特許第6896247号(P6896247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896247
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】GLP−1分泌促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20210621BHJP
   A61K 31/721 20060101ALI20210621BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210621BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20210621BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20210621BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20210621BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20210621BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20210621BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20210621BHJP
   A61P 5/50 20060101ALI20210621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   A61K31/7004
   A61K31/721
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K9/14
   A61K9/48
   A61K9/06
   A61P3/08
   A61P3/10
   A61P5/50
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-530931(P2017-530931)
(86)(22)【出願日】2016年7月29日
(86)【国際出願番号】JP2016072269
(87)【国際公開番号】WO2017018500
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-149634(P2015-149634)
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505246789
【氏名又は名称】学校法人自治医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】矢田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 有作
(72)【発明者】
【氏名】原 博
(72)【発明者】
【氏名】比良 徹
(72)【発明者】
【氏名】岸本 由香
(72)【発明者】
【氏名】南 真知子
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/097820(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/101118(WO,A1)
【文献】 特開2005−213227(JP,A)
【文献】 特開2010−018528(JP,A)
【文献】 Biosci.Biotechnol.Biochem.,2006年,Vol.70,No.9,pp.2081-2085
【文献】 日本栄養・食糧学会大会講演要旨集,2012年,Vol.66th,p.100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00−9/72
A61P 3/08
A61P 3/10
A61P 5/50
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−プシコースを有効成分として含有するGLP−1分泌促進剤であって、前記GLP−1分泌促進剤がショ糖を含有せず、前記GLP−1分泌促進剤がショ糖あるいはショ糖含有食品と共に投与されず、かつ空腹時に投与されることを特徴とするGLP−1分泌促進剤。
【請求項2】
