特許第6896472号(P6896472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000002
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000003
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000004
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000005
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000006
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000007
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000008
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000009
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000010
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000011
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000012
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000013
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000014
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000015
  • 特許6896472-ウエーハの研磨方法及び研磨装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896472
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】ウエーハの研磨方法及び研磨装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20210621BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20210621BHJP
   B24B 37/015 20120101ALI20210621BHJP
   B24B 49/08 20060101ALI20210621BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20210621BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20210621BHJP
【FI】
   H01L21/304 621C
   H01L21/304 631
   B24B37/00 Z
   B24B37/015
   B24B49/08
   B24B49/14
   B24B37/005 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-58159(P2017-58159)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160627(P2018-160627A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣沢 俊一郎
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−222311(JP,A)
【文献】 特開2013−230509(JP,A)
【文献】 特開2005−260038(JP,A)
【文献】 特開2003−243345(JP,A)
【文献】 特開平10−156708(JP,A)
【文献】 特開2007−181910(JP,A)
【文献】 特開2017−034172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/005
B24B 37/015
B24B 49/08
B24B 49/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形成された格子状の分割予定ラインに区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハの表面に保護部材を貼着する保護部材貼着ステップと、
該保護部材を介して該ウエーハをチャックテーブルで保持し、該ウエーハの裏面を研磨パッドで研磨する研磨ステップと、を備え、
該研磨ステップでは、研磨液を供給せずに、該ウエーハより直径の大きくかつ下面の一部を該ウエーハの裏面に接触させるドライポリッシュ用の該研磨パッドを用い、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域に下側から温風を吹き付けて加熱しながら研磨することを特徴とするウエーハの研磨方法。
【請求項2】
該研磨ステップでは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面を選択的に加熱する請求項1に記載のウエーハの研磨方法。
【請求項3】
該研磨ステップでは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域の温度を測定し、測定された該研磨パッドの温度に応じて温風の温度又は量を調整する請求項1に記載のウエーハの研磨方法。
【請求項4】
