(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、PDP、液晶パネル、有機ELパネルなどの、各種の画像表示用ディスプレイなどに使用される光学フィルム、あるいは光学用粘着フィルムでは、視認性を向上させるために高透明性が必要とされている。しかし、特許文献3に開示されているような、合成樹脂や粘着剤層に中空構造を形成させるためにシリカ微粒体を混ぜる方法では、シリカ微粒体の粒子径を可視光線の赤色光の波長である400nm(0.4μm)以下にしないと、光散乱による全光線透過率の低下が生じる。しかし、粒子径が0.4μm以下のシリカ微粉体は、製造が難しいことから高価格であって、安価であることが必要な汎用の絶縁体の製造には利用できないという問題があった。
【0007】
また、特許文献4に記載の発明は、優れた耐熱性、耐湿性、誘電特性を保持した、より安価な電気・電子絶縁用粘着フィルムを提供することを目的としている。このために、特許文献4の発明に係わる粘着フィルムは、基材に低誘電率の液晶ポリマーを使用しているが、粘着剤層には、一般的なシリコーン粘着剤を使用していることから、粘着フィルムの誘電率をさらに低減して絶縁性を高めることができない。
また、特許文献5に係わる粘着剤は、比誘電率が周波数100kHzで3.5以下の優れた絶縁性を有するが、現在のタッチパネルの主流な駆動周波数である1MHz前後での比誘電率は記載されていない。
また、特許文献6、7には、静電容量式のタッチパネルの誤認識を防ぐために、その積層構造の中に低誘電率膜を積層することや、静電容量センサの配線ラインに低比誘電率の部材を設けることが記載されているが、使用する低誘電率の部材の製造方法は、具体的に示されていない。
【0008】
このように、従来技術においては、光学部材の貼り合わせにも使用可能であり、低誘電率によって優れた絶縁性能を有する粘着フィルムの製造方法、粘着剤組成物及び粘着フィルムは、知られていなかった。
【0009】
また、一般的な表示ディスプレイの前面ガラス板の表面には、スクリーン印刷などにより形成された遮光層の黒枠が配設されていて、該前面ガラス板と遮光層の黒枠との間には厚さ数μm〜50μm程度の段差が生じている。例えば、携帯電話等の保護板には、意匠性向上のため厚さ10μm〜数十μm程度の印刷枠が施されている場合が多い。また、タッチパネルデバイスのITO層表面にも、タッチパネル内に電流を送るための電極が配置されており、この印刷による配線部分にも数μm〜数十μm程度の厚さの印刷段差が形成されている。このように、粘着フィルムを使用して各種の光学フィルムや保護板をディスプレイに貼り合せる際、または粘着剤層を使用してITO層を他のフィルムなどと貼り合わせる際には、被着体の表面に段差が存在する構成が数多くある。
被着体表面に印刷層などによる段差があると、粘着フィルムがその段差に追従できず、生じた浮きによって気泡を巻き込んでしまい、粘着フィルムと被着体との間に隙間が生じるという問題があった。この問題を解決するために、従来から様々な取り組みが行なわれている。上記の要求事項および問題を克服した粘着フィルムの製造方法、粘着剤組成物及び粘着フィルムが必要とされている。
この印刷段差への追従性を向上させる方法としては、特許文献8に係わる粘着フィルムのように、粘着剤層の貯蔵弾性率を低くする方法が知られている。しかし、粘着剤層の貯蔵弾性率を低くすると、粘着剤層が変形を起こし易くなり、被着体を長期間に渡り固定し、粘着剤層の形状を保持することができなくなる可能性がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、主成分として、一般的な構造を有するアクリル系モノマーのみを含有した粘着剤組成物であるにも拘わらず、低誘電率であって優れた絶縁性能と、印刷段差への追従性と優れた形状保持性とを有する粘着フィルムの製造方法、粘着剤組成物及び粘着フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、主成分として、一般的な構造を有するアクリル系モノマーのみを含有した粘着剤組成物であるにも拘わらず、アクリル系ポリマーと、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含有させることにより、低誘電率による優れた絶縁性能と、印刷段差への追従性と優れた形状保持性とを有する粘着剤層にすることを技術思想としている。
そのため、本発明に係わる粘着フィルムは、熱硬化させた後であって、紫外線の照射によって架橋させる前の粘着フィルムの形態で使用し、印刷段差を有する被着体に貼り合わせた後で、光照射することにより最終的に架橋させた粘着剤層とすることができる。
また、印刷段差を有していない被着体に対しては、加熱及び光照射して共重合及び架橋させた粘着剤層を有する粘着フィルムの形態で使用することができる。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、光学部材の貼り合わせに用いる粘着フィルムの製造方法であって、次の工程(1)〜(3)、
工程(1):ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外の、2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得る工程と、
工程(2):前記アクリル系ポリマーの合計100gに対して、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの化合物群から選択された1種又は2種以上のポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーの合計を0.1〜20モルとする割合で、前記アクリル系ポリマーと、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を調製する工程と、
工程(3):事前に準備した離型フィルムの片面に、前記粘着剤組成物を塗布した後、加熱して共重合させて、周波数1MHzにおける比誘電率が3.5以下である粘着剤層を形成し、離型フィルム/前記粘着剤層/離型フィルムの構成を有する、粘着フィルムを作製する工程と、
を順に経ることを特徴とする粘着フィルムの製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、光学部材の貼り合わせに用いる粘着フィルムの製造方法であって、次の工程(1)〜(3)、
工程(1):ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外の、2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得る工程と、