有効成分であるD−プシコースが、一回に0.07g/体重kg以上の量となるように投与されることを特徴とする請求項に記載のGLP−1分泌促進剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のGLP−1分泌促進剤及び水溶性食物繊維を有効成分として含有することを特徴とするGLP−1分泌促進組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐糖能異常の治療又は糖尿病の予防などに有用な、インクレチンホルモンであるGLP−1の分泌促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)は、食事摂取により消化管より分泌され、膵臓からのインスリンの分泌を促進する働きをもつインクレチンホルモンの一種である。GLP−1は、消化管管腔内への栄養素の流入に応答して、消化管の内分泌細胞の一つであるL細胞から分泌され、膵臓のβ細胞表面にあるGLP−1受容体に結合し、β細胞内からインスリン分泌を促進する。GLP−1は、血糖値を上昇させるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制し、また、膵臓β細胞の保護作用・増殖促進などの作用も動物で確認されている。そのほかの作用として、心保護作用や心拍出量を増加させたり、高血圧改善作用、炎症性免疫応答を弱める作用、摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用などもあり、GLP−1の分泌を促進する作用を有する物質は極めて有用である。
【0003】
一方、国際糖尿病連合(IDF)は、世界の糖尿病に関する調査をまとめた「糖尿病アトラス第6版 2014 UPDATE」において、世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2014年現在で糖尿病有病者数は3億8,670万人(有病率 8.3%)に上り、有効な対策を施さないと2035年には5億9,190万にまで増加すると予測している。つまり、糖尿病は世界的に深刻な疾病であることは明白である。
【0004】
日本糖尿病学会が公表する「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」の「糖尿病診断の指針」において、糖尿病の診断は、慢性高血糖か否かに症状等を加味して行うとしており、高血糖か否かは、空腹時血糖値と75g経口糖負荷試験(OGTT)2時間値の組合せによる判定、及び、HbAc1(NGSP)値≧6.5%を基準とする判定により行うとしている。そして、空腹時血糖値が126mg/dl以上を糖尿病域、110〜126mg/dlを境界域と区分し、また、OGTT2時間値が200mg/dl以上を糖尿病域、140〜200mg/dlを境界域と区分しており、米国糖尿病学会やWHOでは、空腹時血糖値で定義したIFG(impaired fasting glucose)とOGTT2時間値で定義したIGT(impaird glucose tolerance)とを区別しているところ、日本糖尿病学会では両者をまとめて「境界型」と呼んでいる。この「境界型」は、治療等の対処を何ら施さない場合は「糖尿病型」へと進行するので、適切な治療や対処が必要である。
【0005】
これら「境界型」及び「糖尿病型」の糖尿病関連疾病の治療においては、近年、インクレチンホルモンであるグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)やグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)関連薬が注目されている。特に、日本人はインスリン分泌能、特に食後のインスリン分泌能が低いといわれ、これまではインスリンの注射により血糖値を確実に下げる治療法が一般に採用されてきたが、インスリンは血糖値を下げ過ぎるというリスクもあるので、血糖値を下げ過ぎない上記インクレチンホルモン関連薬が注目されている。
【0006】
GIPは、主に腸管上部に存在するK細胞への刺激により分泌され、GLP−1は、上述のとおり主に腸管下部に存在するL細胞への刺激により分泌されるインクレチンホルモンである。インクレチンホルモンは、膵臓に働きかけて高血糖時にインスリン分泌を促進させ、高血糖でない場合は、インスリン分泌を促進させないため、低血糖を引き起こすリスクが小さい。しかし、一方でインクレチンホルモンは、インクレチン分解酵素(DPP−4)によって速やかに分解されるという欠点があるため、インクレチンの分解を抑制する「DPP−4阻害剤」やDPP−4の作用を受けない「インクレチンホルモンアナログ」の開発がされ、副作用の少ないものとして非常に期待されている。しかし、いずれのインクレチンホルモン関連薬も自然界に存在するものではなく、その製造コストは安価ではない。
【0007】
インクレチンホルモン関連薬としては、上記DPP−4阻害剤やインクレチンホルモンアナログ薬の他、アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなどの二糖類分解酵素阻害薬(α−GI剤)も知られている。しかし、これらは合成されたものであって、安価ではなく、日々の食事と一緒に経口摂取できるものの、医師の処方が必要である。