ウエーハを保持するチャックテーブルと、研磨液を供給せずに、該ウエーハの直径より大きい直径の研磨パッドがスピンドルの下端に装着され該チャックテーブルに保持された該ウエーハに下面の一部を該ウエーハの裏面に接触させるドライポリッシュ用の該研磨パッドで研磨する研磨ユニットと、該ウエーハを研磨加工中の該研磨パッドの温度を調整する温度調整ユニットと、を備え、
該温度調整ユニットは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域に下側から温風を吹き付ける温風噴射ユニットを備えることを特徴とする研磨装置。
【請求項5】
該温度調整ユニットは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の所望の領域に選択的に温風を吹き付ける選択噴射部を備える請求項4に記載の研磨装置。
【請求項6】
該温度調整ユニットは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域の温度を測定する温度測定器と、該温度測定器の測定結果に応じて、該温風噴射ユニットの温風噴射温度又は量を調整する制御ユニットと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの研磨方法及び研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスが表面に形成されたシリコンなどからなる半導体ウエーハや、光デバイスが形成されたサファイア、SiC(炭化ケイ素)などからなる光デバイスウエーハなどの各種ウエーハは、厚さを薄くするため、研削砥石で研削されて薄化される。その後、研削によって発生した被研削面(裏面)の破砕層を除去し、チップになった際の抗折強度を上げるために、ウエーハは、研磨パッドで研磨される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエーハを研磨する研磨方法は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨のほか、砥粒を含有する比較的柔らかい研磨パッドを用いるドライ加工であるドライポリッシュという加工方法がある。ドライポリッシュでは、ウエーハの被研磨面に研磨パッドを押圧しつつウエーハと研磨パッドを回転させ、ウエーハの所定の厚さを除去し、被研磨面に形成された破砕層を除去する。破砕層が、数μmの厚さで存在し、その領域を全て除去するために研磨が行われるが、ドライポリッシュは、除去量を多く設定すればそれだけ加工時間が長くかかる。
【0005】
本発明は、加工時間を抑制することができるウエーハの研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの研磨方法は、表面に形成された格子状の分割予定ラインに区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハの表面に保護部材を貼着する保護部材貼着ステップと、該保護部材を介して該ウエーハをチャックテーブルで保持し、該ウエーハの裏面を研磨パッドで研磨する研磨ステップと、を備え、該研磨ステップでは、研磨液を供給せずに、該ウエーハより直径の大きくかつ下面の一部を該ウエーハの裏面に接触させるドライポリッシュ用の該研磨パッドを用い、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域に下側から温風を吹き付けて加熱しながら研磨することを特徴とする。
【0007】
前記ウエーハの研磨方法において、該研磨ステップでは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面を選択的に加熱しても良い。
【0008】
前記ウエーハの研磨方法において、該研磨ステップでは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域の温度を測定し、測定された該研磨パッドの温度に応じて温風の温度又は量を調整しても良い。
【0009】
本発明の研磨装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、研磨液を供給せずに、該ウエーハの直径より大きい直径の研磨パッドがスピンドルの下端に装着され該チャックテーブルに保持された該ウエーハに下面の一部を該ウエーハの裏面に接触させるドライポリッシュ用の該研磨パッドで研磨する研磨ユニットと、該ウエーハを研磨加工中の該研磨パッドの温度を調整する温度調整ユニットと、を備え、該温度調整ユニットは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域に下側から温風を吹き付ける温風噴射ユニットを備えることを特徴とする。
【0010】
前記研磨装置において、該温度調整ユニットは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の所望の領域に選択的に温風を吹き付ける選択噴射部を備えても良い。
【0011】
前記研磨装置において、該温度調整ユニットは、該ウエーハに接触せず露出した該研磨パッドの下面の領域の温度を測定する温度測定器と、該温度測定器の測定結果に応じて、該温風噴射ユニットの温風噴射温度又は量を調整する制御ユニットと、を備えても良い。
【発明の効果】
【0012】
本願発明のウエーハの研磨方法及び研磨装置は、加工時間を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係る研磨装置の構成例の斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係るウエーハの研磨方法の研磨対象のウエーハを示す斜視図である。
図3図3は、図2に示されたウエーハを裏面側からみた斜視図である。
