(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信アンテナ素子は、前記電波の波長をλとする場合に、前記第2の方向についてλ/2の間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレーダ装置。
前記受信アンテナ素子は、前記電波の波長をλとする場合に、前記第2の方向についてλ/2未満の間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレーダ装置。
前記分散部は、複数の共振素子によって構成され、前記第1の方向の中央には前記電波と略同じ周波数で共振する前記共振素子が配置され、下側には低い周波数で共振する前記共振素子が配置され、上側には高い周波数で共振する前記共振素子が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレーダ装置。
前記検出部は、前記分散部によって反射された前記電波の信号レベルと所定の閾値とを比較することで、前記第1の方向における前記物標の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレーダ装置。
前記検出部は、前記2つの分散部の一方によって反射された前記電波の信号レベルと、他方によって反射された前記電波の信号レベルと、を比較することで、前記第1の方向における前記物標の位置を検出することを特徴とする請求項5に記載のレーダ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す技術では、複数の送信アンテナを用いる必要があることから、装置の構成が複雑化するという問題点がある。
【0006】
本発明は、装置を複雑化することなく、視野角に直交する方向の物標の位置を検出することが可能なレーダ装置およびレーダ装置の物標位置検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、電波により物標を検出するレーダ装置において、第1の方向に所定の長さを有する受信アンテナ素子が、前記第1の方向に略直交する第2の方向に複数並べて配置された受信アレーアンテナと、前記受信アレーアンテナの近傍に配置され、前記第1の方向に対して前記電波の分散特性が変化する分散部と、前記分散部によって反射された前記電波に基づいて、前記第1の方向における前記物標の位置を検出する検出部と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、装置を複雑化することなく、視野角に直交する方向の物標の位置を検出することができる。
【0008】
また、本発明は、前記受信アレーアンテナは回路基板に配置され、前記分散部は、前記回路基板の前記受信アレーアンテナの近傍に配置されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、受信アレーアンテナと同じ回路基板に分散部を設けることで、構成を簡略化して、装置の製造コストの上昇を抑制できる。
【0009】
また、本発明は、前記受信アレーアンテナは回路基板に配置され、前記分散部は、前記受信アレーアンテナが配置された前記回路基板を覆設するレドームに配置されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、レドームに分散部を設けることで、回路基板のサイズが大きくなることを防止できる。
【0010】
また、本発明は、前記受信アレーアンテナを挟むように2つの前記分散部が配置され、2つの前記分散部は、前記第1の方向に同じ分散特性を有することを特徴とする。
このような構成によれば、分散部を増やすことで、第1の方向の検出感度を向上できる。
【0011】
また、本発明は、前記受信アレーアンテナを挟むように2つの前記分散部が配置され、2つの前記分散部は、前記第1の方向の分散特性が相互に反転した特性を有することを。
このような構成によれば、第1方向の位置に応じて反転した出力を得ることができるので、第1の方向に対する検出感度を向上できる。
【0012】
また、本発明は、前記受信アンテナ素子は、前記電波の波長をλとする場合に、前記第2の方向についてλ/2の間隔を隔てて配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、視野角方向の角度を確実に検出することができる。
【0013】
また、本発明は、前記受信アンテナ素子は、前記電波の波長をλとする場合に、前記第2の方向についてλ/2未満の間隔を隔てて配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、第2方向において、分散部が設けられた位置に関する情報を得ることができる。
【0014】
また、本発明は、前記分散部は、複数の共振素子によって構成され、前記第1の方向の中央には前記電波と略同じ周波数で共振する前記共振素子が配置され、下側には低い周波数で共振する前記共振素子が配置され、上側には高い周波数で共振する前記共振素子が配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、共振素子の周波数を設定することで、所望の分散特性を得ることができる。
【0015】
また、本発明は、前記分散部に電力を供給する給電部を有し、前記検出部が前記第1の方向における前記物標の位置を検出する場合には前記給電部は前記分散部に対する電力の供給を停止し、検出しない場合には前記給電部は前記分散部に対して電力を供給することを特徴とする。
このような構成によれば、第1の方向における物標の位置の検出機能を必要に応じてオン/オフすることができる。
【0016】
また、本発明は、前記検出部は、前記分散部によって反射された前記電波の信号レベルと所定の閾値とを比較することで、前記第1の方向における前記物標の位置を検出することを特徴とする。
