(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6897598
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶ウェーハの熱処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/324 20060101AFI20210621BHJP
H01L 21/322 20060101ALI20210621BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20210621BHJP
C30B 33/02 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
H01L21/324 T
H01L21/324 X
H01L21/322 Y
C30B29/06 B
C30B33/02
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-26465(P2018-26465)
(22)【出願日】2018年2月16日
(65)【公開番号】特開2019-145597(P2019-145597A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】曲 偉峰
(72)【発明者】
【氏名】砂川 健
(72)【発明者】
【氏名】中杉 直
【審査官】
桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−194232(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/084287(WO,A1)
【文献】
特開2014−034513(JP,A)
【文献】
特開2011−243923(JP,A)
【文献】
特開2011−114119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/324
H01L 21/322
C30B 29/06
C30B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nv領域のシリコン単結晶ウェーハを窒化性雰囲気でRTA熱処理後、アルゴンまたは酸素雰囲気で第2の熱処理を行い、所定のBMD密度に制御する熱処理方法であって、
予めBMD密度とRTA温度の関係についての関係式を求め、
前記関係式に基づいて、前記所定のBMD密度を得るためのRTA温度を決定することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法。
【請求項2】
前記第2の熱処理は、850〜950℃、2時間以上、32時間未満の範囲内の条件で行うことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法。
【請求項3】
前記窒化性雰囲気はアンモニアを含む雰囲気であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法。
【請求項4】
前記所定のBMD密度の制御範囲を1×109〜1×1011/cm3とし、
前記関係式として、BMD密度(/cm3)=3×1040 exp(−8.86eV/kT)を用いて、所定のBMD密度になるようにRTA温度を決定することを特徴とする請求項3に記載のシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法。
【請求項5】
前記RTA熱処理の熱処理時間を1秒以上、10秒未満とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法。
【請求項6】
前記シリコン単結晶ウェーハの酸素濃度を13ppma(JEIDA)以上、17ppma(JEIDA)未満とすることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶ウェーハの熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無欠陥のウェーハに窒化性雰囲気でRTA処理を行って、ウェーハ中に空孔を注入し、その後熱処理を行うことで表面にDZ層を形成すると共に内部にBMDを形成し、バルク部にゲッタンリング能力を付与したアニールウェーハやエピタキシャルウェーハの製造方法が従来から行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には窒素をドープしたOSF領域を含まないパーフェクト領域のウェーハに1150℃〜1250℃の温度でRTAを行い、その後、RTA熱処理温度よりも低い温度でシリコンウェーハを熱処理して表層に無欠陥層を形成すると共に内部の空孔に酸素を析出させる析出処理を行うことが開示されている。
【0004】
また、特許文献2にはアンモニア雰囲気でのRTAによりウェーハ内部に新たに空孔を形成させた後、ウェーハ内部に酸素析出物を形成させる熱処理を行うことが開示されている。
【0005】
特許文献3には空孔注入効果があるガス雰囲気で1000〜1250℃のRTA後、600℃〜1150℃、0.25〜24時間の熱処理でウェーハの厚さ方向の空孔密度分布を制御することが開示されている。