図4図4は、図1に示された研磨装置の研磨ユニットの研磨加工中の状態を示す側面図である。
図5図5は、図4に示された研磨パッドとウエーハとの位置関係を示す平面図である。
図6図6は、図5に示された研磨パッドとウエーハとの位置関係を示す側面図である。
図7図7は、実施形態1に係るウエーハの研磨方法の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態2に係る研磨装置の構成例の斜視図である。
図9図9は、実施形態3に係る研磨装置の要部の斜視図である。
図10図10は、実施形態3に係る研磨装置の要部の平面図である。
図11図11は、実施形態3に係るウエーハの研磨方法の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、図11に示されたウエーハの研磨方法の研磨前測定ステップの測定経路上のウエーハの厚さを測定する状態を示す側面図である。
図13図13は、図11に示されたウエーハの研磨方法のテスト研磨ステップにおいて研磨されたウエーハを示す側面図である。
図14図14は、図11に示されたウエーハの研磨方法の研磨ステップ後のウエーハの側面図である。
図15図15は、図1に示された研磨装置の研磨パッドの領域を加熱した時の単位時間当たりの除去量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウエーハの研磨方法及び研磨装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る研磨装置の構成例の斜視図である。図2は、実施形態1に係るウエーハの研磨方法の研磨対象のウエーハを示す斜視図である。図3は、図2に示されたウエーハを裏面側からみた斜視図である。
【0016】
実施形態1に係る図1に示す研磨装置1は、研削装置により薄化された図2に示すウエーハ201の裏面202を高精度に平坦化するために研磨するものである。ウエーハ201は、シリコンを母材とする円板状の半導体ウエーハやサファイア、SiC(炭化ケイ素)などからなる光デバイスウエーハである。ウエーハ201は、図2に示すように、表面203に形成された格子状の分割予定ライン204に区画された複数の領域にデバイス205が形成されている。ウエーハ201は、図3に示すように、表面203に保護部材206が貼着された状態で裏面202が研磨される。
【0017】
研磨装置1は、図1に示すように、装置本体2と、チャックテーブル7と、研磨ユニット5と、カセット8,9と、位置合わせユニット10と、搬入ユニット11と、洗浄ユニット13と、搬出入ユニット14と、温風噴射ユニット15と、温度測定器16と、制御ユニット100とを主に備えている。
【0018】
チャックテーブル7は、ウエーハ201が保護部材206を介して保持面7−1上に載置されて、ウエーハ201を保持するものである。チャックテーブル7は、保持面7−1を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、保持面7−1に載置されたウエーハ201を吸引することで保持する。また。チャックテーブル7は、Z軸方向と平行な軸心回りに回転自在な支持基台7−2に支持されている。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行である。
【0019】
また、チャックテーブル7は、図示しない加工送りユニットによって搬入ユニット11及び搬出入ユニット14寄りの搬入搬出位置101と、研磨ユニット5の下方の研磨位置104とに亘って、Y軸方向に移動自在に設けられている。なお、Y軸方向は、水平方向と平行である。
【0020】
カセット8,9は、複数のスロットを有するウエーハ201を収容するための収容器である。一方のカセット8は、研磨加工前の表面203に保護部材206(図3に示す)が貼着されたウエーハ201を収容し、他方のカセット9は、研磨加工後のウエーハ201を収容する。また、位置合わせユニット10は、カセット8から取り出されたウエーハ201が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0021】
搬入ユニット11は、吸着パッドを有し、位置合わせユニット10で位置合わせされた研磨加工前のウエーハ201を吸着保持して搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7上に搬入する。搬入ユニット11は、搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7上に保持された研磨加工後のウエーハ201を吸着保持して洗浄ユニット13に搬出する。
【0022】
搬出入ユニット14は、例えばU字型ハンド14−1を備えるロボットピックであり、U字型ハンド14−1によってウエーハ201を吸着保持して搬送する。具体的には、搬出入ユニット14は、研磨加工前のウエーハ201をカセット8から位置合わせユニット10へ搬出するとともに、研磨加工後のウエーハ201を洗浄ユニット13からカセット9へ搬入する。洗浄ユニット13は、研磨加工後のウエーハ201を洗浄し、研削及び研磨された加工面に付着している研磨屑等のコンタミネーションを除去する。
【0023】
次に、研磨ユニット5を図面に基づいて説明する。図4は、図1に示された研磨装置の研磨ユニットの研磨加工中の状態を示す側面図である。図5は、図4に示された研磨パッドとウエーハとの位置関係を示す平面図である。図6は、図5に示された研磨パッドとウエーハとの位置関係を示す側面図である。
【0024】
