離であるリリースライナーを選択すると作業性が向上する。
【0088】
粘着剤を形成する組成物を種々のシート状基材に塗布する際に用いる塗布装置は、通常使用されている塗布装置を用いればよく、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーター等があげられる。
【0089】
また、乾燥条件は、乾燥時に粘着剤中の溶媒や残留モノマーが乾燥し除去され、かつ、架橋剤を使用する場合にはベース樹脂が有する官能基と架橋剤とが反応し、架橋構造が形成され得る条件であればよい。乾燥条件として、例えば、60〜120℃、1〜5分程度が好ましい。乾燥後、シート状基材で粘着剤層を挟んだ状態で熟成し、さらに架橋反応を進行させることができる。
【0090】
本発明の粘着テープは、ロール状であってもよいし、枚葉状態であってもよいし、あるいはさらに種々の形状に加工されたものであってもよい。
そして、粘着テープが、両面粘着テープの場合、枚葉状態には、2つの粘着剤層の両方の表面にリリースライナーが設けられることが好ましく、ロール状態の場合には、2つの粘着剤層の一方の表面のみにリリースライナーが設けられることが好ましい。
【0091】
また、本発明の粘着テープは引張強度の大きいものが好ましく、アルミサッシや壁材に貼り付ける際、歪まない様に引っ張ったり、位置補正ために剥がしたりするために必要な強度が求められる。粘着テープの引張強度としては、20N以上/25mm、さらには30N以上/25mm、さらには50N以上/25mmが好ましい。なお、引張強度の上限としては、通常250N/25mmである。引張強度の大きい両面粘着テープとするには、基材フィルムの易カット性フィルム単体の引張強度が、目的とする粘着テープの引張強度と同等、もしくはそれ以上の引張強度をもつフィルムを用いることで達成することができる。
【0092】
かくして本発明の粘着テープが得られるものであるが、本発明の粘着テープは、粘着性能を低下させる被着体や基材に対しても粘着性能の低下もなく、また、湿熱条件下においても良好な粘着性能を有するものである。また、基材フィルムとして、手切れ性を有する基材を用いた場合には、テープの幅方向に対してテープカッター等を使用することなく任意の位置において手で容易に切断することができ、粘着テープとして特に有用なものとなる。
【0093】
本発明の粘着テープは、例えば、クラフトテープ、OPPテープ、布粘着テープ等の包装用テープ、軽包装用セロハン粘着テープ、自動車用発泡テープ、制振シート、難燃接着テープ、住宅用養生テープ、防音シール、カーペット固定用両面テープ、電気絶縁用ビニルテープ、屋外防食テープ、屋内表示用テープ、スリップ防止用テープ、気密防水用粘着テープ、医療用救急絆創膏等の貼付基材、サージカルテープ、粘着包帯、電気・電子機器用テープ、光学用両面テープ、半導体用ダイシングテープ、熱伝導テープ、耐熱テープ、導電性テープ等として、幅広い用途に用いることができ、とりわけ、気密防水用粘着テープとして非常に有用である。
【0094】
そして、本発明の粘着テープを用いる被着体としては、特に限定されるものではないが、気密防水用粘着テープとして用いられる場合の好適な被着体としては、例えば、住宅の構造体やその部材、部材間の間隙等があげられる。中でも、アルミサッシのような比較的極性が高い被着体、透湿防水シートのような比較的極性が低い被着体、OSB板のような粗面を有する被着体等をあげることができる。気密防水用粘着テープの具体的な使用方法としては、例えば、気密防水用粘着テープを、窓等の開口部に貼り付けサッシ枠を取り付けたり、サッシ枠の外周縁部に貼り付けたりして、住宅の高気密化・高断熱化を高めることができる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
【0096】
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂(A)を調製した。
なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度、及び粘度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
【0097】
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)の製造に先立ち、製造に用いる共重合成分(a)として以下のものを用意した。