【0008】
さらに、これら従来のα−GI剤は拮抗型の二糖類分解酵素阻害剤であるため、その阻害作用にはバラつきがあって、常に一定の効果が得られるわけではなく、この問題を解決すべく、拮抗型阻害剤の代わりに不拮抗型のショ糖分解酵素阻害剤であるL−アラビノース、D−キシロース及び/またはD−タガトースと、ショ糖とを有効成分として含有するかあるいはショ糖含有食品とともに摂取することを特徴とする薬剤が提案されている(特許文献1)。しかし、該薬剤は、ショ糖を必須の有効成分として含有することを特徴としており、本来、糖尿病患者に摂取制限を課すべきショ糖を必須とするため、その使用方法に細心の注意を払う必要があり、不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−63947号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Tech.Bull.Fac.Agr.Kagawa Univ., Vol.58,27−32,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記先行技術に鑑み、ショ糖を必須の有効成分とせずとも、あるいはショ糖を別途投与せずとも、GLP−1の分泌を促進する、比較的安価で安全性に優れたインクレチンホルモン関連薬であるGLP−1促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討したところ、意外にも、D−プシコースがショ糖を必須とすることなく、GLP−1の分泌を促進することを見出した。
【0013】
D−プシコースはα−GI剤として知られていたことから(非特許文献1)、当初、発明者らは、ショ糖分解酵素阻害剤として知られるL−アラビノース、D−キシロース又はD−タガトースと同様、D−プシコースもショ糖を同時摂取しない限りはGLP−1の分泌を促進しないであろうと推測した。また、詳細には後述するが、マウス大腸由来のGLP−1産生細胞におけるGLP−1分泌実験において、GLP−1を分泌することが知られている難消化性デキストリン(ポジティブコントロール)とは異なり、D−プシコースがGLP−1を分泌しなかったという実験結果から、D−プシコースが、ショ糖を必須の有効成分とすることなく、あるいはショ糖あるいはショ糖含有食品を同時に摂取することなく、GLP−1の分泌を促進するであろうとは全く想定できなかった。よって、哺乳動物にD−プシコースのみを経口摂取させるだけで、GLP−1の分泌を促進することができるという事実は、驚くべき発見である。さらに、先に述べたGIPは、GLP-1と同様インスリン分泌を促進させるインクレチンホルモンとして知られるが、GLP-1とは異なり、脂肪合成系を活性化して脂肪蓄積を誘導することが知られているところ、本発明のGLP-1分泌促進剤は、GIPの分泌を促進しないことがわかった。
【0014】
すなわち、本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(6)から構成されるものである。
〔1〕D−プシコースを有効成分として含有することを特徴とするGLP−1分泌促進剤。
〔2〕ショ糖を含有しないことを特徴とする前記〔1〕に記載のGLP−1分泌促進剤。
〔3〕空腹時に投与されることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のGLP−1分泌促進剤。
〔4〕有効成分であるD−プシコースが、一回に5g以上の量となるように投与されることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤。
〔5〕ショ糖あるいはショ糖含有食品を摂取することなく投与されることを特徴とする、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤。
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤及び水溶性食物繊維を有効成分として含有することを特徴とするGLP−1分泌促進組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明のGLP−1分泌促進剤は、D−プシコースを有効成分とするものであって、そのD−プシコースの食経験及び安全性は確認されており、薬剤のような副作用を認めることもなくショ糖を必須成分とすることもないので、非常に使いやすく、簡便に哺乳動物のGLP−1分泌を促進することができる。また、D−プシコースは、0キロカロリーでありながら砂糖の70%程度の甘味を有し、ショ糖を必須成分とせずとも優れたGLP-1分泌能を有するため、2キロカロリー/gの熱量を有し、かつGLP−1分泌にショ糖が必須であるD−タガトースと比べて、摂取カロリーを大きく低減できる点において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、マウス大腸由来のGLP−1産生細胞における、D-プシコース10mM、20mM、40mMの各溶液または難消化性デキストリン(ファイバーソル2)10mM溶液に対するGLP−1分泌実験の結果を示す図である。