研磨ユニット5は、図1に示すように、装置本体2から立設したコラム18に支持されて、図4に示すように、研磨工具51の研磨パッド52がスピンドル50の下端に装着される。研磨ユニット5は、研磨工具51の研磨パッド52を研磨位置104のチャックテーブル7の保持面7−1に対向して配置させる。研磨ユニット5は、研磨工具51がスピンドル50により回転されながら、研磨位置104に位置し支持基台7−2により回転されるチャックテーブル7の保持面7−1で保持されたウエーハ201の裏面202にZ軸移動ユニット5−1によりZ軸方向に沿って押圧される。研磨ユニット5は、研磨工具51の研磨パッド52がウエーハ201の裏面202にZ軸方向に沿って押圧されることによって、ウエーハ201の裏面202を研磨パッド52で研磨するためのものである。
【0025】
研磨ユニット5は、コラム18に設けられたZ軸移動ユニット5−1によりZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング53と、スピンドルハウジング53内に軸心回りに回転自在に設けられたスピンドル50と、スピンドル50の下端に装着される研磨工具51とを備える。スピンドル50は、Z軸方向と平行に配置され、図1に示すスピンドルモータ54により軸心回りに回転される。スピンドル50は、下端に研磨工具51を装着する円盤状の工具装着部材50−1が取り付けられている。
【0026】
研磨工具51は、円環状の支持基台55と、円環状の研磨パッド52とを備える。支持基台55は、アルミニウム合金によって構成されている。研磨パッド52は、支持基台55の下面に装着され、チャックテーブル7に保持されたウエーハ201を研磨するものである。研磨パッド52は、例えばポリウレタンやフェルトに砥粒を分散させ固定したフェルト砥石等の砥粒から形成されている。
【0027】
研磨工具51は、スピンドル50の下端に取り付けられている工具装着部材50−1の下面に支持基台55を重ね、支持基台55が図示しないボルトにより工具装着部材50−1に装着されることによって、工具装着部材50−1に装着される。実施形態1において、研磨工具51の研磨パッド52の直径は、図5及び図6に示すように、ウエーハ201の直径よりも大きい。
【0028】
実施形態1において、研磨ユニット5は、研磨パッド52でウエーハ201を研磨する際は、研磨液を供給せずに、研磨パッド52の砥粒をウエーハ201と化学反応させる所謂ドライポリッシュをウエーハ201の裏面202に施す。即ち、実施形態1において、研磨工具51の研磨パッド52は、ドライポリッシュに好適なものである。
【0029】
なお、実施形態1において、研磨ユニット5の研磨工具51の回転中心である軸心と、研磨位置104のチャックテーブル7の回転中心である軸心とは、互いに平行であるとともに、水平方向に間隔をあけて配置されている。また、実施形態1において、研磨ユニット5は、図4図5及び図6に示すように、研磨パッド52がウエーハ201の裏面202全体を覆って、ウエーハ201の裏面202を研磨するとともに、研磨パッド52の下面56の一部の領域56−1がウエーハ201の裏面202に接触せずに露出する。なお、実施形態1において、領域56−1は、研磨装置1の平面視において、図5に示すように、Y軸方向の研磨位置104のチャックテーブル7とコラム18との間に配置されている。
【0030】
温風噴射ユニット15は、研磨加工中にウエーハ201に接触せずに露出した研磨パッド52の下面56の領域56−1に温風を吹きつけるものである。温風噴射ユニット15は、図4に示すように、装置本体2の研磨加工中の研磨パッド52の領域56−1にZ軸方向に対向する位置に設置されている。実施形態において、温風噴射ユニット15は、図5に示すように、Y軸方向の研磨位置104のチャックテーブル7とコラム18との間に配置されている。
【0031】
温風噴射ユニット15は、図示しない温風供給源から温風(即ち、加熱された気体)が供給される供給管151と、供給管151に複数設けた噴射口152とを備える。供給管151の長手方向は、Y軸方向に対して直交するX軸方向と平行である。なお、X軸方向は、水平方向と平行である。噴射口152は、供給管151の長手方向即ちX軸方向に沿って間隔をあけて配置されている。温風噴射ユニット15は、温風供給源から供給された温風を、研磨加工中の研磨パッド52の領域56−1に向けて噴射口152から噴射する。なお、温風噴射ユニット15が領域56−1に供給する温風は、常温よりも高い温度に加熱された気体である。また、実施形態1において、温風の温度は、保護部材206の溶融する温度、例えば70℃未満であることが望ましい。
【0032】
温度測定器16は、研磨加工中にウエーハ201に接触せずに露出した研磨パッド52の下面56の領域56−1の温度を測定するものである。温度測定器16は、装置本体2の研磨加工中の研磨パッド52の領域56−1にZ軸方向に対向する位置に設置されている。実施形態において、温度測定器16は、図5に示すように、Y軸方向の研磨位置104のチャックテーブル7とコラム18との間に配置されている。
【0033】
温度測定器16は、装置本体2に設置された設置部材161の先端に取り付けられている。設置部材161は、長手方向がY軸方向に対して直交するX軸方向と平行な棒状に形成されている。温度測定器16は、設置部材161の研磨ユニット5寄りの先端に設置されている。温度測定器16は、放射温度計、サーモグラフィー、又はパイロメータにより構成されている。温度測定器16は、測定結果を制御ユニット100に出力する。
【0034】
制御ユニット100は、研磨装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、ウエーハ201に対する研磨加工を研磨装置1に実行させるものである。制御ユニット100は、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有する。制御ユニット100のCPUは、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、研磨装置1を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット100のCPUは、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介して研磨装置1の各構成要素に出力する。