(a1)成分として、
・MA:メチルアクリレート
・EA:エチルアクリレート
・BA:ブチルアクリレート
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・Vac:酢酸ビニル
・ACMO:アクリロイルモルホリン
(a2)成分として、
・下記一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー
CH2=CR1−CO−O−(R2−COO−)nH ・・・(1)
上記一般式(1)においてR1は水素、R2はエチレン鎖、nは1〜5の化合物
(a3)成分として、
・アクリル酸
(a4)成分として、
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0098】
なお、上記(a2)成分については、ソルベイ日華社製の「サイポマーH」を使用した。
サイポマーHは、一般式(1)のR1は水素、R2はエチレン鎖であり、n=0つまりアクリル酸(a3)を25%、n=1〜5の化合物(a2)を75%含有する混合物である。
【0099】
〔アクリル系樹脂(A−1)の製造〕
温度計、撹拌機及び還流冷却機を備えた反応器内に、メチルアクリレート(a1)6部、ブチルアクリレート(a1)25.8部、2−エチルヘキシルアクリレート(a1)63.1部、サイポマーH 5部〔一般式(1)で示される末端カルボキシル基含有モノマー(a2)3.75部、アクリル酸(a3)1.25部〕、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a4)0.1部、酢酸エチル55部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.15部を仕込み、撹拌しながら昇温し、酢酸エチル還流温度にて7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈してアクリル系樹脂(A−1)の50%溶液を得た。
得られたアクリル系樹脂(A−1)の重量平均分子量(Mw)は58万、分散度5.2、ガラス転移温度は−59℃、樹脂溶液の粘度は4,200mPa・s/25℃であった。
【0100】
〔アクリル系樹脂(A−2)〜(A−5)の製造〕
アクリル系樹脂(A−1)の製造において、後記の表1の示す配合量に変更した以外は同様に行い、アクリル系樹脂(A−2)〜(A−5)の溶液を得た。
【0101】
<架橋剤>
架橋剤として以下のものを用意した。
・イソシアネート系架橋剤(B):日本ポリウレタン工業社製、コロネートL−55E(固形分55%)
・エポキシ系架橋剤:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、テトラッドC)
【0102】
<粘着付与剤>
粘着付与剤(C)として以下のものを用意した。
・不均化ロジンエステル(荒川化学工業社製、スーパーエステルA−100)
【0103】
<実施例1〜7>
上記のようにして調製、準備したアクリル系樹脂(A−1)〜(A−5)について、その固形分100部に対して、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(B)を固形分に換算して後記の表2記載の量、及び、粘着付与剤(C)を15部混合し、酢酸エチルにて固形分濃度を48%になるように調液し、均一になるまで撹拌し、粘着剤組成物溶液を得た。
得られた粘着剤組成物について、以下の通り粘着テープを作製し、以下の評価を行った。評価結果を後記の表2に示す。
【0104】
<比較例1>
実施例1において、架橋剤としてエポキシ系架橋剤をアクリル系樹脂(A−1)の固形分100部に対して、0.033部に変更した以外は同様に行い、粘着剤組成物溶液を得た。
得られた粘着剤組成物について、実施例1と同様にして粘着テープを作製し、同様の評価を行った。評価結果を後記の表2に示す。
【0105】
〔気密防水用粘着テープの作製〕
上記のようにして準備した粘着剤組成物溶液をフラットヤーン(ダイヤテックス社製、厚み130μm)に対して乾燥後の厚みが100μmになるようにアプリケーターを用いて塗工し、90℃で3分間乾燥し、紙製リリースライナー(サンエー化研社製、K−80H−S(F))の剥離面を貼り合わせた。その後、40℃の乾燥機中で7日間加熱エージング処理を行い、粘着テープを作製した。
【0106】