図2図2は、絶食マウスに1g/kgのD−プシコースを経口投与した後の経時的な門脈中のアクティブGLP−1濃度(a)、トータルGLP−1濃度(b)及びトータルGIP濃度(c)を示す図である。
図3図3は、マウスに生理食塩水、D−プシコース0.3g/kg若しくは1.0g/kg、D−タガトース1.0g/kg又はD−グルコース1.0g/kgを各々経口投与し、投与30分後の門脈血におけるアクティブGLP−1濃度(a)及びトータルGIP濃度(b)を示す図である。
図4図4は、絶食マウスを用いたD−プシコース1g/kg経口投与による摂食抑制効果に対するGLP−1受容体阻害剤(Exendin-9,Ex-9)の効果を示す図である。すなわち、絶食マウスにEx-9(200mmol/kg)又は生理食塩水を腹腔内投与し、その後直ちに生理食塩水若しくはD−プシコース1g/kgを経口投与し、投与後30分から6時間後の経時的な摂食量をエネルギー値(kcal)により示す図である。
図5図5は、D−プシコース若しくはD−タガトース各1g/kgをマウスに経口投与した後1時間から6時間後の経時的な摂食量を、生理食塩水を経口投与したときの摂食量に対する相対値により示す図である。
図6図6は、D−プシコース、難消化性デキストリン(ファイバーソル2)、デキストリン(松谷化学工業株式会社製品「パインデックス#2」)の各0.2g/kgをそれぞれSDラットに投与後0分から240分後の経時的な血中グルコース濃度(a)及びトータルGLP−1濃度(b)を示す図である。
図7図7は、ヒトに水200ml又はD−プシコース5g/200ml、10g/200ml若しくは15g/200mlを摂取させた後、15分後、30分後、60分後、120分後及び180分後の各血中のトータルGLP−1を定量し、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)を算出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の薬剤は、GLP−1の分泌を促進するものであり、耐糖能異常の治療や糖尿病に対する予防・治療など、GLP−1の機能を介した様々な生理機能及び疾病・症状を改善に極めて有用なものである。
【0018】
本発明のGLP−1分泌促進剤の有効成分であるD−プシコースは、従来から公知のどのようなものでも使用することができ、その精製度いかんを問わず、ズイナ等の植物から抽出したもの、アルカリ異性化法によりD−グルコースやD−フラクトースを原料に異性化したもの(例えば、松谷化学工業(株)製「レアシュガースウィート」)、微生物又はその組換体から得られる酵素(イソメラーゼやエピメラーゼ等)を利用する酵素法によりD−グルコースやD−フラクトースを原料として異性化したもの(例えば、松谷化学工業(株)製「Astraea Allulose」)などがあり、比較的容易に入手することができる。
【0019】
本発明のGLP−1分泌促進剤がその効果を発揮するためには、D−プシコースを経口摂取することが重要であり、この際にショ糖が腸内で同時に存在する状態は必須としない。すなわち、本発明のGLP−1分泌促進剤をショ糖含有食品に含有させる必要はなく、また、本発明のGLP−1分泌促進剤をショ糖あるいはショ糖含有食品と同時に摂取したり摂取後に投与する必要もない。
【0020】
本発明のGLP−1分泌促進剤の剤型は特に限定されず、例えば、タブレット状、顆粒状、粉末状、カプセル状、ゲル状、ゾル状のいずれであってもよく、また、製剤化は、公知の方法に従って行えばよく、有効成分のD−プシコースをデンプンやカルボキシメチルセルロースなどの薬学的に許容できる担体と混合し、さらに必要に応じて安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤などを添加することにより行うことができる。
【0021】
本発明のGLP−1分泌促進剤は、有効成分であるD−プシコースが、一回に0.07/体重kg以上の量となるように投与されることが好ましく、一回に0.07〜2.0g/体重kgがより好ましく、一回に0.1〜0.6g/体重kgの量であることがさらにより好ましい。
本発明のGLP−1分泌促進剤は、空腹時に摂取されることが好ましい。具体的には、食前5分以前に摂取されることが好ましく、さらに具体的には、先の食後3時間経過後、かつ、次の食前10分以前に摂取することがより好ましい。
【0022】
本発明はさらに上記GLP−1分泌促進剤の他に水溶性食物繊維を有効成分として含有することを特徴とするGLP−1分泌促進組成物を提供する。