工程(2):前記アクリル系ポリマーの合計100gに対して、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの化合物群から選択された1種又は2種以上のポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーの合計を0.1〜20モルとする割合で、前記アクリル系ポリマーと、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を調製する工程と、
工程(3):事前に準備した基材フィルムの片面に、前記粘着剤組成物を塗布した後、加熱して共重合させて、周波数1MHzにおける比誘電率が3.5以下である粘着剤層を形成し、粘着フィルムを作製する工程と、
を順に経ることを特徴とする粘着フィルムの製造方法を提供する。
【0014】
さらに、前記粘着フィルムを光照射して、前記粘着剤組成物を架橋させることが好ましい。
【0015】
また、
本発明は、アクリル系ポリマーと、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を架橋させてなる粘着剤層であって、前記アクリル系ポリマーが、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、芳香族基のいずれかの基を有する共重合性ビニルモノマーの化合物群から選択された2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーを、共重合させて得られたアクリル系ポリマーであり、アクリル系モノマーの合計量100重量部に対して、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基のうち、いずれか1つ以上の官能基を有する共重合性ビニルモノマーの化合物群から選択された1種又は2種以上の共重合性ビニルモノマー(官能基含有共重合性モノマー)の合計が0.5〜15重量部の割合で共重合してなり、前記アクリル系ポリマーの合計100gに対して、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーとして、エチレングリコールジメタクリレート(1G)、トリエチレングリコールジメタクリレート(3G)、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(9G)、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(A−200)、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(A−400)からなるポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーの1種以上の合計を0.1〜20モルとする割合で含有してなり、前記粘着剤層の周波数1MHzにおける比誘電率が3.5以下であることを特徴とする粘着剤層を提供する。
【0016】
また、前記2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーが、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、イミド基、芳香族基のいずれかの基を有する共重合性ビニルモノマーの化合物群から選択されてなることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、光学部材の貼り合わせに用いる粘着フィルム用粘着剤層を構成する、共重合及び架橋させてなる粘着剤組成物であって、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外の、2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーを共重合させて得られたアクリル系ポリマーの合計100gに対して、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの化合物群から選択された1種又は2種以上のポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーの合計を0.1〜20モルとする割合で、前記アクリル系ポリマーと、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を、共重合及び架橋させてなる粘着剤組成物を提供する。
【0018】
また、前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが、下記の一般式(1)
CH
2=C(R
1)−COO−(R
2−O)
n−R
3 (1)
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を、R
2は炭素数2〜4のアルキレン基を、R
3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ示し、nは1〜23の整数を示す)で表されることが好ましい。
【0019】
また、前記2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーが、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、イミド基、芳香族基のいずれかの基を有する共重合性ビニルモノマーの化合物群から選択されてなることが好ましい。
【0020】
また、全てのモノマーの合計量100重量部のうち、アルキル(メタ)アクリレートの化合物群の合計が50重量部以上であることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、離型フィルムの片面に前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が形成されてなり、離型フィルム/前記粘着剤層/離型フィルムの構成を有する、粘着フィルムを提供する。
【0022】
また、本発明は、基材フィルムの片面上に前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が形成されてなる、粘着フィルムを提供する。
【0023】
また、前記粘着剤層の周波数1MHzにおける比誘電率が3.5以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来の要求事項および問題を克服して、一般的な構造を有するアクリル系モノマーのみを含有した粘着剤組成物であるにも拘わらず、低誘電率による優れた絶縁性能と、印刷段差への追従性と優れた形状保持性とを有する粘着フィルムの製造方法、粘着剤組成物及び粘着フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
本発明の粘着フィルムの製造方法は、次の工程(1)〜(3)、