【0035】
また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットや、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0036】
また、制御ユニット100は、温度測定器16の測定結果に応じて、温風噴射ユニット15の温風噴射温度又は量を調整する。実施形態1において、制御ユニット100は、温風噴射ユニット15が領域56−1に向けて噴射する温風の温度と、温風の量との双方を変更するが、本発明では、温風の温度と、温風の量との少なくとも一方を調整すれば良い。実施形態1において、制御ユニット100は、研磨加工中に温度測定器16が検出する研磨パッド52の下面56の領域56−1の温度が、予め設定された温度となるように、温風噴射ユニット15が領域56−1に向けて噴射する温風の温度と、温風の量との双方を変更する。こうして、温風噴射ユニット15と、温度測定器16と、制御ユニット100は、ウエーハ201を研磨加工中の研磨パッド52の温度を調整する温度調整ユニット17を構成する。
【0037】
次に、実施形態1に係るウエーハの研磨方法について説明する。図7は、実施形態1に係るウエーハの研磨方法の流れを示すフローチャートである。
【0038】
実施形態1に係るウエーハの研磨方法(以下、単に研磨方法と記す)は、図7に示すように、保護部材貼着ステップST1と、研磨ステップST2とを備える。
【0039】
保護部材貼着ステップST1は、図3に示すように、ウエーハ201の表面203に保護部材206を貼着するステップである。実施形態1において、保護部材貼着ステップST1は、オペレータなどがウエーハ201の表面203に保護部材206を貼着し、表面203に保護部材206が貼着されたウエーハ201をカセット8内に収容する。保護部材206が貼着されたウエーハ201は、図示しない研削ステップにおいて、裏面202が研削されて、薄化される。
【0040】
研磨ステップST2は、研削ステップの後に、保護部材206が貼着された保護部材206を介してウエーハ201をチャックテーブル7で保持し、ウエーハ201の裏面202を研磨パッド52で研磨するステップである。研磨ステップST2は、図1に示す研磨装置1により行われる。研磨ステップST2は、オペレータが研磨加工前の保護部材206が表面203に貼着されたウエーハ201を収容したカセット8と、ウエーハ201を収容していないカセット9を装置本体2に取り付けるとともに、オペレータが加工情報を制御ユニット100に登録し、オペレータから研磨装置1に加工動作の開始指示が入力されると、実施される。
【0041】
研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、搬出入ユニット14にカセット8からウエーハ201を取り出させ、位置合わせユニット10へ搬出させ、位置合わせユニット10にウエーハ201の中心位置合わせを行わせ、搬入ユニット11に位置合わせされたウエーハ201の表面203側を搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7上に搬入する。
【0042】
研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、ウエーハ201の表面203側を保護部材206を介してチャックテーブル7に保持し、裏面202を露出させて、加工送りユニットでウエーハ201を保持したチャックテーブル7を研磨位置104に移動する。研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、研磨位置104のチャックテーブル7及び研磨ユニット5の研磨工具51を軸心回りに回転させながら、研磨ユニット5の研磨工具51の研磨パッド52をウエーハ201の裏面202に押圧して、ウエーハ201の裏面202を研磨する。こうして、研磨ステップST2では、ウエーハ201よりも直径の大きい研磨パッド52を用いる。
【0043】
また、研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、研磨パッド52の下面56の領域56−1に温風噴射ユニット15から温風を吹き付けて加熱しながら研磨するとともに、温度測定器16により研磨パッド52の下面56の領域56−1の温度を測定し、測定された研磨パッド52の温度に応じて温風の温度又は量を調整する。
【0044】
研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、研磨加工が終了すると、研磨ユニット5を上昇させ、チャックテーブル7の軸心回りの回転を停止するとともに、温風噴射ユニット15からの温風の噴射を停止する。研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、チャックテーブル7を搬入搬出位置101に移動させ、ウエーハ201を搬入ユニット11により洗浄ユニット13に搬入し、洗浄ユニット13で洗浄し、洗浄後のウエーハ201を搬出入ユニット14でカセット9へ搬入する。そして、研磨方法は、次のウエーハ201に対して研磨ステップST2を実施する。研磨装置1の制御ユニット100は、カセット8内の全てのウエーハ201に研磨加工を施すと、研磨ステップST2即ち研磨方法を終了する。
【0045】