このような構成によれば、簡単な処理によって物標の仰角方向の位置を検出することができる。
【0017】
また、本発明は、前記検出部は、前記2つの分散部の一方によって反射された前記電波の信号レベルと、他方によって反射された前記電波の信号レベルと、を比較することで、前記第1の方向における前記物標の位置を検出することを特徴とする。
このような構成によれば、簡単な処理によって物標の仰角方向の位置を確実に検出することができる。
【0018】
また、本発明は、前記検出部は、シグナルプロセッサによって構成されることを特徴とする。
このような構成によれば、簡易な構成によって物標の仰角方向の位置を確実に検出することができる。
【0019】
また、本発明は、電波により物標を検出するレーダ装置の物標位置検出方法において、第1の方向に所定の長さを有する受信アンテナ素子が、前記第1の方向に略直交する第2の方向に複数並べて配置された受信アレーアンテナと、前記受信アレーアンテナの近傍に配置され、前記第1の方向に対して前記電波の分散特性が変化する分散部と、を有し、前記分散部によって反射された前記電波に基づいて、前記第1の方向における前記物標の位置を検出する、ことを特徴とする。
このような方法によれば、装置を複雑化することなく、視野角に直交する方向の物標の位置を検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置を複雑化することなく、視野角に直交する方向の物標の位置を検出することが可能なレーダ装置およびレーダ装置の物標位置検出方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0023】
(A)第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。この図に示すように、本発明の第1実施形態に係るレーダ装置1は、局部発振部10、送信部11、制御・処理部15、受信部16、および、A/D(Analog to Digital)変換部21を主要な構成要素としている。
【0024】
ここで、局部発振部10は、所定の周波数のCW(Continuous Wave)信号を生成して、送信部11と受信部16に供給する。
【0025】
送信部11は、変調部12、および、送信アンテナ13を有し、局部発振部10から供給されるCW信号を、変調部12によってパルス変調し、送信アンテナ13を介して物標に向けて送信する。
【0026】
送信部11の変調部12は、制御・処理部15によって制御され、局部発振部10から供給されるCW信号をパルス変調して出力する。送信アンテナ13は、変調部12から供給されるパルス信号を、物標に向けて送信する。
【0027】
制御・処理部15は、局部発振部10、変調部12、アンテナ切換部18、および、利得可変増幅部19を制御するとともに、A/D変換部21から供給される受信データに対して演算処理を実行することで、物標を検出する。
【0028】
図2は、
図1に示す制御・処理部15の詳細な構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御・処理部15は、制御部15a、処理部15b、検出部15c、および、通信部15dを有している。ここで、制御部15aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成され、ROMおよびRAMに記憶されているデータに基づいて装置の各部を制御する。処理部15bは、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等によって構成され、A/D変換部21から供給されるデジタル信号に対する処理を実行する。検出部15cは、例えば、DSP等によって構成され物標を検出する処理を実行する。通信部15dは、検出部15cによる検出結果を、外部の装置に対して通知する。
【0029】
図1に戻る。受信部16は、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−N(N≧2)、アンテナ切換部18、利得可変増幅部19、および、復調部20を有し、送信アンテナ13から送信され、物標によって散乱された信号を受信して復調処理を施した後、A/D変換部21に出力する。
【0030】
受信部16の第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nは、N個のアンテナ素子によって構成され、送信アンテナ13から送信され、物標によって散乱された信号を受信し、アンテナ切換部18に供給する。
【0031】
アンテナ切換部18は、制御・処理部15の制御部15aによって制御され、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nのいずれか1つを選択して、受信信号を利得可変増幅部19に供給する。利得可変増幅部19は、制御・処理部15の制御部15aによって利得が制御され、アンテナ切換部18から供給される受信信号を所定の利得で増幅して復調部20に出力する。復調部20は、利得可変増幅部19から供給される受信信号を、局部発振部10から供給されるCW信号を用いて復調して出力する。
【0032】
A/D変換部21は、復調部20から供給される受信信号を所定の周期でサンプリングし、デジタル信号に変換して制御・処理部15に供給する。
【0033】
図3は、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nのより詳細な構成例を示す図である。なお、
図3の例では、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8が配置されており、N=8の場合を例示している。なお、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は受信アレーアンテナ17を構成する。
図3に示すように、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、それぞれが