工程(1):ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外の、2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得る工程と、
工程(2):前記アクリル系ポリマーの合計100gに対して、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの化合物群から選択された1種又は2種以上のポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーの合計を0.1〜20モルとする割合で、前記アクリル系ポリマーと、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を調製する工程と、
工程(3):事前に準備したフィルムの片面に、前記粘着剤組成物を塗布した後、加熱して共重合させて、周波数1MHzにおける比誘電率が3.5以下である粘着剤層を形成し、粘着フィルムを作製する工程と、
を順に経ることを特徴とする。ここで、工程(3)に用いるフィルムは、基材フィルムでもよく、離型フィルムでもよい。
【0026】
本発明の粘着剤層は、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外の、2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマーを共重合させて得られたアクリル系ポリマーの合計100gに対して、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの化合物群から選択された1種又は2種以上のポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーの合計を0.1〜20モルとする割合で、前記アクリル系ポリマーと、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を、共重合及び架橋させてなることを特徴とする。
【0027】
本発明に係わる粘着剤層の原料として使用される、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートは、比誘電率を著しく低減する機能を有する。アクリル系ポリマーに、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含有させ、さらに共重合及び架橋させると、比誘電率が著しく低減する理由は明確ではないが、次のようなことが、その理由の1つではないかと考えられる。
(1)本発明に係わる粘着剤層は、アクリル系ポリマーとポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとを含有した粘着剤組成物を共重合及び架橋したものである。共重合及び架橋後のアクリル系共重合体は、側鎖として、多数のポリアルキレンオキサイド鎖(ここでは、「ひげ」と略称する)が長く伸びている。このため、アクリル系共重合体(ポリマー)は、長さ方向にのみに長く伸びているのではなくて、長さ方向と直交する横幅方向にも長く伸びている「ひげ」の効果で、太さのある形状となっている。いわば、高周波の電荷が印加されても分極し難い団子状の構造をしていることが、比誘電率を低減させる。
(2)また、アクリル系共重合体(ポリマー)の側鎖として伸びている、多数の「ひげ」が干渉し合うことによって、アクリル系共重合体(ポリマー)の骨格部がお互いに接近するのを妨げ、アクリル系共重合体を架橋させた粘着剤層に、多数の空気層からなる微細な空隙を発生させて、比誘電率を低減させる。
【0028】
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマー(モノマーB)として選択される、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖などの、ポリアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造を、1種類又は2種類以上有する化合物が挙げられる。
式(1)で表されるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートは、CH
2=C(R
1)―CO―で表される(メタ)アクリロイル基を、1分子に1つ有する、単官能(メタ)アクリレートである。アルキレンオキサイド鎖の一つの末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖などがランダムもしくはブロックで結合した、アルキレンオキサイド鎖の一つの末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物のいずれでもよい。
【0029】
前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが、下記の一般式(1)
CH
2=C(R
1)−COO−(R
2−O)
n−R
3 (1)
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を、R
2は炭素数2〜4のアルキレン基を、R
3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ示し、nは1〜23の整数を示す)で表されることが好ましい。
【0030】
前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、又はブチレンオキサイド鎖を持ち、その繰り返し数が2から23である(メタ)アクリレートのモノマーであることが好ましい。
【0031】
さらに好ましくは、ポリアルキレンオキサイド鎖の繰り返し数が、5から23のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートである。ポリアルキレンオキサイド鎖の繰り返し数が、2未満のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートでは、周波数1MHzにおける比誘電率を、3.5以下にすることが困難である。また、ポリアルキレンオキサイド鎖の繰り返し数が、23を越えるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートにおいては、その繰り返し数が23以下の化合物と比べて、周波数1MHzにおける比誘電率が、ほとんど減少しないからである。
【0032】
ポリエチレンオキサイド鎖を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリプロピレンオキサイド鎖を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのモノマーとしては、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げられる。