以上のように、実施形態1に係る研磨方法及び研磨装置1は、研磨ステップST2では、研磨パッド52を温風噴射ユニット15から噴射する温風で加熱するので、研磨パッド52の砥粒とウエーハ201との反応速度を上げる事が出来る。その結果、研磨方法及び研磨装置1は、時間あたりのウエーハ201の除去量(ウエーハ201の減少させる厚みをいう)を増加させることが出来、研磨加工のスループットを向上させることができる。その結果、研磨方法及び研磨装置1は、加工時間を抑制することができる。
【0046】
また、実施形態1に係る研磨方法及び研磨装置1は、研磨ステップST2では、研磨パッド52の下面56の領域56−1の温度を測定し、測定結果に応じて、予め設定された温度となるように温風の温度と量を調整するので、研磨パッド52の下面56の温度を予め設定された温度に維持することができる。
【0047】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウエーハの研磨方法及び研磨装置を図面に基づいて説明する。図8は、実施形態2に係る研磨装置の構成例の斜視図である。図8は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
実施形態2に係る研磨装置1−2は、チャックテーブル7をターンテーブル6上に複数設置し、第1の研削ユニット3と、第2の研削ユニット4を更に備えている点が、実施形態1に係る研磨装置1と異なる。
【0049】
ターンテーブル6は、装置本体2の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内で回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。このターンテーブル6上には、実施形態2では、4つのチャックテーブル7が、例えば90度の位相角で等間隔に配設されている。実施形態2において、チャックテーブル7は、ターンテーブル6の回転によって、搬入搬出位置101、粗研削位置102、仕上げ研削位置103、研磨位置104、搬入搬出位置101に順次移動される。
【0050】
第1の研削ユニット3は、スピンドルの下端に装着された研削砥石を有する図示しない研削ホイールが回転されながら粗研削位置102のチャックテーブル7に保持されたウエーハ201の裏面202に鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って押圧されることによって、ウエーハ201の裏面202を粗研削加工するためのものである。同様に、第2の研削ユニット4は、スピンドルの下端に装着された研削砥石を有する図示しない研削ホイールが回転されながら仕上げ研削位置103に位置するチャックテーブル7に保持された粗研削済みのウエーハ201の裏面202にZ軸方向に沿って押圧されることによって、ウエーハ201の裏面202を仕上げ研削加工するためのものである。
【0051】
実施形態2に係るウエーハの研磨方法(以下、単に研磨方法と記す)は、研削ステップにおいて、ウエーハ201の裏面202に粗研削加工と仕上げ研削加工とを施した後に、実施形態1と同様の研磨ステップST2を実施すること以外、実施形態1に係る研磨方法と同じである。
【0052】
実施形態2に係る研磨方法及び研磨装置1−2は、研磨ステップST2では、研磨パッド52を温風噴射ユニット15から噴射する温風で加熱するので、実施形態1と同様に、加工時間を抑制することができる。
【0053】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るウエーハの研磨方法及び研磨装置を図面に基づいて説明する。図9は、実施形態3に係る研磨装置の要部の斜視図である。図10は、実施形態3に係る研磨装置の要部の平面図である。図11は、実施形態3に係るウエーハの研磨方法の流れを示すフローチャートである。図12は、図11に示されたウエーハの研磨方法の研磨前測定ステップの測定経路上のウエーハの厚さを測定する状態を示す側面図である。図13は、図11に示されたウエーハの研磨方法のテスト研磨ステップにおいて研磨されたウエーハを示す側面図である。図14は、図11に示されたウエーハの研磨方法の研磨ステップ後のウエーハの側面図である。図9から図14は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
実施形態3に係る研磨装置1−3は、図9に示すように、測定ユニット12を備える。測定ユニット12は、搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7の保持面7−1に対向して配置され、図示しない水平方向移動ユニットにより保持面7−1と平行な方向に移動自在に設けられている。測定ユニット12の水平方向移動ユニットによる図1中に一点鎖線で示す移動経路207は、搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7の保持面7−1の中心を通る直線状でかつチャックテーブル7の径方向と平行である。また、測定ユニット12の水平方向移動ユニットによる移動経路207は、チャックテーブル7の保持面7−1の中心を互いの間に挟む二つの外縁を通る。
【0055】
測定ユニット12は、搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7の保持面7−1に保持されたウエーハ201の裏面202に対して光又は超音波を照射しながら裏面202で反射された光又は超音波を受信しながら移動経路207上を移動されることにより、移動経路207上のウエーハ201の予め設定された所定距離おきの各位置の厚さを測定する。本明細書は、測定ユニット12の移動経路207を以下、測定経路207と記す。測定ユニット12は、測定結果を制御ユニット100に出力する。なお、実施形態1において、測定ユニット12は、光又は超音波を照射して移動経路上のウエーハ201の各位置の厚さを測定する非接触式のものであるが、ウエーハ201の裏面202に接触する接触子を備える接触式のものでも良い。また、実施形態3において、測定ユニット12を研磨装置1に設けたが、本発明では、研磨装置1−3とは別の測定装置を用いてウエーハ201の厚さを測定しても良い。