図3の上下方向に所定の長さLを有し、左右方向に幅W(W<L)を有している。第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、回路基板30の板面上に、間隔Dをそれぞれ隔てて配置される。第8受信アンテナ17−8の右隣には、分散部31を構成する共振素子31−1〜31−3が配置されている。なお、共振素子31−1〜31−3のそれぞれの長さはL1〜L3(L1<L2<L3)とされ、また、幅はW1とされている。
【0034】
(B)第1実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第1実施形態の動作を説明する。
図4は、第1実施形態の動作を説明するための図である。なお、
図4の下に示すように、回路基板30の左右方向(
図3の左右方向)をY軸とし、回路基板30の上下方向(
図3の上下方向)をX軸とし、回路基板30の法線方向をZ軸とする。このような
図4において、図示しない物標からの散乱波がZ軸の上方向から実線で示すように入射されたとする。より詳細には、
図4において、矢印Aの方向から回路基板30を眺めた状態を
図5に示す。
図5において、細い実線で示す法線(回路基板30の板面に対する法線)と同じ方向から入射される太い実線が
図4における散乱波の入射方向を示している。
【0035】
分散部31は、3つの共振素子31−1〜31−3によって構成される。ここで、共振素子31−2は、レーダ装置1が送信する電波の周波数と略同じ周波数f2を共振周波数とする素子である。共振素子31−1は、レーダ装置1が送信する電波の周波数よりも高い周波数f1を共振周波数とする素子である。共振素子31−3は、レーダ装置1が送信する電波の周波数よりも低い周波数f3を共振周波数とする素子である。すなわち、f1>f2>f3となるように設定されている。
【0036】
分散部31に対して、
図5の実線で示すように、法線方向と同じ角度の散乱波が入射されると、入射波は分散部31によって様々な方向に反射されるが、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の方向に反射される電波に注目すると、これらの電波は
図4において実線で示すように、法線に対して略直角に反射されて第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8に入射される。
【0037】
このとき、分散部31を構成する共振素子31−1〜31−3は、共振周波数が異なることから、分散特性、すなわち、周波数による伝搬速度が変化する。より詳細には、共振素子31−1によって反射された電波は、共振素子31−3によって反射された電波に比較して反射時に伝搬速度が速くなることから、共振素子31−1によって反射された電波の方が共振素子31−3によって反射された電波よりも位相が進んだ状態となる。この結果、
図4に模式的に示すように、共振素子31−1、共振素子31−2、共振素子31−3の順に位相が進んだ状態となる。なお、このとき、共振素子31−1と共振素子31−3の位相差をΔΦで表すものとする。
【0038】
つぎに、
図5に破線で示すように、散乱波の入射角を法線に対して角度θだけX軸のマイナス方向に設定した場合(−θに設定した場合)、共振素子31−1に入射される散乱波と、共振素子31−3に入射される散乱波の位相差をΔφとすると、Δφは以下の式(1)で表すことができる。なお、式(1)において、dは分散部31のX軸方向の長さを示し、λは散乱波の波長を示すものとする。
【0039】
Δφ=2πd/λ・sinθ ・・・(1)
【0040】
この場合、分散部31から出射される電波の位相差は、入射される際に生じる位相差Δφと、分散による位相差ΔΦを加算したものとなる。このため、分散部31から出射される電波は、
図6に破線で模式的に示すように、共振素子31−1から出射される電波の位相が共振素子31−3から出射される電波の位相よりもさらに進んだ状態となる。
【0041】
つぎに、
図5に一点鎖線で示すように、散乱波の入射角を法線に対して角度θだけX軸のプラス方向に設定した場合(+θに設定した場合)、共振素子31−1に入射される散乱波と、共振素子31−3に入射される散乱波の位相差をΔφとすると、Δφは以下の式(2)で表すことができる。
【0042】
Δφ=−2πd/λ・sinθ ・・・(2)
【0043】
このとき、仮に、入射される際に生じる位相差Δφと、分散による位相差ΔΦが同じ位相差である場合(−Δφ=ΔΦ)には、これらを加算した結果は0となることから、
図7に一点鎖線で模式的に示すように、共振素子31−1〜共振素子31−3から出射される電波の位相は略同じ状態となる。
【0044】
図9〜
図11は、
図8に示すように、分散部31に対してx軸およびy軸を設定した場合に、散乱波の入射角を−30°、0°、30°と変化させたときの分散部31によって反射される電波の状態をシミュレーションした結果を示す図である。より詳細には、
図8に示すように、分散部31の共振素子31−1〜31−3の中央にx軸を設定し、共振素子31−2の中央にy軸を設定している。また、共振素子31−1〜31−3の長さL1〜L3は、L1=2mm、L2=6mm、L3=10mmに設定し、共振素子31−1〜31−3の素子間のギャップgは1mmに設定し、散乱波の周波数は24GHzに設定している。
【0045】
図9は、
図5に破線で示す−θの入射角においてθ=30°とした場合(−30°の入射角)における分散部31によって反射される電波の状態を示す図である。また、
図10は、
図5に太い実線で示す0°とした場合における分散部31によって反射される電波の状態を示す図である。また、
図11は、
図5に一点鎖線で示す+θの入射角においてθ=30°とした場合(+30°の入射角)における分散部31によって反射される電波の状態を示す図である。
【0046】
図9〜