ポリブチレンオキサイド鎖を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのモノマーとしては、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、ポリエチレンオキサイド鎖と、ポリプロピレンオキサイド鎖の両方を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのモノマーとしては、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
一般的に入手が可能な、市販のポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、具体的には、次のようなものが挙げられる。
例えば、新中村化学工業株式会社の商品名としては、NKエステルAM30G(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリアルキレンオキサイド鎖の繰り返し数:n=3)、NKエステルM40G(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n=4)、NKエステルAM90G(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=9)、NKエステルM90G(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n=9)、NKエステルAM130G(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=13)、NKエステルAM230G(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=23)などが挙げられる。
また、共栄社化学株式会社の商品名としては、ライトアクリレートMTG−A(メトキシトリエチレングリコールアクリレート,n=3)、ライトアクリレート130A(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=9)などが挙げられる。
また、日油株式会社の商品名としては、ブレンマーAE−200(ポリエチレングリコールアクリレート、n=4.5)、ブレンマーAE−350(ポリエチレングリコールアクリレート、n=8)、ブレンマーAE−400(ポリエチレングリコールアクリレート、n=10)、ブレンマーPE−200(ポリエチレングリコールメタクリレート、n=4.5)、ブレンマーPE−350(ポリエチレングリコールメタクリレート、n=8)、ブレンマーAP400(ポリプロピレングリコールアクリレート、n=6)、ブレンマーAP550(ポリプロピレングリコールアクリレート、n=9)、ブレンマーPP−500(ポリプロピレングリコールメタクリレート、n=9)、ブレンマーPP−800(ポリプロピレングリコールメタクリレート、n=13)、ブレンマーPP−1000(ポリプロピレングリコールメタクリレート、n=16)、ブレンマーAME−400(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=9)、ブレンマーPME−200(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n=4)、ブレンマーPME−400(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n=9)、ブレンマーPME−1000(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n=23)などが挙げられる。
また、大阪有機化学工業株式会社の商品名としては、MPE400A(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=約7)、MPE550A(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n=約9)などが挙げられる。
【0034】
また、本発明に係わる粘着剤層において、粘着剤組成物のアクリル系モノマーの全体(これを100gとする)に占める、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの含有割合は、0.1〜20モルの範囲が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜15モルである。ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの含有割合が、0.1モル未満では、粘着剤層の比誘電率を低減する効果が少なく、粘着剤層の比誘電率を3.5以下にすることが難しい。また、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの含有割合が、20モルを越えると、粘着剤組成物の粘度が高くなり過ぎて、共重合反応が困難となり好ましくない。
また、粘着剤組成物のアクリル系モノマーの全体(これを100gとする)に占める、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの含有割合は、0.1〜20モルの範囲であれば、熱硬化させた後であって、紫外線照射により架橋させる前の粘着剤層の、30℃における貯蔵弾性率(単位Pa)をK1と表記するとき、K1が2×10
4〜1×10
5Paの範囲の粘着剤層が得られる。
その結果、印刷段差への追従性と優れた形状保持性とを有する粘着剤層及び粘着フィルムが得られる。粘着剤層の形状保持性が優れるなら、粘着剤層の両側の被着体同士の間(または、基材フィルムと被着体との間)で、被着体の貼合状態(本来の位置関係)を保持することができる。そして、粘着剤層の貼合により製造したデバイスの形状も保持できる。また、K1が1×10
5Paを超えてしまうと、貼合時に粘着剤層が変形し難いため印刷段差への追従性がなく、印刷段差の部分に隙間が生じる。
また、紫外線照射により架橋させた後の粘着剤層の、30℃での貯蔵弾性率(単位Pa)をK2と表記するとき、K2が3×10
5Paよりも小さいと、粘着剤層が変形を起こしやすくなり、被着体を長期間に渡り固定したり、粘着剤層の形状を保持したりすることができない。
【0035】
本発明に係わるアクリル系ポリマー(ポリマーA)は、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外の、2種類以上の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーA)を共重合させたものである。前記モノマーAは、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、イミド基、芳香族基のいずれかの基を有する共重合性ビニルモノマーの化合物群から選択されてなることが好ましい。ポリマーAは、側鎖にポリアルキレンオキサイド鎖を有しないポリマーであることが好ましい。