【0056】
また、研磨装置1−3の温度調整ユニット17は、図10に示すように、研磨パッド52の下面56の領域56−1のうちの所望の領域に選択的に温風を吹き付ける選択噴射部153を備える。実施形態3において、選択噴射部153は、噴射口152それぞれに対応して設けられ、対応する噴射口152を開閉可能なシャッタ機構である。選択噴射部153は、温風噴射ユニット15に複数設けられている。各選択噴射部153は、制御ユニット100により互いに独立して、噴射口152を開閉する。
【0057】
次に、実施形態3に係るウエーハの研磨方法について説明する。実施形態3に係るウエーハの研磨方法(以下、単に研磨方法と記す)は、図11に示すように、保護部材貼着ステップST1と、研磨ステップST2とに加えて、研磨装置1−3により行われる選択ステップST3を備える。
【0058】
選択ステップST3は、保護部材貼着ステップST1の後でかつ研磨ステップST2の前に実施されるステップである。選択ステップST3は、研磨ステップST2後のウエーハ201の厚さのばらつきを抑制するために、研磨ステップST2において研磨パッド52の下面56の領域56−1のうちの温風を吹き付ける領域を選択するステップであり、噴射口152を開放する選択噴射部153と噴射口152を閉じる選択噴射部153とを選択するステップである。選択ステップST3は、図11に示すように、研磨前測定ステップST31と、テスト研磨ステップST32と、取得ステップST33と、選定ステップST34とを有する。
【0059】
選択ステップST3の研磨前測定ステップST31では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、搬出入ユニット14にカセット8からウエーハ201(なお、選択ステップST3において研削研磨されるウエーハ201を、以下、テスト用ウエーハ201−1と記す)を取り出させ、位置合わせユニット10へ搬出させ、位置合わせユニット10にテスト用ウエーハ201−1の中心位置合わせを行わせ、搬入ユニット11に位置合わせされたテスト用ウエーハ201−1の表面203側を搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7上に搬入する。
【0060】
研磨前測定ステップST31では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、テスト用ウエーハ201−1の表面203側を保護部材206を介してチャックテーブル7に保持する。研磨前測定ステップST31では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、図12に示すように、測定ユニット12を測定経路207に沿って移動させながら測定経路207上のテスト用ウエーハ201−1の各位置の厚さを測定させる。なお、図12に示す搬入搬出位置101に位置付けられたテスト用ウエーハ201−1は、実施形態3において、中心の厚さと外縁の厚さとが薄く、中心と外縁との中央の厚さが厚くなるように、厚さがばらついている。なお、図12は、実際の厚さのばらつきよりも大きくなるように、厚さのばらつきを誇張して記載している。
【0061】
テスト研磨ステップST32は、研磨前測定ステップST31においてウエーハ201の厚さ情報である移動経路207上の各位置の厚さを取得したテスト用ウエーハ201−1をチャックテーブル7に保持したチャックテーブル7を研磨ユニット5の研磨パッド52で研磨するステップである。テスト研磨ステップST32では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、テスト用ウエーハ201−1を保持したチャックテーブル7を研磨位置104に移動させて、研磨位置104でチャックテーブル7を軸心回りに回転させ、研磨工具51を軸心回りに回転させながら研磨パッド52をチャックテーブル7に保持されたウエーハ201に押しつけて、ウエーハ201の裏面202を研磨する。研磨装置1−3の制御ユニット100は、テスト研磨ステップST32が終了すると、取得ステップST33に進む。
【0062】
なお、図13に示す研磨後のテスト用ウエーハ201−1は、実施形態3において、中心の厚さと外縁の厚さとが薄く、中心と外縁との中央の厚さが厚くなるように、厚さがばらついている。なお、図13は、図12と同様に、実際の厚さのばらつきよりも大きくなるように、厚さのばらつきを誇張して記載している。
【0063】
取得ステップST33は、テスト研磨ステップST32を実施後に測定したテスト用ウエーハ201−1の面内の厚さ情報である測定経路207上のテスト用ウエーハ201−1の各位置の厚さを取得するステップである。取得ステップST33では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、チャックテーブル7の回転を停止させ、テスト用ウエーハ201−1を搬入搬出位置101に移動させた後、測定ユニット12を測定経路207に沿って移動させながら測定経路207上のテスト用ウエーハ201−1の各位置の厚さを測定させる。
【0064】
こうして、取得ステップST33では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、テスト研磨ステップST32実施後に測定したテスト用ウエーハ201−1の面内の厚さ情報である測定経路207上のテスト用ウエーハ201−1の各位置の厚さを取得する。
【0065】