図11の比較から、図中に濃淡で示す電波の位相は、
図9では共振素子31−1に比較して共振素子31−3で反射された電波の位相が遅れているが、
図11では共振素子31−1と共振素子31−3で反射された電波の位相はほぼ同じ状態になっている。
【0047】
第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、
図9〜
図11に示す反射波を入力する。ここで、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、X軸方向の長さがLであり、これらから出力される電気信号は、長さL方向に電波を積分して得られる値となる。
【0048】
分散部31から出射される電波が
図11に示す状態である場合、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8のそれぞれにおける電波の位相は略同じであることから積分して得られる値はその時点における位相に応じた所定の値となる。一方、分散部31から出射される電波が
図9に示す状態である場合、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8のそれぞれにおける電波の位相がずれていることから積分して得られる値は、相殺されて
図11の場合よりも小さい値となる。
【0049】
図12は、
図9〜
図11において、レーダ装置1によって検出される信号の一例を示している。より詳細には、
図12(A)は、
図9に示す状態において検出される信号を示している。なお、
図12(A)において、横軸はY軸方向の角度(法線方向を0°とし、Y軸プラス側をマイナスとし、Y軸マイナス側をプラスとする角度)を示し、縦軸は信号のレベルを示している。また、
図12において、−Θ〜Θの範囲は通常の検出範囲(例えば、−60°〜+60°)を示し、90°は分散部31によって反射された信号を示している。
図12(A)では、分散部31によって反射された信号の位相が揃っていないことから検出される信号のレベルは低い状態になっている。一方、
図12(C)では、分散部31によって反射された信号の位相が揃っていることから検出される信号のレベルは高い状態になっている。
図12(B)では検出される信号は、
図12(A)および
図12(C)の中間となっている。なお、
図12(C)の場合のみ一定の出力を生じ、
図12(A),(B)は殆ど出力を生じない設定としてもよい。
【0050】
本発明の第1実施形態では、−Θ〜Θの範囲において、物標を検出した場合には、分散部31から入射される信号、すなわち、90°の角度から入射される信号のレベルを参照し、信号のレベルが所定の閾値Th2よりも大きい場合には
図5に示すプラス方向に物標が存在していると判定する。また、−Θ〜Θの範囲において、物標を検出した場合において、90°の角度から入射される信号のレベルが所定の閾値Th1よりも小さい場合には
図5に示すマイナス方向に物標が存在していると判定する。さらに、−Θ〜Θの範囲において、物標を検出した場合において、90°の角度から入射される信号のレベルが所定の閾値Th1より大きく、閾値Th2より小さい場合には、
図5に示す0°の方向に物標が存在していると判定する。もちろん、
図5に示す3つの場合を全て検出するのではなく、例えば、プラス方向だけを検出するようにしてもよい。
【0051】
つぎに、本発明の第1実施形態の詳細な動作について説明する。なお、以下では、レーダ装置1が、例えば、自動車等の車両に取り付けられている場合を例に挙げて説明する。取り付け方法としては、
図3に示す回路基板30のX軸が車両の上下(垂直)方向となるようにするとともに、Y軸が車両の左右(水平)方向になるように取り付ける。また、共振素子31−3が車両の上方向に位置し、共振素子31−1が車両の下方向に位置するように取り付ける。
【0052】
車両が動作中において、制御・処理部15は、変調部12を制御して、送信アンテナ13からパルス波を送信させる。送信アンテナ13から送信されたパルス波は、物標によって散乱され、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8によって受信される。また、物標によって散乱されたパルス波は、
図3に示す分散部31によって分散された後、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8によって受信される。
【0053】
制御・処理部15は、アンテナ切換部18を制御して、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8による受信信号を順次選択して利得可変増幅部19に供給する。利得可変増幅部19は、アンテナ切換部18から供給された信号を増幅し、復調部20に供給する。復調部20は、利得可変増幅部19から供給された信号を復調して、A/D変換部21に供給する。A/D変換部21は、復調部20から供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換して制御・処理部15に供給する。
【0054】
制御・処理部15は、A/D変換部21から供給されるデジタル信号に対して解析処理を実行し、物標を検出する。例えば、物標が自車両の前方を走行する他の車両である場合(自車両と同じ高さの物標である場合)、物標からの反射波は
図4に示す角度(
図5に示す実線の角度)で入射される。この場合には、物標が
図12に示す−Θ〜Θの範囲に検出されるとともに、90°の位置に
図12(B)のようなレベルの信号が検出される。制御・処理部15は、−Θ〜Θの範囲に検出される物標に対応する信号に対してクラスタリング処理およびトラッキング処理を施すことで物標である他の車両を検出するとともに、90°の位置の信号のレベルから物標が自車両と同じ高さに存在すると判定する。
【0055】
また、例えば、道路の上方に橋が存在し、この橋が物標として検出される場合を想定する。この場合、物標からの散乱波は、