水溶性食物繊維としてはペクチン、コンニャクマンナン、アルギン酸、グアーガム、寒天などの高粘性食物繊維、あるいは難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などの低粘性食物繊維が例示される。
これらの中で、効果の観点から、特に難消化性デキストリン、グアーガム加水分解物、ポリデキストロース等が好ましい。
【0023】
これらのうち低粘性食物繊維が、取り扱い及び大腸までの移動時間が短い観点から好ましい。低粘性の水溶性食物繊維とは、50質量%以上の食物繊維を含有し、常温水に溶解して低粘性の溶液、おおむね5質量%水溶液で20mPas以下の粘度を示す溶液となる食物繊維素材を意味する。低粘性食物繊維としてより具体的には、難消化性デキストリン、グアーガム加水分解物、ポリデキストロース(例えばライテスなど)、ヘミセルロース由来の物などが挙げられる。
【0024】
難消化性デキストリンは、各種の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、小麦粉澱粉等を130℃以上で加熱分解し、これをアミラーゼで更に加水分解し、常法に従って、必要に応じ脱色、脱塩して製造したものである。食物繊維の平均分子量が500から3000程度、好ましくは1400〜2500、さらに好ましくは2000前後である。グルコース残基がα−1,4、α−1,6、β−1,2、β−1,3、β−1,6−グルコシド結合し、還元末端の一部はレボグルコサン(1,6−アンヒドログルコース)である、分岐構造の発達したデキストリンである。「ニュートリオース」(ロケット社製)、「パインファイバー」、「ファイバーソル2」(松谷化学工業株式会社製)の商品名で市販されている(”食品新素材フォーラム”NO.3(1995、食品新素材協議会編))。
【0025】
グアーガムの加水分解物はグアーガムを酵素により加水分解したもので、その性状は通常低粘性で冷水可溶、水溶液は中性で無色透明である。グアーガム加水分解物としては、「サンファイバー」(太陽化学社)、「ファイバロン」(大日本製薬社)の商品名で市販されている。
ヘミセルロース由来の物は、通常コーンの外皮からアルカリで抽出し、精製して製造されたもので、平均分子量は約20万と大きいが、5%水溶液の粘度は10cps程度と低く、水に溶けて透明な液になる。ヘミセルロース由来の物は「セルエース」(日本食品化工社)の商品名で市販されている。
ポリデキストロース(ライテス)はブドウ糖とソルビトールをクエン酸の存在下で液圧加熱して重合させ、精製したものであり、水溶性で低粘性である。「ライテス」(ファイザー社)として市販されている。
これら低粘性の水溶性食物繊維の中でも、難消化性デキストリンが最も効果的で好ましい。
【0026】
本発明のGLP−1分泌促進剤の有効成分としては、D−プシコースを単独で使用することができるが、GLP−1の分泌を長時間維持したい場合は、難消化性デキストリンを併用することが好ましい。難消化性デキストリンは、D−プシコースよりも遅延してGLP−1の分泌促進効果を発揮するので、併用することでGLP−1の分泌を長時間維持することができるからである。
本発明のGLP−1分泌促進剤と難消化性デキストリンは、質量比で1:0.1〜1:100の比で含まれることが好ましく、1:0.5〜1:50であることがより好ましい。
【実施例】
【0027】
以下に本発明のGLP−1分泌促進剤の優れた効果を具体的に示す。なお、実施例の記載は発明の理解のためにのみ挙げるものであり、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例を示す前に、参考のために予備試験の結果を示す。
活性型(アクティブ)GLP−1は、血中において、酵素であるDPP−4による非常に速やかな限定的分解を受けることで生理活性を失い、不活性型GLP−1となることが知られている。よって、活性型GLP−1を測定したい場合は、血液を即座にペプチド分解抑制剤(DPP−4阻害剤)入りのサンプリングシリンジに保存して測定したり、相当量の血液を採取するなどの工夫が必要である。そこで、活性型(アクティブ)GLP−1と不活性型GLP−1を合わせた、DPP−4による影響を受けない、血中のトータルGLP−1を定量することにより、その体内分泌量自体は知ることはできるため、原則、トータルGLP−1を定量することによりGLP−1分泌促進効果を確認することとし、実験によっては、参考のためにアクティブGLP−1も合わせて測定することとした。
GIPについては活性型と不活性型を合わせたトータルGIPを測定した。
【0028】
(予備試験)
<培養細胞>
マウス大腸由来のGlucagon−like peptide−1(GLP−1)産生細胞株GLUTagを、10%FBSを含むDulbecco’s modified Eagle’s medium にて、37℃、5% CO2存在下で培養した。