【0006】
しかし、これらの熱処理方法はウェーハの厚さ方向のBMD分布を所望のBMD分布になるように制御することを目的にしたものであって、BMD密度の制御については考慮されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−218620号公報
【特許文献2】特開2011−243923号公報
【特許文献3】特開2013−232668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたもので、表面が無欠陥でバルク部分に所定のBMD密度を有するアニールウェーハ及びエピタキシャルウェーハを製造するためのシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、Nv領域のシリコン単結晶ウェーハを窒化性雰囲気でRTA熱処理後、第2の熱処理を行い、所定のBMD密度に制御する熱処理方法であって、予めBMD密度とRTA温度の関係についての関係式を求め、前記関係式に基づいて、前記所定のBMD密度を得るためのRTA温度を決定することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法を提供する。
【0010】
このように、Nv領域のシリコン単結晶に窒化性雰囲気でRTA熱処理を行えば、表面にDZ層を形成し、もともとシリコン単結晶ウェーハ内部に存在している空孔に加え、ウェーハ内部に効率よく空孔を注入することができる。
【0011】
RTA熱処理における空孔の固溶度は、温度と雰囲気の影響を受ける。このとき、熱処理雰囲気を窒化性雰囲気にすると、同じRTA温度でも空孔の固溶度が高くなり、析出を促進させることができる。
【0012】
本発明では、予めシリコン単結晶ウェーハ中に空孔を注入することができる範囲(例えば1150℃〜1250℃)でRTA温度を振ったサンプルを準備し、その後、所定の条件で第2の熱処理を行ってシリコン単結晶ウェーハ中にBMDを形成することで、RTA温度とBMD密度との関係を予め求めておく。
【0013】
本発明では窒化性雰囲気でRTA処理を行って、空孔を注入した後、その後の第2の熱処理で、空孔(V)とシリコン単結晶中の酸素(Oi)とが反応して形成した酸素析出核(V+Oi→VO、VO+Oi→VO
2等の複合体)を成長させ、安定したBMDを形成すれば、BMD密度とRTA温度との間に所定の関係式が得られることを見出した。そして、この関係式を用いれば、RTA温度からBMD密度を予測したり、所定のBMD密度に制御するためのRTA温度を決定することができる。
【0014】
本発明の前記第2の熱処理は、850〜950℃、2時間以上、32時間未満の範囲内の条件で行うことが好ましい。
【0015】
前記第2の熱処理が上記温度範囲の範囲であれば、効率よく析出核を成長させることができるので、熱処理時間が2時間以上であれば安定したBMDを形成することができる。このとき、熱処理時間の上限は熱処理コストを考慮すると32時間未満とすることが好ましい。
【0016】
また、熱処理温度を850℃以上とすれば析出核を効率よく成長させることができ、熱処理温度を950℃以下とすると、析出核を消滅させてしまうようなこともないので、析出核を効率よく成長させることができる。
【0017】
このときの熱処理雰囲気は、例えば、アルゴンまたは酸素雰囲気とすることができる。
【0018】
また、RTA熱処理の窒化性雰囲気はアンモニアを含む雰囲気、例えばアンモニアとアルゴンの混合雰囲気とすることが好ましい。
【0019】
このような雰囲気であれば、シリコン単結晶ウェーハに効率よく空孔を注入することができる。
【0020】
このような、アンモニア含有雰囲気でRTAを行った後に析出核を成長させ安定化させる第2の熱処理を行うと、
BMD密度(/cm
3)=3×10
40 exp(−8.86eV/kT)(ここで、k:ボルツマン定数、T:RTA温度(K))
の関係式が、BMD密度が1×10
9〜1×10
11/cm
3の範囲で成り立つことを見出した。
【0021】
そこで、この関係式を用いて、RTA温度からBMD密度を推定したり、所望のBMD密度にするためのRTA温度を決定することができる。
【0022】
上記の関係式はアンモニア含有雰囲気でRTAを行った場合であり、違う窒化性雰囲気、例えば窒素雰囲気でRTA熱処理を行う場合は、予めRTA温度を振ったサンプルを用意し、その後の第2の熱処理で安定したBMDを形成した後、RTA温度とBMD密度との関係式を求めておく。
【0023】
そして、本発明のRTA熱処理の熱処理時間を1秒以上、10秒未満とすることが好ましい。
【0024】
RTA熱処理を行うと、大量の空孔が発生し、シリコン単結晶基板中の酸素と反応して、VO
2等の複合体を形成し、その後の第2の熱処理で酸素析出が促進する。
【0025】
このとき、空孔の発生量はRTA温度に依存し、RTA時間には依存しない。したがって、熱処理時間はRTA温度が安定すればよく、熱処理時間は1秒以上あれば本発明の関係式を得ることができる。
【0026】
熱処理時間の上限は特に限定されないが、熱処理コストを考慮すると10秒未満にすることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明のシリコン単結晶ウェーハの酸素濃度を13ppma(JEIDA)以上、17ppma(JEIDA)未満とすることが好ましい。