図5に示す+θ方向から入射するので、物標である橋は
図12に示す−Θ〜Θの範囲に検出されるとともに、90°の位置に
図12(C)のようなレベルの信号が検出される。制御・処理部15は、−Θ〜Θの範囲に検出される物標に対応する信号に対してクラスタリング処理およびトラッキング処理を施すことで物標である橋を検出するとともに、90°の位置の信号のレベルから物標が自車両よりも高い位置に存在すると判定する。このような場合には、橋と車両が衝突することはないので、警告を発することはない。
【0056】
さらに、例えば、下り坂にさしかかった場合おいて、前方の道路が物標として検出される場合を想定する。この場合、物標からの散乱波は、
図5に示す−θ方向から入射するので、物標である道路は
図12に示す−Θ〜Θの範囲に検出されるとともに、90°の位置に
図12(A)のようなレベルの信号が検出される。制御・処理部15は、−Θ〜Θの範囲に検出される物標に対応する信号に対してクラスタリング処理およびトラッキング処理を施すことで物標である道路を検出するとともに、90°の位置の信号のレベルから物標が自車両よりも低い位置に存在すると判定する。このような場合には、道路と車両が衝突することはないので、警告を発することはない。
【0057】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態では、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の近傍に分散部31を設け、受信信号を解析した結果、90°の位置に現れる信号のレベルを検出することで、物標の高さ方向の位置を検出することができる。これにより、自車両よりも高い位置に存在する橋や、低い位置に存在する坂道の道路を衝突対象から除外することができる。
【0058】
また、坂道でない場合に、90°の位置に現れる信号のレベルを参照することで、物標の高さがどの程度であるかを推定するようにしてもよい。例えば、トラック等が前方を走行している場合には、自車両よりも高い位置からの反射波とともに、同じ位置および低い位置からの反射波も受信することから、高い位置からの反射波のみを受信する場合に比較して、90°の位置に現れる信号のレベルが大きくなる。このため、90°の位置に現れる信号のレベルと、閾値とを比較することで、高さ方向の大きさを判定するようにしてもよい。また、上方向のみから強い反射波を受信した場合には、標識等と判定することができる。また、同じ位置および低い位置からの反射波を受信した場合には中程度の大きさの物標(例えば、一般車両または歩行者)と判定することができる。また、同じ位置のみからの反射波を受信した場合には、例えば、ガードレールと判定することができる。さらに、低い位置のみからの反射波を受信した場合には、例えば、縁石または歩道と判定することができる。
【0059】
つぎに、第1実施形態において実行される処理について説明する。
図13は、第1実施形態において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図13に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0060】
ステップS10では、制御・処理部15の制御部15aは、変調部12を制御して、送信アンテナ13からパルス信号の送信を開始させる。この結果、送信アンテナ13から送信されたパルス波は、物標によって散乱され、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nに入射されるとともに、分散部31によって反射された後に第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nに入射される。
【0061】
ステップS11では、制御・処理部15の制御部15aは、アンテナ切換部18を制御して、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nのいずれかによって受信された信号を利得可変増幅部19に供給する。
【0062】
ステップS12では、制御・処理部15の制御部15aは、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nの全てによる受信が終了したか否かを判定し、全てのアンテナによる受信が終了しておらず、繰り返し処理を実行すると判定する場合(ステップS12:Y)にはステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS12:N)にはステップS13に進む。
【0063】
ステップS13では、制御・処理部15の検出部15cは、ステップS10〜ステップS12の繰り返し処理によって受信された受信信号に基づいて、物標の検出処理を実行する。具体的には、クラスタリング処理およびトラッキング処理によって物標を検出する。
【0064】
ステップS14では、制御・処理部15の検出部15cは、ステップS13による検出処理の結果、物標を検出したと判定した場合(ステップS14:Y)にはステップS15に進み、それ以外の場合(ステップS14:N)にはステップS17に進む。
【0065】
ステップS15では、制御・処理部15の検出部15cは、ステップS13による検出処理の結果における90°の信号を検出する。
【0066】
ステップS16では、制御・処理部15の検出部15cは、ステップS15において検出した90°の信号レベルに基づいて、物標の上下方向(垂直方向)の位置を検出する。より詳細には、90°の信号レベルが所定の閾値Th2よりも大きい場合には物標が自車両よりも上に存在すると判定し、90°の信号レベルが所定の閾値Th1(Th1<Th2)よりも大きい場合には物標が自車両よりも下に存在すると判定し、閾値Th1以上かつ閾値Th2以下の場合には物標が自車両と同じ高さに存在すると判定することができる。
【0067】