【0029】
<GLP−1分泌試験>
GLUTag細胞を、48ウェルプレートでサブコンフルエントになるまで2、3日間培養した。各試料(D−プシコース又は難消化性デキストリン)を添加する前に、Hepesバッファー(140mM NaCl、4.5mM KCl、20mM Hepes、1.2mM CaCl2、1.2mM MgCl2、10mMD−glucose、0.1%BSA、pH 7.4)にてウェルを洗浄し、同バッファーに溶解した試料溶液を80μl添加して、37℃にて60分間インキュベーションした。上清を回収後、遠心分離(800×g、5分間、4℃)により細胞を沈殿させ、その上清70μlを凍結保存した。この上清中のトータルGLP−1を、市販の「Enzyme immuno assay kit」(株式会社矢内原研究所製)にて測定した。
【0030】
<結果>
D−プシコースの10mM、20mM、40mMの各溶液または難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社製品「ファイバーソル2」(DE10))10mM溶液を加え、上記GLP−1分泌試験を行ったところ、難消化性デキストリンがGLP−1分泌を顕著に促進した一方、D−プシコースにおいては、わずかに分泌促進傾向が見られる程度であった(図1)。すなわち、D−プシコースが、GLP−1産生細胞株への直接作用によりGLP−1分泌を促進する効果は観察されなかった。
【0031】
(実施例1)
実験動物として、C57BL/6J雄性マウス(9−11週齢)を用いた。実験前日の18時00分から16時間絶食させたマウスに、午前10:00にD−プシコースを1g/kg経口胃内投与した。経口投与量は10ml/kgとした。D−プシコース投与前及び投与してから30分及び60分後にイソフルラン麻酔下で門脈採血した。なお、サンプリングシリンジには血液凝固抑制剤(ヘパリン(終濃度50IU/ml))とペプチド分解抑制剤(アプロチニン(終濃度500KIU/ml)及びビルダグリプチン(終濃度10μM))を予め加えておいた。採取した血液は冷却遠心し、得られた血漿を分析するまで−80℃で保存しておいた。アクティブGLP−1、トータルGLP-1及びトータルGIPの定量分析は、ELISAキット(ミリポア社製。各々EGLP-35K、EZGLP1T-36K及びEZRMGIP-55K)を用いて行った。また、統計解析は、一元配置分散分析(対応あり)を行い、次いでD−プシコース投与前(0分)を対照としたDunnett検定を行った。結果は図2に示す。なお、図2中、*はp<0.05、**はp<0.01である。また、図2中の棒グラフ内の数値は実験数を示す。
【0032】
その結果、D−プシコースを経口投与すると、投与後30分から60分後まで、時間依存的に門脈中のアクティブGLP−1及びトータルGLP−1濃度が上昇した(図2(a)、(b))。すなわち、D−プシコースの単独経口投与によってGLP-1の分泌が誘導されることがマウスを用いた実験で初めて明らかとなり、その作用機序として、D−プシコースがGLP−1産生細胞(L細胞)に直接作用する事が推察された。一方、D−プシコースの経口投与は、投与後60分までの間、GIP分泌には影響を及ぼさなかった(図2(c))。以上より、D−プシコースの単独経口投与は、脂肪合成を促進させるGIPの分泌には影響を与えず、インスリン分泌促進・食欲抑制・胃排出抑制などの作用を有するGLP-1の分泌を強く誘導することが明らかとなった。
【0033】
(実施例2)
実験前日の18時00分から16時間絶食させたC57BL/6J雄性マウス(9−11週齢)に、午前10:00にD−プシコースを0.3g/kg若しくは1g/kg、D−タガトース若しくはD−グルコースを各1g/kg、又は生理食塩水を経口胃内投与した。経口投与量は10ml/kgとした。投与してから30分後にイソフルラン麻酔下で門脈採血した。なお、サンプリングシリンジには血液凝固抑制剤(ヘパリン(終濃度50IU/ml))とペプチド分解抑制剤(アプロチニン(終濃度500KIU/ml)及びビルダグリプチン(終濃度10μM))を予め加えておいた。採取した血液は冷却遠心し、血漿は分析するまで−80℃で保存した。アクティブGLP−1及びトータルGIPの定量分析は、前述したキットを用いて行った。また、統計解析は、一元配置分散分析(対応なし)を行い、次いで生理食塩水を対照としたDunnett検定により行った。結果は図3に示す。なお、図3中、*はp<0.05、**はp<0.01である。また、図中の棒グラフ内の数値は実験数を示す。
【0034】