【0028】
上記酸素濃度の範囲であれば、RTA熱処理で酸素析出核を確実に形成させることができ、BMD密度とRTA温度の関係を確実に得ることができる。
【0029】
このとき、酸素濃度が13ppma以上であれば、RTA熱処理で析出核のサイズを臨界サイズまで成長させることが容易となる。
【0030】
本発明のBMD密度とRTA温度との関係式は酸素濃度が17ppma以上であっても成立するが、電気特性等のデバイス特性に問題が発生するのを防止するため、酸素濃度は17ppma未満とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明のシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法であれば、予め求めたBMD密度とRTA温度との関係式に基づき、表面が無欠陥でバルク部分に所定のBMD密度を有するアニールウェーハ及びエピタキシャルウェーハを簡単かつ精度よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明で求められたBMD密度とRTA温度との関係式を示すグラフである。
【
図2】本発明の前記関係式が成り立つことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
上述のように、従来から、表面にDZ層が形成され、バルク部に所望のBMD分布が付与されるように、ウェーハにRTA熱処理を行い、その後さらに第2の熱処理として析出核を成長させる熱処理を行っていた。
【0034】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、窒化性雰囲気でRTA処理を行って、空孔を注入した後、その後の熱処理で空孔とシリコン単結晶中の酸素と反応して形成した酸素析出核を成長させ、安定したBMDを形成すれば、BMD密度とRTA温度との間に所定の関係式が得られることを見出した。そして、この関係式を用いれば、RTA温度からBMD密度を予測したり、所定のBMD密度に制御するためのRTA温度を決定できることを見出し、本発明を完成させた。
【0035】
即ち、本発明は、Nv領域のシリコン単結晶ウェーハを窒化性雰囲気でRTA熱処理後、第2の熱処理を行い、所定のBMD密度に制御する熱処理方法であって、
予めBMD密度とRTA温度の関係についての関係式を求め、
前記関係式に基づいて、前記所定のBMD密度を得るためのRTA温度を決定することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの熱処理方法である。
【0036】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
なお、本発明の「RTA熱処理」は、急速加熱熱処理であり、市販のRTA熱処理炉で行うことができ、ウェーハ内部に空孔を注入し、シリコン単結晶中の酸素と反応させて酸素析出核を形成させる熱処理である。また、「第2の熱処理」は、RTA熱処理後に行われる熱処理であって、形成された酸素析出核を成長、安定化させる熱処理である。
【0038】
本発明では、最初に、Nv領域のシリコン単結晶ウェーハ(CWウェーハ:化学エッチングウェーハ)を複数枚準備し、窒化性雰囲気下でRTAの温度を振った後、PWウェーハ(鏡面研磨ウェーハ)に加工を行い、その後、酸素析出核を成長、安定化させるための第2の熱処理を行い、シリコン単結晶ウェーハのバルク中のBMD密度の測定を行う。なお、Nv領域は、原子の過不足のないニュートラル(N)領域のうち、空孔(vacancy)が優勢な領域であり、空孔が優勢であることから酸素析出が生じ易い領域である。
【0039】
そして、BMD密度とRTA温度の相関関係からBMD密度とRTA温度の関係式を求める。
【0040】
このときのシリコン単結晶ウェーハの酸素濃度を13ppma(JEIDA)以上、17ppma(JEIDA)未満とし、RTA熱処理の熱処理時間を1秒以上、10秒未満とし、第2の熱処理を、850〜950℃、2時間以上、32時間未満の条件で行うことが好ましい。
【0041】
これらの条件の範囲であれば、BMD密度とRTA温度との関係式を得ることができる。
【0042】
例えば、窒化性雰囲気がアンモニア含有雰囲気(アンモニアとアルゴンの混合雰囲気)では
BMD密度(/cm
3)=3×10
40 exp(−8.86eV/kT)
の関係式が、RTA温度が1150〜1250℃、BMD密度が1×10
9〜1×10
11/cm
3の範囲で成り立つ。
【0043】
この関係式は、RTAの熱処理雰囲気に依存するので、実際に実施するRTAの雰囲気でBMD密度とRTA温度との関係式を予め求めておく必要がある。
【0044】
RTA温度が1150〜1250℃の範囲では、RTA温度が高くなるに従いBMD密度が高くなる。そして、RTA温度が1250℃より高くなるとBMD密度は一定の値か、若干低下する傾向を示すようになる。
【0045】
これは、空孔Vの平衡濃度が高くなっても、RTA熱処理工程中の析出核の形態が高温領域ではVO
2から4VO
2に変化することにより、析出核を形成するために多くのVが消費されてしまうことによると考えられる。
【0046】