ステップS17では、制御・処理部15の通信部15dは、物標の検出結果を他の装置(例えば、ECU(Electric Control Unit)等)に対して出力する。
【0068】
ステップS18では、制御・処理部15の制御部15aは、処理を終了するか否かを判定し、処理を継続すると判定した場合(ステップS18:N)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS18:Y)には処理を終了する。
【0069】
以上に説明したように、
図13の処理によれば、物標の視野角方向の位置を検出するとともに、物標の上下方向の位置を検出することができる。
【0070】
(C)第2実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、
図1および
図2に示す構成は、第1実施形態と同様であるが、
図14に示す分散部の構成が異なっている。
図14の例では、
図3と比較すると、分散部31に加えて、分散部32が追加されている。これ以外の構成は、
図3と同様である。
【0071】
分散部32は、第1受信アンテナ17−1の近傍に設けられており、共振素子32−1〜32−3を有している。共振素子32−1〜32−3は、共振素子31−1〜31−3と同様の構成を有している。すなわち、共振素子32−1は幅W1および長さL1の矩形構造を有し、共振素子32−2は幅W1および長さL2の矩形構造を有し、共振素子32−3は幅W1および長さL3の矩形構造を有している。また、共振素子32−1〜32−3は、ギャップgを隔てて配置されている。
【0072】
(D)第2実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第2実施形態の動作について説明する。
図15は、本発明の第2実施形態の動作を説明するための図である。
図15に示すように、本発明の第2実施形態では、第1実施形態と同様に90°の位置に分散部31による信号が現れているだけでなく、−90°の位置にも分散部32による信号が現れている。なお、−90°の位置に現れる信号は、90°の位置に現れる信号と同じで、
図5に示す破線の位置に物標が存在する場合には、
図15(A)に示すように信号はごくわずかで、
図5に示す実線の位置に物標が存在する場合には、
図15(B)に示すように信号が増加し、
図5に示す一点鎖線の位置に物標が存在する場合には、
図15(C)に示すように信号が最大となる。
【0073】
なお、物標のX軸方向の位置を検出する場合には、90°の位置および−90°の位置の信号の平均値を求め、この平均値に基づいて物標のX軸方向の位置を検出するようにしてもよい。このような方法によれば、2つの分散部31,32からの反射波の平均値を用いることで、より正確に物標のX軸方向の位置を検出することができる。
【0074】
以上に説明したように、本発明の第2実施形態では、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の両側に分散部31,32を配置するようにしたので、−90°と90°の角度位置に、物標の上下方向の位置を示す信号を発生させることができる。これにより、分散部31を1つだけ設ける場合に比較して、上下方向の位置を示す信号を2倍にして、検出精度を向上させることができる。
【0075】
(E)第3実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態では、
図1および
図2に示す構成は、第1実施形態と同様であるが、
図16に示す分散部の構成が異なっている。
図16の例では、
図3と比較すると、分散部31に加えて、分散部33が追加されている。また、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、λ/2よりも短い間隔で配置されている。これ以外の構成は、
図3と同様である。
【0076】
分散部33は、第1受信アンテナ17−1の近傍に設けられており、共振素子33−1〜33−3を有している。共振素子33−1〜33−3は、共振素子31−1〜31−3と同様の構成を有しているが、配置される方向が分散部31と逆になっている。すなわち、共振素子33−1は幅W1および長さL1の矩形構造を有し、共振素子33−2は幅W1および長さL2の矩形構造を有し、共振素子33−3は幅W1および長さL3の矩形構造を有している。また、共振素子33−1〜33−3は、ギャップgを隔てて配置されている。
【0077】
(F)第3実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第3実施形態の動作について説明する。第3実施形態では、前述したように、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、λ/2よりも短い間隔で配置されている。すなわち、
図16において、D<λ/2に設定されている。
図17は、D=λ/2に設定した場合における視野角と受信信号の電力(|v|
2)の関係を示す図である。
図17(A)は、視野角10°の方向から24GHzの信号を入射した場合の受信信号の特性を示している。また、
図17(B)は分散部31によって反射された信号による受信信号の特性を示している。
図17(C)は、視野角10°の方向から24GHzの信号を入射するとともに、分散部31からの反射信号を物標の反射係数を0.3として受信した場合に実際に検出される信号の一例を示している。
【0078】
一方、
図18は、D=λ/2.5に設定した場合における視野角と受信信号の電力(|v|
2)の関係を示す図である。
図18(A)は、視野角10°の方向から24GHzの信号を入射した場合の受信信号の特性を示している。また、
図18(B)は分散部31によって反射された信号による受信信号の特性を示している。
図18(C)は、視野角10°の方向から24GHzの信号を入射するとともに、分散部31からの反射信号を物標の反射係数を0.3として受信した場合に実際に検出される信号の一例を示している。