【0036】
アルキル基の炭素数がC1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの少なくとも1種以上が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基は、直鎖、分枝状、環状のいずれでもよい。
また、本発明に係わる粘着剤層において、粘着剤組成物に含有させる、アルキル基の炭素数がC1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、95.5〜25重量部であることが好ましい。
【0037】
他の共重合モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドンなどのビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン等の含窒素モノマー;ビニルエーテルモノマーなども使用することができる。
なかでも、粘着剤の凝集力を調整するために、必要に応じて、活性水素を有しないアミド基を有するビニルモノマーや、活性水素を有しないアミノ基を有するビニルモノマー等の含窒素モノマーを含有することができる。ここで、「活性水素」とは、炭素以外の、例えば酸素や窒素などの原子に結合している水素原子を意味する。
【0038】
活性水素を有しない含窒素モノマーとしては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリンなどの環状窒素ビニル化合物、N−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−イソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリレート、N−エチル−N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−プロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキル置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどの少なくとも1種以上が挙げられる。
【0039】
前記含窒素モノマーとしては、後述のヒドロキシル基を有するビニルモノマーと区別可能とするため、活性水素を含有しないものが好ましく、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含有しないものがより好ましい。このようなモノマーとしては、上に例示したモノマー、例えば、N,N−ジアルキル置換アミノ基やN,N−ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニル置換ラクタム類;N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどのN−(メタ)アクリロイル置換環状アミン類が好ましい。
また、本発明に係わる粘着剤層において、粘着剤組成物に含有させるアミド基を有するビニルモノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタムなどが特に好適に使用される。
【0040】
また、本発明に係わる粘着剤層において、粘着剤組成物に含有させる活性水素を有しない含窒素モノマーは、粘着剤層に対して必要な粘着力及び耐久性を付与させることができる。このため、粘着剤層が、被着体との大きな粘着力を求められている用途に対しては、カルボキシル基含有モノマーと同様に、活性水素を有しない含窒素モノマーの含有割合を加減することによって、粘着力を調整できる。さらに、カルボキシル基含有モノマーを含有させることが好ましくない用途、例えば、被着体がITOの透明導電膜であると、腐食性を有するカルボキシル基含有モノマーに替えて、活性水素を有しない含窒素モノマーを使用して、粘着力を調整できる。
【0041】
ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマー(ヒドロキシル基含有モノマー)としては、例えば、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類や、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド類などの少なくとも1種以上が挙げられる。本発明では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、本発明に係わる粘着剤層において、粘着剤組成物に含有させるヒドロキシル基含有モノマーは、得られる粘着剤層が透明導電性フィルムのITO表面などの腐食し易い被着体に対する腐食性に影響を与えるとされる、カルボキシル基含有モノマーの含有量を減らすための共重合性モノマーとして使用できる。そのため、ヒドロキシル基含有モノマーは、粘着剤層の粘着力を向上させ、且つ、腐食性を低減させることに役立てることができる。
【0042】
カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマー(カルボキシル基含有モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸などの少なくとも1種以上が挙げられる。本発明では、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、本発明に係わる粘着剤層において、粘着剤組成物に含有させるカルボキシル基含有モノマーは、粘着剤層に対して必要な凝集力を付与させることができる。このため、粘着剤層が、被着体との大きな粘着力を求められている用途に対しては、カルボキシル基含有モノマーの含有割合を加減することによって、粘着力を調整できる。
【0043】
また、本発明に係わる粘着剤層においては、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基のうち、いずれか1つ以上の官能基を有する共重合性ビニルモノマーの化合物群から選択された1種又は2種以上の共重合性ビニルモノマー(官能基含有共重合性モノマー)の合計が、アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、0.5〜15重量部であることが好ましい。