また、本発明の熱処理では、板状のものと多面体の両方のBMDの形態が形成され、サイズは板状の場合は40〜300nm(対角長さ)、多面体の場合は10〜50nm(対角長さ)程度である。
【0047】
上記では、CWウェーハを用いて窒化性雰囲気でRTA熱処理を行い、PWウェーハに加工してから第2の熱処理を行ったが、BMD密度とRTA温度の関係を求めるだけであれば、PWウェーハを用いてRTA熱処理を行い、その後第2の熱処理を行うこともできる。
【0048】
次に、予め求めた、RTA温度とBMD密度の関係式を用いて、所定のBMD密度になるようにRTA温度を決定したり、RTA温度からBMD密度を推定する。
【0049】
例えば、アンモニア含有雰囲気でRTAを行う場合、制御するBMD密度を設定し、
BMD密度(/cm
3)=3×10
40 exp(−8.86eV/kT)
の関係式を用いて、RTA温度を決定する。
【0050】
そして、所定のBMD密度を有するアニールウェーハを製造する場合は、
Nv領域のシリコン単結晶ウェーハをCW加工し、アンモニア含有雰囲気下、上記関係式で決定した温度で1秒以上、10秒未満のRTA熱処理を行い、酸素析出核を形成する。
【0051】
次に、表面に形成された窒化膜をPW加工を行って除去した後、850〜950℃、2〜32時間の第2の熱処理を行って、酸素析出核を成長、安定化させる。
【0052】
この第2の熱処理の雰囲気はアルゴン雰囲気や酸素雰囲気とすることができる。
【0053】
第2の熱処理の雰囲気が酸素雰囲気の場合は、表面に形成された酸化膜を除去するため、フッ酸等で洗浄する必要がある。
【0054】
さらに、こうして得られたアニールウェーハ表面にエピタキシャル層を形成し、エピタキシャルウェーハとすることもできる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
【0056】
実施例1では、以下のウェーハを用意し、下記条件の熱処理を行った。
(シリコン単結晶ウェーハ)
直径:300mm
欠陥領域:Nv領域
酸素濃度:14ppma、16.3ppma(2水準)
(RTA条件)
温度:1125〜1275℃
時間:9秒
雰囲気:NH
3+Ar
(第2の熱処理条件)
温度:900℃
時間:2時間
雰囲気:Ar
【0057】
上述のウェーハから得たポリッシュドウェーハ(PW)およびエピタキシャルウェーハ(EPW)に上記熱処理を行った後、780℃、3時間(O
2)+1000℃、2時間(3%O
2+97%N
2)のBMD顕在化熱処理を行い、RIE法でBMD密度を測定し、BMD密度とRTA温度との相関を求めた。
【0058】
このときのEPWはエピタキシャル層の厚さが4μmのものを用いた。
【0059】
その結果、RTA温度が1150〜1250℃の範囲において、
BMD密度(/cm
3)=3×10
40 exp(−8.86eV/kT)
の関係式が成り立つことが確認された。
図1にこの相関式を示す。
【0060】
図中、RTA_ANNは、PWに対するRTA+900℃/2hrsの熱処理条件を示し、RTA_ANN_EPは、EPWに対するRTA+900℃/2hrs+4μm EPの熱処理条件を示す。
【0061】
そして、直径300mm、欠陥領域:Nv領域、酸素濃度:14ppmaのシリコン単結晶ウェーハに密度が1.0×10
10/cm
3のBMDを形成するため、上記で求めたRTA温度とBMD密度の関係式を用いて、RTA温度を1198℃に決定した。
【0062】
次に、上記で用いたのと同じ品質で別のウェーハをCW加工した後、NH
3+Ar雰囲気、1198℃、9秒のRTA熱処理を行い、その後PW加工を行った。
【0063】
次に、Ar雰囲気、900℃、2時間の条件で第2の熱処理を行った。
【0064】
そして、780℃、3時間(O
2)+1000℃、2時間(3%O
2+97%N
2)のBMD顕在化熱処理を行い、RIE法でBMD密度を測定した結果、BMD密度が1.02×10
10/cm
3となり、目的とするBMD密度を形成することができた。
[実施例2]
【0065】
実施例2では、以下のウェーハを用意し、下記条件の熱処理を行った。
(シリコン単結晶ウェーハ)
直径:300mm
欠陥領域:Nv領域
酸素濃度:14ppma
(RTA条件)
温度:1200℃
時間:9秒
雰囲気:NH
3+Ar
(第2の熱処理条件)
温度:800〜1000℃
時間:2時間
雰囲気:Ar
【0066】
上記熱処理を行った後、780℃、3時間(O
2)+1000℃、2時間(3%O
2+97%N
2)のBMD顕在化熱処理を行い、RIE法でBMD密度を測定した。
【0067】
本発明の相関式から求めたBMD密度は1.13×10
10/cm
3であるので、第2の熱処理が850〜950℃の範囲でRTA温度とBMD密度との相関式が成り立つことが確認された。この結果を
図2に示す。
[比較例1]
【0068】
実施例1と同じ直径300mm、欠陥領域:Nv領域、酸素濃度:14ppmaのシリコン単結晶ウェーハを用いて、BMD密度を実施例1と同じ1.0×10
10/cm
3に制御することを目的としてRTA温度を1100℃で行った以外は、実施例1と同じ条件でBMD密度の測定を行った。
【0069】
その結果、BMD密度は1.1×10
9/cm
3となり、狙いの値と大きく異なる結果となった。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。