<接着性評価(1):180°剥離強度>
上記粘着テープを幅25mm、長さ150mmにカットして試験片を作製した。次いで、被着体としてSUS304鋼板、及びタイベック・ハウスラップシートの試験板を使用し、この試験板に上記試験片を重さ2kgのローラーを圧着速さ5mm/sで1往復させて圧着させた。圧着後、5分間放置し、試験片の遊び部分を180°折り返し、30mm剥がした後、下部のチャックに試験板を、上部のチャックに試験片の端をそれぞれ固定し、引き剥がし角度180°、300mm/minの速度で被着体から粘着テープを引き剥がし、接着力を測定した。
なお、上記SUS304鋼板はエンジニアリングテストサービス社のJIS規格適合品を使用するとともに、タイベック・ハウスラップシートは、市販品のタイベック(R)・ハウスラップを使用した。
【0107】
<接着性評価(2):90°剥離強度>
上記粘着テープを幅25mm、長さ150mmにカットして試験片を作製した。次いで、被着体として市販品のSUS304鋼板、アルミニウム板、ポリエチレン板及びOSB板の試験板を使用し、この試験板の表面に対し上記試験片を重さ2kgのローラーを圧着速さ10mm/sで2往復させて圧着させた。圧着後、24時間放置し、試験片の遊び部分を180°折り返し、30mm剥がした後、試験板を治具に固定し、試験機のチャックに試験片の端を固定し、引き剥がし角度90°、300mm/minの速度で被着体から粘着テープを引き剥がし、接着力を測定した。
なお、上記アルミニウム板は日本テストパネル社より入手した型番A1050Pを使用し、上記ポリエチレン板は日本テストパネル社より入手した標準試験板を使用した。また、上記OSB板(Oriented Strand Board:薄い削片状にした木片を配向させて積層させ接着剤で高温圧縮した木質板)はカナダのエインズワース社製のものを使用した。
【0108】
<保持力>
上記粘着テープを幅25mm、長さ150mmにカットして試験片を作製した。次いで、被着体としてSUS304鋼板の試験板を使用し、この試験板に試験片と試験板との接触面積が幅25mm×長さ25mmになるように上記試験片を重さ2kgのローラーを圧着速さ10mm/sで2往復させて圧着させた。試験片の粘着剤が露出する部分は折り返した。圧着後23℃、50%RHの環境にて30分間放置し、40℃の環境に移し20分間静置した。試験板及び試験片が鉛直に垂れ下がるように1kgの錘を取り付け、その後40℃の環境にて試験片が落下する時間、または、24時間後に試験片が試験板からずれた距離を測定した。
【0109】
<ゲル分率>
ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、以下の方法にて算出した。
すなわち、基材となる高分子シート(ポリエチレンテレフタレートフィルム)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とした。ただし、基材の重量は差し引いておく。
【0110】
<テープ保管試験による耐湿熱性>
上記粘着テープを60℃、90%RHに保たれた恒温恒湿器中に保管して、所定の日数毎にゲル分率、保持力、外観について評価を行った。
〈ゲル分率〉
保管開始から7日後、14日後の上記に記載した方法でゲル分率を測定した。
〈保持力〉
保管開始から7日後、14日後の保持力を測定した。上記方法の試験片がずれた距離については、24時間後から1時間後に変更した以外は同様の方法で測定した。
〈外観〉
目視により、粘着剤がテープのサイドから垂れているかどうか確認した。
○・・・粘着剤が垂れていなかった
×・・・粘着剤が垂れていた
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
上記表2の結果より、本発明の実施例品はいずれも、耐湿熱試験の結果に優れ、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れることが分かった。
これに対し、比較例1品は耐湿熱試験の結果、ゲル分率の低下および保持力の低下が著しく、また、明らかに粘着剤が垂れている状態であり、耐湿熱性に弱いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の気密防水用粘着テープは、高温・高湿の環境下においても粘着テープとしての経時安定性に優れ、さらに接着性及び耐湿熱性に優れたものであり、大いに期待される。