前記官能基含有共重合性モノマーは、アクリル系モノマー成分の合計100重量部に対して、接着力および凝集力の維持の点から0.5重量%以上であるのが好ましい。一方、前記官能基含有共重合性モノマーが多くなりすぎると、粘着剤が固くなり、接着力が低下する場合があり、また、粘着剤組成物の粘度が高くなりすぎたり、ゲル化する場合があることから、前記官能基含有共重合性モノマーは、アクリル系モノマー成分の合計100重量部に対して、15重量%以下であるのが好ましい。
【0044】
アミド基を有する共重合性ビニルモノマーとしては、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]アセトアミド等のアミド基を有する(メタ)アクリレートのほか、(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
【0045】
イミド基を有する共重合性ビニルモノマーとしては、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]フタルイミド等のイミド基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0046】
芳香族基を有する共重合性ビニルモノマーとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族基を有する(メタ)アクリレートのほか、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族基を有する非アクリル系ビニルモノマーが挙げられる。
【0047】
ポリマーAの重合方法は、特に限定されるものではなく、溶液重合法、乳化重合法等、適宜、公知の重合方法が使用可能である。ポリマーAの重量平均分子量は、20万〜200万であることが好ましい。
ポリマーAのモノマー組成は、ポリマーAの100重量部に対して、(メタ)アクリル酸エステルモノマーや(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド類などのアクリル系モノマーを50〜100重量部含むことが好ましい。
【0048】
前記粘着剤組成物は、上記のポリマーA及びモノマーBに、架橋剤や、適宜任意の添加剤を配合することで、必要とされる物性値などの特性を調整することができる。ポリマーAの合計100gに対して、モノマーBの合計を0.1〜20モルとする割合で、ポリマーAと、モノマーBと、光重合開始剤と、架橋剤とを含む粘着剤組成物を調製することが好ましい。本発明によれば、一般的なアクリル系粘着剤であるポリマーAに、後からモノマーBを添加し、加熱によりモノマーBをポリマーAに共重合させ、さらに紫外線照射により架橋させている。つまり、一般的な粘着製品を(汎用の粘着剤を使用して)生産しながら、「低比誘電率の性能が必要な粘着製品を生産するとき」だけ、モノマーBを加え、その効果を奏することができる。そのため、「低誘電率の粘着製品専用の粘着剤」の在庫を抱えずに、低比誘電率の粘着製品を生産できるので、コスト面・管理面で有利である。また、従来使用してきた粘着剤にこのモノマーBと光開始剤を添加するだけで、低比誘電率の粘着剤にすることができる。また、粘着剤固形分に対して、添加するモノマーBの種類や添加量を変化させることで、比誘電率のコントロールが可能になる。単に比誘電率を低くするのではなく、希望の比誘電率に合わせた製品を作成することができるようになる可能性がある。
【0049】
架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート類のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパンや、グリセリン等の3価以上のポリオールとのアダクト体などのポリイソシアネート化合物、金属系キレート化合物、エポキシ化合物などの少なくとも1種以上が挙げられる。また、紫外線など光架橋により粘着剤を架橋しても良い。
架橋剤を用いてアクリル系共重合体を架橋する場合、アクリル系共重合体が、架橋剤と架橋反応可能な官能基(架橋剤の種類にもよるが、ヒドロキシル基やカルボキシル基など)を有することが好ましく、また、これらの官能基を側鎖に有するモノマーを含有することが好ましい。また、粘着剤組成物が、アクリル系モノマーの合計100重量部に対して、架橋剤を0.01〜5重量部を、含有することが好ましい。
【0050】
その他の任意の成分として、シランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、硬化促進剤、可塑剤、充填剤、架橋触媒、架橋遅延剤、硬化遅延剤、加工助剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜に配合することができる。これらは、単独で、もしくは2種以上併せて用いてもよい。電気絶縁の用途においては、粘着剤が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級オニウム塩などのイオン性化合物や、金属、カーボンなどの導電体、帯電防止剤などを含まないことが好ましい。
【0051】
本発明の粘着剤層は、前記粘着剤組成物を基材フィルムや離型フィルムに塗布した後、粘着剤組成物を架橋することで得ることができる。
本発明に係わる粘着剤層を、電子・電気機器の高周波化に対応した、低誘電率の電気絶縁材料として使用する場合、前記粘着剤層の、周波数1MHzにおける比誘電率が、3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。
粘着フィルム用粘着剤層を構成する、共重合及び架橋させてなる粘着剤組成物において、全てのモノマーの合計量100重量部のうち、アルキル(メタ)アクリレートの化合物群の合計が50重量部以上であることが好ましい。極性の低いアルキル(メタ)アクリレートの割合を多くすることにより、比誘電率をより低くすることができる。
【0052】
本発明の粘着剤層の厚さは特に制限されず、5〜400μm程度である。例えば、静電容量式タッチパネルに本発明の電子絶縁用粘着剤層を用いる場合には、下記式のように粘着剤層の比誘電率ε
rと粘着剤層の厚さ(粘着厚さ)dにより、静電容量式タッチパネルのセンサー応答性が変わるために、搭載される電子機器の設計に応じた比誘電率と粘着厚さのコントロールが必要となる。近年の要求として、電子機器、タッチパネルの薄型化が求められており、構成部材である粘着剤層も薄膜化の要求が強まっている。本発明の粘着剤層を用いることにより、従来の粘着剤層を用いた場合と同等の感度を薄い粘着厚さで実現できる。
また、誤動作防止を重視する場合には、従来の粘着剤層を本発明の粘着剤層に置き換えることにより、タッチパネルの応答速度や感度向上が期待できる。
【0054】
C:静電容量、ε
r:粘着剤層の比誘電率、ε
0:空間(真空)の誘電率、A:面積、d:粘着剤層の厚さ。
【0055】
本発明に係わる粘着剤層を、光学部材の層間の貼合などに用いる場合、粘着剤層と光学部材との界面での光線の反射を低減させるため、屈折率の差がなるべく小さいことが望ましい。このため、前記粘着剤層の屈折率が1.47〜1.50であることが好ましい。