その結果、D−グルコース1g/kgの経口投与は、投与後30分の門脈中アクティブGLP−1濃度を全く変動させない一方、D−プシコース0.3g/kgの経口投与は、投与後30分の門脈中アクティブGLP−1濃度を上昇させる傾向にあり、D−プシコース1g/kgの経口投与は、門脈中のアクティブGLP−1濃度を有意に上昇させた(図3(a))。また、D−タガトース(1g/kg)を単独で経口投与すると、投与後30分後の門脈中アクティブGLP−1濃度は上昇する傾向にはあったが、その値は対照群と比較して有意な上昇ではく、D−プシコース1g/kgとの値と比較すると低値であった(図3(a))。従って、D−プシコースはD−タガトースより有利なGLP-1分泌促進剤であることが示された。最後に、D−プシコース0.3g/kg若しくは1g/kg、D−グルコース1g/kg又はD−タガトース1g/kgの経口投与後の門脈中トータルGIPを測定した結果、D−グルコース投与群のみGIP濃度が有意に上昇した(図3(b))。従って、単糖の経口投与によるGLP-1及びGIP分泌機構には、それぞれ独立した分泌促進機序が存在することが明らかとなった。
【0035】
(実施例3)
C57BL/6J雄性マウス(9−11週齢)を個別ケージ内で1週間以上予備飼育し、実験者によるハンドリングをして、飼育・実験環境に順化させた。実験前日の18時00分から16時間絶食させた後、9時45分から生理食塩水又はGLP−1受容体阻害剤(Exendin-9,Ex-9,200nmol/kg)を腹腔内投与し、その直後に生理食塩水又はD−プシコース1g/kgを経口胃内投与した。腹腔内投与及び経口投与の各投与容量はそれぞれ5ml/kg及び10ml/kgとした。10時00分から、CE−2飼料(栄養バランスの摂れた一般的なマウス用飼料、日本クレア製)をマウスに自由摂食させ、0.5時間、1時間、2時間、3時間及び6時間後の摂食量を経時的に測定した。摂食量は、経口胃内投与したD−プシコース1g当たりを0kcal、CE−2飼料1g当たりを3.45kcalとしたエネルギー摂取量(kcal)として算出した。統計解析は、各時点における結果に対して一元配置分散分析(対応なし)を行い、Tukey’s検定による全群比較を行った。結果は図4に示す。なお、図4中、*はp<0.05、**はp<0.01である。
【0036】
その結果、「対照群」(生理食塩水腹腔内投与−生理食塩水経口投与、白)と「D−プシコース群」(生理食塩水腹腔内投与−D−プシコース経口投与、網点)を比較すると、D−プシコース1g/kg経口投与は投与後30分から6時間まで有意に摂食量を低下させた。「GLP−1受容体阻害剤単独投与群」(Ex9腹腔内投与−生理食塩水経口投与、網目斜線)は、「対照群」と比較して、全ての時間帯において同レベルの摂食量であり(図4)、CE−2飼料の摂取よって分泌される内因性のGLP-1は摂食量に影響を与えていないことが示唆された。
一方、「GLP−1受容体阻害剤+D−プシコース群」(Ex9腹腔内投与−D−プシコース経口投与、斜線)について比較すると、投与後30分の「GLP−1受容体阻害剤+D−プシコース群」の摂食量は、「対照群」若しくは「GLP−1受容体阻害剤単独投与群」と比較して、有意に減少し、「D−プシコース群」と同レベルの摂食量であった。したがって、投与後30分後のD−プシコースによる摂食抑制作用は、GLP−1以外の摂食抑制作用であることが示唆された(図4)。投与後1時間以降の摂食量は、「対照群」や「GLP−1受容体阻害剤単独投与群」の摂食量と有意な差はなく、逆に、「D−プシコース群」より有意に摂食量が増加した(図4)。すなわち、D−プシコース経口投与後1時間から6時間の摂食抑制作用が、GLP−1受容体阻害剤の腹腔内投与によって消失することが示された。以上より、D−プシコース1g/kgの経口投与は、GLP-1分泌促進を介して摂食量を抑制することが明らかとなった。
【0037】
(実施例4)
C57BL/6J雄性マウス(7−11週齢)を個別ケージ内で1週間以上予備飼育し、実験者によるハンドリングをして、飼育・実験環境に順化させた。実験前日の18時00分から16時間絶食させた後、9時50分から生理食塩水、D−プシコース1g/kg又はD−タガトース1g/kgを各々経口胃内投与した。投与容量は10ml/kgとした。10時00分からCE−2飼料をマウスに自由摂食させ、1時間、2時間及び6時間後の摂食量を経時的に測定した。摂食量は、経口胃内投与したD−タガトース1g当たりを2kcal、CE−2飼料1gが当たり3.45kcalとしたエネルギー摂取量(kcal)として算出した。統計解析は、各時点における結果に対して一元配置分散分析(対応なし)を行い、Tukey’s検定による全群比較を行った。結果は図5に示す。なお、図5中、*はp<0.05、**はp<0.01である。
【0038】
その結果、「D-プシコース群」(網点)は、D-プシコース経口投与後1時間から6時間まで、「対照群」(生理食塩水投与、白)より有意に摂食量が低値であった(図5)。「D-タガトース投与群」(斜線)は、投与後1時間の摂食量は「対照群」より有意に低値であったが、「D-プシコース群」より有意に高値であった。さらに、「D-タガトース投与群」(斜線)は、D-タガトース投与後2時間及び6時間の摂食量は「対照群」と同程度であり、「プシコース群」より有意に高値であり、摂食抑制作用は認められなかった。