選定ステップST34は、ウエーハ201面内の他の領域よりも研磨レートを上昇させたい領域を選定するステップである。選定ステップST34では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、取得ステップST33で測定した研磨後の測定経路207上のテスト用ウエーハ201−1の各位置のうち厚さが所望の仕上げ厚さよりも厚くなる位置を、ウエーハ201面内の他の領域より研磨レートを上昇させたい領域として選定する。選定ステップST34では、研磨装置1−3の制御ユニット100は、ウエーハ201の裏面202の各領域と選択噴射部153との対応関係とを予め記憶しており、この予め記憶した対応関係に基づいて、ウエーハ201面内の他の領域より研磨レートを上昇させたい領域に対応した選択噴射部153を選択して、研磨ステップST2に進む。
【0066】
研磨ステップST2は、テスト用ウエーハ201−1と面内の厚さが同等なウエーハ201をチャックテーブル7で保持して研磨するステップである。研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、図10に示すように、選定ステップST34で選択した選択噴射部153に噴射口152を開放させ、他の選択噴射部153に噴射口152を閉じさせながら研磨パッド52の下面56の領域56−1のうちウエーハ201の研磨レートを上昇させたい領域に対応する所望の領域を選択的に加熱しながら研磨する。なお、図10は、噴射口152を開放する選択噴射部153を符号「153O」で示し、噴射口152を閉じる選択噴射部153を符号「153C」で示している。研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、搬出入ユニット14にカセット8からウエーハ201(なお、研磨ステップST2において研削研磨されるウエーハ201を、以下、加工用ウエーハ201−2と記す)を取り出させ、位置合わせユニット10へ搬出させ、位置合わせユニット10に加工用ウエーハ201−2の中心位置合わせを行わせ、搬入ユニット11に位置合わせされた加工用ウエーハ201−2の表面203側を搬入搬出位置101に位置するチャックテーブル7上に搬入する。
【0067】
研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、加工用ウエーハ201−2の表面203側を保護部材206を介してチャックテーブル7に保持し、研磨位置104に搬送する。研磨ステップST2では、研磨装置1の制御ユニット100は、選定ステップST34で選択した選択噴射部153に噴射口152を開放させ、他の選択噴射部153に噴射口152を閉じさせて、開放された噴射口152から温風を下面56の領域に吹き付けて加熱しながら加工用ウエーハ201−2の裏面202を図14に示すように高精度に平坦化する。
【0068】
研磨装置1は、研磨ユニット5により研磨された加工用ウエーハ201−2を搬入搬出位置101に位置付け、搬入ユニット11により洗浄ユニット13に搬入し、洗浄ユニット13で洗浄し、洗浄後の加工用ウエーハ201−2を搬出入ユニット14でカセット9へ搬入する。研磨装置1は、カセット8内の全ての加工用ウエーハ201−2に研磨を施すと、研磨方法を終了する。
【0069】
以上のように、実施形態3に係る研磨方法及び研磨装置1−3は、研磨ステップST2では、研磨パッド52を温風噴射ユニット15から噴射する温風で加熱するので、研磨パッド52の砥粒とウエーハ201との反応速度を上げる事が出来る。その結果、研磨方法及び研磨装置1−3は、時間あたりのウエーハ201の除去量(ウエーハ201の減少させる厚みをいう)を増加させることが出来、研磨加工のスループットを向上させることができる。その結果、研磨方法及び研磨装置1は、加工時間を抑制することができる。
【0070】
また、実施形態3に係る研磨方法及び研磨装置1−3は、テスト研磨ステップST32後のテスト用ウエーハ201−1の形状(厚さ)に基づいて、所望の領域のみ研磨レートを上げたいと言った場合も、研磨パッド52の下面56の領域56−1のうちの所望の領域を選択的に加熱するので、加工用ウエーハ201−2を所望の形状(厚さ)に研磨することが出来る。
【0071】
次に、本発明の効果を確認するために、本発明の発明者は、研磨パッド52の領域56−1を温風噴射ユニット15から温風を噴射して加熱した時の単位時間当たりの除去量を測定した。測定結果を図15に示す。図15は、図1に示された研磨装置の研磨パッドの領域を加熱した時の単位時間当たりの除去量を示す図である。
【0072】
図15の本発明品1は、予め設定された温度を35.6℃とし、本発明品2は、予め設定された温度を38.5℃として、温風噴射ユニット15から温風を噴射して領域56−1を加熱した。本発明品1と本発明品2とも、150秒研磨加工を行った時の単位時間当たりの除去量(μm/min)を測定した。
【0073】
図15によれば、本発明品1の単位時間当たりの除去量が0.49(μm/min)であるのに対し、本発明品2の単位時間当たりの除去量が0.59(μm/min)である。したがって、図15によれば、研磨パッド52の温度を高くすることにより、単位時間当たりの除去量を増加させることが出来、研磨加工のスループットを向上させることができることが明らかとなった。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1,1−2,1−3 研磨装置
5 研磨ユニット
7 チャックテーブル
15 温風噴射ユニット
16 温度測定器
17 温度調整ユニット
50 スピンドル
52 研磨パッド
56 下面
56−1 領域
100 制御ユニット
153 選択噴射部
202 裏面
203 表面
204 分割予定ライン
205 デバイス
206 保護部材
ST1 保護部材貼着ステップ
ST2 研磨ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15