また、本発明に係わる粘着剤層の粘着力は、被着体に貼り合わせる目的に応じて、粘着剤の組成を調製することにより粘着力を加減調整できるが、一般的には、0.1〜20N/25mm程度である。
【0056】
本発明の粘着フィルムは、本発明の粘着剤層を、基材又は離型フィルムの片面上に形成することで製造することができる。
粘着剤層の形成に用いる基材フィルムや、粘着面を保護する離型フィルム(セパレーター)としては、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルム等を用いることができる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
【0057】
離型フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
1つの粘着剤層の両面に、それぞれ離型フィルムの離型処理が施された面を合わせることで、「離型フィルム/粘着剤層/離型フィルム」の構成とすることもできる。この場合、両側の離型フィルムを、順次、あるいは同時に剥離して粘着面を表出することにより、光学フィルム等の光学部材と貼合可能になる。光学フィルムとしては、カバーガラス、ITOガラス、ITOフィルム、導電性高分子による透明導電性フィルム、ナノ銀ワイヤーによる透明導電性フィルム、カーボンナノチューブによる透明導電性フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、紫外線吸収フィルム、光学補償フィルム、等が挙げられる。
【0058】
本発明の粘着フィルムは、タッチパネルとディスプレイパネルの貼り合せに用いることができる。ディスプレイパネルとしては液晶表示装置や有機EL等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、電気部材、及び電子回路部材などを貼合わせる電気絶縁材料として使用できる。
また、本発明の粘着フィルムは、タッチパネル用の各種光学フィルム、偏光板を主とする液晶表示装置の周辺部材用の各種光学フィルム、電子ペーパー用の各種光学フィルム、有機EL用の各種光学フィルム等の貼り合せに用いることができる。
また、これらの光学フィルムの少なくとも一方の面に、前記粘着剤層が積層されてなる粘着剤層付き光学フィルムとすることができる。具体的には、「光学フィルム/粘着剤層/光学フィルム」、「光学フィルム/粘着剤層/離型フィルム」、「光学フィルム/粘着剤層」、「光学フィルム/粘着剤層/光学フィルム/粘着剤層/光学フィルム」、「光学フィルム/粘着剤層/光学フィルム/粘着剤層/離型フィルム」、「離型フィルム/粘着剤層/光学フィルム/粘着剤層/離型フィルム」等の構成が挙げられる。
例えば、「光学フィルム/粘着剤層/離型フィルム」のように、離型フィルムで保護された粘着剤層を有する場合、離型フィルムを剥がして、「光学フィルム/粘着剤層」のように粘着剤層を表出させ、他の光学フィルムと貼合することにより、粘着剤層が層間の貼合に用いられた「光学フィルム/粘着剤層/光学フィルム」のような構成が得られる。
本発明の粘着フィルムは、粘着剤層の熱硬化をさせた後であって、紫外線を照射する前に、粘着剤層の片面又は両面の離型フィルムを剥がして表出させた粘着剤層を、印刷段差を有する被着体(光学部材等)と貼合し、その後、紫外線を照射することにより、粘着剤層を架橋して使用することができる。これにより、粘着剤層付き光学部材を製造することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0060】
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に、ブチルアクリレート63g、メチルアクリレート32g、2−ヒドロキシエチルアクリレート5gとともに溶剤(酢酸エチル)を加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2時間かけて滴下させ、加熱して反応させ、重量平均分子量23万の、実施例1に用いるアクリル系ポリマー溶液を得た。
上記のとおり製造した実施例1のアクリル系ポリマー溶液に対して、エチレングリコールジメタクリレート(1G)を0.026モル、イソシアネート系架橋剤である架橋剤Aを0.84g、アルキルフェノン系光重合開始剤である添加剤Dを0.03gを加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる離型フィルムの上に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去した。そして、40℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、加熱して共重合させることにより、前記粘着剤組成物が熱硬化して、離型フィルム/粘着剤層/離型フィルムの構成を有する、実施例1の粘着フィルムを得た。
[実施例2〜9及び比較例1〜4]
モノマー及び添加剤の組成を各々、表1、3、4の記載のようにする以外は、上記の実施例1の粘着フィルムと同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜4の粘着フィルムを得た。表1、3、4の「モノマー組成」は、「アクリル系粘着剤」100gを構成するモノマーの内訳である。なお、表1〜4に記載された測定結果と試験結果については、後述する。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
また、表1、3、4に用いた各成分の内容・名称を、表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
実施例1〜9の粘着剤組成物におけるアクリル系ポリマー(ポリマーA)とポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマー(モノマーB)との配合比は、アクリル系ポリマー100gに対して、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマー1.0〜14.6モルである。
アクリル系粘着剤(1)100gの製造に用いたモノマーの量は、BA63g(0.4915モル)、MA32g(0.3717モル)、HEA5g(0.0430モル)であり、これらモノマーの合計は、0.906モルである。
アクリル系粘着剤(2)100gの製造に用いたモノマーの量は、2EHA97g(0.5264モル)、HEA3g(0.0258モル)であり、これらモノマーの合計は、0.552モルである。
アクリル系粘着剤(3)100gの製造に用いたモノマーの量は、2EHA95g(0.5155モル)、4HBA5g(0.0438モル)であり、これらモノマーの合計は、0.559モルである。