図17(B)と
図18(B)の比較から、D=λ/2の場合(
図17の場合)では、分散部31による反射信号が−90°と+90°の双方に現れていることからいずれの方向からの入射信号か分からない。しかし、D=λ/2.5の場合(
図18の場合)では、分散部31による反射信号が+90°のみに現れていることからいずれの方向からの入射信号かが識別できる。なお、第1実施形態および第2実施形態では、いずれの方向からの入射信号かが分からなくても支障はないため、第1実施形態および第2実施形態では、D≦λ/2に設定している。
【0079】
また、
図19に示すように、本発明の第3実施形態では、第1実施形態と同様に90°の位置に分散部31による信号が現れているだけでなく、−90°の位置にも分散部33による信号が現れている。なお、−90°の位置に現れる信号は、90°の位置に現れる信号と逆で、
図5に示す一点鎖線の位置に物標が存在する場合には、
図19(C)に示すように信号はごくわずかで、
図5に示す実線の位置に物標が存在する場合には、
図19(B)に示すように信号が増加し、
図5に示す破線の位置に物標が存在する場合には、
図19(A)に示すように信号が最大となる。
【0080】
なお、90°の信号と−90°の信号の差分値(90°の信号―(―90°の信号))を計算し、差分値がプラスの場合にはX軸のプラス方向に物標が存在すると判定し、差分値がマイナスの場合にはX軸のマイナス方向に物標が存在すると判定し、0に近い値の場合にはX軸方向に物標が存在すると判定するようにしてもよい。
【0081】
以上に説明したように、本発明の第3実施形態では、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の両側に分散部31,33を配置するとともに、分散部33を構成する共振素子33−1〜33−3を分散部31とは逆方向に配列するようにした。また、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8は、λ/2よりも短い間隔で配置している。このため、−90°と90°の角度位置に、物標の上下方向の位置を示す信号を発生させることができるとともに、これらを物標の上下方向の位置に応じて反転した信号とすることができる。これにより、分散部31を1つだけ設ける場合に比較して、上下方向の位置を示す信号を2倍にして、検出精度を向上させることができる。また、一方の信号が小さい場合には他方が大きくなるので、誤検出の発生を低減できる。
【0082】
(G)第4実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態では、
図1および
図2に示す構成は、第1実施形態と同様であるが、
図20に示す分散部の構成が異なっている。
図20の例では、
図3と比較すると、分散部31が分散部34に置換されている。これ以外の構成は、
図3と同様である。
【0083】
分散部34は、第1受信アンテナ17−1の近傍に設けられており、共振素子34−1〜34−3を有している。共振素子34−1〜34−3のそれぞれは、矩形形状の中央部に突起部を有しており、これらの突起部を介して給電することが可能とされている。共振素子34−1は幅W1および長さL1の矩形構造で中央部に突起部を有し、共振素子34−2は幅W1および長さL2の矩形構造で中央部に突起部を有し、共振素子34−3は幅W1および長さL3の矩形構造で中央部に突起部を有している。また、共振素子34−1〜34−3は、ギャップgを隔てて配置されている。
【0084】
(H)第4実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第4実施形態の動作について説明する。第4実施形態では、共振素子34−1〜34−3のそれぞれへの給電を停止することで分散部として機能させ、給電することで(例えば、共振素子34−1〜34−3をグランドレベルとすることで)分散部としての機能を停止させることができる。これにより、上下方向の位置を検出する必要が生じた場合にのみ、共振素子34−1〜34−3のそれぞれへの給電を停止して分散部として機能させることができる。これにより、分散部としての機能が不要な場合には、共振素子34−1〜34−3に給電することで、共振素子34−1〜34−3からの反射を抑制し、ノイズの発生を低減することができる。
【0085】
なお、給電する場合と、給電しない場合における90°の信号の差分値を計算し、差分値に基づいて物標のX軸方向の位置を検出するようにしてもよい。そのような構成によれば、ノイズの影響を低減することができる。
【0086】
(I)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、第1〜第4実施形態では、矩形形状を有する共振素子を用いるようにしたが、反射素子はこのような形状にのみ限定されるものではなく、例えば、
図21に示すような様々な形状の反射素子を用いることができる。より詳細には、一般には、
図8におけるX軸方向に長さを有し、Y軸に対して非線対称となるような形状を有する分散部を適宜設計することで本発明を実施することが可能であるが、例えば、
図21(A)では、分散部は2つの共振素子が直線上に配置されて構成されている。
図21(B)では、分散部は3つの分散素子が平行に配置されて構成されている。
図21(C)では、分散部は2つの分散素子が平行に配置されて構成されている。
図21(D)では、数字の「2」に類似した形状の共振素子と、アルファベットの「Z」に類似した共振素子と、矩形形状の共振素子とによって構成されている。
図21(E)では、矩形の下部にT字状の切り欠きが形成された共振素子と、矩形の切り欠きが形成された共振素子と、切り欠きを有しない共振素子とによって構成されている。
図21(F)では、左右方向に伸びた矩形の両端が上下方向に伸出して内側に湾曲した共振素子と、左右方向に伸びた矩形の両端が上下方向に伸出した共振素子と、左右方向に伸びた矩形のみの共振素子とによって構成されている。