従って、D-タガトース1g/kg経口投与には摂食抑制作用が認められるが、その作用は投与後1時間までの短期的なものであって、D-プシコース1g/kg経口投与と比較すると、その作用程度は弱いことが明らかとなった。D-タガトース1g/kg経口投与による摂食抑制作用が弱い理由としては、D-プシコースよりGLP-1分泌促進効果が弱い(図3)ことが推測された。
【0039】
(実施例5)
一夜絶食させたSprague Dawleyラット(8〜9週齢の雄)の尾静脈より試料投与前(0分)の採血を行った。フィーディングチューブを用いて、脱イオン水(コントロール群)、D−プシコース、難消化性デキストリン(DE10)、デキストリン(松谷化学工業株式会社製品「パインデックス#2」(DE10))の各溶液を2 g/kg体重(10 mL/kg体重)にて経口投与した。その後、15分、30分、60分、90分、120分、150分、180分、210分、240分後に尾静脈より採血を行った。
血液は、あらかじめDPP−IV阻害剤(ミリポア社製)、アプロチニン(和光純薬工業社製)、ヘパリン(ナカライテスク社製)を添加したチューブに回収した。遠心分離により血漿を回収し、-80℃にて凍結保存した。得られた血漿中のトータルGLP−1濃度を市販のELISAキット(ミリポア社製 Multi Species GLP−1 Total ELISA)にて測定した。血漿中のグルコース濃度は、グルコースCII−テストワコー(和光純薬工業社製)にて測定した。
【0040】
<試験結果>
図6に血糖値の変化及び血中トータルGLP−1濃度の変化を示す。血糖値はデキストリン投与で上昇し、難消化性デキストリンではわずかに上昇し、D−プシコース投与ではコントロール群(水投与)と同様のわずかな変動が見られた(図6(a))。この結果から、D−プシコースには血糖値を上昇させる作用がないことが確かめられた。
一方、GLP−1濃度は、D−プシコース投与により投与後60分〜120分をピークとして大きく上昇したのに対し、難消化性デキストリン投与では投与後90分以降に上昇したが、D−プシコースよりは弱い作用であり、GLP−1の分泌刺激として最もよく知られるグルコースから構成される消化性のデキストリン(パインデックス#2)の投与によってはGLP−1分泌を促進しなかった(図6(b))。この結果より、D−プシコースに強いGLP−1分泌促進作用があり、投与後60〜120分をピークとした持続性のある作用であることが示された。
【0041】
(実施例6)
<試験方法>
1週間以上の休止期を予め設けた後、健常な被験者6名(男3名及び女3名。体重53.3±7.4kg。)に対して、1回につき、水200ml(対照飲料)又はD−プシコース5g/200ml(体重換算するとD−プシコース0.07〜0.11g/kg)、10g/200ml(体重換算するとD−プシコース0.14〜0.22g/kg)若しくは15g/200ml(試験飲料)(体重換算するとD−プシコース0.21〜0.33g/kg)、をランダムに摂取させた。対照飲料又は試験飲料を摂取する日(試験日)の前夜は指定の夕食を摂取させ、前夜21時以降、試験当日の午前9時まで、水及び茶飲料を除く飲食物の摂取を禁じた。前記指定食は、食物繊維、乳酸菌、発酵性糖質といった腸内細菌が利用して発酵する可能性のある物質をほとんど含まないメニュー(カレー、親子丼、牛丼、中華丼)のいずれかの選択性とした。試験日当日の午前9時の空腹時に採血後、対照飲料又は試験飲料を摂取させ、その摂取後15分、30分、60分、120分及び180分後に採血をした。なお、その採血の間は、指定された分量の水のみ摂取可能とした。採血は、各被験者自身が糖尿病患者用に市販される穿刺器で指先を刺して得られる出血液をヘマトクリット管により採取することにより行った。採取した血液はマイクロチューブに移して遠心分離器に供し、遠心分離された血漿のトータルGLP−1量を、メルク(株)製品「Multi Species GLP−1 Total ELISA」を用いて測定した。なお、被験者には、試験期間である約1か月間は規則的な生活を心がけて過激な運動や暴飲暴食を慎むこと、及び、試験中は室内にて穏やかに過ごすことを遵守させた。
【0042】
<試験結果>
各血中のトータルGLP−1を縦軸に、上記D−プシコース摂取後15分〜180分後の各時間を横軸にして折れ線グラフを描いたときの、血中トータルGLP−1濃度−時間曲線下面積(AUC)を算出し、得られた数値を図7に示す。D−プシコース摂取量に依存してAUC数値が大きくなっており、D−プシコースを1回に0.07g/体重kg以上摂取することにより、血中のトータルGLP−1分泌量を促進する効果が得られることがわかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7