【0068】
<比誘電率の測定方法と測定結果>
実施例1〜9及び比較例1〜4における粘着フィルムから、離型フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させ、PETフィルムの片面に粘着剤層を転写した。このサンプルを、LCRメーター(ヒューレットパッカード社製、型式:4284A)を用いて、粘着剤層の比誘電率を測定した。
【0069】
表1、3、4に、比誘電率の測定結果を示す。
【0070】
実施例1〜9の粘着フィルムは、低比誘電率による優れた絶縁性能を有していた。すなわち、実施例1〜9の粘着フィルムでは、要求事項および問題を克服することができた。
比較例1、2、4の粘着フィルムは、低比誘電率による優れた絶縁性能を有していなかった。
比較例3の粘着フィルムは、低比誘電率による優れた絶縁性能を有していた。
【0071】
<印刷段差への追従性の試験方法と試験結果>
熱硬化をさせた後であって、紫外線を照射する前の、実施例2、実施例5、比較例1における粘着フィルムから、軽剥離面側の離型フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がし、大気圧環境下でPETフィルム(厚み100μm)に貼合した。貼合にはクライムプロダクツ(株)製の貼合装置(製品名SE320)を使用した。
このサンプルから、重剥離面側の離型フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がし、得られたPETフィルム付きの粘着剤層を、被着体(スクリーン印刷で厚さ10μm程度・15μm程度の印刷段差をそれぞれ形成した、印刷と反対面にハードコート処理のされたPETフィルム)と、大気圧環境下で貼合した。貼合後に、各サンプルのうち、粘着剤層が被着体の印刷段差に貼合された部分の外観を目視にて確認し、気泡が確認できるものを(×)、確認できないものを(○)と評価した。
【0072】
表2に、紫外線照射前の粘着剤層の、印刷段差への追従性の試験結果を示す。
【0073】
実施例2および、実施例5においては、印刷段差の部分に気泡が入ることなく粘着剤層を貼合することができた。比較例1は、貼合時に印刷段差の部分に気泡が入ってしまった。これは、比較例1は、紫外線を照射する前の時点で粘着剤層の架橋が進んでおり、樹脂が硬くなり、被着体の印刷段差に対する、紫外線照射前の粘着剤層の追従性が悪くなっているためであると考えられる。
【0074】
<形状保持性の試験方法と試験結果>
熱硬化をさせた後であって、紫外線を照射する前の、実施例2、実施例5、比較例1の粘着フィルムから、軽剥離面側の離型フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がし、大気圧環境下でPETフィルム(厚み100μm)に貼合し、形状保持性(ずれ量の測定)の試験のサンプルとした。貼合には、2kgハンドローラーを使用した。この形状保持性試験のサンプルから、重剥離面側の離型フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がし、得られたPETフィルム付きの粘着剤層を、ガラス板に大気圧環境下で貼合した。貼合後に、各サンプルに紫外線を1500mJ/cm
2照射し、粘着剤層を架橋させた。そののち、PETフィルムの片側端部に、1500gの重しを釣り下げ、30℃環境下にて、形状保持性の試験を行った。12時間後に、被着体同士(PETフィルムとガラス板と)の間で、粘着剤層のずれた量をマイクロスコープにて測定した。
【0075】
表2に、形状保持性の試験結果を示す。
【0076】
実施例2および、実施例5の試験においては、粘着剤層の大きな「ずれ量」はほとんど確認されなかった。一方、比較例1の試験では、粘着剤層に約6mmの「ずれ量」が生じた。そのため、比較例1の粘着フィルムは、被着体同士を充分に固定し、粘着剤層の形状(被着体同士の位置関係)を保持することができない。
【0077】
<貯蔵弾性率の測定方法と測定結果>
「貯蔵弾性率」とは、2℃/分の昇温速度および1Hzの固体剪断モードで粘弾性測定を行ったときの、30℃における粘着剤層の貯蔵弾性率を意味する。
本願明細書では、紫外線照射により架橋させる前と、紫外線照射により架橋させた後での粘着剤層の30℃における貯蔵弾性率を区別するため、紫外線照射により架橋させる前と、紫外線照射により架橋させた後での粘着剤層の、30℃における貯蔵弾性率を、それぞれ、K1、K2と表記する。
また、貯蔵弾性率の測定には、UBM社の動的粘弾性測定装置(製品名 Rheogel−E4000)を使用した。
【0078】
表2に、貯蔵弾性率の測定結果を示す。なお、貯蔵弾性率の測定値は、「m×10
n」を「mE+0n」とする方式(ただし、mは任意の実数値、nは正の整数)により表記した。
【0079】
上記の貯蔵弾性率の測定結果では、実施例2、実施例5及び比較例1の、熱硬化させた後であって、紫外線照射により架橋させる前の粘着剤層の、30℃における貯蔵弾性率(K1)が、それぞれ、K1=6.8×10
4Pa、K1=8.2×10
4Pa、K1=1.9×10
5Paであった。また、印刷段差への追従性の試験結果によると、実施例2、実施例5及び比較例1の、段差高15μmの印刷段差をもつ被着体への追従性の目視評価結果は、それぞれ、(○)、(○)、(×)であった。
このことから、印刷段差への追従性と優れた形状保持性とを有する粘着フィルムとしては、K1が1.0×10
4〜1.0×10
5Paの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、K1が2.0×10
4〜1.0×10
5Paの範囲である。
また、K1が1.0×10
5Paを超えてしまうと、貼合時に粘着剤層が変形し難いため印刷段差への追従性がなく、印刷段差の部分に気泡が入り隙間が生じる。
【0080】
また、上記の貯蔵弾性率の測定結果では、実施例2、実施例5及び比較例1の紫外線照射により架橋させた後の粘着剤層の、30℃における貯蔵弾性率(K2)が、それぞれ、K2=5.4×10
5Pa、K2=4.3×10
5Pa、K2=2.0×10
5Paであった。
一般に、K2が高いほど、粘着フィルムの粘着剤層が変形し難くなり、粘着フィルムの使用時に、被着体を長期間に渡り固定し、粘着剤層の形状を保持することができる。K2が3.0×10
5Paよりも小さいと、粘着剤層が変形を起こし易くなり、被着体を長期間に渡り固定したり、粘着剤層の形状を保持したりすることができない。
実施例2および実施例5は、K2が3.0×10
5Pa以上(さらにはK2が4×10
5Pa以上)であり、紫外線の照射によって架橋させた後(実際の使用時)には、比較例1に比べて、粘着剤層の変形が起こり難い、形状保持性に優れた状態となっている。
よって、K2が3.0×10
5Pa以上であることが好ましく、K2が4×10
5Pa以上であることがさらに好ましい。