図21(A)〜(F)に示すような分散部を用いても前述の場合と同様の効果を得ることができる。
図21(A)〜(F)を構成する分散部を構成するそれぞれの共振素子は、前述したように異なる周波数で共振するように設定すればよい。すなわち、
図21の上下方向の上側に存在する共振素子の周波数を低く設定し、下側に存在する共振素子の周波数を高く設定するようにすればよい。
【0087】
また、
図21の例では、分散部は、複数の部材によって構成されるようにしたが、例えば、
図22(A)に示すように、三角形状を有する単一部材によって構成されるようにしてもよい。もちろん、
図22(A)に示す分散部は一例であって、電波の分散特性が変化すれば三角形状以外の形状を有するようにしてもよい。また、
図22(B)に示すように、回路基板30の端部を斜めにカットすることで、分散部を形成するようにしてもよい。また、回路基板30の端部を斜めにカットするのではなく、
図22(C)に示すように、回路基板30の端部に複数の穴を形成することで、分散部を形成するようにしてもよい。回路基板30の裏面には、グランド用の導体が一面に形成されているので、
図22(C)に示すように、導体に複数の穴を形成することで、スロットアンテナとして機能させるようにしてもよい。
【0088】
なお、導体によって分散素子を構成するのではなく、例えば、電波の吸収体または反射対によって前述した分散素子を構成するようにしてもよい。また、誘電体の厚みを変化させることで、分散部を構成するようにしてもよい。
【0089】
なお、
図21(A)〜(F)および
図22(A)〜(C)に示す分散部を、例えば、第1実施形態に示すように第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の片側に設けるようにしたり、第2実施形態に示すように両側に同様の配列で設けるようにしたり、第3実施形態に示すように両側に逆方向の配列で設けるようにしたり、第4実施形態に示すように給電部を設けて給電するようにしてもよい。
【0090】
また、以上の各実施形態では、中央部に配置される共振素子が電波の周波数と同じ周波数で共振するようにしたが、もちろん、電波とは異なる周波数で共振するようにしてもよい。要は、入射角度が変化した場合に、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の長さ方向に分散特性が変化するようにできれば共振周波数は電波の周波数とは異なっていてもよい。
【0091】
また、以上の各実施形態では、分散部は、回路基板30上に設けるようにしたが、例えば、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8が形成された回路基板30を覆うレドームに分散部を形成するようにしてもよい。また、回路基板30の第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8が形成された同じ層に設けるのではなく、異なる層(例えば、中間層や裏側面)に設けるようにしてもよい。また、レドームについても、レドームの表面に設けるのではなく、レドームを構成する樹脂の内部に配置するようにしてもよい。
【0092】
また、
図3に示す構成では、送信アンテナ13からはパルス信号を送信するようにしたが、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)を用いるようにしてもよい。
【0093】
また、
図3に示す実施形態では、アンテナ切換部18によって第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nからの出力を択一的に選択するようにしたが、第1受信アンテナ17−1〜第N受信アンテナ17−Nのそれぞれに対して利得可変増幅部19、復調部20、および、A/D変換部21を設け、A/D変換部21の出力を選択部によって選択して制御・処理部15に供給するようにしてもよい。もちろん、利得可変増幅部19または復調部20の後段に選択部を設け、選択部によって利得可変増幅部19または復調部20の出力を選択するようにしてもよい。
【0094】
また、以上の実施形態では、第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8を用いる場合(すなわち、N=8)の場合を例に挙げて説明したが、これ以外の本数であってもよい。なお、FFT(Fast Fourier Transform)処理を施す都合から、2のべき乗の本数を用いることが望ましい。
【0095】
また、
図3等に示す第1受信アンテナ17−1〜第8受信アンテナ17−8の形状は一例であって、本発明が
図3に示す形状のみに限定されないことはいうまでもない。
【0096】
また、以上の実施形態では、車両として自動四輪車を例に挙げて説明したが、これ以外にも自動二輪車や自転車等を検出するようにしてもよい。すなわち、本明細書中において、車両とは自動四輪車には限定されない。
【0097】
また、
図13に示すフローチャートの処理は一例であって、本発明がこれらフローチャートの処理に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0098】
また、以上の実施形態では、レーダ装置が車両等の移動体に取り付けられる場合を例に挙げて説明したが、固定的に配置されるレーダ装置に本願発明を適用するようにしてもよい。
【0099】
また、分散部31,32,33,34を構成する共振素子31−1〜31−3,32−1〜32−3,33−1〜33−3,34−1〜34−3は、電波を分散する特性を有するものであればどのような素材でも用いることができる。例えば、銅、アルミニウム、金等の導電体や導電性樹脂等の導電体を用いることができる。また、導電体だけでなく、分散特性を有する誘電体を用いることもできる。